説明

動物用外部寄生虫防除剤

【課題】動物の体表に適用したとき、拡展して広い表面積で動物の体表に密接に接触することができ、動物の外部寄生虫を効果的に防除できる防除剤を提供する。
【解決手段】動物用外部寄生虫防除物質とシリコーンとを含有する動物用外部寄生虫防除剤である。この場合、両者の含有率はシリコーンの種類にもよるが、好ましくは防除剤中、0.01〜50.0重量%であり、より好ましくは0.1〜40.0重量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物用外部寄生虫防除剤に関し、詳しくは、ペットや家畜等の動物の体表に適用して動物の外部寄生虫を防除するのに好適な動物用外部寄生虫防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、家畜やペット等の飼育動物を加害する有害生物、特にノミ目害虫、シラミ目害虫、ダニ目害虫等の外部寄生虫を防除するための処理方法として、防除剤を動物の体表に適用するスポットオンやポアオンと呼ばれる処理法が知られており、これらの方法は処理が簡便であることから、かかる外部寄生虫の防除によく用いられている。
【0003】
スポットオン処理やポアオン処理においては、動物の体表に適用された防除剤は、拡展して広い表面積で動物の体表に密接に接触することが要求される。例えば特許文献1には、拡展剤としてイソプロピルミリステート等を含有するポアオン駆虫組成物が提案されている。しかし、当該組成物はその拡展が必ずしも充分でなく、他の動物用外部寄生虫防除剤においても拡展が必ずしも充分でないのが現状であった。
【特許文献1】特開昭62−51932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、その目的は、動物の体表に適用すると、拡展して広い表面積で動物の体表に密接に接触することができ、動物の外部寄生虫を効果的に防除できる防除剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題に対し鋭意検討した結果、拡展剤としてシリコーンを用い、これを含有する防除剤を動物の体表に適用することにより、拡展して広い表面積で動物の体表に密接に接触することができ、従って、動物の外部寄生虫を効果的に防除できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0006】
即ち、上記目的に適合する本発明は、基本的に動物用外部寄生虫防除物質とシリコーンとを含有することを特徴とする動物用外部寄生虫防除剤である。
【0007】
請求項2は上記発明においてシリコーンが、ジメチルシリコーンオイル,高重合ジメチルシリコーンオイル,環状シリコーンオイル,ポリエーテル変性シリコーンオイル,アミノ変性シリコーンオイル,メチルフェニルシリコーンオイルから選ばれた1種以上であることを特徴とする。
【0008】
請求項3は上記におけるシリコーンの含有量が防除剤中、0.01〜50.0重量%であることを特徴とする。
【0009】
請求項4は上記請求項1に係る発明の動物用外部寄生虫防除物質がピレスロイド化合物,有機燐化合物,カーバメート化合物,キチン形成阻害物質,幼若ホルモン様物質,動物内部寄生虫駆除物質,害虫忌避活性物質その他の殺虫成分から選ばれた1種以上であること、そして請求項5は上記動物用外部寄生虫防除物質の含有量は、上記防除物質中、昆虫成長制御活性化合物の含有量の場合は0.001〜10.0重量%、昆虫成長制御活性化合物を除くその他の防除物質の場合は0.01〜80.0重量%であることを特徴とする。
【0010】
請求項6及び請求項7は本発明動物用外部寄生虫防除剤の処理態様であり、請求項6はスポット処理用、請求項7はポアオン処理用であることを夫々、特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の動物用外部寄生虫防除剤は、拡展剤としてのシリコーンを含有しているので、
動物の体表にスポットオン処理またはポアオン処理により適用すると充分に拡展するので、広い表面積で動物の体表に密接に接触でき、従って、動物の外部寄生虫を効果的に防除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、更に本発明の具体的態様を詳細に説明する。
【0013】
本発明の動物用外部寄生虫防除剤(以下、単に防除剤という)は、前記の如く、基本的に有効成分としての動物用外部寄生虫防除物質と拡展剤としてのシリコーンとを含有するものである。
【0014】
本発明で使用される動物用外部寄生虫防除物質は、特に限定されるものではなく、公知のものが使用できる。具体的には、例えば、ペルメトリン,フェノトリン,アレスリン,d‐アレスリン,ピレトリン,プラレトリン,シフェノトリン,シフルトリン,フェンバレレート,フェンプロパトリン,トランスフルスリン,レスメトリン,エムペントリン,シハロトリン,エトフェンプロックス,トラロメトリン,エフィビオスリン,テラレスリン,プロフルトリン,メトフルトリン等のピレスロイド化合物、ジクロルボス,テトラクロロビンホス,フェンチオン,クロルピリホス,ダイアジノン,フェニトロチオン,ナレド,シアホス,カルクロホス,サリチオン等の有機燐化合物、プロポクスル,カルバリル,メトキサジアゾン,BPMC等のカーバメート化合物、ルフェヌロン,クロルフルアズロン,ヘキサフルムロン,ジフルベンズロン,シロマジン,トリフルムロン,テフルベンズロン,フルフェノクスロン,フルアズロン,トリアズロン,1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−へキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア等のキチン形成阻害物質、ピリプロキシフェン,メトプレン,ハイドロプレン,フェノキシカルブ等の幼若ホルモン様物質、ミルベマイシン,アバメクチン,イルベメクチン等の動物内部寄生虫駆除物質、Deet,リモネン,リナロール,シトロネラール,メントール,メントン,ヒノキチオール,ゲラニオール,ユーカリプートル,インドキサカルブ,カラン−3,4−ジオール,オレンジ,シトロネラ,レモン,レモングラス,シンナモン,ペパーミント,ハッカ,ヒソップ,ティートリー,アニス,スターアニス,チモール,オイゲノール,タイムホワイト,ガーリック,クローブ,ピメント,カラムス,シンナモンリーフ,ケイヒユ,シンナムアルデヒド,シダウッド,カッシャ,スペアミント,ヒバ,ペタラアルデヒド,サンタロール等の該害虫忌避活性物質及び他の殺虫成分としてアリルジアゾール系化合物、アセタミプリド,ニテンピラム,チアクロプリド,チアメトキサム等のネオニコチノイド系化合物、フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物、2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリド等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。これらの動物用外部寄生虫防除物質の中でも、特にキチン形成阻害物質及び幼若ホルモン様物質などの昆虫成長制御活性化合物は好適に使用される。
【0015】
動物外部寄生虫防除物質の含有量は、動物用外部寄生虫防除物質の種類にもよるが、本発明の防除液中、キチン形成阻害物質及び幼若ホルモン様物質などの昆虫成長制御活性化合物では0.001〜10.0重量%、昆虫成長制御活性化合物を除くその他の防除物質では0.01〜80.0重量%が好ましく、より好ましくは昆虫成長制御活性化合物で0.01〜10.0重量%、昆虫成長制御活性化合物を除くその他の防除物質では0.1〜70.0重量%である。
【0016】
本発明防除剤は、上記の動物用外部寄生虫防除物質と共に共力剤を含有することにより、その防除効力をより効果的に発揮することができる。本発明で使用できる共力剤としては、動物用外部寄生虫防除物質の種類により選択されるが、例えば、PBO、S421、MGK264、IBTA、サイネピリン500等が挙げられる。
【0017】
本発明で使用されるシリコーンとしては、特に限定されるものではないが、例えばジメチルシリコーンオイル,高重合メチルシリコーンオイル,環状シリコーンオイル,ポリエーテル変性シリコーンオイル,アミノ変性シリコーンオイル,メチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられ、これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。
【0018】
上記のシリコーンの含有量は、シリコーンの種類にもよるが、本発明の防除剤中、0.01〜50.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜40.0重量%である。シリコーンの含有量が0.01重量%未満であると、本発明の防除剤の拡展効果が劣るおそれがあり、逆に50.0重量%を超えると、拡展しすぎて使用に無理を生じるおそれがあるので好ましくない。
【0019】
本発明の防除剤は、上記の外、必要により溶媒に溶解させて使用することもできる。溶媒は特に限定されないが、例えばメチルアルコール,エチルアルコール,イソプロピルアルコール,フェノキシエタノール,ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,トリプロピレングリコール,ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテル,ジエチレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコールモノメチレンエーテル,3―メトキシ―3―メチル−1−ブタノール等のエーテル類、炭酸プロピレン,2−ピロリドン,N−メチル−2−ピロリドン等のアルキル―ピロリドン類、キシレン,トルエン,アルキルナフタレン,フェニルキシリルエタン,ケロシン,軽油,ヘキサン,シクロヘキサン,流動パラフィン、流動イソパラフィン,軽質流動パラフィン等の芳香族または脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン,ジクロロメタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル,酢酸ブチル,乳酸エチル等のエステル類、クエン酸トリエチル等のオキシ酸エステル類、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン類、アセトニトリル,イソブチロニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド,N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、大豆油,綿実油等の植物油、オレンジ油,ヒソップ油,レモン油等の植物精油や水が挙げられる。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上併用してもよい。これらは防除剤中に、防除剤の種類に応じ、適度な割合をもって使用される。
【0020】
また、本発明の防除剤は、上記の動物用外部寄生虫防除物質、シリコーン及び溶剤以外に、必要により更に他の添加剤を含有してもよく、例えば、BHT,BHA,酢酸トコフェロール,トコフェロール等の酸化防止剤、モノオレイン酸ソルビタン,モノラウリン酸ソルビタン,カプリル酸モノグリセライド,カプリン酸モノグリセライド,イソステアリン酸モノグリセライド,モノカプリル酸プロピレングリコール等の乳化剤,香料,安定剤,界面活性剤等が挙げられる。
【0021】
本発明の防除剤は、通常、スポットオン処理、ポアオン処理等の局所処理法により動物へ適用され、これにより動物の外部寄生虫を効率的に防除することができる。スポットオン処理法は、動物体の肩甲骨背部の皮膚等に液状の外部寄生虫防除剤を滴下し、当該防除剤が拡展することにより、外部寄生虫を防除する方法である。ポアオン処理法は、動物体の背中線に沿って液状の外部寄生虫防除剤を注ぎ、当該防除剤が拡展することにより、外部寄生虫を防除する方法である。
【0022】
本発明の防除剤の動物への施用量は、適用する動物1頭あたり、通常、0.2〜8.0ml程度であるが、適宜、増減することもできる。
【0023】
本発明の防除剤により効果的に防除できる外部寄生虫としては、牛,羊等の家畜や犬,猫等のペットの外部寄生虫である。ここで言う外部寄生虫とは、動物の体表面上で常時生活するものばかりでなく、常時生活しなくても動物の体表から吸血したり体液を舐めたりすることで害を及ぼす害虫も含む。例えばノイエバエ(Musca hervei),クロイエバエ(Musca bezzii),ノサシバエ(Heamatobia irritans),ツメトゲブユ(Simulium iwatens),ウシヌカカ(Culicoides),ウシアブ(Tabanus trigonus),アカイエカ(Culex pipiens pallens),ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等の双翅目害虫、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus),ヒツジジラミ(Damalinia)等のシラミ目害虫、フタトゲチマダニ(Haemaphyxalis longicornis),オウシマダニ(Boophilus ruehysternus)等のダニ目害虫,ネコノミ(Ctenocephalides felis),イヌノミ(Ctenocephalides canis),ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)等の害虫等が挙げられる。また、本発明の防除剤が適用される対象動物としては、前記した家畜,ペット等の他、例えば、マウス,ラット,ハムスター,リス等のげっ歯目,ウサギ目,フェレット等の食肉目、アヒル,ニワトリ,ハト等の鳥類等も挙げられる。
【0024】
以上、説明したように本発明の防除剤においては、拡展剤としてのシリコーンを含有しているので、動物の体表にスポットオン処理またはポアオン処理すると十分に拡展し、広い表面積で動物の体表に密接に接触でき、従って、動物の外部寄生虫を効果的に防除することができる。
【実施例】
【0025】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないことは云うまでもない。
【0026】
実施例
先ず、下記製剤例1〜9に従って本発明に係る組成物を得た。
製剤例1
フェノトリン20.0W/V%,d‐アレスリン2.0W/V%,ピリプロキシフェン0.8W/V%,環状シリコーンオイル5.0W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とし、これを混合することにより本発明組成物を得た。
製剤例2
フェノトリン20.0W/V%,d‐アレスリン2.0W/V%,ピリプロキシフェン0.8W/V%,メチルフェニルシリコーンオイル5.0W/V%,BHT0.5W/V%にジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とし、これを混合することにより本発明組成物を得た。
製剤例3
フェノトリン20.0W/V%,d‐アレスリン2.0W/V%,ピリプロキシフェン0.8W/V%,環状シリコーンオイル2.5W/V%,メチルフェニルシリコーンオイル2.5W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とし、これを混合することにより本発明組成物を得た。
製剤例4
フェノトリン20.0W/V%,メトフルトリン2.0W/V% ,ピリプロキシフェン0.8W/V%,環状シリコーンオイル5.0W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とし、これを混合することにより本発明組成物を得た。
製剤例5
フェノトリン20.0W/V%,メトフルトリン2.0W/V% ,ピリプロキシフェン0.8W/V%,環状シリコーンオイル5.0W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とし、これを混合することにより本発明組成物を得た。
製剤例6
フェノトリン20.0W/V%,メトフルトリン2.0W/V% ,ピリプロキシフェン0.8W/V%,環状シリコーンオイル2.5W/V%,メチルフェニルシリコーンオイル2.5W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とし、これを混合することにより本発明組成物を得た。
製剤例7
エトフェンプロックス20.0W/V%,ピリプロキシフェン0.8W/V%,環状シリコーンオイル5.0W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とし、これを混合することにより本発明組成物を得た。
製剤例8
エトフェンプロックス20.0W/V%,ピリプロキシフェン0.8W/V%,メチルフェニルシリコーンオイル5.0W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とし、これを混合することにより本発明組成物を得た。
製剤例9
エトフェンプロックス20.0W/V%,ピリプロキシフェン0.8W/V%,環状シリコーンオイル2.5W/V%,メチルフェニルシリコーンオイル2.5W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とし、これを混合することにより本発明組成物を得た。
【0027】
次に上記実施例における製剤例に対応して比較例1〜3により比較組成物を生成した。
比較例1
実施例1,2および3よりシリコーンオイルを除いたものから組成物を得た。フェノトリン20.0W/V%,d−アレスリン2.0W/V%,ピリプロキシフェン0.8W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とした。
比較例2
実施例4,5および6よりシリコーンオイルを除いたものから組成物を得た。フェノトリン20.0W/V%,メトフルトリン2.0W/V% ,ピリプロキシフェン0.8W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とした。
比較例3
実施例7,8および9よりシリコーンオイルを除いたものから組成物を得た。エトフェンプロックス20.0W/V%,ピリプロキシフェン0.8W/V%,BHT0.5W/V%に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、100W/V%とした。
【0028】
かくして、得られた上記本発明の実施に係る製剤例1〜9による組成物と、比較例1〜3による組成物とを対比し、試験した態様ならびに結果を示す。
試験例1
製剤例1から9に準じて得られた本発明組成物、ならびに、比較例1,2および3に準じて得られた組成物を、マウス(生体重30g)の頚背部にマイクロピペットにて100μ塗布し、このマウスを袋状の金網中に入れ固定し容器に入れた。そして、この容器の中へネコノミ成虫(Ctenocepghalides felis)30頭を入れ、放虫3時間後にマウスが脱落したノミの脱落数を観察し、脱落率を求めた。コントロールとして、薬剤を処理しないマウスを同様の手順で試験に供した。試験は3回繰り返した。試験例1の結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

試験例2
製剤例1から9に準じて得られた本発明組成物、ならびに比較例1,2および3に準じて得られた組成物を用いて以下の試験を行った。
駆除効果試験
ネコ(雑種、3才から5才、雄、体重4〜5kg)に1頭当たり50匹のネコノミ成虫を寄生させて順化させた後、製剤例1,4及び7に準じて得られた本発明組成物、ならびに、比較例1,2および3に準じて得られた組成物を各々、ネコの頭背部の2箇所の被毛を掻き分けて皮膚に直接滴下した。滴下量は1.2mlとし、マイクロピペットにて各々の組成物を2等分し滴下処理した。
【0030】
試供ネコは、1薬剤あたり2頭用意し、薬剤処理24時間後に1頭ずつ寄生虫数を調査した。得られた寄生数から下記の式により駆除率を求めた。
【数1】

【0031】
上記試験例の結果を表2に示す。
【0032】
【表2】

上記表1,表2の結果より本発明による動物用外部寄生虫防除剤はシリコーンを拡展剤として用いたことにより、拡展して広い表面積で動物の体表に密接に接触し、脱落率,駆除率ともに高まり、効果的に防除できることが立証された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物用外部寄生虫防除物質とシリコーンとを含有することを特徴とする動物用外部寄生虫防除剤。
【請求項2】
シリコーンが、ジメチルシリコーンオイル,高重合ジメチルシリコーンオイル,環状シリコーンオイル,ポリエーテル変性シリコーンオイル,アミノ変性シリコーンオイル,メチルフェニルシリコーンオイルから選ばれた1種以上である請求項1記載の動物用外部寄生虫防除剤。
【請求項3】
シリコーンの含有量が防除剤中、0.01〜50.0重量%である、請求項1または2記載の動物用外部寄生虫防除剤。
【請求項4】
動物外部寄生虫防除物質が、ピレスロイド化合物,有機燐化合物,カーバメート化合物,キチン形成阻害物質,幼若ホルモン様物質,動物内部寄生虫駆除物質,害虫忌避活性物質その他の殺虫成分から選ばれた1種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の動物用外部寄生虫防除剤。
【請求項5】
動物用外部寄生虫防除物質含有量が昆虫成長制御活性化合物の場合は0.001〜10.0重量%、昆虫成長制御活性化合物を除くその他の防除物質の場合は0.01〜80.0重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の動物用外部寄生虫防除剤。
【請求項6】
スポットオン処理用である、請求項1〜5の何れかに記載の動物外部寄生虫防除剤。
【請求項7】
ポアオン処理用である、請求項1〜5のいずれかに記載の動物用外部寄生虫防除剤。

【公開番号】特開2006−213616(P2006−213616A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26227(P2005−26227)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000149181)株式会社大阪製薬 (14)
【Fターム(参考)】