説明

動物の運動量測定表示器

【課題】動物の運動を検知して一日における単位時間ごとの運動量や運動量のパターンをグラフ化して表示することができる小型の運動量測定表示器を提供すること。
【解決手段】運動を検知する振動センサーと、振動センサーから出力されるパルス信号の所定の単位秒間における有無を判断してパルス信号「有り」の単位秒間の数をカウントしてメモリーに記憶させ、カウントされた値が積算されて所定の単位分間に達したときに、これが一日を複数個に区分してなる単位時間中の現在の単位時間における運動量として一個ずつ累積され、これを繰り返すことにより各単位時間ごとの運動量を算出する処理等を行なう制御装置と、制御装置の出力信号により一日における単位時間ごとの運動量を液晶画面にグラフ化して表示させる液晶表示器と、時刻表示及び時刻修正を行なう操作キーと、液晶画面のスクロールを行なうスクロールキーと、電源電池とを表示器本体に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にペット動物としての犬を対象とする運動量測定表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
ペット動物の運動量を測定する器具として、実開平7−44567号公報に、人に用いる歩数計を小型化したものを犬や猫等の首に取付けるものが開示されている。
【0003】
また、特開2002−311972号公報には、犬や猫等のペットの歩行による運動量のデータを送信機により自動的に送信し、飼い主の携帯する受信機側にて運動量のデータ信号に応じて選択される音声台詞やメロディーが発せられるペットに用いる音声発生装置が開示されている。
【0004】
前者公報に記載の器具は、犬や猫等の一日の運動量を歩行数により簡易的に知ることはできるが、一日における時間ごとの運動量や運動量のパターンを表示することはできない。
【0005】
また、後者公報に記載の装置は、ペットに取り付ける送信機と飼い主の携帯する受信機とから構成されていて、ペット側から飼い主に対して運動量に基づいて発せられる言葉を飼い主が受信機によって聞くことができる機能を有する。ところが、ペットの運動だけに限って言うならば、前記装置は複雑であって製造コストが高くつき、一日における時間ごとの運動量や運動量のパターンを視覚的に表示することはできなかった。
【特許文献1】実開平7−44567号公報
【特許文献2】特開2002−311972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、動物の運動を検知して一日における単位時間ごとの運動量や運動量のパターンを表示画面によりグラフ化して表示することができると共に動物に装着可能な小型の運動量測定表示器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、動物の運動を検知する振動センサーと、その振動センサーから出力されるパルス信号の所定の単位秒間における有無を判断してパルス信号「有り」の単位秒間の数をカウントしてメモリーに記憶させ、そのカウントされた値が積算されて所定の単位分間に達したときに、これが一日を複数個に区分してなる単位時間中の現在の単位時間における運動量として一個ずつ累積され、これを繰り返すことにより各単位時間ごとの運動量を算出する処理及び各種制御を行なう制御装置と、その制御装置からの出力信号により一日における単位時間ごとの運動量を液晶画面にグラフ化して表示させる液晶表示器と、時刻表示及び時刻修正を行なう操作キーと、前記液晶画面のスクロールを行なうスクロールキーと、電源電池とを、動物に装着される表示器本体に設けたことを特徴とする。
【0008】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した動物の運動量測定表示器において、前記液晶表示器の液晶画面については、単位時間を横辺とし単位分間を縦辺とする四角形のブロックを碁盤の目状に配置し、一日における各単位時間ごとの運動量を該ブロックによって棒グラフ状に表示するように設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
同様の目的を達成するために請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した動物の運動量測定表示器において、前記スクロールキーの操作によって過去の所定日数の運動量データを前記液晶画面に表示可能に設けたことを特徴とするものである。
【0010】
同様の目的を達成するために請求項4に記載した発明は、請求項1から3の何れかに記載した動物の運動量測定表示器において、一日のスタート時から現在時刻までの運動量の総和又は一日分の運動量の総和を前記液晶画面に表示可能に設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
(請求項1の発明)
この動物の運動量測定表示器は、動物の運動を検知して一日における単位時間ごとの運動量や運動量のパターンが表示画面によりグラフ化して自動的に表示されるので、内容の確認・把握が行ないやすく、動物の運動量管理に役立たせることができる。加えて、動物に装着可能な小型構造とされているので、大変使い勝手が良い。
【0012】
(請求項2の発明)
この動物の運動量測定表示器は、一日における各単位時間ごとの運動量が表示画面に棒グラフ状に表示されるので、内容の確認・把握が行ないやすい。
【0013】
(請求項3の発明)
この動物の運動量測定表示器は、スクロールキーの操作によって過去の所定日数の運動量データを液晶画面に表示可能であるので、動物の運動量管理に活用するのに便利である。
【0014】
(請求項4の発明)
この動物の運動量測定表示器は、一日のスタート時から現在時刻までの運動量の総和又は一日分の運動量の総和を液晶画面に表示可能であるので、運動量の総和の確認が行ないやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。図1は動物の運動量測定表示器の正面図、図2は電子制御回路の概要を示すブロック図、図3は液晶画面の説明図、図4は液晶画面に表示されるグラフ表示モード及び時刻入力モードの説明図である。
【0016】
この実施形態における動物の運動量測定表示器は、ペット動物としての犬を使用対象とするものである。なお、本発明の動物の運動量測定表示器は、ペット動物に限定されることなく、人にも適用可能な構造とされている。
【0017】
図1において、この動物の運動量測定表示器1の表示器本体2の側部には、犬の首又は胴体に装着するためのベルト30を通す差込片3,3が一体状に設けられている。その表示器本体2の上面2aには、後述する運動量等を表示するための液晶表示器10を中央に配置し、液晶表示器10の右箇所に当該液晶画面11のスクロールを行なうための右スクロールキー15と左スクロールキー16を上下に配置し、液晶表示器10の左箇所に時間修正キー17、分修正キー18及び時間表示キー19を上下方向に順に配置している。
【0018】
表示器本体2の内部には、図2に示すように、動物の運動を検知する振動センサー21、各種の電子制御を行なう制御装置25及び電子回路の電源としてのボタン型電池(図示せず)が収納されている。その制御装置25は、マイクロプロセッサーCPU、クロック回路26、運動量測定に関するプログラムが収められたメモリーROM、振動センサー21によるカウント数の記憶と過去のデータ等を記憶させるメモリーRAMとから構成されている。
【0019】
ここで、液晶表示器10の液晶画面11の構成について、図3に基づいて説明する。
この液晶画面11は、単位時間を横辺とし単位分間を縦辺とする四角形のブロックaを碁盤の目状に配置し、一日における各単位時間ごとの運動量をブロックaによって棒グラフ状に表示するように設けられている。また、液晶画面11の右上箇所には、一日のスタート時から現在時刻までの運動量の総和又は一日分の運動量の総和を表示可能に設けている。
【0020】
なお、この明細書において、「単位秒間」とは、グラフの作成に必要な最小時間単位(この実施形態では1秒)であって、パルス信号入力が「有り」又は「なし」を判断するための時間単位をいう。「単位時間」とは、一日24時間をグラフのx軸方向のブロック数(この実施形態では24個)で除した値、即ち「1時間」をいう。「単位分間」とは、単位時間をグラフのy軸方向のブロック数(この実施形態では12個)で除した値、即ち「5分」をいう。
【0021】
上記制御装置25においては、振動センサー21から出力されるパルス信号の所定の単位秒間(1秒)における有無を判断してパルス信号「有り」の単位秒間の数をカウントしてメモリーRAMに記憶させ、そのカウントされた値が積算されて所定の単位分間(5分)に達したときに、これが現在の単位時間における運動量として一個ずつ累積され、これを繰り返すことにより各単位時間ごとの運動量を算出する処理制御が行なわれるように設けられている。
【0022】
つぎに、かかる構成になる本発明の動物の運動量測定表示器1の使用方法について説明する。
(1)最初に、表示器本体2にボタン型電池をセットすると、電源がオン状態となり、液晶画面11が初期時刻設定入力モードとなる。そこで、時間修正キー17、分修正キー18を操作して現在の時刻に設定する。何れかのキーを押してから5秒以内に入力操作が行なわれなければ、液晶画面11はグラフ表示モードとなる。
(2)(1)の初期設定後に、動物の運動量測定表示器1を飼い犬の首等に装着する。
(3)犬が動くことにより振動センサー21からパルス信号が出力され、そのパルス信号の1秒間における有無を判断してパルス信号「有り」の単位秒間の数がカウントされてメモリーRAMに記憶される。そのカウントされた値が積算されて5分間に達したときに、現在の単位時間における運動量としてブロックaが一個として表示される。これと同時に、カウントが0(ゼロ)にリセットされ、再び次のブロックaを表示するまでカウントが続けられ、これを繰り返し行なう。そして、新しいブロックaは前のブロックaの上に積み重ねて表示され、1時間経過すると、次の列に移って同様のブロックによるグラフ表示が続けられる。
(4)(3)におけるブロックによるグラフ表示作成と同時に、現在時刻までのブロック数がカウントされ、その総和がグラフ表示画面の右上に表示される。
(5)24時になったときにカウントが停止され、24時間分の全ての表示画面を次の日の新しい表示画面に切り替えられる。ついで、(3)と同様の処理制御が行なわれてブロックによるグラフ表示及び運動量の総和表示が行なわれる。
【0023】
なお、前記グラフ表示モードのときに時間表示キー19を押した場合には、グラフ表示モードが時刻入力モードに切り替わって現在の時刻の表示がなされる。このモードにおいて、時刻の修正が可能である。また、時刻表示又は時刻修正後に時間表示キー19を再び押せば、元のグラフ表示モードに戻る。
【0024】
この動物の運動量測定表示器1では、図4に示すように、一週間分の運動量を測定可能に設けられており、右スクロールキー15と左スクロールキー16の操作によって過去の所定日の運動量データを表示させて確認することができる。
【0025】
以上に述べた通り、この動物の運動量測定表示器は、犬等の動物の運動を検知して一日における単位時間ごとの運動量や運動量のパターンが表示画面によりグラフ化して自動的に表示されるので、内容の確認・把握が行ないやすく、動物の運動量管理に役立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】動物の運動量測定表示器の正面図
【図2】電子制御回路の概要を示すブロック図
【図3】液晶画面の説明図
【図4】液晶画面に表示されるグラフ表示モード及び時刻入力モードの説明図
【符号の説明】
【0027】
1・・・動物の運動量測定表示器
2・・・表示器本体
10・・・液晶表示器
11・・・液晶画面
a・・・ブロック
15・・・右スクロールキー
16・・・左スクロールキー
25・・・制御装置
ROM・・・メモリー
RAM・・・メモリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の運動を検知する振動センサーと、その振動センサーから出力されるパルス信号の所定の単位秒間における有無を判断してパルス信号「有り」の単位秒間の数をカウントしてメモリーに記憶させ、そのカウントされた値が積算されて所定の単位分間に達したときに、これが一日を複数個に区分してなる単位時間中の現在の単位時間における運動量として一個ずつ累積され、これを繰り返すことにより各単位時間ごとの運動量を算出する処理及び各種制御を行なう制御装置と、その制御装置からの出力信号により一日における単位時間ごとの運動量を液晶画面にグラフ化して表示させる液晶表示器と、時刻表示及び時刻修正を行なう操作キーと、前記液晶画面のスクロールを行なうスクロールキーと、電源電池とを、動物に装着される表示器本体に設けたことを特徴とする動物の運動量測定表示器。
【請求項2】
前記液晶表示器の液晶画面については、単位時間を横辺とし単位分間を縦辺とする四角形のブロックを碁盤の目状に配置し、一日における各単位時間ごとの運動量を該ブロックによって棒グラフ状に表示するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載した動物の運動量測定表示器。
【請求項3】
前記スクロールキーの操作によって過去の所定日数の運動量データを前記液晶画面に表示可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載した動物の運動量測定表示器。
【請求項4】
一日のスタート時から現在時刻までの運動量の総和又は一日分の運動量の総和を前記液晶画面に表示可能に設けたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載した動物の運動量測定表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−107943(P2007−107943A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297260(P2005−297260)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000116091)ロイヤル工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】