説明

力学量センサシステム

【課題】 連続的にセンシングが必要な力学量センサシステムにおいて、そのセンサの有無や個体識別や正常動作診断、温度変化に対する補償、複数個のセンサ管理を可能とする力学量センサシステムを提供すること。
【解決手段】 圧電基板上に形成された櫛歯電極及び反射器を有する表面弾性波共振子からなるセンサ素子101とアンテナ120からなる振動センサ102が測定領域内の被測定物に設置されており、さらに振動センサ102に搬送波信号を無線送信して振動センサ102からの反射波を監視する質問器103が設置されている。質問器103は基準となる搬送波周波数の信号を発生する基準信号発生部104、その搬送波信号の基準の周波数を中心に連続的かつ周期的に周波数を変化させた信号を発生させる周波数変調部105、アンテナ108、信号受信部109、信号処理部110、判定出力部111からなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面弾性波(SAW)を利用した無線通信可能なパッシブ型力学量センサを用いた力学量センサシステムに関し、特に連続的に監視が必要な力学量センサを常時モニタリング可能な力学量センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電基板上に櫛歯電極及び反射器を形成して得られる表面弾性波共振子の共振周波数などが温度や圧力、加速度、振動などの外部からの力学量によって変化することを利用したセンサが多く開発されており、特許文献1などに示されている。
【0003】
また、特許文献2には上記センサ素子にアンテナを設置し、外部からの無線電波のエネルギー供給によってセンサの駆動とセンシング結果の受信を可能にした装置が示されている。この装置ではセンサ素子ごとに反射器の設置位置を変化させ、その遅延時間からセンサ素子の識別を行っている。
【0004】
特許文献3には具体的応用として車のタイヤ空気圧センサが示され、標準圧力空洞との差を測定して出力されるように構成され、さらに個別の反射識別パルス列が発生するように構成されてセンサ素子の識別が可能となっている。
【0005】
しかし、上記の特許文献2および3のセンサ素子では、アコースティックエミッション(AE)波と呼ばれ、可聴領域よりも高い周波数で持続時間が非常に短い構造物のクラックによる振動などをとらえることを目的としたセンサとしては十分な性能は得られない。
【0006】
そこで先に、本願の発明者らは、小型化でAE波に対しても十分な感度を有するセンサを目的とした振動検知システムを発明し、特許出願(特願2006−197678)を行った。
【0007】
この先の出願の振動検知システムの構成を図6に示し、このシステムに使用するセンサ素子の断面構造を図7に、そのセンサ素子内の圧電基板上に形成されたSAW共振子の櫛歯電極及び反射器の配置図を図8にそれぞれ示す。
【0008】
図6に示されるように、この振動検知システムは、アンテナ10およびセンサ素子20を備えた振動センサ100と、この振動センサ100を無線電波により駆動し、センシング結果を受信する質問器200からなる。振動センサ100はRFID(Radio Frequency Identification)技術を応用した小型化を可能とするパッシブ型力学量センサである。
【0009】
図7に示されるように、センサ素子20内のSAW共振子30は、板状の圧電体基板32と、該圧電体基板32上に形成された櫛歯電極34及びそのSAW伝搬方向の両側に近接して設けられた反射器37及び38とを備えて、支持基板22及び蓋部材23から構成される筐体内で振動可能となるように支持基板22により圧電体基板32の一端を支持されている。すなわち、SAW共振子30の圧電体基板32は、図7に示されるように、支持基板22により片持ち梁状に支持され、その支持部の根元に近いところに櫛歯電極34が位置しているので、圧電体基板32の振動部の振動を櫛歯電極34近傍に効率よく集中させることができる。
【0010】
SAW共振子30の櫛歯電極34から引き出された接続部35,36(図8)は、半田バンプ25,26を介して支持基板22上のパターン(図示せず)に接続され、更に支持基板22内に形成されたビアホール(図示せず)を介して端子27に接続されている。端子27はアンテナ部に接続される。
【0011】
以上説明した電気的経路により、アンテナ10にて受信した受信波は、センサ素子20内部の櫛歯電極34まで供給される。なお、アンテナ10と櫛歯電極34は、その間の経路を含めて、インピーダンスマッチングが図られているので、アンテナ10で受信された受信波はすべて櫛歯電極34に供給される。ここで反射器37及び38は、アンテナ部10を介して受信した受信波を櫛歯電極34内及び櫛歯電極34の近傍に閉じ込めるための受信波閉じ込め手段を構成するものである。反射器37及び38はエネルギー効率を上げるためのものであり、反射波の強度に余裕がある場合には、いずれか一方または両方とも省略することができる。
【0012】
受信電波の周波数が上記SAW共振子の共振周波数に一致したときは受信波はSAW共振子30にエネルギーが閉じ込められるので反射されて再びアンテナ10に戻る反射量は少ないが、周波数がずれた場合はその分だけ反射強度が増大して反射され、アンテナ部10から反射波として振動センサ100の外部に反射されることとなる。圧電体基板32に振動が加わるとSAW共振子30の共振周波数が変化することにより、反射波にはその振動周波数に対応したサイドローブが発生し、その反射波中のサイドローブを質問器200で検出することにより、振動が検出される。
【0013】
圧電体基板32は、検知対象である対象物の機械振動における特徴的な周波数帯域に共振周波数が属するようにして選択された振動子形状を有している。例えば、一定の厚みを有する圧電体基板32の場合には、片持ち梁の振動部の長さを適当な値に選択して、圧電体基板32の共振周波数を上記「特徴的な周波数帯域」に合わせることができる。これにより検知対象物の振動が圧電体基板32で増幅され継続される。例えばガラスの破壊現象などに伴う振動検出に適用するような場合、ガラスの破壊現象に伴う振動自体は2ms程度の間しか持続しないのに対して、ガラス破壊に伴う振動に特徴的な周波数帯域に属するような周波数と圧電体基板32における共振周波数とを合わせることで、ガラス破壊に伴う振動自体が止まったあとであっても、圧電体基板32の振動を2msよりも長めに持続させることができ、振動検知の確度が向上する。
【0014】
更には、複数の振動センサ100を用い、各振動センサ100のSAW共振子30の共振周波数を互いに異ならせておけば、振動センサの固体識別をすることができる。即ち、質問器200にて振動検知の判定処理をする際に、いずれの振動センサ100で振動を検知したのか、周波数特性の違いにより特定することができる。
【0015】
【特許文献1】特開平8−166302号公報
【特許文献2】特開平9−147284号公報
【特許文献3】特開2005−55444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のように、先の出願の振動検出システムは優れた機能を有するが以下のような問題点も有している。
【0017】
上記のようにセンサを構造物のクラックによる振動などをとらえるセンサとして使用した場合、その波は持続時間が非常に短い振動を検出する必要がある。よって、一定時間おきにモニタリングすると取りこぼしが多く発生しかねないことから、連続波でのモニタリングを行っている。しかし、上述のように先の出願の検出システムでは一定周波数の連続波を送信し、検知対象物の振動が発生したときの反射波のサイドローブを検出しているので、振動が起きていないときのセンサの有無、センサの識別や故障診断を行うことができない。また、SAWを利用した力学量センサは一般的に温度によって共振周波数が変化する。その補償方法として、センサ素子の近くに置いた温度センサにより温度を測定して搬送波周波数を補正する方法が行われているが、センサが複雑になる。また、センサの固体識別のため複数の連続波を送信する場合は反射波が互いに干渉してしまうという問題がある。
【0018】
本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたもので、その技術課題は、連続的にセンシングが必要な力学量センサシステムにおいて、そのセンサの有無や個体識別や正常動作診断、温度変化に対する補償、複数個のセンサ管理を可能とする力学量センサシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明の力学量センサシステムは、圧電基板上に形成された櫛歯電極を有する表面弾性波共振子とアンテナからなり測定領域内の被測定物に設置された少なくとも1つのパッシブ型力学量センサと、当該パッシブ型力学量センサに搬送波信号を無線送信して当該センサからの反射波を監視する質問器とからなる力学量センサシステムにおいて、前記搬送波信号は基準の周波数を中心に連続的かつ周期的に周波数を変化させた信号であり、前記質問器は前記反射波から前記パッシブ型力学量センサの情報を検出することを特徴とする。
【0020】
ここで、前記パッシブ型力学量センサの情報には、前記測定領域内における前記パッシブ型力学量センサの有無、または前記パッシブ型力学量センサの故障の有無、または前記表面弾性波共振子の共振周波数、または前記表面弾性波共振子の温度変化、または前記表面弾性波共振子に印加される荷重のうち、いずれか1つ以上の情報を含んでもよい。
【0021】
また、複数個のパッシブ型力学量センサを有し、該複数個のパッシブ型力学量センサの情報を個々に分別して検出してもよい。
【発明の効果】
【0022】
上述のように、本発明においては、質問器からの搬送波信号を基準の周波数を中心に連続的かつ周期的に周波数を変化させた信号とすることで、広い周波数範囲内でのセンサの反射特性に応じた出力信号を質問器で受信し解析することによって、検知対象であるセンサへ加わる力学量の有無にかかわらずセンサの状態を常時モニタリングできる。すなわち、質問器がカバーするエリア内にセンサが存在するか、正常作動しているか、センサの共振周波数などの情報を常時モニタリングできる。また、温度や荷重によってセンサの共振周波数が変わる場合は、温度や荷重を常時モニタリングできる。センサ個数は複数である場合にもその反射波の周波数特性からセンサの個体識別が可能である。
【0023】
以上のように、本発明によれば、連続的にセンシングが必要な力学量センサにおいて、そのセンサの有無や個体識別や正常動作診断、温度変化に対する補償、複数個のセンサ管理を可能とする力学量センサシステムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明による力学量センサシステムの実施例を説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明による力学量センサシステムの第一の実施例である振動検知システムの構成図である。図1において、図7のSAW共振子30と同様な圧電基板上に形成された櫛歯電極を有する表面弾性波共振子とからなるセンサ素子101とアンテナ120からなる振動センサ102が測定領域内の被測定物に設置されており、さらに振動センサ102に搬送波信号を無線送信して振動センサ102からの反射波を監視する質問器103が設置されている。質問器103は基準となる搬送波周波数の信号を発生する基準信号発生部104、その搬送波信号の基準の周波数を中心に連続的かつ周期的に周波数を変化させた信号を発生させる周波数変調部105、それを増幅して出力する送信出力部106、送受信信号を分離するサーキュレータ107、およびアンテナ108、アンテナ108で検出された信号を受信する信号受信部109、その受信信号を処理する信号処理部110、その処理結果から振動検出の判定を行いその結果を出力する判定出力部111からなっている。
【0026】
図2は、質問器103より送信される基準の周波数を中心に連続的かつ周期的に周波数を変化させた信号の例を示す図であり、横軸が時間、縦軸が周波数であり、図2(a)は三角関数的に周波数を変化させた場合、図2(b)はのこぎり波的に周波数を変化させた場合の例を示す。この場合、中心周波数はSAW共振子の共振周波数に近い2450MHz、周波数の変化幅Δfは±数MHz、その時間的な繰返し周期は観測すべき振動時間が2ms程度であることから数KHz程度以上とすることが可能である。
【0027】
図3(a)は本実施例において質問器103(図1)のアンテナ108から送信される搬送波信号と振動センサ102より反射されアンテナ120から送出される反射信号の時間波形を模式的に示す図であり、図3(b)は振動センサ102の反射出力特性を示す図である。図3(a)において、質問器103より送出される搬送波信号11は周波数f1より周波数f3まで変化させたときの信号であり、振動センサ102の反射出力特性、すなわち一定の入力電力に対して反射波として出力される電力は図3(b)に示すようにその共振周波数である周波数f2で最小となるので、その振幅は図3(a)の反射信号13のように周波数f2成分が最小となる。このような反射波の信号を質問器103で受信して解析することによって、振動センサ102が共振状態にあり反射出力が小さく、かつ振動センサ102の振動が無くサイドローブが発生していない場合でも振動センサ102からの応答を常にモニタリングすることが可能となる。
【0028】
このモニタリングによって、質問器103がモニタリングできる空間に振動センサがあるかどうかの判断ができる。また、正常に振動センサが作動している状態の記録と、モニタリングしたときの振動センサの受信信号を比較することで振動センサが故障していないかを判断することができる。また、故意に振動センサ以外からの信号の妨害を受けた場合もアラームを出すことができる。
【0029】
また、振動センサの共振周波数が温度によって変化する場合、それぞれの温度における共振周波数をあらかじめ測定しておくことにより、共振周波数の変化を温度に換算することができる。圧電基板などに荷重を加えた場合も、あらかじめ荷重と共振周波数の関係を把握しておくことにより同様に荷重を検知できる。
【0030】
本実施例の効果を確認するため、実際に図1の振動検知システムを構成し、振動検知を行った。センサ素子101としてはタンタル酸リチウム単結晶基板上にアルミ製の歯電極及び反射器を作成しSAW共振子を作成した。反射出力特性を測定したところ共振周波数は2450MHz付近であった。上記単結晶基板は50kHzの振動を検知する形状に加工されており、アンテナを取り付けて振動センサ102を構成した。振動センサ102は50kHzの加振器にとりつけた。質問器103から2450MHzの基準搬送波信号に1MHzのFM変調信号を印加して連続的かつ周期的に周波数を変化させた図3の搬送波信号11のような信号を発生させて送信し、振動センサ102からの受信信号をスペクトルアナライザで測定した。振動がないときの受信信号の波形は図3の反射信号13のような変調波形が確認できた。また、質問器103からの搬送波信号の周波数スペクトルは中心周波数2450Hzを中心に左右対称だったのに対して、振動センサ102からの受信信号の周波数スペクトルは左右非対称であった。これはSAW共振子の実際の共振周波数が2450MHzから若干ずれていたためである。
【0031】
次に、振動センサ102を50kHzで加振したところ、受信信号には加振による50kHzの変調信号を確認でき、また、周波数スペクトルにも50kHzのサイドローブが確認できた。さらに、振動センサ102の中の配線を切断した場合や、振動センサ102を除いた場合には上記50kHzの信号は得られないことも確認した。
【0032】
次に、温度によるセンサ素子101の共振周波数の変化を測定した。あらかじめこのセンサ素子101の−20℃〜80℃までの温度特性を測定したところ、温度に対して線形に共振周波数が減少し−35ppm/℃であった。室温にて温度センサを温度測定物にとりつけ、質問器から2450MHzの基準搬送波信号に10MHzのFM変調信号を印加して連続的に送信し、センサからの出力信号をスペクトルアナライザに取り込んだ。次に、センサ素子101を65℃に加熱したところ、受信信号の周波数特性から2447MHzへの共振周波数の変化が確認でき、対応する温度が測定できた。
【実施例2】
【0033】
図4は、本発明による力学量センサシステムの第二の実施例である振動検知システムの構成図である。本実施例は、基本的構成は図1の実施例1と同様であるが、2つの振動センサ201、202を有することのみが異なっている。
【0034】
図5(a)は、本実施例において質問器103のアンテナ108から送信される搬送波信号と振動センサ201および202より反射されアンテナから送出される反射信号の時間波形を模式的に示す図であり、図5(b)は振動センサ201および202の反射出力特性を示す図である。図5(a)において、質問器103より送出される搬送波信号131は周波数f1より周波数f3まで変化させたときの信号である。振動センサ201の反射出力特性135は図5(b)に示すようにその共振周波数である周波数f3で最小となるので、振動センサ201からの反射波は図5(a)の反射信号133のようにその振幅はf3成分が最小となる。一方、振動センサ202の反射出力特性136は図5(b)に示すようにその共振周波数である周波数f2で最小となるので、振動センサ202からの反射波は図5(a)の反射信号134のようにその振幅はf2成分が最小となる。
【0035】
質問器3で受信される信号は反射信号133と134の合成波となり、その周波数スペクトルは図5(b)の反射出力特性135と136を重ね合わせた包絡線状となる。このように受信信号の周波数を分析することにより、受信範囲にある振動センサの共振周波数を検出でき、その共振周波数の違いにより複数個のセンサの識別が可能となる。各振動センサに振動が印加されたときにはその共振振動周波数に振動周波数に相当するサイドローブが生ずることにより、振動がどの振動センサに発生したかを検出できる。
【0036】
また、実施例1と同様に、各振動センサの共振周波数の変化より温度や荷重、故障の有無などを検出することができる。
【0037】
本実施例の効果を確認するため、実際に図4の振動検知システムを構成し、振動検知を行った。センサ素子203、204としてタンタル酸リチウム単結晶基板上にアルミ製の歯電極及び反射器を作成し2種類のSAW共振子を作成した。反射出力特性を測定したところそれぞれの共振周波数は2450MHzと2451MHzであった。上記単結晶基板は共に50kHzの振動を検知する形状に加工されており、アンテナを取り付けて振動センサ201および202を構成し、50kHzの加振器にとりつけた。
【0038】
質問器103から2450MHzの基準搬送波信号に2MHzのFM変調信号を印加して連続的かつ周期的に周波数を変化させた図5の搬送波信号131のような信号を発生させて送信し、振動センサ201および202からの受信信号をスペクトルアナライザで測定した。上記2つの振動センサに対応する図5(b)のような2つの共振周波数が測定でき、かつ、それぞれの振動センサに50KHzで振動を加えたとき、それぞれの共振周波数に50kHzのサイドローブが発生することを確認できた。
【実施例3】
【0039】
次に、本発明による力学量センサシステムの第3の実施例である荷重センサシステムについて説明する。本実施例の質問器は実施例1と同様であるが、センサに使用するセンサ素子の構造が異なっている。本実施例においては、SAW共振子が設置される圧電基板の形状は均一に荷重がかかるようダイヤフラム構造としている。このセンサ素子にアンテナを取り付けて荷重センサを作製した。SAW共振子の共振周波数は2450MHzである。あらかじめこのセンサの荷重による共振周波数変化を測定したところ、荷重に対して線形に共振周波数が減少し−50ppm/kgfであった。室温にて荷重センサを測定物にとりつけ、質問器から2450MHzの搬送波信号に10MHzのFM変調信号を印加して連続的に送信し、センサからの出力信号をスペクトルアナライザに取り込んだ。2450MHzの共振による受信信号が得られた。次に、測定物に10kgfの荷重を加えたところ受信信号の共振周波数は2449MHzとなり荷重の検出が確認できた。
【0040】
以上のように、本発明によれば、連続的にセンシングが必要な振動センサや荷重センサなどの力学量センサシステムにおいて、そのセンサの有無や個体識別や正常動作診断、温度変化に対する補償、複数個のセンサ管理を可能とする力学量センサシステムが得られる。
【0041】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではないことは言うまでもなく、例えば検出対象としては弾性表面波によるセンサ素子の特性に影響を与えるものであれば可能であり、加速度、衝撃などの力学量の検出も可能である。SAW共振子の共振周波数、質問器からの搬送波信号の周波数変調幅などは目的に応じて設計可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の力学量センサシステムの第一の実施例である振動検知システムの構成図。
【図2】質問器より送信される基準の周波数を中心に連続的かつ周期的に周波数を変化させた信号の例を示す図であり、図2(a)は三角関数的に周波数を変化させた場合、図2(b)はのこぎり波的に周波数を変化させた場合の例を示す図。
【図3】本発明の実施例1の振動検知システムの動作を説明する図。図3(a)は実施例1において質問器のアンテナから送信される搬送波信号と振動センサより反射されアンテナで受信される受信信号の時間波形を模式的に示す図。図3(b)は実施例1の振動センサの反射出力特性を示す図。
【図4】本発明の力学量センサシステムの第二の実施例である振動検知システムの構成図。
【図5】本発明の実施例2の振動検知システムの動作を説明する図。図5(a)は実施例2において質問器のアンテナから送信される搬送波信号と振動センサより反射されアンテナで受信される受信信号の時間波形を模式的に示す図。図5(b)は実施例2の振動センサの反射出力特性を示す図。
【図6】先の出願の振動検知システムの構成を示す図。
【図7】センサ素子の断面構造を示す図。
【図8】SAW共振子の櫛歯電極及び反射器の配置図。
【符号の説明】
【0043】
10、108、120 アンテナ
11、131 搬送波信号
13、133、134 反射信号
20、101、203、204 センサ素子
22 支持基板
23 蓋部材
25、26 半田バンプ
27 端子
30 SAW共振子
32 圧電体基板
34 櫛歯電極
35、36 接続部
37、38 反射器
100、102、201、202 振動センサ
104 基準信号発生部
105 周波数変調部
106 送信出力部
107 サーキュレータ
109 信号受信部
110 信号処理部
111 判定出力部
135,136 反射出力特性
200、103 質問器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板上に形成された櫛歯電極を有する表面弾性波共振子とアンテナからなり測定領域内の被測定物に設置された少なくとも1つのパッシブ型力学量センサと、当該パッシブ型力学量センサに搬送波信号を無線送信して当該センサからの反射波を監視する質問器とからなる力学量センサシステムにおいて、前記搬送波信号は基準の周波数を中心に連続的かつ周期的に周波数を変化させた信号であり、前記質問器は前記反射波から前記パッシブ型力学量センサの情報を検出することを特徴とする力学量センサシステム。
【請求項2】
前記パッシブ型力学量センサの情報には前記測定領域内における前記パッシブ型力学量センサの有無を含むことを特徴とする請求項1記載の力学量センサシステム。
【請求項3】
前記パッシブ型力学量センサの情報には前記パッシブ型力学量センサの故障の有無を含むことを特徴とする請求項1記載の力学量センサシステム。
【請求項4】
前記パッシブ型力学量センサの情報には前記表面弾性波共振子の共振周波数を含むことを特徴とする請求項1記載の力学量センサシステム。
【請求項5】
前記パッシブ型力学量センサの情報には前記表面弾性波共振子の温度変化を含むことを特徴とする請求項1記載の力学量センサシステム。
【請求項6】
前記パッシブ型力学量センサの情報には前記表面弾性波共振子に印加される荷重を含むことを特徴とする請求項1記載の力学量センサシステム。
【請求項7】
測定領域内に複数個のパッシブ型力学量センサを有し、該複数個のパッシブ型力学量センサの情報を個々に分別して検出することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の力学量センサシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate