割りばねによる耐フレッチング性燃料棒支持構造
【課題】原子燃料集合体の改良型グリッドを提供する。
【解決手段】グリッドの燃料棒を支持するセルの各壁に垂直方向で細長い割りばねを設けて、燃料棒を同一平面上の8個の接触点で支持する。
【解決手段】グリッドの燃料棒を支持するセルの各壁に垂直方向で細長い割りばねを設けて、燃料棒を同一平面上の8個の接触点で支持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に原子炉に係り、さらに詳細には、グリッドを用いる燃料集合体を備えた原子炉に係る。
【背景技術】
【0002】
大部分の水冷式原子炉は、炉心が多数の細長い燃料集合体で構成されている。加圧水型原子炉(PWR)では、これらの燃料集合体は通常、軸方向に燃料集合体の長さに沿って離隔し燃料集合体の複数の細長いシンブル管に固着された複数のグリッドが複数の燃料棒を整列アレイに保持する構成である。シンブル管は通常、制御棒または計測手段を受容する。燃料集合体の互いに反対の端部上には上部ノズル及び下部ノズルがあるが、これらのノズルは燃料棒の端部よりもわずかに上方及び下方へ延びるシンブル管の端部に固定されている。
【0003】
関連技術分野で知られるように、グリッドは炉心内において燃料棒を間隔を正確に維持して支持し、燃料棒に横方向支持を与え、冷却材の混合を誘起するために使用される。従来型グリッドを1個のタイプは、互いに差し込まれた複数のストラップがそれぞれの内部に燃料棒を受容する複数のほぼ正方形のセルを形成する卵箱構成である。シンブル管は、その形状によるが、燃料棒を受容するセルと同じサイズのセル内かまたは互いに差し込まれたストラップに画定された比較的大きいシンブル管セル内の何れかに受容させることができる。互いに差し込まれたストラップはシンブル管に固着点を提供するため、燃料集合体の長さに沿う離隔した場所でのストラップの位置決めが可能となる。
【0004】
従来より、互いに差し込まれるストラップは、燃料棒が貫通する各セルが1またはそれ以上の比較的変形しやすいばねと、比較的剛性の複数のディンプルとを有する形状である。ばねとディンプルは互いに差し込まれたストラップの金属に形成され、その金属から外方に燃料棒が貫通するセル内に突出する。各燃料棒セルのばね及びディンプルはそうして、セルを貫通する対応の燃料棒と接触する。グリッドの外側ストラップは互いに固着され、グリッドの内側ストラップを取り囲んで、グリッドに強度及び剛性を付与し、グリッドの周囲部に個々の燃料棒セルを画定する。内側ストラップは通常、交差するところで溶接またはろう付けされ、また、集合体の外周を画定する外周または外側ストラップに溶接またはろう付けされる。
【0005】
従来、個々のセルのレベルにおける燃料棒の支持は通常、上述したように、剛性の支持ディンプルと柔軟性のあるばねとの組み合わせにより行なわれる。ばねとディンプルの支持構造には多くの種類があるが、それには斜ばね、I字形ばね、片持ちばりばね、水平または垂直ディンプル等がある。セル当たりのばねの数も様々である。1個のセルにつき2個のばねと4個のディンプルを用いるのが典型的な構成である。ディンプルとばねの幾何学的構成は集合体の寿命を通して燃料棒を適切に支持するように入念に決定しなければならない。
【0006】
初期ばね力は、ばねの材質及び照射環境によるが、照射が進むと多かれ少なかれ急速に弛緩する。被覆の直径も冷却材圧力及び運転温度が非常に高くなると変化し、燃料棒内のペレットの直径も緻密化及びスエリングにより変化する。被覆の外径も酸化物層の形成より増加する。これらの寸法及び材質の変化により、燃料集合体の寿命を通して燃料棒に適切な支持を継続して与えることは大きな課題である。
【0007】
ほっそりした物体である燃料棒は、原子炉内の温度及び圧力勾配により誘起される軸方
向及び横断方向の流れ並びに定常波及び渦流のような他の乱流効果により比較的小さな振幅で継続的に振動している。燃料棒の支持が適切でないと、この非常に小さな振幅の振動により支持点と被覆とが相対的に運動することがある。比較的小さなディンプル及びグリッド支持表面上を摺動する燃料棒が及ぼす圧力が十分に大きい場合、被覆の表面上の小さな腐食層が擦過により除去され、基層金属が冷却材にさらされることがある。被覆の新しく露出した表面上に形成される新しい腐食層も擦過により除去され、最終的に燃料棒の壁に穴が開くことになる。この現象はグリッドと燃料棒のフレッチングとして知られており、2006年における加圧水型原子炉の燃料破損の主要な原因であった。
【0008】
支持グリッドはまた、集合体のもう1個の重要な機能である被覆の最高温度を減少させるための冷却材混合機能を提供する。各燃料棒により発生する熱は均等ではないため、冷却材には温度勾配が存在する。燃料集合体を設計するにあたり1個の重要なパラメータは、燃料棒から冷却材への効率の良い熱伝達を維持することである。単位時間当たり除去される熱量が大きければ大きいほど、発生する出力が大きくなる。冷却材温度が高過ぎると、所与の時間に被覆の単位面積から除去できる熱量は有意に減少する。この現象は核沸騰からの離脱またはDNBとして知られている。原子炉運転のパラメータ内で冷却材温度がDNB点に到達すると、燃料棒の内部で発生する熱を除去するために被覆の表面温度が急速に増加し、被覆の急速な酸化が被覆破損に至ることになる。燃料破損を阻止するにはDNBを回避しなればならないことが明らかである。DNBは発生するとすれば冷却材が最高温度にある所で生じるため、集合体の内部で冷却材を混合して冷却材の最高温度を減少させると、DNB状態に到達せずに多量のエネルギーの発生させることができる。通常、グリッド構造の下流側に混合翼を使用して混合が改善されるようにする。混合効率は燃料棒に対する混合翼の形状、サイズ及び場所により異なる。
【0009】
グリッドの他の重要な機能には、想定される事故の負荷時において機能を喪失せずに取扱い及び通常動作を維持する能力や、燃料棒で発生する熱を除去するための冷却材が局部的に十分でない場合に燃料棒と支持点の間に蒸気ポケットが形成されることによる燃料棒上での「高温点」の発生を回避する能力が含まれる。蒸気スポットは燃料棒の過熱により被覆の急速な局部的腐食が発生して燃料棒の破損を惹き起す。
【0010】
燃料集合体に冷却材を流して炉心を実質的にバランスした形で冷却し続けることは実質的に均等な熱伝達を維持するという好ましい目的である。燃料集合体の設計を変更すると、圧力降下が変化し種々のタイプの燃料集合体の間で炉心を介する流れ抵抗の相対的なバランスに影響を与える可能性がある。圧力降下を減少させるグリッド設計の変更は、燃料集合体の設計者が燃料集合体の間での圧力降下の平衡を取り戻す他の改良を取り込むことができるため望ましい。
【0011】
前述したように、グリッドストラップのディンプル及びばねは格子アレイ中に原子燃料棒を位置決めするためにグリッドセル内に突出する。ディンプルが高ければ高いほど、また、ディンプルがグリッドセル内に突出する度合が大きければ大きいほど、ディンプルの剛性が大きくなる。この剛性の増加により、装着時に燃料棒に引っ掻き傷が発生することがある。ディンプルの剛性が大きいと、燃料棒の接触応力が大きくなるためディンプルと燃料棒の間のフレッチングの危険性が増加する。従って、ディンプルの設計者は燃料棒を位置決めするための剛性を適切な値にしながら、引っかき傷、かじり傷及びフレッチングの可能性を減少するように剛性を最小限に抑える必要がある。
【0012】
効率的な熱伝達特性を呈し、燃料棒を集合体に装着する際の引っ掻き傷またはかじり傷の可能性が低い態様で燃料棒を支持する改良型グリッドを提供することが望ましい。多数の製造上の利点を有するかかる改良型グリッドを提供するのも本発明の別の目的である。
【発明の概要】
【0013】
上記目的は、平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと、平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと直交関係に配置された平行離隔関係にある第2の複数の細長いストラップとより成る改良型原子燃料集合体グリッドにより達成される。平行離隔関係にある第1及び第2の複数の細長いストラップは、隣接する一組4個のストラップの交差点が一部は燃料棒を支持するセルを画定し、各セルの境界を画定する第1及び第2のストラップの各々がセルの壁を形成する正規の格子パターンを形成するように整列配置されている。ストラップは卵箱パターンを形成するように交差点で互いに差し込まれているのが好ましい。周囲部のストラップは平行離隔関係にある第1及び第2の複数の細長いストラップを取り囲み、内部のストラップとそれらとの交差点で固着されている。燃料棒を支持するセルの少なくとも1つの壁はセル内に延びる垂直方向に細長いばねを有する。垂直方向に細長いばねはセル内に最も延びる部分を2個の垂直方向の結合部に分離する垂直方向の割れ目を有し、結合部のセル内に最も延びる部分は燃料棒を同一平面上の2個の接触点で支持するように2つの方向で丸みを帯びている。
【0014】
一実施例において、燃料棒を支持するセルの各壁は同一高さの垂直方向に細長いばねを有する。これらのばねは燃料棒を同一平面上の8個の接触点で支持する。
【0015】
さらに別の実施例において、細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成される。ばねはその垂直方向の上端部及び下端部で壁に固着される。
【0016】
第3の実施例において、垂直方向に細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成される。ストラップは壁に上方及び下方の開口を有し、該開口を介してばねが別の燃料棒を支持する隣接セルへ反対方向に延びる第2のばねに固着される。好ましくは、壁の上方及び下方の開口はストラップの頂部及び底部にある垂直方向のスロットまたはノッチの何れかである。
【0017】
各結合部は、好ましくは、互いの方向に横方向に延びる脚部を有するガ、これらの脚部は互いに接触しない。脚部の対向端部はセル内にさらにわずかに延びて、対応セルを貫通する燃料棒と点接触する。
【0018】
さらに別の実施例において、セル内に延びるばねの下端部は壁のほぼ中間の高さでストラップと繋がる。壁の中間高さより下方へ延びるばねの部分は隣接するセル内へ反対方向に延びる。好ましくは、ばねの垂直スリットはばねの頂部または底部まで延びない。さらに別の実施例において、燃料棒を支持しばねがその内部へ延びるセルの対向壁は、ばねと対向するようにセル内に延びる少なくとも1つのディンプルを有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、加圧水型原子炉の従来型燃料集合体グリッドの頂部平面図である。
【図2】図2は、本発明の燃料棒グリッドを使用する燃料集合体の部分断面立面図であり、図示を明瞭にするために集合体を一部を破断し垂直方向に短縮した形で示す。
【図3】図3は、燃料棒を支持する燃料集合体グリッドセルの壁に抵抗溶接された本発明の割りばねを示す斜視図である。
【図4】図4は図3の斜視図の変形図であり、ばねが壁の上端部及び下端部のノッチを介して上部及び下部を隣接するセル内へ反対方向に延びる第2のばねに溶接された状態を示す。
【図5】図5は図4の斜視図の変形図であり、ばねが上部及び下部をセル壁の上方及び下方スロットを介して隣接するセル内へ延びる第2のばねに溶接された状態を示す。
【図6】図6は4つの壁全てについて本発明のばねを使用する燃料棒支持セルの斜視図であり、燃料棒がそれらのばね間で支持された状態を示す。
【図7】図7は図6の燃料棒支持セルの平面図である。
【図8】図8は、本発明のばねの延長部と接触する燃料棒の一部を示す側立面図である。
【図9】図9は本発明のばねの別の実施例を示す斜視図である。
【図10】図10は、燃料棒の一部を支持する本発明のさらに別の実施例によるばねを使用する燃料棒支持セルの斜視図である。
【図11】図11は図10の平面図である。
【図12】図12は図10に示すセルの1つの壁を示す正面図である。
【図13】図13は図12に示すセルの壁の側面図である。
【図14】図14は本発明のさらに別の実施例による燃料棒支持セルの壁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
原子燃料スペーサグリッドは原子燃料の位置決めのために燃料集合体に使用される。原子燃料棒の正確な位置決めは、原子炉の炉心の適当な原子的及び熱流体的性能を確実に発揮させる上で肝要である。従来型スペーサグリッドの多くは、その多くが燃料棒を支持するほぼ正方形の複数のセルを有する卵箱格子を形成するように互いに差し込まれたまっすぐなグリッドストラップより構成される。かかる従来型燃料グリッド10の一例を図1に示す。平衡離隔アレイの形の等長グリッドストラップ12は第2の複数の等長平衡離隔グリッドストラップ14と直交関係に配置され、境界ストラップ18により取り囲まれており、各ストラップはそれらの交差点で溶接されている。セル16は燃料棒を支持するが、セル20は案内管及び計測管を支持する。燃料棒は間隔またはピッチを維持する必要があるため、燃料棒を支持するセル16と境界を接する場所のこれらのまっすぐなグリッドストラップ12及び14は、セル16内に突出して燃料棒と接触することによりそれらを定位置にしっかりと保持するようにストラップ12及び14の側部に打抜き加工されたばね22及び/またはディンプル24を有する。グリッドストラップ12及び14上の打抜き加工部分、即ち、ばね22及びディンプル24は、燃料集合体に沿う縦続アレイのグリッドの他のグリッドとの組み合わせを考慮して、適切な力で燃料棒が確実に保持し続けられるように入念な設計及び正確な製造が必要である。
【0021】
図2を参照して、該図は垂直方向に短縮した形で図示し総括的に参照番号40で指示した燃料集合体の立面図である。燃料集合体40は加圧水型原子炉に使用するタイプであり、炉心領域の下部炉心板(図示せず)上で燃料集合体を支持するための下端構造または下部ノズル42、多数の縦方向に延びる案内シンブル管44及び下部ノズル42から上方に延びる計測シンブル管46を有する。燃料集合体40はさらに、本発明に従って構成され一部を図3−14に詳示する複数の横方向グリッド10を有する。グリッド10は案内シンブル44に沿って軸方向に離隔し、該案内シンブル管により支持される。燃料集合体40はまた、グリッド10により整列アレイの形で横方向に離隔支持される複数の細長い燃料棒36を有する。燃料集合体40はまた、その中央に位置する計測管46と、案内シンブル管44の上端部に固着された上端構造または上部ノズル48とを有する。部品をこのように構成すると、燃料集合体40は部品組合せの一体性を損なうことなく便利に扱える一体的ユニットを形成する。
【0022】
上述したように、燃料棒36及び燃料集合体40の燃料棒アレイは燃料集合体の長さに沿って離隔したグリッド10により互いに離隔する関係に保持される。各燃料棒36は原子燃料ペレット50を含み、燃料棒36の互いに反対の端部は上方の端栓52及び下方の端栓54により密封されて燃料棒が気密封止される。普通は、上方の端栓52とペレット50の間にプレナムばね56が配置され、燃料棒36内にペレットを固く積み重ねた関係に維持する。核分裂物質より成る燃料ペレット50は加圧水型原子炉の反応エネルギーを発生させる元である。水またはホウ素を含む水のような液体減速/冷却材は有用な仕事を
発生させるために内部で発生した熱を抽出するべく炉心の燃料集合体を通して上方に圧送される。
【0023】
核分裂プロセスを制御するため、多数の制御棒58が燃料集合体40の所定の位置にある案内シンブル管46内を往復運動可能である。詳説すると、上部ノズル48に付随して設けられる燃料棒クラスタ制御機構60は、内部にねじ穴を切られた円筒形ハブ部材62と、半径方向に延びる複数のアーム64とを備え、制御棒58を案内シンブル管44内で垂直方向に移動させることにより燃料集合体40の核分裂プロセスを全て周知の態様で制御するものである。
【0024】
前述したように、燃料棒を支持するグリッドセルの側壁と燃料棒の被覆の表面との間の接触領域の設計は、被覆を傷つけることなく有害な振動を発生させないように燃料棒を保持する十分な力が確実に得られるようにするために重要である。従来より、スペーサグリッド内の燃料棒の支持は、2つの方向の各々において、垂直方向に離隔した2個のディンプルと、これらと対向する1個のばねとにより6点接触支持構造が得られる構成により行われる。この思想には多くの変形例があるが、フレッチングにより惹き起される燃料棒の破損に対する一貫した抵抗性を備えた設計を見出すことは困難であることがわかっている。最近の流れループ試験によると、同一平面上での支持、即ち、所与のグリッドセル内の同一の軸方向高さでの支持はフレッチングに対する抵抗性が良好な燃料棒支持システムを提供することがわかっている。さらに、所与のセル内に6つより多い接触点があるとフレッチングに対してさらに大きなマージンが得られることが理論的に証明されている。本発明は、図3−14に示すような種々の実施例を有し、燃料棒同一平面支持システムを維持しながら1個のグリッドセル内で8個の接触点を与えるものである。1個のシリーズの実施例において、ベースとなるストラップが地震/LOCA(冷却材喪失事故)の目的のためにグリッド構造の強度を提供する一方、固着したばねは燃料棒支持構造を与える。別シリーズの実施例において、本発明の割りばねはベースとなるストラップの一体的部分である。かくして、本発明はベースとなるストラップと一体的な割りばねと、ベースとなるストラップに固着されるか該ストラップにより捕捉される別個の割りばねとの2個の主要なカテゴリーに再分割することができる。本発明の各実施例は同一の基本的な割りばね構成を利用するものである。
【0025】
本発明の思想は2個の主要なコンポーネント、即ち、グリッドセルの壁28を形成するベースストラップ12/14と、ベースストラップ12−14とは別個であるが、それに固着されるかそれと一体的な割りばね26とを利用する。本発明の各実施例は図3に示す同一の基本的な割りばね26を利用するが、図9及び14に関連して説明するばね設計における幾つかの変形例が存在する。図3は、卵箱状になるように直交するストラップ12及び14を互いに差し込むためのスリット30を除き中実のベースストラップ12/14を示す。図3に示す実施例では、燃料棒を支持するセルの壁上のばねは、ばね26の上部及び下部32においてセルの壁28に抵抗溶接される。ばね26の中央の細長い垂直スリット38は上方溶接部32の下方に離隔した点から下方溶接部32の上方に離隔した場所まで延びるが、この垂直スリットは燃料棒支持セル内に突出するばねの中央の実質的な部分にわたって延びる。かくして、中央の垂直スリット38はばね中央を垂直方向に延びる部分を、水平及び垂直の両方向において丸みを帯びて燃料棒を1個のばねにつき2個の点で接触して支持する2個の結合部34に分割する。ベースストラップ全体を使用して地震/LOCA負荷を支持することができるため、この構成を大きな圧縮強度を与える。図4は、ベースストラップ12/14の頂部及び下部を切り欠いてノッチ66を形成することで、ストラップ12/14の両側において背中合わせの特徴部分26を32で一緒に溶接できるため、ばねがノッチ66の間の壁28の垂直方向部分の間に捕捉される本発明の別の実施例を示す。この実施例は圧力降下を減少させ、軟らかいばね構造を提供するが、その理由は溶接されたばね構造が装荷時に延びることができることができるからである。
【0026】
図5は、ベースストラップ12/14を切り取って細長いスロット68を形成した別のベースストラップ構成を示す。スロット68はばね部分26を32において一緒に溶接するのを可能にし、これはまた図4に示したのと同様に軟らかいばね構造を可能にする。図5に示す実施例は、混合翼を固着する場所を提供し、図4に示す構成よりも大きい圧縮強度を与えるため望ましい。これらのばねは図5に示すように隣接するセルの対向ばねかまたは図4に示すベースストラップの何れかに抵抗溶接されたものとして示されているが、機械的連結、例えばリベットまたはボルトによる他の固着手段も使用可能であることを理解されたい。
【0027】
図6は、4つの壁全ての割りばね26がその内部で支持される燃料棒36を同一平面上の8個の接触点で支持する燃料棒支持セルを示す。しかしながら、図6に示す8個の接触点による支持は好ましいものであるが、図14に関連して説明するように割りばね26をディンプルと組み合わせて使用することが可能であること、また、割りばねの組み合わせもまた使用できることを理解されたい。例えば、割りばね26を2個の対向する壁の上で使用し、それ以外の2つの壁の上で1個の割りばね及びそれと対向する1つまたは複数のディンプルを使用することが可能であるが、図6に示す8個の接触点による支持が好ましい。図7は図6に示す8個の接触点による支持を示す平面図であり、図8はばねの結合部34の表面が2つの方向において丸みを帯びているためばねの結合部が燃料棒36と点接触する態様を示す側面図である。
【0028】
図9は、中央のスリット38が結合部34の中央領域の上方及び下方で拡大されて窓形の切欠き70を形成するばね26の別の実施例を示す。中央のスリット38はばねの中央部分を延びて2個の横方向に延びる脚部72を画定するが、これらの脚部は互いに対向し、壁28からさらに離れたばね部分を形成することにより燃料棒との2個の接触場所を提供する。横方向に延びる脚部72は結合部34を回転可能にしてさらに軟らかいばねを提供する。図3−5及び9に示す実施例は、従来の2個のディンプルとばねの構成の代わりに各々が燃料棒を同一平面上で支持する点で同じである。また、これらの思想はそれぞれ図7及び8に示す点接触支持を可能にする2つの方向での曲率半径を有する。
【0029】
図10−13は、割りばね26が図3−9に示すようなベースストラップに固着された別個のばねではなくてベースストラップ12/14と一体的である同じ思想の異なる変形例を示す。図10は、燃料棒36が内部に支持された1個の燃料棒支持セル16を示す斜視図である。同一平面の割りばね26は、セルの壁28の下半分からセル16内に延び、セル壁の上半分にわたって方向を逆転して隣接する燃料棒セル16内に延びる。割りばねはグリッドの壁28に壁底部、中間高さの点及び壁頂部で繋がる。図11は図10に示す実施例の平面図であるが、1つの壁28の正面図を図12で示す。スロット74は圧力降下を減少させ歪みを解放する作用がある。図13は側面図であり、2個の隣接する燃料棒支持セル16内へ延びる割りばね26を示す。前の実施例と同様に、結合部34は両方の方向において曲率半径を有する。図10−13に示す実施例は製造が簡単になるが、その理由はこれらの設計では少数の部品で済み、3つの厚さの材料を採用しないため圧力降下が少ないからである。この構成はまた、グリッドと燃料棒との間に同一平面上の8個の接触点を与える。この構成によると、燃料棒の支持は隣接するグリッドセル上の異なる高さ点で維持され、これが圧力降下をさらに減少させる助けになる。しかしながら、このストラップは、その高さが両方のばねを含む必要があるため、図3−9に示す設計より高くしなければならない。
【0030】
図14は、伝統的な「2個のディンプルと1個のばね」の思想を取り入れた割りばねを採用する別の構成を示す。他の実施例と同様に、ばねの結合部34は点支持を与えるため2つの方向において丸みを帯びており、同一平面上ではないがディンプルも丸みを帯びて
いて、8個の点での支持を与える。
【0031】
本発明の燃料棒支持設計思想は、伝統的な「2個のディンプルと1個のばね」による燃料棒支持システムと比較して多数の利点を提供する。例えば、本発明の設計思想では、流れにより誘起される振動時に、伝統的な「2個のディンプルと1個のばね」の構成によって燃料棒が回転方向で拘束されるのではなくて、燃料棒に回転を可能にする枢動点を与える。これにより、振動エネルギーが「2個のディンプルと1個のばね」の構成の回転抵抗を受けるのではなくて燃料棒はそのエネルギーを放散することができる。さらに、セルの中間で分割することにより2個のばねが実質的にセルの各側において燃料棒を支持することができる。これにより、所与のセルにおいて燃料棒は8個の点で支持される。この8個の接触点で燃料棒を支持するシステムは、燃料棒がグリッド平面において直交方向に運動できる量を制限するためグリッドセルの実効サイズを制限するのに役立ち、これによりフレッチングマージンがさらに増加する。さらに、燃料棒の軸に沿うばねの曲率半径は、燃料棒が従来型ばねまたはディンプルの端縁部のような滑らかでない端縁部に突き当たらずに済み、かくしてこの設計の耐フレッチング性が増加する。ばね上の曲面だけでなく接触点が2個あることにより、燃料棒装着時の燃料棒上のかじり傷が少なく、また引っ掻き傷が軽微なものとなる。幾つかの設計にとってディンプルの突起性は問題であり、一般的に、摩耗傷からディンプルの表面は完全に平坦でないことがわかっている。本発明の燃料棒支持部分の曲面性により、支持構造が燃料棒と垂直でないという懸念がなくなる。
【0032】
ばねを固着したベースストラップを用いると製造プロセスが有意に単純化される。従来型ストラップの多くは非常に複雑な成形部分を有する。成形される部分が高い比率のストラップは寸法安定性の維持が容易でないという傾向がある。本発明の設計思想によると、ベースストラップだけでなく別個のばねも製造及び点検が容易な単純な成形部分である。製造プロセスは、ベースストラップの材料とばねの材料とを同時に型に供給した後に、1つの連続プロセスとして穿孔し溶接する漸進型打抜きプロセスによりさらに単純化することが可能である。ベースストラップを使用すると、地震/LOCAを考慮する際のグリッドの圧縮強度がさらに増加する。別個のばねの材厚は所望のばね剛性を得るように最適化することができる。さらに、図4及び5に示す思想はばねの剛性を減少する手段を提供するため、燃料棒装着時におけるかじり傷及び燃料棒の引っ掻き傷が最小限に抑えられる。別個のばねは、ベースストラップとばねの間の異なる膨張特性を利用するべく、異なる合金、異なる粒子方向または異なる処理(即ち、冷間加工量の増加)の材料から作製することが可能である。膨張率の相違は、高燃焼度時グリッドと燃料棒のギャップを最小限に抑えるように利用可能であるから有利である。図9に示す実施例の場合、ばねの剛性は他の実施例とは異なる機構で得られるが、その理由はばねの結合部が回転可能であるため燃料棒の接触表面が移動して軟らかいばねが得られるからである。ベースストラップと一体的なばね(図10−13)の場合、部品はただ1個であるから製造がさらに単純化される。
【0033】
本発明を特定の実施例につき詳細に説明したが、当業者はそれらの詳細事項に対する種々の変形例及び設計変更が本願の開示全体に照らして想到されることがわかるであろう。従って、図示説明した特定の実施例は例示的なものであって本発明の範囲を限定する意図はなく、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲及び任意且つ全ての均等物の幅を与えられるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に原子炉に係り、さらに詳細には、グリッドを用いる燃料集合体を備えた原子炉に係る。
【背景技術】
【0002】
大部分の水冷式原子炉は、炉心が多数の細長い燃料集合体で構成されている。加圧水型原子炉(PWR)では、これらの燃料集合体は通常、軸方向に燃料集合体の長さに沿って離隔し燃料集合体の複数の細長いシンブル管に固着された複数のグリッドが複数の燃料棒を整列アレイに保持する構成である。シンブル管は通常、制御棒または計測手段を受容する。燃料集合体の互いに反対の端部上には上部ノズル及び下部ノズルがあるが、これらのノズルは燃料棒の端部よりもわずかに上方及び下方へ延びるシンブル管の端部に固定されている。
【0003】
関連技術分野で知られるように、グリッドは炉心内において燃料棒を間隔を正確に維持して支持し、燃料棒に横方向支持を与え、冷却材の混合を誘起するために使用される。従来型グリッドを1個のタイプは、互いに差し込まれた複数のストラップがそれぞれの内部に燃料棒を受容する複数のほぼ正方形のセルを形成する卵箱構成である。シンブル管は、その形状によるが、燃料棒を受容するセルと同じサイズのセル内かまたは互いに差し込まれたストラップに画定された比較的大きいシンブル管セル内の何れかに受容させることができる。互いに差し込まれたストラップはシンブル管に固着点を提供するため、燃料集合体の長さに沿う離隔した場所でのストラップの位置決めが可能となる。
【0004】
従来より、互いに差し込まれるストラップは、燃料棒が貫通する各セルが1またはそれ以上の比較的変形しやすいばねと、比較的剛性の複数のディンプルとを有する形状である。ばねとディンプルは互いに差し込まれたストラップの金属に形成され、その金属から外方に燃料棒が貫通するセル内に突出する。各燃料棒セルのばね及びディンプルはそうして、セルを貫通する対応の燃料棒と接触する。グリッドの外側ストラップは互いに固着され、グリッドの内側ストラップを取り囲んで、グリッドに強度及び剛性を付与し、グリッドの周囲部に個々の燃料棒セルを画定する。内側ストラップは通常、交差するところで溶接またはろう付けされ、また、集合体の外周を画定する外周または外側ストラップに溶接またはろう付けされる。
【0005】
従来、個々のセルのレベルにおける燃料棒の支持は通常、上述したように、剛性の支持ディンプルと柔軟性のあるばねとの組み合わせにより行なわれる。ばねとディンプルの支持構造には多くの種類があるが、それには斜ばね、I字形ばね、片持ちばりばね、水平または垂直ディンプル等がある。セル当たりのばねの数も様々である。1個のセルにつき2個のばねと4個のディンプルを用いるのが典型的な構成である。ディンプルとばねの幾何学的構成は集合体の寿命を通して燃料棒を適切に支持するように入念に決定しなければならない。
【0006】
初期ばね力は、ばねの材質及び照射環境によるが、照射が進むと多かれ少なかれ急速に弛緩する。被覆の直径も冷却材圧力及び運転温度が非常に高くなると変化し、燃料棒内のペレットの直径も緻密化及びスエリングにより変化する。被覆の外径も酸化物層の形成より増加する。これらの寸法及び材質の変化により、燃料集合体の寿命を通して燃料棒に適切な支持を継続して与えることは大きな課題である。
【0007】
ほっそりした物体である燃料棒は、原子炉内の温度及び圧力勾配により誘起される軸方
向及び横断方向の流れ並びに定常波及び渦流のような他の乱流効果により比較的小さな振幅で継続的に振動している。燃料棒の支持が適切でないと、この非常に小さな振幅の振動により支持点と被覆とが相対的に運動することがある。比較的小さなディンプル及びグリッド支持表面上を摺動する燃料棒が及ぼす圧力が十分に大きい場合、被覆の表面上の小さな腐食層が擦過により除去され、基層金属が冷却材にさらされることがある。被覆の新しく露出した表面上に形成される新しい腐食層も擦過により除去され、最終的に燃料棒の壁に穴が開くことになる。この現象はグリッドと燃料棒のフレッチングとして知られており、2006年における加圧水型原子炉の燃料破損の主要な原因であった。
【0008】
支持グリッドはまた、集合体のもう1個の重要な機能である被覆の最高温度を減少させるための冷却材混合機能を提供する。各燃料棒により発生する熱は均等ではないため、冷却材には温度勾配が存在する。燃料集合体を設計するにあたり1個の重要なパラメータは、燃料棒から冷却材への効率の良い熱伝達を維持することである。単位時間当たり除去される熱量が大きければ大きいほど、発生する出力が大きくなる。冷却材温度が高過ぎると、所与の時間に被覆の単位面積から除去できる熱量は有意に減少する。この現象は核沸騰からの離脱またはDNBとして知られている。原子炉運転のパラメータ内で冷却材温度がDNB点に到達すると、燃料棒の内部で発生する熱を除去するために被覆の表面温度が急速に増加し、被覆の急速な酸化が被覆破損に至ることになる。燃料破損を阻止するにはDNBを回避しなればならないことが明らかである。DNBは発生するとすれば冷却材が最高温度にある所で生じるため、集合体の内部で冷却材を混合して冷却材の最高温度を減少させると、DNB状態に到達せずに多量のエネルギーの発生させることができる。通常、グリッド構造の下流側に混合翼を使用して混合が改善されるようにする。混合効率は燃料棒に対する混合翼の形状、サイズ及び場所により異なる。
【0009】
グリッドの他の重要な機能には、想定される事故の負荷時において機能を喪失せずに取扱い及び通常動作を維持する能力や、燃料棒で発生する熱を除去するための冷却材が局部的に十分でない場合に燃料棒と支持点の間に蒸気ポケットが形成されることによる燃料棒上での「高温点」の発生を回避する能力が含まれる。蒸気スポットは燃料棒の過熱により被覆の急速な局部的腐食が発生して燃料棒の破損を惹き起す。
【0010】
燃料集合体に冷却材を流して炉心を実質的にバランスした形で冷却し続けることは実質的に均等な熱伝達を維持するという好ましい目的である。燃料集合体の設計を変更すると、圧力降下が変化し種々のタイプの燃料集合体の間で炉心を介する流れ抵抗の相対的なバランスに影響を与える可能性がある。圧力降下を減少させるグリッド設計の変更は、燃料集合体の設計者が燃料集合体の間での圧力降下の平衡を取り戻す他の改良を取り込むことができるため望ましい。
【0011】
前述したように、グリッドストラップのディンプル及びばねは格子アレイ中に原子燃料棒を位置決めするためにグリッドセル内に突出する。ディンプルが高ければ高いほど、また、ディンプルがグリッドセル内に突出する度合が大きければ大きいほど、ディンプルの剛性が大きくなる。この剛性の増加により、装着時に燃料棒に引っ掻き傷が発生することがある。ディンプルの剛性が大きいと、燃料棒の接触応力が大きくなるためディンプルと燃料棒の間のフレッチングの危険性が増加する。従って、ディンプルの設計者は燃料棒を位置決めするための剛性を適切な値にしながら、引っかき傷、かじり傷及びフレッチングの可能性を減少するように剛性を最小限に抑える必要がある。
【0012】
効率的な熱伝達特性を呈し、燃料棒を集合体に装着する際の引っ掻き傷またはかじり傷の可能性が低い態様で燃料棒を支持する改良型グリッドを提供することが望ましい。多数の製造上の利点を有するかかる改良型グリッドを提供するのも本発明の別の目的である。
【発明の概要】
【0013】
上記目的は、平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと、平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと直交関係に配置された平行離隔関係にある第2の複数の細長いストラップとより成る改良型原子燃料集合体グリッドにより達成される。平行離隔関係にある第1及び第2の複数の細長いストラップは、隣接する一組4個のストラップの交差点が一部は燃料棒を支持するセルを画定し、各セルの境界を画定する第1及び第2のストラップの各々がセルの壁を形成する正規の格子パターンを形成するように整列配置されている。ストラップは卵箱パターンを形成するように交差点で互いに差し込まれているのが好ましい。周囲部のストラップは平行離隔関係にある第1及び第2の複数の細長いストラップを取り囲み、内部のストラップとそれらとの交差点で固着されている。燃料棒を支持するセルの少なくとも1つの壁はセル内に延びる垂直方向に細長いばねを有する。垂直方向に細長いばねはセル内に最も延びる部分を2個の垂直方向の結合部に分離する垂直方向の割れ目を有し、結合部のセル内に最も延びる部分は燃料棒を同一平面上の2個の接触点で支持するように2つの方向で丸みを帯びている。
【0014】
一実施例において、燃料棒を支持するセルの各壁は同一高さの垂直方向に細長いばねを有する。これらのばねは燃料棒を同一平面上の8個の接触点で支持する。
【0015】
さらに別の実施例において、細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成される。ばねはその垂直方向の上端部及び下端部で壁に固着される。
【0016】
第3の実施例において、垂直方向に細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成される。ストラップは壁に上方及び下方の開口を有し、該開口を介してばねが別の燃料棒を支持する隣接セルへ反対方向に延びる第2のばねに固着される。好ましくは、壁の上方及び下方の開口はストラップの頂部及び底部にある垂直方向のスロットまたはノッチの何れかである。
【0017】
各結合部は、好ましくは、互いの方向に横方向に延びる脚部を有するガ、これらの脚部は互いに接触しない。脚部の対向端部はセル内にさらにわずかに延びて、対応セルを貫通する燃料棒と点接触する。
【0018】
さらに別の実施例において、セル内に延びるばねの下端部は壁のほぼ中間の高さでストラップと繋がる。壁の中間高さより下方へ延びるばねの部分は隣接するセル内へ反対方向に延びる。好ましくは、ばねの垂直スリットはばねの頂部または底部まで延びない。さらに別の実施例において、燃料棒を支持しばねがその内部へ延びるセルの対向壁は、ばねと対向するようにセル内に延びる少なくとも1つのディンプルを有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、加圧水型原子炉の従来型燃料集合体グリッドの頂部平面図である。
【図2】図2は、本発明の燃料棒グリッドを使用する燃料集合体の部分断面立面図であり、図示を明瞭にするために集合体を一部を破断し垂直方向に短縮した形で示す。
【図3】図3は、燃料棒を支持する燃料集合体グリッドセルの壁に抵抗溶接された本発明の割りばねを示す斜視図である。
【図4】図4は図3の斜視図の変形図であり、ばねが壁の上端部及び下端部のノッチを介して上部及び下部を隣接するセル内へ反対方向に延びる第2のばねに溶接された状態を示す。
【図5】図5は図4の斜視図の変形図であり、ばねが上部及び下部をセル壁の上方及び下方スロットを介して隣接するセル内へ延びる第2のばねに溶接された状態を示す。
【図6】図6は4つの壁全てについて本発明のばねを使用する燃料棒支持セルの斜視図であり、燃料棒がそれらのばね間で支持された状態を示す。
【図7】図7は図6の燃料棒支持セルの平面図である。
【図8】図8は、本発明のばねの延長部と接触する燃料棒の一部を示す側立面図である。
【図9】図9は本発明のばねの別の実施例を示す斜視図である。
【図10】図10は、燃料棒の一部を支持する本発明のさらに別の実施例によるばねを使用する燃料棒支持セルの斜視図である。
【図11】図11は図10の平面図である。
【図12】図12は図10に示すセルの1つの壁を示す正面図である。
【図13】図13は図12に示すセルの壁の側面図である。
【図14】図14は本発明のさらに別の実施例による燃料棒支持セルの壁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
原子燃料スペーサグリッドは原子燃料の位置決めのために燃料集合体に使用される。原子燃料棒の正確な位置決めは、原子炉の炉心の適当な原子的及び熱流体的性能を確実に発揮させる上で肝要である。従来型スペーサグリッドの多くは、その多くが燃料棒を支持するほぼ正方形の複数のセルを有する卵箱格子を形成するように互いに差し込まれたまっすぐなグリッドストラップより構成される。かかる従来型燃料グリッド10の一例を図1に示す。平衡離隔アレイの形の等長グリッドストラップ12は第2の複数の等長平衡離隔グリッドストラップ14と直交関係に配置され、境界ストラップ18により取り囲まれており、各ストラップはそれらの交差点で溶接されている。セル16は燃料棒を支持するが、セル20は案内管及び計測管を支持する。燃料棒は間隔またはピッチを維持する必要があるため、燃料棒を支持するセル16と境界を接する場所のこれらのまっすぐなグリッドストラップ12及び14は、セル16内に突出して燃料棒と接触することによりそれらを定位置にしっかりと保持するようにストラップ12及び14の側部に打抜き加工されたばね22及び/またはディンプル24を有する。グリッドストラップ12及び14上の打抜き加工部分、即ち、ばね22及びディンプル24は、燃料集合体に沿う縦続アレイのグリッドの他のグリッドとの組み合わせを考慮して、適切な力で燃料棒が確実に保持し続けられるように入念な設計及び正確な製造が必要である。
【0021】
図2を参照して、該図は垂直方向に短縮した形で図示し総括的に参照番号40で指示した燃料集合体の立面図である。燃料集合体40は加圧水型原子炉に使用するタイプであり、炉心領域の下部炉心板(図示せず)上で燃料集合体を支持するための下端構造または下部ノズル42、多数の縦方向に延びる案内シンブル管44及び下部ノズル42から上方に延びる計測シンブル管46を有する。燃料集合体40はさらに、本発明に従って構成され一部を図3−14に詳示する複数の横方向グリッド10を有する。グリッド10は案内シンブル44に沿って軸方向に離隔し、該案内シンブル管により支持される。燃料集合体40はまた、グリッド10により整列アレイの形で横方向に離隔支持される複数の細長い燃料棒36を有する。燃料集合体40はまた、その中央に位置する計測管46と、案内シンブル管44の上端部に固着された上端構造または上部ノズル48とを有する。部品をこのように構成すると、燃料集合体40は部品組合せの一体性を損なうことなく便利に扱える一体的ユニットを形成する。
【0022】
上述したように、燃料棒36及び燃料集合体40の燃料棒アレイは燃料集合体の長さに沿って離隔したグリッド10により互いに離隔する関係に保持される。各燃料棒36は原子燃料ペレット50を含み、燃料棒36の互いに反対の端部は上方の端栓52及び下方の端栓54により密封されて燃料棒が気密封止される。普通は、上方の端栓52とペレット50の間にプレナムばね56が配置され、燃料棒36内にペレットを固く積み重ねた関係に維持する。核分裂物質より成る燃料ペレット50は加圧水型原子炉の反応エネルギーを発生させる元である。水またはホウ素を含む水のような液体減速/冷却材は有用な仕事を
発生させるために内部で発生した熱を抽出するべく炉心の燃料集合体を通して上方に圧送される。
【0023】
核分裂プロセスを制御するため、多数の制御棒58が燃料集合体40の所定の位置にある案内シンブル管46内を往復運動可能である。詳説すると、上部ノズル48に付随して設けられる燃料棒クラスタ制御機構60は、内部にねじ穴を切られた円筒形ハブ部材62と、半径方向に延びる複数のアーム64とを備え、制御棒58を案内シンブル管44内で垂直方向に移動させることにより燃料集合体40の核分裂プロセスを全て周知の態様で制御するものである。
【0024】
前述したように、燃料棒を支持するグリッドセルの側壁と燃料棒の被覆の表面との間の接触領域の設計は、被覆を傷つけることなく有害な振動を発生させないように燃料棒を保持する十分な力が確実に得られるようにするために重要である。従来より、スペーサグリッド内の燃料棒の支持は、2つの方向の各々において、垂直方向に離隔した2個のディンプルと、これらと対向する1個のばねとにより6点接触支持構造が得られる構成により行われる。この思想には多くの変形例があるが、フレッチングにより惹き起される燃料棒の破損に対する一貫した抵抗性を備えた設計を見出すことは困難であることがわかっている。最近の流れループ試験によると、同一平面上での支持、即ち、所与のグリッドセル内の同一の軸方向高さでの支持はフレッチングに対する抵抗性が良好な燃料棒支持システムを提供することがわかっている。さらに、所与のセル内に6つより多い接触点があるとフレッチングに対してさらに大きなマージンが得られることが理論的に証明されている。本発明は、図3−14に示すような種々の実施例を有し、燃料棒同一平面支持システムを維持しながら1個のグリッドセル内で8個の接触点を与えるものである。1個のシリーズの実施例において、ベースとなるストラップが地震/LOCA(冷却材喪失事故)の目的のためにグリッド構造の強度を提供する一方、固着したばねは燃料棒支持構造を与える。別シリーズの実施例において、本発明の割りばねはベースとなるストラップの一体的部分である。かくして、本発明はベースとなるストラップと一体的な割りばねと、ベースとなるストラップに固着されるか該ストラップにより捕捉される別個の割りばねとの2個の主要なカテゴリーに再分割することができる。本発明の各実施例は同一の基本的な割りばね構成を利用するものである。
【0025】
本発明の思想は2個の主要なコンポーネント、即ち、グリッドセルの壁28を形成するベースストラップ12/14と、ベースストラップ12−14とは別個であるが、それに固着されるかそれと一体的な割りばね26とを利用する。本発明の各実施例は図3に示す同一の基本的な割りばね26を利用するが、図9及び14に関連して説明するばね設計における幾つかの変形例が存在する。図3は、卵箱状になるように直交するストラップ12及び14を互いに差し込むためのスリット30を除き中実のベースストラップ12/14を示す。図3に示す実施例では、燃料棒を支持するセルの壁上のばねは、ばね26の上部及び下部32においてセルの壁28に抵抗溶接される。ばね26の中央の細長い垂直スリット38は上方溶接部32の下方に離隔した点から下方溶接部32の上方に離隔した場所まで延びるが、この垂直スリットは燃料棒支持セル内に突出するばねの中央の実質的な部分にわたって延びる。かくして、中央の垂直スリット38はばね中央を垂直方向に延びる部分を、水平及び垂直の両方向において丸みを帯びて燃料棒を1個のばねにつき2個の点で接触して支持する2個の結合部34に分割する。ベースストラップ全体を使用して地震/LOCA負荷を支持することができるため、この構成を大きな圧縮強度を与える。図4は、ベースストラップ12/14の頂部及び下部を切り欠いてノッチ66を形成することで、ストラップ12/14の両側において背中合わせの特徴部分26を32で一緒に溶接できるため、ばねがノッチ66の間の壁28の垂直方向部分の間に捕捉される本発明の別の実施例を示す。この実施例は圧力降下を減少させ、軟らかいばね構造を提供するが、その理由は溶接されたばね構造が装荷時に延びることができることができるからである。
【0026】
図5は、ベースストラップ12/14を切り取って細長いスロット68を形成した別のベースストラップ構成を示す。スロット68はばね部分26を32において一緒に溶接するのを可能にし、これはまた図4に示したのと同様に軟らかいばね構造を可能にする。図5に示す実施例は、混合翼を固着する場所を提供し、図4に示す構成よりも大きい圧縮強度を与えるため望ましい。これらのばねは図5に示すように隣接するセルの対向ばねかまたは図4に示すベースストラップの何れかに抵抗溶接されたものとして示されているが、機械的連結、例えばリベットまたはボルトによる他の固着手段も使用可能であることを理解されたい。
【0027】
図6は、4つの壁全ての割りばね26がその内部で支持される燃料棒36を同一平面上の8個の接触点で支持する燃料棒支持セルを示す。しかしながら、図6に示す8個の接触点による支持は好ましいものであるが、図14に関連して説明するように割りばね26をディンプルと組み合わせて使用することが可能であること、また、割りばねの組み合わせもまた使用できることを理解されたい。例えば、割りばね26を2個の対向する壁の上で使用し、それ以外の2つの壁の上で1個の割りばね及びそれと対向する1つまたは複数のディンプルを使用することが可能であるが、図6に示す8個の接触点による支持が好ましい。図7は図6に示す8個の接触点による支持を示す平面図であり、図8はばねの結合部34の表面が2つの方向において丸みを帯びているためばねの結合部が燃料棒36と点接触する態様を示す側面図である。
【0028】
図9は、中央のスリット38が結合部34の中央領域の上方及び下方で拡大されて窓形の切欠き70を形成するばね26の別の実施例を示す。中央のスリット38はばねの中央部分を延びて2個の横方向に延びる脚部72を画定するが、これらの脚部は互いに対向し、壁28からさらに離れたばね部分を形成することにより燃料棒との2個の接触場所を提供する。横方向に延びる脚部72は結合部34を回転可能にしてさらに軟らかいばねを提供する。図3−5及び9に示す実施例は、従来の2個のディンプルとばねの構成の代わりに各々が燃料棒を同一平面上で支持する点で同じである。また、これらの思想はそれぞれ図7及び8に示す点接触支持を可能にする2つの方向での曲率半径を有する。
【0029】
図10−13は、割りばね26が図3−9に示すようなベースストラップに固着された別個のばねではなくてベースストラップ12/14と一体的である同じ思想の異なる変形例を示す。図10は、燃料棒36が内部に支持された1個の燃料棒支持セル16を示す斜視図である。同一平面の割りばね26は、セルの壁28の下半分からセル16内に延び、セル壁の上半分にわたって方向を逆転して隣接する燃料棒セル16内に延びる。割りばねはグリッドの壁28に壁底部、中間高さの点及び壁頂部で繋がる。図11は図10に示す実施例の平面図であるが、1つの壁28の正面図を図12で示す。スロット74は圧力降下を減少させ歪みを解放する作用がある。図13は側面図であり、2個の隣接する燃料棒支持セル16内へ延びる割りばね26を示す。前の実施例と同様に、結合部34は両方の方向において曲率半径を有する。図10−13に示す実施例は製造が簡単になるが、その理由はこれらの設計では少数の部品で済み、3つの厚さの材料を採用しないため圧力降下が少ないからである。この構成はまた、グリッドと燃料棒との間に同一平面上の8個の接触点を与える。この構成によると、燃料棒の支持は隣接するグリッドセル上の異なる高さ点で維持され、これが圧力降下をさらに減少させる助けになる。しかしながら、このストラップは、その高さが両方のばねを含む必要があるため、図3−9に示す設計より高くしなければならない。
【0030】
図14は、伝統的な「2個のディンプルと1個のばね」の思想を取り入れた割りばねを採用する別の構成を示す。他の実施例と同様に、ばねの結合部34は点支持を与えるため2つの方向において丸みを帯びており、同一平面上ではないがディンプルも丸みを帯びて
いて、8個の点での支持を与える。
【0031】
本発明の燃料棒支持設計思想は、伝統的な「2個のディンプルと1個のばね」による燃料棒支持システムと比較して多数の利点を提供する。例えば、本発明の設計思想では、流れにより誘起される振動時に、伝統的な「2個のディンプルと1個のばね」の構成によって燃料棒が回転方向で拘束されるのではなくて、燃料棒に回転を可能にする枢動点を与える。これにより、振動エネルギーが「2個のディンプルと1個のばね」の構成の回転抵抗を受けるのではなくて燃料棒はそのエネルギーを放散することができる。さらに、セルの中間で分割することにより2個のばねが実質的にセルの各側において燃料棒を支持することができる。これにより、所与のセルにおいて燃料棒は8個の点で支持される。この8個の接触点で燃料棒を支持するシステムは、燃料棒がグリッド平面において直交方向に運動できる量を制限するためグリッドセルの実効サイズを制限するのに役立ち、これによりフレッチングマージンがさらに増加する。さらに、燃料棒の軸に沿うばねの曲率半径は、燃料棒が従来型ばねまたはディンプルの端縁部のような滑らかでない端縁部に突き当たらずに済み、かくしてこの設計の耐フレッチング性が増加する。ばね上の曲面だけでなく接触点が2個あることにより、燃料棒装着時の燃料棒上のかじり傷が少なく、また引っ掻き傷が軽微なものとなる。幾つかの設計にとってディンプルの突起性は問題であり、一般的に、摩耗傷からディンプルの表面は完全に平坦でないことがわかっている。本発明の燃料棒支持部分の曲面性により、支持構造が燃料棒と垂直でないという懸念がなくなる。
【0032】
ばねを固着したベースストラップを用いると製造プロセスが有意に単純化される。従来型ストラップの多くは非常に複雑な成形部分を有する。成形される部分が高い比率のストラップは寸法安定性の維持が容易でないという傾向がある。本発明の設計思想によると、ベースストラップだけでなく別個のばねも製造及び点検が容易な単純な成形部分である。製造プロセスは、ベースストラップの材料とばねの材料とを同時に型に供給した後に、1つの連続プロセスとして穿孔し溶接する漸進型打抜きプロセスによりさらに単純化することが可能である。ベースストラップを使用すると、地震/LOCAを考慮する際のグリッドの圧縮強度がさらに増加する。別個のばねの材厚は所望のばね剛性を得るように最適化することができる。さらに、図4及び5に示す思想はばねの剛性を減少する手段を提供するため、燃料棒装着時におけるかじり傷及び燃料棒の引っ掻き傷が最小限に抑えられる。別個のばねは、ベースストラップとばねの間の異なる膨張特性を利用するべく、異なる合金、異なる粒子方向または異なる処理(即ち、冷間加工量の増加)の材料から作製することが可能である。膨張率の相違は、高燃焼度時グリッドと燃料棒のギャップを最小限に抑えるように利用可能であるから有利である。図9に示す実施例の場合、ばねの剛性は他の実施例とは異なる機構で得られるが、その理由はばねの結合部が回転可能であるため燃料棒の接触表面が移動して軟らかいばねが得られるからである。ベースストラップと一体的なばね(図10−13)の場合、部品はただ1個であるから製造がさらに単純化される。
【0033】
本発明を特定の実施例につき詳細に説明したが、当業者はそれらの詳細事項に対する種々の変形例及び設計変更が本願の開示全体に照らして想到されることがわかるであろう。従って、図示説明した特定の実施例は例示的なものであって本発明の範囲を限定する意図はなく、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲及び任意且つ全ての均等物の幅を与えられるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと、
平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと直交関係に、正規の格子パターンを形成するように整列配置された平行離隔関係にある第2の複数の細長いストラップとより成り、
隣接する一組4個のストラップの交差点は一部が燃料棒を支持するセルを画定し、各セルの境界を画定する第1及び第2のストラップの各々はセルの壁を形成し、
燃料棒を支持するセルの少なくとも1つの壁はセル内に延びる垂直方向に細長いばねを有し、垂直方向に細長いばねはセル内に最も延びる部分を2個の垂直方向の結合部に分離する垂直方向の割れ目を有し、結合部のセル内に最も延びる部分は燃料棒を同一平面上の2個の接触点で支持するように2つの方向で丸みを帯びている原子燃料集合体グリッド。
【請求項2】
燃料棒を支持するセルの各壁は同一の高さの垂直方向に延びるばねを有し、燃料棒が同一平面上の8個の接触点で支持される請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項3】
垂直方向に細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成されており、ばねの垂直方向の上端部及び下端部において壁に固着されている請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項4】
垂直方向に細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成されており、前記ストラップはその壁に上方及び下方の開口を有し、前記上方及び下方の開口を介してばねが別の燃料棒を支持する隣接セル内へ反対方向に延びる第2のばねに固着されている請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項5】
壁の前記上方及び下方の開口は垂直なスロットである請求項4の原子燃料集合体グリッド。
【請求項6】
壁の前記上方及び下方の開口はストラップの頂部及び底部にあるノッチである請求項4の原子燃料集合体グリッド。
【請求項7】
各結合部は互いの方へ向かって横方向に延びる脚部を有し、各脚部は互いに接触せず、セル内へさらにわずかに延びて、対応のセルを貫通する燃料棒と脚部上の点で接触する請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項8】
セル内へ延びるばねの下方部分は壁のほぼ中間の高さでストラップに繋がった後、隣接するセル内へ反対方向に延びる請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項9】
垂直方向のスリットはばねの頂部または底部まで延びない請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項10】
燃料棒を支持し内部へばねが延びるセルの対向壁は、ばねに対向するようにセル内へ延びる少なくとも1個のディンプルを有する請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項11】
平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと、
平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと直交関係に、正規の格子パターンを形成するように整列配置された平行離隔関係にある第2の複数の細長いストラップとより成り、
隣接する一組4個のストラップの交差点は一部が燃料棒を支持するセルを画定し、各セルの境界を画定する第1及び第2のストラップの各々はセルの壁を形成し、
燃料棒を支持するセルの少なくとも1つの壁はセル内に延びる垂直方向に細長いばねを有し、垂直方向に細長いばねはセル内に最も延びる部分を2個の垂直方向の結合部に分離する垂直方向の割れ目を有し、結合部のセル内に最も延びる部分は燃料棒を同一平面上の2個の接触点で支持するように2つの方向で丸みを帯びている、少なくとも1つのスペーサグリッドを有する原子燃料集合体。
【請求項12】
燃料棒を支持するセルの各壁は同一の高さの垂直方向に延びるばねを有し、燃料棒が同一平面上の8個の接触点で支持される請求項11の原子燃料集合体。
【請求項13】
垂直方向に細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成されており、ばねの垂直方向の上端部及び下端部において壁に固着されている請求項11の原子燃料集合体。
【請求項14】
垂直方向に細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成されており、前記ストラップはその壁に上方及び下方の開口を有し、前記上方及び下方の開口を介してばねが別の燃料棒を支持する隣接セル内へ反対方向に延びる第2のばねに固着されている請求項11の原子燃料集合体。
【請求項15】
壁の前記上方及び下方の開口は垂直なスロットである請求項14の原子燃料集合体。
【請求項16】
壁の前記上方及び下方の開口はストラップの頂部及び底部にあるノッチである請求項14の原子燃料集合体。
【請求項17】
各結合部は互いの方へ向かって横方向に延びる脚部を有し、各脚部は互いに接触せず、セル内へさらにわずかに延びて、対応のセルを貫通する燃料棒と脚部上の点で接触する請求項11の原子燃料集合体。
【請求項18】
セル内へ延びるばねの下方部分は壁のほぼ中間の高さでストラップに繋がった後、隣接するセル内へ反対方向に延びる請求項11の原子燃料集合体。
【請求項19】
垂直方向のスリットはばねの頂部または底部まで延びない請求項11の原子燃料集合体。
【請求項20】
燃料棒を支持し内部へばねが延びるセルの対向壁は、ばねに対向するようにセル内へ延びる少なくとも1個のディンプルを有する請求項11の原子燃料集合体。
【請求項1】
平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと、
平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと直交関係に、正規の格子パターンを形成するように整列配置された平行離隔関係にある第2の複数の細長いストラップとより成り、
隣接する一組4個のストラップの交差点は一部が燃料棒を支持するセルを画定し、各セルの境界を画定する第1及び第2のストラップの各々はセルの壁を形成し、
燃料棒を支持するセルの少なくとも1つの壁はセル内に延びる垂直方向に細長いばねを有し、垂直方向に細長いばねはセル内に最も延びる部分を2個の垂直方向の結合部に分離する垂直方向の割れ目を有し、結合部のセル内に最も延びる部分は燃料棒を同一平面上の2個の接触点で支持するように2つの方向で丸みを帯びている原子燃料集合体グリッド。
【請求項2】
燃料棒を支持するセルの各壁は同一の高さの垂直方向に延びるばねを有し、燃料棒が同一平面上の8個の接触点で支持される請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項3】
垂直方向に細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成されており、ばねの垂直方向の上端部及び下端部において壁に固着されている請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項4】
垂直方向に細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成されており、前記ストラップはその壁に上方及び下方の開口を有し、前記上方及び下方の開口を介してばねが別の燃料棒を支持する隣接セル内へ反対方向に延びる第2のばねに固着されている請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項5】
壁の前記上方及び下方の開口は垂直なスロットである請求項4の原子燃料集合体グリッド。
【請求項6】
壁の前記上方及び下方の開口はストラップの頂部及び底部にあるノッチである請求項4の原子燃料集合体グリッド。
【請求項7】
各結合部は互いの方へ向かって横方向に延びる脚部を有し、各脚部は互いに接触せず、セル内へさらにわずかに延びて、対応のセルを貫通する燃料棒と脚部上の点で接触する請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項8】
セル内へ延びるばねの下方部分は壁のほぼ中間の高さでストラップに繋がった後、隣接するセル内へ反対方向に延びる請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項9】
垂直方向のスリットはばねの頂部または底部まで延びない請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項10】
燃料棒を支持し内部へばねが延びるセルの対向壁は、ばねに対向するようにセル内へ延びる少なくとも1個のディンプルを有する請求項1の原子燃料集合体グリッド。
【請求項11】
平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと、
平行離隔関係にある第1の複数の細長いストラップと直交関係に、正規の格子パターンを形成するように整列配置された平行離隔関係にある第2の複数の細長いストラップとより成り、
隣接する一組4個のストラップの交差点は一部が燃料棒を支持するセルを画定し、各セルの境界を画定する第1及び第2のストラップの各々はセルの壁を形成し、
燃料棒を支持するセルの少なくとも1つの壁はセル内に延びる垂直方向に細長いばねを有し、垂直方向に細長いばねはセル内に最も延びる部分を2個の垂直方向の結合部に分離する垂直方向の割れ目を有し、結合部のセル内に最も延びる部分は燃料棒を同一平面上の2個の接触点で支持するように2つの方向で丸みを帯びている、少なくとも1つのスペーサグリッドを有する原子燃料集合体。
【請求項12】
燃料棒を支持するセルの各壁は同一の高さの垂直方向に延びるばねを有し、燃料棒が同一平面上の8個の接触点で支持される請求項11の原子燃料集合体。
【請求項13】
垂直方向に細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成されており、ばねの垂直方向の上端部及び下端部において壁に固着されている請求項11の原子燃料集合体。
【請求項14】
垂直方向に細長いばねは該ばねが延びるストラップとは別個に形成されており、前記ストラップはその壁に上方及び下方の開口を有し、前記上方及び下方の開口を介してばねが別の燃料棒を支持する隣接セル内へ反対方向に延びる第2のばねに固着されている請求項11の原子燃料集合体。
【請求項15】
壁の前記上方及び下方の開口は垂直なスロットである請求項14の原子燃料集合体。
【請求項16】
壁の前記上方及び下方の開口はストラップの頂部及び底部にあるノッチである請求項14の原子燃料集合体。
【請求項17】
各結合部は互いの方へ向かって横方向に延びる脚部を有し、各脚部は互いに接触せず、セル内へさらにわずかに延びて、対応のセルを貫通する燃料棒と脚部上の点で接触する請求項11の原子燃料集合体。
【請求項18】
セル内へ延びるばねの下方部分は壁のほぼ中間の高さでストラップに繋がった後、隣接するセル内へ反対方向に延びる請求項11の原子燃料集合体。
【請求項19】
垂直方向のスリットはばねの頂部または底部まで延びない請求項11の原子燃料集合体。
【請求項20】
燃料棒を支持し内部へばねが延びるセルの対向壁は、ばねに対向するようにセル内へ延びる少なくとも1個のディンプルを有する請求項11の原子燃料集合体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−169899(P2011−169899A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−29598(P2011−29598)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(501010395)ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー (78)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29598(P2011−29598)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(501010395)ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー (78)
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