説明

加熱装置

【課題】定形の固形燃材および不定形の固形燃材を燃料として用いることが可能な加熱装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る加熱装置1は、一端側に開口部を有するリング状部材11が設けられ、他端側に底面板13が設けられて、固形燃材4を内部に収容する円筒状の燃材タンク5と、燃材タンクを支持、回転させる回転支持機構と、固形燃材を燃焼させる燃焼室6と、燃材タンクの内周壁との接線が該燃材タンクの中心軸の軸線方向と一致するように該燃材タンクの内周壁に立設される板状の部材であって、燃材タンクの回転に伴い、該燃材タンク内の固形燃材をすくい上げて搬送する排出板28と、一方の先端部に設けられる受口7aを、前記中心軸の軸線方向において排出板配設位置と重なる位置まで、開口部から燃材タンクに進入させると共に、該燃材タンク内から燃焼室内へ連通する燃材通路7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置に関し、さらに詳細には、固形燃材を燃料とする加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、木質系固形燃材を燃料とした加熱装置があらためて注目されている。木質系固形燃材の例として、木質ペレットがあり、これを燃料とする加熱装置の例として、暖房用のペレットストーブが実用化されている。
ここで、木質ペレットとは、間伐材あるいは製材廃材のおが屑、樹皮等を粉砕、圧縮し、成形した固形燃材であり、例えば、長さ5mm〜20mm、直径6mm〜12mmの円筒形状のものが一般的である。木質ペレットは、石炭や石油等の化石燃料と比べて、NOxやSOxを殆ど排出しない等、環境に優しいクリーンな燃料である。
【0003】
木質ペレットを用いる暖房装置の例として、特許文献1に記載のペレットストーブが提案されている。当該ペレットストーブにおける燃材(木質ペレット)供給方式はスクリュ−方式と呼ばれるものであるが、この供給方式は、定形の木質ペレットの供給は可能であるが、燃材の形状・大きさのばらつきに対応することが難しく、また、不定形燃材、粉状燃材に対応できないという課題があった。
【0004】
例えば、粉状燃材の例として、コーヒー抽出粕を用いることが可能なペレットストーブが特許文献2に記載されている。しかし、当該ペレットストーブにおいても、粉状燃材をそのまま燃焼させる訳ではなく、圧縮して固形化を行った後、燃料として用いており、その点では従来の木質ペレットを用いるペレットストーブと同様といえる。
【0005】
一方、定形燃材の木質ペレット、および不定形燃材の例である薪の何れも用いることが可能なペレットストーブが特許文献3に記載されている。
しかし、当該ペレットストーブは、それらの燃材の不完全燃焼の防止、清掃の容易化を課題とする技術であって、不定形燃材の供給機構については触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−121337号公報
【特許文献2】特開2006−3032号公報
【特許文献3】特開2008−107005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のペレットストーブに例示される木質系固形燃材を燃料とした加熱装置の需要が高まりつつある背景下、成形加工により製造される木質ペレットのような定形の固形燃材以外にも、建築廃材もしくは間伐材を切断もしくは粉砕して小片化した不定形の固形燃材(木材片)、あるいは、キノコ栽培用培地、籾殻、蕎麦殻、おが屑、コーヒー抽出粕等の粉状燃材を木質ペレットに加工せずに、そのままの状態で用いることが可能な加熱装置の実現が要請されている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、定形の固形燃材はもちろんのこと、不定形の固形燃材を燃料として用いることが可能な加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
この加熱装置は、固形燃材を燃料とする加熱装置であって、中心軸が水平に配置される円筒状で、一端側にリング状部材が設けられて該円筒の外径よりも小さい内径の開口部が形成され、他端側に底面板が設けられ、前記固形燃材を内部に収容する燃材タンクと、前記燃材タンクを支持すると共に、前記中心軸を回転軸として回転させる回転支持機構と、前記固形燃材を燃焼させる燃焼室と、前記燃材タンクの内周壁との接線が該燃材タンクの中心軸の軸線方向と一致するように該燃材タンクの内周壁に立設される板状の部材であって、該燃材タンクの回転に伴い、該燃材タンク内部に収容されている固形燃材をすくい上げて搬送する排出板と、一方の先端部に設けられる受口を、前記中心軸の軸線方向において前記排出板配設位置と重なる位置まで、前記開口部から前記燃材タンクに進入させると共に、該燃材タンク内から前記燃焼室内へ連通して前記固形燃材を通過させる燃材通路と、を備え、前記燃材タンクの回転に伴い、前記排出板が前記燃材通路の受口の上方位置に移動したとき、該排出板によって搬送されている前記固形燃材が重力で滑落して、該受口から該燃材通路に入り、該燃材通路を通過して前記燃焼室内に投入されることを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特に不定形の固形燃材を、所定量、自動的に燃焼室に供給して、長時間にわたる燃焼を安定して持続させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る加熱装置の例を示す概略図である。
【図2】図1の加熱装置の燃材タンクの構成を示す断面図である。
【図3】図1の加熱装置の燃材タンクの構成を示す斜視図である。
【図4】図1の加熱装置の燃材タンクの内部の構成を示す概略図である。
【図5】図1の加熱装置の調整板の構成を示す概略図である。
【図6】図1の加熱装置の燃材通路および蓋部の構成を示す概略図である。
【図7】図1の加熱装置における固形燃材の搬送作用を説明するための説明図である。
【図8】図1の加熱装置における固形燃材の搬送作用を説明するための説明図である。
【図9】図1の加熱装置における固形燃材の搬送作用を説明するための説明図である。
【図10】図1の加熱装置において燃料として用いられる固形燃材の例を示す写真である。
【図11】図1の加熱装置の調整板の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る加熱装置1の例を示す概略図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は側面図である。図2は、その加熱装置1の燃材タンク5の構成を示す正面図(断面図)である。図3は、その加熱装置1の燃材タンク5の構成を示す斜視図である。図4は、その加熱装置1の燃材タンク5の内部の構成を示す概略図である。図5は、その加熱装置1の調整板14の構成を示す概略図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は正面図、図5(c)は側面図である。図6は、その加熱装置1の燃材通路7および蓋部29の構成を示す概略図である。図7〜図9は、その加熱装置1における固形燃材4の搬送作用を説明するための説明図である。図10は、その加熱装置1において燃料として用いられる不定形の固形燃材4(木材片)の例を示す写真である。図11は、調整板14の変形例を示す概略図(側面図)である。
【0014】
本実施の形態に係る加熱装置1を、図1に示す(図1(a)は正面図、図1(b)は側面図)。加熱装置1は、支持台8上に、固形燃材4の自動供給を行う燃材供給機構2と、供給された固形燃材の燃焼を行う本体3とを備える。固形燃材4は燃材供給機構2の燃材タンク5に貯蔵されると共に、自動的に本体3の燃焼室6内に供給される。符号7は、固形燃材4が燃材タンク5から燃焼室6へ供給される際に通過する燃材通路である。なお、加熱装置1を構成する基本鋼材にはスチールを用いる。
この加熱装置1は、固形燃材4を燃焼室6内で燃焼させて発熱作用を生じさせる装置であって、家庭内、農業用ビニールハウス内、工場内等の暖房用として用いることができるのはもちろんのこと、温水を発生させる熱源として給湯用に用いることができ、さらに、蒸気を発生させる熱源として発電用に用いることができる等、様々な用途に供することが可能である。
【0015】
まず、燃材供給機構2について説明する。
燃材タンク5は、図2の正面図(断面図)および図3の斜視図に示すように、中心軸が水平に配置される円筒状であって、一端側の端面にリング状部材11が設けられて該円筒の外径よりも小さい内径の開口部12が形成され、他端側の端面に開口の無い平板状の底面板13が設けられ、固形燃材4を内部に収容することが可能である。本実施の形態では、燃材タンク5は、外径(直径)1000mm、軸方向長さ1000mmであり、開口部12は内径(直径)500mmである。なお、燃材通路7が挿通する部分を除いて当該開口部12を塞ぐ蓋部29が、支持台8に支持されて設けられる(図1、図6参照)。これは、燃材タンク5内に収容される固形燃材が開口部12から飛び出すことを防止するためである。
【0016】
また、燃材タンク5は、図4の内部構造図(斜視図)に示すように、円筒の中心軸と直交する円板状の調整壁14が内部に設けられる。この調整壁14によって、燃材タンク5は、リング状部材11を有する一端側の排出調整室17と、底面板13を有する他端側のタンク室18とに仕切られる。したがって、燃材投入口20から投入された固形燃材4は、まずタンク室18内に収容される。
【0017】
上記構造の燃材タンク5は、図1に示すように、筒状部の中心軸と一致させて底面板13に連結されるシャフト21と、リング状部材11側に設けられるローラ22(22Aおよび22B)とによって、燃材タンク5が回転可能に支持される。当該シャフト21には、歯車部材23が回転軸を一致させて連結され、電動モータ24と当該歯車部材23との間にチェーン25が設けられる。この構成により、電動モータ24の回転力がチェーン25を介して歯車部材23に伝達されて、シャフト21すなわち燃材タンク5の回転が行われる(図1(b)の矢印方向が回転方向である)。なお、電動モータ24の出力は、一例として、100V−180Wである。
燃材タンク5が、所定速度で回転されることによって、後述するように、固形燃材4の自動供給作用が生じる。
【0018】
ここで、調整壁14には、図5に示すように、固形燃材4が通過可能な大きさに開口する調整口15が設けられる。調整口15の大きさは、固形燃材4の大きさに応じて適宜設定されるが、例えば、固形燃材4の大きさが縦200mm、横80mm、高さ60mm程度の場合、調整口15を縦300mm、横200mm程度の大きさとする。調整口15は、より詳しくは、同図のように、調整壁14の径方向と一致する中心線に平行な二つの長辺部15a、15bと、当該中心線に直交する短辺部15cと、調整壁14の外縁部の円弧部15d(燃材タンク5の内周壁面の円弧部によって構成される)とからなる形状である。
さらに、調整壁14には、板面(壁面)に立設される板状の部材である調整板16が設けられる。調整板16は、より詳しくは、図4に示すように、調整壁14との交線すなわち調整壁14との連結部(後述の調整式の場合は接触部)に形成される接線が、当該調整壁14の径方向と平行な長辺部15bと一致するように設けられる。ただし、固形燃材4として、粉状の固形燃材を混合させない木材片のみ(後述)を用いる場合には、調整板16と調整壁14との接触は必須構成ではなく、固形燃材4の大きさに対して微小な隙間があっても構わない。
なお、例えば、固形燃材4の大きさが縦200mm、横80mm、高さ60mm程度の場合、調整板16を縦100mm、横100mm程度の大きさとする。また、調整板16は、調整壁14との連結部と対向する先端部が、燃材タンク5の回転方向に所定角度α(30°〜75°程度)で傾けられている。調整口15、調整板16の形状、大きさ、およびαの角度は、固形燃材4の種類、大きさ等に応じて設定すればよい。
また、変形例として、図11(図5(c)と同様の側面図として図示)に示すように、調整口15および調整板16を適宜、複数設ける構成としてもよい。これにより、燃材4を排出調整室17内に投入する時間間隔、量等を調整し得る。
【0019】
上記構成の作用を、図7を用いて説明する。
燃材タンク5の回転に伴い、まず、図7(a)に示すように、タンク室18の内部に収容されている固形燃材4が、燃材タンク5(タンク室18)の最下端位置に到達した調整板16によってすくい上げられる。次いで、図7(b)に示すように、固形燃材4が上方に向けて搬送される。次いで、図7(c)に示すように、調整板16が最上端位置に向かって移動を行っている間に、当該調整板16によって搬送されている固形燃材4が重力を受けて調整板16の板上を滑落して、調整口15に入り、当該調整口15を通過して排出調整室17内に投入される。
【0020】
ところで、固形燃材4として、定形の木質ペレットを用いることも可能であるが、本実施の形態に係る加熱装置1においては、不定形の固形燃材を用いることが可能である。
不定形の固形燃材とは、建築廃材もしくは間伐材を切断もしくは粉砕して小片化した不定形の木材片である。その一例の写真を図10に示す。木材片の形状はまさに不定形であるが、例えば、縦100〜400mm、横50〜200mm、高さ50〜100mm程度の大きさである。もちろん、この大きさに限定されるものではない。
【0021】
使用される固形燃材4の大きさに応じて、確実な供給を図り、且つ供給量を調整するために、燃材タンク5に調整板可変機構26が設けられる(図2、図4参照)。調整板可変機構26は、燃材タンク5の筒状部の挿入孔(不図示)から進退自在に挿入された長板状の調整板16の板面を、ボルト26aによって締め付けて固定するものである。
この構成により、燃材タンク5(タンク室18)に対して調整板16を支持・固定すると共に、タンク室18内に延出する当該調整板16の長さを所定範囲内で可変とする作用を生じる。例えば、調整板16のタンク室18内への延出長さを長くすることによって、より多くの固形燃材4をすくい上げること、あるいは、より大きな固形燃材4をすくい上げることが可能となる。
【0022】
また、タンク室18の内周壁18aには、壁面に立設される板状の部材である燃材移動プレート27が設けられる。燃材移動プレート27は、より詳しくは、図4に示すように、タンク室18の内周壁18aとの接線すなわち内周壁18aとの連結部に形成される接線が、燃材タンク5の回転時に底面板13側が先行し、調整壁14側が後行する傾斜線となるように設けられる。また、燃材移動プレート27は、タンク室18の内周壁18aとの連結部と対向する先端部が、燃材タンク5の回転方向と逆方向に所定角度γ(45°〜90°程度)で傾けられている。なお、燃材移動プレート27は、複数個設けてもよい。
この構成によって、タンク室18内において、固形燃材4を調整壁14および調整板16に向けて徐々に移動させることが可能となるため、前述の調整板16によって固形燃材4を搬出調整室17へ投入させる作用が安定化する。
【0023】
一方、排出調整室17の内周壁17aには、壁面に立設される板状の部材である排出板28が設けられる。排出板28は、より詳しくは、図4に示すように、排出調整室17の内周壁17aとの接線すなわち内周壁17aとの連結部に形成される接線が、燃材タンク5の中心軸の軸線方向と一致するように設けられる。また、排出板28は、排出調整室17の内周壁17aとの連結部と対向する先端部が、燃材タンク5の回転方向と逆方向に所定角度β(45°〜90°程度)で傾けられている。
なお、例えば、固形燃材4の大きさが縦200mm、横80mm、高さ60mm程度の場合、排出調整室17の軸線方向の幅すなわち調整壁14とリング状部材11との間の距離を200mmとして、排出板28をその幅と同一長さすなわち横200mmの大きさとすると共に、前記所定角度βで傾けたときに、内周壁17aとの連結部と対向する先端部が開口部12まで到達するように、縦の長さを設定する。
【0024】
ここで、燃材通路7は、図6に示すように、一方の先端部に設けられる受口7aを、燃材タンク5の中心軸の軸線方向において排出板28が設けられる位置と重なる位置まで、開口部12から燃材タンク5内に進入させる構成とする(図1(a)参照)。このとき、開口部12には蓋部29が設けられるため、燃材通路7は蓋部29を挿通するようにして、当該蓋部29と共に支持台8に支持されて固定される。このように、燃材タンク5(排出調整室17)内から燃焼室6内へ連通して固形燃材4を通過させる通路が形成される。
なお、例えば、固形燃材4の大きさが縦200mm、横80mm、高さ60mm程度の場合、燃材通路7の断面形状を縦80mm、横250mm程度の大きさとする。また、燃材通路7は、燃材タンク5側から、燃焼室6側へ下降するように傾斜させて設置する。
【0025】
上記構成の作用を、図8を用いて説明する。
燃材タンク5の回転に伴い、まず、図8(a)に示すように、排出調整室17の内部に収容されている固形燃材4が、燃材タンク5(排出調整室17)の最下端位置に到達した排出板28によってすくい上げられる。次いで、図8(b)に示すように、固形燃材4が上方に向けて搬送される。次いで、図8(c)に示すように、排出板28が燃材通路7の受口7aの上方位置に移動したとき、当該排出板28によって搬送されている固形燃材4が重力を受けて排出板28の板上を滑落して、当該受口7aから燃材通路7内に入る。ここで、図8各図に示すように、燃材通路7(受口7a)の位置を、開口部12の幅方向の中心位置よりも、回転の上流側方向に偏らせた配置とすることで、固形燃材4の受口7aへの投入が確実に行われる。
このようにして、受口7aに投入された固形燃材4は(図9(a)参照)、当該燃材通路7を通過して(図9(b)参照)、燃焼室6内に投入される(図9(c)参照)。なお、燃材通路7内における固形燃材4の移動は、重力の作用によるものである。
【0026】
以上の作用を安定して行わせる観点から、調整板16と、排出板28とは、燃材タンク5を中心軸の軸線方向に視たときの周方向位置が重ならない位置にそれぞれ配設される構成とすることが好適である(図4参照)。
これによって、調整板16によって排出調整室17内に投入される固形燃材4と、排出板28によって燃材通路7(受口7a)内に投入される固形燃材4とが干渉して、燃材タンク5内で詰まってしまうことを防止でき、安定供給が可能となる。
【0027】
以上のように、燃料供給機構2によれば、特に固形燃材4が不定形の場合であっても、タンク室18内に収容された当該固形燃材4を、所定量、自動的に燃焼室6内に投入させることが可能となる。その結果、長時間にわたる燃焼を安定して持続させることが可能となる。一例として、不定形の木材片(縦200mm、横80mm、高さ60mm程度)を燃材タンク5に所定量収容して行った実験結果では、5時間以上の安定した燃焼が確認された。
【0028】
なお、本実施の形態における加熱装置1の燃焼量、燃焼時間は、固形燃材4の材質、大きさ等の各種条件に応じて、燃材タンク5の回転速度を変えることによって、調整することが可能となる。このため、電動モータ24の回転速度を調整する速度調整機構(不図示)が設けられる。
【0029】
また、前記の燃材通路7は、少なくとも燃焼室6内から燃材タンク5(排出調整室17)内にかかる位置まで管状形状を有することが好適である。これにより、燃焼室6内の乾燥熱気が燃材タンク5内に導かれて、固形燃材4の湿気を除去することが可能となる。ただし、燃材通路7が燃焼室6の煙突として作用してしまうことを防止するために、燃焼室6内から燃焼室6外へ連通して排気を行う煙突30を本体3に設けておくことが必要となる。
【0030】
また、固形燃材として、前記不定形木材片あるいは木質ペレットと共に、生ゴミを除く可燃ゴミ、キノコ栽培用培地、籾殻、蕎麦殻、おが屑、もしくはコーヒー抽出粕を所定の割合で混合させて用いることも可能である。一例として、不定形木材片に対して15wt%以下の割合で混合すれば、好適に燃焼させることができる。
前記粉状物は、これまで、焼却ゴミとして焼却廃棄が行われており、あるいは、木質ペレット等の定形燃材とするための圧縮成形加工が行われた後、固形燃材として用いられていたものであった。これに対し、本実施の形態に係る加熱装置1においては、それらの粉状物を、加工せずにそのままの状態で固形燃材の一部として燃焼させることが可能となる。すなわち、廃棄対象物を燃料として使用できる点で画期的である。一方、燃料化が可能であった粉状物に対しても、圧縮成形が不要となり、加工コストが大幅に削減できる。
【0031】
なお、着火時、および固形燃材4を使い果たした時のために、燃焼室6には、石油もしくはガスを燃焼させるバーナー(不図示)を設けておくことが好適である。また、当該バーナーを固形燃材4の燃焼中にも併用することとすれば、燃焼をより安定化させる作用が生じ得る。例えば、燃焼室6の上部に熱交換器(不図示)および送風機(不図示)を設けて温風を発生させて農業の促成栽培のハウス内の加温に利用する場合や、燃焼室6の上部にボイラー(不図示)を設けて温水もしくは水蒸気を発生させて給湯、暖房、発電等に利用する場合において、温風・温水等の温度の安定化を図ることが可能となる。
【0032】
さらに、燃焼室6内へ送風を行うブロア(不図示)を設けてもよい。これにより、燃焼をより安定化させる作用が生じ得る。
【0033】
以上説明した通り、本実施の形態に係る加熱装置によれば、特に、建築廃材もしくは間伐材を切断もしくは粉砕して小片化した木材片のような不定形の固形燃材を自動的且つ安定的に供給して、燃焼させることが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1 加熱装置
2 燃料供給機構
3 本体
4 固形燃材
5 燃材タンク
6 燃焼室
7 燃材通路
12 開口部
14 調整壁
15 調整口
16 調整板
17 排出調整室
18 タンク室
27 燃材移動プレート
28 排出板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形燃材を燃料とする加熱装置であって、
中心軸が水平に配置される円筒状で、一端側にリング状部材が設けられて該円筒の外径よりも小さい内径の開口部が形成され、他端側に底面板が設けられ、前記固形燃材を内部に収容する燃材タンクと、
前記燃材タンクを支持すると共に、前記中心軸を回転軸として回転させる回転支持機構と、
前記固形燃材を燃焼させる燃焼室と、
前記燃材タンクの内周壁との接線が該燃材タンクの中心軸の軸線方向と一致するように該燃材タンクの内周壁に立設される板状の部材であって、該燃材タンクの回転に伴い、該燃材タンク内部に収容されている固形燃材をすくい上げて搬送する排出板と、
一方の先端部に設けられる受口を、前記中心軸の軸線方向において前記排出板配設位置と重なる位置まで、前記開口部から前記燃材タンクに進入させると共に、該燃材タンク内から前記燃焼室内へ連通して前記固形燃材を通過させる燃材通路と、を備え、
前記燃材タンクの回転に伴い、前記排出板が前記燃材通路の受口の上方位置に移動したとき、該排出板によって搬送されている前記固形燃材が重力で滑落して、該受口から該燃材通路に入り、該燃材通路を通過して前記燃焼室内に投入されること
を特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記燃材タンクは、内部に、前記中心軸と直交する円板状であって、前記固形燃材が通過可能な大きさに開口する調整口を有する調整壁が設けられて、前記リング状部材を有する一端側の排出調整室と、前記底面板を有する他端側のタンク室とに仕切られて、
前記排出板は、前記排出調整室に配設され、
前記タンク室は、前記調整壁との接線が該調整壁の径方向と平行な前記調整口の構成辺と一致するように該調整壁に立設される板状の部材であって、該燃材タンクの回転に伴い、該タンク室内部に収容されている固形燃材をすくい上げて搬送する調整板を備えて、
前記燃材タンクの回転に伴い、前記調整板が最下端位置から最上端位置に向かって移動する間に、該調整板によって搬送されている前記固形燃材が重力で滑落して、前記調整口に入り、該調整口を通過して前記排出調整室内に投入されること
を特徴とする請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
前記固形燃材は、建築廃材もしくは間伐材を切断もしくは粉砕して小片化した不定形の木材片であること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の加熱装置。
【請求項4】
前記固形燃材は、前記木材片、および該木材片に対して15wt%以下の割合で混合された生ゴミを除く可燃ゴミ、キノコ栽培用培地、籾殻、蕎麦殻、おが屑、もしくはコーヒー抽出粕であること
を特徴とする請求項3記載の加熱装置。
【請求項5】
前記排出板は、前記燃材タンクの内周壁との連結部と対向する先端部が、前記燃材タンクの回転方向と逆方向に所定角度で傾けられていること
を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の加熱装置。
【請求項6】
前記調整板は、前記調整壁との連結部と対向する先端部が、前記燃材タンクの回転方向に所定角度で傾けられていること
を特徴とする請求項2〜5のいずれか一項記載の加熱装置。
【請求項7】
前記燃材タンクは、前記調整板を支持すると共に、前記タンク室内に延出する該調整板の長さを可変とする、前記調整板可変機構を備えること
を特徴とする請求項2〜6のいずれか一項記載の加熱装置。
【請求項8】
前記排出板と、前記調整板とは、前記燃材タンクを軸線方向にみたときの周方向位置が重ならない位置にそれぞれ配設されること
を特徴とする請求項2〜7のいずれか一項記載の加熱装置。
【請求項9】
前記燃材通路が挿通する部分を除いて前記開口部を塞ぐ蓋部が設けられること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の加熱装置。
【請求項10】
前記タンク室の内周壁との接線が前記燃材タンクの回転時に前記底面板側が先行し、前記調整壁側が後行する傾斜線となるように該タンク室の内周壁に立設される板状の部材であって、
前記タンク室の内周壁との連結部と対向する先端部が、前記燃材タンクの回転方向と逆方向に所定角度で傾けられた燃材移動プレートが設けられること
を特徴とする請求項2〜9のいずれか一項記載の加熱装置。
【請求項11】
前記回転支持機構は、前記燃材タンク回転速度を調整する速度調整機構を備えること
を特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の加熱装置。
【請求項12】
前記燃材通路は、少なくとも前記燃焼室内から前記燃材タンク内にかかる位置まで管状形状を有すること
を特徴とする請求項1〜11のいずれか一項記載の加熱装置。
【請求項13】
前記燃焼室は、石油もしくはガスを燃焼させるバーナーを備えること
を特徴とする請求項1〜12のいずれか一項記載の加熱装置。
【請求項14】
前記木材片は、縦100〜400mm、横50〜200mm、高さ50〜100mmの大きさであること
を特徴とする請求項3〜13のいずれか一項記載の加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図10】
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