説明

加工用ブラシのブラシ片及び加工用ブラシ

【課題】比較的安価に製造することができると共に、ほつれ難く、被加工面に当接する弾性力を一定に保つことができる加工用ブラシのブラシ片及び加工用ブラシを提供する。
【解決手段】被加工面を研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り等により加工する加工用ブラシのブラシ片1において、該ブラシ片1は、複数の素線2から構成されており、少なくとも1本以上の前記素線を芯線3として、該芯線3の外周に、複数の素線2が螺旋状に巻きつけられた少なくとも1つ以上のストランド20にて構成されてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工面の研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り等の加工を行う為に使用する加工用ブラシのブラシ片及び加工用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、塗布用捻りブラシとして、合成繊維単糸を集束して下撚りをかけた集束糸を複数本合糸した後、上撚りをかけ、前記合成繊維単糸間に接着剤を塗布して接着してなる毛材を使用した塗布用捻りブラシが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、内視鏡用ブラシとして、多数の細い金属製の素線を撚り合わせて形成されて内視鏡の管路内に挿脱自在なロープの一端側の撚りをほぐし、その近傍部分と前記ロープの他端側とにおいて、前記ロープの撚り合わされた状態を各々固着すると共に、その両端固着部の間では前記ロープを素材のロープのままとし、ほぐされて広がった部分を撚り合わせによって付けられたカールを有するブラシ毛部とした内視鏡用ブラシが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、電動工具用の加工用ブラシとして、素線を複数本束ねた後、全体に捻りを加えた捻り材を、複数本束ねて一端を金具に固着した加工用ブラシが市販されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−130963号公報
【特許文献2】特許第3579600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の塗布用ブラシは接着剤を塗布する工程が必要となり、コスト高となる。また、上記特許文献2に記載の内視鏡用ブラシは、内視鏡の1.2mmより細い管路内に通して掃除するものであり、ほぐされて広がった部分のブラシ毛部は弾性力が弱いため、加工用ブラシに応用することには適さず、製造コストも高い。さらに、上記市販されている加工用ブラシは安価に製造することが可能であるが、使用する頻度が増えると、束ねてある素線がほつれ易くなると共に、ブラシ片の被加工面に当接する弾性力にばらつきが生じるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、比較的安価に製造することができると共に、ほつれ難く、被加工面に当接する弾性力を一定に保つことができる加工用ブラシのブラシ片及び加工用ブラシを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、被加工面を研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り等により加工する加工用ブラシのブラシ片において、該ブラシ片は、複数の素線から構成されており、少なくとも1本以上の前記素線を芯線として、該芯線の外周に、複数の素線が螺旋状に巻きつけられた少なくとも1つ以上のストランドにて構成されてあることに特徴を有する。したがって、ストランドをブラシ片としたことにより、ほつれが生じ難い。また、ほつれないので、常に一定の弾性力を被加工面に与えることができ、加工精度が向上する。
【0009】
請求項2の発明は、被加工面を研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り等により加工する加工用ブラシのブラシ片において、該ブラシ片は、少なくとも1つ以上のストランドを芯線として、該芯線の外周に、複数のストランドが螺旋状に巻きつけられた少なくとも1つ以上のロープにて構成されてあることに特徴を有する。したがって、ブラシ片は、芯線及びその外周に巻きつけられた線材もストランドで構成されたロープであることから、一層ほつれが生じ難い。また、ほつれないので、常に一定の弾性力を被加工面に与えることができ、加工精度が向上する。
【0010】
請求項3の発明は、被加工面を研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り等により加工する加工用ブラシのブラシ片において、該ブラシ片は、少なくとも1本以上の素線を芯線として、該芯線の外周に、複数のストランドが螺旋状に巻きつけられた少なくとも1つ以上のロープにて構成されてあることに特徴を有する。したがって、ブラシ片は、芯線の外周に巻きつけられた線材がストランドで構成されたロープであることから、一層ほつれが生じ難い。また、ほつれないので、常に一定の弾性力を被加工面に与えることができ、加工精度が向上する。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項の加工用ブラシのブラシ片の発明において、ブラシ片は、長手方向に対して概波状あるいは螺旋状に形成されてあることに特徴を有する。したがって、概波状あるいは螺旋状に形成されている部分が、被加工面に対して交互に圧力を加えることができる。また、クッション性、弾力性に富み、ボリューム感も出せる。さらに、ばり取り等に使用する場合に引っ掛り性を向上させることができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項の加工用ブラシのブラシ片の発明において、ブラシ片はステンレス鋼線にて形成されてあることに特徴を有する。ステンレス鋼線は、常温における耐錆性に優れ、良い光沢を保つと共に、アルカリ性、及び酸性の雰囲気、各種化学薬品に対して優れた耐食性を保つことができる。また、高温、低温においても機械的強度の低下がほとんど無く、且つ強度が大きく、柔軟性に富み、優れた機械的性質を有している。したがって、さびに強く、所定の強度と弾性力を確保したブラシ片を製作することができる。
【0013】
請求項6の発明は、加工用ブラシの発明であって、請求項1〜5のいずれかに記載のブラシ片を有することに特徴を有する。したがって、被加工面を研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り等により加工する際に、一定の弾性力を被加工面に与えることができるので、加工精度を向上させることができ、ブラシ片が長手方向に対して概波状あるいは螺旋状に形成されてあるものにおいては、クッション性、弾力性に富み、ボリューム感も出せ、ばり取り等に使用する場合に引っ掛り性を向上させることができる。また、ブラシ片をステンレス鋼線にて形成したものにおいては、さび難く、所定の強度と弾性力を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1〜3の発明では、加工用ブラシのブラシ片が、ほつれ難く、一定の弾性力を被加工面に与えることができ、加工精度を向上させることができる。また、請求項4の発明では、クッション性、弾力性に富み、ボリューム感も出せ、ばり取り等に使用する場合に引っ掛り性を向上させることができる。さらに、請求項5の発明では、ブラシ片がステンレス鋼線にて形成されてある。ここで、ステンレス鋼線は、常温における耐錆性に優れ、良い光沢を保つと共に、アルカリ性、及び酸性の雰囲気、各種化学薬品に対して優れた耐食性を保つことができる。また、高温、低温においても機械的強度の低下がほとんど無く、且つ強度が大きく、柔軟性に富み、優れた機械的性質を有している。したがって、ブラシ片は、さびに強く、所定の強度と弾性力を確保することができる。また、請求項6の発明では、上記請求項1から5の効果を奏することができる加工用ブラシを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施形態の加工用ブラシのブラシ片であり、図1(a)は斜視図、図1(b)、(c)はその断面図である。
【0016】
図1に示すように、加工用ブラシのブラシ片1は、被加工面を研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り等により加工する場合に使用するものである。ここで、研削とは、被加工面の表面をブラシ片で削って滑らかにする加工である。また、研磨とは、被加工面の表面をブラシ片で砥き磨いて滑らかにする加工である。また、表面処理とは、被加工面の表面をブラシ片で硬化、美化、平滑化、耐食化させる等、被加工面の状態を改善させるための加工である。また、洗浄とは、被加工面の表面をブラシ片で洗い清める加工である。また、ばり取りとは、製品の縁等にできた余分な部分をブラシ片で削って除去する加工である。
【0017】
このブラシ片1は、素線2及び芯線3から構成されており、少なくとも1本以上の素線を芯線3として、この芯線3の外周に、螺旋状に巻きつけて形成された複数の素線2にて構成されてストランド20が形成されてある。このストランド20は、少なくとも1つ以上であれば良い。また、図1(b)の断面図にあるように、6本以上の素線2が、芯線3の周囲を囲むように配置されるのが好ましい。また、この巻きつけられたストランド20は、不反発性を有する形態も採用できる。尚、不反発性とは、素線2が巻きつけられる前の形状に復元する力を有しない事を意味する。また、ストランドとは、複数の素線などを撚り合わせたロープの構成要素を意味する。また、小縄または撚り線ともいう。また、ロープとは、鋼線あるいは繊維を撚り合わせた綱状の形態をいう。
【0018】
また、他の製造方法として、素線2を芯線3に螺旋状に巻きつける際に、撚りを加えることもできる。撚りを加えるとは、素線2を芯線3に巻き付ける直前に、撚り癖を加えて巻き付ける事を意味し、そうする事で芯線3を締めこむ作用が発生して芯線3を締め上げている。
【0019】
また、他の実施形態として、図1(c)の断面図に示すように、3本の素線を芯線83として、芯線83の周囲を囲むように9本の素線82を配置するような形態も採用できる。また、芯線83は、互いに撚りを加えて螺旋状に形成されてあるが、撚りを加えていない形態も採用できる。尚、3本以外にも2本、4本等、複数本の素線を芯線として採用できる。
【0020】
ここで、素線2及び芯線3の材質には、SUS304等に代表されるステンレス鋼線が、使用されてある。ブラシ片1は、ロープ、ケーブル(線材を撚り合わせて作った太くて強い綱)、ワイヤーロープ等に含まれる形態のものをいう。また、ワイヤーロープの形状については、操作用ワイヤーロープとして、JISG3540に記載がされてあり、ブラシ片1は、前記JISG3540に記載されてある撚り方向、撚り方、試験等を使用する事もできる。また、素線2及び芯線3の材質は、前記以外にも、各種ピアノ線、硬鋼線等の鋼線、タングステン、アンバー、チタン等の特殊鋼線、真鍮線、りん青銅線、黄銅線等の非鉄金属線、各種炭素繊維線、硫化銅複合繊維線、銀複合繊維線、アルミナ、酸化珪素等の各種砥粒入り合成繊維等、ブラシ片1に形成可能な材質であるならば、いずれの材質であっても使用できる。
【0021】
ステンレス鋼線は、常温における耐錆性に優れ、良い光沢を保つと共に、アルカリ性、及び酸性の雰囲気、各種化学薬品に対して優れた耐食性を保つことができる。また、高温、低温においても機械的強度の低下がほとんど無く、且つ強度が大きく、柔軟性に富み、優れた機械的性質を有している。ステンレス鋼線として、SUS304を使用した場合には、ブラシ片1は、耐食、耐熱性、低温靭性を有することができる。また、SUS316を使用した場合には、ブラシ片1は、希硫酸、亜硫酸等に対する優れた耐食性を有することができると共に、常磁性を求める用途に使用できる。また、ピアノ線硬鋼線を使用した場合には、ブラシ片1は、高い引張強さを有することができる。また、タングステン鋼線の場合には、耐磨耗性、高強度、アンバー鋼線の場合には、熱伝導率、膨張率等、チタン鋼線の場合には、耐酸性等にブラシ片1は、高い性能を有することができる。
【0022】
図2は、本発明の第2実施形態の加工用ブラシのブラシ片であり、図2(a)は斜視図、図2(b)はその断面図である。尚、図2(c)、(d)、(e)は他の断面図である。
【0023】
図2に示すように、このブラシ片1aは、図1に示したストランド20と同等である複数の素線2を螺旋状に巻きつけたストランドを芯線3a(20)として、この芯線3a(20)の外周にストランド20aを螺旋状に巻きつけられて形成されたロープにて構成されてある。尚、芯線3aは、ストランド20に換えて1本の素線からなる芯線3であってもよい。また、芯線3aに螺旋状に巻きつけられたストランド20aは、図2(b)の断面図のように、6本以上のストランド20aが、芯線3aの周囲を囲むように配置されるのが好ましく、ブラシ片1aを構成するロープは1つ以上あればよい。尚、図2(c)の断面図に示すように、図2(b)で示した断面を有するブラシ片を芯線3bとして、この芯線3bの周囲を囲むように、8本のストランド20bを配置するような形態であっても良い。また、図2(d)に示すように、芯線として、素線2aと、ストランド3a(20)とを組合せた形態や、図2(e)に示すように、芯線3cの外周に、素線2aとストランド20aとを組合せた形態も採用できる。さらに、図示しないが、芯線として、素線とストランドとを組合せた形態の外周に素線とストランドとを組合せた形態で構成することもできる。
【0024】
図3は、本発明の製造装置の一例を示す説明図である。この図に示すように、芯線3と、素線2・・・は、ボビン5に糸巻き状に巻きつけられている。そして、ボビン5は回転ドラム6の所定の位置に設置されており、この回転ドラム6は芯線3を中心にして回転し、芯線3及び素線2・・・が矢印A方向に引っ張られることによって、素線2を芯線3に螺旋状に巻きつけることができるのである。尚、素線又はストランドに所定の型くせを付加する装置を別途設置することもできる。
【0025】
上述したように、本願発明では、ブラシ片に、単なる撚り線ではなく、芯線を有するストランド又はロープを使用している。この芯線を有することによって、剛性を持つことができ、直進性が向上する。また、座屈、折れ、つぶれを防ぐことができ、高い弾力性を有することができる。さらに、ほつれ難く、切削力も備えることができる。
【0026】
図4は、本発明の第3実施形態の加工用ブラシのブラシ片を示す斜視図であり、図4(a)は概波状のブラシ片、図4(b)は螺旋状のブラシ片である。ブラシ片1cは、図4(a)に示すように、図1又は図2で説明した加工用ブラシのブラシ片の長手方向に対してクリンプを施し、概波状4に形成したものである。ここで、クリンプとは、素材に弾力性を持たせる為に、縮れ加工を施すことを意味する。このように、ブラシ片1cの長手方向を概波状4に形成することによって、被加工面に対して交互に圧力を加えることができる。また、クッション性、弾力性に富み、ボリューム感も出せる。さらに、ばり取り等に使用する場合には、引っ掛り性を向上させることができる。尚、クリンプ以外にも概波状4にすることが可能であるならば、いかなる加工方法も採用できる。また、他の実施形態として、図4(b)に示すように、加工用ブラシのブラシ片1dを螺旋状4aに形成することもできる。ブラシ片1dはブラシ片1cと同様の性能を有する。また、概波状4及び螺旋状4aを形成する加工方法は、前記以外にも様々な方法を採用することができる。
【0027】
図5は、4種類のケーブルの撚りを説明する図であり、図5(a)は、普通Z撚り、図5(b)は、普通S撚り、図5(c)は、ラングZ撚り、図5(d)はラングS撚りである。ここでいうケーブルとは、断面図で中央に位置する芯線束がストランドからなり、この芯線束の周囲に位置する素線束もストランドからなるものをいう。ケーブルの撚り方は、普通撚りと、ラング撚りの2種類に分けることができる。普通撚りとは、ストランドとケーブルの撚り方向が反対のものをいい、ケーブルの外側では素線がケーブルの軸とおおよそ平行になる。また、ラング撚りとは、ストランドとケーブルの撚り方向が同じものをいう。このラング撚りは、素線と外部との接触面が長く、部分的磨耗による損傷が少なく、柔軟性に優れているので、寿命が長い。次に、ケーブルの撚り方向はZ撚りとS撚りとがあり、前述の普通撚りとラング撚りとが組み合わされて4種類となる。本件発明のブラシ片は、これら4種類のケーブルを全て適用することができる。
【0028】
図6は、本発明の第4実施形態の加工用ブラシのブラシ片を示す斜視図である。加工用ブラシのブラシ片1eは、この図の如く、芯線57及び素線59の断面が多角形にて形成されてあり、ブラシ片1eは、複数の素線59及び57から構成されており、1本の素線を芯線57として、この芯線57の外周に、螺旋状に巻きつけて形成された複数の素線59にて構成されてストランド20cが形成されてある。ブラシ片1eは、ブラシ片1eを構成する複数の素線59に形成されてある多角形の断面の角部が被加工面に対して、掻き出すように接触することができる。したがって、ブラシ片1eは使用目的に応じて、高い研削、研磨、ばり取りをすることができる。
【0029】
図7は、本発明の加工用ブラシのブラシ片を加工用ブラシに適用した場合を示す説明図であり、図7(a)は、横巻きブラシの斜視図、図7(b)は、筒型ブラシの平面図である。
【0030】
図7(a)において、11は横巻きブラシ、22はチャンネルブラシ、23はブラシ片、25は帯状体、26は台座、27は勘合部、28はストランド、30は接合部である。この図の如く、横巻きブラシ11は、チャンネルブラシ22を接合部30にて台座26に固定して形成されてあり、チャンネルブラシ22は、複数の素線から構成されてあり、芯線の外周に複数の素線が螺旋状に巻きつけられた複数のストランド28を帯状体25及び芯材(図示せず)にて挟みつけて形成されてある。また、横巻きブラシ11は、嵌合部27を回転装置等に装着して使用する。
【0031】
次に、筒型ブラシ31は、図7(b)の如く、基台32、及びブラシ部200より形成されてある。基台32は、シャフト35が一体的に形成されてあると共に、図示しない凹部を有している。また、ブラシ部200は、複数のブラシ片33から形成されてある。このブラシ片33は、複数の素線から構成されてあり、芯線の外周に複数の素線が螺旋状に巻きつけられた複数のストランドにて形成されてある。ブラシ部200は、底面を有する概円筒状に形成された基台32の外周面をかしめることにより、かしめ部39が形成されてあり、ブラシ部200は、かしめ部39にて押し潰されることにより、基台32に固定されてある。また、筒型ブラシ31は、ブラシ使用時にシャフト35を旋盤、ハンドドリル等の回転装置等、及び各種治具等に装着し、ブラシ部200を被加工面に接触させて使用する。
【0032】
図8は、本発明の加工用ブラシのブラシ片を、ブラシロールに適用した場合の斜視図である。
【0033】
ブラシロール61は、図8の如く、チャンネルブラシ62、台座66、及び止め金具70より構成されてある。台座66は、略円筒形状からなり、外周の両端部には、止め金具70が組みつけられて形成されてある。チャンネルブラシ62は、ブラシ片63を、芯線、及び帯状体65にて挟みつけて折り込んだ後、台座66の外周の周りに捩りを加えて螺旋状に形成されてあり、止め金具70にて固定されてある。また、ブラシ片63は、複数の素線から構成されてあり、芯線の外周に複数の素線が螺旋状に巻きつけられた複数のストランド68にて形成されてある。
【0034】
ブラシロール61は、上記の如くの構成となっているので、複数のストランド68にて形成されてあるブラシ片63を、略円筒形状からなる台座66の外周の周りに捩りを加えて螺旋状に形成する事ができる。その為、被加工面が、例えば、液晶板、半導体ウェハー板、自動車の鋼板等の平滑な形状を有する場合であっても、略円筒形状からなる台座66の外周の周りに捩りを加えて螺旋状に形成されたブラシ片63が、被加工面にたいして、均一な圧力にて接触する事ができる。その為、研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り用ブラシ61は、高い加工性能を有する事ができる。
【0035】
図9は、本発明の加工用ブラシのブラシ片を加工用ブラシに適用した場合を示す説明図であり、図9(a)は、ねじりブラシの斜視図、図9(b)は、ホイールブラシの斜視図、図9(c)は、同分解斜視図である。
【0036】
ねじりブラシ41は、図9(a)の如く、芯材42、及びブラシ片43にて、形成されてある。芯材42は、2本の鋼線が捩られる事により形成されてある。また、ブラシ片43は、使用目的に応じて、所定本数、2本の鋼線に挟み付けられてあると共に、芯材42の軸の周りに捩りが加えられてあり、芯材42の周りに放射状に形成されてある。このブラシ片43は、複数の素線から構成されてあり、芯線の外周に複数の素線が螺旋状に巻きつけられた複数のストランドにて形成されてある。また、端部45、及び端部46は、半田付けにて接合されてある。接合方法は、前記以外にも、溶接、接着等、使用目的に応じて、適時、設定できる。
【0037】
ホイールブラシ51は、図9(b)の如く、芯材52、及びブラシ片53にて、概円筒形状にて形成されてある。ブラシ片53は、芯材52の外周部に放射状に形成されてある。また、芯材52は、図9(c)の如く、フランジ52A、52B及び52Cより形成されてある。フランジ52Aは、端部55を有する円筒形状、及び中央部に穴部80を有する概円形の平板形状が接合されて形成されてある。フランジ52Bは、中央部に穴部60を有し、穴部60の外周部に、円周等分4箇所の穴部70を有する概円形の平板形状にて形成されてある。フランジ52Cは、中央部に穴部50を有する概円形の平板形状にて形成されてある。このブラシ片53は、複数の素線から構成されてあり、芯線の外周に複数の素線が螺旋状に巻きつけられた複数のストランドにて形成されてある。
【0038】
上記ホイールブラシ51の製造手順は、まず、複数のブラシ片53の概中央部を、フランジ52Bの穴部70に挟み込む。次に、フランジ52Aの端部55を、フランジ52Bの穴部60に挿入後、フランジ52Cの穴部50を、フランジ52Aの端部55に貫通させる。次に、端部55の上部から加圧して、端部55を押し潰すことにより、かしめて固定する。以上の手順によりホイールブラシ51が形成される。
【0039】
尚、本発明の加工用ブラシのブラシ片は、上記以外にも、平線、丸線、引き込み等の植毛方法を使用した各種ブラシ、各種カップブラシ、外巻、内巻ブラシ(図示せず)等、各種加工用ブラシに使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の加工用ブラシのブラシ片及び加工用ブラシは、主に、被加工面の研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取りのいずれかの加工をする為に使用するものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態の加工用ブラシのブラシ片を示す図
【図2】本発明の第2実施形態の加工用ブラシのブラシ片を示す図
【図3】本発明の製造装置の一例を示す説明図
【図4】本発明の第3実施形態の加工用ブラシのブラシ片を示す図
【図5】4種類のケーブルの撚りを説明する図
【図6】本発明の第4実施形態の加工用ブラシのブラシ片を示す図
【図7】本発明の各種加工用ブラシを示す図
【図8】本発明の各種加工用ブラシを示す図
【図9】本発明の各種加工用ブラシを示す図
【符号の説明】
【0042】
1 ブラシ片
2 素線
3 芯線
4 概波状
4a 螺旋状
20 ストランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工面を研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り等により加工する加工用ブラシのブラシ片において、該ブラシ片は、複数の素線から構成されており、少なくとも1本以上の前記素線を芯線として、該芯線の外周に、複数の素線が螺旋状に巻きつけられた少なくとも1つ以上のストランドにて構成されてあることを特徴とする加工用ブラシのブラシ片。
【請求項2】
被加工面を研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り等により加工する加工用ブラシのブラシ片において、該ブラシ片は、少なくとも1つ以上のストランドを芯線として、該芯線の外周に、複数のストランドが螺旋状に巻きつけられた少なくとも1つ以上のロープにて構成されてあることを特徴とする加工用ブラシのブラシ片。
【請求項3】
被加工面を研削、研磨、表面処理、洗浄、ばり取り等により加工する加工用ブラシのブラシ片において、該ブラシ片は、少なくとも1本以上の素線を芯線として、該芯線の外周に、複数のストランドが螺旋状に巻きつけられた少なくとも1つ以上のロープにて構成されてあることを特徴とする加工用ブラシのブラシ片。
【請求項4】
ブラシ片は、長手方向に対して概波状あるいは螺旋状に形成されてあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の加工用ブラシのブラシ片。
【請求項5】
ブラシ片はステンレス鋼線にて形成されてあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加工用ブラシのブラシ片。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のブラシ片を有することを特徴とする加工用ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−206798(P2008−206798A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47300(P2007−47300)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】