説明

加熱器具およびそれを備えた加熱炉

【課題】高出力バーナにより炉内を2000°C以上に加熱すると、400時間程度でバーナに不具合が生じてしまい、炎が出力されない等の問題が発生してしまう。
【解決手段】炎口部に金属製の断熱板を取り付けた高出力のバーナの相対向する両面を挟むように金属製のパイプの周面を密着させて加熱器具を構成し、上記炎口部を加熱炉本体に断熱板を介して接続し、パイプ内に冷媒を流してバーナの炎口部を冷却させることにより、炉内での加熱温度が2000°C以上で500時間以上の連続加熱を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉内温度が2000°C以上となるような高出力バーナによる加熱器具およびその加熱器具を備えた加熱炉に関する。
【背景技術】
【0002】
金属等の被加熱材料を高温に加熱する場合、電気炉による加熱、当該材料にバーナの炎を直接当てる加熱、通電加熱あるいは誘導加熱等が用途や材質に応じて選択されている(例えば、特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2007−246977公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来技術において、被加熱材料を加熱する場合、電熱ヒータで暖められた空間による加熱とヒータの輻射熱は、間接加熱であるため、材料の加熱に時間がかかり、かつ、電気炉に使用されているヒータ線の材質に使用温度が左右されるために2000°C以上の加熱は難しいという問題がある。
さらに、長尺物等の連続的な加熱に関しては、電流による通電加熱が一般的であるが、通電加熱は被加熱材料の電気抵抗値に依存するために電気抵抗値の低い材料に関しては高温を得ることが難しいという問題がある。
【0005】
また、通電加熱ではその特性上、被加工材料の両端部に電極を設置する必要があり、さらに電源および制御装置等の設備を付加するために大掛かりな装置となるという問題がある。
また、高出力バーナにより炉内を2000°C以上に加熱すると、400時間程度でバーナに不具合が生じてしまい、炎が出力されない等の問題が発生してしまう。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、耐火れんがを組み合わせて長尺筒状に作製した加熱炉本体の周面の任意の1面に、炎口部にアルミニウムや銅等の金属板による断熱板を取り付けた高出力のバーナを複数連結し、これらバーナの上下もしくは左右等の相対向する両面を挟むようにアルミニウムや銅等の金属製のパイプの周面を密着させて加熱器具を構成し、そのパイプ内に冷却水(冷媒)を流してバーナの炎口部を冷却させることにより、炉内での2000°C以上で500時間以上の連続加熱を可能にした。
【0007】
また、長尺筒状にした加熱炉本体の両端を開放状態に作製することにより長尺の被加熱材料を連続的に加熱することを可能にした加熱炉とした。
【発明の効果】
【0008】
高出力バーナに熱遮断用の断熱板および冷却用のパイプを密着させて取り付けることにより、被加熱材料ならびに加熱炉からの輻射熱等によるバーナの温度上昇を抑えることができ、長時間にわたる加熱稼動を可能にすると共に、両端を開口させた長尺の炉としたことにより、長尺の被加熱材料の連続的な加熱を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】加熱器具を取り付けた加熱炉の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例を図1を用いて説明する。
図において、1は加熱炉本体であり、耐火れんが11を組み合わせて長尺筒状体に構成してある。その両端もしくは一端は閉鎖してもよく、また、両端共に開放して開口12としてもよい。
【0011】
2はバーナであり、形状は任意であるが、角形が好ましく、燃焼ガスの供給管21が接続してあり、アルミニウムや銅等の金属製の断熱板22を熱遮断用としてバーナの取り付け台もしくはバーナに直接取り付けてあり、図において加熱炉本体1の側面(上下の一面でも可)に前記断熱材22を介して所定の間隔に複数接続してある。
【0012】
3は冷却装置であり、アルミニウムや銅等の熱伝導性の良い金属製の角形のパイプ31を上記各バーナ2の対向する面、実施例の図においては上下両面の各炎口部に密着させてあり、このパイプ31中に図示しない熱交換機を介して冷媒、本実施例では冷却水を循環供給する。
【0013】
なお、このパイプ31を角形にした理由は、上記バーナ2が角形で平面部があると、互いの接触面積を多くすることができるためである。また、その形状は必ずしも角形のパイプではなくても例えば、バーナ2との接触面が平面となるように形成した丸形等のパイプでもよい。上記バーナ2の形状も同様の理由によって角形が好ましいとしたものであり、パイプ31との接触面を平面とした角形以外の形状でもよい。
【0014】
以上の構成による冷却装置を有するバーナによると、燃焼ガスとして、例えば、LPG、HとOの混合ガスやアセチレンとOの混合ガスを用い、複数のバーナ2を同時に出力させることにより、加熱炉本体1内を2000°C以上に加熱させる。また、同時に、パイプ31内に冷却水を流す。
【0015】
これにより、断熱板22により被加熱材料ならびに加熱炉からの輻射熱等によるバーナの温度上昇を抑え、しかも冷却装置3によりバーナ2の炎口部を積極的に冷却することによりバーナ2の炎口部の温度上昇を抑えることができ、500時間以上の長時間の安定した2000°C以上の連続加熱が可能となる。
さらに、加熱炉本体1の両端を開放して開口12を設けることにより、加熱炉本体の全長より長い材料を連続的に高温に加熱することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 加熱炉本体
11 耐火れんが
12 開口
2 バーナ
21 供給管
22 断熱板
3 冷却装置
31 パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎口部に金属製の断熱板を取り付けた高出力のバーナの相対向する両面を挟むように金属製のパイプの周面を密着させて加熱器具を構成し、上記炎口部を加熱炉本体に接続し、上記パイプ内に冷媒を流してバーナの炎口部を冷却させることを特徴とする加熱器具。
【請求項2】
長尺筒状に作製した加熱炉本体の周面に、請求項1記載の加熱器具を構成するバーナの炎口部を断熱板を介して複数接続し、パイプ内に冷媒を流してバーナの炎口部を冷却させることにより、炉内での加熱温度が2000°C以上で500時間以上の連続加熱を可能にしたことを特徴とする加熱炉。
【請求項3】
請求項2において、長尺筒状にした加熱炉本体の両端を開放状態に作製することにより長尺の被加熱材料を連続的に加熱することを可能にした加熱炉。

【図1】
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