説明

加熱調理器

【課題】利便性を向上できる加熱調理器を提供する。
【解決手段】調理物90を収納する加熱室20と、加熱室20を開閉する扉7と、扉7に設けられて加熱室20内を視認できる透視窓8と、加熱室20を照明する照明装置80とを備え、調理物90の調理モードまたは調理の進行状況に応じて照明装置80の発光色を可変した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱室を照明する照明装置を備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器は特許文献1に開示される。この加熱調理器は調理物を収納する加熱室を備え、マグネトロンによる加熱調理を行う。加熱室の側方には操作ボタン及び表示部を有した操作パネルが配される。操作ボタンは背面に多色発光式のLEDが配された透過照明式に形成される。
【0003】
調理が開始されるとマグネトロンによって調理物が加熱される。そして、調理の進行に応じて操作ボタン背面のLEDの発光色が可変される。これにより、使用者が操作ボタンの色を判別して調理の進行状況を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−61429号公報(第2頁−第3頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の加熱調理器によると、操作ボタンが小さいため離れた場所から操作ボタンの色を判別することが困難である。このため、調理の進行状況を容易に把握することができず、加熱調理器の利便性が悪い問題があった。
【0006】
また、マグネトロンによる加熱調理を行う調理モードに加えて熱風や蒸気による加熱調理を行う調理モードを備えた加熱調理器が知られている。この加熱調理器により調理を行う際に調理モードを誤選択して調理を失敗する場合があり、加熱調理器の利便性が悪い問題があった。
【0007】
本発明は、利便性を向上できる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、調理物を収納する加熱室と、前記加熱室を開閉する扉と、前記扉に設けられて前記加熱室内を視認できる透視窓と、前記加熱室を照明する照明装置とを備え、調理物の調理モード及び調理の進行状況の一方または両方に応じて前記照明装置の発光色を可変したことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、調理物を加熱室内に収納して調理モードが選択されると加熱調理が開始される。加熱室を照明する照明装置は、例えば調理モードに応じて発光色が可変される。使用者は透視窓を介して加熱室内の照明光を視認し、調理モードの誤選択を判別できる。また、加熱室を照明する照明装置は、例えば調理の進行状況に応じて発光色が可変される。使用者は透視窓を介して加熱室内の照明光を視認し、調理の進行状況を判別できる。調理モードに応じて照明装置の発光色を可変し、更に調理の進行状況に応じて照明装置の発光色を可変してもよい。
【0010】
また本発明は、上記構成の加熱調理器において、調理の開始時に調理モードに応じて前記照明装置の発光色を可変するとともに、調理開始から所定時間経過後に前記照明装置の発光色を各調理モードで同じ色にし、調理の進行状況に応じて前記照明装置の発光色を可変したことを特徴としている。
【0011】
この構成によると、調理を開始すると加熱室を照明する照明装置の発光色が調理モード応じて可変される。これにより、使用者は調理モードの誤選択を判別できる。所定時間が経過すると例えば白色等の所定の色で照明される。その後、調理が進行すると進行状況に応じて照明装置の発光色が可変される。これにより、使用者は調理の進行状況を判別できる。
【0012】
また本発明は、上記構成の加熱調理器において、前記照明装置の発光色に赤色を混合して発光色を可変し、調理の進行に伴って赤色の混合度合を大きくしたことを特徴としている。この構成によると、調理が開始されると所定の色で加熱室が照明され、調理の進行に伴って加熱室の照明光が赤色を多く含むように可変される。調理開始時に調理モードに応じて異なる色で照明した場合も同様に、調理の進行に伴って加熱室の照明が赤色を多く含むように可変される。
【0013】
また本発明は、上記構成の加熱調理器において、調理の進行に伴って前記照明装置の発光色の輝度を高くしたことを特徴としている。この構成によると、調理が開始されると所定の色で加熱室が照明され、調理の進行に伴って加熱室の照明光の輝度が高くなる。調理開始時に調理モードに応じて異なる色で照明した場合も同様に、調理の進行に伴って加熱室の照明光の輝度が高くなる。
【0014】
また本発明は、上記構成の加熱調理器において、調理終了時に前記照明装置の発光色を白色にしたことを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の加熱調理器において、前記調理モードが調理物を解凍する解凍モードを有し、調理物を加熱調理する際に前記照明装置の発光色を暖色にするとともに、前記解凍モードの時に前記照明装置の発光色を寒色にしたことを特徴としている。この構成によると、例えば、マイクロ波加熱する際に照明装置の発光色がオレンジ色に設定され、解凍を行う際に照明装置の発光色が青色に設定される。
【0016】
また本発明は、上記構成の加熱調理器において、調理の進行状況を検出する仕上り検出手段を設け、前記仕上り検出手段は、調理物の温度を検知する赤外線センサ、前記加熱室の排気温度を検知する温度センサ、前記加熱室の排気湿度を検知する湿度センサ、調理物の重量を検知する重量センサ、調理物に接触して温度を検知する熱電対、前記加熱室内の匂いを検知する匂い分析装置、のいずれかを含むことを特徴としている。
【0017】
この構成によると、仕上り検出手段の検出結果に基づいて調理の進行状況を検知し、照明装置の発光色が可変される。仕上り検出手段は赤外線センサによって調理物の温度を検知して調理の進行状況を検出してもよい。また、仕上り検出手段は温度センサによって加熱室の排気の温度を検知して調理の進行状況を検出してもよい。また、仕上り検出手段は調理物の加熱による水分の蒸発に伴う加熱室の排気の湿度を湿度センサにより検知して調理の進行状況を検出してもよい。また、仕上り検出手段は調理物の加熱による水分の蒸発に伴う重量の減少を重量センサにより検知して調理の進行状況を検出してもよい。また、仕上り検出手段は熱電対を調理物に接触して調理物の温度を検知して調理の進行状況を検出してもよい。また、仕上り検出手段は匂い分析装置によって調理物の焦げに伴う加熱室内の匂いの変化を検知して調理の進行状況を検出してもよい。
【0018】
また本発明は、上記構成の加熱調理器において、前記照明装置が多色LEDから成ることを特徴としている。この構成によると、多色LEDによって種々の色を発色することができる。
【0019】
また本発明は、上記構成の加熱調理器において、外気を取り込んで前記照明装置を冷却する外気流入ダクトを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、調理物の調理モード及び調理の進行状況の一方または両方に応じて照明装置の発光色を可変したので、使用者は離れた位置から透視窓を介して調理モードや調理の進行状況を容易に把握することができる。従って、加熱調理器の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態の加熱調理器を示す斜視図
【図2】本発明の第1実施形態の加熱調理器の扉を開いた状態を示す斜視図
【図3】本発明の第1実施形態の加熱調理器を示す正面断面図
【図4】本発明の第1実施形態の加熱調理器の構成を示すブロック図
【図5】本発明の第1実施形態の加熱調理器の動作を示すフローチャート
【図6】本発明の第2実施形態の加熱調理器の動作を示すフローチャート
【図7】本発明の第3実施形態の加熱調理器の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1、図2は一実施形態の加熱調理器を示す斜視図である。加熱調理器1は本体筐体部10内に調理物90(図3参照)を収納する加熱室20を備えている。加熱室20は前面を開口した箱状に形成される。本体筐体部10の下端には上部にハンドル7aを有した扉7が枢支され、加熱室20の前面が扉7により開閉される。図1は扉7を閉じた状態を示し、図2は扉7を開いた状態を示している。
【0023】
扉7には加熱室20内を視認できる耐熱ガラスから成る透視窓8が設けられる。透視窓8の右方には操作部3及び表示部4が設けられる。操作部3は調理モードや調理メニューの選択操作等を行う。表示部4は液晶パネル等から成り、操作部3による選択項目、調理の進行状況、使用者への報知内容等を表示する。
【0024】
図3は加熱調理器1の正面断面図を示している。加熱室20の周面には断熱材14が設けられ、加熱室20内の天井面には赤外線センサ76が設けられる。赤外線センサ76によって調理物90の温度を非接触で検知する。加熱室20の両側壁の上部には照明装置80が設けられる。照明装置80はRGBの各素子を有した多色LEDから成り、各素子に供給されるデジタル信号の階調に応じて多種の発光色で発光することができる。照明装置80の加熱室20側の面は耐熱性の透明な樹脂やガラスから成る照明カバー81で覆われる。
【0025】
加熱室20の左側壁には突起部23、25が上下に設けられ、右側壁には突起部23、25とそれぞれ同じ高さに突起部24、26が設けられる。突起部23、24間や突起部25、26間に調理物90を載置する載置網22を有したトレイ21が橋架される。
【0026】
加熱室20の背後には循環ダクト27が設けられる。循環ダクト27には加熱室20の背面中央部に開口する吸込口20aと背面周部に開口する吹出口20b、20c、20d、20e、20f、20gとが設けられる。循環ダクト27内には循環ファン28(図4参照)及び加熱ヒータ29(図4参照)が設けられる。循環ファン28及び加熱ヒータ29の駆動によって加熱室20内の蒸気や空気が吸込口20aを介して循環ダクト27に流入し、加熱されて吹出口20b〜20gから吹き出される。
【0027】
加熱室20の下方には冷却ファン53、導波管60、マグネトロン50を配した外気流入ダクト56が設けられる。外気流入ダクト56は外気流入口62を本体筐体10の下面に開口し、外気流入口62に面して冷却ファン53が配される。冷却ファン53の駆動により外気流入口62を介して外気流入ダクト56内に外気が取り込まれる。
【0028】
外気流入ダクト56は加熱室20の左側方を上方に延び、左側の照明装置80に外気を導く。また、外気流入ダクト56は仕切板34によって加熱室20の右方上部と仕切られ、後述する蒸気発生装置40の後方で一部が上方に延びて右側の照明装置80に外気を導く。
【0029】
マグネトロン50は導波管60を介して加熱室20内にマイクロ波を供給する。これにより、調理物90をマイクロ波加熱することができる。導波管60にはアンテナモータ52により回転するアンテナ51が設けられ、加熱室20に供給されるマイクロ波を均一化する。
【0030】
加熱室20の右側壁には給気口57及び排気口58が設けられる。給気口57は給気ダンパ59により開閉される。外気流入ダクト56内の給気口57に面した位置には給気ファン55が配される。排気口58には本体筐体10の上面に開口部73を開口した排気ダクト72が導出される。排気ダクト72には湿度センサ75及び温度センサ74が設けられる。
【0031】
加熱室20の右側の仕切板34の上方には着脱自在の水タンク30が配される。水タンク30の側方には貯水部31が設けられる。貯水部31は水タンク30の背面側に設けた止水弁(不図示)を介して連通路32によって水タンク30と連結され、水タンク30の装着によって水タンク30内の水が流入する。
【0032】
貯水部31には水タンク30から流入する水に浸漬して水位を検出する水位センサ36(図4参照)が設けられる。水位センサ36は複数の電極(不図示)を有し、各電極間の導通によって水位タンク30の水位を検知する。
【0033】
加熱室2の右側壁の上部には蒸気発生装置40が設けられる。蒸気発生装置40は金属製のハウジング41内に蒸気発生ヒータ42が設けられる。ハウジング41には貯水部31から導出される給水管33が接続され、加熱室2に臨む吐出口44が開口する。
【0034】
給水管33の経路中に設けられる給水ポンプ35の駆動によって貯水部31からハウジング41内に給水される。ハウジング41内の水は蒸気発生ヒータ42の加熱により蒸発し、吐出口44から加熱室2内に蒸気が吐出される。これにより、飽和蒸気または過熱蒸気によって調理物90を調理することができる。
【0035】
図4は加熱調理器1の構成を示すブロック図である。加熱調理器1は各部を制御する制御部2を有している。制御部2には循環ファン28、加熱ヒータ29、冷却ファン53、給気ファン55、給気ダンパ59、マグネトロン50、アンテナモータ52、給水ポンプ35、蒸気発生ヒータ42、赤外線センサ76、温度センサ74、湿度センサ75、水位センサ36、操作部3、表示部4、記憶部5、タイマ6、照明装置80が接続される。
【0036】
タイマ6は調理時間等を計時する。記憶部5はROMやRAM等から成り、加熱調理器1の動作プログラムや調理メニューのデータベース等を記憶するとともに制御部2による演算の一時記憶を行う。
【0037】
加熱調理器1は複数の調理モードを有し、記憶部5に記憶される動作プログラムには各調理モードによる調理メニューの調理シーケンスが含まれる。調理モードにはレンジモード、オーブンモード、蒸気モード、解凍モード等が設けられる。レンジモードはマイク波による加熱調理を行う。オーブンモードは熱風による加熱調理を行う。蒸気モードは蒸気による加熱調理を行う。解凍モードは熱風による調理物90の解凍を行う。
【0038】
図5は加熱調理器1の動作を示すフローチャートである。使用者により調理メニュー及び調理モードが選択されて調理が開始されると、ステップ#11でレンジモードが否かが判断される。レンジモードの場合はステップ#12で照明装置80がオレンジ色の発光色で発光する。
【0039】
レンジモードでない場合はステップ#13でオーブンモードか否かが判断される。オーブンモードの場合はステップ#14で照明装置80が黄色の発光色で発光する。オーブンモードでない場合はステップ#15で蒸気モードか否かが判断される。蒸気モードの場合はステップ#16で照明装置80が赤色の発光色で発光する。蒸気モードでない場合は解凍モードであり、ステップ#17で照明装置80が青色の発光色で発光する。
【0040】
ステップ#21では各調理モードでの加熱調理が開始される。レンジモードの場合は、マグネトロン50及びアンテナモータ52が駆動される。また、給気ダンパ59が開かれ、冷却ファン53及び給気ファン55が駆動される。マグネトロン50によって導波管60を介して加熱室20内にマイクロ波が供給され、調理物90がマイクロ波加熱される。
【0041】
冷却ファン53により外気流入口62を介して外気流入ダクト56内に外気が流入する。外気流入ダクト56内に流入した外気はマグネトロン50を冷却して昇温され、給気ファン55によって給気口57から加熱室20に供給される。また、外気流入ダクト56内に流入した外気によって照明装置80が冷却される。給気口57からの給気によって加熱室20内の空気は排気口58を介して排気ダクト72に流入し、天面の開口部73から外部に放出される。
【0042】
マイクロ波加熱によって調理物90から蒸気が発生し、加熱室20内が所定の湿度になると湿度センサ75の検知によって調理の終了時期と判断される。ステップ#30では所定の湿度を検知するまで調理が継続され、所定の湿度を検知して終了時期になるとステップ#31に移行する。また、加熱室20内の異常高温を温度センサ74により検知した場合は調理を中断する。
【0043】
オーブンモードの場合は、循環ファン28及び加熱ヒータ29が駆動される。また、給気ダンパ59が閉じられて冷却ファン53が駆動され、照明装置80が冷却される。加熱室20内の空気は吸込口20aから循環ダクト27内に流入する。
【0044】
循環ダクト27内に流入した空気は加熱ヒータ29で加熱されて吹出口20b〜20gから吹き出される。これにより、加熱室20内の空気が所定温度に維持されて循環し、調理物90が調理される。ステップ#30ではタイマー6により調理時間が計時され、調理時間の経過を検知すると調理終了と判断してステップ#31に移行する。また、加熱室20内の異常高温を赤外線センサ76により検知した場合は調理を中断する。
【0045】
解凍モードの場合は、オーブンモードよりも加熱ヒータ29の電力を小さくしてオーブンモードと同様に動作し、調理物90の解凍が行われる。
【0046】
蒸気モードの場合は、水タンク30の水位が水位センサ36で検知される。水タンク30の水量が調理に対して不足していない場合は蒸気発生ヒータ42及び給水ポンプ35が駆動される。これにより、貯水部31の水が所定の流量で蒸気発生装置40のハウジング41内に供給され、蒸気発生ヒータ42の加熱により発生した蒸気が加熱室20に供給される。また、給気ダンパ59が閉じられて冷却ファン53が駆動され、照明装置80が冷却される。
【0047】
加熱室20内に蒸気が充填されると循環ファン28及び加熱ヒータ29が駆動される。加熱室20内の蒸気は吸込口20aから循環ダクト27内に流入する。循環ダクト27内に流入した蒸気は加熱ヒータ29で加熱されて吹出口20b〜20gから吹き出される。これにより、加熱室20内の蒸気が所定温度に維持されて循環し、飽和蒸気または過熱蒸気によって調理物90が調理される。
【0048】
ステップ#30ではタイマー6により調理時間が計時され、調理時間の経過を検知すると調理終了と判断してステップ#31に移行する。ステップ#31では各調理モードの加熱手段や送風手段が停止される。ステップ#32では調理の終了が表示部4の表示によって報知され、使用者が調理の終了を認識することができる。
【0049】
ステップ#33では照明装置80が白色の発光色で発光する。これにより、透視窓8を介して白色に照明される加熱室20内を視認して調理の終了をより確実に認識することができる。また、調理物90が白色で照明されるため、透視窓8を介して調理物90の仕上り状態を正確に把握することができる。これにより、調理物90が加熱不足か否かを正確に判断することができ、加熱不足の場合に延長加熱が行われる。
【0050】
本実施形態によると、調理物90の調理モードに応じて照明装置80の発光色を可変したので、使用者は離れた位置から透視窓8を介して調理モードを容易に把握することができる。従って、調理モードを誤選択した際に使用者が早急に調理を停止することができ、加熱調理器1の利便性を向上することができる。
【0051】
また、調理終了時に照明装置80の発光色を白色にしたので、透視窓8を介して白色に照明される加熱室20内を視認して調理の終了を確実に認識することができる。加えて、白色に照明される調理物90の仕上り状態を透視窓8を介して正確に把握することができ、調理物90が加熱不足か否かを正確に判断することができる。
【0052】
また、レンジモード、オーブンモード及び蒸気モードによって調理物90を加熱調理する際に照明装置の発光色を暖色(オレンジ色、黄色、赤色)にし、調理物90が低温の解凍モードの時に照明装置80の発光色を寒色(青色)にしたので、調理モードの状態を感覚的に容易に把握することができる。
【0053】
また、照明装置80が多色LEDから成るので、照明装置80の発光色を容易に可変することができる。
【0054】
また、外気を取り込んで多色LEDから成る照明装置80を冷却する外気流入ダクト56を設けたので、照明装置80の信頼性を向上することができる。
【0055】
次に、図6は第2実施形態の加熱調理器1の動作を示すフローチャートである。本実施形態は前述の図1〜図5に示す第1実施形態と同様に構成され、調理時の照明装置80の発光色が異なっている。調理が開始されるとステップ#20で照明装置80が白色の発光色で発光する。ステップ#21では上記と同様に各調理モードによる加熱が開始される。
【0056】
ステップ#25では赤外線センサ76の検知によって調理物90が所定温度(例えば、10℃)だけ上昇したか否かが判断される。調理物90が所定温度だけ上昇していない場合はステップ#30に移行する。調理物90が所定温度だけ上昇した場合はステップ#26で照明装置80の発光色に赤色が所定の混合度合で混合される。例えば、多色LEDのGBの素子に供給されるデジタル信号の階調を所定値だけ減少して赤色の混合度合を大きくする。
【0057】
ステップ#30では調理の終了時期か否かが判断される。調理の終了時期でない場合はステップ#25に戻り、ステップ#25〜#30が繰り返し行われる。これにより、照明装置80の発光色は調理の進行に伴って赤色の混合度合が大きくなる。そして、所定の時期(例えば、調理の終了時)に照明装置80が赤色の発光色で発光する。調理物90が異常高温になった際に照明装置80の発光色を赤色にしてもよい。
【0058】
調理の終了時期になるとステップ#31に移行し、第1実施形態と同様にステップ#31〜#33が行われる。
【0059】
本実施形態によると、調理物90の調理の進行状況に応じて照明装置80の発光色を可変したので、使用者は離れた位置から透視窓8を介して調理の進行状況を容易に把握することができる。従って、加熱調理器1の利便性を向上することができる。
【0060】
また、照明装置80の発光色に赤色を混合して発光色を可変し、調理の進行に伴って赤色の混合度合を大きくしたので、調理の進行状態を感覚的に容易に把握することができる。尚、ステップ#23で照明装置80の発光色を白色にしているが、他の発光色でもよい。また、調理の進行に伴って照明装置80の発光色の輝度を高くしてもよい。これにより、上記と同様に調理の進行状態を感覚的に容易に把握することができる。
【0061】
また、赤外線センサ76により調理物90の温度を検知して容易に調理の進行状況を検出することができる。従って、赤外線センサ76は調理の進行状況を検出する仕上り検出手段を構成する。仕上り検出手段は他の構成にしてもよい。例えば、加熱室20の排気温度の上昇を温度センサ74により検知して調理の進行状況を検出してもよい。調理物90の加熱による水分の蒸発に伴う加熱室20の排気の湿度を湿度センサ75により検知して調理の進行状況を検出してもよい。
【0062】
また、調理物90の加熱による水分の蒸発に伴う重量の減少を検知する重量センサを設けて仕上り検出手段を構成してもよい。調理物90に接触して調理物90の温度を検知する熱電対を設けて仕上り検出手段を構成してもよい。調理物90の焦げに伴う加熱室20内の匂いの変化を検知する匂い分析装置を設けて仕上り検出手段を構成してもよい。また、これらの組合わせによって仕上り検出手段を構成してもよい。
【0063】
次に、図7は第3実施形態の加熱調理器1の動作を示すフローチャートである。本実施形態は前述の図1〜図6に示す第1、第2実施形態と同様に構成され、調理時の照明装置80の発光色が異なっている。調理が開始されると第1実施形態と同様にステップ#11〜#17によって各調理モードに応じた発光色で照明装置80が発光する。これにより、使用者は調理モードを容易に把握することができる。
【0064】
ステップ#21では上記と同様に各調理モードによる加熱が開始される。ステップ#22では所定時間が経過するまで待機する。所定時間が経過するとステップ#23に移行し、照明装置80が白色の発光色で発光する。そして、ステップ#25〜#33は前述の図6に示す第2実施形態と同様の動作が行われる。
【0065】
本実施形態によると、調理の開始時に調理モードに応じて照明装置80の発光色を可変するとともに、調理開始から所定時間経過後に照明装置80の発光色を各調理モードで同じ色にし、調理の進行状況に応じて照明装置80の発光色を可変したので、使用者は離れた位置から透視窓8を介して調理モード及び調理の進行状況を容易に把握することができる。従って、加熱調理器1の利便性を向上することができる。
【0066】
また、第2実施形態と同様に、照明装置80の発光色に赤色を混合して発光色を可変し、調理の進行に伴って赤色の混合度合を大きくしたので、調理の進行状態を感覚的に容易に把握することができる。尚、ステップ#23で照明装置80の発光色を白色にしているが、他の発光色でもよく、ステップ#12、#14、#16、#17で設定した発光色で継続してもよい。この時、ステップ#16(蒸気モード)では発光色が赤色になっているため、赤紫色やピンク色等にするとよい。また、調理の進行に伴って照明装置80の発光色の輝度を高くしてもよい。
【0067】
第1〜第3実施形態において、照明装置80の発光色を上記と異なる色にしてもよい。また、照明装置80の発光色に加えて、調理モードや調理の進行状況に応じて点滅等の発光パターンも可変してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によると、加熱室を照明する照明装置を備えた加熱調理器に利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 加熱調理器
2 制御部
3 操作部
4 表示部
5 記憶部
10 本体筐体
20 加熱室
20a 吸込口
20b〜20g 吹出口
21 トレイ
27 循環ダクト
28 循環ファン
29 加熱ヒータ
30 水タンク
31 貯水部
35 給水ポンプ
36 水位センサ
40 蒸気発生装置
41 ハウジング
42 蒸気発生ヒータ
44 吐出口
50 マグネトロン
51 アンテナ
53 冷却ファン
55 給気ファン
56 外気流入ダクト
57 給気口
58 排気口
59 給気ダンパ
60 導波管
72 排気ダクト
74 温度センサ
75 湿度センサ
76 赤外線センサ
80 照明装置
81 照明カバー
90 調理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物を収納する加熱室と、前記加熱室を開閉する扉と、前記扉に設けられて前記加熱室内を視認できる透視窓と、前記加熱室を照明する照明装置とを備え、調理物の調理モード及び調理の進行状況の一方または両方に応じて前記照明装置の発光色を可変したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
調理の開始時に調理モードに応じて前記照明装置の発光色を可変するとともに、調理開始から所定時間経過後に前記照明装置の発光色を各調理モードで同じ色にし、調理の進行状況に応じて前記照明装置の発光色を可変したことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記照明装置の発光色に赤色を混合して発光色を可変し、調理の進行に伴って赤色の混合度合を大きくしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
調理の進行に伴って前記照明装置の発光色の輝度を高くしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項5】
調理終了時に前記照明装置の発光色を白色にしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記調理モードが調理物を解凍する解凍モードを有し、調理物を加熱調理する際に前記照明装置の発光色を暖色にするとともに、前記解凍モードの時に前記照明装置の発光色を寒色にしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
調理の進行状況を検出する仕上り検出手段を設け、前記仕上り検出手段は、調理物の温度を検知する赤外線センサ、前記加熱室の排気温度を検知する温度センサ、前記加熱室の排気湿度を検知する湿度センサ、調理物の重量を検知する重量センサ、調理物に接触して温度を検知する熱電対、前記加熱室内の匂いを検知する匂い分析装置、のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記照明装置が多色LEDから成ることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項9】
外気を取り込んで前記照明装置を冷却する外気流入ダクトを設けたことを特徴とする請求項8に記載の加熱調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−7417(P2011−7417A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150790(P2009−150790)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】