説明

加温販売容器用キャンペーンラベル及びそれを装着した容器

【課題】確実に情報コードを隠蔽できる加温販売容器用キャンペーンラベルを提供することを主要な目的とする。
【解決手段】加温販売容器用キャンペーンラベル1は、熱収縮性の透明の基材フィルム2を備える。基材フィルム2の一方の面に図柄印刷層3が設けられている。図柄印刷層3の上に、45℃以上で消色し、かつ常温で発色する可逆感温変色性インキで形成された情報コード層4が印刷されている。店頭で40℃以上に加温して販売されるお茶などを入れる容器に装着させて使用する場合、情報コード層は、色が消えているので、裏面に印刷された情報コードによりラベルデザインを損なうことなく、確実に情報コードを隠すことができる。一方、消費者が中身を飲み終わり、常温になった時には、情報コードが発色するので、ラベルを剥がした時、裏面の情報コードを容易に読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に飲料等の容器に装着される加温販売容器用キャンペーンラベルに関するものであり、より特定的には、懸賞応募や抽選番号等の情報コードを裏面に印刷したキャンペーンラベルであり、確実にその情報コードを隠蔽できるように改良された加温販売容器用キャンペーンラベルに関する。この発明はまた、そのようなキャンペーンラベルが胴部外周に装着された容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品等の包装分野においては、販売促進を目的に、食品等の内容物を包装する包装体などに懸賞機能を付与する手段が用いられている。この手段の一つとして、例えば、隠蔽性を有する包装体内に当たり券等を収納し、包装体を開封して、隠蔽情報としての「当たり外れ」等の情報を確認できるようにした商品がある。
【0003】
また、図5に示すように、デザイン8が印刷された飲料缶9などに、上シール12で個別情報10を隠蔽した個別情報隠蔽ラベル11などを貼付する手法が取られている。個別情報10とは、数桁から十数桁の数字であったり、携帯電話で読み取ることができるQRコード等の二次コードであることが多い(例えば特許文献1、段落0005欄参照)。
【0004】
さらに、特許文献1では、容器本体胴部外側周壁に装着された外装体の内面に情報コード層を形成し、外装体を破いて内面に設けられた上記情報コードを視認することができるようにされた隠蔽情報付容器が開示されている(特許文献1、段落0022欄,0023欄参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−126536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図5に示すような従来技術の場合、店頭において上シール12が不用意に剥がれて、個別情報が読み取られてしまう危険性もある。また、特許文献1にさらに開示された上記隠蔽情報付容器では、外装体の内面に印刷された情報コードによりラベルデザインが損なわれるという課題があった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、店頭販売時には、裏面に印刷された情報コードによりラベルデザインを損なうことなく、確実に情報コードを隠蔽することができ、使用後は容易に情報コードを読み取ることができるように改良された加温販売容器用キャンペーンラベルを提供することを目的とする。
【0008】
この発明の他の目的は、そのような加温販売容器用キャンペーンラベルを装着した容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る加温販売容器用キャンペーンラベルは、熱収縮性の透明の基材フィルムを備える。上記基材フィルムの一方の面に図柄印刷層が設けられている。上記図柄印刷層の上に、45℃以上で消色し、かつ常温で発色する可逆感温変色性インキで形成された情報コード層が設けられている。ここで常温とは、加熱・冷却などしない、平常の温度をいうものとする。
【0010】
本発明によれば、情報コード層が、45℃以上で消色し、かつ常温で発色する可逆感温変色性インキで印刷されているので、店頭で加温した状態で販売されるお茶などを入れる容器に装着させて使用する場合、情報コード層の色は、商品加温時、消色している。
【0011】
上記情報コード層は、白地印刷層を介在させて上記図柄印刷層の上に設けられるのが好ましい。この場合、容器内の例えばお茶を飲み干して、容器が常温に戻った場合、白地印刷層の上で情報コード層が発色することになるので、情報コードが鮮明に読み取れる。
【0012】
上記基材フィルムは、表裏層がポリエステル系樹脂からなる多層フィルムで形成されるのが好ましい。
【0013】
本発明に係る加温販売容器用キャンペーンラベルは、上記図柄印刷層と情報コード層が形成された上記一方の面が内側になるように、上記基材フィルムの収縮方向における一方の端部と他方の端部が重ね合わされてシールされ、筒状に形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、情報コード層が、45℃以上で消色し、かつ常温で発色する可逆感温変色性インキで印刷されているので、店頭で加温した状態で販売されるお茶などを入れる容器に装着させて使用する場合、情報コード層は、商品加温時、色が消えている。その結果、販売時において、確実に情報コードを隠すことができる。また、店頭販売時、情報コードによりラベルデザインが損なわれる危険性もない。一方、消費者が中身を飲み終わり、容器が常温に戻った時には、情報コードが発色するので、その情報を容易に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1に係る加温販売容器用キャンペーンラベルの断面図である。
【図2】実施例1に係る加温販売容器用キャンペーンラベルを筒状に加工する様子を示す図である。
【図3】実施例1に係る加温販売容器用キャンペーンラベルの作用効果を示す図である。
【図4】実施例2係る加温販売容器用キャンペーンラベルの断面図である。
【図5】従来の隠蔽情報付容器の概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
店頭販売時には、裏面に印刷された情報コードによりラベルデザインを損なうことなく、確実に情報コードを隠蔽し、使用後は容易に情報コードを読み取ることができる加温販売容器用キャンペーンラベルを得るという目的を、基材フィルムの一方の面に設けられた図柄印刷層の上に、45℃以上で消色し、かつ常温で発色する可逆感温変色性インキで形成された情報コード層を設けることによって実現した。以下、本発明の実施例を、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1に係る加温販売容器用キャンペーンラベルの断面図である。
【0018】
図1を参照して、加温販売容器用キャンペーンラベル1は、熱収縮性の透明の基材フィルム2を備える。基材フィルム2(原反フィルム)には、ポリエステル系熱収縮フィルムで、東洋紡績株式会社製スペースクリーン(登録商標)が用いられた。また、基材フィルム(原反フィルム)には、表裏層がポリエステル系樹脂からなる熱収縮性多層フィルムとして、グンゼ株式会社製HGSフィルムも好ましく用いられる。基材フィルムの厚みは45μmである。基材フィルム2の一方の面に図柄印刷層3が印刷されている。
【0019】
図柄印刷層3の上に、45℃以上で消色し、かつ常温で発色する可逆感温変色性インキで形成された情報コード層4が印刷されている。可逆感温変色性インキとしては、株式会社松井色素化学工業所製クロミカラー(登録商標)が用いられた。
【0020】
実施例に係る加温販売容器用キャンペーンラベル1は筒状に加工される。すなわち、図2を参照して、図柄印刷層3と情報コード層4が形成された、基材フィルム2の一方の面が内側になるように曲げられて、基材フィルム2の収縮方向における一方の端部の裏面に、基材フィルム2に適度に溶解性を有する溶剤、例えば、エーテル系溶剤(ジオキソラン)などの有機溶剤を塗布し、次いで、この基材フィルム2の溶剤塗布部分をもう一方の溶剤が塗布されていない方の端縁と重ね合わせて、溶着シールし、筒状に加工し、巻き取った。
【0021】
つぎに、出来上がった熱収縮性ラベルを、ペットボトル1本分の長さに切り取り、図3(A)を参照して、ペットボトル5に被せ、スチームトンネル(フジアステック株式会社製「SH5000」)を用いて、加熱温度85〜95℃、通過時間7秒間で収縮装着させた。
【0022】
本実施例に係る加温販売容器用キャンペーンラベルは、店頭で40℃以上に加温して販売される例えばお茶などを入れる容器に装着させて使用される。本実施例によれば、図2と図3(A)を参照して、基材フィルム2の表側(印刷層3が形成されている反対の側)から印刷層3のデザインが視認されるが、店頭販売時には45℃以上に加温されており、情報コード層4は消色しているので、裏面に印刷された情報コードにより印刷層3のデザインが損なわれることはない。
【0023】
また、図3(B)を参照して、加温保存状態において、例え、指でミシン目6からラベルが剥がされるようなことがあっても、情報コード層の文字等は色が消えているため、確実に情報コードを隠すことができる。一方、図3(C)を参照して、消費者が中身を飲み終わり、常温に戻った時には、情報コードが発色するので、指でミシン目6からラベルを剥がすと、裏面に印刷された情報コード層4(abcdefg)を容易に読み取ることができる。
【実施例2】
【0024】
図4は、実施例2に係る加温販売容器用キャンペーンラベルの断面図である。実施例2に係る加温販売容器用キャンペーンラベルが実施例1に係るラベルと異なる点は、図柄印刷層3を覆うように白地印刷層7が設けられ、この白地印刷層7の上に、情報コード層4が印刷されている点である。本実施例によれば、白地印刷層7により、図柄印刷層3の模様が隠蔽された状態で、その上に情報コード層4が形成されている。その結果、白地の上の情報コード層4の読み取りは、より一層、鮮明になる。また、裏面に印刷された情報コードにより印刷層3のデザインが損なわれることはないという効果をさらに高める。
【0025】
実施例2に係る隠蔽情報コード付ラベルの製造方法をより詳細に説明すると、図柄印刷層3は、グラビア製版で、175線彫刻版で製版し、白地印刷層7(白ベタ押さえ)は150線彫刻版で製版し、情報コード4は175線28μmレーザ版で製版することとした、情報コード4は音楽情報を含むQRコードとした。
【0026】
まず、グラビア印刷機(富士機械)の各ユニットに上記グラビア版をセットした後、デザイン印刷ユニット(1〜6色目)に、デザイン色に応じた色インキ(大日精化工業(株)製NT−ハイラミック)を、白印刷ユニット(7色目)に白インキ(DIC(株)製 ファインラップNTV PET-HC白)を、情報コード印刷ユニットに可逆性感温変色性インキ((株)松井色素化学工業所製クロミカラー)を投入した。
【0027】
クロミカラーインキの配合は、表1の通りとした。
【表1】

【0028】
HGS原反をグラビア印刷機にセットし、スピード100m/minで印刷を実施した。得られた印刷原反をスリッター機で各丁にスリットした後、センターシール機を使用してスリット原反の両端をエーテル系溶剤(ジオキソラン)で筒状に貼り合わせた。得られた筒状フィルムをラベルピッチ1枚1枚にカットし、隠蔽情報コード付キャンペーンラベルを得た。
【0029】
なお、上記実施例では、容器に入れる内容物としてお茶を例示したが、本発明は、コーヒ、紅茶、ココア、清酒など、店頭販売時に加温されるものはいずれにも使用できる。
【0030】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、確実に情報コードを隠蔽できる加温販売容器用キャンペーンラベルが得られる。
【符号の説明】
【0032】
1 加温販売容器用キャンペーンラベル
2 基材フィルム
3 図柄印刷層
4 情報コード層
5 ペットボトル
6 ミシン目
7 白地印刷層
8 デザイン
9 飲料缶
10 個別情報
11 個別情報隠蔽ラベル
12 上シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性の透明の基材フィルムと、
前記基材フィルムの一方の面に設けられた図柄印刷層と、
前記図柄印刷層の上に設けられた、45℃以上で消色し、かつ常温で発色する可逆感温変色性インキで形成された情報コード層と、を備えた加温販売容器用キャンペーンラベル。
【請求項2】
前記図柄印刷層と前記情報コード層との間に介在させて設けられた白地印刷層をさらに備える請求項1に記載の加温販売容器用キャンペーンラベル。
【請求項3】
前記基材フィルムは、表裏層がポリエステル系樹脂からなる多層フィルムを含む、請求項1又は2に記載の加温販売容器用キャンペーンラベル。
【請求項4】
前記図柄印刷層と情報コード層が形成された前記一方の面が内側になるように、前記基材フィルムの収縮方向における一方の端部と他方の端部が重ね合わされてシールされ、筒状に形成された、請求項1から3のいずれか1項に記載の加温販売容器用キャンペーンラベル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の加温販売容器用キャンペーンラベルを装着した容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−51637(P2011−51637A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203333(P2009−203333)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】