説明

力測定デバイス内のドリフト現象を適応的に補正する方法、および力測定デバイス

【課題】力測定デバイスに印加される荷重を表す測定信号(ms)を形成するために使用される測定変換器を有する電子式秤で発生する、ドリフト現象、特にクリープ効果を補正するために使用される方法を提供すること。
【解決手段】自動的に制御されるかまたはユーザによって選択された時間間隔(CI1、CI2)で、ドリフトパラメータ(P1、P2、...)に対する新しい最適化された値は、メモリユニット(15、15A、15B)に格納されている最適化プログラム(POPT)の制御の下でプロセッサ(130、16)および信号処理ユニット(13)を使って自動的に決定され、新しい最適化された値は、メモリユニット(15、15A、15B)に格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ請求項1および12の包括的な部分に従って、電子式力測定デバイス、特に秤のドリフト現象を補正する方法、およびこの方法を実施するのに好適な力測定デバイス、特に秤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子式力測定デバイス、特に秤には、機械的特性に関して厳しい要件を満たさなければならないさまざまな構成要素がある。例えば、秤の精度にとって特に重要なのは、誘導機構、結合要素、およびピボット要素を備えるロードセル、または付属センサデバイス、例えば、測定ブリッジ回路内で接続されている歪みゲージを備える力/変位変換器である。力/変位変換器では、力と変位との関係が直線的であることが重要であり、その目的は再現可能な弾性特性に関するものである。[1]EP 0 945 717 A1で説明されているように、遅延弾性、クリープ挙動、および(機械的)ヒステリシスはできる限り小さいことが必要条件である。さらに、これらの要素は、耐食性であること、また好ましくは非磁性体であることが必要である。
【0003】
秤の精度に関係のある特性は著しく改善されているが、望ましくないドリフト現象は関連する問題として残っており、特にいわゆるクリープ挙動、つまり、測定の時間間隔内での測定結果の変化の問題が残っている。
【0004】
クリープおよびヒステリシスの他の測定の精度を決定する秤の他の特性、つまり、直線性、偏心荷重誤差がないこと、反復性、温度安定性、過渡振動の整定時間、分解能については、例えば、[2]「Bauen Sie Ihre Qualitaet auf solidem Grund!」(Build your Quality on Solid Ground!)、company publication、Mettler Toledo GmbH、2001年1月、で説明されている。
【0005】
秤の測定精度に対する因子の決定は、[3]「Waegefibel」(Weighing Primer)、Mettler Toledo GmbH、2001年4月、で説明されている。この参考文献の中で説明されているように、秤の精度は、環境との熱、吸湿または放湿、静電気または磁気の相互作用の影響などの物理的影響因子に依存する。したがって、秤が設置される場所は、望ましくない物理的影響が回避されるように選択することが重要である。さらに、秤の操作、例えば、レベル調整、および秤を動作させる正しい手順、ドラフト防止要素の配列、適切な秤量容器の選択、および秤量皿上の荷重の位置決めは、測定精度に対し極めて重要である。そのため、本明細書で説明されているような影響因子および効果は、秤の状態、つまり、測定精度が依存する条件を決定する。
【0006】
測定精度に影響を及ぼすこれらの外的影響因子のいくつか、つまり秤の特性および挙動により引き起こされる測定偏差は、調節技術を通じて補正することができる。しかし、影響因子またはその結果生じる測定誤差を補正できない、例えば、振動により、またはドラフトシールドが存在しない場合の気流により引き起こされる秤のいくつかの不利な好ましくない状態がある。
【0007】
クリープにより引き起こされるドリフト現象がドリフト関係の成分の補償で補正される秤は、[4]米国特許第4,691,290号で開示されている。この秤で使用される方法では、加荷重に対応する測定値に到達するように、測定された荷重とクリープの状態の表現が決定され、互いに組み合わされ、クリープに関係する誤差成分が補償される。
【0008】
さらに、[4]によれば、クリープの状態の数学的表現は、既に秤に影響を及ぼしている因子を考慮するために、時間、測定対象の荷重、および直前の時間に決定されたクリープ状態の関数として決められる。
【0009】
この秤のクリープ状態は、秤の初期調整において決定され、格納されている定数に基づいて計算される。[4]によれば、ほとんどの場合、異なる秤にはバラツキがあるため、これらの定数は、秤毎に個別に決定する必要がある。
【0010】
秤のドリフト挙動を改善するための上述の方策があるが、望ましくないドリフト現象はそれでも発生しうることがわかっている。
【特許文献1】EP 0 945 717 A1
【非特許文献1】「Bauen Sie Ihre Qualitaet auf solidem Grund!」(Build your Quality on Solid Ground!)、company publication、Mettler Toledo GmbH、2001年1月
【非特許文献2】「Waegefibel」(Weighing Primer)、Mettler Toledo GmbH、2001年4月
【特許文献2】米国特許第4,691,290号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、電子式力測定デバイス、特に秤のドリフト現象を補正する改善された方法を実現し、この改善された方法により動作する、力測定デバイス、特に秤を実現することを目的とする。
【0012】
この目的は、それぞれ請求項1および請求項12で指定されている特徴を備える方法および力測定デバイスにより達成される。本発明の有利なさらに発展した実施形態は、他の請求項で定義される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による方法は、加荷重の大きさを表す測定信号を発生し、アナログ/デジタルコンバータを使ってその信号を、ドリフト偏差を補償する機能を有し、この目的のためにメモリユニットに格納され、時間依存補正値を計算し、測定信号のドリフト誤差を補正する基準となるドリフトパラメータにアクセスすることができる、プロセッサに基づくデジタル信号処理ユニットに送出する測定変換器を用いて、外的影響因子によりおよび/または電子式力測定デバイス、特に秤のデバイス特性および挙動により引き起こされるドリフト現象を補正するために使用される。
【0014】
本発明によれば、プログラムルーチンは、自動的に実行されるか、またはユーザにより定期的時間間隔またはランダムな時間間隔で起動され、ドリフトパラメータに対する新しい最適化された値は、プロセッサ、およびメモリユニットに格納されている最適化プログラムに基づく信号処理ユニットを使って自動的に決定され、メモリユニット内に格納される。
【0015】
電子式秤のドリフト現象の調査で、それらの現象は、環境の変化する影響および上述の秤の構成要素について一度測定されたドリフト挙動にもっぱら依存するというわけではないことが判明した。秤に生じるドリフト現象は、長時間にわたり秤を動作させている過程で生じる、上述の構成要素のドリフト挙動の変化に著しく依存することを示すことが判明した。ドリフト現象の存在を許容したり、秤を工場に送り返してドリフト現象をなくしてもらうのではなく、秤の初期調整および納入後にゆっくりと現れてくるドリフト現象を本発明により秤の中で適応的に補正するのである。
【0016】
ドリフトパラメータの新しい値は、ドリフトパラメータの現在格納されている値とともに既に格納されている測定データ、検定データ、および/または較正データを使用して決定されるのが好ましい。
【0017】
本発明の第1の実施形態では、振幅の補正されていない、または一部のみ補正されている時間グラフ、または測定信号の振幅/時間値の対応する表、つまり測定信号の時間プロファイルを現在の時間で記録する。秤が適切な動作状態にある場合、ユーザは、本発明による方法を開始し、その後、現在記録されている信号プロファイルに基づいて最適化プログラムにより最適化されたドリフトパラメータの新しい値により前の値の置換を受け入れることができる。例えば、較正用分銅は、ユーザによって、または自動的に秤上で設定することができ、また秤量信号の時間プロファイルを記録することができ、これに基づいてこの方法が実行される。さらに、荷重測定が実行された後、最適化プログラムは、ドリフトが検出されたこと、および秤が最適化を実行する好適な状態にあることを知らせる信号を発することも可能である。ユーザは、秤の状態が最適化の実行に適していること、また最適化の方法が実行されるべきであることを確認することによりその信号に応答することができる。そのため、最適化プログラムとユーザとの間のタスクの分割は、望ましい方法で固定するか、または柔軟に選択することができる。多数のドリフトパラメータが正確に最適化されなければならない場合、これは、ユーザにとって負担になる可能性がある、これから説明する方策により回避できる。
【0018】
本発明の他の好ましい実施形態では、振幅の補正されていない、または一部のみ補正されている時間グラフ、または測定信号の振幅/時間値の対応する表、つまり測定信号の時間プロファイルは、秤の通常動作時の測定実行中に、検定プロセスで、および/または更正プロセスで記録される。信号プロファイルのデータは、それぞれの時間情報(日付および/または時刻)とともに格納されるのが好ましい。格納されるべきアナログまたは既に2値化されている信号プロファイルは、補正されるべき、またドリフトパラメータが後の時点で最適化されるべき、ドリフト現象に関してまだ処理されていてはならない。しかし、他の点では、例えば、信号をフィルタ処理することにより信号プロファイルを処理することは可能であり、また意味のあることである。ドリフトパラメータがクリープ効果に基づくドリフト現象について補償される場合、この処理は、好ましくは、例えばヒステリシス効果、直線性偏差、ユーザの介入により引き起こされる効果、または温度効果の補償を含むべきである。そのため、クリープ効果により引き起こされるドリフト偏差は、より鮮明に明らかになり、ドリフトパラメータの効果、特にドリフトパラメータ値のステップ変化はより正確にわかり、最適化プロセスは、より効率よく、高速に実行できる。
【0019】
秤のドリフト特性がゆっくりとしか変化しないときには、本発明の方法を適度の長い時間間隔でのみ実行することは意味がある。例えば、本発明による方法は、nヶ月(例えば、n=2)の間隔で周期的に実行することができる。この方法は、必要に応じてユーザが開始することもできる。好ましい一実施形態では、現在発生しているドリフト現象の大きさが決定され、対応する閾値と比較され、その後、閾値を超えたことがわかると本発明による方法が実行される。
【0020】
ドリフトパラメータの値の最適化のため、既に登録されている信号プロファイルの少なくとも一部が、メモリユニットから取り出され、順次、デジタル信号処理ユニット内に送り込まれ、そこで、ドリフト現象の補正がドリフトパラメータの新しい値に基づいて実行され、その後、補正された信号プロファイルが評価され、最適化されたドリフトパラメータ値がメモリに格納される。本発明によるこの方法の変更形態は、特に有利であるが、それは、ドリフトパラメータの最適化された値は、迅速に、正確に、かつユーザが関与することなく、決定できるからである。必要なのは、十分な計算能力および例えば電子または磁気記憶媒体のメモリ容量だけである。この方法は、さらに、他のアプリケーションが実行されていない場合にいくつかの期間にわたって実行することができる。さらに、この方法は、オペレータが測定に秤を使用したい場合に終了または中断することができる。
【0021】
信号の時間プロファイルは、ドリフトパラメータの現在値から始めて、例えば、それらのパラメータにステップ変化を引き起こし、その後、ステップ毎に−場合によっては測定結果の平均値を取った後−補正の適合度を反映する検定値を計算することにより評価される。つまり、ドリフトパラメータの値は、実用的と考えられる範囲内の小さなステップで変化させ、その後、それぞれの評価ステップに対する非補正信号プロファイルが、適切なドリフトパラメータにより処理され、補正された信号プロファイルに変換され、次いで評価されるということである。それぞれの評価ステップで判明した検定値は、その後、互いに比較され、その後、ドリフトパラメータの値は最良検定値とともに、ドリフトパラメータの新しい現在値としてメモリ内に格納される。
【0022】
これらの方策によるドリフトパラメータの最適化は、記録された信号プロファイルが秤の非外乱挙動および安定した測定条件に基づく場合に成功する。しかし、本発明による方法が外乱の影響を受ける信号プロファイルとともに実行される場合、この方法を実行してもなんら改善しない。
【0023】
したがって、本発明のさらに好ましい実施形態では、外的影響の結果として生じる秤の状態の特性および/または記録された信号プロファイルの特性が決定され、その後、秤の状態および/または信号プロファイルの特性に基づき信号プロファイルが適当かどうか評価され、ドリフトパラメータの最適化に不適当であることがわかったデータはこれ以降の考察から除外される。
【0024】
好ましくは、これ以降の考察から除外されるデータとしては以下のものがある。
a)秤の通常動作モードからの偏差が記録された時刻に関連するデータ、
b)機械的振動、大気湿度増大、ライン電源の不安定、荷重または測定対象に依存するか、またはそれとは独立した気流により引き起こされる外乱、または温度関係の外乱などの、外乱が記録されたときの期間に関連するデータ、
c)荷重の印加および除去の際に非対称ドリフトプロファイルに基づいて決定されている場合がある、測定時に水分の放出または吸収により引き起こされた可能性のある荷重変化が登録されたデータ、および/または、
d)前の測定アプリケーションによる外乱が登録されたデータ。
【0025】
さらに好ましい一実施形態では、非補償ドリフト値の少なくとも1つの時間プロファイルは、秤の全動作時間にわたって記録され、非補償ドリフト値に関連する補償値の時間プロファイルは、ドリフト現象の補正のためそれに応じて更新され使用される。例えば、追加の補償構成要素は、補償値のプロファイルの外挿により決定され、最後に実行された最適化の後の補足参照データとして使用されるようにできる。
【0026】
本発明は、図面を参照しつつ以下で詳しく説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、図2で実施例として示されている秤1のブロック図を表しており、これは、ネジ1021、1012を使って、秤量皿キャリア102に、また次いでネジ22を使って秤1の筐体2に接続される取付け部101に接続されている変換器本体10からなる、測定値変換器10、例えば[5]で説明され、図3に例示されている力測定セルを備える。歪みゲージは、フラットリボンケーブル1011を使って、以下で詳しく説明されるモジュール11、12、13、14、15Aが配列され、他の機能の中で信号補正に使用される回路モジュール103に接続される。一実施例として図2に示されているモジュール式力測定セルは、参考文献[5]で説明されている特別な利点を有する。しかし、本発明による方法は、さらに、秤の他の設計構造を使っても実現できる。
【0028】
荷重を表すアナログ測定信号msは、アナログ信号を処理するために使用される第1の信号処理ユニット11を使って測定値変換器10により、アナログ/デジタルコンバータ12に送られ、このコンバータにより、2値化された測定信号msが出力され、デジタル信号を処理するために使用される第2の信号処理ユニット13に渡され、そこで、2値化された測定信号msは、ドリフトパラメータP1、P2、...に基づいて補正され、ドリフト現象、特にクリープにより引き起こされる信号偏差が補償される。この機能を実行するために、第2の信号処理ユニット13は、プロセッサ130、好ましくはシグナルプロセッサを備え、メモリユニット15、より具体的には15Aに接続される。本発明による方法を実行するために、ドリフトパラメータP1、P2...および記録された信号プロファイルs1、s2、...を含むリスティングplとともにメモリユニット15に格納されている最適化プログラムPOPTが、シグナルプロセッサ130により実行される。
【0029】
補正されたデジタル測定信号msDKは、第2の信号処理ユニット13から、メモリユニット15、15B、入力ユニット19、例えばキーボード、ディスプレイ18、例えば液晶ディスプレイ、プリンタ17、および中央コンピュータ20に接続されているメインプロセッサまたはホストプロセッサ16に送られる。この方法を実行するプロセッサ130と16との間のタスクの分割は、任意の決定に基づくことができる。原理上、厳密にはただ1つのプロセッサがあればよい。したがって、メモリユニット15の記憶領域15A、15Bは、複数のタスクに分割されるか、共通使用される。シグナルプロセッサ130は、例えば、ホストプロセッサ16の制御の下で個別のプロセスステップのみを実行し、それらの結果をさらに処理するために受け渡すことができる。
【0030】
図1は、秤1の状態および/または外的影響因子を記述する信号を、アナログ/デジタルコンバータ12を使ってセンサ14からシグナルプロセッサ130に送信し、直接センサ140からホストプロセッサ16に送信することができることも示している。
【0031】
図1は、さらに、メモリユニット15、15Aに、例えば前記メモリユニット内のリングバッファに、時間の関数としての連続振幅プロファイルの形態で、または振幅および時間の値の対として、好ましくはその識別時刻および/または日付情報とともに、登録されている信号s1、...、s−nの時間プロファイルを示している。信号プロファイルs1、...、s−nは、補正されていないか、または部分的にしか補正されていないため、与えられる測定プロセスおよび測定デバイスに関する情報に変化はない。本発明によれば、格納されている信号プロファイルs1、...、s−nは、測定または秤量プロセスが終了した直後に並行して通常実行されるユーザによる結果評価にではなく、後から秤1の最適化に使用される。
【0032】
図2に記号で示されている干渉効果d、d、d、d、d、dの1つまたは複数により損なわれることがない信号プロファイルs1、...、s−nのみを、秤1の最適化に使用すべきである。例えば、電気的外乱dは信号プロファイルs2の記録に登録されており、したがって、信号プロファイルs2は、最適化プロセスには使用されず、場合によっては、メモリに格納されることすらない。信号プロファイルs1、...、s−nのそれぞれとともに格納されている識別時刻データを使用すると、例えば、経時変化を監視したり、信号プロファイルs1、...、s−nの品質を間接的チェックすることが可能である。既に秤の前回最適化で考慮されている信号プロファイルs1、...、s−nは、メモリユニット15から消去されるのが好ましい。最初に使用可能とみなされ、格納された信号プロファイルs1、...、s−nは、それでも、信号プロファイルの登録された時点において複数の他の外乱が発生したことが判明した場合、後から拒絶することができる。例えば、中央コンピュータ20から、所定の日付mm/dd/yyyyの日に、時刻HH:MMからhh:mmまでの間に電気的外乱が発生し、それにより異なるいくつかのシステムが悪影響を受けたというアラートを分散ロケーションに設置された秤に送信することができる。そこで、この時間フレームに入る、したがって疑わしい信号プロファイルs2は、秤1において拒絶できる。
【0033】
例えば、図2は、本発明による方法を実行するのに好適な秤1の一実施形態を示しており、図1に示されている構成要素10、11、...は、秤1の筐体2に組み込まれている。
【0034】
記号的に示されているのは、秤1の状態および秤1の測定挙動、特に測定の動的特性を決定するか、または少なくとも影響を及ぼす多数の影響因子d、d、d、d、d、およびd(完全なリストを表していない)である。
【0035】
ユーザに由来する影響因子d、つまり、秤1で行った設定、および秤1の現在状態とその挙動を決定する実行中のアプリケーションに主に注意しなければならない。重要なのは、例えば、信号処理、または秤量区画を閉鎖するために使用されるドアの開放についてユーザが選択するプロセスパラメータである。重要なのはさらに、[4]で説明されているように、既に実行されたアプリケーションまたは測定の履歴である。
【0036】
さらに高い重要度を持つのは、ライン電源の影響因子dだけでなく、電界からの干渉、振動などの機械的影響、熱的効果d、環境因子d、例えば、気流および湿度、さらに測定された荷重の挙動dおよび特性がある。また本質的に重要なのは、荷重と環境との間の相互作用効果である。例えば、秤量荷重は、水分を環境に放出したり、または環境から水分を吸収したりすることができる。さらに、秤量荷重と環境との間に連続的熱交換が発生し、これにより、望ましくない対流が引き起こされる可能性がある。水分の放出または吸収または熱交換により引き起こされる対流により、クリープ効果により引き起こされるドリフトに重ねられる指示された重量に誤差が生じる可能性がある。秤のクリープ関係のドリフトが正しく補償された場合でも、荷重の変化により引き起こされるドリフト成分が残るが、これは、以下で説明する最適化ステップについてクリープとして解釈すべきではない。1つのまたは複数のユニットによる指示の変化がクリープにより引き起こされるのではなく、秤量荷重または他の因子の変化により引き起こされる場合、これは注意する必要があり、関連する信号プロファイルs−xは拒絶される必要がある。
【0037】
信号プロファイルs1、...、s−nの評価は、ユーザまたは環境由来の影響因子に依存する限り秤の状態に対し特徴的な因子を識別し評価することにより、および/または信号プロファイルs1、...、s−nから抽出された特徴的な信号プロファイル特性を識別し評価することにより、実行するのが好ましい。
【0038】
秤の状態は、好ましくは、信号プロファイルsの供給元の測定アプリケーションに影響を及ぼすすべての要素を包含する。特に、秤の状態は、ユーザが行う動作関連設定だけでなく、秤にかかる秤量荷重および環境によっても決まる。
【0039】
そこで、いくつかの例外はあるが、測定プロセス内のクリープ効果を原因としないドリフトは、秤状態の特性および/または信号プロファイルの特性から決定できる。
例えば、環境大気の湿度および温度を測定する。さらに、例えば測定対象を液体であると指定する情報は、ユーザ側で入力することができる。これらの特徴付け因子に基づき、液体の蒸発により予想される荷重変化を計算できるか、または関連するリスクを考慮することができる。
【0040】
環境大気の温度および秤量荷重の温度が測定される場合、温度が均一になるまで大きさが減少する空気対流により引き起こされるドリフトを予測できる。
しかし、同等の情報または補足的情報も、信号プロファイル特性の測定により得ることもできる。水分放出の結果として生じる荷重変化の場合、通常は、直線的ドリフトが観察されるが、クリープに関連するドリフトは、むしろ、指数関数的時間プロファイルに向かう傾向がある。
【0041】
荷重をかけ荷重を取り除くときのそれぞれのドリフトプロファイルは、クリープの場合には通常対称的であるが、荷重の変化により引き起こされるドリフトは、秤から荷重が取り去られた後完全に消える。したがって、信号プロファイル特性は、ほとんどの場合、信号をプロファイルsから決定しにくいが、決定は、信号プロファイルが使用可能かどうかを評価することに関して特に大事である。
【0042】
本発明によれば、格納されている信号プロファイルs1、s3、...は、現在、秤1の最適化に使用されている。秤1は、メーカーによって秤1の元の調整で最適化されるだけでなく、ユーザによっても繰り返し最適化されると考えられる。最適化プロセスでは、ドリフトパラメータP1、P2、...が定義され、ドリフト偏差を補正する基準として使用される。静的ドリフトパラメータP1、P2、...の1回限りの選択の概念およびドリフト偏差の補正は、参考文献[4]から知られる。本発明によれば、これらのドリフトパラメータP1、P2、...は、ユーザのロケーションへの秤1の設置後繰り返し再調査され、秤1の特性の変化に適応させられる。場合によっては、ドリフトパラメータは再びチェックされ、および/またはアプリケーションの起動前にユーザに対し提示され受け入れが求められる。
【0043】
図4は、秤1のクリープ関連ドリフト挙動の変化を例示している。数ヶ月の時間間隔で記録されたグラフは、秤に荷重をかけた後発生する未補正のドリフトプロファイルs、s、sを示す。曲線は、15分の時間範囲においてディスプレイで観察される数値または表示単位の変化を示す。これは、秤1のクリープ関連ドリフト挙動の時間経過による変化を例示している。
【0044】
ドリフト偏差が元々の調整における静的ドリフトパラメータP1、P2、...に基づいて正しく補償された場合、これにより、図5に示されている補正されたドリフトプロファイルs、s、sが得られる。0ヶ月の第1のプロファイルsは、事実上ドリフトがないことを示す。しかし、計測器の特性の変化のため、これから説明するように、本発明の方法により補正される望ましくないドリフト成分が、それぞれ2ヶ月および6ヶ月という示されている間隔の後、再び出現する。
【0045】
本発明による方法は、例えば固定時間間隔で自動的に、または望ましくないドリフト偏差が見つかった後自動的に、またはユーザにより手動で開始される。
例えば、現在発生しているドリフト現象の大きさldACTは、格納されている信号プロファイルs1、...s−nに基づいて決定され、関連する閾値thLDと比較され、閾値thLDを超えたことが判明した後、ドリフトパラメータP1、P2、...を最適化する方法が実行される(図7を参照)。
【0046】
ドリフトパラメータP1、P2、...の値の最適化のため、既に登録されている信号プロファイルs1、s3、...の少なくとも個別のいくつかの信号プロファイルが、メモリユニット15から取り出され、順次、信号処理ユニット13内に送り込まれ、そこで、ドリフト現象の補正がドリフトパラメータP1、P2、...の新しい値に基づいて実行され、その後、補正された信号プロファイルs1、s3、...が評価され、ドリフトパラメータP1、P2、...の最適化された値がメモリに格納される。例えば、図4に示されているような6ヶ月後に記録された未補正信号プロファイルは、メモリユニット15から取り出され、信号処理ユニット13に入力され、そこで、現在のドリフトパラメータP1、P2、...に基づいて補正方法が実行される。ドリフトパラメータP1、P2、...を変化させることにより、図5に示されているプロファイルから始めて最適なプロファイルが見つかるまで信号プロファイルを変化させる。例えば、ステップ毎の調査は、ドリフトパラメータに対する現在値から始まる信号プロファイルs1、...、s−nからなり、調査のステップ毎に、達成された補正の適合度に対する尺度として、場合によっては測定結果の平均を取った後、検定値が計算される。調査の各ステップについて決定された検定値は、その後、互いに比較され、その後、最良検定値に関連するドリフトパラメータP1、P2、...の値が新しい現在値としてメモリ内に格納される。
【0047】
図6は、個別に適応されたドリフトパラメータP1、P2、...を使って事実上完全な補正が行われた後の図4の信号プロファイルに対応する信号プロファイルs、s、sを示す。
【0048】
前記の説明を補足するために、本発明による方法を、さらに別の角度から説明することにする。未補償クリープ関連ドリフト挙動、またはより具体的には、秤に荷重を載せてから5分後に生じるドリフト値の数ヶ月にわたる変化を表す曲線Lが示されている。曲線Lは、順次測定および測定値の補間を通じて記録された。
【0049】
曲線LCRは、ドリフトパラメータP1、P2、...の適応的に調整された値に基づいて2ヶ月の間隔で適応された補償値のステップ毎の変化を示す。鋸歯形状曲線Lは、補償値LCRに基づいて間隔CI1、CI2、...内の特定の時点で最適になるように補正された秤1のクリープ関連ドリフト挙動を例示している。
【0050】
また、本発明の好ましい実施形態で与えられるような閾値thLDも示されており、この閾値は、最大許容ドリフト偏差に対応し、この閾値は、この閾値を超えたときに、本発明による方法を実行する基準を表す。その結果、本発明による方法は、それぞれの場合において、必要以下の早さで、時間ぎりぎりまで待ってから実行される。
【0051】
また、図7のグラフには、理想的な補償値の近似値を与える補間および外挿によって決定された曲線LCIが描かれている。この曲線の外挿された部分は、鋸歯形状曲線Lの最適化に使用することができ、したがって秤1のドリフト挙動をさらに最適化するために使用できる。
【0052】
図8は、本発明による方法の自動または半自動実行に好適な設計構成の図2の秤1を例示している。
荷重5は、ユーザによって秤1の秤量皿21上に置かれ、長時間そこに残されていた。ディスプレイ18、例えば液晶ディスプレイ画面は、信号プロファイルs−nを期間tに登録されたものとして示し、そこから、ドリフトの存在を結論できる。
【0053】
少なくとも1つの自動作動較正用分銅を使用する秤では、ユーザの助けを借りずに前記プロセスを実行することもできる。
ユーザは、そこで、キーボード19を通じて入力し、秤が最適化方法を実行するのに好適な状態にあることを示すことができる。ユーザは、さらにどれかのキーを押すことで、最適化方法を開始することができ、その後、再び、キーを押すことにより、ドリフトパラメータP1、P2、...の最適化された値を受け入れることができる。
【0054】
調整用分銅が秤の上に自動的に置かれると、最適化プログラムがドリフトを自動的に検出し、最適化方法を自動的に開始する他の可能性もあり、その後、ドリフトパラメータP1、P2、...の最適化された値は、自動的に、またはユーザが前のパラメータ値をそれらで置き換えることを確認した後に限り、格納される。
【0055】
そのため、ドリフトパラメータP1、P2、...の値は、現在の記録された信号プロファイルs−nに基づいて図8に示されている秤1で最適化することができる。それとは別に、秤1は、以前に登録された信号プロファイルs1、...、s−nを使ってドリフトパラメータP1、P2、...に対する値を自動的に最適化するように設計することもできる。ユーザは、再び、格納され、後から使用されるそれぞれの信号プロファイルsで、秤の状態が適切であることを確認し(キーまたは入力フィールド<CONDITION OK>を参照)、最適化方法を起動し(キーまたは入力フィールド<OPTIMIZE>を参照)、ドリフトパラメータP1、P2、...の最適化された値を前のパラメータの置換として受け入れる(キーまたは入力フィールド<ACCEPT>を参照)ことが可能であることが好ましい。
【0056】
本発明による方法および本発明による力測定デバイス1は、好ましい実施形態において説明され、例示された。力測定デバイスは、秤1の形態で説明されている。しかし、本発明は、場合によっては秤の一部をなしうる重量測定デバイス、秤量モジュール、ロードセル、および力センサなどの他の力測定デバイスでも使用できる。この方法は、さまざまな方法で使用することができ、ドリフト現象を引き起こす可能性のある明示的に指定された因子に限定されない。もちろん、この方法は、さらに、ドリフトパラメータP1、P2、...の特定の選択、構成、グループ分け、および適用に限定されない。
【0057】
信号プロファイルs1、...、s−nのメモリ格納のため、例えば、読み書き用の磁気または光学手段を備える記録デバイスとともに静的または動的半導体メモリなどの記憶媒体のさまざまな中央集中または分散配置を使用することができる。
参考文献
[1] EP 0 945 717 A1
[2]「Bauen Sie Ihre Qualitaet auf solidem Grund!」(Build your Quality on Solid Ground!)、company publication、Mettler Toledo GmbH、2001年1月
[3]「Waegefibel」(Weighing Primer)、Mettler Toledo GmbH、2001年4月
[4]米国特許第4,691,290号
[5]WO 03/078937 A1
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】最適化プログラムPOPTに基づいて、本発明の方法または本発明の個別のステップを実行する機能を有する、デジタル信号処理ユニット13およびシグナルプロセッサ130を備える、図2の一実施例として示されている秤1のブロック図である。
【図2】測定信号msの信号プロファイル内に個別にまたは組み合わせて外乱を引き起こす可能性のある記号で表された影響因子d、d、d、d、dを有する前述の秤1を表す図である。
【図3】本発明による方法を実行するのに好適な構成要素であって、その動作を行うように規定された構成要素を含む測定値変換器10を表す図である。
【図4】数ヶ月の時間間隔で記録された非補正ドリフトプロファイルを表す図である。
【図5】一度に設定され固定されたドリフトパラメータを使って補正された、数ヶ月の時間間隔で記録されたドリフトプロファイルを表す図である。
【図6】適応的に更新されたドリフトパラメータを使って補正された、数ヶ月の時間間隔で記録されたドリフトプロファイルを表す図である。
【図7】荷重が印加された後5分以内にクリープの結果として生じる補正ドリフト成分と非補正ドリフト成分の数ヶ月間にわたって外挿された時間プロファイルL、Lとともに、本発明により適応させた補正値の実際のプロファイルLCR、および理想的補正値の外挿されたプロファイルを表す図である。
【図8】自動的に、または半自動的に本発明による方法を実行することができる、図2の秤1を表す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 電子式力測定デバイス
10 測定変換器
11、12、13、14、15A モジュール
13 信号処理ユニット
14 センサ
15、15A、15B メモリユニット
16、130 プロセッサ
17 プリンタ
19 入力ユニット
20 中央コンピュータ
22 ネジ
102 秤量皿キャリア
103 回路モジュール
140 センサ
1011 平たいリボンケーブル
1012、1021 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子式力測定デバイス(1)、特に、秤内のドリフト現象を補正する方法であって、前記秤は、前記力測定デバイスに印加される荷重を表す測定信号(ms)を形成するのに使用される測定変換器(10)を備え、前記測定信号は、少なくとも1つのプロセッサ(130、16)によってサポートされ、デジタル信号処理するために使用される信号処理ユニット(13)に送られ、前記信号処理ユニット(13)はドリフト偏差を補償することができ、その目的のために、前記信号処理ユニットはプロセッサ(130、16)を使って、メモリユニット(15、15A、15B)に格納され、時間依存補正値を計算する基準として使用され、それにより前記測定信号(ms)のドリフト誤差が補正されるドリフトパラメータ(P1、P2、...)にアクセスし、
前記プロセッサ(130、16)および前記信号処理ユニット(13)を使って、前記メモリユニット(15、15A、15B)に格納されている最適化プログラム(POPT)の制御に従い、自動的に制御されるかまたは前記ユーザによって選択される時間間隔(CI1、CI2)で、前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)に対する新しい最適化された値が、以前にまたは現時点に格納された少なくとも1つの未補正振幅プロファイルまたは一部のみ補正された振幅プロファイルから、または前記測定信号の対応する振幅/時間値対から、または信号プロファイルから自動的に決定され、前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)に対する前記新しい最適化された値は、メモリユニット(15、15A、15B)に格納されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)に対する新しい値は、好ましくは前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)の前記現在値に基づき、以前にまたは現時点に格納されている測定データを使用して、さらに検定データおよび/または較正データを使用して、決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定信号(ms)の振幅または振幅/時間値対の非補正または部分的に補正された時間グラフ、つまり前記測定信号の時間プロファイル(s1、...、s−n)は、前記力測定デバイスの通常動作時の測定の実行の際に、検定プロセスで、および/または較正プロセスで、前記それぞれの時間情報と共にまたはなしに格納されるが、前記測定信号の時間プロファイルは、好ましくは前記荷重が印加されるときだけでなく前記荷重が取り除かれるときにも記録されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
a)前記格納されている信号プロファイルs1、...s−nに基づき、現在発生しているドリフト現象の大きさldACTが決定され、対応する閾値(thLD)と比較され、前記閾値(thLD)を超えたことが判明した後、前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)を最適化する方法が実行され、
b)ドリフト現象の前記補正の方法は、ユーザにより、または時間制御関数を使って自動的に開始されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記信号プロファイル(s1、...s−n)の少なくとも個別のいくつかの信号プロファイルは、前記メモリユニット(15、15A、15B)から取り出され、順次、前記信号処理ユニット(13)に送り込まれ、そこで、ドリフト現象の前記補正が前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)の新しい値に基づいて実行され、その後、前記補正された信号プロファイル(s1、...s−n)が評価され、前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)の最適化された値がメモリに格納されることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記ドリフトパラメータ(P1、P2)の現在値から始めて、前記信号プロファイル(s1、...、s−n)は、ステップ毎の調査を受け、検定値は、その後、前記調査のステップ毎に、場合によっては前記測定結果に対する前記平均値を決定した後に計算され、前記検定値は、前記補正の適合度に対応し、前記最良検定値に関連する前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)の前記値は、前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)の前記新しい現在値として格納されることを特徴とする請求項3、4、または5に記載の方法。
【請求項7】
前記力測定デバイスに作用する力の結果である前記力測定デバイスの特性が決定され、および/または特徴的な信号プロファイル特性は、前記信号プロファイル(s1、...、s−n)から決定され、前記特性に基づいて、前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)を最適化するのに好適なデータが選択され、不適当とわかったデータは、これ以降の考察から除外されることを特徴とする請求項2から6の一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザによって受け入れられたデータは、さらに考察を続けられ、および/またはこれ以降の考察は、
a)前記力測定デバイス(1)の前記通常動作モードからの偏差が記録された時刻に関連する時刻情報を含むデータ、
b)機械的振動、大気湿度、ライン電源の不安定、前記荷重または前記測定対象に依存するか、またはそれとは独立した気流により引き起こされる外乱、または温度関係の外乱などの、外乱が記録されたときの期間に関連するデータ、
c)前記荷重の印加および除去の際に非対称ドリフトプロファイルに基づいて決定されている場合がある、前記測定時に水分の放出または吸収により引き起こされた可能性のある荷重変化が登録されたデータ、および/または、
d)前の測定アプリケーションによる外乱が登録されたデータに対しては行われないことを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記荷重の印加または前記荷重の印加と除去の両方について現在記録されている未補正または部分的に補正された信号プロファイル(S)は、前記ユーザにより、または前記最適化プログラム(POPT)により自動的に、使用について受け入れることができると確認され、前記ユーザの開始または前記最適化プログラム(POPT)の起動時に、新しい最適化された値は、すべてのドリフトパラメータ(P1、P2、...)について、または前記現在関与しているドリフトパラメータのみについて、少なくとも前記現在記録されている信号プロファイル(S)に基づいて自動的に決定されることを特徴とする請求項2から8の一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザにより確認された後の前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)の前記新しい値は、前記前のドリフトパラメータ(P1、P2、...)を置き換えるためにメモリユニット(15、15A、15B)内に格納されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記力測定デバイス(1)の動作時間全体にわたって、前記力測定デバイス(1)の未補償ドリフト値の少なくとも1つの時間プロファイル(L)が記録され、前記非補償ドリフト値に関連する補償値の時間プロファイル(LCI)が、ドリフト現象の前記補正のためそれに応じて更新され使用されることを特徴とする請求項1から10の一項に記載の方法。
【請求項12】
力測定デバイス(1)、特に前記力測定デバイスに印加される荷重を表す測定信号(ms)を送るために使用される測定変換器(10)を備える秤であって、前記測定信号は、アナログ/デジタルコンバータ(12)を使って少なくとも1つのプロセッサ(130、16)によりサポートされる信号処理ユニット(13)に送ることができ、前記信号処理ユニット(13)はドリフト偏差を補償することができ、前記目的に関して、前記信号処理ユニットは、前記プロセッサ(130、16)を使って、メモリユニット(15、15A、15B)に格納され、前記測定信号(ms)の前記ドリフト誤差を補正するために使用できる時間依存補正値を計算する基準として使用されるドリフトパラメータ(P1、P2、...)にアクセスすることができ、
前記プロセッサ(130、16)および前記信号処理ユニット(13)を使って、前記メモリユニット(15、15A、15B)に格納されている最適化プログラム(POPT)の制御に従い、自動的に制御されるかまたは前記ユーザによって選択される時間間隔(CI1、CI2)で、前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)に対する新しい最適化された値が、以前にまたは現時点に格納された少なくとも1つの未補正振幅プロファイルまたは一部のみ補正された振幅プロファイルから、または前記測定信号の対応する振幅/時間値対から、または信号プロファイルから自動的に決定され、前記ドリフトパラメータ(P1、P2、...)に対する前記新しい最適化された値は、メモリユニット(15、15A、15B)に格納されることを特徴とする力測定デバイス。
【請求項13】
前記最適化プログラム(POPT)は、請求項1から11の一項に記載の方法を実行するのに好適であることを特徴とする請求項12に記載の力測定デバイス(1)。
【請求項14】
前記メモリユニット(15、15A、15B)は、前記信号プロファイル(s1、s−n)を格納するのに好適な、読み書き機能を備える記憶装置媒体であることを特徴とする請求項12または13に記載の力測定デバイス(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの較正調整用分銅を備える手段が適用され、それによって、前記力測定デバイス(1)は較正することができ、それによって、信号プロファイル(s1)は登録することができ、それに基づき、新しいドリフトパラメータ(P1、P2、...)は、前記最適化プログラム(POPT)により登録することができることを特徴とする請求項12、13、または14の一項に記載の力測定デバイス(1)。
【請求項16】
力測定デバイス(1)の状態を入力し、および/または請求項1から11の一項に記載の方法を初期化する手段が提供され、および/またはユーザがドリフトパラメータ(P1、P2、...)の最適化された値の受け入れを確認できるようにする手段が提供されることを特徴とする請求項12、13、14、または15の一項に記載の力測定デバイス(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−3522(P2007−3522A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−169844(P2006−169844)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland