説明

加湿器及びこれを備えた空気調和機

【課題】簡易な構成で、かつ大量の洗浄液を用いることなくスケールを除去できる加湿器を提供する。
【解決手段】ポンプ22の駆動によって、洗浄液回収タンク24内の洗浄液40がフレキシブルチューブ26を介して吸引され、洗浄液流出部21、211内に導入される。洗浄液流出部21、211内に導入された洗浄液40は、複数の穴から滴下され、ディスク9の露出面のうち貯水槽内の水面に向かう露出面に添加される。その洗浄液40によってディスク9の露出面に付着されたスケールは、その露出面に添加された洗浄液40によって溶解する。そして、その洗浄液40は、洗浄液流出部21、211より下方に配置された洗浄液収集部23、231により拭い取られ、洗浄液収集部23、231の溝部を通って洗浄液回収タンク24に流れ込み回収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数のディスクを回転させて貯水槽内の水を掻き上げ、その水を送風機で気化させる加湿器に係わり、さらに詳しくは、その複数のディスクに付着されたスケールを除去するスケール除去装置を備えた加湿器及びこれを備えた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電極表面に生成されたスケールを洗浄する方法として、両電極が存在する反応槽にクエン酸などの洗浄薬剤を水中に溶解させて導入し、電極間に生成されたスケールを洗浄する方法がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−189975号公報(要約書、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の技術では、貯水槽を洗浄薬剤で満たし、電極を浸漬させる必要があるため、大量の洗浄薬剤を要する。貯水槽に添加された洗浄薬剤は、貯水槽の水あるいは水含有物と混合するため、貯水槽内が洗浄薬剤由来の物質で汚染される可能性や、水あるいは水含有物の電気伝導度が変化することで活性酸素種の生成や電気分解を行うといった本来の目的の効率を低下させる可能性がある。そのため、洗浄薬剤を排出する経路を別に設けるなどして、洗浄薬剤を拡散させる措置を設ける必要があるという課題があった。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、簡易な構成で、かつ大量の洗浄液を用いることなくスケールを除去できる加湿器及びこれを備えた空気調和機を得るものである。
第2の目的は、貯水槽内の水が洗浄液で汚染されないようにする加湿器及びこれを備えた空気調和機を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加湿器は、給水タンク及び該給水タンクからの水を蓄える貯水槽と、同一中心軸を中心としてその中心軸方向に一部が貯水槽内の水に浸されて配置され、回転駆動部により回転したときに貯水槽内の水を掻き上げるリング状のディスクと、ディスクのリング内に配置され、空気を吸引して前記ディスクにより掻き上げられた水を気化させて排出する送風機と、回転駆動部により回転するディスクの貯水槽内の水面上の表面(以下、「露出面」という)に洗浄液を添加し、ディスクに付着されたスケールを除去するスケール除去装置とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、回転駆動部により回転するディスクの貯水槽内の水面上の表面に洗浄液を添加し、ディスクに付着されたスケールを除去するスケール除去装置を備えたので、大量の洗浄液を用いることなくディスクに付着されたスケールを除去でき、ディスクの劣化を最小限に抑えることができる。また、洗浄液を繰り返し使用することが可能になり、貯水槽7内の水10が洗浄液で汚染されるということがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加湿器の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の加湿器の前面を取り外して示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係る加湿器のスケール除去装置の概略構成を示す模式図である。
【図4】図3の洗浄液収集部を軸方向から見て示す断面図である。
【図5】図4に示すディスク間の洗浄液流出部及び洗浄液収集部を軸方向から見て示す断面図である。
【図6】実施の形態1の加湿器における送風機の通常運転とスケール洗浄運転のときの回転速度の変化を示す図である。
【図7】実施の形態1の他の形態の加湿器における送風機の通常運転とスケール洗浄運転のときの回転速度の変化を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る加湿器のディスクを正面から見て示す模式図である。
【図9】図8に示す洗浄液流出部を軸方向から見て示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る加湿器のディスクを正面から見て示す模式図である。
【図11】図10に示す洗浄液流出部を軸方向から見て示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の加湿器の実施の形態について図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る加湿器の外観を示す斜視図、図2は図1の加湿器の前面を取り外して示す斜視図、図3は実施の形態1に係る加湿器のスケール除去装置の概略構成を示す模式図、図4は図3の洗浄液収集部を軸方向から見て示す断面図、図5は図4に示すディスク間の洗浄液流出部及び洗浄液収集部を軸方向から見て示す断面図である。
【0010】
実施の形態1に係る加湿器は、例えば図1及び図2に示すように、外観が直方体状に形成された本体ケース1と、本体ケース1の前面に設けられた円形状の空気吸入口4と、本体ケース1の左側の上部角部に設けられた加湿空気排出口5と、本体ケース1の背面に着脱自在に装着され上部に取っ手3を有する給水タンク2と、本体ケース1の上面に設けられた操作パネル6と、本体ケース1内の底部に設けられた上部開口の貯水槽7と、給水タンク2あるいは貯水槽7の何れかに設けられた水位検出部(例えば静電容量式水位センサー)と、同一中心軸を中心としてその中心軸方向に配置され(図3参照)、一部が貯水槽7内の水に浸された複数のリング状のディスク9と、複数のディスク9のリング内に配置された送風機8と、図示していないが、複数のディスク9、送風機8、後述するスケール除去装置などの運転を制御する制御部とを備えている。前述の複数のディスク9は、例えば樹脂製よりなり、回転駆動部であるモーター及び回転機構部によって回転するように構成されている。なお、制御部については、加湿器の動作を説明するときに詳述する。
【0011】
前述したスケール除去装置は、各ディスク9の露出面のうち貯水槽7内の水面に向かう露出面に洗浄液40を添加する洗浄液供給部と、洗浄液供給部によって各ディスク9の露出面に添加された洗浄液40をその露出面が貯水槽7内の水10に浸される前に回収する洗浄液回収部とを備えている。その洗浄液供給部と洗浄液回収部とにより、回転駆動部によって回転する各ディスク9の表面に付着されたスケールが溶解され、洗浄液40と共に回収される。
【0012】
スケール除去装置の洗浄液供給部は、図3に示すように、ディスク9の露出面の径方向に延びて設けられ、端部が支持軸27に固定された洗浄液流出部21、211と、洗浄液流出部21、211と例えばフレキシブルチューブ26を介して連結されたポンプ22と、支持軸27を回動可能に構成された機構部及びその機構部を駆動するモーター(図示せず)とで構成されている。
【0013】
前述の洗浄液流出部21は、本体ケース1を前面から見て手前のディスク9と奧のディスク9の裏側の露出面に配置される。その洗浄液流出部21は、軸方向から見て例えばほぼ四辺形に形成され、その中にポンプ22からの洗浄液40を導入させる導入路が設けられ、ディスク9の片側の露出面に洗浄液40を滴下する複数の穴が軸方向に設けられている。
【0014】
また、洗浄液流出部211は、ディスク9の間に挿入され、例えば図5に示すように、軸方向から見てほぼ四辺形に形成され、その中にポンプ22からの洗浄液40を導入させる導入路が設けられている。さらに、その導入路の両側壁には、両側のディスク9の各片側の露出面に洗浄液40を滴下する複数の穴211aが軸方向に設けられている。ポンプ22は、後述する洗浄液回収タンク9と連結されている。
【0015】
スケール除去装置の洗浄液回収部は、図3に示すように、ディスク9の露出面の径方向に延びて設けられ、端部が支持軸28に固定された例えばゴム製の洗浄液収集部23、231と、洗浄液収集部23、231と例えばフレキシブルチューブ25を介して連結された洗浄液回収タンク24と、支持軸28を回動可能に構成された機構部及びその機構部を駆動するモーター(図示せず)とで構成されている。
【0016】
前述の洗浄液収集部23は、本体ケース1を前面から見て手前のディスク9と奧のディスク9の裏側に配置される。その洗浄液収集部23は、例えば図4に示すように上部に長手方向に延びる溝部23aが設けられている。この溝部23aのディスク9側の側壁は、ディスク9の片側の露出面に滴下された洗浄液40を拭い取り易いようにディスク9側に傾斜する傾斜面が形成されている。
【0017】
また、洗浄液収集部231は、ディスク9の間に挿入され、例えば図5に示すように、軸方向から見て上部に長手方向に延びる溝部231aが設けられている。この溝部231aの両側壁は、各ディスク9の片側の露出面に滴下された洗浄液40を拭い取り易いようにディスク9側にそれぞれ傾斜する傾斜面が形成されている。
【0018】
前述したスケールは、水中に存在するカルシウムなどが結晶化した物質で、各ディスク9の両面に付着される。洗浄液40は、クエン酸やアスコルビン酸、アミノ酸、酢酸など水中では水素イオンを放出して、酸性の様相を呈する薬剤、あるいはスケールの元となる成分を化学的に結合する薬剤である。
【0019】
また、洗浄液40として液体のみだけでなく気体や固体のいずれの状態であってもよい。固体の場合は、貯水槽7内の水などを利用して溶解することで利用が可能となる。また、レモンなどの柑橘植物を自動的に絞ることで、その植物液を利用することも可能とする。なお、柑橘植物とはミカン科のミカン科・ミカン亜科のカンキツ属(Citrus)、キンカン属(Fortunella)、カラタチ属(Poncirus)に属する植物を指し、これら以外も含めてミカン亜科植物33属を含めたものを指す。
【0020】
次に、実施の形態1の加湿器の動作について図6を参照しながら説明する。
図6は実施の形態1の加湿器における送風機の通常運転とスケール洗浄運転のときの回転速度の変化を示す図である。
制御部は、操作パネル6に設けられた加湿運転(通常運転)開始のスイッチオンを検知すると、図7に示すように送風機8が所定の回転速度で駆動するように制御すると共に、回転駆動部を駆動して複数のディスク9を回転させる。この時、送風機8によって室内の空気が空気吸入口4から本体ケース1内に吸引され、ディスク9の回転により貯水槽7内の水10が掻き上げられる。その掻き上げられた水10は、吸引された空気によって気化され、加湿空気排出口5から室内に放出される。
【0021】
制御部は、加湿運転を行った後、周期的に水位検出部により検出された例えば貯水槽7内の水位が所定値以下になったかどうかを判定する。制御部は、水位検出部により検出された水位が所定値以下になると、ディスク9のスケール洗浄の旨を操作パネル9を介して報知する。この報知は、例えばLEDを点滅すると共に、ブザーあるいは音声にて知らせる。制御部は、その報知を行った後に、予め設定されたスイッチのオン操作を検知したときは、図6に示すように送風機8の駆動を停止する。そして、支持軸27、28をディスク9側に回転させて洗浄液流出部21、211と洗浄液収集部23、231とを所定位置まで持って行く。そして、制御部は、洗浄液供給部のポンプ22を駆動する。
【0022】
ポンプ22が駆動されると、洗浄液回収タンク24内の洗浄液40が吸引され、フレキシブルチューブ26を介して洗浄液流出部21、211内に導入される。洗浄液流出部21内に導入された洗浄液40は、複数の穴から滴下され、手前と奧のディスク9の片側の露出面に添加される。また、洗浄液流出部211内に導入された洗浄液40は、両側に設けられた複数の穴211aからそれぞれ滴下され、両側に配置されたディスク9の露出面に添加される。この時、各ディスク9に付着されたスケールは、露出面に添加された洗浄液30によって溶解する。そして、その洗浄液30は、洗浄液流出部21、211より下方に配置されたそれぞれの洗浄液収集部23、231により拭い取られ、各洗浄液収集部23、231に設けられた溝部23a、231aに流れ込む。そして、その洗浄液40はフレキシブルチューブ25を介して洗浄液回収タンク24に回収される。これにより、洗浄液40は、ポンプ22の駆動中に循環され、ディスク9に付着されたスケールの溶解を行う。
【0023】
一方、制御部は、例えばポンプ22を駆動してから所定時間を経過したかどうかを判定しており、所定時間を経過したきは、スケールの洗浄が終了したものと判定して、先ず、ポンプ22の駆動を停止して洗浄液40の供給を停止する。次いで、支持軸27を先の回転方向と逆の方向に回転させて洗浄液流出部21、211をディスク9から離す。次いで、支持軸28を前記と同様に同じ方向に回転させて洗浄液収集部23、231を離す。洗浄液流出部21、211と洗浄液収集部23、231とが、図3(b)に示すように、直立状態になるまでそれぞれの支持軸27、28を回転させる。その後、制御部は、停止した送風機8を駆動して再び加湿が行われるようにする。
【0024】
以上のように実施の形態1においては、洗浄液回収タンク24内の洗浄液40をポンプ22の駆動により吸引し、洗浄液流出部21、211から滴下して貯水槽7内の水面に向かうディスク9の露出面に添加し、その露出面に添加された洗浄液40を洗浄液収集部23、231により拭い取って洗浄液回収タンク24に回収させる構成である。そのため、簡易な構成で、かつ大量の洗浄液40を用いることなくディスク9に付着されたスケールを除去でき、ディスク9の劣化を最小限に抑えることができる。また、洗浄液40を繰り返し使用することが可能になり、貯水槽7内の水10が洗浄液30で汚染されるということがなくなる。
さらに、実施の形態1においては、スケール洗浄を行う際、送風機8の駆動を停止するようにしたので、洗浄液40の飛散を防止できる。また、加湿運転を行っているとき洗浄液流出部21、211と洗浄液収集部23、231とをディスク9から離すようにしているので、ディスク9と接触する洗浄液収集部23、231の摩耗を抑制することができる。
【0025】
なお、実施の形態1では、スケール洗浄を行う際、送風機8の駆動を停止するようにしたが、図7に示すように送風機8の回転速度を加湿運転のときの回転速度より低くするようにしても良い。送風機8の回転速度の低下は、洗浄液40が飛散しない程度の速度である。この場合、スケール洗浄を行っていても加湿運転を停止することなく継続することが可能になる。
また、駆動水位検出部により検出された水位が所定値以下のときに、ディスク9のスケール洗浄の旨を報知し、予め設定されたスイッチのオン操作を検知したときに洗浄液供給部のポンプ22を駆動するようにしたが、スケール洗浄の旨を報知した際、自動的に洗浄液供給部のポンプ22を駆動するようにしても良い。
【0026】
さらに、実施の形態1では、スケール洗浄に入った際、ディスク9の回転速度を変えないようにしたが、ディスク9の回転速度を加湿運転のときの回転速度より低くなるようにしても良いし、また、スケール洗浄に入った際、ディスクの回転方向が加湿運転のときの回転方向と逆になるようにしても良い。このように制御した場合、ディスク9に付着されたスケールをより効率良く除去できる。
【0027】
実施の形態2.
実施の形態1では、ディスク9の露出面に洗浄液40を滴下するようにしたが、実施の形態2は、ディスク9の露出面に洗浄液40を塗布するようにしたものである。
図8は本発明の実施の形態2に係る加湿器のディスクを正面から見て示す模式図、図9は図8に示す洗浄液流出部を軸方向から見て示す断面図である。なお、図1乃至図5で説明した実施の形態1と同様の部分には同じ符号を付している。
【0028】
図8において、加湿器の洗浄液供給部は、各ディスク9の露出面の径方向に延びて設けられた塗布部材31を有し、各ディスク9の露出面のうち貯水槽24内の水面に向かう露出面に塗布部材31を介して洗浄液40を塗布する洗浄液流出部30と、実施の形態1と同様に洗浄液流出部30とフレキシブルチューブ26を介して連結されたポンプ22とで構成されている。
【0029】
洗浄液流出部30は、基部側が回動可能な支持軸27に固定され、本体ケース1を前面から見て手前のディスク9と奧のディスク9の裏側の露出面に配置されると共に、ディスク9の間に挿入される。その洗浄液流出部30は、例えば図9に示すように、直方体状の塗布部材31の上下及び前後を囲むようにリング状に形成され、その中にポンプ22からの洗浄液40を導入させる導入路が設けられている。また、洗浄液流出部30の塗布部材31側の面には、導入路内を流れる洗浄液40を塗布部材31に流出させる複数の穴30aが設けられている。塗布部材31には、ディスク9の表面を傷つけない程度に柔らかく、かつ変形自在な物質、例えばスポンジのようなものが使用されている。
【0030】
洗浄液流出部30にポンプ22からの洗浄液40がフレキシブルチューブ26を介して流入すると、洗浄液40は、洗浄液流出部30の導入路内に流れ込んで複数の穴30aから流出し、塗布部材31に吸収される。この塗布部材31により、ディスク9の露出面のうち貯水槽24内の水面に向かう露出面に洗浄液40が塗布される。ディスク9の露出面に塗布された洗浄液40は、洗浄液流出部30より下方に配置された洗浄液収集部23、231により拭い取られ、洗浄液収集部23、231の溝部23a、231aを通って洗浄液回収タンク9に流れ込み回収される。
【0031】
以上のように、洗浄液流出部30により囲まれた塗布部材31がディスク9の露出面に直接接触しているため、洗浄液40によるスケールの物理的な脱離効果を期待できる。
【0032】
なお、実施の形態2では、洗浄液流出部30の塗布部材31に洗浄液40を吸収させ、その洗浄液40をディスク9の露出面に塗布するようにしたが、洗浄液40をディスク9の露出面に霧状に吹き付けるようにしても良い。例えば実施の形態1で述べた洗浄液流出部211の側壁に設けられた複数の穴の位置にそれぞれノズルを設けて、そのノズルから霧状の洗浄液40を噴射しディスク9の露出面に吹き付ける。
【0033】
実施の形態3.
前述した実施の形態1、2では、ディスク9の露出面に添加された洗浄液40を洗浄液収集部23、231で拭い取るようにしたが、実施の形態3は、その洗浄液40を吸収するようにしたものである。
図10は本発明の実施の形態3に係る加湿器のディスクを正面から見て示す模式図、図11は図10に示す洗浄液流出部を軸方向から見て示す断面図である。なお、図1乃至図5で説明した実施の形態1と同様の部分には同じ符号を付している。
【0034】
図7において、加湿器の洗浄液回収部は、ディスク9の露出面の径方向に延びて設けられた吸収部材33を有し、ディスク9の露出面に添加された洗浄液40を吸収部材33により吸収して収集する洗浄液収集部32と、実施の形態1と同様に洗浄液収集部32とフレキシブルチューブ25を介して連結された洗浄液回収タンク24とで構成されている。
【0035】
洗浄液収集部32は、基部側が回動可能な支持軸28に固定され、本体ケース1を前面から見て手前のディスク9と奧のディスク9の裏側の露出面に配置されると共に、ディスク9の間に挿入される。その洗浄液収集部32は、例えば図11に示すように、直方体状の吸収部材33の上下及び前後を囲むようにリング状に形成され、そのリング部分のうち吸収部材33の下部側に洗浄液40を収集してフレキシブルチューブ25に導く溝部32aが設けられている。吸収部材33には、ディスク9の表面を傷つけない程度に柔らかく、かつ変形自在な物質が使用されている。
【0036】
以上のように、洗浄液流出部21によってディスク9の露出面に添加された洗浄液40を変形自在な吸収部材33で吸収するようにしたので、ディスク9の露出面に多少の凹凸があっても密接して洗浄液30をより効果的に拭い取ることができる。
【0037】
実施の形態1乃至3では、スケール除去装置を備えた加湿器について説明したが、加湿器を備えた空気調和機に適用しても良い。つまり、空気調和機に内蔵された加湿器にスケール除去装置を設けて、複数のディスクに付着されるスケールを洗浄するようにしても良い。また、実施の形態1乃至3では、複数のディスク9で貯水槽7内の水を掻き上げて送風機8で気化させる加湿器について述べたが、電極反応を利用した水殺菌装置の電極表面や、加湿用のフィルタや除湿用のフィルタなど種々の空気調和機にも適用することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 本体ケース、2 給水タンク、3 取っ手、4 空気吸入口、5 加湿空気排出口、6 操作パネル、7 貯水槽、8 送風機、9 ディスク、21,211 洗浄液流出部、211a 穴、22 ポンプ、23、231 洗浄液収集部、23a 溝部、
231a 溝部、24 洗浄液回収タンク、25,26 フレキシブルチューブ、27,28 支持軸、30 洗浄液収集部、30a 穴、31 塗布部材、32 洗浄液収集部、32a 溝部、33 吸収部材、40 洗浄液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水タンク及び該給水タンクからの水を蓄える貯水槽と、
同一中心軸を中心としてその中心軸方向に一部が前記貯水槽内の水に浸されて配置され、回転駆動部により回転したときに前記貯水槽内の水を掻き上げるリング状のディスクと、
前記ディスクのリング内に配置され、空気を吸引して前記ディスクにより掻き上げられた水を気化させて排出する送風機と、
前記回転駆動部により回転する前記ディスクの前記貯水槽内の水面上の表面(以下、「露出面」という)に洗浄液を添加し、前記ディスクに付着されたスケールを除去するスケール除去装置と
を備えたことを特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記スケール除去装置は、
前記ディスクの露出面のうち前記貯水槽内の水面に向かう露出面に洗浄液を添加する洗浄液供給部と、
前記洗浄液供給部によって前記ディスクの露出面に添加された洗浄液を当該露出面が前記貯水槽内の水に浸される前に回収する洗浄液回収部と
を備えていることを特徴とする請求項1記載の加湿器。
【請求項3】
前記洗浄液供給部を駆動して前記洗浄液回収部により回収された洗浄液を吸引させ、洗浄液を循環させる制御部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の加湿器。
【請求項4】
前記制御部は、前記スケール除去装置により前記ディスクに付着されたスケールが除去されているときに、前記送風機の駆動を停止することを特徴とする請求項3記載の加湿器。
【請求項5】
前記制御部は、前記スケール除去装置により前記ディスクに付着されたスケールが除去されているときに、前記送風機の回転速度を加湿運転のときの回転速度より低くすることを特徴とする請求項3記載の加湿器。
【請求項6】
前記給水タンクあるいは前記貯水槽内の水位を検出する水位検出部を備え、
前記制御部は、前記水位検出部により検出された水位が所定値以下のときに、前記ディスクのスケール洗浄の旨を報知し、予め設定されたスイッチのオン操作を検知したときに前記洗浄液供給部を駆動して、前記ディスクの露出面のうち前記貯水槽内の水面に向かう露出面に洗浄液を添加させることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の加湿器。
【請求項7】
前記制御部は、前記ディスクのスケール洗浄の旨を報知した際、前記洗浄液供給部を駆動して、前記ディスクの露出面のうち前記貯水槽内の水面に向かう露出面に洗浄液を添加させることを特徴とする請求項6記載の加湿器。
【請求項8】
前記制御部は、前記洗浄液供給部を駆動した際、前記ディスクの回転速度を加湿運転のときの回転速度より低くすることを特徴とする請求項6又は7記載の加湿器。
【請求項9】
前記制御部は、前記洗浄液供給部を駆動した際、前記ディスクの回転方向が加湿運転のときの回転方向と逆になるようにすることを特徴とする請求項6又は7記載の加湿器。
【請求項10】
前記洗浄液供給部は、前記ディスクの露出面の径方向に延びて設けられ、前記ディスクの露出面のうち前記貯水槽内の水面に向かう露出面に洗浄液を滴下する洗浄液流出部を備えていることを特徴とする請求項2乃至9の何れかに記載の加湿器。
【請求項11】
前記洗浄液供給部は、前記ディスクの露出面の径方向に延びて設けられた塗布部材を有し、前記ディスクの露出面のうち前記貯水槽内の水面に向かう露出面に前記塗布部材を介して洗浄液を塗布する洗浄液流出部を備えていることを特徴とする請求項2乃至9の何れかに記載の加湿器。
【請求項12】
前記洗浄液供給部は、前記ディスクの露出面のうち前記貯水槽内の水面に向かう露出面に洗浄液を霧状に散布する洗浄液流出部を備えていることを特徴とする請求項2乃至9の何れかに記載の加湿器。
【請求項13】
前記洗浄液回収部は、前記ディスクの露出面の径方向に延びて設けられ、前記洗浄液供給部によって前記ディスクの露出面に添加された洗浄液を拭い取って収集する洗浄液収集部を備えていることを特徴とする請求項2乃至12の何れかに記載の加湿器。
【請求項14】
前記洗浄液回収部は、前記ディスクの露出面の径方向に延びて設けられた吸収部材を有し、前記洗浄液供給部によって前記陰極の露出面に添加された洗浄液を前記吸収部材により吸収して収集する洗浄液収集部を備えていることを特徴とする請求項2乃至12の何れかに記載の加湿器。
【請求項15】
前記制御部は、加湿運転を行っている間、前記洗浄液供給部および前記洗浄液回収部を駆動して、前記洗浄液流出部と前記洗浄液収集部を前記ディスクの露出面から離していることを特徴とする請求項13又は14記載の加湿器。
【請求項16】
前記請求項1乃至15の何れかに記載の加湿器を備えていることを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−27377(P2011−27377A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176163(P2009−176163)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】