説明

加圧水型原子炉及び炉心崩壊熱除去方法

【課題】炉心崩壊熱の除去を改善できる加圧水型原子炉及び炉心崩壊熱除去方法を提供する。
【解決手段】加圧水型原子炉10は、原子炉圧力容器から送り出された1次冷却材が流通する1次側配管12と、2次冷却材を供給する主給水管13と、1次側配管12が配される熱交換部14、及び熱交換部14と下部で連通するとともに上部に主給水管13を設けた2次冷却材供給部16と、を有する蒸気発生器11を備え、蒸気発生器11で蒸発した2次冷却材を送出する主蒸気管17と、蒸気発生器11の熱交換部14下部に連通し、熱交換部14内の2次冷却材を取り出し可能なブロー管18と、ブロー管18及び主給水管13をバイパスするバイパス配管19と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧水型原子炉に関し、特に全交流電源喪失時に炉心の崩壊熱を除去する加圧水型原子炉及び炉心崩壊熱除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2次冷却系よりも上方に配設され、弁を有する配管を介して2次冷却系に連通した第1水源を有し、蒸気発生器が、その入口ノズルが原子炉圧力容器の出口ノズルよりも下方に配設された加圧水型原子炉がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、第2水源は、第2水源に接続された配管にある弁の開弁時に放出される水により、ホッドレッグ配管及びコールドレッグ配管を冠水させるに足る水容量を有する。特許文献1は、動的機器の使用を弁のような信頼性の高い機器に最小限に止めて、実質的に静的に崩壊熱を除去できる。
【0003】
また、蒸気発生器用緊急給水設備に2つの別個の補助系を設けた加圧水型原子炉がある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2は、補助系に、作動時に少なくとも2つの蒸気発生器に水を供給し、各補助系は、緊急給水タンクと、このタンクから導出して蒸気発生器への入口ノズルに連通する一対の緊急給水管とを含む。特許文献2は、緊急給水管のうち、一方には、電気的に作動するモータにより駆動するポンプを設け、他方には、蒸気タービン駆動のポンプを設け、各緊急給水管には、蒸気発生器の入口ノズルとポンプとの間にベンチュリオリフィスを設ける。特許文献2は、系の動作を損なう事態の発生に際し、緊急給水系の動作を保証し、併せて、系の標準化を容易にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2548838号公報
【特許文献2】実公平7−12957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、冷却材喪失に伴う1次冷却系の圧力低下時に、第1減圧手段が作動されて、原子炉圧力容器の蓋体に接続された配管の弁から、炉心に発生した水素ガス、酸素ガス等の非凝縮性ガスを格納容器に放出する。特許文献1は、第2水源に接続された配管に設けた弁が開弁され、第2水源の水を原子炉圧力容器内に注入する。第2水源は、ホットレッグ配管及びコールドレッグ配管よりも上方に配設しているために、弁の開弁時に水が水頭差により放出して冠水する。しかし、特許文献1は、炉心崩壊熱を除去する点において改善の余地を有する。
【0006】
一方、特許文献2は、蒸気発生器用緊急給水設備に2つの別個の補助系を設けた。しかし、特許文献2は、特許文献1と同様に、炉心崩壊熱を除去する点において改善の余地を有する。
【0007】
ところで、特許文献1及び特許文献2と同様に、全交流電源喪失時、炉心での崩壊熱を直接給水で除去できない場合に、蒸気発生器による熱交換で1次側の熱を2次側に伝達し除熱を行う加圧水型原子炉が提案されている。図4に示すように、このような加圧水型原子炉100は、原子炉圧力容器101と、伝熱管103を内蔵した蒸気発生器102と、主蒸気逃がし弁104と、タービン発電機105と、加圧器106と、を備える。加圧水型原子炉100は、水源150に設置された仮設ポンプ107及び仮設ホース108と、タンク109に連通した仮設ポンプ110と、復水タンク111と、タービン動補助給水ポンプ112と、主給水ポンプ113と、を備える。図5に示すように、加圧水型原子炉100は、緊急時の冷却用に、1次冷却材へほう酸を供給するためのほう酸ポンプ114及びほう酸タンク115と、水源150から蒸気発生器102へ水を直接注入するための仮設ポンプ116及び仮設ホース117と、を備える。
【0008】
加圧水型原子炉100は、原子炉圧力容器101内の炉心(核燃料)で非沸騰の高温高圧水をつくり、これを蒸気発生器102に導く。加圧水型原子炉100は、蒸気発生器102の中で伝熱管103の1次系(内側)から2次系(外側)に熱を伝えて2次側に蒸気を発生する。そして、加圧水型原子炉100は、蒸気発生器102が発生した蒸気をタービン発電機105に送って発電する。加圧水型原子炉100は、1次系の圧力が、加圧器106により制御及び維持される。加圧水型原子炉100は、蒸気発生器102の伝熱管103の内側と外側とで放射性物質を含む1次系(原子炉冷却系)と放射性物質を含まない2次系(主蒸気系)とが隔離される。
【0009】
図6に示すように、加圧水型原子炉100は、津波が発生して海水による冷却機能が喪失し、非常用ディーゼル発電機も機能が喪失し、外部電源の喪失に伴って全交流電源が喪失した場合、以下の制御動作を実行する。まず、主給水ポンプ113及びタービン動補助給水ポンプ112等による蒸気発生器102への給水冷却を実施する(S101)。次に、仮設ホース108を通じて仮設ポンプ107により給水を確保し、タービン動補助給水ポンプ112で継続して炉心を冷却する(S102)。同時に、主蒸気逃がし弁104を開弁して放射能を含まない蒸気を大気に放出して原子炉圧力容器101を冷却する。ここで、1次冷却温度が、例えば、約170℃になった場合、高温停止となる(S103)。全交流電源喪失時には、中央制御室監視機能等に必要な電力は、高圧発電機車118から給電する。
【0010】
次に、ほう酸ポンプ114を駆動してほう酸タンク115から1次冷却材へほう酸を供給して未臨界を維持する(S104)。そして、仮設ポンプ116を駆動して仮設ホース117により蒸気発生器102に2次側でのフィードアンドブリードを行う(S105)。フィードアンドブリードによる連続的な蒸気発生器102への水の供給及び排水により、蒸気発生器102を介して原子炉圧力容器101内を冷却する。これらにより、炉心を冷却することにより、1次冷却材の温度が、例えば、約93℃以下の低温停止を達成する(S106)。
【0011】
図7に示すように、加圧水型原子炉100の1次冷却材圧力は、時点t11において全交流電源が喪失した時点t11の以後の時点t12において、例えば、15.4MPaである。そして、時点t12においてタービン動補助給水ポンプ112により2次冷却材への冷却を開始する。タービン動補助給水ポンプ112による冷却により1次冷却材圧力が下がり、時点t12の以後の時点t13においてほう酸ポンプ114を駆動してほう酸タンク115から1次冷却材へほう酸を供給する。これにより、時点t14において、加圧水型原子炉100の1次冷却材圧力は、例えば、5.2MPa(4.2MPa)から、例えば、2.4MPa(1.7MPa)で例えば、約224℃(約208℃)に下がって、この状態を維持する。
【0012】
時点t14の以後の時点t15において冷却を停止し、窒素混入の防止のため、ほう酸タンク115を閉成する。時点t15においてタービン動補助給水ポンプ112等による蒸気発生器102への給水冷却を再開することにより時点t16において、例えば、0.7MPaで、例えば、約170℃に下がる。そして、時点t16の以後の時点t17においてほう酸ポンプ114を駆動してほう酸タンク115から1次冷却材へほう酸を供給する。次に、時点t17から低温停止状態に向けたプロセスとして、仮設ポンプ116を駆動して仮設ホース117により蒸気発生器102に2次側でのフィードアンドブリードを行うことにより、時点t17の以後の時点t18において低温停止する。
【0013】
このように、加圧水型原子炉100は、全交流電源喪失時、炉心での崩壊熱を直接給水で除去できない場合、蒸気発生器102による熱交換で1次側の熱を2次側に伝達し除熱を行う。このとき、蒸気発生器102では器内への給水を行い、自然循環により管群部に水を供給し、伝熱管103を介して1次側から2次側へ伝熱を行う。電源喪失後の初期は、補助給水及び主蒸気逃がし弁104での沸騰潜熱による除熱を行うが、1次側温度がある程度低下した後に蒸気発生器102内を満水にし、水単相冷却に切り替える。
【0014】
ところが、図8に示すように、加圧水型原子炉100は、蒸気発生器102の2次側が沸騰状態の場合、1次側からの入熱により伝熱管103の部分で蒸気泡が発生する。そのため、加圧水型原子炉100は、降水部と伝熱管103部との密度差による駆動力で自然循環が発生することにより、給水が伝熱管103部に供給される。
【0015】
図9に示すように、加圧水型原子炉100は、水単相冷却の場合、1次側からの入熱により伝熱管103部で水が温められ、降水部と伝熱管103部の密度差による駆動力で自然循環が発生することにより、給水が伝熱管103部に供給される。
【0016】
図10に示すように、加圧水型原子炉100は、水冷却の場合、1次側からの入熱量が小さく、流速が非常に遅いため、伝熱管103を含む管群部等で滞留やよどみ域等が生じ、それが抵抗となって自然循環を阻害することがある。そのため、加圧水型原子炉100は、所定の給水量が降水部から管群部に流れずに、熱交換に寄与できないために、給水の一部が上部にバイパスすることがある。従って、加圧水型原子炉100は、特許文献1及び特許文献2と同様に、炉心崩壊熱を除去する点において改善の余地を有する。
【0017】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、炉心崩壊熱の除去を改善できる加圧水型原子炉及び炉心崩壊熱除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る加圧水型原子炉は、原子炉圧力容器を備えるとともに、前記原子炉圧力容器から送り出された1次冷却材が流通する1次側配管と、2次冷却材を供給する主給水管と、前記1次側配管が配される熱交換部、及び前記熱交換部と下部で連通するとともに上部に主給水管を設けた2次冷却材供給部と、を有する蒸気発生器を備え、前記蒸気発生器で蒸発した前記2次冷却材を送出する主蒸気管と、前記蒸気発生器の前記熱交換部下部に連通し、前記熱交換部内の前記2次冷却材を取り出し可能なブロー管と、前記ブロー管及び前記主給水管をバイパスするバイパス配管と、を備える。
【0019】
本発明に係る炉心崩壊熱除去方法は、原子炉圧力容器から送り出された1次冷却材を1次側配管に流通し、主給水管に2次冷却材を供給し、2次冷却材供給部に、前記1次側配管が配される熱交換部、及び前記熱交換部と下部で連通するとともに上部に主給水管を設けた蒸気発生器で蒸発した前記2次冷却材を主蒸気管から放出し、前記蒸気発生器の前記熱交換部下部に連通してバイパス配管により前記主給水管からバイパスするブロー管を通じて前記熱交換部内の前記2次冷却材を取り出す。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る加圧水型原子炉及び炉心崩壊熱除去方法によれば、炉心崩壊熱の除去を改善できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る一実施形態の加圧水型原子炉の蒸気発生器周りの配管図である。
【図2】本発明に係る一実施形態の炉心崩壊熱除去方法の制御動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明に係る一実施形態の炉心崩壊熱除去方法の制御動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】従来の加圧水型原子炉の前段の炉心崩壊熱除去動作を説明する概略図である。
【図5】従来の加圧水型原子炉の後段の炉心崩壊熱除去動作を説明する概略図である。
【図6】従来の炉心崩壊熱除去方法の制御動作を説明するフローチャートである。
【図7】従来の炉心崩壊熱除去方法の制御動作を説明するタイミングチャートである。
【図8】従来の加圧水型原子炉の沸騰時の断面図である。
【図9】従来の加圧水型原子炉の水単相時の理想的な冷却サイクル図である。
【図10】従来の加圧水型原子炉の不具合時の冷却サイクル図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る一実施形態の加圧水型原子炉について図面を参照して説明する。なお、本発明に係る一実施形態の加圧水型原子炉において従来と同様の部位は、図4及び図5と同様の符号を用いる。
【0023】
図1に示すように、本発明に係る一実施形態の加圧水型原子炉10は、原子炉圧力容器101から送り出された1次冷却材W1が流通する1次側配管12と、2次冷却材W2を供給する主給水管13とを有する蒸気発生器11を備える。蒸気発生器11は、1次側配管12が配されていて管群部15を有する熱交換部14及び熱交換部14に下部で連通するとともに上部に主給水管13を設けた2次冷却材供給部16と、を有する。そして、加圧水型原子炉10は、蒸気発生器11で蒸発した2次冷却材W2を送出する主蒸気管17と、蒸気発生器11の熱交換部14の下部に連通し、熱交換部14内の2次冷却材W2を取り出し可能なブロー管18とを備える。さらに、加圧水型原子炉10は、ブロー管18及び主給水管13をバイパスするバイパス配管19を備える。
【0024】
加圧水型原子炉10は、全交流電源喪失時に高圧発電機車118等の代替電源により主給水ポンプ113が駆動する。主給水ポンプ113は、上流側配管20が貯水タンク等の水源150に接続され、下流側配管21が主給水管バルブ22及びバイパス配管19の一端部に接続されている。バイパス配管19は、バイパスバルブ23を有し、他端部がブロー管18に接続されている。ブロー管18は、不図示のバルブを通じてモニタリング用の取水配管24に接続されている。ブロー管18は、通常運転中の蒸気発生器102内の水質管理を目的として、循環流量の数%程度を抽出する。
【0025】
加圧水型原子炉10は、通常時に、主給水管バルブ22を開弁するとともにバイパスバルブ23を閉弁し、ブロー管18を通じて蒸気発生器11の熱交換部14内の2次冷却材W2を取水配管24から取り出す。そして、加圧水型原子炉10は、取り出された2次冷却材W2をモニタリング処理することにより、2次冷却材W2内に含まれる放射能線量を検査する。
【0026】
加圧水型原子炉10は、全交流電源喪失時に、主給水管バルブ22を閉弁するとともにバイパスバルブ23を開弁し、代替電源により主給水ポンプ113を駆動する。主給水ポンプ113が駆動することにより、ブロー管18を通じて、水源150から熱交換部14の管群部15へ強制給水することにより、炉心崩壊熱を除去する。
【0027】
次に、加圧水型原子炉10の制御動作について説明する。図2に示すように、加圧水型原子炉10は、津波が発生して海水による冷却機能が喪失し、非常用ディーゼル発電機も機能が喪失し、外部電源の喪失に伴って全交流電源が喪失した場合、以下の制御動作を実行する。まず、タービン動補助給水ポンプ112等による蒸気発生器11への給水冷却を実施する(S11)。次に、仮設ホース108を通じて仮設ポンプ107により給水を確保し、タービン動補助給水ポンプ112で継続して炉心を冷却する(S12)。同時に、主蒸気逃がし弁104を開弁して放射能を含まない蒸気を大気に放出して原子炉圧力容器101を冷却する。ここで、1次冷却温度が、例えば、約170℃になった場合、高温停止となる(S13)。
【0028】
次に、ほう酸ポンプ114を駆動してほう酸タンク115から1次冷却材W1へほう酸を供給して未臨界を維持する(S14)。そして、主給水管バルブ22を閉弁するとともにバイパスバルブ23を開弁し、代替電源により主給水ポンプ113を駆動して、ブロー管18を通じて、水源150から熱交換部14の管群部15へ強制給水することにより、炉心崩壊熱を除去する(S15)。これにより、炉心を冷却することにより、1次冷却材W1の温度が、例えば、約93℃以下の低温停止を達成する(S16)。
【0029】
次に、加圧水型原子炉10の1次冷却材圧力の変動について説明する。図3に示すように、加圧水型原子炉10の1次冷却材圧力は、時点t1において全交流電源が喪失した時点t1の以後の時点t2において、例えば、15.4MPaである。そして、時点t2においてタービン動補助給水ポンプ112により2次冷却材W2への冷却を開始する。タービン動補助給水ポンプ112による冷却により1次冷却材圧力が下がり、時点t22の以後の時点t3においてほう酸ポンプ114を駆動してほう酸タンク115から1次冷却材W1へほう酸を供給する。これにより、時点t4において、加圧水型原子炉10の1次冷却材圧力は、例えば、5.2MPa(4.2MPa)から、例えば、2.4MPa(1.7MPa)で例えば、約224℃(約208℃)に下がって、この状態を維持する。
【0030】
時点t4の以後の時点t5において冷却を停止し、窒素混入の防止のため、ほう酸タンク115を閉成する。時点t5においてタービン動補助給水ポンプ112等による蒸気発生器11への給水冷却を再開することにより時点t6において、例えば、0.7MPaで、例えば、約170℃に下がる。そして、時点t6の以後の時点t7においてほう酸ポンプ114を駆動してほう酸タンク115から1次冷却材W1へほう酸を供給する。次に、時点t7において主給水管バルブ22を閉弁するとともにバイパスバルブ23を開弁し、代替電源により主給水ポンプ113を駆動する。これにより、ブロー管18を通じて、水源150から熱交換部14の管群部15へ強制給水することにより、時点t8までの間に炉心崩壊熱を除去できる。
【0031】
以上、説明したように、一実施形態の加圧水型原子炉10によれば、蒸気発生器11の熱交換部14内の2次冷却材W2を、バイパス配管19を通じて主給水管13にバイパスするブロー管18から取り出す。従って、加圧水型原子炉10によれば、ブロー管18により2次冷却材W2内に含まれる放射能線量を検査できる。
【0032】
また、加圧水型原子炉10によれば、全交流電源喪失時に、主給水ポンプ113が駆動することにより、ブロー管18を通じて、水源150から熱交換部14の管群部15へ強制給水する。従って、加圧水型原子炉10によれば、モニタリングに用いるブロー管18を活用することにより、炉心崩壊熱を強制的に除去できるので、炉心崩壊熱の除去を改善できる。
【0033】
そして、炉心崩壊熱除去方法によれば、蒸気発生器11の熱交換部14内の2次冷却材W2を、バイパス配管19を通じて主給水管13にバイパスするブロー管18から取り出す。従って、炉心崩壊熱除去方法によれば、ブロー管18により2次冷却材W2内に含まれる放射能線量を検査できる。
【0034】
さらに、炉心崩壊熱除去方法によれば、全交流電源喪失時に、主給水ポンプ113が駆動することにより、ブロー管18を通じて、水源150から熱交換部14の管群部15へ強制給水する。従って、炉心崩壊熱除去方法によれば、モニタリングに用いるブロー管18を活用することにより、炉心崩壊熱を強制的に除去できるので、炉心崩壊熱の除去を改善できる。
【0035】
なお、本発明の加圧水型原子炉は、前述した一実施形態に限定するものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【0036】
以上述べたように、本発明の加圧水型原子炉によれば、炉心崩壊熱の除去を改善できる。以上の結果として、原子力発電の分野において緊急時に有効に機能する手段を提供でき、本発明の産業上の利用可能性は大といえる。
【符号の説明】
【0037】
10 加圧水型原子炉
11 蒸気発生器
12 1次側配管
13 主給水管
14 熱交換部
16 2次冷却材供給部
17 主蒸気管
18 ブロー管
19 バイパス配管
101 原子炉圧力容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉圧力容器を備えるとともに、
前記原子炉圧力容器から送り出された1次冷却材が流通する1次側配管と、2次冷却材を供給する主給水管と、前記1次側配管が配される熱交換部、及び前記熱交換部と下部で連通するとともに上部に主給水管を設けた2次冷却材供給部と、を有する蒸気発生器を備え、
前記蒸気発生器で蒸発した前記2次冷却材を送出する主蒸気管と、
前記蒸気発生器の前記熱交換部下部に連通し、前記熱交換部内の前記2次冷却材を取り出し可能なブロー管と、
前記ブロー管及び前記主給水管をバイパスするバイパス配管と、を備える加圧水型原子炉。
【請求項2】
請求項1に記載の加圧水型原子炉において、
前記バイパス配管の切り替え動作に伴い、前記ブロー管を通じて管群部へ給水可能である加圧水型原子炉。
【請求項3】
原子炉圧力容器から送り出された1次冷却材を1次側配管に流通し、主給水管に2次冷却材を供給し、2次冷却材供給部に、前記1次側配管が配される熱交換部及び前記熱交換部と下部で連通するとともに上部に主給水管を設けた蒸気発生器で蒸発した前記2次冷却材を主蒸気管から放出し、前記蒸気発生器の前記熱交換部下部に連通してバイパス配管により前記主給水管からバイパスするブロー管を通じて前記熱交換部内の前記2次冷却材を取り出す炉心崩壊熱除去方法。
【請求項4】
請求項3に記載の炉心崩壊熱除去方法において、
前記バイパス配管の切り替え動作に伴い、前記ブロー管を通じて管群部へ給水する炉心崩壊熱除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−113653(P2013−113653A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258711(P2011−258711)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)