説明

加圧流動床ボイラシステム及びこれを具備する発電システム並びに加圧流動床ボイラシステムの運転方法

【課題】火炉内の流動床の高さが維持される加圧流動床ボイラシステム及びこれを具備する発電システム並びに加圧流動床ボイラシステムの運転方法を提供する。
【解決手段】石炭、石灰石及び水からなる燃料における石灰石の石炭に対する比率(L/C)に基づいて流動床60を形成する流動媒体61の高さが増減すると共に、流動媒体61を炉底から抜き出し可能に形成された加圧流動床ボイラ20と、前記燃料を製造してこの燃料を加圧流動床ボイラ20に供給する燃料供給手段40と、単位時間における加圧流動床ボイラ20の流動媒体61の高さの実測変位量を計測し、この実測変位量に基づいて所定時間後における流動媒体61の増減量を算出し、この増減量と加圧流動床ボイラ20から抜き出される流動媒体61の抜き出し量との差である予測増減量が所定値以下となるように前記L/Cを算出する演算手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加圧流動床ボイラシステム及びこれを具備する発電システム並びに加圧流動床ボイラシステムの運転方法に関し、特に、加圧流動床ボイラからの出力を安定化させる場合に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧力容器とその内部に設けられた火炉とを具備し、火炉内の流動媒体を加圧空気で流動させて流動床を形成し、この流動床に燃料を投入して燃焼させる加圧流動床ボイラを備える発電プラントが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11は、従来技術に係る加圧流動床ボイラシステムの主要部分の概略図である。図示するように、加圧流動床ボイラシステムは、加圧流動床ボイラ200と、石灰石を主成分とする流動媒体61(BM;Bed Material)を貯蔵するBMタンク310と、加圧流動床ボイラ200に燃料を供給する燃料供給手段400とを具備している。
【0004】
加圧流動床ボイラ200は、圧力容器210と、その内部に設けられた火炉220とを有している。BMタンク310は、火炉220に流動媒体61を投入すると共に火炉220から流動媒体61を抜き出すことが可能に構成されている。火炉220の内部では、燃料供給手段400からの石炭・石灰石・水からなる燃料(CWP;Coal Water Paste)とBMタンク310から供給された流動媒体61とが加圧空気により流動化されて流動床60を形成している。
【0005】
なお、火炉220は、流動媒体(燃料を燃焼した後に生じる灰も含む)を抜き出すことが可能になっている。この抜き出しを「BM炉底抜き出し」という。このBM炉底抜き出しにより、単位時間当たりの抜き出し量が一定で所定時間に亘って流動媒体が火炉220から排出される。
【0006】
かかる構成の加圧流動床ボイラシステムは、通常、次のように稼動している。
【0007】
火炉220内には、BMタンク310から供給された流動媒体61が所定量収容されている。この流動媒体61は、図示しない空気供給手段により火炉220底部から吹き込まれる空気により流動化されて流動床60を形成している。そして、燃料供給手段400により流動床60に投入されたCWPが加圧状態(例えば約1MPa)で燃焼される。
【0008】
このとき、火炉220内の流動床60の高さhは、数時間経過後も維持されるとは限らない。火炉220内に投入された燃料の石灰石(L;Lime)の石炭(C;Coal)に対する比率(以下、「L/C」と称する。)によって高さhは、漸増したり漸減したりするからである。
【0009】
火炉220内の流動床60の高さhが漸増して、火炉220の上面に達する虞が生じる場合は、例えば火炉220の流動媒体61をBMタンク310へ抜き出したり、BM炉底抜き出しを行うことで対処できるものの、依然として高さhの漸増傾向は変わらず、数時間後には上述したような虞が再現する。また、流動床60の高さhが低いと流動床60での燃焼温度は高いという関係があり、上述のような火炉220からのBMの抜き出しによって急激に高さhが低くなると、火炉220内の温度が急上昇する。例えば、火炉220内に蒸気タービン発電装置(図示せず)に蒸気を供給するための伝熱管が引き回されている場合、当該伝熱管内部で生じる蒸気の温度が安定しないという問題が生じる。
【0010】
これらのことから、流動床60の高さhが漸増・漸減せずに維持されるように加圧流動床ボイラ200を稼働させることが望ましい。
【0011】
勿論、流動床60の高さhが維持されるような最適なL/CでCWPを製造し、火炉220に供給することも考えられる。しかしながら、加圧流動床ボイラ200の負荷が変動することから、当初のL/Cが運転開始後においても最適であるとは限らない。
【0012】
従来、このような加圧流動床ボイラ200は、これを管理する者の経験に基づいて算出されたL/Cで運転されていた。しかしながら、管理者が十分な経験を得るまでには相応の時間をようするため、管理者によってL/Cはばらついてしまい、加圧流動床ボイラ200は常時適正なL/Cでは運転されていなかった。
【0013】
【特許文献1】特開平6−10710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、かかる事情に鑑み、加圧流動床ボイラに供給される燃料における石灰石の石炭に対する最適な比率をばらつきなく算出し、この比率の燃料で加圧流動床ボイラを運転させる加圧流動床ボイラシステム及びこれを具備する発電システム並びに加圧流動床ボイラシステムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、投入される石炭、石灰石及び水からなる燃料における石灰石の石炭に対する比率に基づいて流動床を形成する流動媒体の高さが増減すると共に、前記流動媒体を炉底から抜き出し可能に形成された加圧流動床ボイラと、前記石灰石及び前記石炭を任意の比率で混合することにより前記燃料を製造してこの燃料を前記加圧流動床ボイラに供給する燃料供給手段と、単位時間における前記加圧流動床ボイラの前記流動媒体の高さの実測変位量を計測し、この実測変位量に基づいて所定時間後における前記流動媒体の増減量を算出し、この増減量と前記加圧流動床ボイラから抜き出される流動媒体の抜き出し量との差である予測増減量が所定値以下となるように前記燃料における石灰石の石炭に対する比率を算出する演算手段とを具備することを特徴とする加圧流動床ボイラシステムにある。
【0016】
かかる第1の態様では、加圧流動床ボイラ内の流動床の高さの変動が平衡となるような燃料の石灰石の石炭に対する比率が算出される。例えば加圧流動床ボイラシステムの管理者は算出された比率に基づいた燃料を加圧流動床ボイラに供給することにより、加圧流動床ボイラを経験に依存しないで安定して運転させることができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する加圧流動床ボイラシステムにおいて、前記演算手段により算出された前記燃料における石灰石の石炭に対する比率で燃料を混合するよう前記燃料供給手段を制御する制御手段を具備することを特徴とする加圧流動床ボイラシステムにある。
【0018】
かかる第2の態様では、燃料の石灰石の石炭に対する比率に基づいて燃料が製造され、加圧流動床ボイラに供給される。これにより、当初の比率に基づく燃料によって漸増・漸減していた前記流動床の高さが平衡状態に維持される。
【0019】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載する加圧流動床ボイラシステムにおいて、前記加圧流動床ボイラに流動媒体を供給すると共に前記加圧流動床ボイラから流動媒体を取り出す流動媒体タンクと、前記加圧流動床ボイラから抜き出された流動媒体を貯蔵する流動媒体中継サイロとを具備し、前記制御手段は、前記流動媒体タンクに貯蔵されている流動媒体の量と、前記流動媒体中継サイロの流動媒体の高さと、前記加圧流動床ボイラ内の流動床の単位時間における変位量とから前記流動媒体タンク又は前記流動媒体中継サイロの許容量が流動媒体で飽和しないように前記流動媒体タンク、前記流動媒体中継サイロ、及び前記加圧流動床ボイラ間で流動媒体を移動させるよう前記流動媒体タンク、前記流動媒体中継サイロ、及び前記加圧流動床ボイラを制御することを特徴とする加圧流動床ボイラシステムにある。
【0020】
かかる第3の態様では、流動媒体タンクや流動媒体中継サイロの流動媒体が飽和したり、枯渇したりすること無く、望ましい運転状態に維持される。
【0021】
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載する加圧流動床ボイラシステムにおいて、前記流動媒体中継サイロの流動媒体をリサイクルして前記流動媒体タンクに供給する流動媒体リサイクル設備を具備することを特徴とする加圧流動床ボイラシステムにある。
【0022】
かかる第4の態様では、流動媒体中継サイロに貯留された流動媒体から使用可能なものが取り出され、流動媒体タンクに供給される。
【0023】
上記目的を達成するための本発明の第5の態様は、第1〜第4の何れか一つの態様に記載する加圧流動床ボイラシステムを具備する発電システムにある。
【0024】
かかる第5の態様では、発電システムのガスタービン発電機や蒸気タービン発電機を安定して稼働させることができる。
【0025】
上記目的を達成するための本発明の第6の態様は、投入される石炭、石灰石及び水からなる燃料における石灰石の石炭に対する比率に基づいて流動床を形成する流動媒体の高さが増減すると共に、前記流動媒体を炉底から抜き出し可能に形成された加圧流動床ボイラと、前記石灰石及び前記石炭を任意の比率で混合することにより前記燃料を製造してこの燃料を前記加圧流動床ボイラに供給する燃料供給手段とを具備する加圧流動床ボイラシステムの運転方法であって、単位時間における前記加圧流動床ボイラの前記流動媒体の高さの実測変位量を計測し、この実測変位量に基づいて所定時間後における前記流動媒体の増減量を算出し、この増減量と前記加圧流動床ボイラから抜き出される流動床の抜き出し量との差である予測増減量が所定値以下となるように前記燃料における石灰石の石炭に対する比率を算出する演算工程と、前記演算工程により算出された前記燃料における石灰石の石炭に対する比率で燃料を混合するよう前記燃料供給手段を制御する制御工程とを具備することを特徴とする加圧流動床ボイラシステムの運転方法にある。
【0026】
かかる第6の態様では、加圧流動床ボイラ内の流動床の高さの変動が平衡となるような燃料の石灰石の石炭に対する比率が算出される。そしてこの比率に基づいて燃料が製造され、加圧流動床ボイラに供給される。これにより、当初の比率に基づく燃料によって漸増・漸減していた前記流動床の高さが平衡状態に維持され、加圧流動床ボイラを管理者等の経験に依存しないで安定して運転させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、管理者の熟練の度合いによらずに、加圧流動床ボイラ内の流動床の高さの変動が平衡となるような燃料の石灰石の石炭に対する最適な比率が算出される。そしてこの比率に基づいて燃料が製造され、加圧流動床ボイラに供給される。これにより、当初の比率に基づく燃料によって漸増・漸減していた前記流動床の高さが平衡状態に維持される。この結果、加圧流動床ボイラシステムの出力は安定し、発電システムのガスタービン発電機や蒸気タービン発電機を安定して稼働させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
【0029】
<実施形態1>
図1は、本実施形態に係る加圧流動床ボイラシステムを備える発電システムの概略構成図である。この発電システムは、燃料を燃焼することにより蒸気を生成する加圧流動床ボイラシステム10と、この蒸気により駆動される蒸気タービン発電機71と、燃焼の際に生じる排ガスにより駆動されるガスタービン発電機70とを具備している。
【0030】
加圧流動床ボイラシステム10は、流動床で燃料を燃焼する加圧流動床ボイラ20と、
加圧流動床ボイラ20に流動媒体を供給したり加圧流動床ボイラ20から流動媒体を取出すBMタンク31と、加圧流動床ボイラ20に燃料を供給する燃料供給手段40と、加圧流動床ボイラ20内の流動媒体の高さ等に基づいて燃料の石炭・石灰石・水の比率が所望の値となるよう燃料供給手段40を制御する制御装置50とを具備している。更に本実施形態では、加圧流動床ボイラシステム10は、加圧流動床ボイラ20から排出された流動媒体61を貯蔵するBM中継サイロ32と、BM中継サイロ32からの流動媒体61をリサイクルしてBMタンク31に供給するBMリサイクル設備33とを具備している。なお、このBMリサイクル設備33は必ず設けなければならないものではない。
【0031】
加圧流動床ボイラ20は、圧力容器21と、その内部に設けられた火炉22とを有している。火炉22内には、石灰石を主成分とする流動媒体61が所定量収容されている。この流動媒体61は、図示しない空気供給手段により火炉22底部から吹き込まれる加圧空気で流動化されて流動床60を形成している。そして、燃料供給手段40により流動床60に投入された燃料は加圧状態(例えば約1MPa)で燃焼される。
【0032】
また、火炉22には、流動床60の火炉22底部からの高さhを検出するセンサーが設けられており、制御装置50にこの高さhを送信するよう構成されている。
【0033】
さらに、火炉22は、流動媒体61(燃料を燃焼した後に残留する灰も含む)を抜き出すことが可能になっている。この抜き出しを「BM炉底抜き出し」という。BM炉底抜き出しは、本実施形態では、加圧流動床ボイラシステムを管理運用する作業員により手動で行われるが、制御装置50からの制御信号に基づいて行ってもよい。このBM炉底抜き出しにより、単位時間当たりの抜き出し量が一定で所定時間に亘って流動媒体61が火炉22から排出され、後述するBM中継サイロ32に貯留される。
【0034】
なお、火炉22には、ガスタービン発電機70と接続される排ガス管(図示せず)が設けられており、火炉22内の燃焼で生じた排ガスがガスタービン発電機70に供給されている。さらに、火炉22内には、蒸気タービン発電機71と接続される伝熱管(図示せず)が引き回されており、火炉22内の燃焼により生じた蒸気が蒸気タービン発電機71に供給されている。
【0035】
BMタンク31は、火炉22に流動媒体61を投入すると共に火炉22から流動媒体61(流動床60)を抜き出すことが可能に構成されている。この投入・抜き出しは、後述する制御装置50からの制御信号に基づいて行われる。またBMタンク31には、BMタンク31内に貯蔵された流動媒体61の量vを検出するセンサーが設けられており、制御装置50にこの流動媒体量vを送信するよう構成されている。
【0036】
BM中継サイロ32は、火炉22のBM炉底抜き出しによる流動媒体61を貯留するよう構成されている。BMタンク31と同様に、BM中継サイロ32には、貯留された流動媒体61のBM中継サイロ32底部からの高さhを検出するセンサーが設けられており、制御装置50にこの高さhを送信するよう構成されている。
【0037】
BMリサイクル設備33は、BM中継サイロ32から供給された流動媒体61から再利用可能な石灰石を抽出し、この石灰石をBMタンク31に供給する。BMリサイクル設備33を介してBM中継サイロ32からBMタンク31への再利用可能な石灰石の供給は、制御装置50からの制御信号に基づいて行われる。
【0038】
燃料供給手段40は、石炭を貯蔵する石炭バンカ41と、石灰石を貯蔵する石灰石バンカ42と、純水を貯留する水タンク43と、石炭・石灰石・水を混合してCWPを製造するCWP製造装置47と、制御装置50から制御信号に基づいて所定量の石炭・石灰石・水をCWP製造装置47に供給する石炭供給機44・石灰石供給機45・注水流量調節弁46とから構成されている。すなわち、火炉22に供給されるCWPは、石炭・石灰石の比率(以下、「L/C」と称する。)を任意に設定できるようになっている。
【0039】
制御装置50(演算手段及び制御手段)は、一般的な機能を備える情報通信機器である。具体的にはCPUと共に、ROM、RAM及びハードディスクなどの記憶装置を具備し、液晶画面などの表示部及びキーボードなどの入力部を備えている(何れも図示せず)。
【0040】
制御装置50は、火炉22の流動床60の高さhと、BMタンク31の流動媒体量vと、BM中継サイロ32の灰の高さhとをセンサーを介して取得し、これらの入力情報に基づいて、火炉22の流動床60の高さhの変動がなくなるようCWPの石炭・石灰石の比率(以下、このような比率を「最適L/C」と称する。)を算出する。そして最適L/Cに基づいて石炭供給機44・石灰石供給機45から石炭・石灰石がCWP製造装置47に供給されるよう石炭供給機44・石灰石供給機45に制御信号を送信する。
【0041】
ここで、最適L/Cの算出について説明する。最適L/Cは、火炉22での流動媒体61の予測増減量を算出し、この予測増減量が所定値以下となるように流動媒体61の高さhを漸増又は漸減させるL/Cを算出することにより得られる。
【0042】
具体的には次のように求める。まず、火炉22に設けられたセンサーより得られる流動媒体61の高さhを一定時間計測して、単位時間における流動媒体61の高さhの実測変位量を算出する。そして、この実測変位量から所定時間後における流動媒体61の高さhの予測変位量を算出する。例えば、実測変位量は+1cm/hであり、所定時間は24時間であるとすると、予測変位量は+24cm/日となる。
【0043】
一方、火炉22の流動媒体61の単位高さあたりの流動媒体61の量を示す係数を予め得ておく。この係数は、例えば実測により得ておく。この係数に、上述した予測変位量を乗じて、流動媒体61の増減量を算出する。係数を0.2m/cmとすると、1日間の火炉22の流動媒体61の増減量は次のように計算できる。
流動媒体61の増減量 = 24 (cm/日)× 0.2(m/cm)
= 4.8(m/日)
次に、流動媒体61の増減量とBM炉底抜き出しにより減少する流動媒体61の量(予定抜き出し量)との差(予測増減量)を算出する。例えばBM炉底抜き出しを、4時間に亘って、1時間当たり0.8mで流動媒体61を抜き出すとすると、予定抜き出し量は3.2mとなり、増減量との差は1.6mとなる。つまり、加圧流動床ボイラ20を現状のまま1日運転すると、流動媒体61は1.6m増加すると見込まれる(高さhは高くなる。)。
【0044】
次に、予測増減量が所定値以下となるよう流動媒体61の高さhを漸増・漸減させるL/Cを算出する。具体的には、L/Cと流動媒体61の増加量は比例することから、この比例定数を得ておく。本実施形態では、この所定値を0とする。すなわち流動媒体61の高さhが増減せずに維持されるようにする。例えばL/C=1のときの流動媒体61は火炉22内で1時間当たり0.21m増加することから、24時間では5.04mだけ増加する。これを次式に当てはめて最適L/Cを算出する。
最適L/C = 当初のL/C − 流動媒体61の増加量 / 比例定数
= 10.5 − 1.6 / 5.04
= 10.18 ≒ 10.2
ここで当初のL/Cとは、CWP製造装置で現在製造されている燃料のL/Cをいう。つまり、加圧流動床ボイラ20にL/C=10.5のCWPを供給しているときに、火炉22の流動媒体61の高さhが1cm/h増加していることが観測されたならば、最適L/Cを10.2とすることで、流動媒体61の高さhが維持されるようになる。
【0045】
そして、制御装置50は、このようにして算出した最適L/CでCWPを製造するよう、石炭供給機44と、石灰石供給機45とに制御信号を送信する。これにより、火炉22には、最適L/CのCWPが供給されるようになる。
【0046】
以上に説明したように、原則的には、最適L/Cを算出して、それに基づいてCWPの製造・供給を行うよう加圧流動床ボイラシステムを運転させる。しかしながら、この原則的な運転を行いつつ、BM炉底抜き出しを行ったり、BMタンク31と火炉22との間でBMの移送を行ったり、BM中継サイロ32とBMタンク31との間でBMのリサイクルを行ったりすることで、これらのBMタンク31等の許容量が流動媒体で飽和しないようにしてもよい。
【0047】
具体的には、制御装置50は、火炉22の流動媒体61の高さhが上昇・下降・平衡状態にあるか否か、BMタンク31内の流動媒体の量vが多・中・少の何れかであるか、及びBM中継サイロ32内のBMの高さhが高・低の何れかであるかを判断基準として、BM中継サイロ32、BMタンク31、及び火炉22の間でBMの移送を行うよう制御する。
【0048】
これらの火炉22の流動媒体61の高さh、BMタンク31内の流動媒体の量v、BM中継サイロ32内のBMの高さhの組合せは合計18(3×3×2)個あるが、これらを6つのパターンに分けて、それぞれのパターンのときに制御装置50が実行する制御シーケンスを説明する。図2〜図4は、この制御シーケンスを示すフローチャートであり、図5〜図10は、第1〜第6パターンの火炉、BMタンク、BM中継サイロの状態を示す概略図である。
【0049】
<第1パターン>
図2〜図4に示すように、BM中継サイロ32内のBMの高さ(以下、「BM中継サイロレベルh」と称する。)、BMタンク31内のBMの量(以下、「BMタンク内BM量v」と称する。)、火炉22内の流動媒体61の高さh(以下、「火炉層高h」と称する。)の各状態が次の二つのいずれかの状態に該当する場合を第1のパターンという。
【0050】
一番目は、BM中継サイロレベルhが高く(ステップS1:Yes)、BMタンク内BM量vが多く(ステップS2:Yes)、火炉層高hが上昇又は平衡である(ステップS3:Yes)状態である。二番目は、BM中継サイロレベルhが高く(ステップS1:Yes)、BMタンク内BM量vが多くなく(ステップS2:No)且つ少なくもなく(中程度)(ステップS4:No)、火炉層高hが上昇である(図3ステップS6:Yes)状態である。
【0051】
図5に、第1のパターンのときの火炉22、BMタンク31、BM中継サイロ32の状態を視覚的に示す。図5に示すように、グラフ23は、所定時間における火炉層高hの変位を示している。BMタンク31内のハッチ部分は、BMタンク内BM量vが多い、中程度、又は少ないかの何れかを表している。BM中継サイロ32のハッチ部分は、BM中継サイロレベルhが高いか低いかを表している。このような表し方は、図5〜図10についても同様である。
【0052】
図5(a)は、火炉層高hの変動が上昇傾向又は平衡状態にあることを示しており、BMタンク内BM量vは多く、BM中継サイロレベルhは高い状態を示している。一方、図5(b)は、火炉層高hの変動が上昇傾向にあることを示しており、BMタンク内BM量vは中程度、BM中継サイロレベルhは高い状態を示している。何れもBMタンク31、及びBM中継サイロ32の許容量が流動媒体で飽和しているか、それに近い状態である。
【0053】
このようなパターンの時には、制御装置50は次のような制御を行う。
(1)火炉層高hの変動が下降傾向になるようなL/Cを算出し、当該L/Cに基づいたCWPを製造・供給する。
(2)BMタンク31から火炉22へ流動媒体を供給する(BMタンク内BM量vが減る)。
(3)BM中継サイロ32からBMリサイクル設備33へ流動媒体を供給する(BM中継サイロレベルhが減る)。また、BMリサイクル設備33にてリサイクルを行い、流動媒体をBMタンク31に供給する。
(4)最適L/Cの算出をすると共に、最適L/Cに基づいたCWPを製造・供給する。
【0054】
このような制御が行われることにより、図5(c)に示すように、火炉層高hの変動はなくなり(平衡状態)、BMタンク内BM量vは少なくなり、BM中継サイロレベルhは低くなる。
【0055】
<第2パターン>
図2〜図4に示すように、第2のパターンは、BM中継サイロレベルh、BMタンク内BM量v、火炉層高hの各状態が次の4つの状態のうち何れかに該当する場合である。
【0056】
一番目は、BM中継サイロレベルhが高く(ステップS1:Yes)、BMタンク内BM量vが多く(ステップS2:Yes)、火炉層高hが上昇又は平衡のいずれでもない(ステップS3:No)状態である。二番目は、BM中継サイロレベルhが高く(ステップS1:Yes)、BMタンク内BM量vが少なく(ステップS2:No→ステップS4:Yes)、火炉層高hが上昇ではなく(ステップS5:No)平衡である(ステップS7:Yes)状態をいう。三番目は、BM中継サイロレベルhが高く(ステップS1:Yes)、BMタンク内BM量vが少なく(ステップS2:No→ステップS4:Yes)、火炉層高hが上昇でもなく(ステップS5:No)平衡でもない(つまり火炉層高hは下降している)(ステップS7:No)状態をいう。四番目は、BM中継サイロレベルhが高く(ステップS1:Yes)、BMタンク内BM量vが多くなくて(ステップS2:No)少なくもなく(つまりBMタンク内BM量vは中程度)(ステップS4:No)、火炉層高hが上昇ではなく(ステップS6:No)平衡でもない(つまり火炉層高hは下降している)(ステップS8:No)状態である。
【0057】
図6に、第2のパターンのときの火炉22、BMタンク31、BM中継サイロ32の状態を視覚的に示す。図6(a)は、火炉層高hの変動が下降傾向にあることを示しており、BMタンク内BM量vは多く、BM中継サイロレベルhは高い状態を示している。図6(b)は、火炉層高hの変動が平衡状態にあることを示しており、BMタンク内BM量vは少なく、BM中継サイロレベルhは高い状態を示している。図6(c)は、火炉層高hの変動が下降傾向にあることを示しており、BMタンク内BM量vは少なく、BM中継サイロレベルhは高い状態を示している。図6(d)は、火炉層高hの変動が下降傾向にあることを示しており、BMタンク内BM量vは中程度、BM中継サイロレベルhは高い状態を示している。何れもBM中継サイロ32の許容量が流動媒体で飽和またはそれに近い状態であり、且つ火炉層高hの変動が上昇傾向にない状態である。
【0058】
このようなパターンの時には、制御装置50は次のような制御を行う。
(1)現状のL/Cを維持する(何もしない)。
(2)BMタンク31から火炉22へ流動媒体を供給する(BMタンク内BM量vが減る)。
(3)BM中継サイロ32からBMリサイクル設備33へ流動媒体を供給する(BM中継サイロレベルhが減る)。また、BMリサイクル設備33にてリサイクルを行い、流動媒体をBMタンク31に供給する。
(4)最適L/Cの算出をすると共に、最適L/Cに基づいたCWPを製造・供給する。
【0059】
このような制御が行われることにより、図6(e)に示すように、火炉層高hの変動はなくなり(平衡状態)、BMタンク内BM量vは少なくなり、BM中継サイロレベルhは低くなる。
【0060】
<第3パターン>
図2〜図4に示すように、第3のパターンは、BM中継サイロレベルh、BMタンク内BM量v、火炉層高hの各状態が次の2つの状態のうち何れかに該当する場合である。
【0061】
一番目は、BM中継サイロレベルhが低く(ステップS1:No)、BMタンク内BM量vが多く(ステップS9:Yes)、火炉層高hが上昇又は平衡のいずれかである(ステップS10:Yes)状態である。二番目は、BM中継サイロレベルhが低く(ステップS1:No)、BMタンク内BM量vが多く(ステップS9:Yes)、火炉層高hが上昇又は平衡のいずれでもない(ステップS10:No)状態である。
【0062】
図7に、第3のパターンのときの火炉22、BMタンク31、BM中継サイロ32の状態を視覚的に示す。図7(a)は、火炉層高hの変動が上昇傾向又は平衡状態にあることを示しており、BMタンク内BM量vは多く、BM中継サイロレベルhは低い状態を示している。一方、図7(b)は、火炉層高hの変動が下降傾向にあることを示しており、BMタンク内BM量vは多く、BM中継サイロレベルhは低い状態を示している。何れもBMタンク31の許容量が流動媒体で飽和またはそれに近い状態であり、且つBM中継サイロ32の流動媒体の許容量には余裕がある状態である。
【0063】
このようなパターンの時には、制御装置50は次のような制御を行う。
(1)火炉層高hの変動が下降傾向になるようなL/Cを算出し、当該L/Cに基づいたCWPを製造・供給する(図7(a)に示す状態のときのみ。)。
(2)BMタンク31から火炉22へ流動媒体を供給する(BMタンク内BM量vが減る)。
(3)最適L/Cの算出をすると共に、最適L/Cに基づいたCWPを製造・供給する。
【0064】
このような制御が行われることにより、図7(c)に示すように、火炉層高hの変動はなくなり(平衡状態)、BMタンク内BM量vは中程度となり、BM中継サイロレベルhは低くなる。
【0065】
<第4パターン>
図2〜図4に示すように、第4のパターンは、BM中継サイロレベルh、BMタンク内BM量v、火炉層高hの各状態が次の2つの状態のうち何れかに該当する場合である。
【0066】
一番目は、BM中継サイロレベルhが高く(ステップS1:Yes)、BMタンク内BM量vが少なく(ステップS2:No→ステップS4:Yes)、火炉層高hが上昇している(ステップS5:Yes)状態である。二番目は、BM中継サイロレベルhが高く(ステップS1:Yes)、BMタンク内BM量vが多くもなくて(ステップS2:No)少なくもなく(中程度)(ステップS4:No)、火炉層高hが上昇ではなく(ステップS6:No)平衡である(ステップS8:Yes)状態である。
【0067】
図8に、第4のパターンのときの火炉22、BMタンク31、BM中継サイロ32の状態を視覚的に示す。図8(a)は、火炉層高hの変動が上昇傾向にあることを示しており、BMタンク内BM量vは少なく、BM中継サイロレベルhは高い状態を示している。一方、図8(b)は、火炉層高hの変動が平衡状態にあることを示しており、BMタンク内BM量vは中程度、BM中継サイロレベルhは高い状態を示している。何れもBM中継サイロ32の許容量が流動媒体で飽和又はそれに近い状態である。
【0068】
このようなパターンの時には、制御装置50は次のような制御を行う。
(1)hの変動が下降傾向になるようなL/Cを算出し、当該L/Cに基づいたCWPを製造・供給する(図8(a)に示す状態のときのみ。)。
(2)BM中継サイロ32からBMリサイクル設備33へ流動媒体を供給する(BM中継サイロレベルhが減る)。また、BMリサイクル設備33にてリサイクルを行い、流動媒体をBMタンク31に供給する。
(3)最適L/Cの算出をすると共に、最適L/Cに基づいたCWPを製造・供給する。
【0069】
このような制御が行われることにより、図8(c)に示すように、火炉層高hの変動はなくなり(平衡状態)、BMタンク内BM量vは多くなり、BM中継サイロレベルhは低くなる。
【0070】
<第5パターン>
図2〜図4に示すように、第5のパターンは、BM中継サイロレベルh、BMタンク内BM量v、火炉層高hの各状態が次の2つの状態のうち何れかに該当する場合である。
【0071】
一番目は、BM中継サイロレベルhが低く(ステップS1:No)、BMタンク内BM量vが少なく(ステップS9:No→ステップS11:Yes)、火炉層高hが上昇している(ステップS12:Yes)状態である。二番目は、BM中継サイロレベルhが低く(ステップS1:No)、BMタンク内BM量vが多くなくて(ステップS9:No)少なく(ステップS11:Yes)、火炉層高hが上昇ではない(ステップS12:No)状態である。
【0072】
図9に、第5のパターンのときの火炉22、BMタンク31、BM中継サイロ32の状態を視覚的に示す。図9(a)は、火炉層高hの変動が上昇傾向にあることを示しており、BMタンク内BM量vは少なく、BM中継サイロレベルhは低い状態を示している。一方、図9(b)は、火炉層高hの変動が平衡状態又は下降状態にあることを示しており、BMタンク内BM量vは低く、BM中継サイロレベルhは低い状態を示している。何れもBMタンク31及びBM中継サイロ32の許容量に余裕がある状態である。
【0073】
このようなパターンの時には、制御装置50は次のような制御を行う。
(1)火炉層高hの変動が下降傾向になるようなL/Cを算出し、当該L/Cに基づいたCWPを製造・供給する(図9(a)に示す状態のときのみ。)。
(2)火炉22からBMタンク31へ流動媒体を抜き出す(火炉層高hが減り、BMタンク内BM量vが増える)。
(3)最適L/Cの算出をすると共に、最適L/Cに基づいたCWPを製造・供給する。
【0074】
このような制御が行われることにより、図9(c)に示すように、火炉層高hの変動はなくなり(平衡状態)、BMタンク内BM量vは中程度となる。
【0075】
<第6パターン>
図2〜図4に示すように、第6のパターンは、BM中継サイロレベルh、BMタンク内BM量v、火炉層高hの各状態が次の3つの状態のうち何れかに該当する場合である。
【0076】
一番目は、BM中継サイロレベルhが低く(ステップS1:No)、BMタンク内BM量vが多くなくて(ステップS9:No)少なくなく(中程度)(ステップS11:No)、火炉層高hが上昇している(ステップS13:Yes)状態である。二番目は、BM中継サイロレベルhが低く(ステップS1:No)、BMタンク内BM量vが多くなくて(ステップS9:No)少なくなく(ステップS11:No)、火炉層高hが上昇ではなく(ステップS13:No)平衡である(ステップS14:Yes)状態である。三番目は、BM中継サイロレベルhが低く(ステップS1:No)、BMタンク内BM量vが多くなくて(ステップS9:No)少なくなく(ステップS11:No)、火炉層高hが上昇ではなく(ステップS13:No)平衡でもない(下降している)(ステップS14:No)状態である。
【0077】
図10に、第6のパターンのときの火炉22、BMタンク31、BM中継サイロ32の状態を視覚的に示す。図10(a)は、火炉層高hの変動が上昇傾向にあることを示しており、BMタンク内BM量vは中程度、BM中継サイロレベルhは低い状態を示している。また、図10(b)は、火炉層高hの変動が平衡状態にあることを示しており、BMタンク内BM量vは中程度、BM中継サイロレベルhは低い状態を示している。また、図10(c)は、火炉層高hの変動が下降傾向にあることを示しており、BMタンク内BM量vは中程度、BM中継サイロレベルhは低い状態を示している。何れもBMタンク31、及びBM中継サイロ32の許容量に余裕がある状態である。
【0078】
このようなパターンの時には、上述したような原則的な運転、すなわち制御装置50は最適L/Cの算出をすると共に、最適L/Cに基づいたCWPを製造・供給する。ただし、図10(b)に示した状態のときを除く。
【0079】
このような制御が行われることにより、図10(d)に示すように、火炉層高hの変動はなくなり(平衡状態)、BMタンク内BM量vは中程度となり、BM中継サイロレベルhは低くなる。
【0080】
以上のように説明した加圧流動床ボイラシステム10では、火炉層高hの変動と、BMタンク内BM量vと、BM中継サイロレベルhとに基づいて、最適L/Cを算出すると共に、最適L/Cの燃料を火炉22に供給する。これにより、当初のL/Cに基づく燃料によって漸増・漸減していた火炉層高hが平衡状態に維持される。この結果、加圧流動床ボイラシステム10の出力は安定し、ガスタービン発電機70や蒸気タービン発電機71を安定して稼働させることができる。
【0081】
また、BMタンク31は、その内部に収容された流動媒体の量に基づいて流動媒体を火炉22へ供給したり、BMリサイクル設備33を介してBM中継サイロ32から流動媒体を供給される。一方、BM中継サイロ32も、その内部に収容された流動媒体の高さに基づいて流動媒体をBMタンク31に供給したり、火炉22からの流動媒体を貯蔵する。これにより、これらのBMタンク31やBM中継サイロ32の流動媒体が飽和したり、枯渇したりすること無く、望ましい運転状態に維持される。
【0082】
なお、上述した実施形態においては、制御装置50がBMタンク31、BM中継サイロ32、石炭供給機44、石灰石供給機45、及び注水流量調節弁46に制御信号を送信して、燃料の製造・供給や流動媒体の供給等を行った。しかしながら、必ずしも制御信号を送信する必要はなく、最適L/Cを算出したらそれを表示装置に表示してもよい。これにより、例えば加圧流動床ボイラシステム10の管理者などがこの最適L/Cに従って燃料を製造・供給するよう石炭供給機44等を設定することを支援することができる。
【0083】
また、加圧流動床ボイラ20が1台の場合について説明したが、これに限定されず、複数の加圧流動床ボイラ20を用いてもよい。この場合、個々の加圧流動床ボイラ20について最適L/Cを算出する。
【0084】
また、上述した実施形態においては、最適L/Cは、火炉層高hの変動が平衡となるようなものであった。しかしながら、運転状況によっては最適L/Cは、上昇傾向となるようにしてもよいし、下降傾向となるようにしてもよい。いずれの場合でも、平衡状態となるL/Cの値に所定量増減させた値を最適L/Cとすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、加圧流動床ボイラを用いて発電等を行う産業で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施形態に係る加圧流動床ボイラシステムを備える発電システムの概略構成図である。
【図2】制御装置が実行する制御シーケンスを示すフローチャートである。
【図3】制御装置が実行する制御シーケンスを示すフローチャートである。
【図4】制御装置が実行する制御シーケンスを示すフローチャートである。
【図5】第1パターンの火炉、BMタンク、BM中継サイロの状態を示す概略図である。
【図6】第2パターンの火炉、BMタンク、BM中継サイロの状態を示す概略図である。
【図7】第3パターンの火炉、BMタンク、BM中継サイロの状態を示す概略図である。
【図8】第4パターンの火炉、BMタンク、BM中継サイロの状態を示す概略図である。
【図9】第5パターンの火炉、BMタンク、BM中継サイロの状態を示す概略図である。
【図10】第6パターンの火炉、BMタンク、BM中継サイロの状態を示す概略図である。
【図11】従来技術に係る加圧流動床ボイラシステムの主要部分の概略図である。
【符号の説明】
【0087】
10 加圧流動床ボイラシステム
20 加圧流動床ボイラ
21 圧力容器
22 火炉
30 流動媒体調節手段
31 BMタンク
32 BM中継サイロ
33 BMリサイクル設備
40 燃料供給手段
47 CWP製造装置
50 制御装置
60 流動床
70 ガスタービン発電機
71 蒸気タービン発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入される石炭、石灰石及び水からなる燃料における石灰石の石炭に対する比率に基づいて流動床を形成する流動媒体の高さが増減すると共に、前記流動媒体を炉底から抜き出し可能に形成された加圧流動床ボイラと、
前記石灰石及び前記石炭を任意の比率で混合することにより前記燃料を製造してこの燃料を前記加圧流動床ボイラに供給する燃料供給手段と、
単位時間における前記加圧流動床ボイラの前記流動媒体の高さの実測変位量を計測し、この実測変位量に基づいて所定時間後における前記流動媒体の増減量を算出し、この増減量と前記加圧流動床ボイラから抜き出される流動媒体の抜き出し量との差である予測増減量が所定値以下となるように前記燃料における石灰石の石炭に対する比率を算出する演算手段とを具備することを特徴とする加圧流動床ボイラシステム。
【請求項2】
請求項1に記載する加圧流動床ボイラシステムにおいて、
前記演算手段により算出された前記燃料における石灰石の石炭に対する比率で燃料を混合するよう前記燃料供給手段を制御する制御手段を具備することを特徴とする加圧流動床ボイラシステム。
【請求項3】
請求項2に記載する加圧流動床ボイラシステムにおいて、
前記加圧流動床ボイラに流動媒体を供給すると共に前記加圧流動床ボイラから流動媒体を取り出す流動媒体タンクと、
前記加圧流動床ボイラから抜き出された流動媒体を貯蔵する流動媒体中継サイロとを具備し、
前記制御手段は、
前記流動媒体タンクに貯蔵されている流動媒体の量と、
前記流動媒体中継サイロの流動媒体の高さと、
前記加圧流動床ボイラ内の流動床の単位時間における変位量とから前記流動媒体タンク又は前記流動媒体中継サイロの許容量が流動媒体で飽和しないように前記流動媒体タンク、前記流動媒体中継サイロ、及び前記加圧流動床ボイラ間で流動媒体を移動させるよう前記流動媒体タンク、前記流動媒体中継サイロ、及び前記加圧流動床ボイラを制御する
ことを特徴とする加圧流動床ボイラシステム。
【請求項4】
請求項3に記載する加圧流動床ボイラシステムにおいて、
前記流動媒体中継サイロの流動媒体をリサイクルして前記流動媒体タンクに供給する流動媒体リサイクル設備を具備することを特徴とする加圧流動床ボイラシステム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載する加圧流動床ボイラシステムを具備する発電システム。
【請求項6】
投入される石炭、石灰石及び水からなる燃料における石灰石の石炭に対する比率に基づいて流動床を形成する流動媒体の高さが増減すると共に、前記流動媒体を炉底から抜き出し可能に形成された加圧流動床ボイラと、
前記石灰石及び前記石炭を任意の比率で混合することにより前記燃料を製造してこの燃料を前記加圧流動床ボイラに供給する燃料供給手段とを具備する加圧流動床ボイラシステムの運転方法であって、
単位時間における前記加圧流動床ボイラの前記流動媒体の高さの実測変位量を計測し、この実測変位量に基づいて所定時間後における前記流動媒体の増減量を算出し、この増減量と前記加圧流動床ボイラから抜き出される流動床の抜き出し量との差である予測増減量が所定値以下となるように前記燃料における石灰石の石炭に対する比率を算出する演算工程と、
前記演算工程により算出された前記燃料における石灰石の石炭に対する比率で燃料を混合するよう前記燃料供給手段を制御する制御工程とを具備することを特徴とする加圧流動床ボイラシステムの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−298362(P2008−298362A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144718(P2007−144718)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】