説明

動作試験装置

【課題】より簡単な構成で保守作業員の経験や技能に依存することなく、エレベータ調速機の動作試験を行うことを可能とするエレベータ調速機の動作試験装置を提供することである。
【解決手段】動作試験装置10は、調速機シーブ2に圧接した状態で、調速機シーブ2を回転させるように回転可能な圧接部20と、回転速度パターンRA,RBに基づいて、圧接部20を回転させる回転駆動部40と、回転速度パターンRA,RBを設定する設定部50と、を備え、回転速度パターンRA,RBは、調速機シーブ2の回転速度が乗りかごを電気的に緊急停止させるために予め定められた第1の規定速度V1A,V1Bと、第1の規定速度よりも大きい速度であり乗りかごを機械的に緊急停止させるために予め定められた第2の規定速度V2A,V2Bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作試験装置に係り、特に、エレベータ調速機の動作試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ調速機は、乗りかごが昇降するときの移動速度の速度異常が検出されたときに、乗りかごを緊急停止させる装置である。乗りかごを停止させる方法として、乗りかごの移動速度が定格速度の1.3倍を超えない範囲で過速スイッチを作動させて動力を遮断させる方法と、さらに定格速度の1.4倍を超えない範囲でロープキャッチを作動させて調速機ロープを拘束させる方法とがあり、それぞれ、乗りかごを強制的に停止させるものである。
【0003】
乗客の安全確保のために、エレベータ調速機は常に正常動作することが要求され、建物へのエレベータ据え付け時はもちろんのこと、稼働後も点検のため定期的な動作試験を行うよう建築基準法により義務づけられている。
【0004】
図6は、従来例であるエレベータ調速機の動作試験装置100を示した概略図である。動作試験装置100は、調速機シーブ2を回転させる動力を出力し、可変速機能を持つ電気ドリル105と、デジタル速度計106とで構成される。電気ドリル105の回転軸先端には、調速機シーブ2の外周に圧接され電気ドリル105の回転力を調速機シーブ2に伝達しやすくするためにゴムローラー105aが取り付けられている。デジタル速度計6は、調速機シーブ2の側面に接触させる周速プーリー106hと、測定した調速機シーブ2の回転速度を表示する速度表示部106a,106bと、電源スイッチ106cとを有する。
【0005】
次に、動作試験装置100を用いたエレベータ調速機の動作試験について説明する。
【0006】
いずれかの保守作業員が図示しない調速機ロープを調速機シーブ2から外した後、保守作業員Aがデジタル速度計106の周速プーリー106hを調速機シーブ2の側面に接触させ、保守作業員Bが電気ドリル105のゴムローラー105aを調速機シーブ2の外周に押し当てる。そして、保守作業員Bは、調速機シーブ2の回転速度を徐々に上げていく。調速機シーブ2の回転速度は、デジタル速度計106の速度表示部106aに表示されるので、速度の増加が視認できる。ここで、過速スイッチ3の作動開始速度 (定格速度の1.3倍を超えない速度で動作する)に達すると、過速スイッチ3が作動を開始する。保守作業員Aは、このときのデジタル速度計106の速度表示部106aの表示値を読み取ることで、過速スイッチ3が作動を開始した時点の速度を確認する。
【0007】
さらに、調速機シーブ2の回転速度を上げていく。調速機シーブ2の回転速度は、デジタル速度計106の速度表示部106bに表示される。ここで、ロープキャッチ4の作動開始速度(定格速度の1.4倍を超えない速度で動作する)に達すると、ロープキャッチ4が作動を開始する。保守作業員Aは、このときのデジタル速度計106の速度表示部106bの表示値を読み取ることで、ロープキャッチ4が作動を開始した時点の速度を確認する。
【0008】
図7は、他の従来例であり、特許文献1に示されたエレベータ調速機の動作試験装置200の構成図である。図7には、調速機シーブ2を回転駆動する駆動モータ205と、予め設定された動作試験速度曲線に沿って回転するよう駆動モータ205を制御する制御器211と、調速機シーブ2の回転速度を非接触で検出する光電スイッチ209と、駆動モータ205、光電スイッチ209、過速スイッチ3及びロープキャッチ4の動作を検出するセンサ204aそれぞれと、制御器211とを接続する各ケーブル210a,210b,210c,210dが示されている。
【0009】
次に、動作試験装置200を用いたエレベータ調速機の動作試験について説明する。
【0010】
まず、制御器211は、予め設定された動作試験速度曲線に沿って駆動モータ205を制御して調速機シーブ2の回転速度を徐々に上昇させていく。調速機シーブ2の回転速度は、光電スイッチ209により検出され、速度表示部211a,211bに表示される。ここで、過速スイッチ3の作動開始速度に達すると、過速スイッチ3の電気接点信号がケーブル210cを介して制御器211に送られる。速度表示部211aには、制御器211により過速スイッチ3が作動を開始したときの速度が表示され、保守作業員が、これを読み取ることで、過速スイッチ3が作動を開始した時点の速度を確認する。
【0011】
さらに、調速機シーブ2の回転速度を上げていく。調速機シーブ2の回転速度は、デジタル速度計206の速度表示部211bに表示される。ここで、ロープキャッチ4の作動開始速度に達すると、ロープキャッチ4が作動を開始する。これにより、ロープキャッチ4のセンサ204aから動作信号がケーブル210dを介して制御器211に送られる。制御器211は、ロープキャッチ4が作動を開始したときの速度を速度表示部211bに表示する。そして、保守作業員がこれを読み取ることで、ロープキャッチ4が作動を開始した時点の速度を確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−130353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のように、いずれの従来例においてもエレベータ調速機の動作試験を行うことができる。しかしながら、上記の動作試験装置100では、保守作業員が、手作業で、調速機シーブ2の回転速度を徐々に上げていくため、速度調整が難しく、保守作業員の経験や技能が要求される。
【0014】
また、上記の動作試験装置200において、光電スイッチや入力信号により速度表示する制御器等を用いれば、保守作業員の経験や技能が特別に必要なく動作試験が行えるが、光電スイッチや制御器等の設置作業が煩雑である。また、機器構成も複雑であり、運搬が不便である。
【0015】
本発明の目的は、より簡単な構成で保守作業員の経験や技能に依存することなく、エレベータ調速機の動作試験を行うことを可能とするエレベータ調速機の動作試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る動作試験装置は、乗りかごに接続される調速機ロープが巻きかけられる調速機シーブの回転速度の異常が検出されたときに前記乗りかごを緊急停止させるために設けられたエレベータ調速機の動作試験を行うための動作試験装置であって、前記調速機ロープが取り外された前記調速機シーブに圧接した状態で、前記調速機シーブを回転させるように回転可能な圧接部と、所定の回転速度パターンに基づいて、前記圧接部を回転させる回転駆動部と、前記回転速度パターンを設定する設定部と、を備え、前記回転速度パターンは、前記調速機シーブの回転速度が前記乗りかごを電気的に緊急停止させるために予め定められた第1の規定速度と、前記第1の規定速度よりも大きい速度であり前記乗りかごを機械的に緊急停止させるために予め定められた第2の規定速度とを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る動作試験装置において、前記設定部は、エレベータの種類に対応する前記回転速度パターンを設定するための複数の操作釦を有することが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る動作試験装置において、前記設定部は、エレベータを制御するエレベータ制御盤に接続された際に、前記エレベータの種類に関する情報を取得して、前記種類に対応する前記回転速度パターンを設定することが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る動作試験装置において、前記調速機シーブの回転速度を検知する速度検知部と、前記回転速度を表示する速度表示部と、をさらに備えることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る動作試験装置において、前記圧接部は、前記調速機シーブの外形に沿った形状を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
圧接部と回転駆動部と設定部とを備える上記構成によれば、調速機シーブの回転速度が乗りかごを電気的に緊急停止させるために予め定められた第1の規定速度と、第1の規定速度よりも大きい速度であり乗りかごを機械的に緊急停止させるために予め定められた第2の規定速度とを有する回転速度パターンに基づいて、調速機シーブを回転させることができる。これにより、より簡単な構成で、保守作業員の経験や技能に依存することなく、エレベータ調速機の動作試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る実施の形態において、エレベータ調速機の動作試験装置を用いている様子を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、動作試験装置の詳細な構成図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、動作試験装置において圧接部の形状の変形例を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、回転速度パターンRAと回転速度パターンRBを示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態において、動作試験装置の変形例の詳細な構成図である。
【図6】従来例であるエレベータ調速機の動作試験装置を用いている様子を示す図である。
【図7】別の従来例であるエレベータ調速機の動作試験装置を用いている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。また、以下では、全ての図面において、同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0024】
図1は、エレベータ調速機の動作試験装置10を用いている様子を示す図である。図2は、動作試験装置10の詳細な構成図である。図3は、動作試験装置10において圧接部20の形状の変形例を示す図である。
【0025】
動作試験装置10は、本体部12と把持部13とを有する。動作試験装置10は、調速機シーブ2を回転させる機能を有する。具体的には、動作試験装置10は、可変速機能を用いて動作試験装置10の回転軸30の回転速度を調整することで、調速機シーブ2の回転速度制御を行う。
【0026】
本体部12は、圧接部20と、回転軸30と、回転駆動部40と、設定部50と、速度検知部60と、速度表示部70とを有する。
【0027】
圧接部20は、動作試験装置10の回転軸30の先端(一方側の端部)に設けられ、調速機シーブ2の外周に圧接されることで動作試験装置10から出力される回転力を調速機シーブ2に伝達しやすくするためのゴムローラーである。また、圧接部20は、調速機シーブ2に圧接するのに好適な形状、例えば、図2に示されるように略円錐形状を有している。なお、圧接部20は、調速機シーブ2との接触面積を増やすために、図3に示されるように調速機シーブ2の外形に沿った凹み形状を有する圧接部21を用いてもよい。
【0028】
回転軸30は、一方側の端部(先端)には圧接部20が設けられ、他方側の端部(基端)には回転駆動部40が設けられるシャフトである。
【0029】
回転駆動部40は、回転軸30の基端(他方側の端部)に設けられるモータである。また、回転駆動部40は、設定部50から伝送される回転制御指令に基づいて、回転軸30を回転駆動する。これにより、圧接部20が回転するため、圧接部20が圧接された調速機シーブ2を回転することができる。
【0030】
設定部50は、操作釦502,504と、制御部506とを有する。操作釦502は、エレベータの種類がAタイプであるエレベータに対応した回転速度パターンRAを設定するための押釦である。操作釦504は、エレベータの種類がBタイプであるエレベータに対応した回転速度パターンRBを設定するための押釦である。ここで、回転速度パターンRA及びRBは、それぞれ第1の規定速度V1A、V1Bと第2の規定速度V2A、V2Bとを含むように、調速機シーブ2の回転速度を徐々に変化させるパターンである。図4は、回転速度パターンRAと回転速度パターンRBを示す図である。
【0031】
ここで、第1の規定速度V1A、V1Bは、乗りかごの移動定格速度の1.3倍に対応する速度であり、調速機シーブ2の回転速度が当該速度V1A、V1Bとなる前に、過速スイッチ3が作動して、乗りかごに対する動力遮断により、乗りかごを電気的に停止させる。
【0032】
また、第2の規定速度V2A、V2Bは、乗りかごの移動定格速度の1.4倍に対応する速度であり、調速機シーブ2の回転速度が当該速度V2A、V2Bとなる前に、ロープキャッチ4が作動することで、図示しない調速機ロープを拘束して乗りかごを機械的に停止させる。
【0033】
なお、回転速度パターンは、Aタイプ、Bタイプを含んだエレベータの種類に応じて異なる。そして、ここでは、Aタイプ、Bタイプのみのエレベータが存在するものとして説明するが、もちろんそれ以上のエレベータの種類が存在してもよい。この場合には、その種類に対応する操作釦が本体部12に設けられる。
【0034】
制御部506は、操作釦502,504によって選択された回転速度パターンに応じて、調速機シーブ2が回転するように、回転駆動部40に対して回転制御指令を与える。なお、制御部506は、回転速度パターンRA及び回転速度パターンRBを含んだ複数の回転パターンを記録する記録部を有している。
【0035】
速度検知部60は、回転駆動部40の回転数を検知して、当該回転数に基づいて調速機シーブ2の回転速度を算出して、当該回転速度を速度表示部70に伝送する機能を有する。
【0036】
速度表示部70は、速度検知部60から伝送された調速機シーブ2の回転速度を表示する液晶表示装置である。
【0037】
把持部13は、本体部12から延伸する部位であり、保守作業員の手で握りやすい形状を有している。
【0038】
続いて、動作試験装置10を用いたエレベータ調速機の動作試験について説明する。なお、以下では動作試験装置10で動作試験を行うエレベータ調速機を備えるエレベータの種類はAタイプであるものとして説明する。
【0039】
まず、保守作業員が図示しない調速機ロープを調速機シーブ2から外した後、動作試験装置10の圧接部20を調速機シーブ2の外周に圧接させる。
【0040】
そして、保守作業員は、設定部50の操作釦502を押圧してエレベータの種類に対応する回転速度パターン、ここでは、Aタイプのエレベータに対応する回転速度パターンRAを選択する。そうすると、制御部506は、回転速度パターンRAに応じて、調速機シーブ2が回転するように、回転駆動部40に対して回転制御指令を与える。そして、当該回転速度パターンRAに基づいて、圧接部20が回転駆動されることにより、最初に、調速機シーブ2の回転速度が第1の規定速度V1Aとなるように徐々に加速する。そして、調速機シーブ2の回転速度が上昇して、過速スイッチ3が作動を開始した時点の速度を速度表示部70によって確認して、当該速度がV1Aとの間で大きなずれがないかどうかを点検する。
【0041】
その後、調速機シーブ2の回転速度が第2の規定速度V2Aとなるように徐々に加速する。そして、調速機シーブ2の回転速度が上昇して、ロープキャッチ4が作動を開始した時点の速度を速度表示部70によって確認して、当該速度がV2Aとの間で大きなずれがないかどうかを点検する。
【0042】
このように、動作試験装置10によれば、保守作業員は、操作釦502,504を選択して押圧操作するだけで、エレベータの種類に対応する回転速度パターンが設定される。そして、当該設定された回転速度パターンに基づいて、調速機シーブ2の回転速度が第1の規定速度V1A、V1Bと第2の規定速度V2A、V2Bとなるように、回転速度を自動的に徐々に変化させるため、保守作業員の経験や技能に影響されることなく、エレベータ調速機の動作試験を行うことができる。また、動作試験装置10は、把持部13を有する電気ドリル形状の装置であって簡単な要素で構成されており、複雑な設置作業は特に必要なく、運搬も容易である。
【0043】
次に、動作試験装置10の変形例である動作試験装置11について説明する。図5は、動作試験装置11の詳細な構成図である。動作試験装置11と動作試験装置10との相違は、設定部51のみであるため、その相違点を中心に説明する。
【0044】
設定部51は、コネクタ付ケーブル512と、制御部514とを有する。なお、回転速度パターンは、Aタイプ、Bタイプを含んだエレベータの種類に応じて異なるが、これについては、動作試験装置10と同様のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0045】
コネクタ付ケーブル512は、エレベータのシステム全体を制御するエレベータ制御盤に接続するコネクタを含むケーブルである。そして、コネクタ付ケーブル512は、エレベータ制御盤において、エレベータの種類に関する情報を出力するための出力口に嵌合する。これにより、コネクタ付ケーブル512を介して当該エレベータの種類に関する情報が制御部514に伝送される。
【0046】
制御部514は、コネクタ付ケーブル512を介して伝送されてきたエレベータの種類に関する情報に基づいて回転速度パターンを選択し、当該回転速度パターンに基づいて調速機シーブ2が回転するように、回転駆動部40に対して回転制御指令を与える。なお、制御部514は、回転速度パターンRA及び回転速度パターンRBを含んだ、各種エレベータに対応する複数の回転パターンを記録する記録部を有している。
【0047】
続いて、動作試験装置11を用いたエレベータ調速機の動作試験について説明する。なお、以下では動作試験装置11で動作試験を行うエレベータ調速機を備えるエレベータの種類はBタイプであるものとして説明する。
【0048】
まず、保守作業員が図示しない調速機ロープを調速機シーブ2から外した後、動作試験装置11の圧接部20を調速機シーブ2の外周に圧接させる。
【0049】
そして、保守作業員は、コネクタ付ケーブル512のコネクタをBタイプのエレベータのエレベータ制御盤の出力口に嵌合させる。そうすると、制御部514は、コネクタ付ケーブル512を介して伝送されてきたエレベータの種類に関する情報に基づいて回転速度パターンRBを選択する。そして、制御部514は、回転速度パターンRBに応じて、調速機シーブ2が回転するように、回転駆動部40に対して回転制御指令を与える。これにより、当該回転速度パターンRBに基づいて、圧接部20が回転駆動されることにより、最初に、調速機シーブ2の回転速度が第1の規定速度V1Bとなるように徐々に加速する。そして、調速機シーブ2の回転速度が上昇して、過速スイッチ3が作動を開始した時点の速度を速度表示部70によって確認して、当該速度がV1Bとの間でずれがないかどうかを点検する。
【0050】
その後、速機シーブ2の回転速度が第2の規定速度V2Bとなるように徐々に加速する。そして、調速機シーブ2の回転速度が上昇して、ロープキャッチ4が作動を開始した時点の速度を速度表示部70によって確認して、当該速度がV2Bとの間でずれがないかどうかを点検する。
【0051】
このように、動作試験装置11によれば、保守作業員は、コネクタ付ケーブル512のコネクタをエレベータ制御盤の出力口に嵌合させるだけで、エレベータの種類に対応する回転速度パターンが設定される。そして、当該設定された回転速度パターンに基づいて、調速機シーブ2の回転速度が第1の規定速度V1A、V1Bと第2の規定速度V2A、V2Bとなるように、回転速度を自動的に徐々に変化させるため、保守作業員の経験や技能に影響されることなく、エレベータ調速機の動作試験を行うことができる。また、動作試験装置11は、把持部13を有する電気ドリル形状の装置であって簡単な要素で構成されており、複雑な設置作業は特に必要なく、運搬も容易である。
【符号の説明】
【0052】
2 調速機シーブ、3 過速スイッチ、4 ロープキャッチ、6 デジタル速度計、10,11 動作試験装置、12 本体部、13 把持部、20,21 圧接部、30 回転軸、40 回転駆動部、50,51 設定部、60 速度検知部、70 速度表示部、100 動作試験装置、105 電気ドリル、105a ゴムローラー、106 デジタル速度計、106a,106b 速度表示部、106c 電源スイッチ、106h 周速プーリー、107 ケーブル、200 動作試験装置、204a センサ、205 駆動モータ、206 デジタル速度計、209 光電スイッチ、210a,210b,210c,210d ケーブル、211 制御器、211a,211b 速度表示部、502,504 操作釦、506 制御部、512 コネクタ付ケーブル、514 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごに接続される調速機ロープが巻きかけられる調速機シーブの回転速度の異常が検出されたときに前記乗りかごを緊急停止させるために設けられたエレベータ調速機の動作試験を行うための動作試験装置であって、
前記調速機ロープが取り外された前記調速機シーブに圧接した状態で、前記調速機シーブを回転させるように回転可能な圧接部と、
所定の回転速度パターンに基づいて、前記圧接部を回転させる回転駆動部と、
前記回転速度パターンを設定する設定部と、
を備え、
前記回転速度パターンは、
前記調速機シーブの回転速度が前記乗りかごを電気的に緊急停止させるために予め定められた第1の規定速度と、前記第1の規定速度よりも大きい速度であり前記乗りかごを機械的に緊急停止させるために予め定められた第2の規定速度とを有することを特徴とする動作試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動作試験装置において、
前記設定部は、
エレベータの種類に対応する前記回転速度パターンを設定するための複数の操作釦を有することを特徴とする動作試験装置。
【請求項3】
請求項1に記載の動作試験装置において、
前記設定部は、
エレベータを制御するエレベータ制御盤に接続された際に、前記エレベータの種類に関する情報を取得して、前記種類に対応する前記回転速度パターンを設定することを特徴とする動作試験装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の動作試験装置において、
前記調速機シーブの回転速度を検知する速度検知部と、
前記回転速度を表示する速度表示部と、
をさらに備えることを特徴とする動作試験装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1に記載の動作試験装置において、
前記圧接部は、前記調速機シーブの外形に沿った形状を有することを特徴とする動作試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−158410(P2012−158410A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17752(P2011−17752)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】