説明

加熱調理器

【課題】ユーザが受光部を認識できて、指向性が狭い赤外線通信プロトコルを用いた赤外線通信であっても、赤外線通信を確実に行うことができる加熱調理器を提供すること。
【解決手段】発光部260を、蒸気調理器の赤外線通信ポート211を取り囲むように位置させる。ユーザが、操作パネル5を介して赤外線通信モードを選択すると、発光部260が発光するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関し、例えば、電子レンジや蒸気調理器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ケーシングと、ケーシング内の設けられた加熱庫と、加熱庫内の食品を加熱する加熱部と、可視光を遮断するカバーを有すると共に、赤外線信号を受ける受光部とを有する加熱調理器が提供されていた(特開2011−080666号公報)。
【0003】
ここで、赤外線通信は、受光部と、発光部とが、互いに向かい合った状態で通信を行わないと、正常な通信は行われない。具体的には、携帯電話等の端末機器からデータを送信する場合、正確な受光部の位置が分からないと、通信に失敗する恐れがある。
【0004】
ところが、上記受光部は、雑音を除去するため可視光を遮断する黒いカバーで覆われているため、端末で受光部に向けて赤外線信号を送信しようとしても、上記受光部の位置が確実に判別できず、赤外線を上記受光部に向けて正確に送りにくいという問題があった。
【0005】
また、通常の赤外線通信では、赤外線リモコンは、指向性が比較的広いので、送信者はだいだいの方向に向ければ、送信できたが、最近よく使用されるIrDA等の比較的高速の赤外線通信プロトコルを用いた赤外線通信では、信号の指向性が比較的狭いため、端末機器を、正確に受光部に向けて赤外線を送信する必要がある。そのため、最近、加熱調理器において、端末機器を正確に受光部に向けることができなくて、赤外線通信を確実にできないという問題が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−080666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、ユーザが受光部を容易に認識できて、指向性が狭い赤外線通信プロトコルを用いた赤外線通信であっても、赤外線通信を確実に行うことができる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の加熱調理器は、
ケーシングと、
上記ケーシング内に設けられた加熱庫と、
上記加熱庫内の食品を加熱するための加熱部と、
可視光を遮断するカバーを有すると共に、赤外線信号を受ける受光部と、
赤外線通信を開始する赤外線通信モードを選択するための操作部と、
上記受光部の近傍に配置されると共に、上記操作部によって赤外線通信モードが選択されると、発光する発光部と
を備えることを特徴としている。
【0009】
ここで、上記「受光部の近傍」とは、受光部の受光領域の周辺からの距離が、5cm以下(チェックをお願いします)である範囲の領域をいうものとする。
【0010】
本発明によれば、操作部により赤外線通信の開始を選択すると、受光部の周辺に位置する発光部が発光するようになっているから、ユーザが受光部の位置を容易に認識できて、端末機器の赤外線通信ポートを、正確に受光部の方に向けて赤外線を出射することができる。したがって、指向性が狭いが通信速度に優れる赤外線通信プロトコルを用いた場合であっても、また、赤外線通信に不慣れなお年寄りでも、確実に受光部に赤外線を入射させることができて、赤外線通信を確実に行うことができる。
【0011】
例えば、調理後の料理の写真を携帯電話等の端末機器で撮影した場合に、その料理後の写真を加熱調理器に確実に送ることが可能になって、上記写真を、その写真の料理の調理条件と共に登録させておくことが可能になる。したがって、その情報をその後の調理に活かすことができることができるようになる。
【0012】
また、一実施形態では、
上記発光部は、上記赤外線通信をおこなっているときに点滅する。
【0013】
上記実施形態によれば、上記発光部が、上記赤外線通信をおこなっているときに点滅するようになっているから、ユーザが、赤外線通信が行われていることを認識できる。したがって、ユーザが赤外線通信の最中に端末機器の姿勢を急激に変えることを防止できて、赤外線通信をよりいっそう確実に行うことができる。
【0014】
また、一実施形態では、
上記発光部は、上記赤外線通信が終了したときに、上記赤外線通信をおこなっているときに発光する発光色と異なる発光色で発光する。
【0015】
上記実施形態によれば、ユーザが赤外線通信の終了を容易に認識することができる。したがって、ユーザが赤外線通信の終了後も端末機器の姿勢を維持することを防止できて、ユーザの体力の消耗を防止できる。
【0016】
また、一実施形態では、
上記赤外線通信が終了すると、上記発光部の発光が停止する。
【0017】
上記実施形態によれば、上記赤外線通信が終了すると、上記発光部の発光が停止するから、消費電力を低減できる。また、上記発光部の消灯後に発光部が外観上目立たなくなるから、発光部が加熱調理器のデザイン性に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0018】
また、一実施形態では、
上記赤外線通信が終了してから予め定められた時間の後、上記発光部の発光が、終了する。
【0019】
上記予め定められた時間は、例えば、1〜15秒の範囲の時間等を採用できるが、これに限らない。
【0020】
上記実施形態によれば、赤外線通信を行ってから一定時間後に発光部が消灯するようになっているから、消費電力を低減できると共に、発光部の消灯後に発光部が外観上目立たなくなるから、発光部が加熱調理器のデザイン性に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の加熱調理器によれば、操作部により赤外線通信のモードを選択すると、受光部の周辺に位置する発光部が発光するようになっているから、ユーザが受光部の位置を容易に把握できて、端末機器の赤外線通信ポートを、受光部の方に正確に向けて赤外線を出射することができる。したがって、指向性が狭い通信速度に優れる赤外線プロトコルを用いた場合であっても、また、赤外線通信に不慣れなお年寄りでも、確実に受光部に赤外線を入射させることができて、赤外線通信を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の加熱調理器の一実施形態である蒸気調理器の正面斜視図である。
【図2】上記蒸気調理器の縦断面の模式図である。
【図3】図1に示す操作パネルおよび赤外線通信ポートを拡大した概略図である。
【図4】図3のF4−F4線から見た模式断面図である。
【図5】蒸気調理器の制御ブロック図である。
【図6】この蒸気調理器と赤外線通信が可能な端末機器の一例である携帯電話の正面図である。
【図7】上記携帯電話の背面図である。
【図8】携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図9】通信時の一例の制御の流れを簡易に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の加熱調理器の一実施形態である蒸気調理器の正面斜視図である。
【0025】
この蒸気調理器は、直方体形状のケーシング1の正面に、下端側の辺を略中心に回動する扉2が取り付けられている。この扉2の上部にハンドル3を取り付けると共に、扉2の略中央に耐熱ガラス4を取り付けている。また、扉2の右側に操作部としての操作パネル5および受光部としての赤外線通信ポート211を設けている。この操作パネル5は、カラー液晶表示部6とボタン群7とを有している。また、ケーシング1の上側かつ右側後方に排気ダクト8を設けている。さらに、ケーシング1の扉2の下方に、露受容器9を着脱自在に取り付けている。
【0026】
図2は、上記蒸気調理器の縦断面の模式図である。
【0027】
図2に示すように、この蒸気調理器は、水タンク11から供給された水を蒸気発生装置12で加熱して飽和水蒸気を生成する。蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気は、蒸気供給通路(図示せず)を介して、加熱庫13の右側面に取り付けられた循環ユニット14の蒸気吸込口15の加熱庫13側に供給される。
【0028】
上記蒸気供給通路に接続された蒸気供給管34を、加熱庫13の右側面と平行になるように、循環ユニット14の蒸気吸込口15の近傍に取り付けている。また、循環ユニット14内には、蒸気吸込口15に対向するように循環ファン18を配置している。循環ファン18は、ファンモータ19によって回転駆動される。
【0029】
上記加熱庫13の上面および左側面を覆うように、L字状に屈曲した蒸気ダクト100を取り付けている。この蒸気ダクト100は、加熱庫13の上面側に固定された第1ダクト部110と、第1ダクト部110の左側方から下側に屈曲する屈曲部120と、加熱庫13の左側面側に固定され、屈曲部120を介して第1ダクト部110に連なる第2ダクト部130とを有している。
【0030】
この蒸気ダクト100の第1ダクト部110に、過熱蒸気生成ヒータ20を収納している。蒸気ダクト100の第1ダクト部110と、過熱蒸気生成ヒータ20で過熱蒸気生成装置21を構成している。なお、過熱蒸気生成装置は、蒸気ダクトとは別に設けてもよい。
【0031】
そして、蒸気ダクト100の第1ダクト部110の右側は、循環ユニット14の上部に設けられた蒸気供給口22に連通している。加熱庫13の天面には、複数の第1蒸気吹出口24が設けられており、蒸気ダクト100の第1ダクト部110は、第1蒸気吹出口24を介して加熱庫13内に連通している。一方、蒸気ダクト100の第2ダクト部130は、加熱庫13の左側面に設けられた複数の第2蒸気吹出口25を介して加熱庫13内に連通している。
【0032】
上記加熱庫13と蒸気ダクト100との隙間は、耐熱樹脂などによりシールされている。また、加熱庫13と蒸気ダクト100は、加熱庫13の前面開口を除いて断熱材により覆われている。
【0033】
上記循環ユニット14と過熱蒸気生成装置21と加熱庫13とそれらを接続する接続部材とによって、蒸気の循環経路が形成されている。そして、この循環経路における循環ユニット14の加熱庫13との境界部に、蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気が供給される。
【0034】
また、加熱庫13の下部には、図示しないマグネトロンが配置されている。このマグネトロンで発生したマイクロ波は、導波管(図示せず)によって加熱庫13の下部中央に導かれ、モータ37によって駆動される回転アンテナ38によって攪拌されながら加熱庫13内の上方に向かって放射されて被加熱物27を加熱する。上記加熱蒸気生成ヒータ20や、上記マグネトロンは、加熱部を構成している。
【0035】
また、ケーシング1内の下側には、冷却ファン部(図示せず)と、電装部品17とを配置している。電装部品17は、蒸気調理器の各部を駆動する駆動回路やこの駆動回路を制御する制御回路等を有している。
【0036】
図3は、図1に示す操作パネル5および赤外線通信ポート211を拡大した概略図であり、図4は、図3のF4−F4線から見た模式断面図である。
【0037】
上記ボタン群7は、戻るキー71、取り消しキー72、手動加熱キー73、および、あたためスタートキー74で構成されている。戻るキー71は、カラー液晶パネル61の画面表示を直前の画面表示に戻すときに押す。また、取り消しキー72は、途中で加熱をやめるときや、操作を取り消すときに押す。そして、手動加熱キー73は、高周波出力および加熱出力を手動で設定するときに押す。また、あたためスタートキー74は、加熱を開始するときに押す。尚、ユーザは、操作パネル5を操作することにより、赤外線通信モードを選択することができるようになっている。また、上記赤外線通信ポート211は、後述の赤外線送受信部(図5に210で示す)に接続されている。
【0038】
赤外線通信ポート211は、可視光を遮断するカバーを有している。詳しくは、赤外線通信ポート211の表面の材質は、可視光を遮り赤外線を透過する材質で構成されている。上記赤外線通信ポート211は、赤外線検知用の受光素子の受光部を構成している。また、この蒸気調理器は、発光部260を有し、この発光部260は、異なる種類のLED(Light Emitting Diode)を複数個有し、違う色の光を発光できるようになっている。この発光部260は、蒸気調理器の前面の面上において、赤外線通信ポート211を取り囲むように、赤外線通信ポート211の周辺に配置されている。上記発光部260の全ては、赤外線通信ポート211の周辺からの距離が、5cm以下である範囲に存在している。
【0039】
図4を参照して、上記カラー液晶表示部6は、カラー液晶パネル61上にタッチパネル62を重ねて構成されている。なお、この発明の表示部は、液晶パネルに限らず、有機ELなどの他の表示デバイスを用いてもよく、カラー表示に限らず、白黒表示でもよい。
【0040】
このカラー液晶パネル61は、文字、数字、写真等をカラー表示できるものであり、加熱の種類、料理名、加熱時間、温度、料理の写真等を表示する。また、タッチパネル62は、ユーザが指でタッチすると、表面電荷を変化させる透明素材からなる静電容量方式のタッチパネルである。これにより、ユーザはタッチパネル62をタッチして、カラー液晶パネル61に表示される画像を選択できるようになっている。また、ユーザがタッチパネル62をタッチして、カラー液晶パネル61に表示される選択可能な画像を選択すると、その画像の色が変わるようになっている。つまり、カラー液晶パネル61に表示される画像は、選択状態の色が非選択状態の色と異なるようになっている。なお、タッチパネル62は、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式または電磁誘導方式のタッチパネルに換えてもよく、また、指によるタッチパネルの操作だけでなく、タッチペンなどのペン状物体を用いて操作してもよい。
【0041】
図5は、この蒸気調理器の制御ブロック図を示している。この蒸気調理器は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置200を電装品部17(図2参照)内に備えている。制御装置200は、過熱蒸気生成ヒータ20、循環ファン用モータ19、冷却ファン用モータ16、給気ダンパ用モータ44、排気ダンパ用モータ60、赤外線送受信部210、発光部260、操作パネル5、庫内温度センサ29、解凍センサ50、給水ポンプ70、蒸気発生装置12、マグネトロン80および記憶部211が接続されている。上記赤外線送受信部210は、増幅回路等からなり、制御装置200によって、駆動制御されるようになっている。
【0042】
操作パネル5からの信号および庫内温度センサ29、解凍センサ50からの検出信号に基づいて、制御装置200は、過熱蒸気生成ヒータ20、循環ファン用モータ19、冷却ファン用モータ16、給気ダンパ用モータ44、排気ダンパ用モータ60、操作パネル5、給水ポンプ70、蒸気発生装置12およびマグネトロン80などを制御する。また、操作パネル5からの信号に基づいて、制御装置200は、発光部260を制御する。
【0043】
上記制御装置200は、カラー液晶表示部6の一画面に複数のメニューを表す複数の画像を同時に表示する等の制御を行なう表示制御部200aと、赤外線通信制御部200bを有し、この赤外線通信制御部200bで赤外線送受信部210の動作を制御する。また、制御装置200は、発光部260の発光の制御を行う発光部制御部200cと、時間計測を行うタイマ200dとを有する。
【0044】
図6は、この蒸気調理器と赤外線通信が可能な端末機器の一例である携帯電話の正面図であり、図7は、その携帯電話の背面図である。
【0045】
図6に示すように、この携帯電話機は、モニター側筐体301および操作側筐体302を備え、このモニター側筐体301と操作側筐体302とがヒンジ部303で連結され、折り畳み可能になっている。上記モニター側筐体301には、表示部305とスピーカ部306が設けられている。また、上記操作側筐体302には、通話ボタンや撮影ボタンなどを含む複数の操作ボタン307からなる操作部308とマイク部311とが設けられている。また、図7に示すように、上記モニター側筐体301の背面には、カメラ部312と赤外線通信ポート313が設けられている。
【0046】
図8は、携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【0047】
上記携帯電話機の制御回路360には、上記操作部308、マイク部311、表示部305、赤外線信号送受信部315、スピーカ部306、カメラ部312、通信部330および記憶部350が接続されている。上記制御回路360は、図示しないマイクロコンピュータ,ROM,RAM等で構成されており、上記各部の動作を制御する。上記制御回路360は、赤外線通信制御部360aを有し、この赤外線通信制御部360aで赤外線信号送受信部315の動作を制御する。
【0048】
上記操作部308の操作ボタン307が操作されると、これに対応する操作信号が制御回路360で検出される。マイク部311は、入力された音声を信号に変換して制御回路360に出力する。表示部305は、例えば液晶ディスプレイから構成され、携帯電話機が開かれている状態において、制御回路360から与えられる表示信号を表示する。
【0049】
赤外線信号送受信部315は、制御回路360から入力された信号を予め定められた赤外線通信プロトコルに基づいて赤外線信号として赤外線通信ポート313(図7参照)から外部に送信する。また、この赤外線信号送受信部315は、予め定められた赤外線通信プロトコルに基づいて赤外線通信ポート313から赤外線信号を受信して制御回路360へ入力する。また、スピーカ部311は、制御回路360から入力された信号を音声に変換して外部に出力する。上記カメラ部312は、例えばCCDカメラから構成され、撮影した画像データを制御回路360に出力する。また、通信部330は、所定の通信プロトコルに基づいて、インターネットとの接続や、携帯電話回線との通信処理を行う。記憶部350は、例えば不揮発性メモリから構成され、後述する各種の情報を記憶する。
【0050】
上記構成において、例えば、この蒸気調理器は、上記携帯電話との赤外線通信を以下のように行う。
【0051】
尚、この実施形態の通信では、IrDA(Infrared Data Association)規格を基本とする赤外線通信について説明する。
【0052】
先ず、ユーザが、操作パネル5を操作して、赤外線通信モードを選択すると、制御装置200が、赤外線送受信部210を駆動して、赤外線送受信部210が赤外線を受光できるようにすると共に、発光部260を駆動して発光部260を赤色に発光させる。このようにして、ユーザが、赤外線通信ポート211の位置を認識できるようにする。
【0053】
次に、ユーザは、携帯電話機の赤外線通信ポート313を、光っている発光部260の方に向けた後、携帯電話機の操作部308の操作ボタン307のうちの予め定められた赤外線通信ボタンを操作して、画像情報送信の操作を行う。送信の開始と共に、制御回路360の赤外線通信制御部360aが、赤外線信号送受信部315を制御して、赤外線通信ポート313から接続要求信号としてのConnect信号を送信させる。このConnect信号は、リクエストパケットであり、クエストコード「Connect」に対応する16進数と、それに続くパケット長を表す2バイトの16進数とを含む。
【0054】
次に、上記蒸気調理器の赤外線送受信部210が、上記赤外線通信ポート211を介して、上記Connect信号を受信すると、上記制御装置200の赤外線通信制御部200bが、上記赤外線送受信部210を制御して、上記赤外線通信ポート211から接続許可信号としてのOK信号を送信させると同時に、制御装置200の発光部制御部200cが、発光部260をオンオフ制御して、赤色に光っている発光部260を点滅させる。このようにして、ユーザに赤外線通信が開始して、継続していることを知らせるようになっている。尚、このOK信号は、レスポンスコード「OK」に対応する16進数を含んでいる。
【0055】
次に、上記携帯電話機の赤外線信号送受信部315が、上記OK信号を受信すると、赤外線通信ポート211から画像情報が送信させる。この携帯電話機からの画像情報は、複数回のPut信号に分けられて、上記蒸気調理器へ送信される。1回目のPut信号は、リクエストコードと、それぞれ16進数で表わされたファイル名、全体のパケット長、最初のデータが順に配列されている。この1回目のPut信号を、上記蒸気調理器の赤外線送受信部210が受信すると、この蒸気調理器の赤外線送受信部210が、制御装置200の赤外線通信制御部200bの制御により、Continue信号を返信する。尚、このContinue信号は、送信の継続を要求するレスポンスパケットである。
【0056】
次に、上記携帯電話機が赤外線送受信部315で上記Continue信号を受信すると、赤外線通信制御部360aの制御により、赤外線送受信部315は、2回目のPut信号を送信する。この2回目のPut信号は、リクエストコードと、上記最初のデータに続くデータである2回目のデータが順に配列されている。この2回目のPut信号を、上記蒸気調理器の赤外線送受信部210が受信すると、この蒸気調理器の赤外線送受信部210は、制御装置200の赤外線通信制御部200aの制御により、送信を継続する要求する信号であるContinue信号を返信する。
【0057】
同様にして、上記携帯電話機から上記蒸気調理器へのPut信号の送信と蒸気調理器から携帯電話機へのContinue信号の返信とが繰り返されてから、最終回のPut信号が携帯電話機から送信される。蒸気調理器が、最終回のPut信号を受信すると、赤外線送受信部210が、制御装置200の赤外線通信制御部200bの制御に基づいてSuccess信号を返信する。
【0058】
尚、上記最終回のPut信号は、最終回のパケットであることを表すリクエストコードと、前回の信号による前回のデータに続く最終回のデータとが順に配列されている。また、上記Success信号は、受信が正常に完了したことを表すレスポンスパケットである。
【0059】
上記最初から最終回までのPut信号による送信情報は、蒸気調理器の記憶部211(図5参照)に記憶される。上述のように、この例では、上記送信情報は、携帯電話機のカメラ部312で撮影した料理の画像情報であり、画像処理部317により受信側の蒸気調理器の受信能力に応じたものとした画像情報である。そして、蒸気調理器の記憶部211に記憶された上記画像情報は、表示制御部200aの制御により操作パネル5のカラー液晶表示部6に表示することが可能になっている。
【0060】
次に、上記蒸気調理器から上記Success信号を受信した上記携帯電話機は、赤外線通信制御部360aの制御により赤外線信号送受信部315から通信接続の解除を要求するDisconnect信号を送信する。このDisconnect信号は、リクエストパケットである。上記携帯電話機からの上記Disconnect信号を上記蒸気調理器の赤外線送受信部210で受信すると、制御装置200の赤外線通信制御部200bが、赤外線送受信部210に接続の解除を了解したことを表すSuccess信号を送信させると同時に、発光部制御部200cが、赤の点滅を行っている発光部260を緑に点灯させる。また、これと同時にタイマ200dが時間の計測を開始する。このようにして、ユーザに赤外線通信が完了したことを知らせるようになっている。
【0061】
最後に、タイマ200cの経時結果に基づいて、発光部制御部200cが、発光部260を緑に点灯してから所定の時間(例えば、1〜30秒の範囲のいずれかの時間)後に、発光部260を消灯するようになっている。このようにして、消費電力を低減するとともに、蒸気調理器のデザイン性に悪影響がでることを防止している。尚、発光部260が緑に点灯した後であれば、ユーザは、いつでも操作部である操作パネル5を操作して、赤外線モードを終了することができることは言うまでもない。
【0062】
図9は、上記制御の流れを簡易に示すフローチャートである。
【0063】
制御がスタートして、まず、図9のステップS1で、ユーザが操作パネル5を操作して赤外線モードを選択すると、ステップS2で、赤外線通信制御部200bが、赤外線送受信部210の駆動を行うと共に、発光部制御部200cが、発光部260を赤色点灯させる。
【0064】
続いて、ステップS3で、赤外線送受信部210が、携帯電話からconnect信号を受信したか否かを判断する。このステップS3で、赤外線送受信部210が、携帯電話からconnect信号を受信していないと判断すると、再度ステップS3を行う。一方、ステップS3で、赤外線送受信部210が、携帯電話からconnect信号を受信したと判断すると、ステップS4で、発光部制御部200cが、発光部260をオンオフ制御して、発光部260の発光形態を、赤色の連続発光から、赤色の点滅発光に切り替える。
【0065】
続いて、ステップS5で、赤外線送受信部210が、携帯電話からdisconnect信号を受信したか否かを判断する。このステップS5で、赤外線送受信部210が、携帯電話からdisconnect信号を受信していないと判断すると、再度ステップS5を行う。一方、ステップS5で、赤外線送受信部210が、携帯電話からdisconnect信号を受信したと判断すると、ステップS6で、発光部制御部200cが、発光部260を制御して、発光部260の発光形態を、赤色の点滅発光から、緑色の連続発光に切り替えると同時に、タイマ200dの経時が開始される。
【0066】
続いて、ステップS7で、タイマ200dの経時が所定時間を経過したか否かを判断する。ステップS7で、タイマ200dの経時が所定時間を経過していないと判断すると、再度、ステップS7を行う。一方、タイマ200dの経時が所定時間(この所定時間は、例えば、1〜15秒の範囲の時間等を採用できるが、これに限らない)を経過したと判断すると、発光部制御部200cが、発光部260の駆動を停止して、制御がエンドになる。尚、この実施形態では、赤外線通信モードの終了は、ユーザが、操作パネル5を操作して次の動作を行った際に終了するようになっている。尚、赤外線通信モードの終了を、操作パネル5上の所定の画面での操作のみで行えるようにしても良いことは勿論である。
【0067】
上記実施形態の蒸気調理器によれば、操作パネル5により赤外線通信の開始を選択すると、赤外線通信ポート211の周辺に位置する発光部260が発光するようになっているから、ユーザが赤外線通信ポート211の位置を容易に把握できて、携帯電話の赤外線通信ポート313を、正確に受光部260の方に向けて赤外線を出射することができる。したがって、IrDA(Infrared Data Association)規格等の指向性が狭いが通信速度に優れる赤外線プロトコルを用いた通信を行った場合であっても、また、赤外線通信に不慣れなお年寄りでも、確実に受光部260に赤外線を入射させることができて、赤外線通信を確実に行うことができる。
【0068】
例えば、調理後の料理の写真を携帯電話等の端末機器で撮影した場合に、その料理後の写真を蒸気調理器に確実に送ることが可能になって、上記写真を、その写真の料理の調理条件と共に登録させておくことが可能になる。したがって、その情報をその後の調理に活かすことができるようになる。
【0069】
ここで、仮に、上記発光部が存在しないとすると、赤外線通信は、信号の広がり角が15°程度で、距離も、20cm程度で行わなければならないから、端末機器の赤外線出射部を、蒸気調理器の受光部に向けるのが難しくて、受光部の検知外の領域に赤外線を出射することが多くなって、ユーザに、蒸気調理器が不良であると認識される恐れがあるのである。
【0070】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、上記発光部260が、赤外線通信をおこなっているときに点滅するようになっているから、ユーザが、赤外線通信が行われていることを認識できる。したがって、ユーザが赤外線通信の最中に携帯電話の端末機器の姿勢を急激に変えることを防止できて、赤外線通信をよりいっそう確実に行うことができる。
【0071】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、上記発光部260が、赤外線通信が終了したときに、赤外線通信をおこなっているときに発光する発光色と異なる発光色で発光するようになっているから、ユーザが赤外線通信の終了を容易に認識することができる。したがって、ユーザが赤外線通信の終了後も端末機器の姿勢を維持することを防止できて、ユーザの体力の消耗を防止できる。
【0072】
また、上記実施形態の蒸気調理器によれば、赤外線通信を行ってから一定時間後に発光部260が消灯するようになっているから、消費電力を低減できると共に、発光部260の消灯後に発光部260が外観上目立たなくなるから、発光部260が蒸気調理器のデザイン性に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0073】
尚、上記実施形態の蒸気調理器では、発光部260が、赤外線通信ポート211を取り囲むように配置されていたが、この発明では、発光部は、受光部を取り囲まない状態で、受光部に隣接配置されても良い。
【0074】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、赤外線通信ポート211が、操作パネルの上部に配置されていたが、この発明では、受光部は、操作パネルの下部や昼間部等、操作パネルにおける上部以外の位置に配置されても良く、また、この発明では、受光部は、操作パネル以外の如何なる箇所に配置されても良い。尚、受光部が、加熱調理器において目につきやすい箇所に設けられると好ましいことは、いうまでもない。
【0075】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、蒸気調理器が、端末機器の一例である携帯電話と、赤外線の送受信による通信を行う例を説明したが、この発明では、赤外線通信は、端末機器から加熱調理器への一方向の通信であっても良い。また、上記実施形態の蒸気調理器では、用いた赤外線プロトコルが、IrDAであったが、通信に用いる赤外線プロトコルは、IrSimpleやIrSS等、IrDA以外のプロトコルであっても良い。
【0076】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、蒸気調理器が、携帯電話と赤外線通信を行う例について説明したが、この発明では、加熱調理器と赤外線通信を行う端末機器としては、携帯情報端末(PDA),スマートフォン,モバイルPC(パーソナルコンピュータ)等がある。
【0077】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、発光部260が、異なる種類のLED(違う色の光を発光するLED)を複数個有していたが、この発明では、発光部は、一つのみのLEDを有していても良く、同じ種類の二以上のLEDを有していても良い。また、この発明では、発光部は、LEDを有さずに白熱球等の発光体を有していても良い。
【0078】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、通信の終了時に、発光部260が、赤の点滅から緑に変化するようになっていたが、この発明では、発光部が発光する光の色は、単色の如何なる色であっても良く、複数の如何なる色であっても良い。尚、この発明では、発光部が発光する光の色が、赤、緑に限らないのは言うまでもない。
【0079】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、赤外線通信が行われているときに、発光部260が点滅するようになっていたが、この発明では、発光部は、点灯せずに持続的にしか光を発光することができなくても良い。
【0080】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、赤外線通信を行ってから一定時間後に発光部260が消灯するようになっていたが、この発明では、赤外線通信が終了すると、発光部の発光が停止するようになっていても良く、この場合、消費電力を更に低減することができる。
【0081】
また、この発明の加熱調理器は、赤外線通信が終了した後、ユーザが、赤外線通信モードを終了させるような構成になっていても良く、または、赤外線通信が終了した後、所定時間後に、制御装置が自動的に赤外線通信モードを終了させる構成になっていても良い。尚、発光部が、常時点灯する構成が容易に想到されることは言うまでもない。
【0082】
また、この発明の加熱調理器には、例えば、過熱水蒸気を使用するオーブンレンジのみならず、過熱水蒸気を使用するオーブン、過熱水蒸気を使用しないオーブンレンジ、過熱水蒸気を使用しないオーブンなどが含まれる。また、この発明の加熱調理器には、例えば、電子レンジ等、水蒸気を使用しない調理器が含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 ケーシング
5 操作パネル
13 加熱庫
20 過熱蒸気生成ヒータ
80 マグネトロン
211 赤外線通信ポート
260 発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
上記ケーシング内に設けられた加熱庫と、
上記加熱庫内の食品を加熱するための加熱部と、
可視光を遮断するカバーを有すると共に、赤外線信号を受ける受光部と、
赤外線通信を開始する赤外線通信モードを選択するための操作部と、
上記受光部の近傍に配置されると共に、上記操作部によって赤外線通信モードが選択されると、発光する発光部と
を備えることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
上記発光部は、上記赤外線通信をおこなっているときに点滅することを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
上記発光部は、上記赤外線通信が終了したときに、上記赤外線通信をおこなっているときに発光する発光色と異なる発光色で発光することを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
上記赤外線通信が終了すると、上記発光部の発光が停止することを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−19579(P2013−19579A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152091(P2011−152091)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】