説明

創外固定器

【課題】 骨折等した骨同士を人体外部から固定する創外固定器の小型軽量化を図ることを課題とする。
【解決手段】 創外固定器を、パイプ状の本体10と、前記本体の側面に、本体を構成するパイプの中心線に平行に並ぶように複数設けられる、所定の創外固定用のピンが嵌合固定できる大きさを有する孔からなる第一嵌入孔群20と、前記本体の、前記第一嵌入孔群20が配列される側面に対向する側面に、本体を構成するパイプの中心線に平行に並ぶように複数設けられる、前記所定の創外固定用のピンが嵌合固定できる大きさを有する孔からなる第二嵌入孔群30とにより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨折等した骨同士を人体外部から固定する創外固定器に関する。
【背景技術】
【0002】
骨折治療における骨同士の固定方法の一つとして創外固定が施されることがある。創外固定は、固定する骨同士のそれぞれにピンを人体外部から刺して固定し、それぞれのピンを創外固定器により固定するものである。従来の創外固定器は、各ピンを挟持固定するクランプ部とクランプ部同士を連結固定する連結干とから構成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の創外固定器はクランプによりピンを挟持固定する構造であり、クランプのサイズダウンに限界があるために小型軽量化が難しく、特に小さな骨片同士を保持することが困難な場合が多い。
本発明は、このような問題に鑑みて、創外固定器としてより小型軽量化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、パイプ状の本体と、前記本体の側面に、本体を構成するパイプの中心線に平行に並ぶように複数設けられる、所定の創外固定用のピンが嵌合固定できる大きさを有する孔からなる第一嵌入孔群と、前記本体の、前記第一嵌入孔群が配列される側面に対向する側面に、本体を構成するパイプの中心線に平行に並ぶように複数設けられる、前記所定の創外固定用のピンが嵌合固定できる大きさを有する孔からなる第二嵌入孔群とを有する創外固定器である。このような構成により、第一嵌入孔群の一つの孔と、第二嵌入孔群の一つの孔とにより、固定する一方の骨に刺された創外固定用のピンを固定し、第一嵌入孔群の別の孔と、第二嵌入孔群の別の孔とにより、固定する他方の骨に刺された創外固定用のピンを固定することで、骨同士を固定する。
請求項2に記載の発明は、前記創外固定器において、前記第一嵌入孔群と前記第二嵌入孔群とは、前記中心線に対称に設けられるものである。
請求項3に記載の発明は、前記創外固定器において、前記本体の側面に、前記第一嵌入孔群が配列される線分と、前記第二嵌入孔群が配列される線分とを含む平面に対してほぼ垂直方向に設けられる複数のネジ穴である固定ネジ穴群を有するものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の創外固定器において、前記固定ネジ穴群は、前記中心線を挟んだ両側面に設けられるものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、パイプ状の本体に孔を設けた簡易な構造によりクランプを使用する場合に比較して小型軽量を図ることができる。
請求項2に記載の発明は、前記第一嵌入孔群と前記第二嵌入孔群とが対称に形成されることで、パイプの中心線方向に対してピンをほぼ垂直に保持することができる。
請求項3に記載の発明は、固定ネジ穴群を構成する適当なネジ穴にネジを係合させて、第一嵌入孔群を構成する孔と第二嵌入孔群を構成する孔とにより固定されているピンに対して側面から押圧することで、よりピンを強く固定することができる。
請求項4に記載の発明は、前記ネジ穴を両側面に設けることで、ピンを挟持するように
ネジにより押圧することができるので、より強固に固定することができ、また、第一嵌入孔群及び第二嵌入孔群を構成する孔の縁部が傷むことを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1に実施形態1に係る創外固定器Xの斜視図を示し、図2に創外固定器Xの縦断面図を示す。創外固定器Xの本体10はステンレス製の円形断面を持つパイプ状であり、長さは60mm、直径約6mm、壁厚約1mmに形成されている。そして、本体10の側面に中心線に平行に並ぶ複数の孔(第一嵌入孔20a)からなる第一嵌入孔群20が形成されている。さらに、第一嵌入孔群20に本体10の中心線に対して対称に、複数の孔(第二嵌入孔30a)からなる第二嵌入孔群30とが形成されている。第一嵌入孔20aおよび第二嵌入孔30aは共に、創外固定に用いられるピンが嵌合し固定できる大きさを有する。ここでは、直径約1mmのピンが嵌合できるような大きさに形成されている。また、第一嵌入孔群20および第二嵌入孔群30では、それぞれ、約4mmの間隔をもって第一嵌入孔20a、第二嵌入孔30が配列されている。
【0007】
次に、以上のような構成を有する創外固定器Xの使用方法について説明する。まず、固定する骨同士のそれぞれの部位に、創外固定用のピンPを刺してピンPを骨に固定する。ピンPは必要に応じて、それぞれの骨片に対して複数固定される。なお、ピンPを固定する際には、創外固定器Xにおける各嵌入孔群の孔の間隔に合うように予め位置決めをしておく。その後、創外固定器Xの第一嵌入孔群20、および、第二嵌入孔群30の中から適当な第一嵌入孔20a、第二嵌入孔30aを選び、各ピンPを後端から差し込んでピンP同士を創外固定器Xにより固定することで作業が完了する。なお、創外固定器Xの本体が中空のパイプ状であるので、必要に応じて図3の一部拡大縦断面図に示すように、ピンPを斜めに刺して固定することもできる。
【0008】
(実施形態2)
図4に実施形態2に係る創外固定器Yを示し、図5に創外固定器Yの縦断面図を示す。本創外固定器Yの実施形態1に係る創外固定器Xとの相異点は、第一嵌入孔群20と第二嵌入孔群30が設けられた本体10の側面上の線分を、本体10の中心線を中心に約90度回転させた位置にピン固定用のネジ穴群40を設けた点である。即ち、ネジ穴群40を構成するネジ穴の方向は、第一嵌入孔群20が配列される線分と第二嵌入孔群30が配列される線分とを含む平面に垂直な方向となる。また、ネジ穴群40は、中心線を挟んで対称に形成されており、ここでは各ネジ穴の呼び径は1.5mmに形成され、ネジ穴間は、約4mmに形成されている。
【0009】
次に、このような構成を有する創外固定器Yの使用方法について説明する。まず、固定する骨同士のそれぞれの部位に、創外固定用のピンPを刺してピンPを骨に固定する。ピンPは必要に応じて、それぞれの骨片に対して複数固定される。なお、ピンPを固定する際には、創外固定器Yにおける各嵌入孔群の孔の間隔に合うように予め位置決めをしておく。その後、創外固定器Yの第一嵌入孔群20、および、第二嵌入孔群30の中から適当な第一嵌入孔20a、第二嵌入孔30aを選び、各ピンを後端から差し込んでピンP同士を創外固定器Yにより固定する。さらに、それぞれのピンPについて、ピンPの位置に合致する相対する2つのネジ穴40aにセットスクリューを係合させて、嵌入されたピンPを側面から挟持するようにセットスクリューを締め付けることでピンPを固定し作業が完了する。このようにネジによりピンPを固定するのでピンPをより強固に固定することができ、また、ピンPの大きさが嵌入孔の大きさより多少小さくてもピンPを固定することができる。
【0010】
なお、上記各実施形態でのべた本体10の材質は、アルミニウム、カーボン、合成樹脂等種々の材質を採用でき、また、形状も円形断面の他、正方形状や三角形状等の種々の断面形状を用いることができ、本体にカーブを設けたりすることもできる。また、本体や第一嵌入孔、第二嵌入孔等の大きさも治療対象として想定される部位に応じて適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態1に係る創外固定器の斜視図である。
【図2】本実施形態1に係る創外固定器の縦断面図である。
【図3】実施形態1に係る創外固定器の一部拡大縦断面図である。。
【図4】実施形態2に係る創外固定器の斜視図である。
【図5】実施形態2に係る創外固定器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0012】
X、Y 創外固定器
10 本体
20 第一嵌入孔群
20a 第一嵌入孔
30 第二嵌入孔群
30a 第二嵌入孔
40 ネジ穴群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状の本体と、
前記本体の側面に、本体を構成するパイプの中心線に平行に並ぶように複数設けられる、所定の創外固定用のピンが嵌合固定できる大きさを有する孔からなる第一嵌入孔群と、
前記本体の、前記第一嵌入孔群が配列される側面に対向する側面に、本体を構成するパイプの中心線に平行に並ぶように複数設けられる、前記所定の創外固定用のピンが嵌合固定できる大きさを有する孔からなる第二嵌入孔群と
を有する創外固定器。
【請求項2】
前記第一嵌入孔群と前記第二嵌入孔群とは、前記中心線に対称に設けられる請求項1に記載の創外固定器。
【請求項3】
前記本体の側面に、前記第一嵌入孔群が配列される線分と、前記第二嵌入孔群が配列される線分とを含む平面に対してほぼ垂直方向に設けられる複数のネジ穴である固定ネジ穴群を有する
請求項1又は2に記載の創外固定器。
【請求項4】
前記固定ネジ穴群は、前記中心線を挟んだ両側面に設けられる請求項3に記載の創外固定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−75268(P2007−75268A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265199(P2005−265199)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(505195421)日本ライズ・メディカル有限会社 (3)
【Fターム(参考)】