説明

加湿器

【課題】直接加熱型加湿器における残水量の判定、給水報知機能を改善する。
【解決手段】この発明の加湿器は、水を入れる液体容器と、この液体容器内の水を加熱する加熱手段と、この加熱手段をON,OFF駆動することによって加湿制御する加湿制御手段と、液体容器内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる加湿器であって、水温検出手段によって液体容器内の水温の変化を検出し、加湿制御手段による加熱手段OFF時間内の水温の低下度合から残水量を判定するようにしたことを特徴としている。したがって、従来のように空炊き状態になって初めて残水量がゼロ判定する場合のような、空炊きによる消費電力のロス、空炊きによる液体容器寿命の低下、液体容器内壁へのカルキ成分の固着等の問題が確実に解消される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、直接加熱型の水蒸気発生式加湿器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、室内の空気を加湿するために用いられる加湿器として種々のタイプのものが開発されているが、加熱式の水蒸気発生手段により得られた水蒸気を室内(あるいは居住空間)に放出することにより加湿を行う水蒸気発生式の加湿器が多用されている。
【0003】
このような加熱型水蒸気発生方式の加湿器は、一般に水を加熱するボイラーと、このボイラーを加熱する加熱手段と、上記ボイラーに対して水を供給する給水タンクとを備え、上記ボイラーに対して上記給水タンクから所定量の水を常時給水できるように構成し、上記ボイラー部の加熱によって発生した水蒸気を室内へ放出するようになっている。
【0004】
このようなボイラー式の水蒸気発生式加湿器の場合、ボイラー部で水蒸気を発生させるようにしていることから、水中に含まれるカルシウム等のカルキ成分がボイラー内に溜まる。しかし、ボイラーは、通常着脱できない固定構造となっているため、カルキ成分を除去することが難しい。
【0005】
また、一般にボイラーは、沸騰し易いように小容量となっていることから、発生する水蒸気の量を多くすることができないという欠点もある。
【0006】
そこで、最近では、例えば水を入れる液体容器と、この液体容器内の水を直接加熱する電気的な加熱手段と、この電気的な加熱手段をON,OFF駆動することによって加湿制御する加湿制御手段と、上記液体容器内の水温を検出する水温検出手段とを備え、上記水温検出手段によって液体容器内の水温を検出しながら、上記加湿制御手段により上記加熱手段をON,OFF駆動することによって、所定レベルの加湿を行うようにした直接加熱型の蒸気発生式加湿器が提供されている(特許文献1を参照)。
【0007】
このような液体容器内の水を直接加熱する直接加熱型の蒸気発生式加湿器によると、上述のような問題は略解決される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許3060967号公報(明細書2〜4頁、図1,図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、以上のような直接加熱型の加湿器の場合、空炊きを避けるために、残水量を検知判定し、残水量が所定量以下の場合には、給水報知を行うことが必要となる。
【0010】
このような残水量の検知判定に関し、上記直接加熱型のものの場合には、例えば一定時間の空炊き状態により水温センサの検出温度が急に高くなったことをパラメータとして残水量ゼロを検知し、給水報知を行う方法が採用されているが、このような方法の場合、空炊きによる消費電力のロス、容器寿命の低下、液体容器内の内壁にカルキ成分が固着し、除去しにくくなってしまうなどの問題が生じる。
【0011】
また、従来のボイラータイプのものの構成では、水位検知手段として、一般にフロートが用いられているが、この場合には、蓋体下部および液体容器内に複雑な構造物が存在することになり、メンテナンス性を悪くするとともに、フロート部分にカルキ成分が固着すると、検知性能が悪化し、信頼性に欠けるものとなる。
【0012】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、水温検出手段によって液体容器内の水温の変化を検出し、加湿制御手段による加熱手段OFF時間内の水温の低下度合から残水量を判定できるようにした直接加熱型の加湿器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0014】
(1) 請求項1の発明
この発明の加湿器は、水を入れる液体容器と、この液体容器内の水を加熱する加熱手段と、この加熱手段をON,OFF駆動することによって加湿制御する加湿制御手段と、上記液体容器内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる加湿器であって、上記水温検出手段によって上記液体容器内の水温の変化を検出し、上記加湿制御手段による上記加熱手段OFF時間内の水温の低下度合から残水量を判定するようにしたことを特徴としている。
【0015】
このような構成によると、加湿制御手段による湯沸し用加熱手段ON,OFF制御のOFF時間内の水温の低下度合から、残水量を判定するように構成されている。
【0016】
したがって、従来のように空炊き状態になって初めて残水量がゼロと判定する場合のような、空炊きによる消費電力のロス、空炊きによる液体容器寿命の低下、液体容器内壁へのカルキ成分の固着等の問題が確実に解消される。
【0017】
また、加湿制御手段と水温検出手段のみの完全な非接触方式で残水量を判定することができるから、液体容器内に従来のフロート方式のような特別な構造物が不要で、液体容器および蓋体部分の取り扱いやメンテナンスなども容易になる。
【0018】
もちろん、フロート部にカルキ成分が付着する問題も生じない。
【0019】
(2) 請求項2の発明
この発明の加湿器は、水を入れる液体容器と、この液体容器内の水を加熱する加熱手段と、この加熱手段をON,OFF駆動することによって加湿制御する加湿制御手段と、上記液体容器内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる加湿器であって、上記水温検出手段によって上記液体容器内の水温の変化を検出し、上記加湿制御手段による上記加熱手段OFF時間内の水温の低下度合から残水量を判定し、同残水量が所定量以下の時には給水報知を行うようにしたことを特徴としている。
【0020】
このような構成によると、加湿制御手段による湯沸し用加熱手段ON,OFF制御のOFF時間内の水温の低下度合から、残水量を判定し、同残水量が所定量以下の時には給水報知を行うように構成されている。
【0021】
したがって、従来のように、空炊き状態になって初めて残水量がゼロと判定して給水報知を行う場合のような、空炊きによる消費電力のロス、空炊きによる液体容器寿命の低下、液体容器内壁へのカルキ成分の固着等の問題が確実に解消される。
【0022】
また、加湿制御手段と水温検出手段のみの完全な非接触方式で残水量を判定し、給水報知を行うことができるから、液体容器内に従来のフロート方式のような特別な構造物が不要で、液体容器および蓋体部分の取り扱いやメンテナンスなども容易になる。
【0023】
もちろん、フロート部にカルキ成分が付着する問題も生じない。
【発明の効果】
【0024】
以上の結果、本願発明の加湿器によれば、従来のようなフロートが不要で、空炊きによる水垢付着の生じない直接加熱型の加湿器を、低コストに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の実施の形態に係る加湿器の電源台一体状態での全体的な構造を示す斜視図である。
【図2】同加湿器の電源台と分離した状態における全体的な構造を示す斜視図である。
【図3】同加湿器の構造を示す縦断面図(図1のA−A)である。
【図4】同加湿器の容器本体側底部の構造を示す拡大断面図(図3のX部拡大図)である。
【図5】同加湿器の制御回路図である。
【図6】同加湿器の加湿制御の内容を示すタイムチャートである。
【図7】同加湿器の給水検知制御の内容を示すタイムチャートである。
【図8】同加湿器の給水検知時の今回と前回の水温差を示すデータ表である。
【図9】同加湿器の給水検知時の沸とう検知温度と水温との差をを示すデータ表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図1〜図9を参照して、本願発明の実施の形態に係る加湿器の構成と動作について、詳細に説明する。
【0027】
先ず図1〜図5には、本願発明の実施の形態にかかる加湿器の電源台および容器本体部分の全体および要部の構成が、それぞれ示されている。
【0028】
<容器本体部および電源台、制御回路等の構成>
すなわち、この実施の形態の加湿器1は、内側に貯湯用の液体容器3を備えた容器本体1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記容器本体1A内の液体容器3を湯沸し時において加熱する平面視C字形の湯沸しヒータ(シーズヒータ)4aと、上記容器本体1Aが着脱自在に載置される電源台1Bとを備えて構成されている。
【0029】
容器本体1Aは、合成樹脂製の皿状の底ケース16aと、該底ケース16aの上部に一体化された同じく合成樹脂製の円筒状の外ケース16bと、該外ケース16bの上端16c側の全周囲に一体に形成された環状の肩部材11とからなり、該肩部材11内側の容器係止部11aを介して、上記液体容器3の側壁部3b上端(開口縁部)が支持されている。
【0030】
液体容器3は、例えば1枚板構造のステンレス製の有底円筒形状の筒体からなっており、その底部3aの下面側外周に、上記湯沸しヒータ4aが周方向にC字状に延びて設けられている。
【0031】
この場合、同湯沸しヒータ4aは、中央部分がフラットな伝熱性の良いヒータプレート4bの外周に断面逆台形状の下方側に所定の高さを有する平面C字形のヒータ埋設用凸部4cを形成し、同ヒータ埋設用凸部4c内に埋め込む形で設置されている。そして、その両端側には、電源配線である電源リード線接続用の電源リード端子が、上記ヒータ埋設用凸部4cの両端から所定の長さ突出する形で設けられている(図示省略)。
【0032】
底ケース16aは、図示のように、所定の高さ上方に起立した筒状の周縁部を、上記外ケース16bの下端側開口縁部内側に嵌合して固定されているが、その中央部には後述するスリーブ状の受電カプラー10、同受電カプラー10の外周部には後述する電源台1B側係合用凹部15c,15c,15cへの係合用凸部16d,16d,16dが設けられている。
【0033】
そして、上記ヒータプレート4bの下面側には、例えば図4に詳細に示すように、上記底ケース16aの上部に位置し、かつ上記ヒータ埋設用凸部4cの内周側中央部に位置して、受電用の棒状電極10d、複数本のスリーブ状電極10b、10c,10c・・・、スリーブ状の挿脱用ガイド筒10a等の電気的な接続手段よりなる筒体状の受電カプラ10を備えた第1の電源基板(具体的な構造は図示省略)Aが設けられている。
【0034】
そして、同受電カプラー10を介して、以下に述べる電源台1B側第2の電源基板Bの電源回路部分(図5参照)からAC電源が供給される。
【0035】
受電カプラー10の上端と上記液体容器3の底部3aとの間の一部スペース4d部分は、上記ヒータプレート4bが切り欠かれ、ヒータプレート4bに代えて断面逆V字状の伝熱部材53が底部3aに接合する形で設けられている。そして、その下面側逆V字状の溝部内にサーミスタよりなる水温T検出用の温度センサー(水温センサー)TS1が設置されている。
【0036】
この温度センサーTS1は、上記ヒータプレート4bの一部に設けられた取付ボス50部分に固定された支持板51の中央の開口部分に押え部材17を嵌合する一方、該押え部材17の下方側に付勢バネ52を設置して先端側押え部17aで押え込む形で支持されている。そして、これによって、同温度センサーTS1が液体容器3内の水の温度Tを効果的に検出するようになっている。
【0037】
なお、上記支持板51は、上述した電源基板Aの一部を構成している。
【0038】
つまり、上記第1の電源基板A部分には、例えば図5に示すように、上述した湯沸しヒータ4a用の温度ヒューズF1、バイメタルスイッチVSに加え、さらに後述の制御ユニット40につながる別回路として、上記液体容器3内の水の温度Tを検出するためのサーミスタよりなる温度センサー(水温センサー)TS1が設置されている。
【0039】
次に蓋体2は、合成樹脂製の上板2aと、該上板2aに対して外周縁が結合された同じく合成樹脂製の下板2bと、その下方の金属製の内カバー2cとからなっており、上記肩部材11内側の開口部に対して上下方向に着脱自在に嵌合(ヘリコイド係合)されている。
【0040】
上記上板2aと下板2bとの間は、必要に応じて断熱材を充填することができる断熱空間に形成されており、その全体に亘って次のような蒸気放出通路が形成されている。
【0041】
すなわち、上記蓋体2には、例えば図1〜図3に示すように、室内に向けて加湿用の蒸気を放出する平面視円弧形状かつグリル構造の蒸気放出口7aと、この蒸気放出口7aから放出される蒸気を減圧するとともに外気によって冷却する大容積の冷却空間7と、上述した内カバー2cの蒸気入口8aから、転倒止水弁8bを備えた弁室8cを経て水平方向に広がる液戻り空間8dに達し、該液戻り空間8d部分で、減圧冷却されることによって凝縮した水を上記弁室8c側に流下させて液体容器3内に回収する一方、必要な蒸気成分のみを当該蓋体2の全周方向に広く迂回させて可能な限り温度を低下させた後に、上述した冷却空間7内の底部付近に流出させる迂回通路8eとが設けられており、上記液体容器3内で発生した蒸気は、上記内カバー2cの蒸気入口8aから、それら弁室8c、液戻り空間8d、迂回通路8e、冷却空間7を経て、温度が低下した後に、最終的に蒸気放出口7aから室内に向けて放出される。
【0042】
図3の符号8fは、上記迂回通路8eから冷却空間7底部への蒸気の流出口である。
【0043】
また、図3中の符号2dは、上述した液戻り空間8dの上壁部を形成しているケーシング部材であり、蓋体2の下板2bの一部に設けられた弁室形成部材2fの上部に嵌合される形で上述した液戻り空間8dを形成している。
【0044】
また、図1〜図3中の符号9は、蓋体2の略中央部上面側に設けられたアロマオイル貯留部であり、同部分の下部は、蓋体2内の上記液戻り空間8dのケーシング部材2dの上壁部に接して設けられており、貯留されたアロマオイルが上記液戻り空間8d内の蒸気の熱の伝導によって暖められて芳香を発生する。
【0045】
さらに、上記蓋体2は、その側壁部2g部分に容器本体1Aとのヘリコイド係合用の係合片2hを備えて構成されており、容器本体1A側肩部材11の係合溝部分に回転させて係合されるようになっている。図1,図2中の符号4a,4bが、その回転操作用の凹部であり、同凹部4a,4b部分を手で把んで、右側に回すと蓋体2が容器本体1A側に係合固定され、逆に回すと、取り外される。
【0046】
さらに、図1〜図3中の符号5は、容器本体1Aを図2のように電源台1Bから取り外す時に使用される把手であり、同取り外した後に液体容器3内に水を入れる時の携帯用としても使用される。この把手5は、容器本体1Aの肩部両側に対して取付軸5a,5aを介して前後に回動自在に取り付けられている。
【0047】
他方、電源台1Bは、図示のように卓上型をなし、合成樹脂製の上カバー15aと下カバー15bとを内部に所定の高さの空間を保つ形で相互に嵌合一体化して構成されている。上カバー15a部分には、上記容器本体1Aの底ケース16aの凸部16d,16d,16dに対応した係合用の凹部15c,15c,15cと容器本体1A側の受電カプラー10に対応した給電カプラー25とが設けられている。
【0048】
給電カプラー25は、上記上カバー15aの中央部に位置して設けられ、上記受電カプラー10側のスリーブ状電極10bを備えた挿脱部材(外周部にくの字状のバネ電極25dを具備)25aを中心とし、その内側に上記受電カプラー10側のスリーブ状電極10c,10c・・・、棒状電極10dが挿入される凹溝電極25b,25b・・・、25c,25c・・・などの電気的な接続手段を備えて構成されている。
【0049】
上記電源台1Bの正面側には、例えば図1および図2に示されるように、電源のON・OFFと加湿量の強・弱を切り替える2つの機能を兼ねた電源/切替兼用スイッチ20が設けられており、例えば図1および図3のように、容器本体1Aが電源台1B上に載置され、上記電源台1B側給電カプラー25と容器本体1A側受電カプラー10とが結合した状態で、当該電源/切替兼用スイッチ20がON操作されると、上述の湯沸しヒータ4a側にAC電源が供給されるとともに加熱量・強状態での湯沸しが可能になる。
【0050】
一方、同状態から、もう1回電源/切替兼用スイッチ20がON操作されると、上記加熱量強の湯沸し状態から、加熱量弱の湯沸し状態に切り替えられる。そして、さらにもう1回押すと、元の状態に戻る。
【0051】
また、同正面部の電源/切替兼用スイッチ20の上方部には、上記加熱量・強を示す第1のLED21a、加熱量・弱を示す第2のLED21bに加え、上述した液体容器3内の湯の残量を判定して、給水が必要になったことを報知する給水報知用の第3のLED21cが設けられている。
【0052】
この電源台1Bの正面部裏側には、例えば図3、図5に示すように、上記電源/切替兼用スイッチ20、第1〜第3のLED21a〜21cに加え、室温(外気温)T′を検出するサーミスタよりなる室温センサーTS2、その他発振回路およびリセット回路46、スイッチ操作音発生および給水報知を行うための報知ブザー47、加湿制御用の制御ユニット40などを備えたマイコン基板Cが設けられている。
【0053】
また、同電源台1Bの背面部側の側部には、電源入力プラグ27が設置されており、その内側には、例えば図5に示すように、上述した電源/切替兼用スイッチ20のON操作に対応してONになる電源リレー(リレー接点)RSやゼロクロス信号検出回路41、接点位相検出回路42、リレー駆動回路43、定電圧レギュレータ44などを備えた第2の電源基板Bが設けられている。電源リレーRSは、制御ユニット40により、リレー駆動回路43を作動制御することによってメークされ、自己保持される。
【0054】
ゼロクロス信号検出回路43は、上述したAC電源30の電源電圧のゼロクロス信号を検出して制御ユニット40に入力する。
【0055】
接点位相検出回路42は、上記電源リレーRSが閉じた時の接点位相を検出して制御ユニット40に入力する。
【0056】
定電圧レギュレータ44は、例えば直流5Vの制御ユニット40動作用の定電圧動作電源を形成して、制御ユニット40に供給する。
【0057】
なお、図5中の第2の電源基板B中のCoは電解コンデンサ、F2は電源ヒューズ(パターンヒューズ)、C1,C2はコンデンサ、Dは逆流防止ダイオード、Rは電流制限抵抗である。
【0058】
上記容器本体1A側第1の電源基板Aと電源台1B側第2の電源基板Bおよびマイコン基板Cとは、図5に示すように着脱自在なコネクタ部P1〜P6を介して相互に接続されている。これら図5中のコネクタ部P1〜P6は、具体的には、上記図3の受電カプラー10および給電カプラー25相互の接続ターミナル部(電気的接続手段)によって構成されている。
【0059】
<加湿制御および給水報知制御>
以上のように、上記マイコン基板C上の上記制御ユニット40には、図5の回路から理解されるように、上記電源/切替兼用スイッチ20からのON,OFF信号、上記室温センサーTS2からの室温検出温度、発振回路およびリセット回路46からの信号に加え、上記容器本体1A側第1の電源基板Aの温度センサーTS1からの水温検出信号、以下に述べる第2の電源基板B上のゼロクロス検出回路41からのゼロクロス検出信号、接点位相検出回路42からの接点位相検出信号がそれぞれ入力されるとともに、同じく第2の電源基板B上に設けられたリレー駆動回路43、マイコン基板C上の第1〜第3のLED21a〜21c、ブザー47を作動させる制御信号を出力するようになっている。
【0060】
そして、これによって図6に示すような加湿制御を行う。
【0061】
すなわち、図6のタイムチャートは、上記図1〜図5の構成の加湿器による加湿制御方法を示している。
【0062】
図6中、(a)は電源/切替兼用スイッチ20のON操作信号、(b)は液体容器3内の水温変化(温度センサーTS1の検出温度Tの変化)、(c)は湯沸しヒータ4aのON,OFF信号(動作状態)、(e)は加湿量の強、弱設定状態を示す第1,第2のLED21a,21bのON,OFF信号(点灯状態)、(f)は後述する給水検知時に給水報知をする第3のLED21cのON,OFF信号(点灯状態)、(g)は電源/切替兼用スイッチ20のON操作音(短音)および給水報知音(長音)を発生させるブザー47のON,OFF信号(動作状態)をそれぞれ示している。
【0063】
また、(h)は上記湯沸し工程〜給水検知工程までの各工程における湯沸しヒータ4aの駆動出力(デューティー比n/16)、各工程間の移行温度(水温)、工程時間(タイマー値)等を示している。
【0064】
この実施の形態の場合、すでに述べたように、上記電源台1Bの正面側には、図1および図2に示されるように、電源のON・OFFと加湿量の強・弱を切り替える機能を兼ねた電源/切替兼用スイッチ20が設けられており、容器本体1Aが電源台1B上に載置され、上記電源台1B側給電カプラー25と容器本体1A側受電カプラー10とが結合した(図5のP1〜P6部分が接続された)状態で、当該電源/切替兼用スイッチ20がON操作されると、第2の電源基板B上のリレー駆動回路44が作動して電源リレーRSがメークされ、それによって湯沸しヒータ4a側にAC電源30からのAC電源が供給されるとともに、加湿量・強状態での湯沸しが可能になる。
【0065】
一方、同状態から、もう1回電源/切替兼用スイッチ20がON操作されると、上記加湿量・強の湯沸し状態から、加湿量・弱の湯沸し状態に切り替えられる(図6の(a)〜(g)を参照)。そして、それまでの設定状態をリセットしたい時には、さらにもう1回押すと、元の状態に戻る(図6の(a)では、リセット用のON信号については図示を省略している)。
【0066】
また、同電源台1Bの正面部の電源/切替兼用スイッチ20の上方部には、上記加湿量・強を示す第1のLED21a、弱を示す第2のLED21bに加え、後述するように、所定量の湯が残っている状態で、上述した液体容器3内の湯の残量を判定して、給水が必要になったことを報知する給水報知用の第3のLED21cが設けられている。
【0067】
この残水状態での給水検知は、例えば図7に詳細に示すように、図6のフル通電による湯沸し工程1(初期水温〜T1℃/t1秒)から湯沸し工程2(T1℃〜T2℃/t2秒)を経て、一旦沸とう検知が行われた後の蒸気発生用加湿工程中の上記制御ユニット40による湯沸しヒータ4aのON,OFF制御におけるOFF時間内の室温(外気温)T′nに応じて低下する水温の変化量ΔT℃を基準としてなされる。
【0068】
このため、上述のように、上記電源台1B側の正面部裏側の上記マイコン基板Cには、電源/切替兼用スイッチ20、第1〜第3のLED21a〜21cに加えて、室温T′nを検出する室温センサーTS2が設けられている。
【0069】
室温(外気温)T′nが低いと、高い時に比べて上記湯沸しヒータ4aがOFFとなった時間内の水温の低下度合が大きくなる。
【0070】
他方、室温(外気温)T′nが高いと、低い時に比べて上記湯沸しヒータ4aがOFFとなった時間内の水温の低下度合が小さくなる。
【0071】
したがって、その時の室温T′nによって、上記給水検知のための温度勾配の判定基準値ΔT℃を補正(変更)し、その時の室温T′nに影響されることなく、常に適正な給水検知を行えるようにしている。
【0072】
もちろん、この時、例えば図8、図9の表に示すように、今回の水温Tnと前回の水温Tn−1との差ΔTn、沸とう検知温度T3と実際の水温Tnとの差ΔT′oをそれぞれ判断し、その差を判断するに際しては、それぞれ加湿量が強であるか、弱であるかを考慮し、それらをも上記基準値に反映させる。
【0073】
そして、その上で、現在の残水量が給水を必要とする低量値である場合に、上記第3のLED21cを点灯させるとともに、ブザー47を鳴動させて給水が必要であることを報知する。
【0074】
以上のように、この実施の形態の直接加熱型加湿器によると、制御ユニット40の湯沸しヒータ4a、ON,OFF制御のOFF時間内の水温の低下度合から、残水量を判定し、さらに同判定された残水量が所定量以下である場合に給水報知を行うように構成されている。
【0075】
したがって、従来のように空炊き状態になって初めて給水報知する場合のような、空炊きによる消費電力のロス、空炊きによる液体容器寿命の低下、液体容器内壁へのカルキ成分の固着等の問題が確実に解消される。
【0076】
また、制御ユニット40と温度センサーTS1,室温センサーTS2のみの完全な非接触方式で残水量判定および給水報知を行うことができるから、液体容器3内に従来のフロート方式のような特別な構造物が不要で、液体容器3および蓋体2部分の取り扱いやメンテナンスも容易である。
【0077】
もちろん、フロート部にカルキ成分が付着する問題も生じない。
【符号の説明】
【0078】
1Aは容器本体、1Bは電源台、2は蓋体、3は液体容器、4aは湯沸しヒータ、5は把手、10は受電カプラー、15aは上カバー、15bは下カバー、16aは底ケース、16bは外ケース、20は電源/切替兼用スイッチ、21a〜21cは第1〜第3のLED、25は給電カプラー、40は制御ユニットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を入れる液体容器と、この液体容器内の水を加熱する加熱手段と、この加熱手段をON,OFF駆動することによって加湿制御する加湿制御手段と、上記液体容器内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる加湿器であって、上記水温検出手段によって上記液体容器内の水温の変化を検出し、上記加湿制御手段による上記加熱手段OFF時間内の水温の低下度合から残水量を判定するようにしたことを特徴とする加湿器。
【請求項2】
水を入れる液体容器と、この液体容器内の水を加熱する加熱手段と、この加熱手段をON,OFF駆動することによって加湿制御する加湿制御手段と、上記液体容器内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる加湿器であって、上記水温検出手段によって上記液体容器内の水温の変化を検出し、上記加湿制御手段による上記加熱手段OFF時間内の水温の低下度合から残水量を判定し、同残水量が所定量以下の時には給水報知を行うようにしたことを特徴とする加湿器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−242063(P2012−242063A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115793(P2011−115793)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】