説明

創傷治療のためのポンプ及びシステム

生体内又は生体表面の治療部位から流体物質を汲み出すためのポンプで、3つのコンパートメントを包含する。治療部位において、又はその付近において創傷カバー内部に負圧を生成させるためにモータ駆動式ポンプエレメントが設けられており、また、このポンプエレメントに駆動力を提供するためのモータが第1コンパートメントに設けられている。ポンプエレメントは第2コンパートメントに包含され、治療部位から汲み出された液体を捕集するための容器に包含又は統合される。第2コンパートメントは第1コンパートメント及び/又は前記第3コンパートメントに着脱可能に接続され、第3コンパートメントは第1コンパートメント及び/又は第2コンパートメントに着脱可能に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、創傷からの流体の除去のための、従ってまた、創傷治癒のための負圧システム、すなわち吸引システムに関する。このようなシステムは、囲いを形成すべく生体の創傷周囲に貼着できるカバー、及び、前記囲いにおける負圧と周囲スペースの空気圧の間に圧力差をもたらすべく前記囲いと連通するポンプを包含してよい。
【背景技術】
【0002】
創傷からの流体排出が組織成長を促進し、それによって治癒時間の短縮を容易にすることが判明した。治療は数年間実施され、創傷に吸引を施すための多様な治療装置が開発されてきた。特許文献1は、トラッピング剤を入れたキャニスタを使用する真空乾燥器について記述し、特許文献2は、携帯使用を促進するハウジングの中にキャニスタとポンプを配置した、例えば衣服の上に、又はベルトに通して装着できる携帯型治療装置を開示している。
【0003】
この周知の装置では、創傷カバーが生体の皮膚に密封的に止着されるので、創傷の周囲に囲いが形成される。カバーはポンプに接続され、吸引が施される。吸引が、囲いからの滲出液を受容器に強制的に追いやる。
【0004】
特許文献3は、創傷内空部に気密シールを施すために、創傷内空部の中に配置された有孔パッドと、このパッドの上に締着された気密包帯を包含する組織治癒を刺激するシステムを開示している。導管の近位端が包帯に接続可能である。導管の遠位端が負圧源に接続可能であり、その負圧源は、携帯型ハウジングの中に収納された電気ポンプであっても吸引壁であってもよい。負圧を加えている間、創傷側から吸引された滲出液を保持するために、キャニスタが導管に沿って位置決めされる。キャニスタの満杯状態を検出するために、第1の疎水フィルタがキャニスタの開口部に位置決めされる。創傷から引き出された滲出液によるシステムの処置不可能な部分の汚染を防ぐために、第2の疎水フィルタが第1の疎水フィルタと負圧源の間に位置決めされる。悪臭蒸気の減少を助長するために、臭気フィルタが第1の疎水フィルタと第2の疎水フィルタの間に位置決めされる。携帯型ハウジングをベッドレールや静脈内液支持極などの定置物に締着できるようにする締着手段が供給される。開放創の治癒を更に促進し、刺激するために、時間全体にわたって圧力を自動的に発生させる手段が提供される。電池寿命を延長させ、患者運動性を改善するために、ポンプ駆動周波数を変更する手段、及び、携帯型電源を管理する手段が提供される。
【0005】
固体も液体も気体も汲むポンプは、代表的に、固体だけ、液体だけ又は気体だけを汲むポンプより複雑であり、そのような複合型ポンプの方がコストは高くなる。システムの単純さとコストの最小化はしばしばリンクしており、コストの最小であることが一般のヘルスケアにおいて高く評価されることから、創傷の治療に適していると同時にできる限りシンプルであるポンプを使用することが望ましい。代表的には、真空型創傷治癒システムが各患者又は各ユーザにおいて限られた時間使用され、使用後は、別のユーザが使用できるようにシステムを取り外すのが普通である。こうして、異なる多くのユーザが1つのシステムをその寿命の間使用することはあり得る。
【0006】
マルチユーザタイプの創傷治療用ポンプシステムでは、ユーザ間の相互汚染を回避しなければならない。
【特許文献1】米国特許第6,648,862号明細書
【特許文献2】国際公開第97/18007号明細書
【特許文献3】国際公開第03/018098号明細書
【特許文献4】欧州特許第0620720号明細書
【特許文献5】国際公開第03/057070号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の好ましい実施例の1つの対象は、製造コストならびに相互汚染の危険を最小化する改良型創傷治癒システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、下記のものを包含する、生体内又は生体表面の治療部位から流体物質を汲み出すためのポンプを提供する。
・ 第1、第2及び第3のコンパートメント、
・ 治療部位において、又はその付近において創傷カバー内部に負圧を生成させるためのモータ駆動式ポンプエレメント、
・ ポンプエレメントに駆動力を提供するためのモータ(このモータは前記第1コンパートメントに包含さ、ポンプエレメントは前記第2コンパートメントに包含される)、
・ 治療部位から汲み出された液体を捕集するための容器(この容器は前記第3コンパートメントに包含又は統合される)。
ここで、第2コンパートメントは第1コンパートメント及び/又は第3コンパートメントに着脱可能に接続され、第3コンパートメントは第1コンパートメント及び/又は第2コンパートメントに着脱可能に接続される。
【0009】
第2の態様において、本発明は、下記のものを包含する、生体内又は生体表面の治療部位から流体物質を汲み出すためのポンプを提供する。
・ 創傷カバー、
・ 第1、第2及び第3のコンパートメント、
・ 治療部位において、又はその付近において創傷カバー内部に負圧を生成させるためのモータ駆動式ポンプエレメント、
・ ポンプエレメントに駆動力を提供するためのモータ(このモータは前記第1コンパートメントに包含され、ポンプエレメントは前記第2コンパートメントに包含される)、
・ 治療部位から汲み出された液体を捕集するための容器(この容器は前記第3コンパートメントに包含又は統合される)、
・ 創傷を第1コンパートメント、又は、好ましくは第2又は第3コンパートメントに接続するための導管。
ここで、第2コンパートメントは第1コンパートメント及び/又は第3コンパートメントに着脱可能に接続され、第3コンパートメントは第1コンパートメント及び/又は第2コンパートメントに着脱可能に接続される。
【0010】
よって、本発明は、液体を捕集するための容器とポンプエレメントがその交換又は清浄のために着脱可能に取り付けられたポンプ及びシステムを提供するものであることが、容易に察知されるであろう。上で述べた通り、3つのコンパートメントが設けられているおかげで、容器は、ポンプエレメントを取り外すことなく、又は、ポンプエレメントを取り替えることなく、交換しても空にしてもよい。ポンプエレメントは容器と比べて相対的に高価なコンポーネントを構成するので、本発明は、容器を取り替えなければならない場合にポンプエレメントの取り替えが要求されないという意味で費用のかからないポンプ及びシステムを提供する。
【0011】
本発明の好ましい実施例では、第1コンパートメントが駆動ユニット、すなわち、ポンプエレメントをポンプ動作させるために要求されるエレメントとコンポーネントを収容するユニットを構成することが理解されるであろう。下で詳述する通り、ポンプエレメントは、第1コンパートメントを第1コンパートメント及び/又は第3コンパートメントに取り付けた時に駆動コンポーネントと接続され、1つの駆動体を形作ってよい。
【0012】
ここで使用される通り、用語“ポンプエレメント”及び“ポンプヘッド”は、汲み出された物質及び/又は気体がポンプ動作中に通流するようなエレメントを表す。よって、用語“ポンプエレメント”及び“ポンプヘッド”は、この文脈において通常、ポンプエレメント又はポンプヘッドを駆動するための駆動エレメントを含まない。用語“ポンプ”及び“負圧を加える手段”は、ポンプエレメント又はポンプヘッドを駆動する駆動エレメントを含む、ポンプ動作を行うポンプ又は何らかのポンプ構造を表す。
【0013】
本文脈において、第1、第2及び/又は第3のコンパートメントは、ポンプのハウジングの部分々々を構成する、又は部分々々を含むものと理解されたい。よって、好ましくは、コンパートメントがポンプのハウジングを構成すべく組み立てられ、ポンプのハウジングの外壁を構成する時、各コンパートメントが少なくとも1つの壁部分を有する。各コンパートメントの内部に、容器、ポンプキャビティ、モータケーシングなど1つ以上のサブコンパートメントが設けてあってよい。
【0014】
コンパートメント同士を互いに着脱可能に取り付けることは、多くの異なる方法で実行できる。例えば、コンパートメント同士を互いに着脱可能に締め付けるためのラッチ及び/又はロック構造を含む機械式係合手段を設けてよい。加えて、又は、その代わりに、磁気手段を設けてよい。
【0015】
ポンプエレメントは、チューブの流れ横断面の連続的な収縮と膨張により負圧を加える蠕動エレメントを包含してよく、その収縮と膨張は、例えば、チューブの外表面に作用する1つ以上の突出部分を付けた回転可能なエレメントによって実現でき、それによって、チューブの流れ横断面は連続的に収縮、膨張させられる。あるいは代わりに、ポンプは、ポンプキャビティを連続的に収縮、膨張できるようにし、それで、ポンプキャビティの入口と出口にそれぞれ一方弁が設けられるようにすべく配置されたピストン又はダイアフラムなど、少なくとも1つの往復可能なエレメントを包含してよい。
【0016】
あるいは代わりに、ポンプエレメントは、例えばピストン又はダイアフラムを包含してよく、これにより、第1コンパートメントは、ポンプエレメントを往復させる、又はポンプ動作を起こさせるのに必要なエレメントを包含してよい。好ましくは、ポンプエレメントと駆動ユニットの間に液密シール又は気密シールが設けられており、これで、気体及び/又は液体が駆動ユニットに進入することが防止される。例えば、ピストン又はダイアフラムを包含するポンプヘッドが壁仕切りに対して周囲を密封してよい。これにより、駆動ユニットの汚染が回避され、又は、駆動ユニットの汚染の危険が減少させられる。よって、ポンプを別の患者で使おうとする時、代表的に容器を付けた第3コンパートメントは取り替えられるので、ポンプを使用する異なる患者同士の間で、第2コンパートメントのポンプヘッドだけ滅菌する必要がある。あるいは代わりに、第2コンパートメントは使い捨てであってよく、この場合は、ポンプを一患者から別の患者に移動させる時に第2コンパートメントを交換すればよい。
【0017】
第1、第2及び第3のコンパートメントは、様々な構成で配置してあってよい。例えば、これらのコンパートメントはほぼ矩形の横断面を有し、第2コンパートメントの第1の表面が第1コンパートメント及び/又は第3コンパートメントの一表面と面一であってよい。第2コンパートメントの第1の表面と反対側の第2の表面が、第1コンパートメント及び第3コンパートメントの他の表面と面一であってよい。あるいは代わりに、コンパートメントはほぼパイ形又は弧形であってよい。例えば、各コンパートメントが約120゜の角度にまたがるパイ形エレメント又は弧形エレメントを形成し、これで、各コンパートメントが他の2つのコンパートメントと接触する形であってよい。都合よく、第2コンパートメントは第1コンパートメントに直接取り付けられ、こうして、第2コンパートメントが第1コンパートメントに取り付けられることにより、ポンプエレメントは第1コンパートメントのモータドライブと駆動目的で協働できるようになる。
【0018】
安全策として、コンパートメントは、第3コンパートメントが第1コンパートメント及び第2コンパートメントから外されている時だけ、第2コンパートメントを第1コンパートメントから外すことができるように構成してあってよい。これで、装置が治療部位から液体及び他の物質を汲み出している間、ポンプエレメントが外されるのは回避できる。一実施例では、第3コンパートメントが第2コンパートメントに取り付けられている時、第2コンパートメントを第1コンパートメントから引き外すためのラッチが第3コンパートメントで覆われている。別の実施例では、例えば1つ以上のスイッチ及び/又は発光ダイオードを含む電子制御手段が配置され、第3コンパートメントが正しい位置にあるか否か検出し、あれば、第2コンパートメントが外されるのを防ぐ働きをする。
【0019】
ポンプは、ポンプエレメントを通して気体だけを汲み、及び/又は、ポンプエレメントを通して気体と液体を汲むように構成してあってよい。第1の代替実施例では、容器は、液体と気体を容器に入れるための少なくとも1つの入口、及び、気体を容器からポンプエレメントに移すための少なくとも1つの出口を有し、その入口と出口は容器とポンプエレメントに関してポンプエレメントの上流で液体が気体から分離されるように配置されている。このような実施例では、ポンプは更に、ポンプエレメントを通して汲み出された気体をポンプから逃がす気体出口を包含する。この実施例では、創傷から汲み出された流体が、また場合によっては、固体物質もポンプに進入することが少なくともほとんど防止され、これにより、ポンプの摩耗やポンプの閉塞の危険が回避される。
【0020】
他の代替実施例では、ポンプエレメントは、液体と気体をポンプエレメントに入れるための少なくとも1つの入口、及び、液体と気体をポンプエレメントから出すための少なくとも1つの出口を有し、ここで、ポンプエレメントのための出口が容器に連結されており、これにより、ポンプエレメントを通して汲み出された液体が容器に運ばれる。このような実施例では、ポンプは更に、ポンプエレメントを通して汲み出された気体をポンプから逃がす気体出口を包含する。この実施例は、ポンプエレメントの閉塞が危険でない用途に好適である。
【0021】
上の記述から理解される通り、ポンプエレメントは、好ましくは第2コンパートメントに統合してあってよい。好ましくは、ポンプエレメントの往復運動により収縮、膨張させられるポンプキャビティも、第2コンパートメントに完全に統合されている。これにより、汲み出された物質が、ポンプの駆動コンポーネントを収容する第1コンパートメントに進入し、汚染するのを防止することが可能となる。
【0022】
気体出口は、どのコンパートメントに設けてあってもよいが、ポンプの駆動コンパートメントを収容する第1コンパートメントの汚染を回避するために、気体出口を第2又は第3コンパートメントに設けておくことが好ましい。1つ以上のフィルタが下で述べる通り設けてあってよい。
【0023】
ポンプエレメントがポンプヘッドを包含し、これを通して治療部位からの気体及び/又は液体がポンプ作動中に汲み出される実施例では、液密シール及び/又は気密シールが好ましくはポンプヘッドと第1コンパートメントの間に設けられており、これで、気体及び/又は液体が第1コンパートメントに進入することは防止される。シールは、例えばポンプエレメントにより提供され、例えばダイアフラム又はピストンにより構成され、第2コンパートメントを密封するものであってよく、これで、第2コンパートメントが第1コンパートメント及び/又は第3コンパートメントと動作結合した時、そのポンプキャビティは密封され、汲み出された物質が第2コンパートメントから第1コンパートメントへ逃げるは防止されることになる。あるいは代わりに、ポンプエレメントは、第2コンパートメントの中に入れられたチューブの流れ横断面の連続的な収縮と膨張により負圧を加える蠕動エレメントを包含してよい。チューブの収縮と膨張は、例えば、チューブの外表面に作用する1つ以上の突出部分を付けた回転可能なエレメントによって実現でき、このような回転可能なエレメントが第1コンパートメントの中に包含され、又は、第1コンパートメントの中の駆動コンパートメントにより駆動される。
【0024】
創傷カバー内部の負圧を検出するための感圧エレメントが設けてあってよい。あるいは代わりに、又は、これに加えて、容器内部の負圧を検出するための感圧エレメントが設けてあってよい。このような感圧エレメントをポンプモータの動作を制御するコントロールユニットに接続し、所望の負圧が治療部位で確実に維持されるようにしてよい。一実施例では、感圧エレメントが第1コンパートメントに設けてあってよい。これで、大抵の実施例において使い捨てである第2コンパートメント及び第3コンパートメントは、感圧エレメントの存在するにより、無駄に高価なものとはならない。
【0025】
感圧エレメントが第1コンパートメントに設けられている場合、感圧エレメントは、少なくとも部分的に第2コンパートメントを通って延びる圧力導管の一端又はその付近に配置してあってよく、これで、別個の外部導管又はチューブが第1コンパートメントに進入する必要はなくなる。これにより、組み立てるべき部品の数を減らすことができ、ポンプの操作は容易になり、第1コンパートメントの汚染の危険は減少する。
【0026】
圧力導管は、第2又は第3コンパートメントの容器の中に、又は圧力入口の中に開いていてよい。後者の場合、圧力入口は治療部位、例えば創傷カバーで覆われた創傷に接続してあってよく、その場合は、感圧エレメントが治療部位にかかる圧力を検出する。同様に、圧力がシステムの別の部分で検出されてもよい。前者の場合、感圧エレメントは容器内部の圧力を検出する。容器内部の圧力は、治療部位にかかる圧力に等しくてよい、すなわち、少なくともそれを代表する圧力であってよい。
【0027】
他の実施例では、感圧エレメントは第2コンパートメントに設けられている。
【0028】
ポンプは、更に、下で更に詳述する通り、圧力センスエレメントの気体及び/又は液体による汚染を確実に防止するための気密及び/又は液密のバリヤを包含してよい。
【0029】
本発明の装置及びシステムには、流体入口と気体出口を包含する分離手段が設けてあってよく、この分離手段の気体出口にポンプヘッドが接続され、このポンプヘッドが第1コンパートメントに着脱可能に取り付けられ、これで、使用時、分離手段の流体入口が例えば導管を介して創傷カバーに接続されてよい。
【0030】
分離手段は、創傷から汲み出された流体を、汲み出された物質がポンプに進入する前に気体から分離する。これで、創傷から汲み出された流体が、また場合によっては、固体物質もポンプに進入することが少なくともほとんど防止され、これにより、ポンプの摩耗やポンプの閉塞の危険が回避される。その上、液体及び固体物質を汲み出さないポンプであれば、より単純であってよく、ポンプ内部の粘性抵抗が小さいゆえ、少しの駆動力しか要求せず、液体及び/又は固体物質を汲み出すポンプより低いコストで製造できる。
【0031】
負圧を加える手段は、創傷から液体を取り去るのに十分な圧力差、例えば、周囲雰囲気に相対して10〜600mmHgの範囲内の負圧を生成させてよい。
【0032】
創傷カバーを取り替えた時、真空漏れを防ぐために創傷部位の上にほぼ気密のシールが形成されてよい。創傷の上にカバーをかぶせることでそのようなシールを形成してよい。そのカバーが創傷部位を囲む健康な皮膚に貼り付く一方、創傷自体の上の気密シールを維持する。この文脈において、“気密”及び“ほぼ気密”は、少なくともポンプ作動中、創傷にかかる負圧が維持され得ることを意味するものと理解されたい。
【0033】
創傷カバーは、閉塞タイプ又は半閉塞タイプ、例えば蒸気を通すが、水を通さないタイプであってよい。本発明の一実施例では、創傷カバーは、半透過性カバーシートを付けたことによって半透過性タイプである。これに関して、用語“半透過性”は水蒸気を通す性質を意味する。一実施例では、創傷カバーは、創傷カバーの表面の一部又は全部に施された接着剤によって正しい位置に保たれる。本発明の別の実施例では、創傷カバーは、システムに加えられた負圧によって正しい位置に保たれる。
【0034】
負圧を加えるための手段を2つの着脱可能な部分として設けることで幾つかの利点が得られる。ポンプヘッドは、代表的に主として機械部品を包含し、他方、駆動ユニットはより高い感度のエレメント、例えば電動機、電子回路を包含し、場合によってはコントロールユニットも包含する。ポンプヘッドで行われるのは、負圧又は均一な真空の生成である。部分々々は互いに脱着可能であるので、また、駆動ユニットは、潜在的にウィルス又は細菌を運ぶ空気又は滲出物との接触に関して絶縁されているので、駆動ユニットは、ウィルス又は細菌を考えられる下記のシステムユーザに転送する危険なしに再使用することができる。これで、本発明に係るシステムは、システムの主要部分、すなわち、負圧を加えるための手段の駆動ユニットが再使用できるので、コスト利点をもたらす。駆動ユニットがその電子コンポーネントのために最も費用のかかる部分であるので、このコスト利点は、システムの全体コストに関連して大いに価値がある。
【0035】
ポンプヘッドと駆動ユニットは、互いに脱着可能に取り付けられている。ポンプヘッドと駆動ユニットの間の接続は、幾つかの異なる方法で設けてあってよい。当業者であれば、このような接続を作るのに適した方法を容易に察知するであろう。
【0036】
本発明の好ましい実施例では、ポンプヘッドは使い捨てである。脱着可能のポンプヘッドは使い捨てで、取り替えるでき、駆動ユニットの方は、滲出物とも潜在的にウィルス又は細菌を運ぶ空気とも接触しなかったので、再使用できる。ポンプヘッドは、主として単純な機械部品を包含するので、相対的に費用のかからない材料から製造することが可能であり、これにより、ポンプヘッドのコストは低減できる。
【0037】
ポンプヘッドは、例えば、創傷又は治療部位から流体を捕集するためのキャニスタ又は容器に統合してあってよい。容器は、例えば、治療部位への流れ通路を作る導管につながる入口を含んでよい。加えて、容器は、ポンプの入口につながる出口を含んでよい。本発明の第1の形態の装置では、また、本発明の第2の形態のシステムでは、ポンプの出口が、好ましくは気体排出口につながり、これを通して汲み出された気体が周囲雰囲気へ排出されてよい。本発明の第3の形態のポンプでは、また、本発明の第4の形態のシステムでは、ポンプの上流で液体が気体から分離される場合、ポンプの出口が気体排出口につながってよく、また、ポンプの上流で液体が気体から分離されない場合、ポンプの出口が液体を捕集する容器につながってよい。この場合、気体排出口は、好ましくはポンプの上流、例えば捕集容器に設けられている。
【0038】
ここで、用語“上流”及び“下流”は、流れ方向を基準とした場所を表すのに使用される。よって、第1の場所又はエレメントが第2の場所又はエレメントの上流にあると言えば、これは、液体及び/又は気体の流れが第2の場所又はエレメントに到達する前に第1の場所又はエレメントに到達することを意味する。同様に、第1の場所又はエレメントが第2の場所又はエレメントの下流にあると言えば、これは、液体及び/又は気体の流れが第1の場所又はエレメントに到達する前に第2の場所又はエレメントに到達することを意味する。
【0039】
捕集容器は、ポンプのための駆動エレメントを収容する駆動ユニットと接続又は統合してあってよい。捕集容器は、好ましくは、駆動ユニットに着脱可能に取り付けられた使い捨てエレメントである。
【0040】
上で述べた通り、容器は、分離手段の統合部分として設けることも、分離手段と組み合わされる別個のユニットとして設けることもできる。容器は、創傷から滲出物を捕集し、収容するために設けてあってよい。容器は、異なるユーザの異なる要望に応えられるように幾つかの異なるサイズで設けてあってよく、例えば、高い可動性と快適性を望むユーザのための小容量の容器、及び、大量の滲出物の捕集及び/又は寝たきりのユーザによる使用に適した大容量の容器であってよい。容器は、当業者が容易に察知する通り、幾つかの形で設けてあってよい。例えば、相対的に剛性の箱形の容器であっても、運動可能なユーザの運動に合わせられるように曲げたり折り畳んだりすることのできる相対的に薄肉の材料からなる平形の容器であってもよい。
【0041】
本発明の一実施例では、分離手段は、流体入口と流体出口と気体出口を付けた細長い分離部分を包含する。
【0042】
本発明の別の実施例では、分離手段は導管の統合部分である。
【0043】
好ましくは、1つ以上のフィルタが気体排出口の中又は上流に設けられている。1つ以上のフィルタは、ポンプヘッドの手前、すなわち、その上流に設けてあってよく、及び/又は、その出口に設けてあってもよい。例えば、臭気(脱臭)フィルタ及び/又は細菌フィルタが設けてあってよい。臭気フィルタ及び/又は細菌フィルタを含めて他の何らかの代替フィルタ、例えば1つ以上の活性炭(カーボン)フィルタが設けてあってよい。フィルタは疎水性及び/又は疎油性であってよい。一実施例では、フィルタはポンプヘッドの手前に位置する。フィルタは、液体又は固体粒子がポンプヘッドに進入するのを防ぐために分離手段の気体出口に、又はその付近に位置してよい。一実施例では、フィルタは、疎水性で、好ましくは疎油性でもある細菌フィルタである。従って、水性及び油性の液体がフィルタ表面で玉になる。通常の使用の間、十分な量の空気がフィルタを通流するので、フィルタに重大な圧力降下が生じることはない。
【0044】
ポンプヘッド(すなわちポンプエレメント)がポンプの駆動コンポーネントに脱着可能に取り付けられている実施例では、ポンプヘッドを新品と交換することも、清浄又は滅菌の目的で一時的に除去することも容易にできるので、フィルタは、ポンプヘッドの下流に設けてあってよい。従って、ポンプヘッドがポンプの駆動コンポーネントに向けて密封されていれば、ポンプヘッドを故意に汚してよく、フィルタの故障の場合でも、ポンプに駆動コンポーネントは危険にならない。
【0045】
分離手段に包含されてよい容器は、流体及び気体を容器に進入させる少なくとも1つの入口、及び、容器から気体を出し、負圧を加えるための手段に向かわせる少なくとも1つの出口を含んでよい。このような実施例では、入口と出口は、容器を基準として液体がポンプの上流で気体から分離されるように配置してあってよい。ポンプを通して汲み出された気体を外へ逃がす気体出口が、ポンプに包含されるか、ポンプに接続されることが望ましい。
【0046】
容器は、例えば、創傷から汲み出された液体を吸収するための吸収剤エレメントを包含してよい。吸収剤エレメントは、例えば、ゲル化剤、乾燥剤、又は、いわゆる超吸収剤粒子(SAP)を包含してよい。
【0047】
ポンプヘッドは、使い捨てであっても、再使用可能、すなわち、多数患者に使用できるものであってもよい。例えば、ポンプヘッドと分離手段が1つのユニットに包含又は統合されていてよい。そこで、分離手段が汲み出された液体を捕集するためのキャニスタ又は容器を包含する実施例では、ポンプは、例えば容器を空にするか交換する目的でこの容器と共に駆動ユニットから取り外される。脱着可能で使い捨てのポンプヘッドは分離手段と統合されて1つの部分を形成するので、ポンプヘッドと分離手段は、本発明に係るシステムを使用した後、同時に処分することができる。これは、システムの取り扱いをより単純にすることになるので、有利である。同時に、それは、システムを使用した後、異なる患者又はユーザに負圧を加えるための手段のポンプヘッドを誤って再使用する危険は減少させられる。
【0048】
ポンプエレメント又はポンプヘッドが再使用可能である場合、それは滅菌できることが好ましい。例えば、ポンプヘッドは放射線で滅菌できるものであってよい。別の実施例では、ポンプヘッドはオートクレーブで滅菌できる。別の実施例では、ポンプヘッドは蒸気で滅菌できる。一実施例では、ポンプヘッドは酸化エチレンを使って滅菌してよい(ETO滅菌)。なお別の実施例では、ポンプヘッドは洗浄により滅菌できる。ポンプヘッドならびに駆動ユニットは再使用できる。脱着可能に取り付けられる2つの部分を設けることにより、ウィルス又は細菌を運ぶ可能性のあるポンプヘッドを、ウィルス又は細菌と接触しなかった駆動ユニットから分離することが可能である。ポンプヘッドを駆動ユニットから外した後、ポンプヘッドは、残留するウィルス又は細菌が全部除去されるように適宜清浄してよい。好ましい実施例では、ポンプヘッドは主として機械部品を包含し、精緻な電子品を包含しない。従って、ポンプヘッドは、その機能性を損なうことなく、内側と外側の両方から効果的に清浄でき、その上で再使用できるようになる。
【0049】
ポンプヘッドは、容器に永久的に統合してあってよく、すなわち、着脱不能にしてあってよく、又は、容器に着脱可能に統合してあってもよい。
【0050】
駆動ユニットは電動機を包含してよい。電動機は、従来の電力プラグに接続してあってよく、電池パックに接続してあってもよく、又は、電力プラグと電池パックの組み合わせに接続してあってもよい。電池パックは、システムを運動可能なユーザの治療に使用する時、最も有利であろう。
【0051】
装置のコントロールユニットは、例えば、電動機を制御するための手段を包含してよい。例えば、電動機の動作が、創傷部位において、分離手段において、創傷カバーを分離手段に接続する導管において、又は、他のどこか適当な場所において求められた圧力に基づいてコントロールユニットにより制御されてよい。電動機は、ポンプを間欠的に作動させるべく間欠的に運転可能であってよく、又は、可変速度で連続的に運転可能であってもよい。コントロールユニットは、好ましくは駆動ユニットの統合部分である。
【0052】
容器内の液体がポンプエレメントに進入するのを防ぐための構造がポンプエレメントの圧力側に設けてあってよい。このような構造は、1つ以上のサイフォントラップ、バルブ、又は他の一方向機構などの機械的バリヤ手段を含んでよい。
【0053】
気体を周囲雰囲気に逃がすための気体出口が設けてあってよく、この気体逃がし出口がフィルタを具備してよい。
【0054】
本発明に係るシステムでは、創傷カバーは半透過性カバーシートを包含してよい。例えば、カバーシートは、創傷からカバーシートの外へ滲み出る液体を通さないが、蒸気を通すものであってよい。
【0055】
スクリーン手段、例えばオープンセル型ポリマーフォームのようなポリマーフォームが創傷カバー内部に設けてあってよい。好適なスクリーン手段が特許文献4で説明されており、その開示内容を参考としてここに組み入れる。あるいは代わりに、滲出物の運搬を許す他の可撓性構造が設けてあってよい。
【0056】
上で述べた通り、システム内の圧力レベルを検出し、その圧力値を前記装置のコントロールユニットに通信するための感圧エレメントが設けてあってよい。感圧エレメントは、創傷カバー内部又はシステムの流体捕集容器内部の圧力レベルを検出すべく配置してあってよい。感圧エレメントが創傷カバー内部の圧力レベルを検出すべく配置されている、すなわち、創傷の位置にある場合、創傷カバーは、二重管腔導管などの多管腔導管を介して捕集室に接続してよい。多管腔導管は、創傷カバー内部に負圧を加えるための第1通路、及び、負圧を感圧エレメントに送るための第2通路を包含してよい。
【0057】
あるいは代わりに、感圧エレメントは創傷カバー内部、又は創傷カバーの位置に設けてあってよく、この場合、感圧エレメントは、例えばワイヤ接続又はワイヤレス接続を通して電子信号を前記デバイスのコントロールユニットに伝送するようになっていてよい。
【0058】
創傷を灌注するための灌注システムが設けてあってよい。好適な灌注システムの1つが特許文献5で説明されており、その開示内容を参考としてここに組み入れる。
【0059】
本発明では、創傷カバーは1つのエンクロージャを形成してよく、ポンプエレメントは、エンクロージャにおける負圧と周囲スペースの空気圧の間に圧力差を設けるべく配置してあってよい。本発明のポンプ又はシステムは反り可能部材を包含してよく、この反り可能部材は、エンクロージャを基準として圧力差が反り可能部材の反りを生じさせるように配置してあってよい。感圧デバイスがエンクロージャの外側に位置し、圧力又は反り可能部材の反りに応答して信号を提供すべく配置されている。反り可能部材は、好ましくは、センサとエンクロージャの間にほぼ気密のバリヤを形成する。
【0060】
従って、反り可能部材は、感圧デバイスをエンクロージャ内の滲出物から分離する。
【0061】
反り可能部材は、その反りによって圧力の測定を容易にするだけでなく、感圧デバイスを滲出物から分離もするので、駆動ユニットの汚染の危険は減少し、感圧デバイスは滅菌なしに数回再使用できる。従って、コストが下げる一方、安全は高まる。好ましくは、反り可能部材は細菌、ウィルス、気体及び液体に対するバリヤを形成する。
【0062】
ポンプは、例えば創傷から汲み出された液体を捕集するための容器を含む少なくとも1つの使い捨て部分、及び、例えばポンプのための駆動コンポーネントを含む少なくとも1つの耐久性ある(すなわち再使用可能な)部分を包含してよい。このような実施例では、好ましくは、感圧デバイスを耐久性ある部分に配置し、反り可能部材を使い捨て部分に配置し、それで、コストと汚染の危険の両方を減少させる。
【0063】
一般に、創傷カバー、反り可能部材、及び、治療中に汚染される可能性のある他のシステムコンポーネントは、使い捨てであってよく、これは、当該コンポーネントが、例えばポンプを作動させる再使用可能な駆動ユニットに相対して短期間使用すべく設計されていることを意味する。
【0064】
反り可能部材は、できればほぼ気密であることが好ましく、それにより、一般にダイアフラムを通して細菌及び滲出物の拡散を防止することが好ましい。反り可能部材は、空気又は他の気体をほとんど通さない不透過性に優れた材料で作ってあってよい。どのポリマーも長期間にわたって気体をまったく通さないわけはないので、ここで使用する用語“不透過性に優れた”は、反り可能部材を使った1回の治療の間の透過が測定上取るに足らぬ程度であることを意味する。反り可能部材は、特に細菌をほとんど通さないものであってよい。細菌は、代表的に約0.2μmの直径を有する。よって、バリヤは、約10の安全係数を持たせて、0.02μmより大きい粒子をほとんど通さないものであってよい。反り可能部材はまた、ウィルスも通さないものであってよく、そこで、単独使用環境と周囲環境の間のバリヤとして働くものであってよい。小サイズ(20〜300nm)であるが、ウィルスは、不透過性の反り可能部材のような固体材料を通過できないであろう。そのような材料の一例が、実験用手袋に使用されるニトリルゴムである。反り可能部材は、可撓性ポリマー材料から作ってあってよい。PE、PP、PVCなどのプラスチック材料が代表的で安価であり、射出成形又はブロー成形に適しているので、これらを選択してよい。反り可能部材はまた、合成ゴム、天然ゴム、ラテックス、ガラス、金属、セラミックなど、熱可塑性エラストマー(TPU、SIS、SBS及びSEBS)、熱硬化性エラストマー又は加硫エラストマーからなるグループから選択された材料で作ってあってもよい。いずれの場合でも、反り可能部材は、上で述べた範囲の圧力差、すなわち10〜600mmHg、又は10〜200mmHgの範囲内の圧力差により反り曲がるように設計してあることが好ましい。
【0065】
反り可能部材の実施例とこれに対する要求についてここで考慮したことは、蠕動ポンプで使用されるチューブ、ダイアフラムポンプで使用されるダイアフラム、又はピストンポンプで使用されるポンプなど、ポンプエレメント(すなわちポンプヘッド)の実施例にも類推によって当てはまる。
【0066】
一般に、反りの原理は下記のものをベースにしてよい。
i)ダイアフラムの弾性膨張、又は
ii)反り可能部材の形状変化、すなわち、例えば材料の弾性曲げなどの曲げ場合による形状変化、又は
iii)反り可能部材の1つのエレメントの別のエレメントに相対する運動。
【0067】
i)について。反りが弾性膨張をベースにする場合、反り可能部材は、
相対的に薄い膜又はダイアフラム、例えば、カプセルにかぶせて伸張させる、又はチューブの開放端にかぶせて伸張させる、又は2つ以上の間隔をあけたディスクにかぶせて伸張させ、それでシリンダなどの中に可撓壁を形成させるバルーン又はダイアフラムを含んでよく、ここで、反り可能部材はエンクロージャと連通する。
【0068】
ii)について。反りが材料の曲げをベースにする場合、反り可能部材は、圧力差をベースにして一方向に膨張、収縮できるベローズ形部材を含んでよく、又は、反り可能部材はブルボン管、すなわち、内部圧力に応じて自らの形状を変える管を含んでよい。
【0069】
iii)について。反りがエレメント同士の相対運動をベースにする場合、エレメントは、“ローリングするダイアフラム”、又はピストン/シリンダ配置、又はチューブ内部の液体ストリングを含んでよい。
【0070】
反りの原理に関係なく、ある一定の圧力差にとっての反りの度合い、すなわち、反りに対する反り可能部材の抵抗の度合いは、選択された材料の性質、反り可能部材の寸法、又は、反りに影響する別個の力をもたらす構造により制御され得る。反りに影響するそのような構造の一例として、ばね、例えば螺旋状に巻かれたコイルばねを設置することができろう。
【0071】
反り可能部材は、下記の二通りの仕方で利用してよい。
a)何ら目立った抵抗なしに反り、単にエンクロージャと感圧デバイスの間の気密バリヤとして働くだけの受動部材として、又は、
b)創傷エンクロージャ内部の圧力と釣り合う反りを見せ、この反りが感圧デバイスを介して検出される能動部材として。従って、この場合の反り可能部材は感圧デバイスも一部である。
【0072】
a)について。反り可能部材は、測定用の導管又はチャンバを介してエンクロージャの反対側で圧力センサに接続される。反り可能部材は、目立った抵抗なしに運動するので、又はほとんど応力なしに反るので、反り可能部材の両側に同じ圧力がかかるような位置を取ることになり、その圧力がバリヤを通して周知の何らかの種類の圧力センサで精確に測定できるようになる。
【0073】
一般に、センサは、問題の種類の圧力差を測定できるどんなタイプのセンサでもよい。例えば、センサは、下記のグループから選択されたエレメントを包含してよい。
・ 歪み計エレメント
・ ピエゾ抵抗エレメント
・ 圧電エレメント
・ ブルボン管
・ マイクロエレクトロメカニックシステム(MEMS又はソリッドステートMEMS)
・ 振動エレメント(シリコンレスポンス)
・ 可変容量エレメント、及び
・ マイクロピラニ真空ゲージ。
【0074】
b)について。感圧デバイスは、エンクロージャの外側に位置してよく、反り可能部材の反りをベースにして信号を提供するようになっている。一般に、感圧デバイスは、寸法、距離、反り、運動、又は力を測定できるどんな種類のものでもよい。
【0075】
適用された感圧原理は、感圧デバイスと反り可能部材の間の接触をベースにしてよい。すなわち接触測定である。又は、それは直接的な接触から独立してよい。すなわち、非接触測定である。
【0076】
接触感圧用の感圧デバイスは、下記のグループから選択されたエレメントを包含してよい。
・ ピエゾ抵抗エレメント
・ 圧電エレメント
・ 振動エレメント(シリコンレスポンス)
・ 可変容量エレメント、及び
・ 機械式反り測定エレメント、例えば
・歪み計エレメント
・直線運動位置センサ
・ポテンショメータ
・力センサ
・力感知レジスタエレメント(FSR)。
【0077】
非接触測定は、下記のものをベースにしてよい。
・ 超音波反射
・ 反射光(赤外線LED/レーザダイオード)
・ 三角測量(赤外線LED/レーザダイオード及び光位置センサ(PSD))。
【0078】
いずれの場合でも、信号は好ましくは、リーダ又はディスプレイを介してエンクロージャ内の負圧を監視し、及び/又は、所望の負圧を提供すべくポンプを制御するのに使用できる電気信号である。
【0079】
圧力センサ又は感圧デバイスのコストは、使い捨てコンポーネントのコストと比べて相対的に高いことが多い。更に、使い捨てセンサは、信号を耐久性ある(再使用可能な)ディスプレイ又はコントロールユニットに転送するための手段と電源を必要とする電子部品を含む。従って、感圧デバイスを反り可能部材から離しておき、それで、反り可能部材を使用後にその都度処分できるようにすることが有利であり得る。従って、反り可能部材は、着脱可能に圧力センサに接続可能であることが好ましいが、又は、例えば、感圧デバイスに相対する反り可能部材の正確な位置決めを容易にするスナップ接続システムを介して、非接触測定デバイスに相対する正確な位置で噛み合うように、又は、接触感知デバイスと噛み合うように配置してあってもよい。正確な測定を確実にするために、接続システムは、反り可能部材の位置がセンサに相対して正確でなければポンプの使用を阻止するように配置してあってよい。
【0080】
一実施例では、反り可能部材は創傷カバーの壁部分を形成し、又は、エンクロージャと連通するエレメントの一部、例えば、エンクロージャから延びるチューブ部分を形成する。
【0081】
反り可能部材は、創傷カバーの一部を形成してよく、又は、エンクロージャと連通する圧力信号導管の壁部分を形成してよい。圧力信号導管は、センサを創傷から遠隔の位置に設置できるようにし、センサは、これによってポンプを作動させるために駆動ユニットに内蔵されてよい。
【0082】
圧力信号導管は、医療用チューブによって形成されても、チューブに埋め込まれてもよい。一実施例では、チューブは幾つかの管腔を形成し、ここで、1つの管腔が圧力信号導管を形成し、別の管腔がドレナージ導管を形成する。多管腔チューブを使用する代わりとして、圧力信号導管とドレナージ導管が個別の医療用チューブによって形成されてよく、また、チューブ同士は、システムのハンドリングを向上させるために、かつ、創傷カバーとポンプと圧力センサの接続を向上させるために結合してよい。部分々々の接続を更に向上させるために、多管腔チューブ又は単管腔チューブは、1回の結合動作でポンプをドレナージ導管に、圧力信号導管をセンサに接続できる結合手段を包含してよい。同様に、減結合は、両チューブについて唯1回の減結合動作で達成してよい。
【0083】
信号導管は、ドレナージ導管と反対に、単に圧力信号を通すだけで、流体を通さないので、滲出物などの液体物質が圧力信号導管に進入すべく処分されることはない。但し、システムの信頼性を高めるため、信号導管はエンクロージャへの入口を形成してよく、この入口が、液体物質や滲出物の信号導管への進入を阻止する分離構造を包含する。分離構造は、例えば可撓性に優れたバリヤ、例えば上で述べた反り可能部材、又は第2の“応力なし”反り可能部材であってよい。
【0084】
迅速かつ精確な伝送を提供し、反り可能部材の反り又は運動を制限するため、圧力信号導管の体積を相対的に小さくする、好ましくはドレナージ導管の体積より小さくすることが好ましい。従って、信号導管は、好ましくはドレナージ導管より小さい横断面積を有してよい。
【0085】
一実施例では、反り可能部材は、測定導管に接続された、ほとんど応力なしで反ることのできる部品であり、感知デバイスは圧力センサである。
【0086】
別の実施例では、反り可能部材は、ほとんど応力なしで反ることのできる部品と、力をもたらすばね構造を包含し、このばね構造は、反り可能部材の不可欠の一体的部分であっても別個のエレメントであってもよく、感知デバイスは非接触型距離センサである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0087】
以下、本発明の実施例を図面に則して詳細に説明する。
【0088】
図1及び2は、本発明に係るポンプの一実施例の2つの垂直平面における横断面図である。デバイスは、3つのコンパートメント、第1コンパートメント101、第2コンパートメント102、及び第3コンパートメント103を包含する。更に下で詳述する通り、第1コンパートメント101は、第2コンパートメント102のポンプエレメントに創傷から滲出物を汲み出させる駆動コンパートメントを収容する。第3コンパートメント103は、創傷から汲み出された液体を捕集するための捕集容器105を包含する。
【0089】
第3コンパートメント103は第2コンパートメント102に脱着可能に取り付けられており、第2コンパートメントの方は第1コンパートメント101に脱着可能に取り付けられている。コンパートメント相互の脱着可能の締着は、例えば、ばね付勢ラッチなどの1つ以上のラッチ、磁気手段、1つ以上のロック、又は、前記手段を組み合わせた何らかの手段により達成してよい。第2コンパートメント102が第1コンパートメント101から不意に外されるのを防止するために、第2コンパートメントをその第1コンパートメント101との脱着可能の結合から解放するためのレリーズスイッチ又はレリーズボタンが、第2コンパートメント102の表面に設けてあってよく、第3コンパートメント103が第2コンパートメント102に取り付けられている時、該表面が当たり、第3コンパートメント103により接近不能にされる。
【0090】
ポンプ作動中に3つのコンパートメントが分離されないようにするために電子コントロールユニットが設けてあってよい。例えば、感圧エレメント132により測定された通りの容器105内部及び/又は創傷における負圧がある一定の閾値より高い場合、第2コンパートメント102及び/又は第1コンパートメント101からの第3コンパートメント103の解放が電子式の磁石又はロックにより不可能にされてよい。あるいは代わりに、ポンプを駆動するモータ116が作動中である場合、又は、ポンプの電源が入っている場合、コンパートメントはコントロールユニットによりインタロックされていてよい。
【0091】
第2コンパートメント102は、この第2コンパートメントの外表面の壁仕切りを形成する往復可能な使い捨てダイアフラム104を含む。ダイアフラム104は、第2コンパートメント102の外表面に対して液密かつ気密の仕方で周囲を密封する。ダイアフラム104の往復により、ポンプキャビティ106は、ポンプ動作を起こさせるべく膨張、収縮させられる。ポンプキャビティ106の入口と出口に、又はその中に、それぞれ第1及び第2の一方弁108、110が設けられている。ポンプキャビティ106が膨張する時、第2の弁110が閉じたままであるのに対し、第1の弁108は開く。ポンプキャビティ106が収縮すると、第1の弁108は閉じ、第2の弁110は開く。
【0092】
第1コンパートメント101は、モータ116に関して偏心で取り付けられた駆動ロッド114に接続された永久ダイアフラム112を収容する。ダイアフラム112は、第1コンパートメント101の外表面部分に周方向で張り付く。好ましい実施例では、ダイアフラム112は第1コンパートメント101の外表面部分も密封し、これにより、第1コンパートメントの外表面部分の清浄が容易になる。加えて、第2コンパートメント102の使い捨てダイアフラム104は、永久ダイアフラム112の外表面部分に対して周方向シールを形成し、これで、2つのダイアフラムの間で中間キャビティ118が囲まれることになる。但し、ポンプ作動中、ダイアフラム104とダイアフラム112は通常、相互間にほとんどギャップを持たずに互いに平らに横たわることを理解されたい。モータが回転運動を生じさせることにより、駆動ロッド114は、そこでまた、ダイアフラム112が往復させられる。ダイアフラム112の往復により、使い捨てダイアフラム104は往復させられ、そこでまた、ポンプキャビティ106は膨張、収縮させられる。
【0093】
ポンプの入口120が第2コンパートメント102を通って延び、第3コンパートメント103の捕集容器105の中へと開く。気体排出用の出口122がポンプの下流に設けられている。出口122はまた、第2コンパートメント102を通って延び、第3コンパートメント103の中へと開く。出口122が通じる、第3コンパートメント103の中のその部分に、臭気フィルタ124と細菌フィルタ126が設けられている。
【0094】
何らかのフィルタがポンプキャビティ106の上流か下流かどちらかで第3コンパートメントに設けられていることが一般に有利である。そこで、第3コンパートメントを交換する時に新しいフィルタを設ける。そうすることにより、第2コンパートメント102の耐久寿命は延長される。
【0095】
ダイアフラム104の往復により作り出されるポンプ動作は、第3コンパートメント103の捕集容器105内部に負圧を提供する。捕集容器105は、ドレナージ導管128を介して創傷(図示なし)に接続され、これにより、負圧が創傷側に生成させられる。第2コンパートメント102と第3コンパートメント103を通って延びる圧力ポートを介して創傷側を感圧エレメント132と接続するために圧力導管130が設けられている。好ましくは、センサ132の上流、すなわち、センサ132と創傷エンクロージャ(図示なし)の間でほぼ気密のバリヤを形成する反り可能部材132*が設けられている。反り可能部材と圧力センサ132は、図1〜28に則して下で述べる通り、埋め込んであってよい。
【0096】
導管128及び130は、都合よく多管腔チューブ、例えば二重管腔チューブにより構成してあってよい。但し、2つの導管のために2つの別個のチューブが設けてあって、圧力導管が第2コンパートメント102の中まで直接延び、又は、第1コンパートメント101の中までも直接延びることも考えられる。但し、圧力センサ132を含めて第1コンパートメント101に収容されたコンポーネントの汚染の危険を減少させるために、圧力は第2コンパートメント又は第3コンパートメントに接続することが好ましい。
【0097】
図3〜6は、図1及び2のポンプの改良実施例を示し、ここで、容器105の頂部から気体が吸引されるのを確実にするために壁136(図3及び4)及び138(図5及び6)が設けられている。
【0098】
図7及び8の実施例では、ドレナージ導管128をポンプ入口120に接続する通路を形成する壁140が第3コンパートメントに設けられている。これにより、液体を含めて創傷から汲み出されたどんな物質も、ポンプキャビティ106を通して汲み出される。そこで、ポンプの出口122は、液体及び気体を第3コンパートメント103の捕集容器105に排出すべく配置されている。この実施例では、臭気フィルタ124と細菌フィルタ126を包含する気体排出口が、捕集容器105を外部と連絡させ、気体を容器から排出できるようにしている。
【0099】
図9は、本発明に係るシステムの第1実施例を示し、ここで、創傷カバー201は、導管202により流体入口203を介して、容器210を包含する分離手段204に接続されている。分離手段は液体を気体から分離し、それで、ほとんど気体だけが気体出口205を通ってポンプヘッド206に向かう。この実施例では、分離された液体と存在し得る固体物質が容器210で捕集される。駆動ユニット208は、システムが負圧を提供するようにポンプヘッド206を駆動する。ポンプヘッド206も、出口207とフィルタ209を包含する。
【0100】
図10は、本発明に係るシステムの第2実施例を示し、ここで、ポンプヘッド206は分離手段204と統合され、1つのユニットを形成する。例えば、ポンプヘッド206は容器210と統合してあってよい。
【0101】
図11は、分離手段204の一実施例の側面斜視図を示す。
【0102】
図12は、図10の分離手段204の底面斜視図を示す。この実施例では、分離手段204は、第2流体入口212、流体出口211、及び第2気体出口213を付けた細長い部分を包含する。流体出口211は、第2流体入口212と第2気体出口213の間に位置する。創傷からの流体が第2流体入口212を通過すると、流体は続いて液体と気体とに分離され、液体は流体出口211を通って容器(図示なし)に入り、気体は気体出口213を通過する。分離は、重力を使って、液体が流体出口211を通って落下する一方、気体が第2気体出口213へと流れ続けるようにして達成できる。
【0103】
図13は、図11の分離手段204の実施例に係る駆動ユニット208、ポンプヘッド206及び容器210の側面斜視図を示す。駆動ユニット208、ポンプヘッド206及び容器210の頂面の中心にある凹部は、図11及び12の分離手段204を収容するために設けられている。ポンプヘッド206は、分離手段の気体出口213に対応するように設けられたポンプ気体入口213’を備えている。容器210は、分離手段204の流体出口211に対応する流体入口211’を備えている。
【0104】
図14は、分離手段204と導管202の別の実施例を示し、ここで、分離手段204と導管202は1つのユニットに組み合わされている。この実施例では、分離手段204と導管202は、遠位セクションに第2流体出口215及び第3気体出口216を包含する1つのチューブとして設けられている。流体を液体と気体に分離する工程は、図11〜13に示した実施例と同様の仕方で行われる。別の実施例では、液体がポンプヘッド206に進入しないようにするために流体入口211’の手前に位置する。
【0105】
図1〜8のポンプ構造は、図9〜14に則して説明したシステムに適用してよいことは、容易に察知されるであろう。
【0106】
図15は、創傷303の周囲に取り付けられ、それでエンクロージャ304を形成する創傷カバー302を包含する吸引システム301を示す。ドレナージ導管305が、エンクロージャ304をポンプ構造(以下、ポンプヘッド306と呼ぶ)に接続し、圧力信号導管307が入口308を介してエンクロージャ304と連通する。圧力信号導管307の軸方向反対側の端309は、エンクロージャ内の滲出物が逃げるのを防ぎ、それでセンサ311を汚染から守る反り可能部材310で密封されている。図15では、反り可能部材とセンサは概略的に描かれているだけである。エンクロージャ304内の圧力と周囲スペース312内の圧力の間の圧力差が、反り可能部材310の反りを生じさせ、センサ311がその反りを検出し、それで圧力差を求める働きをする。センサ311はモータハウジング(以下、駆動ユニット313と呼ぶ)の中に位置し、駆動ユニットは、ドライブ構造314を介してポンプヘッド306を作動させる動力駆動式手段も含む。駆動ユニットは、更に自給式/自家用の携帯型バッテリを包含する。反り可能部材310は、駆動ユニット313に脱着可能に接続でき、そこでまた、センサ311に脱着可能に接続できる。図に描かれた通り、圧力信号導管307はドレナージ導管305より小さい横断面積を有する。
【0107】
排出された液体及び他の滲出物315は、ポンプヘッド306から排出され、貯蔵容器316に入れられ、吸引された気体は、フィルタ317と出口318を通して周囲スペース312へ排出される。フィルタは、周囲環境の細菌汚染を防止し、また、悪臭を防止し得る。
【0108】
図16は、圧力信号導管307が前記センサに取り付けられている状況における反り可能部材319とセンサ320の細部を示す。反り可能部材319はベローズの形を有し、エンクロージャ304内の負圧と周囲スペースの圧力――すなわち、このケースでは大気圧――の間の圧力差に基づいて形を変える。負圧が下がるにつれて、ベローズ形部分は短くなり、減少した長さはセンサ320で感知される。破線は、伸張した状態のベローズ形部分を表し、実線は圧縮された状態を表す。
【0109】
図17aは、エンクロージャに位置する反り可能部材の側面図を示す。番号321は創傷カバー、番号322はエンクロージャ内に位置する吸引ヘッド、番号323は測定カプセル、番号324は測定チューブ、番号325は吸引チューブを指す。図17bは、ベローズ326が圧力差に基づいて反る同じ実施例における測定カプセルの平面図を示す。
【0110】
図18aはリモートセンサ接続を示す。番号327は測定チャンバ、番号328はセンサを指す。図18bは、1つの測定点につながるチューブ接続329を備えた代替実施例を示す。図18a及び18bは反り可能部材を描いているのでなく、単にセンサ配置を描いているだけであることは、容易に察知されるであろう。
【0111】
図19は、測定チューブ332に接続された、シリンダ331の中を運動するピストン330の形の反り可能部材を示す。
【0112】
図20は、圧力差に基づいて測定チューブ334の中を運動する液体ピストン333を示す。
【0113】
図21は、リモートセンサに位置するダイアフラムの形の反り可能部材を示す。番号335は測定チューブ、番号336はダイアフラム337を備えたハウジング、番号338はスナップフィット、番号339は測定チャンバ、番号340はセンサを指す。
【0114】
図22は、センサの正面に位置するベローズの形の反り可能部材を示す。番号341は測定チューブ、番号342はスナップフィット、番号343は測定チャンバ、番号344はセンサを指す。
【0115】
図23は、使い捨てポンプヘッド又は廃物容器の中の反り可能部材を示す。番号345は使い捨てポンプヘッド又は廃物容器、番号346は駆動ユニット、番号347はセンサ、番号348は別個の測定チャンバを指す。
【0116】
図24は、ハウジングをエンクロージャに接続する通路350を包含するハウジング349、ダイアフラム351、ばね押さえ352、ばね353、及びポテンショメータ354を使用する接触測定を示す。ポテンショメータは、ダイアフラムとの直接接触によってこれと噛み合わされ、これによって運動させられる。
【0117】
図25は、接触測定を可能にする代替実施例を示す。この実施例では、使い捨て部分内側の補助ばね355がデバイスの感度を提供し、他方、力の弱い補助ばね353がポテンショメータを反り可能部材に接触させる。これで、2つを噛み合わされる必要なしに、ポテンショメータは運動に追従することになる。
【0118】
図26は、距離センサを使用する非接触測定を示す。番号356はハウジング、番号357はハウジングをエンクロージャに接続する通路、番号358はダイアフラム、番号359はセンサ、番号360はデバイスの感度を提供するばねを指す。
【0119】
図27は、磁気抵抗を使用する非接触測定を示す。番号361はハウジング、番号362はダイアフラム、番号363はハウジングをエンクロージャに接続する通路、番号364はばね、番号365は鉄心、番号366はコイルを指す。
【0120】
図28は、滲出物を捕集する使い捨てキャニスタ又は使い捨て容器の中に位置する反り可能部材を使用する非接触測定を示す。番号367は、滲出物368を入れたキャニスタ、番号369は別個の測定チャンバ、番号370はウィンドウ、番号371はセンサ、番号372は駆動ユニットを指す。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明に係るポンプの実施例の横断面である。
【図2】本発明に係るポンプの実施例の横断面である。
【図3】本発明に係るポンプの実施例の横断面である。
【図4】本発明に係るポンプの実施例の横断面である。
【図5】本発明に係るポンプの実施例の横断面である。
【図6】本発明に係るポンプの実施例の横断面である。
【図7】本発明に係るポンプの実施例の横断面である。
【図8】本発明に係るポンプの実施例の横断面である。
【図9】本発明に係るシステムの実施例の概観図である。
【図10】本発明に係るシステムの実施例の概観図である。
【図11】ポンプ上流で気体と液体を分離するための分離手段の一実施例の側面斜視図である。
【図12】図11の分離手段の底面斜視図である。
【図13】図11の分離手段の実施例に係る駆動ユニット、ポンプヘッド及び容器の側面斜視図である。
【図14】分離手段と導管の別の実施例で、ここで、分離手段と導管は1つのユニットに組み合わされている。
【図15】本発明に係るシステムの概観図である。
【図16】圧力センサと反り可能部材の概観図である。
【図17a】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図17b】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図18a】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図18b】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図19】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図20】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図21】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図22】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図23】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図24】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図25】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図26】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図27】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【図28】反り可能部材とその感知デバイスに相対する位置の一実施例の概観図である。
【符号の説明】
【0122】
101 第1コンパートメント
102 第2コンパートメント
103 第3コンパートメント
104 使い捨てダイアフラム
105 捕集容器
106 ポンプキャビティ
108 第1の一方弁
110 第2の一方弁
112 永久ダイアフラム
114 駆動ロッド
116 モータ
118 中間キャビティ
120 ポンプ入口
122 ポンプ出口
124 臭気フィルタ
126 細菌フィルタ
128 ドレナージ導管
130 圧力導管
132 感圧エレメント
136 壁
138 壁
140 壁
201 創傷カバー
202 導管
203 流体入口
204 分離手段
205 気体出口
206 ポンプヘッド
207 出口
208 駆動ユニット
209 フィルタ
210 容器
211 流体出口
211’ 流体入口
212 第2流体入口
213 第2気体出口
213’ ポンプ気体入口
215 第2流体出口
216 第3気体出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内又は生体表面の治療部位から流体物質を汲み出すためのポンプであって、
・ 第1、第2及び第3のコンパートメント、
・ 治療部位において、又はその付近において創傷カバー内部に負圧を生成させるためのモータ駆動式ポンプエレメント、
・ 前記ポンプエレメントに駆動力を提供するためのモータであって、前記第1コンパートメントに包含され、ポンプエレメントは前記第2コンパートメントに包含されるモータ、
・ 治療部位から汲み出された液体を捕集するための容器であって、前記第3コンパートメントに包含又は統合される容器
を包含し、
前記第2コンパートメントが前記第1コンパートメント及び/又は前記第3コンパートメントに着脱可能に接続され、前記第3コンパートメントが前記第1コンパートメント及び/又は前記第2コンパートメントに着脱可能に接続される
ポンプ。
【請求項2】
前記第3コンパートメントが前記第1コンパートメント及び前記第2コンパートメントから外されている時だけ、前記第2コンパートメントを前記第1コンパートメントから外すことができる、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記容器が、
・ 液体と気体を前記容器に入れるための少なくとも1つの入口、及び、
・ 気体を前記容器から前記ポンプエレメントに移すための少なくとも1つの出口
を有し、
前記入口と出口が前記容器と前記ポンプエレメントに関して前記ポンプエレメントの上流で液体が気体から分離されるように配置されており、
前記ポンプが更に、前記ポンプエレメントを通して汲み出された気体を前記ポンプから逃がす気体出口を包含する、
請求項1又は2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記ポンプエレメントが、
・ 液体と気体を前記ポンプエレメントに入れるための少なくとも1つの入口、及び、
・ 液体と気体を前記ポンプエレメントから出すための少なくとも1つの出口
を有し、
これにより、前記ポンプエレメントの出口が前記容器に接続され、これで、前記ポンプエレメントを通して汲み出された液体が前記容器に運ばれことになり、
前記ポンプが更に、前記ポンプエレメントを通して汲み出された気体を前記ポンプから逃がす気体出口を包含する、
請求項1又は2に記載のポンプ。
【請求項5】
前記ポンプエレメントが前記第2コンパートメントに統合されている、
請求項1〜4のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項6】
前記気体出口が前記第2コンパートメントに設けられている、請求項1〜5のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項7】
前記気体出口が前記第3コンパートメントの中に設けられている、請求項1〜6のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項8】
前記ポンプエレメントがポンプヘッドを包含し、これを通して治療部位からの気体及び/又は液体がポンプ作動中に汲み出される、及び、液密シール及び/又は気密シールが前記ポンプヘッドと前記第1コンパートメントの間に設けられており、これで、気体及び/又は液体が第1コンパートメントに進入することが防止される、請求項1〜7のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項9】
更に、創傷カバー内部の負圧を検出するための感圧エレメントを包含する、請求項1〜8のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項10】
更に、容器内部の負圧を検出するための感圧エレメントを包含する、請求項1〜9のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項11】
前記感圧エレメントが前記第1コンパートメントの中に設けられている、請求項9又は10に記載のポンプ。
【請求項12】
前記感圧エレメントが、少なくとも部分的に前記第2コンパートメントを通って延びる圧力導管の一端又はその付近に配置されている、請求項11に記載のポンプ。
【請求項13】
前記圧力導管が前記容器の中に開いている、請求項12に記載のポンプ。
【請求項14】
前記圧力導管が前記第2コンパートメント又は第3コンパートメントの圧力入口の中に開いている、請求項12に記載のポンプ。
【請求項15】
前記感圧エレメントが前記第2コンパートメントの中に設けられている、請求項9又は10に記載のポンプ。
【請求項16】
更に、前記感圧エレメントの気体及び/又は液体による汚染を防止するためにほぼ気密及び/又は液密のバリヤを包含する、請求項9〜15のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項17】
前記第2コンパートメントが、前記第2コンパートメントを前記第1コンパートメントから外すためのラッチを包含する、及び、前記第3コンパートメントが前記第2コンパートメントに取り付けられている時、前記ラッチが接近不能である、請求項1〜16のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項18】
流体入口と気体出口を包含する分離手段が設けられていて、この分離手段の気体出口に前記ポンプヘッドが接続されており、前記ポンプヘッドが前記第1コンパートメントに着脱可能に取り付けられ、これで、使用時、前記分離手段の流体入口が例えば導管を介して創傷カバーに接続される、請求項1〜17のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項19】
前記ポンプエレメントがダイアフラムポンプを含む、請求項1〜18のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項20】
前記ポンプヘッドが使い捨てである、請求項18に記載のポンプ。
【請求項21】
前記分離手段と前記ポンプヘッドが前記コンパートメントの1つだけに包含される、請求項18〜20のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項22】
前記分離手段と前記ポンプヘッドが前記コンパートメントの異なる2つに包含される、請求項18〜20のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項23】
更にフィルタを包含する、請求項1〜22のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項24】
前記フィルタが前記ポンプヘッドの上流に位置する、請求項23に記載のポンプ。
【請求項25】
前記フィルタが前記ポンプヘッドの出口に位置する、請求項23に記載のポンプ。
【請求項26】
更に、モータを制御するコントロールユニットを包含する、請求項1〜25のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項27】
前記コントロールユニットが前記第1コンパートメントに統合されている、請求項26に記載のポンプ。
【請求項28】
前記ポンプヘッドが再使用可能である、請求項18〜27のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項29】
前記ポンプヘッドが滅菌できる、請求項18〜27のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項30】
前記分離手段が前記容器を包含する、請求項1〜29のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項31】
前記容器が吸収剤エレメントを包含する、請求項1〜30のいずれか1つに記載のポンプ。
【請求項32】
生体内又は生体表面の治療部位から流体物質を汲み出すためのシステムであって、
・ 創傷カバー、
・ 第1、第2及び第3のコンパートメント、
・ 治療部位において、又はその付近において創傷カバー内部に負圧を生成させるためのモータ駆動式ポンプエレメント、
・ 前記ポンプエレメントに駆動力を提供するためのモータであって、前記第1コンパートメントに包含され、ポンプエレメントは前記第2コンパートメントに包含されるモータ、
・ 治療部位から汲み出された液体を捕集するための容器であって、前記第3コンパートメントに包含又は統合される容器、
・ 創傷を第1、第2又は第3のコンパートメントに接続するための導管
を包含し、
前記第2コンパートメントが前記第1コンパートメント及び/又は前記第3コンパートメントに着脱可能に接続され、前記第3コンパートメントが前記第1コンパートメント及び/又は前記第2コンパートメントに着脱可能に接続される
システム。
【請求項33】
更に、システム内の圧力レベルを検出するための感圧エレメントを包含する、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記感圧エレメントが前記創傷カバー内の圧力レベルを検出すべく配置されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記感圧エレメントが前記容器内の圧力レベルを検出すべく配置されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記感圧エレメントが前記コンパートメントの1つに包含又は接続される、及び、前記創傷カバーが多管腔導管を介して前記容器に接続され、前記多管腔導管が、前記創傷カバー内部に負圧を加えるための第1通路、及び、負圧を前記感圧エレメントに送るための第2通路を包含する、請求項33〜35のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項37】
前記感圧エレメントが創傷カバーに包含され、前記感圧エレメントが電子信号を前記デバイスのコントロールユニットに伝送するようになっている、請求項32〜36のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項38】
前記創傷カバーが1つのエンクロージャを形成し、前記ポンプエレメントが、前記エンクロージャにおける負圧と周囲スペースの空気圧の間に圧力差を設けるべく配置されており、更に、前記エンクロージャを基準として前記圧力差が反りを生じさせるように配置された反り可能部材を包含し、前記感圧デバイスが前記エンクロージャの外側に位置し、前記圧力又は前記反り可能部材の反りに応答して信号を提供すべく配置されており、前記反り可能部材が、前記センサと前記エンクロージャの間にほぼ気密のバリヤを形成する、請求項33〜37のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項39】
前記反り可能部材が前記感圧デバイスに着脱可能に嵌合できる、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記反り可能部材が前記感圧デバイスに相対する固定位置において着脱可能に取り付けできる、請求項38又は39に記載のシステム。
【請求項41】
前記反り可能部材が、前記エンクロージャを前記周囲スペースから分離する壁部分を形成する、請求項38〜40のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項42】
前記反り可能部材が、前記エンクロージャと連通する圧力信号導管の壁部分を形成する、請求項38〜41のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項43】
前記圧力信号導管がエンクロージャへの入口を形成し、この入口が、液体物質の前記圧力信号導管への進入を阻止する分離構造を包含する、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記エンクロージャと前記ポンプの間の連通を作るドレナージ導管を包含し、このドレナージ導管と前記圧力信号導管が単一の細長い部材の中に形成される、請求項42又は43に記載のシステム。
【請求項45】
前記圧力信号導管が前記ドレナージ導管より小さい横断面積を有する、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記ポンプエレメントが前記第1、第2及び第3のコンパートメントの1つの中に入れられており、該コンパートメントが更にセンサ、及び、前記反り可能部材を前記センサに動作位置において固定するための結合構造を含む、請求項38〜45のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項47】
前記結合構造が更に前記ドレナージ導管を前記ポンプに接続するようになっている、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記結合構造が、単独ユーザ対話により前記ドレナージ導管と前記圧力信号導管の両方をポンプハウジングから切り離すようになっている、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
所望の負圧を提供すべく前記圧力信号に基づいてポンプを制御する制御構造を包含する、請求項38〜48のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項50】
前記反り可能部材が可撓性ばね手段により第1の方向に押される、請求項38〜49のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項51】
前記反り可能部材が、前記周囲スペースの圧力より低い負圧の間の差によって前記第1の方向と反対の方向に押される、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記創傷カバーが半透過性のカバーシートを包含する、請求項32〜51のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項53】
更に、前記創傷カバー内部に滲出物の運搬を許す可撓性構造を包含する、請求項32〜52のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項54】
前記可撓性構造がポリマーフォームを包含する、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記ポリマーフォームがオープンセル型ポリマーフォームを包含する、請求項53に記載のシステム。
【請求項56】
更に、創傷を灌注するための灌注システムを包含する、請求項32〜55のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項57】
更に、請求項1〜31のいずれかのポンプのいずれかの特徴を有する、請求項32〜56のいずれか1つに記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17a】
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【図17b】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2009−525085(P2009−525085A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552678(P2008−552678)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際出願番号】PCT/DK2007/000051
【国際公開番号】WO2007/087808
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(500085884)コロプラスト アクティーゼルスカブ (153)
【Fターム(参考)】