説明

動吸振器およびそれを用いた光ディスク装置

【課題】 全体の高さを小さくできる動吸振器およびそれを用いた光ディスク装置を提供する。
【解決手段】 光ディスクを駆動するモータを支持するメインシャシに保持される動吸振器は、メインシャシ13に支持されたサブダンパ16と、一方面および他方面を有する平板形状を有し、メインシャシ13に対面する一方面のみがサブダンパ16に当接するサブシャシ14と、サブダンパ16をサブシャシ14の一方面に固定する凸部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は動吸振器およびそれを用いた光ディスク装置に関し、特に、全体の高さを小さくできる動吸振器およびそれを用いた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD、CD−ROM、DVD、DVD−ROM等の光ディスク、光磁気ディスク、大容量FD等の光メディアを駆動する光ディスク装置が、たとえば特開2001−256762号公報(特許文献1)や特開2001−355670号公報(特許文献2)に開示されている。図6は特許文献1および2に開示された光ディスク装置の要部を示す斜視図であり、図7は図6において、VII−VIIで示す部分の断面図である。
【0003】
図6および図7を参照して、光ディスク装置50は、筐体51と、筐体51の周囲4箇所に設けられたメインダンパ52と、メインダンパ52に保持されたメインシャシ53とを含む。メインシャシ53上には、光ディスク59を回転するためのスピンドルモータ54と、光ディスク59を読取るヘッド60と、サブダンパ56とが設けられ、サブダンパ56には、サブシャシ57が保持されている。
【0004】
サブシャシ57は動吸振子として作動し、サブダンパ56とサブシャシ57とで動吸振器を構成している。
【0005】
図8は、動吸振器がメインシャシ53の下部に取付けられた場合の、図7に対応する図である。図8においては、図7と対応する部分には、同じ参照符号を付して、その説明は省略する。
【0006】
図9は図7と同様の光ディスク装置において、メインダンパとサブダンパとを一体化した場合に考えられる構成の側面図である。図9においても、基本的に光ディスク装置の構成は同じであるが、メインダンパ61が、筐体51、メインシャシ53およびサブシャシ57を保持している点が図7と異なっている。
【特許文献1】特開2001−256762号公報(図1およびそれに関連する記載)
【特許文献2】特開2001−355670号公報(図3およびそれに関連する記載)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の動吸振器およびそれを用いた光ディスク装置は上記のように構成されていた。図7および図8に示すように、サブダンパ56は、メインシャシ53の上部もしくは下部に取付けられており、図7に示すように上部に取付けた場合は、回転するディスク59とのクリアランスを確保するために、また、図8に示すように下部に取付けた場合は、筐体51とのクリアランスを確保するために、ディスク装置全体が高くなるという問題があった。
【0008】
また、図9に示す構成も考えられるが、サブシャシ57の上面からメインダンパ61の上部が突出しているため、光ディスク装置全体の高さが高くなってしまうという問題があった。
【0009】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、全体の高さを低くできる動吸振器およびそれを用いた光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る、光ディスクを駆動するモータを支持するメインシャシに保持される動吸振器は、メインシャシに支持された弾性体と、一方面および他方面を有する平板形状を有し、メインシャシに対面する一方面のみが弾性体に当接する動吸振子と、この動吸振子を弾性体の一方面に固定する固定部材とを備える。
【0011】
動吸振器は、メインシャシに支持された弾性体と、メインシャシに対面する一方面のみが弾性体に当接する動吸振子と、この動吸振子を弾性体の一方面に固定する固定部材とを備えるため、動吸振子は、メインシャシとの反対側に突部を有しない。
【0012】
その結果、全体の高さを低くできる動吸振器が提供できる。
【0013】
好ましくは、弾性体は、光ディスク装置の筐体を保持する。
【0014】
固定部材は、動吸振子の一方面に固定された軸であってもよいし、動吸振子の一方向に一体形成された軸であってもよい。
【0015】
好ましくは、軸は軸本体と、軸本体よりも径方向に広がった頭部を有し、頭部と、動吸振子の一方面とで弾性体を挟持する。
【0016】
なお、軸は、途中位置に径方向に広がった突起部を有してもよい。
【0017】
この発明の他の局面においては、光ディスク装置は、上記した動吸振器を搭載している。
【0018】
その結果、全体の高さを低くできる光ディスク装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はこの発明の一実施の形態にかかる動吸振器およびそれを用いた光ディスク装置を示す斜視図であり、図2は図1において矢印II−IIで示す部分の断面図であり、それぞれ、従来の光ディスクの図6および図7に対応する。なお、図2においては、スピンドルモータ等については図示を省略している。また、図3は、動吸振器がメインシャシ13の下部に設けられている場合を示す図であり、従来の図8に対応する。
【0020】
図1から図3を参照して、光ディスク装置10は、筐体11と、筐体11の周囲4箇所に設けられたメインダンパ12と、メインダンパ12に保持されたメインシャシ13とを含む。メインシャシ13上には、光ディスクを回転するためのスピンドルモータ54と、図中矢印方向に移動して光ディスクを読取るヘッド60と、サブダンパ16とが設けられ、サブダンパ16には、サブシャシ14が保持されている。ここで、メインダンパ12およびサブダンパ16は、弾性体で構成されている。
【0021】
サブシャシ14は動吸振子として作動し、サブダンパ16とサブシャシ14とで動吸振器を構成している。
【0022】
すなわち、図2および図3に示すように、動吸振器は、メインシャシ13に支持されたサブダンパ16と、平板形状を有し、メインシャシ13に対面する面のみがサブダンパ16に当接するサブシャシ14と、サブダンパ16をサブシャシ14のメインシャシ13側に固定する固定部材15とを備える。
【0023】
次に、この実施の形態における動吸振器の構成およびそのメインシャシ13への取付け方法について説明する。まず構成について説明する。ここでは、固定部材15として軸状の凸部を例にあげて説明するが、これに限らず、接着剤や、ネジ等でもよい。
【0024】
図2を参照して、動吸振器がメインシャシ13の上部に設けられている場合には、動吸振子となるサブシャシ14には、その一方面側に、固定部材となる凸部15が設けられ、この凸部15にサブダンパ16が係合している。サブダンパ16は円筒形状を有し、その中心部に貫通孔17が設けられている。貫通孔17は、径の小さい貫通孔17aと径の大きい貫通孔17bとから構成されている。一方、サブシャシ14の凸部15は、円筒形状の軸部15aと先端に設けられ、軸部よりも径方向に広がった、抜け防止部として作動する頭部15bとから構成されている。凸部15の軸部15aはサブダンパ17の径の小さい貫通孔17aと係合し、かつ、頭部15bは貫通孔17aと17bとで形成される段部17cに係合するように寸法が設定されている。そのため、サブダンパ16が頭部15bと、サブシャシ14の一方面である、下向き面との間で挟持され、動吸振器が形成される。
【0025】
動吸振器をこのように構成したため、従来のように、サブダンパ16の頂部がサブシャシ14の上に突出することがない。したがって、スピンドルモータ54を下方にずらして取付けることが可能になり、その結果、高さの低い動吸振器が提供できる。
【0026】
次に、図3を参照して、動吸振器がメインシャシ13の下部に設けられている場合について説明する。ここでは、図2と同じ構成要件については図2と同じ参照番号を付している。
【0027】
動吸振子となるサブシャシ14には、その上面側に、固定部材となる凸部15が設けられ、この凸部15にサブダンパ16が係合している。サブダンパ16は円筒形状を有し、その中心部に貫通孔17が設けられている。貫通孔17が、径の小さい貫通孔と径の大きい貫通孔とを有している点や、サブシャシ14の凸部15は、円筒形状の軸部と先端に設けられ、軸部よりも径方向に広がった頭部とから構成されている点も先の場合と同様である。サブダンパ16が頭部15bと、サブシャシ14の一方面である、上向き面との間で挟持され、動吸振器が形成される。
【0028】
以上のように、動吸振器がメインシャシ13の下部に設けられている場合においても、従来のように、サブダンパ16の頂部が筐体11の上に突出することがない。したがって、先の場合と同様に、スピンドルモータ54を下方にずらして取付けることが可能になり、その結果、高さの低い動吸振器が提供できる。
【0029】
次に、動吸振器をメインシャシ13に取付ける方法について説明する。ここでは、動吸振器がメインシャシ13の上部に設けられている場合について説明するが、下部に取付けられる場合も同様である。
【0030】
図1および図2を参照して、メインシャシ13には、サブダンパ16を取付ける箇所に、貫通孔13aが設けられる。貫通孔13aの孔の径は凸部15の軸15aの径より大きく、また、サブダンパ16の径よりも小さくなるように設定されている。また、図2に示すように、サブダンパ16には軸方向ほぼ中央部の外周に環状の凹部16aが形成されており、サブダンパ16はその凹部16aにメインシャシ13が係合して保持され、その下端部はメインシャシ13の下部に延在する。
【0031】
このように、従来の図7の構成と比較して、サブダンパ13の取付け位置を下方にずらせたため、これに伴いスピンドルモータ54も下方にずらして取付けることが可能になり、光ディスク装置の高さをより低くでき、薄型の光ディスク装置が実現できる。
【0032】
なお、上述のように、凸部15は、サブシャシ14とは別体で成形し、サブシャシ14に接着剤を用いて接続してもよいし、凸部をネジとしてサブシャシに埋込むようにしてもよい。また凸部15はサブシャシ14と一体成形してもよい。
【0033】
また、この実施の形態では、メインダンパが4個で、サブダンパが3この場合について説明したが、これに限らず、メインダンパとサブダンパとは、それぞれ同数としてもよいし、任意の個数設けてもよい。
【0034】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図4はこの発明の他の実施の形態を示す図であり、従来の図9に対応する。
【0035】
この実施の形態においては、先の実施の形態と異なり、メインダンパ22が筐体21、メインシャシ23およびサブシャシ24を支持している。
【0036】
メインダンパ22は、先の実施の形態におけるサブダンパ16と同様に、径の小さい貫通孔22aと、径の大きい貫通孔22bとを有し、また、サブシャシ24は先の実施の形態で説明したように、固定部材として、所定の形状を有する凸部25を有している。メインダンパ22の軸方向2箇所において外周部に環状の凹部22c、22dが形成されており、凹部22cを介してメインダンパ22は筐体21に支持され、凹部22dを介してメインダンパ22にメインシャシ23が支持されている。
【0037】
また、凸部25の頭部は、径方向に傘状に広がっており、貫通孔22aと22bとによって形成される段差部22eに係合してメインダンパ22の抜けを防止している。
【0038】
このために、筐体21には、メインダンパ22を取付ける箇所に、貫通孔21aが設けられ、メインシャシ23には、メインダンパ22を取付ける箇所に、貫通孔23aが設けられる。また、貫通孔21a、23aの孔の径はメインダンパ22の径よりも小さくなるよう設定されている。
【0039】
以上のように、この実施の形態によれば、メインダンパ22のみで筐体21、メインシャシ23およびサブシャシ24が保持されるとともに、サブシャシ24の上に突出部が無くなるため、部品点数を削減できるとともに、より高さの低い光ディスク装置を提供できる。
【0040】
次に、固定部材としての、凸部25の変形例について説明する。図5は、凸部25の軸25aの変形例を示す図であり、図4において、一点鎖線で示す部分を示す図である。図5を参照して、凸部25の軸25aの途中位置には、径方向に広がった突起部25cが設けられており、それによって、メインダンパ22のさらなる抜けが防止できる。なお、この凸部25の変形例は、凸部15にも適用される。
【0041】
なお、このように、軸の途中に突起部を設ければ、頭部25bを設けなくてもよい。また、突起部25cは環状でなくてもよく、外周の数カ所に形成してもよい。
【0042】
なお、メインダンパ12,22およびサブダンパ16を構成する弾性体としては、「熱硬化性弾性体(ゴム)」を用いてもよいし「熱可塑性弾性体(熱可塑性エラストマー)」を用いてもよい。具体的には、「熱硬化性弾性体(ゴム)」としては、天然ゴム、ブタジェンゴム、スチレンブタジェンゴム、アクリロニトリルブタジェンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等がある。
【0043】
「熱可塑性弾性体(熱可塑性エラストマー)」としては、スチレン系熱可塑性エラストマーを始め、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、塩化ビニル系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマーが使用できる。
【0044】
図面を参照してこの発明の一実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、または均等の形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、または均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明に係る動吸振器は、全体の高さを低くできるため、それを用いた光ディスク装置等において、有利に利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明にかかる動吸振器の一例を用いた光ディスク装置の要部を示す斜視図である。
【図2】図1においてII−IIで示す部分の断面図である。
【図3】動吸振器がメインシャシ13の下部に設けられている場合の図2に対応する部分の断面図である。
【図4】この発明の他の実施の形態に係る動吸振器を含む部分の断面図である。
【図5】凸部の形状の他の実施の形態を示す図である。
【図6】従来の動吸振器の一例を用いた光ディスク装置の要部を示す斜視図である。
【図7】図6においてVII−VIIで示す部分の断面図である。
【図8】動吸振器がメインシャシ13の下部に設けられている場合の図7に対応する断面図である。
【図9】光ディスク装置の図7に対応する他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10、20 光ディスク装置、11、21 筐体、12、22 メインダンパ、13、23 メインシャシ、14、24 サブシャシ、15 凸部、16 サブダンパ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを駆動するモータを支持するメインシャシに保持される動吸振器であって、
前記メインシャシに支持された弾性体と、
一方面および他方面を有する平板形状を有し、メインシャシに対面する一方面のみが前記弾性体に当接する動吸振子と、
前記動吸振子を前記弾性体の一方面に固定する固定部材とを備える、動吸振器。
【請求項2】
前記弾性体は、前記光ディスク装置の筐体を保持する、請求項1に記載の動吸振器。
【請求項3】
前記固定部材は、前記動吸振子の一方面に固定された軸である、請求項1または2に記載の動吸振器。
【請求項4】
前記固定部材は前記動吸振子の一方向に一体形成された軸である、請求項1または2に記載の動吸振器。
【請求項5】
前記軸は軸本体と、前記軸本体よりも径方向に広がった頭部を有し、
前記頭部と、前記動吸振子の一方面とで前記弾性体を挟持する、請求項3または4に記載の動吸振器。
【請求項6】
前記軸は、途中位置に径方向に広がった突起部を有する、請求項3から5のいずれかに記載の動吸振器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の動吸振器を搭載した光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−172631(P2006−172631A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364914(P2004−364914)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000114710)ヤマウチ株式会社 (82)