説明

加工米飯

【課題】生産管理が容易且つ常温保存が可能で、簡易な設備で少量ずつの炊き立てご飯や具材入り炊き込みご飯を短時間で得、多種多様の用途に対応出来る加工米飯を提供する。
【解決手段】水分値が0.1重量%ないし15重量%未満の範囲内で米澱粉の少なくとも1部をアルファー化した米に、水を重量比で200%ないし100%の割合で添加し、これらを容器に充填密封してなるものであり、利用時に85℃ないし125℃の温度にて容器内のアルファー化米を10分間ないし30分間加熱して、炊飯米を得ることで、上記のアルファー化米が供給されれば、アルファー化米の水分値が低いから加工米飯の生産過程での管理が容易で、蒸し器など簡易な設備で必要最小限ずつの炊き立てご飯や具材入り炊き込みご飯を得ることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温保存ができ、蒸気加熱などにより、容易に通常炊飯と同じような炊き立てご飯や、具材入りの炊き込みご飯を得ることができる加工米飯に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の傾向として、老若にかかわらず1人生活者(以下、単身者という)が増え、米を電気炊飯器にて炊き、おかずを作って、食事をする度合が減ってきている。この事実は、そば屋、ファーストフード、ファミリーレストランなどのいわゆる外食産業が盛んになることに繋がっていない。それでは、単身者はどうしているかと言えば、直ぐに食べられる弁当などを購入して、自宅に持ち帰り食べているのである。したがって、このような傾向にうまく対処するには、弁当などの基本となるご飯、あるいは具材入り炊き込みご飯などを、簡易な設備しか用意できない販売現場で、如何に美味しい状態で、しかも単身者の好みに合わせるために少量ずつを如何に容易に提供することが出来るか、にかかっている。
【0003】
上記傾向に対処したものとしては、洗米して米糠を含まない水分54ないし60%、米澱粉のアルファー化度86%以上、8mmの網目を通過しない米粒の団塊が50%以下である容器入りの調理用加工米がある。これにより、短時間の電子レンジ加熱で食することが出来、しかも、時間の経過により飯粒の粒残りが良く花咲き状態にならず、食感が柔らかくなり過ぎず、調味液に米澱粉が流出しにくく、調味液が濁らず糊っぽくならない容器入りの調理用加工米を得ることが出来るのである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、本発明者及び本出願人のものであるが、所定の洗米及び吸水工程を済ませた米を水蒸気で蒸し且つ必要に応じて水蒸気で蒸す過程で加水して米澱粉の少なくとも一部をアルファー化して、更に必要に応じて乾燥しその蒸し米の水分を5重量%ないし50重量%にしたあと、無菌状態で冷却してなる早炊き米である、アルファー化米に対して、50重量%ないし65重量%の範囲の最適水分値となるように水を吸水させ、該吸水後の所定量のアルファー化米を容器にて密封し、85℃ないし125℃の温度にて10分間ないし30分間加圧加熱調理してなる加工米飯がある。これにより、長期保管が可能なのに、加熱するだけで炊き立てのごはんの食感が得られ、そればかりか、ほぐしが容易で、且つ多種多様の用途に対応させ得て、しかも炊飯時間ゼロの命題もクリアーできる、加工米飯を得ることが出来るのである(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、米粒の中心部分に水を浸透させずに米粒に吸水させる第1吸水工程と、米粒の中心部分を実質的に糊化させずに、水の浸透した米粒の外側部分を糊化させる加熱工程と、炊飯に必要な量の水を米粒に吸水させる第2吸水工程と、米粒のまわりに実質的に水が存在しない状態で米を炊飯する炊飯工程とを含んでなる加工米飯の製造方法がある。この製造方法を採用することで、米粒の表面がねっとりとして粒状感がなくなることを防ぎ、歯ごたえが弱くなるのを防いだ加工米飯を得ることが出来るのである(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2001−275588号公報
【特許文献2】 特開2004−57758号公報
【特許文献3】 特開2008−000086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の容器入りの調理用加工米は、得られた米飯が固くなりがちであり、調理ムラが発生し易く、この文献にても明らかの通り、雑炊としたり、リゾット、グラタン、ライスコロッケ、ライスサラダとするのには良い。しかしながら、そのままご飯として食したり、具材入り炊き込みご飯とするのには適していない。さらに、製造設備が大きくなりがちであるから、業務用、例えば、スーパーやデパート地下などの弁当売り場では、少量多品種を求められるているため不向きである。
【0008】
また、特許文献2の加工米飯は、長期保存が可能なのに、加熱するだけで炊き立てのごはんの食感が得られ、ほぐしが容易で、且つ多種多様の用途に対応させ得て、しかも炊飯時間ゼロの命題もクリアーできる点で優れている。しかしながら、大量生産の食品製造会社や単身者である最終消費者にとり都合が良いものの、製造設備が大きくなりがちであるから、業務用、例えば、スーパーやデパート地下などの弁当売り場などでは、少量多品種が求められるているため不向きである。
【0009】
さらに、特許文献3の製造方法により得られた加工米飯は、粒状感や歯ごたえの指標であるアルデンテ性に優れているものの、特許文献1の調理用加工米と同様に、そのままご飯として食したり、具材入り炊き込みご飯とするのには適せず、製造設備が大きくなりがちで、弁当などの少量多品種の求めには不向きである。また、アルファー化米の代わりに、洗米、吸水させた生米に調味液や具材を加え容器に充填することも考えられるが、輸送中の振動により米が割れてしまい、食味や見た目が低下し、さらに調理に時間がかかり過ぎることになる。
以上のような状況に加えて、加工米飯は、これの生産過程での管理、特に、夏場や梅雨時のように高温且つ高湿度である場合の管理も、容易であることが強く望まれるところである。
【0010】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、生産過程での管理が容易であり、簡易な設備で、少量ずつの炊き立てご飯や具材入り炊き込みご飯を、比較的短時間で得ることが出来、多種多様の用途に対応することが出来る加工米飯を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、下記の構成からなるものである。
すなわち、請求項1の発明にかかる加工米飯は、水分値が0.1重量%ないし15重量%未満の範囲内で米澱粉の少なくとも1部をアルファー化した米に、水を重量比で200%ないし100%の割合で添加し、これらを容器に充填密封してなるものであり、利用時に85℃ないし125℃の温度にて前記容器内のアルファー化米を10分間ないし30分間加熱して、炊飯米を得るものである。
【0012】
請求項1の加工米飯は、そのままご飯として食する場合を示すものである。そして、この加工米飯に供するアルファー化米は、上記のとおり水分値が0.1重量%ないし15重量%未満の範囲内にあり、米澱粉の少なくとも1部がアルファー化しているものである。このアルファー化米を容器に入れ且つ水をアルファー化米の重量比で200%ないし100%の割合で添加して密封する。この水の添加重量比は、利用時に85℃ないし125℃の温度にて容器内のアルファー化米を10分間ないし30分間加熱した際、美味しいご飯を得ることが出来る最適水分値に設定される。
【0013】
最適水分値は、米の種類や調理したご飯の種類により異なり、更に、人の好みによっても変わるから、一概に決めることは出来ない。しかし、この最適水分値は、流動食でなければ50重量%ないし65重量%の範囲に入るものと思われる。したがって、アルファー化米の水分値が0.1重量%の場合には水の添加重量比が180%ないし200%となり、15重量%未満、すなわち、15重量%にわずかに届かない水分値の場合には水の添加重量比が100%ないし130%となって、この範囲内で、米の種類や調理したご飯の種類により最適水分値を設定し、それに合わせて、水の添加重量比を決めることになる。
【0014】
なお、アルファー化米の水分値を0.1重量%ないし15重量%未満の範囲内にしたのは、夏場や梅雨時のように高温且つ高湿度である場合、このアルファー化米を使用して加工米飯を製造する際、原料となるアルファー化米が変質して、味に異変を起こしたり、最悪時腐敗やカビが生えたりするのを防ぐためである。アルファー化米の水分値が15重量%を越えている場合、加工米飯を製造する量にあわせて、常に新しいアルファー化米を供給するか、あるいはアルファー化米を冷蔵保管しておく必要性が生じることになる。
【0015】
上記アルファー化米を製造する工程は単一で大量生産であり、この工程で製造したアルファー化米を使用して上記加工米飯を製造する工程は、多品種少量であって、これらは大きく異なる。すなわち、多品種少量である加工米飯製造の工程にあわせて、常に新しいアルファー化米を供給することは不可能に近いから、アルファー化米の一時保管がどうしても必要になる。したがって、アルファー化米の水分値が15重量%未満であれば、特に冷蔵保管しなくても常温での一時保管が可能であり、15重量%を越えていると常温での一時保管が難しく、冷蔵保管しなければならず、このため高度の生産管理技術が必要となるのである。
【0016】
上述のように、アルファー化米の水分値は、0.1重量%ないし15重量%未満の範囲内であるが、コスト面を考慮すると、好ましくは1.0重量%ないし15重量%未満の範囲であり、より好ましくは5.0重量%ないし15重量%未満の範囲である。
【0017】
上記した水は、後に詳述するように、調味液や調味液+具材であっても良く、水、すなわちHOとして、アルファー化米の水分値0.1重量%ないし15重量%未満の範囲のものを、美味しいご飯の水分値と言われる53重量%ないし65重量%にするのに必要な量があれば、良いのである。
【0018】
以上のようにして、容器内にアルファー化米と水とを入れて密封するが、その際脱気しても、脱気しなくても良い。しかし、保存性の面から脱気した方が良く、さらに、脱気しない場合、利用時に加熱する際容器を開封する必要があるなどの不都合がある。この容器は、第一義的に利用時に85℃ないし125℃の温度にて10分間ないし30分間加熱しても、耐えうるものでなければならず、第二義的にガスバリアー性を十分有するものでなければならない。容器は上記した第一義的、第二義的の条件沿うものであれば、袋状のものでも、トレー状のものでもよく、特に限定がない。
【0019】
そして、85℃ないし125℃、より好ましくは95℃ないし100℃の温度にて、容器を密封状態あるいは開封状態で容器内のアルファー化米を加温、例えば、蒸気加熱すると、アルファー化米は当然殺菌され、アルファー化していない米澱粉が存在している場合は、アルファー化度が100%に限りなく進むことになり、さらに、最適水分値にもなる。この容器内のアルファー化米は、この蒸気加熱を経ることで、炊き立ての美味しいご飯となる。
【0020】
請求項2の発明にかかる加工米飯は、そのアルファー化米が、所定の洗米及び吸水工程を済ませた米を、水蒸気、熱風、マイクロ波などで加熱し、且つ必要に応じて加熱する過程で加水して、米澱粉の少なくとも一部をアルファー化し、更に、乾燥してそのアルファー化処理した米の水分を0.1重量%ないし15重量%未満の範囲にしたものである。
【0021】
上記した加工米飯となる早炊き米である、アルファー化米は、例えば、以下のようにして作られる。
まず、加工米飯となる原料米を洗米する。この洗米方法は水を使用しない方法、例えば、蒸気を使用したり、精米機でぬかの部分まで精米する、などいずれの方法でもよい。次に、洗米した原料米に吸水させる。この吸水方法も、常温の水、50℃ないし60℃の湯あるいは生蒸気を使用するなどいずれでもよい。常温の水では20分間ないし120分間の浸漬が必要となり、50℃ないし乃至60℃の湯では10分間ないし60分間の浸漬が必要となって、更に、生蒸気では10分間未満とすることができる。所定の浸漬乃至蒸気吸水を終えた原料米を水切りして、蒸し器に投入し、0.25kg/cm2ないし1.5kg/cm2の水蒸気で蒸す。この蒸し器で吸水を終えた原料米を8分間ないし12分間ほど蒸し、少なくとも米澱粉の一部をアルファー化させる。
【0022】
なお、上記の0.25kg/cm2ないし1.5kg/cm2の水蒸気で8分間ないし12分間ほど蒸すと、米澱粉のアルファー化度は90ないし99%程度になり、その水分値は、35重量%±2重量%ないし42重量%±2重量%程度となる。
【0023】
蒸し器内で水蒸気で蒸し、所定の水分値及びアルファー化度となった蒸し米を、熱い状態のまま直ちに無菌状態のガスバリアー性の袋に入れ、袋を開いたまま真空冷却容器内に入れて真空冷却容器を密封し、減圧して急速に真空冷却する。この真空冷却容器内を−600mmHgほどの真空状態を10秒間ないし30秒間保持できるまで真空冷却を継続すると、蒸し米はほぼ常温となるから、この真空冷却容器内に無菌エアーを送り大気圧とし、この真空冷却容器内で無菌エアーを入れた状態の袋の口をシールする。そして、真空冷却容器を開けて口をシールした袋入り蒸し米を取り出し、常温にて24時間ないし48時間放置してアルファー化した米澱粉を均質化、換言すれば熟成させて早炊き米、すなわち、アルファー化米を得る。
【0024】
この状態のアルファー化米は、塊状になっているから、袋の上から揉みほぐして単粒化すると、あたかも炊飯する前の通常の流通米のような状態になる。そして、この単粒化状態のアルファー化米から前記加工米飯を得るには、上記したとおり、水分値が0.1重量%ないし15重量%未満の範囲としたアルファー化米に、水を重量比で200%ないし100%の割合で添加し、これらを容器に充填密封してなり、利用時に85℃ないし125℃の温度にて容器内のアルファー化米を10分間ないし30分間加熱すればよい。なお、上記の所定の水分値及びアルファー化度となった蒸し米を真空冷却する工程は、上記のとおり、利用時に、最終的に加熱するから、例えば、常圧の無菌室にて冷却するなど、上記したような厳格な無菌保持を簡略化することが出来る。
【0025】
そして、上記の方法にて得られたアルファー化米の水分値は、上記のとおり35重量%±2重量%ないし42重量%±2重量%の範囲である。すなわち、0.25kg/cm2ないし1.5kg/cm2の水蒸気で8分間ないし12分間ほど米を蒸すと、アルファー化度は90ないし99%程度になり、その水分値は、35重量%±2重量%ないし42重量%±2重量%程度となるからである。このアルファー化米を0.1重量%ないし15重量%未満の範囲の水分値とするには、別途乾燥機により乾燥させなければならない。この乾燥方法は、特に限定がなく、35重量%±2重量%ないし42重量%±2重量%の範囲にあるアルファー化米の水分値を、公知の方法を用いて、0.1重量%ないし15重量%未満の範囲にすればよいのである。
【0026】
また、請求項3の発明にかかる加工米飯は、前記水が調味液としたものである。
【0027】
前記水は、すなわち、HOとしてアルファー化米の水分値0.1重量%ないし15重量%の範囲のものを、美味しいご飯の水分値と言われる50重量%ないし65重量%にするのに必要であり、それに見合う量があれば良いのである。したがって、それに見合う量の水さえ確保されていれば、その水に調味料が添加され、調味液となっていても何ら差し支えないのである。また、この調味料には限定がないから、加工米飯の味を増したり、栄養価も向上させたり、その他種々のものが利用出来る。
【0028】
また、請求項4の発明にかかる加工米飯は、前記調味液がこれに調理済みの具材を含有させたものである。
【0029】
前記調味液は、単に水に調味料のみを添加したものばかりか、調理済みの具材を含有させたものと定義する。すなわち、調味液にアルファー化米の水分値0.1重量%ないし15重量%未満の範囲のものを、美味しいご飯の水分値と言われる50重量%ないし65重量%にするのに必要にして十分な量の水が含まれていれば良く、この量の水が確保されている限り、その水に調味料ばかりか具材が入っていても何ら差し支えないのである。
【発明の効果】
【0030】
請求項1の発明によれば、必要とするご飯の量に沿う容器に、既に、米澱粉の少なくとも一部がアルファー化しその水分が0.1重量%ないし15重量%未満の範囲のアルファー化米及びおいしいと言われる水分値に足りない分の水を、共に充填し密封して保管し、利用時に容器を密封のままあるいは開封して、加熱し炊き立てのご飯を得る。したがって、上記のアルファー化米が供給されれば、簡易な設備で必要最小限ずつの炊き立てご飯を得ることが出来、少量でも多種多様の用途に対応出来る効果がある。
【0031】
また、請求項2の発明によれば、既に米澱粉の少なくとも一部がアルファー化しその水分値が0.1重量%ないし15重量%未満の範囲の早炊き米である、アルファー化米であるので、適量の水の存在下での加熱により、米澱粉が100%アルファー化し不足分の水も吸収して、炊き立てのご飯を得る。したがって、上記の効果を確実に得ることが出来る。
【0032】
また、請求項3の発明によれば、利用時に加熱するだけで、炊き立ての味付けごはんを得る。したがって、簡易な設備で必要最小限ずつの味付けご飯を得ることが出来、少量でも多種多様の用途に対応することが出来る効果がある。
【0033】
また、請求項4の発明によれば、利用時に加熱するだけで、炊き立ての具材も含んだ味付けごはんを得る。したがって、簡易な設備で必要最小限ずつの具材も含んだ味付けご飯を得ることが出来、少量でも多種多様の用途に対応することが出来る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の加工米飯の優位性を実施例により実証する。
【実施例1】
240mm×300mmのパウチに、粳米のアルファー化米(水分値8.0重量%)400g、調味液であるだし汁50g、水550g及び具材であるひじきの煮物200gを充填し、脱気して密封包装する。次に、パウチを密封状態のまま100℃の蒸気にて25分間加熱した後、パウチを開封し中身を容器に移し、かき混ぜてひじきの炊き込みご飯を得た。
【実施例2】
240mm×300mmのパウチに、糯米のアルファー化米(水分値8.0重量%)500g、調味液であるだし汁50g、水450g及び具材であるひじきの煮物200gを充填し、脱気して密封包装する。次に、パウチを密封状態のまま100℃の蒸気にて20分間加熱した後、パウチを開封し中身を容器に移し、かき混ぜてひじきの炊き込みおこわを得た。
【0035】
〈比較例1〉
実施例1と対比するため、粳米(水分値16重量%)450g、調味液であるだし汁50g、水550g及び具材であるひじきの煮物200gを電気炊飯器に入れて炊き上げ、かき混ぜて、中身を容器に移し、1200gのひじきの炊き込みご飯を得た。
〈比較例2〉
実施例2と対比するため、糯米(水分値16重量%)530g、調味液であるだし汁50g、水480g及び具材であるひじきの煮物200gを電気炊飯器に入れて炊き上げ、かき混ぜて、中身を容器に移し、1200gのひじきの炊き込みおこわを得た。
なお、比較例1、2で材料の合計重量と炊き上がり後の重量とが同一にならないのは、炊飯中に水分が蒸発するためである。
【0036】
実施例1及び比較例1並びに実施例2及び比較例2で得られたひじきの炊き込みご飯並びにひじきの炊き込みおこわを対比するため、▲1▼各例のほぐし状況を目視観察する。▲2▼各例を茶碗及び皿に盛り付け、その盛り付け状況を目視観察する。▲3▼5人のパネラーに各例を一口ずつ食味してもらい、その有意差があるか、どうか見てもらう。すなわち、5人のパネラーにはどれが実施例1及び比較例1で得られたひじきの炊き込みご飯か、さらに、どれが実施例2及び比較例2で得られたひじきの炊き込みおこわか、を知らせず、順位を付けてもらうことにより行う。パネラーが1番としたものに3点、2番は2点、3番は1点とした。得られた結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
上記の結果、▲1▼の結果は各例ともほぐし状況はほぼ同じで、その有意差が認められなかった。▲2▼の結果は各例とも盛り付け状況もほぼ同じで、その有意差が認められなかった。▲3▼実施例1及び比較例1において、5人のパネラーの合計点で一番高ったのは実施例1であるが、比較例1と有意差が認められるほどの差がない。さらに、実施例2及び比較例2においても、5人のパネラーの合計点で一番高ったのは比較例2であったが、有意差が認められるほどの差がなかった。
【0039】
以上、本発明を実施するための最良の形態を説明したが、具体的な構成はこれらに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更は適宜可能でるとは理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の加工米飯は、これの生産過程での管理が容易で、簡易な設備で少量ずつの炊き立てご飯や具材入りの炊き込みご飯を比較的短時間で得て、業務用として、多種多様の用途に対応したい場合に、特にその利用可能性が極めて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分値が0.1重量%ないし15重量%未満の範囲内で米澱粉の少なくとも1部をアルファー化した米に、水を重量比で200%ないし100%の割合で添加し、これらを容器に充填密封してなるものであり、利用時に85℃ないし125℃の温度にて前記容器内のアルファー化米を10分間ないし30分間加熱して、炊飯米を得ることを特徴とする加工米飯。
【請求項2】
前記アルファー化米は、所定の洗米及び吸水工程を済ませた米を、水蒸気、熱風、マイクロ波などで加熱し、且つ必要に応じて加熱する過程で加水して、米澱粉の少なくとも一部をアルファー化し、更に、乾燥してそのアルファー化処理した米の水分を0.1重量%ないし15重量%未満の範囲内にしたものである請求項1記載の加工米飯。
【請求項3】
前記水は調味液である請求項1記載の加工米飯。
【請求項4】
前記調味液はこれに調理済みの具材を含有させた請求項3記載の加工米飯。

【公開番号】特開2012−130327(P2012−130327A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294759(P2010−294759)
【出願日】平成22年12月18日(2010.12.18)
【出願人】(504110948)株式会社アサノ食品 (13)
【Fターム(参考)】