加工機
【課題】仮に激しい火花が発生したとしても、火花を所望の位置で消火することができる加工機を提供する。
【解決手段】加工機1は、工具33による工作物Wの加工の際に発生する火花を飛び入らせるための流体溜まり池Pを形成する溜まり池形成部材51を備える。これにより、発生した火花は、溜まり池形成部材51に溜まっている流体の中に流入する。従って、火花は、流体によって消化される。
【解決手段】加工機1は、工具33による工作物Wの加工の際に発生する火花を飛び入らせるための流体溜まり池Pを形成する溜まり池形成部材51を備える。これにより、発生した火花は、溜まり池形成部材51に溜まっている流体の中に流入する。従って、火花は、流体によって消化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工により発生する火花の処理を行うことができる加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作物を工具により切断、切削、研削などの加工を行う場合、火花が飛散する可能性がある。火花が作業者側に飛散しないようにするために、特許文献1(実開平1−101763号公報)には、遮蔽板を設けることが記載されている。また、特許文献2(特許第2897010号公報)には、火花の原因となる切屑を吸引することが記載されている。また、特許文献3(国際公開第2009/022571号)には、工具による工作物の加工位置に液体を供給することで、火花の発生および粉塵の発生を抑制すると共に、回収した液体を濾過して再利用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−101763号公報
【特許文献2】特許第2897010号公報
【特許文献3】国際公開第2009/022571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1,2においては、火花が遮蔽板などに反射して配管や配線に到達するおそれがあり、配管や配線を破損するおそれがある。加工負荷の高い切削や研削を行う場合には極めて激しい火花が発生するため、火花は、長い移動距離に亘って高熱状態を維持する。このような場合には、上記の問題が生じるおそれがある。特許文献2に記載のように液体を加工位置に供給することで火花の発生を抑制できるが、極めて激しい火花が発生する場合には、加工位置に供給する液体のみでは、火花の発生を完全に無くすことはできない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、仮に激しい火花が発生したとしても、火花を所望の位置で消火することができる加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1)本発明の加工機は、工具による工作物の加工の際に発生する火花を飛び入らせるための流体溜まり池を形成する溜まり池形成部材を備える。
(請求項2)また、前記加工機は、前記溜まり池形成部材に前記流体溜まり池を形成するための流体を供給するとともに、前記流体溜まり池における前記流体を流動させる流体流動手段と、前記溜まり池形成部材から排出される前記流体と共に切粉を回収する回収部材とをさらに備えるようにしてもよい。
(請求項3)また、前記加工機は、前記工具による前記工作物の加工位置にクーラント液を供給するクーラント液供給手段を備え、前記流体流動手段において供給する前記流体は、前記クーラント液と同種類としてもよい。
【0007】
(請求項4)また、前記流体溜まり池は、前記工具による前記工作物の加工位置から、前記火花の飛散方向に設けられ、前記火花を直接飛び入らせるようにしてもよい。
(請求項5)また、前記火花の飛散方向は、前記加工位置の下方であり、前記流体溜まり池は、前記加工位置の直下に設けられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
(請求項1)本発明によれば、流体溜まり池には流体が常に溜まっている状態となっている。そのため、激しい火花が発生するとしても、火花は流体溜まり池に飛び入る。従って、流体溜まり池にて確実に火花を消化させることができる。
(請求項2)ここで、火花は切粉が加熱した状態であるため、火花が飛び入る流体溜まり池には消化された火花、すなわち切粉が堆積するおそれがある。しかし、流体流動手段により流体溜まり池における流体を回収部材に向けて流動させることにより、流体溜まり池における切粉が流体と共に回収部材に向けて流動する。その結果、流体溜まり池に切粉が堆積することを防止できる。
(請求項3)また、流体流動手段により供給する流体としてクーラント液と同種類とすることにより、加工位置に供給するクーラント液と共に流体溜まり池を流動するためのクーラント液を回収して、加工位置に供給するクーラント液または流体流動手段により供給する流体として再利用することができる。
【0009】
(請求項4)また、発生した火花を流体溜まり池に直接飛び入らせることにより、どんなに激しい火花が発生したとしても、周囲の部材に何ら影響を与えることなく火花を消化できる。なお、反射板などを介して火花を流体溜まり池に間接的に飛び入らせることもできる。しかし、火花の温度や数によっては反射板などが損傷するおそれがある。そのため、反射板を介することなく火花を流体溜まり池に直接飛び入らせることがより好適である。
【0010】
(請求項5)流体溜まり池を、火花が加工位置から飛散する方向である加工位置の直下に設けることにより、確実に、発生した火花を流体溜まり池に飛び入らせることができる。従って、確実に、かつ、早期に、火花を消火できる。その結果、周囲の部材への影響を最も少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第一実施形態:加工機全体の縦断面図、図2におけるA−A断面図である。
【図2】図1の加工機の左側面図である。
【図3】図1の加工機のB−B断面図である。ただし、クーラントといを除いた状態としている。
【図4】クーラントといの平面図である(図1の平面図に対応)。
【図5】図4のクーラントといのC−C断面図である。
【図6】図4のクーラントといのD−D断面図である。
【図7】第二実施形態:クーラントといの平面図である。
【図8】図7のクーラントといのE−E断面図である。
【図9】図7のクーラントといのF−F断面図である。
【図10】図7のクーラントといのG−G断面図である。
【図11】図7のクーラントといのH−H断面図である。
【図12】第三実施形態:クーラントといの平面図である。
【図13】図12のクーラントといのJ−J断面図である。
【図14】図12のクーラントといのK−K断面図である。
【図15】図12のクーラントといのL−L断面図である。
【図16】図12のクーラントといのM−M断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
(加工機の全体構成)
本発明の加工機は、工具による工作物の加工の際に火花を発生する加工を行う研削盤、旋盤、切断機などである。本実施形態においては、加工機の例として、円筒研削盤1を例に挙げる。
【0013】
円筒研削盤1の全体構成について、図1〜図3を参照して説明する。図1〜図3に示すように、円筒研削盤1は、ベッド10、主軸台21、心押台22、砥石台ベース31、砥石台32、砥石車33、クーラントノズル40、クーラントとい50、クーラント回収装置60、切粉回収ホッパ70を備える。
【0014】
ベッド10は、床面2上に設置されている。ベッド10は、上方(Y方向)から見た場合にコの字型に形成されている。コの字の開口側が、図1の右側(+X方向)、図2,3の紙面奥側に位置する。ベッド10は、コの字型の連結部11(図1のハッチングを付した部位)と、コの字型の両端部12,13(図3のハッチングを付した部位)とを備える。ベッド10の連結部11の上面は、図1に示すように、階段状に形成され、両端部12,13側が低く形成されている。また、ベッド10の両端部12,13の上面には、図1,3に示すように、X方向に延びるようにガイドレール12a,13aが設けられている。
【0015】
主軸台21は、ベッド10の連結部11の上面のうち、図2に示すようにZ方向一端に配置されている。主軸台21は、円筒形状または円柱形状の工作物Wの一端を回転可能に支持する。主軸台21には、図示しないモータなどを備えており、当該モータにより図示しない主軸を回転させる。心押台22は、主軸台21に対してZ方向に対向するように、ベッド10の連結部11の上面のうち、図2に示すようにZ方向他端に配置されている。心押台22は、円筒形状または円柱形状の工作物Wの他端を回転可能に支持する。つまり、工作物Wが設置床面に水平な軸回り(Z軸回り)に回転可能となるように、工作物Wは、主軸台21と心押台22とにより支持される。
【0016】
砥石台ベース31は、例えば矩形板状に形成され、ベッド10の両端部12,13のガイドレール12a,13aに摺動可能に支持される。従って、砥石台ベース31は、ベッド10に対して、X方向に相対移動可能となる。砥石台ベース31の上面には、図1,3に示すように、Z方向に延びるように一対のガイドレール31a,31bが設けられている。
【0017】
砥石台32は、砥石台ベース31のガイドレール31a,31b上にZ方向に摺動可能に支持されている。砥石台32は、砥石車33をZ軸回りに回転可能に支持する。砥石台32には、図示しないモータなどを備えており、当該モータにより砥石車33を回転させる。つまり、砥石車33が設置床面に水平な軸回り(Z軸回り)に回転可能となるように、砥石車33は、砥石台32により支持される。この砥石車33は、工作物Wに対してX方向に対向するように配置されている。ここで、砥石車33は、図1における左回り(反時計回り)に回転する。そうすると、砥石車33により工作物Wを加工することにより発生する火花は、加工位置の下方に飛散する。
クーラントノズル40(「クーラント液供給手段」に相当)は、砥石台32に設けられており、砥石車33による工作物Wの加工位置にクーラント液を供給する。
【0018】
クーラントとい50は、砥石車33による工作物Wの加工位置の直下に位置するように、ベッド10に取り付けられている。クーラントとい50は、溜まり池形成部材51と、流体流動装置52とを備える。ここで、クーラントとい50の詳細は後述するが、簡単に以下に説明する。
【0019】
溜まり池形成部材51は、砥石車33による工作物Wの加工の際に発生する火花を飛び入らせるための流体溜まり池Pを形成する。つまり、流体溜まり池Pは、砥石車33による工作物Wの加工位置から火花の飛散方向(下方)に設けられており、火花を直接飛び入らせることができる位置にある。つまり、溜まり池形成部材51は、火花を飛び入らせると共に、クーラントノズル40から供給されたクーラント液を受け取る。溜まり池形成部材51には、クーラント液および火花の元である切粉を排出するための排出口140が下面に形成されている。
【0020】
また、流体流動装置52は、溜まり池形成部材51に流体溜まり池Pを形成するための流体を供給する。この流体流動装置52により供給される流体には、クーラント液を用いる。つまり、流体流動装置52から溜まり池形成部材51に供給される流体と、クーラントノズル40から供給される流体は、共に同種類のクーラント液である。さらに、流体流動装置52がクーラント液を溜まり池形成部材51に供給することにより、流体溜まり池Pにおけるクーラント液を排出口140に向かって流動させる。
【0021】
クーラント回収装置60(「回収部材」に相当)は、溜まり池形成部材51の排出口140の下方に設けられ、溜まり池形成部材51から排出されるクーラント液と切粉を回収する。具体的には、クーラント回収装置60は、ロード部材61、リザーバ部62、ポンプユニット63、排出部64、および、図示しないベルトを備える。
【0022】
ロード部材61は、溜まり池形成部材51の排出口140の直下に設けられ、溜まり池形成部材51の排出口140から排出されたクーラント液および切粉を受け入れる。ロード部材61の下方には、リザーバ部62が配置されている。リザーバ部62には、回収したクーラント液が貯留されている。また、リザーバ部62には、溜まり池形成部材51から排出された切粉も同時に入ってくる。
【0023】
そして、リザーバ部62には、ポンプユニット63が設けられている。このポンプユニット63は、リザーバ部62に貯留しているクーラント液を濾過して、当該クーラント液をクーラントノズル40およびクーラントとい50の流体流動装置52へ送り出す。なお、図1において、ポンプユニット63とクーラントノズル40および流体流動装置52とを接続する破線にて、クーラント液の配送経路を示す。
【0024】
また、リザーバ部62の内部には、図示しない無端状のベルトが設けられている。このベルトが回転することにより、リザーバ部62のうち一端側(ロード部材61側)から他端側(排出部64側)へ向かって、切粉が配送される。リザーバ部62の他端部には、排出部64が設けられており、ベルトにより配送されてきた切粉を下方に排出する。この排出部64の直下には、切粉回収ホッパ70が設置されている。従って、切粉回収ホッパ70には、排出部64から排出された切粉が堆積する。
【0025】
(クーラントといの詳細構成)
次に、クーラントとい50の詳細構成について、図4〜図6を参照して説明する。上述したように、クーラントとい50は、溜まり池形成部材51と流体流動装置52を備える。溜まり池形成部材51は、外周枠110、仕切板120、溜まり池底部130、排出口140を備える。
【0026】
外周枠110は、矩形の枠状に形成されている。ただし、外周枠110は、矩形に限らず、任意の形状でも可能である。仕切板120は、外周枠110により囲まれる領域に配置され、当該領域を水平方向に2つの領域に区画する。図5においては、仕切板120は、外周枠110により囲まれる領域を左右(X方向)に区画している。この仕切板120の上辺は外周枠110の上辺と一致しているが、仕切板120の下辺は外周枠110の下辺より僅かに上方に位置している。
【0027】
溜まり池底部130は、仕切板120により区画された一方の領域(図5における左側領域)において、外周枠110の底面を形成する。つまり、外周枠110の一部、仕切板120および溜まり池底部130により、流体溜まり池Pを形成する。ここで、本実施形態においては、溜まり池底部130の上面は、水平面に平行な面としている。そして、溜まり池底部130は、仕切板120の下辺から離れている。つまり、仕切板120と溜まり池底部130との間には隙間が形成され、仕切板120により区画された2つの領域を連通する。ただし、当該隙間は僅かであると共に、流体流動装置52からクーラント液が供給されることにより、流体溜まり池Pには常にクーラント液が溜まっている状態を維持する。
【0028】
排出口140は、矩形の枠状に形成され、仕切板120により区画された他方の領域(図5の右側領域)において、外周枠110の下側開口をさらに下方に延長するように設けられる。つまり、流体溜まり池Pから仕切板120の下部隙間を通過してきたクーラント液および切粉が、排出口140から、排出口140の下方に設けられたロード部材61へ排出される。
【0029】
以上説明したように、常時クーラント液が溜められている流体溜まり池Pが、加工位置の直下、すなわち加工位置から火花の飛散方向に設けられている。そのため、発生した火花は、周囲の部材に触れることなく流体溜まり池Pに飛び入る。そして、流体溜まり池Pにはクーラント液が溜まっているので、飛び入ってきた火花はすぐに消化する。従って、周囲の部材に何ら影響を与えることなく、発生した火花を確実に消化できる。特に、加工負荷を非常に高くすることにより発生する火花が多量となったとしても、確実に消化できる。
【0030】
さらに、流体流動装置52が溜まり池形成部材51にクーラント液を供給することで、排出口140側にクーラント液を流動させることができる。このクーラント液の流動に伴って、流体溜まり池Pに飛び入ってきた切粉も排出口140側へ流動させることができる。つまり、切粉が流体溜まり池Pに堆積することを防止でき、最終的に切粉回収ホッパ70にて切粉を回収することができる。
【0031】
さらに、流体溜まり池Pは、火花を直接飛び入らせるようにするために、クーラントノズル40から供給されたクーラント液も同時に流入してくる。つまり、流体溜まり池Pは、クーラントノズル40および流体流動装置52のそれぞれからクーラント液が供給される。そして、流体流動装置52が供給する流体をクーラント液とすることで、流体溜まり池Pに流入する流体が同種類となる。従って、両流体を混合したとしても、何ら不都合はなく、容易に回収し、かつ再利用することができる。
【0032】
ここで、流体溜まり池Pにクーラント液が常に溜まっている状態を維持するためには、流体流動装置52が溜まり池形成部材51に供給するクーラント液の流量を調整することで可能となる。この他に、仕切板120を図5の上下方向に移動可能と機構を追加して、仕切板120と溜まり池底部130との隙間を変更することによっても可能である。
【0033】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態のクーラントとい200について、図7〜図11を参照して説明する。ここで、本実施形態のクーラントとい200において、第一実施形態のクーラントとい50と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。本実施形態のクーラントとい200は、第一実施形態に対して、溜まり池形成部材201の溜まり池底部230が相違する。溜まり池底部230は、Z方向中央部を頂点として、Z方向両端側に向かって下方へ傾斜するように形成している。そして、溜まり池底部230の頂点付近は、仕切板120に当接または非常に僅かな隙間を介して設けられている。
【0034】
つまり、溜まり池底部230の頂点付近から仕切板120により排出口140側へは、ほぼ移動できない。従って、加工位置から飛び入ってきた火花が消化されて単なる切粉となると、当該切粉は、まず、溜まり池底部230によりZ方向両端側に導かれる。その後、切粉およびクーラント液は、仕切板120の下辺の隙間を通過して、排出口140から排出される。
【0035】
本実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。さらに、流体溜まり池Pから仕切板120の他方領域へ向かって、クーラント液および切粉を移動させる部位が、仕切板120のZ方向の両端部のみとなる。そのため、第一実施形態に比べて、溜まり池底部230と仕切板120との隙間の高さを大きく確保できる。これにより、流体溜まり池Pに切粉が堆積することを防止できる。なお、溜まり池底部230と仕切板120との間の隙間は、Z方向の両端部のみであるため、流体溜まり池Pにクーラント液を常に溜まっている状態を維持することは容易にできる。また、本実施形態においても、仕切板120を図8,9の上下方向に移動可能と機構を追加して、仕切板120と溜まり池底部230との隙間を変更するようにしてもよい。
【0036】
<第三実施形態>
次に、第三実施形態のクーラントとい300について、図12〜図16を参照して説明する。ここで、本実施形態のクーラントとい300において、第一実施形態のクーラントとい50と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。本実施形態のクーラントとい300は、第一実施形態に対して、溜まり池形成部材301の溜まり池底部330が相違する。溜まり池底部330は、Z方向中央部を最底部として、Z方向両端側に向かって上方へ凹状に湾曲するように形成している。そして、溜まり池底部330の頂点付近は、仕切板120との間に隙間があるが、溜まり池底部330のZ方向両端側は、仕切板120に当接または非常に僅かな隙間を介して設けられている。つまり、加工位置から飛び入ってきた火花が消化されて単なる切粉となると、当該切粉は、溜まり池底部330のZ方向中央部から排出口140側へ移動して排出口140から排出される。
【0037】
本実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。さらに、流体溜まり池Pから仕切板120の他方領域へ向かって、クーラント液および切粉を移動させる部位が、主として、仕切板120のZ方向の中央部となる。そして、流体流動装置52は、外周枠110のうちZ方向の中央部に設けている。つまり、1つの流体流動装置52であっても、流体溜まり池Pに飛び入ってきた切粉を排出口140側へ向かって、確実に移動させることができる。
【0038】
また、第一実施形態に比べて、溜まり池底部330のZ方向中央部と仕切板120との隙間の高さを大きく確保できる。これにより、流体溜まり池Pに切粉が堆積することを防止できる。なお、溜まり池底部330と仕切板120との間の大きな隙間は、主としてZ方向の中央部であるため、流体溜まり池Pにクーラント液を常に溜まっている状態を維持することは容易にできる。また、本実施形態においても、仕切板120を図13,14の上下方向に移動可能と機構を追加して、仕切板120と溜まり池底部330との隙間を変更するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10:ベッド、 21:主軸台、 22:心押台、 32:砥石台、 33:砥石車
40:クーラントノズル、 50,200,300:クーラントとい
51,201,301:溜まり池形成部材、 52:流体流動装置
60:クーラント回収装置、 110:外周枠、 120:仕切板
130,230,330:溜まり池底部、 140:排出口、 P:流体溜まり池
W:工作物
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工により発生する火花の処理を行うことができる加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作物を工具により切断、切削、研削などの加工を行う場合、火花が飛散する可能性がある。火花が作業者側に飛散しないようにするために、特許文献1(実開平1−101763号公報)には、遮蔽板を設けることが記載されている。また、特許文献2(特許第2897010号公報)には、火花の原因となる切屑を吸引することが記載されている。また、特許文献3(国際公開第2009/022571号)には、工具による工作物の加工位置に液体を供給することで、火花の発生および粉塵の発生を抑制すると共に、回収した液体を濾過して再利用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−101763号公報
【特許文献2】特許第2897010号公報
【特許文献3】国際公開第2009/022571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1,2においては、火花が遮蔽板などに反射して配管や配線に到達するおそれがあり、配管や配線を破損するおそれがある。加工負荷の高い切削や研削を行う場合には極めて激しい火花が発生するため、火花は、長い移動距離に亘って高熱状態を維持する。このような場合には、上記の問題が生じるおそれがある。特許文献2に記載のように液体を加工位置に供給することで火花の発生を抑制できるが、極めて激しい火花が発生する場合には、加工位置に供給する液体のみでは、火花の発生を完全に無くすことはできない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、仮に激しい火花が発生したとしても、火花を所望の位置で消火することができる加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1)本発明の加工機は、工具による工作物の加工の際に発生する火花を飛び入らせるための流体溜まり池を形成する溜まり池形成部材を備える。
(請求項2)また、前記加工機は、前記溜まり池形成部材に前記流体溜まり池を形成するための流体を供給するとともに、前記流体溜まり池における前記流体を流動させる流体流動手段と、前記溜まり池形成部材から排出される前記流体と共に切粉を回収する回収部材とをさらに備えるようにしてもよい。
(請求項3)また、前記加工機は、前記工具による前記工作物の加工位置にクーラント液を供給するクーラント液供給手段を備え、前記流体流動手段において供給する前記流体は、前記クーラント液と同種類としてもよい。
【0007】
(請求項4)また、前記流体溜まり池は、前記工具による前記工作物の加工位置から、前記火花の飛散方向に設けられ、前記火花を直接飛び入らせるようにしてもよい。
(請求項5)また、前記火花の飛散方向は、前記加工位置の下方であり、前記流体溜まり池は、前記加工位置の直下に設けられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
(請求項1)本発明によれば、流体溜まり池には流体が常に溜まっている状態となっている。そのため、激しい火花が発生するとしても、火花は流体溜まり池に飛び入る。従って、流体溜まり池にて確実に火花を消化させることができる。
(請求項2)ここで、火花は切粉が加熱した状態であるため、火花が飛び入る流体溜まり池には消化された火花、すなわち切粉が堆積するおそれがある。しかし、流体流動手段により流体溜まり池における流体を回収部材に向けて流動させることにより、流体溜まり池における切粉が流体と共に回収部材に向けて流動する。その結果、流体溜まり池に切粉が堆積することを防止できる。
(請求項3)また、流体流動手段により供給する流体としてクーラント液と同種類とすることにより、加工位置に供給するクーラント液と共に流体溜まり池を流動するためのクーラント液を回収して、加工位置に供給するクーラント液または流体流動手段により供給する流体として再利用することができる。
【0009】
(請求項4)また、発生した火花を流体溜まり池に直接飛び入らせることにより、どんなに激しい火花が発生したとしても、周囲の部材に何ら影響を与えることなく火花を消化できる。なお、反射板などを介して火花を流体溜まり池に間接的に飛び入らせることもできる。しかし、火花の温度や数によっては反射板などが損傷するおそれがある。そのため、反射板を介することなく火花を流体溜まり池に直接飛び入らせることがより好適である。
【0010】
(請求項5)流体溜まり池を、火花が加工位置から飛散する方向である加工位置の直下に設けることにより、確実に、発生した火花を流体溜まり池に飛び入らせることができる。従って、確実に、かつ、早期に、火花を消火できる。その結果、周囲の部材への影響を最も少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第一実施形態:加工機全体の縦断面図、図2におけるA−A断面図である。
【図2】図1の加工機の左側面図である。
【図3】図1の加工機のB−B断面図である。ただし、クーラントといを除いた状態としている。
【図4】クーラントといの平面図である(図1の平面図に対応)。
【図5】図4のクーラントといのC−C断面図である。
【図6】図4のクーラントといのD−D断面図である。
【図7】第二実施形態:クーラントといの平面図である。
【図8】図7のクーラントといのE−E断面図である。
【図9】図7のクーラントといのF−F断面図である。
【図10】図7のクーラントといのG−G断面図である。
【図11】図7のクーラントといのH−H断面図である。
【図12】第三実施形態:クーラントといの平面図である。
【図13】図12のクーラントといのJ−J断面図である。
【図14】図12のクーラントといのK−K断面図である。
【図15】図12のクーラントといのL−L断面図である。
【図16】図12のクーラントといのM−M断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
(加工機の全体構成)
本発明の加工機は、工具による工作物の加工の際に火花を発生する加工を行う研削盤、旋盤、切断機などである。本実施形態においては、加工機の例として、円筒研削盤1を例に挙げる。
【0013】
円筒研削盤1の全体構成について、図1〜図3を参照して説明する。図1〜図3に示すように、円筒研削盤1は、ベッド10、主軸台21、心押台22、砥石台ベース31、砥石台32、砥石車33、クーラントノズル40、クーラントとい50、クーラント回収装置60、切粉回収ホッパ70を備える。
【0014】
ベッド10は、床面2上に設置されている。ベッド10は、上方(Y方向)から見た場合にコの字型に形成されている。コの字の開口側が、図1の右側(+X方向)、図2,3の紙面奥側に位置する。ベッド10は、コの字型の連結部11(図1のハッチングを付した部位)と、コの字型の両端部12,13(図3のハッチングを付した部位)とを備える。ベッド10の連結部11の上面は、図1に示すように、階段状に形成され、両端部12,13側が低く形成されている。また、ベッド10の両端部12,13の上面には、図1,3に示すように、X方向に延びるようにガイドレール12a,13aが設けられている。
【0015】
主軸台21は、ベッド10の連結部11の上面のうち、図2に示すようにZ方向一端に配置されている。主軸台21は、円筒形状または円柱形状の工作物Wの一端を回転可能に支持する。主軸台21には、図示しないモータなどを備えており、当該モータにより図示しない主軸を回転させる。心押台22は、主軸台21に対してZ方向に対向するように、ベッド10の連結部11の上面のうち、図2に示すようにZ方向他端に配置されている。心押台22は、円筒形状または円柱形状の工作物Wの他端を回転可能に支持する。つまり、工作物Wが設置床面に水平な軸回り(Z軸回り)に回転可能となるように、工作物Wは、主軸台21と心押台22とにより支持される。
【0016】
砥石台ベース31は、例えば矩形板状に形成され、ベッド10の両端部12,13のガイドレール12a,13aに摺動可能に支持される。従って、砥石台ベース31は、ベッド10に対して、X方向に相対移動可能となる。砥石台ベース31の上面には、図1,3に示すように、Z方向に延びるように一対のガイドレール31a,31bが設けられている。
【0017】
砥石台32は、砥石台ベース31のガイドレール31a,31b上にZ方向に摺動可能に支持されている。砥石台32は、砥石車33をZ軸回りに回転可能に支持する。砥石台32には、図示しないモータなどを備えており、当該モータにより砥石車33を回転させる。つまり、砥石車33が設置床面に水平な軸回り(Z軸回り)に回転可能となるように、砥石車33は、砥石台32により支持される。この砥石車33は、工作物Wに対してX方向に対向するように配置されている。ここで、砥石車33は、図1における左回り(反時計回り)に回転する。そうすると、砥石車33により工作物Wを加工することにより発生する火花は、加工位置の下方に飛散する。
クーラントノズル40(「クーラント液供給手段」に相当)は、砥石台32に設けられており、砥石車33による工作物Wの加工位置にクーラント液を供給する。
【0018】
クーラントとい50は、砥石車33による工作物Wの加工位置の直下に位置するように、ベッド10に取り付けられている。クーラントとい50は、溜まり池形成部材51と、流体流動装置52とを備える。ここで、クーラントとい50の詳細は後述するが、簡単に以下に説明する。
【0019】
溜まり池形成部材51は、砥石車33による工作物Wの加工の際に発生する火花を飛び入らせるための流体溜まり池Pを形成する。つまり、流体溜まり池Pは、砥石車33による工作物Wの加工位置から火花の飛散方向(下方)に設けられており、火花を直接飛び入らせることができる位置にある。つまり、溜まり池形成部材51は、火花を飛び入らせると共に、クーラントノズル40から供給されたクーラント液を受け取る。溜まり池形成部材51には、クーラント液および火花の元である切粉を排出するための排出口140が下面に形成されている。
【0020】
また、流体流動装置52は、溜まり池形成部材51に流体溜まり池Pを形成するための流体を供給する。この流体流動装置52により供給される流体には、クーラント液を用いる。つまり、流体流動装置52から溜まり池形成部材51に供給される流体と、クーラントノズル40から供給される流体は、共に同種類のクーラント液である。さらに、流体流動装置52がクーラント液を溜まり池形成部材51に供給することにより、流体溜まり池Pにおけるクーラント液を排出口140に向かって流動させる。
【0021】
クーラント回収装置60(「回収部材」に相当)は、溜まり池形成部材51の排出口140の下方に設けられ、溜まり池形成部材51から排出されるクーラント液と切粉を回収する。具体的には、クーラント回収装置60は、ロード部材61、リザーバ部62、ポンプユニット63、排出部64、および、図示しないベルトを備える。
【0022】
ロード部材61は、溜まり池形成部材51の排出口140の直下に設けられ、溜まり池形成部材51の排出口140から排出されたクーラント液および切粉を受け入れる。ロード部材61の下方には、リザーバ部62が配置されている。リザーバ部62には、回収したクーラント液が貯留されている。また、リザーバ部62には、溜まり池形成部材51から排出された切粉も同時に入ってくる。
【0023】
そして、リザーバ部62には、ポンプユニット63が設けられている。このポンプユニット63は、リザーバ部62に貯留しているクーラント液を濾過して、当該クーラント液をクーラントノズル40およびクーラントとい50の流体流動装置52へ送り出す。なお、図1において、ポンプユニット63とクーラントノズル40および流体流動装置52とを接続する破線にて、クーラント液の配送経路を示す。
【0024】
また、リザーバ部62の内部には、図示しない無端状のベルトが設けられている。このベルトが回転することにより、リザーバ部62のうち一端側(ロード部材61側)から他端側(排出部64側)へ向かって、切粉が配送される。リザーバ部62の他端部には、排出部64が設けられており、ベルトにより配送されてきた切粉を下方に排出する。この排出部64の直下には、切粉回収ホッパ70が設置されている。従って、切粉回収ホッパ70には、排出部64から排出された切粉が堆積する。
【0025】
(クーラントといの詳細構成)
次に、クーラントとい50の詳細構成について、図4〜図6を参照して説明する。上述したように、クーラントとい50は、溜まり池形成部材51と流体流動装置52を備える。溜まり池形成部材51は、外周枠110、仕切板120、溜まり池底部130、排出口140を備える。
【0026】
外周枠110は、矩形の枠状に形成されている。ただし、外周枠110は、矩形に限らず、任意の形状でも可能である。仕切板120は、外周枠110により囲まれる領域に配置され、当該領域を水平方向に2つの領域に区画する。図5においては、仕切板120は、外周枠110により囲まれる領域を左右(X方向)に区画している。この仕切板120の上辺は外周枠110の上辺と一致しているが、仕切板120の下辺は外周枠110の下辺より僅かに上方に位置している。
【0027】
溜まり池底部130は、仕切板120により区画された一方の領域(図5における左側領域)において、外周枠110の底面を形成する。つまり、外周枠110の一部、仕切板120および溜まり池底部130により、流体溜まり池Pを形成する。ここで、本実施形態においては、溜まり池底部130の上面は、水平面に平行な面としている。そして、溜まり池底部130は、仕切板120の下辺から離れている。つまり、仕切板120と溜まり池底部130との間には隙間が形成され、仕切板120により区画された2つの領域を連通する。ただし、当該隙間は僅かであると共に、流体流動装置52からクーラント液が供給されることにより、流体溜まり池Pには常にクーラント液が溜まっている状態を維持する。
【0028】
排出口140は、矩形の枠状に形成され、仕切板120により区画された他方の領域(図5の右側領域)において、外周枠110の下側開口をさらに下方に延長するように設けられる。つまり、流体溜まり池Pから仕切板120の下部隙間を通過してきたクーラント液および切粉が、排出口140から、排出口140の下方に設けられたロード部材61へ排出される。
【0029】
以上説明したように、常時クーラント液が溜められている流体溜まり池Pが、加工位置の直下、すなわち加工位置から火花の飛散方向に設けられている。そのため、発生した火花は、周囲の部材に触れることなく流体溜まり池Pに飛び入る。そして、流体溜まり池Pにはクーラント液が溜まっているので、飛び入ってきた火花はすぐに消化する。従って、周囲の部材に何ら影響を与えることなく、発生した火花を確実に消化できる。特に、加工負荷を非常に高くすることにより発生する火花が多量となったとしても、確実に消化できる。
【0030】
さらに、流体流動装置52が溜まり池形成部材51にクーラント液を供給することで、排出口140側にクーラント液を流動させることができる。このクーラント液の流動に伴って、流体溜まり池Pに飛び入ってきた切粉も排出口140側へ流動させることができる。つまり、切粉が流体溜まり池Pに堆積することを防止でき、最終的に切粉回収ホッパ70にて切粉を回収することができる。
【0031】
さらに、流体溜まり池Pは、火花を直接飛び入らせるようにするために、クーラントノズル40から供給されたクーラント液も同時に流入してくる。つまり、流体溜まり池Pは、クーラントノズル40および流体流動装置52のそれぞれからクーラント液が供給される。そして、流体流動装置52が供給する流体をクーラント液とすることで、流体溜まり池Pに流入する流体が同種類となる。従って、両流体を混合したとしても、何ら不都合はなく、容易に回収し、かつ再利用することができる。
【0032】
ここで、流体溜まり池Pにクーラント液が常に溜まっている状態を維持するためには、流体流動装置52が溜まり池形成部材51に供給するクーラント液の流量を調整することで可能となる。この他に、仕切板120を図5の上下方向に移動可能と機構を追加して、仕切板120と溜まり池底部130との隙間を変更することによっても可能である。
【0033】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態のクーラントとい200について、図7〜図11を参照して説明する。ここで、本実施形態のクーラントとい200において、第一実施形態のクーラントとい50と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。本実施形態のクーラントとい200は、第一実施形態に対して、溜まり池形成部材201の溜まり池底部230が相違する。溜まり池底部230は、Z方向中央部を頂点として、Z方向両端側に向かって下方へ傾斜するように形成している。そして、溜まり池底部230の頂点付近は、仕切板120に当接または非常に僅かな隙間を介して設けられている。
【0034】
つまり、溜まり池底部230の頂点付近から仕切板120により排出口140側へは、ほぼ移動できない。従って、加工位置から飛び入ってきた火花が消化されて単なる切粉となると、当該切粉は、まず、溜まり池底部230によりZ方向両端側に導かれる。その後、切粉およびクーラント液は、仕切板120の下辺の隙間を通過して、排出口140から排出される。
【0035】
本実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。さらに、流体溜まり池Pから仕切板120の他方領域へ向かって、クーラント液および切粉を移動させる部位が、仕切板120のZ方向の両端部のみとなる。そのため、第一実施形態に比べて、溜まり池底部230と仕切板120との隙間の高さを大きく確保できる。これにより、流体溜まり池Pに切粉が堆積することを防止できる。なお、溜まり池底部230と仕切板120との間の隙間は、Z方向の両端部のみであるため、流体溜まり池Pにクーラント液を常に溜まっている状態を維持することは容易にできる。また、本実施形態においても、仕切板120を図8,9の上下方向に移動可能と機構を追加して、仕切板120と溜まり池底部230との隙間を変更するようにしてもよい。
【0036】
<第三実施形態>
次に、第三実施形態のクーラントとい300について、図12〜図16を参照して説明する。ここで、本実施形態のクーラントとい300において、第一実施形態のクーラントとい50と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。本実施形態のクーラントとい300は、第一実施形態に対して、溜まり池形成部材301の溜まり池底部330が相違する。溜まり池底部330は、Z方向中央部を最底部として、Z方向両端側に向かって上方へ凹状に湾曲するように形成している。そして、溜まり池底部330の頂点付近は、仕切板120との間に隙間があるが、溜まり池底部330のZ方向両端側は、仕切板120に当接または非常に僅かな隙間を介して設けられている。つまり、加工位置から飛び入ってきた火花が消化されて単なる切粉となると、当該切粉は、溜まり池底部330のZ方向中央部から排出口140側へ移動して排出口140から排出される。
【0037】
本実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。さらに、流体溜まり池Pから仕切板120の他方領域へ向かって、クーラント液および切粉を移動させる部位が、主として、仕切板120のZ方向の中央部となる。そして、流体流動装置52は、外周枠110のうちZ方向の中央部に設けている。つまり、1つの流体流動装置52であっても、流体溜まり池Pに飛び入ってきた切粉を排出口140側へ向かって、確実に移動させることができる。
【0038】
また、第一実施形態に比べて、溜まり池底部330のZ方向中央部と仕切板120との隙間の高さを大きく確保できる。これにより、流体溜まり池Pに切粉が堆積することを防止できる。なお、溜まり池底部330と仕切板120との間の大きな隙間は、主としてZ方向の中央部であるため、流体溜まり池Pにクーラント液を常に溜まっている状態を維持することは容易にできる。また、本実施形態においても、仕切板120を図13,14の上下方向に移動可能と機構を追加して、仕切板120と溜まり池底部330との隙間を変更するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10:ベッド、 21:主軸台、 22:心押台、 32:砥石台、 33:砥石車
40:クーラントノズル、 50,200,300:クーラントとい
51,201,301:溜まり池形成部材、 52:流体流動装置
60:クーラント回収装置、 110:外周枠、 120:仕切板
130,230,330:溜まり池底部、 140:排出口、 P:流体溜まり池
W:工作物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具による工作物の加工の際に発生する火花を飛び入らせるための流体溜まり池を形成する溜まり池形成部材を備える加工機。
【請求項2】
請求項1において、
前記加工機は、
前記溜まり池形成部材に前記流体溜まり池を形成するための流体を供給するとともに、前記流体溜まり池における前記流体を流動させる流体流動手段と、
前記溜まり池形成部材から排出される前記流体と共に切粉を回収する回収部材と、
をさらに備える加工機。
【請求項3】
請求項2において、
前記加工機は、
前記工具による前記工作物の加工位置にクーラント液を供給するクーラント液供給手段を備え、
前記流体流動手段において供給する前記流体は、前記クーラント液と同種類である加工機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記流体溜まり池は、前記工具による前記工作物の加工位置から、前記火花の飛散方向に設けられ、前記火花を直接飛び入らせる加工機。
【請求項5】
請求項4において、
前記火花の飛散方向は、前記加工位置の下方であり、
前記流体溜まり池は、前記加工位置の直下に設けられる加工機。
【請求項1】
工具による工作物の加工の際に発生する火花を飛び入らせるための流体溜まり池を形成する溜まり池形成部材を備える加工機。
【請求項2】
請求項1において、
前記加工機は、
前記溜まり池形成部材に前記流体溜まり池を形成するための流体を供給するとともに、前記流体溜まり池における前記流体を流動させる流体流動手段と、
前記溜まり池形成部材から排出される前記流体と共に切粉を回収する回収部材と、
をさらに備える加工機。
【請求項3】
請求項2において、
前記加工機は、
前記工具による前記工作物の加工位置にクーラント液を供給するクーラント液供給手段を備え、
前記流体流動手段において供給する前記流体は、前記クーラント液と同種類である加工機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記流体溜まり池は、前記工具による前記工作物の加工位置から、前記火花の飛散方向に設けられ、前記火花を直接飛び入らせる加工機。
【請求項5】
請求項4において、
前記火花の飛散方向は、前記加工位置の下方であり、
前記流体溜まり池は、前記加工位置の直下に設けられる加工機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−807(P2013−807A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131316(P2011−131316)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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