説明

動画再生装置及びその制御方法、プログラム、及び記憶媒体

【課題】動画の再生中に再生速度を切り替える際、確実にユーザが再生速度の切り替えを所望するシーンを再生できるようにする。
【解決手段】動画の再生中に動画の再生速度を遅い再生速度に変更する場合、再生している動画のうち、当該再生速度の変更指示を受け付けた際に再生していたフレームを含む、当該フレームと同一の記録フレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲の先頭から、遅い再生速度で再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動画を複数の再生速度で再生する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置の分野では、撮像時のフレームレートを変更して撮像することを可能とする技術が知られている。一般的な動画は、撮像時の記録フレームレートと再生時の再生速度の再生フレームレートが同じであり、撮像時の被写体の動きと再生時の被写体の動きは略同一となる(等倍再生)。これに対し、通常の撮像を行う記録フレームレートより高い記録フレームレートで撮像された動画は、通常の撮像を行う記録フレームレートで撮像された動画と同じ再生速度で再生することにより、等倍再生に比べてゆっくりとした動画となる(スロー再生)。高い記録フレームレートでの撮像は、動きの早い被写体を撮像する際に有用であり、肉眼では捉えられない被写体の動きを解析することが可能である。
【0003】
特許文献1には、高いフレームレートで撮像された動画の再生中に、操作部材を操作することにより、動画の再生速度を切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−221999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術のように、動画の再生中にユーザが操作部材を操作して再生速度を切り替えた場合、必ずしもユーザが所望するシーンが再生されない可能性があった。即ち、特に等倍再生していた動画をスロー再生に切り替える場合、ユーザが操作部材を操作してから、再生速度を切り替える処理が完了するまでの間に、ユーザが所望するシーンの再生が既に終わってしまっている可能性があった。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、動画の再生中に再生速度を切り替える際、確実にユーザが再生速度の切り替えを所望するシーンを再生できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するために、本発明の動画再生装置は、以下の構成を備える。
動画を、第1の再生速度及び該第1の再生速度よりも速い第2の再生速度で再生可能な再生手段と、再生手段で再生されている動画のフレームを記録した際の記録フレームレートの情報を検出する検出手段と、再生手段での動画の再生速度を切り替える指示を受け付ける受付手段と、再生手段が第2の再生速度で動画を再生中に、受付手段で再生速度を第1の再生速度に切り替える指示を受け付けた場合、再生している動画のうち、該指示を受け付けた際に再生していた切り替え前の再生フレームを含む、当該再生フレームと同一の記録フレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲の先頭から、第1の再生速度で再生するように再生手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このような構成により本発明によれば、動画の再生中に再生速度を切り替える際、確実にユーザが再生速度の切り替えを所望するシーンを再生できるようにすることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルビデオカメラの機能構成を表すブロック図。
【図2】実施形態1の再生速度切り替え処理のフローチャート。
【図3】実施形態2の再生速度切り替え処理のフローチャート。
【図4】実施形態に係る、GUI表示例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、本発明の好適な一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、動画再生装置の一例としての、複数の異なるフレームレートで撮像された動画を、異なる再生速度で再生可能なデジタルビデオカメラに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、複数の異なるフレームレートで撮像された動画を、異なる再生速度で再生可能な任意の機器に適用可能である。また、本明細書において、「等倍再生」とは、動画が撮像された記録フレームレートで動画を再生する、即ち撮像した被写体の動きと、再生している動画における被写体の動きが略同一速度で再生される再生方法を意味する。即ち、通常の撮像のフレームレート(第1の記録フレームレート)より高いフレームレート(第2の記録フレームレート)で撮像した動画を等倍再生する場合は、通常の再生速度(第1の再生速度)より速い再生速度(第2の再生速度)で再生することになる。例えば、毎秒360フレームの記録フレームレートで撮像された動画を、6フレーム毎に間引いて毎秒60フレームで再生することで、等倍再生としてもよい。また、「スロー再生」とは、動画が撮像された記録フレームレートより低い再生フレームレートで動画を再生する、即ち撮像した被写体の動きに比べ、再生している動画における被写体の動きが遅い速度で再生される再生方法を意味する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルビデオカメラ100の機能構成を示すブロック図である。
制御部101は、デジタルビデオカメラ100が備える各ブロックの動作を制御するブロックである。制御部101は、例えばROM102に記憶されているデジタルビデオカメラ100の各ブロックの動作プログラムを読み出し、不図示のRAMに展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。ROM102は、書き換え可能な不揮発性の記憶メモリであり、デジタルビデオカメラ100の各ブロックの動作プログラムに加え、例えば各ブロックの動作に必要なパラメータ等の設定値や、後述する画像表示部108に表示するGUI等のデータを記憶する。
【0012】
操作入力部103は、例えば録画ボタンやメニューボタン等の、デジタルビデオカメラ100が備える入力インタフェースであり、ユーザによって操作入力がなされると、入力された操作の内容を、制御部101に伝送する。また、本実施形態のデジタルビデオカメラ100は、タッチパネルセンサを後述する画像表示部108に備え、ユーザからの接触入力を検出可能であるものとして説明する。タッチパネルセンサが検出したユーザからの接触入力も、操作入力部103が検出し、接触入力された内容を、制御部101に伝送するものとする。
【0013】
撮像部104は、例えばCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、光学系によって撮像素子に結像された被写体像を、光電変換し、得られたアナログ画像信号をA/D変換部105に伝送する。A/D変換部105は、入力されたアナログ画像信号に対してA/D変換処理を適用し、得られたデジタル画像を画像処理部106に伝送する。またA/D変換部105は、例えばデジタルビデオカメラ100が録画モードである場合は、得られたデジタル画像を画像表示部108に逐次出力し、画像表示部108を電子ビューファインダとして機能させることが可能である。
【0014】
画像処理部106は、入力されたデジタル画像に対して各種画像処理や、拡大縮小処理を適用する。録画処理を行う場合は、画像処理部106は各種処理が適用されたデジタル画像を例えばRAMに順次蓄積し、得られた画像群の動画データを、撮像時のフレームレートの情報とともに、AVCHDフォーマットの動画データに符号化する。また、画像処理部106は、後述する記録媒体107に記録されている符号化された動画データを読み出し、復号化して画像表示部108に出力する。さらに画像処理部106は、動画データとROM102に記憶されているGUIデータとを合成して画像表示部108に出力する。
【0015】
記録媒体107は、録画した動画データを記録する記録領域であり、例えばデジタルビデオカメラ100が備える内蔵メモリや、デジタルビデオカメラ100に着脱可能に接続されるメモリカードやHDD等の記録装置である。画像表示部108は、例えば小型LCD等のデジタルビデオカメラ100が備える表示装置であり、撮像した画像や記録媒体107に記録されている動画データの再生に用いられる。また、本実施形態では画像表示部108は、タッチパネルセンサを有するものとして説明するが、本発明の実施はこの構成に限らない。
【0016】
なお、本実施形態では説明を簡単にするため、デジタルビデオカメラ100は毎秒60フレーム(60FPS)及び360FPSの2種類のフレームレートで撮像可能であるものとする。即ち、ユーザは、デジタルビデオカメラ100の撮像モードを、60FPSの通常モード、及び通常のフレームレートより高い、360FPSの高フレームレート撮像モードのいずれかを選択して撮像を行う。以下、通常モードで撮像された動画を基本フレームレート動画、高フレームレート撮像モードで撮像された動画を高フレームレート動画として説明する。また、デジタルビデオカメラ100の再生モードとして、等倍再生モード及びスロー再生モードを有する。
【0017】
(再生速度切り替え処理)
このような構成をもつ本実施形態のデジタルビデオカメラ100の、再生速度切り替え処理について、図2のフローチャートをさらに用いて説明する。
【0018】
なお、本再生速度切り替え処理は、記録媒体107に記録されている動画の再生を開始した際に実行される処理であり、再生が開始された動画ファイルから順に、最も新しく記録された動画ファイルまで連続で再生されるものとする。ユーザは、例えば画像表示部108に表示される図4(e)のような動画の代表画像が並んだGUIから、再生を開始する動画ファイルを画面上の接触入力にて選択する。本実施形態では、GUIに表示される動画において、高フレームレート動画には図4(e)のように、360FPSで撮像された動画であることを表すアイコンを代表画像に重ねて表示している。
【0019】
S201で、制御部101は現在再生している動画が、高フレームレート動画であるかを判断する。制御部101は、現在再生している動画が高フレームレート動画である場合は処理をS202に移し、現在再生している動画が基本フレームレート動画である場合は処理をS212に移す。
【0020】
S202で、制御部101は、例えばROM102に記憶している、最後に再生した高フレームレート動画を表す、高フレームレート動画再生履歴の情報を、現在再生している高フレームレート動画に更新する。そしてS203で、制御部101は、現在の再生モードが等倍再生モードであるかを判断する。現在の再生モードの情報は、例えばROM102に記憶されていればよく、ユーザが操作入力部103を操作することにより再生モードを変更した際に更新されるものとする。制御部101は、現在の再生モードが等倍再生モードである場合は処理をS204に移し、現在の再生モードがスロー再生モードである場合は処理をS208に移す。
【0021】
S204で、制御部101は、例えばROM102に記憶されている、スロー再生モードに切り替え可能であることをユーザに通知するためのGUIのデータを画像処理部106に出力し、画像処理部106に現在再生している動画と合成させる。そして、制御部101は、画像表示部108に、画像処理部106に合成させた、切り替え可能通知を含む動画を表示させる(表示制御)。切り替え可能通知は、例えば図4(a)のように、表示領域の左上に、操作入力部103が備えるFPSスイッチを押下することで、360FPSで撮像された高フレームレート動画を、60FPSでスロー再生することが可能であることをユーザに提示する。また、表示領域の右上には再生時間、再生しているフレームレートの情報(再生速度)等が表示されていてもよい。
【0022】
S205で、制御部101は、ユーザによって操作入力部103が備えるFPSスイッチが操作され、再生モードの切り替えを受付けたかを操作入力部103に判断させる。制御部101は、再生モードがスロー再生モードに切り替えられた場合は処理をS206に移し、再生モードが等倍再生モードから変更されていない場合は処理をS213に移す。
【0023】
S206で、制御部101は、ROM102に記憶されている再生モードの情報をスロー再生モードに変更する。そしてS207で、制御部101は、現在再生している高フレームレート動画を、動画の先頭フレームから撮像された際のフレームレートよりも小さい60FPSで再生して、図4(b)のように画像表示部108に表示させる。
【0024】
また、S203で、現在再生している高フレームレート動画が、スロー再生モードで再生されている場合、次のようになる。S204で、制御部101は、ROM102に記憶されている、等倍再生モードに切り替え可能であることをユーザに通知するためのGUIのデータを画像処理部106に出力し、画像処理部106に現在再生している動画と合成させる。そして、制御部101は、画像表示部108に合成させた、切り替え可能通知を含む動画を表示させる。
【0025】
S209で、制御部101は、ユーザが操作入力部103が備えるFPSスイッチを操作して、再生モードを切り替えたかを操作入力部103に判断させる。制御部101は、再生モードが等倍再生モードに切り替えられた場合は処理をS210に移し、再生モードがスロー再生モードから変更されていない場合は処理をS213に移す。
【0026】
S210で、制御部101は、ROM102に記憶されている再生モードの情報を等倍再生モードに変更する。そしてS211で、制御部101は、現在再生している高フレームレート動画を、現在再生しているフレームの次のフレームから、撮像された際のフレームレートと同じ360FPSで再生して、図4(c)のように画像表示部108に表示させる。
【0027】
また、S201で現在再生している動画が、高フレームレート動画ではないと判断された場合、S212で制御部101はROM102に記憶されている高フレームレート動画再生履歴の情報に、高フレームレート動画の情報があるかを判断する。具体的には、現在再生している基本フレームレート動画よりも前に再生した動画の中に、高フレームレート動画が存在するかを判断する。なお、高フレームレート動画再生履歴の情報は、本再生速度切り替え処理が実行される度に情報がリセットされるものとする。
【0028】
制御部101は、現在再生している動画よりも前に、高フレームレート動画を再生している場合は処理をS204に移し、高フレームレート動画再生履歴がない場合は処理をS213に移す。なお、処理をS212からS204に移した場合、S204〜S207のステップにおいて制御部101は次のように処理するものとする。S204で、制御部101は、図4(d)のように、基本フレームレート動画に、再生履歴の動画のスロー再生に切り替え可能通知を画像処理部106に合成させ、画像表示部108に表示させる。またS207で、制御部101は、現在再生している基本フレームレート動画より前に再生された高フレームレート動画のうち、最後に再生された高フレームレート動画を先頭フレームから60FPSで再生して、画像表示部108に表示させる。
【0029】
そしてS213で、制御部101は記録媒体107に記憶されている、再生を行う動画が全て再生されたかを判断し、全ての動画が再生完了している場合は、再生速度切り替え処理を完了する。また、全ての動画の再生が完了していない場合は、制御部101は処理をS201に戻し、引き続き再生速度切り替え処理を行う。
【0030】
なお、本実施形態では、基本フレームレート動画と高フレームレート動画は、それぞれ別の動画ファイルであるものとして説明したが、本発明の実施はこれに限らない。即ち、1つの動画ファイルの中に、基本フレームレートと高フレームレートで記録された動画部が混在してもよい。この場合、再生速度切り替え処理において、高フレームレートで記録された動画部を再生中にスロー再生に切り替える際は、動画の先頭ではなく、高フレームレートで記録された動画部の先頭から、スロー再生を行うものとする。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の動画再生装置は、動画を再生中、現在再生している再生速度より遅い再生速度に切り替える際に、同じフレームレートの範囲の先頭から、遅い再生速度で再生する。具体的には、動画再生装置は、異なるフレームレートで記録された動画を、再生速度を変えて再生することが可能である。そして動画の再生中に動画の再生速度を遅い再生速度に変更する場合、次のようにする。再生している動画のうち、当該再生速度の変更指示を受け付けた際に再生していたフレームを含む、当該フレームと同一の記録フレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲の先頭から、遅い再生速度で再生する。これにより、ユーザが再生速度を切り替える操作を行った際に、操作時の動画の内容を確実に、遅い再生速度でユーザに提示することが可能である。
【0032】
また動画再生装置は、基準とする再生フレームレートより高いフレームレートで記録された動画のみ、遅い再生速度での再生を可能とすると、基準とするフレームレートで記録された動画を再生中に次のように場合に動画を遅い再生速度で再生可能である。具体的には、基準とするフレームレートで記録された動画を再生する前に、高いフレームレートで記録された動画を再生している場合、高いフレームレートで記録された動画を遅い再生速度で再生する。このとき、再生された高いフレームレートで記録された動画のうち、最後に再生された動画を遅い再生速度で再生する。これにより、ユーザが再生速度を切り替える操作を行っている際に、動画のフレームレートが変わった場合にも、操作時の動画の内容を確実に、遅い再生速度でユーザに提示することが可能である。
【0033】
(実施形態2)
以下、本発明の好適な別の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
実施形態1ではテキストのGUIを提示することにより、ユーザに再生速度を切り替え可能であることを通知した。また、基本フレームレート動画を再生している際に、再生している基本フレームレート動画より前に、高フレームレート動画の再生履歴がある場合には、高フレームレート動画をスロー再生したものに表示を切り替えるものとして説明した。本実施形態2のデジタルビデオカメラでは、再生速度を切り替えて表示する動画の内容を表すGUIを表示する。また、高フレームレート動画の再生履歴がある場合に、再生履歴の動画をスロー再生したものに表示を切り替え可能な時間を設定するものとする。
【0034】
なお、本実施形態のデジタルビデオカメラ100の機能構成は、実施形態1と同一であるものとして説明を省略する。
【0035】
(再生速度切り替え処理)
本実施形態のデジタルビデオカメラ100の、再生速度切り替え処理について、図3のフローチャートをさらに用いて説明する。なお、本再生速度切り替え処理において、実施形態1の再生速度切り替え処理と同様の処理を行うステップは、同一の参照番号を付して説明を省略し、本実施形態に特徴的なステップの説明に留める。なお、本再生速度切り替え処理も、記録媒体107に記録されている動画の再生を開始した際に実行される処理であり、再生が開始された動画ファイルから順に、最も新しく記録された動画ファイルまで連続で再生されるものとする。
【0036】
S201で、制御部101は現在再生している動画が、高フレームレート動画であるかを判断する。制御部101は、現在再生している動画が高フレームレート動画である場合は処理をS202に移し、基本フレームレート動画である場合は処理をS305に移す。
【0037】
S203で、制御部101は、現在の再生モードが等倍再生モードであるかを判断し、等倍再生モードである場合は、処理をS301に移す。また、現在の再生モードがスロー再生モードである場合は、制御部101は処理をS208に移す。
【0038】
S301で、制御部101は、記録媒体107に記憶されている、現在再生している動画の代表画像の情報を読み出して画像処理部106に出力し、切り替え可能通知として、画像処理部106に現在再生している動画と縮小した代表画像とを合成させる。代表画像の情報は、動画の先頭フレームの画像等、動画内のフレームの画像や、動画の内容を表す特徴的な画像であってよく、記録媒体107に記録されているものとする。そして制御部101は、画像表示部108に、画像処理部106に合成させた、切り替え可能通知を含む動画を表示させる。切り替え可能通知は、例えば図4(f)のように、表示領域の右下に現在再生している動画の代表画像が表示されればよく、本実施形態のように接触入力可能な領域としてもよい。またS302で、制御部101は、例えばRAMに記憶されている代表画像の表示時間の情報を更新する。代表画像の表示時間の情報は、切り替え可能な高フレームレート動画を特定する情報と関連付けられた、所定の時間であり、本実施形態では10秒として設定する。また、現在再生している高フレームレート動画の代表画像の表示時間の情報は、現在再生している高フレームレート動画が再生されている間、常に10秒に更新される。そして、制御部101は、現在再生している高フレームレート動画の再生が終了した際に、表示時間を管理する表示タイマを減らすよう制御するものとする。即ち、代表画像の表示時間の情報は、動画が切り替わった後、表示していた動画の再生速度を切り替える指示を受け付けることが可能な時間を表す。
【0039】
S205で、制御部101は、例えばユーザが画像表示部108に切り替え通知として表示されている、代表画像のGUIに接触入力を行うことにより、再生モードを切り替える指示がなされたかを操作入力部103に判断させる。制御部101は、再生モードがスロー再生モードに切り替えられた場合は処理をS206に移し、再生モードが等倍再生モードから変更されていない場合は処理をS213に移す。
【0040】
また、S201で現在再生している動画が、基本フレームレート動画であると判断された場合、S303で、制御部101は、高フレームレート動画再生履歴の情報の動画に関連付けられた、代表画像の表示タイマが0であるかを判断する。制御部101は、代表画像の表示タイマが0である場合は処理をS214に移し、代表画像の表示タイマが0ではない場合は処理をS301に移す。なお、制御部101は、表示タイマが0になった高フレームレート動画再生履歴の情報は開放して構わない。
【0041】
なお、本再生速度切り替え処理において、異なる高フレームレート動画の再生が連続した場合は、例えば一時的に直前に再生していた高フレームレート動画の代表画像と、再生している高フレームレート動画の代表画像とが、並列して表示されればよい。即ち、直前に再生していた高フレームレート動画の代表画像の表示タイマが0になるまでの間、ユーザは代表画像を閲覧して、スロー再生を行う動画を決定することが可能である。
【0042】
また、代表画像を同時に表示する数は設定可能としても良い。即ち、代表画像を同時に表示する数が2であるとき、高フレームレート動画の再生が3つ連続した際に、2番目の動画の再生時間が、1番目の動画の代表画像の表示時間より短い場合は、強制的に1番目の動画の代表画像の表示を終了するものとする。
【0043】
また、本実施形態では、切り替え可能通知として、再生速度を切り替えて再生することが可能な動画の代表画像を表示する方法について説明したが、本発明の実施はこれに限らない。例えば、代表画像ではなく、実際に再生速度を切り替えて再生することが可能な動画をスロー再生したものを、切り替え可能通知として表示させても構わない。
【0044】
なお、本実施形態では、基本フレームレート動画と高フレームレート動画は、それぞれ別の動画ファイルであるものとして説明したが、本発明の実施はこれに限らない。即ち、1つの動画ファイルの中に、基本フレームレートと高フレームレートで記録された動画部が混在してもよい。この場合、再生速度切り替え処理において、高フレームレートで記録された動画部を再生中にスロー再生に切り替える際は、動画の先頭ではなく、高フレームレートで記録された動画部の先頭から、スロー再生を行うものとする。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の動画再生装置は、動画を再生中、現在再生している再生速度より遅い再生速度に切り替える際に、同じフレームレートの範囲の先頭から、遅い再生速度で再生する。具体的には、動画再生装置は、異なるフレームレートで記録された動画を、再生速度を変えて再生することが可能である。そして動画の再生中に動画の再生速度を遅い再生速度に変更する場合、次のようにする。再生している動画のうち、当該再生速度の変更指示を受け付けた際に再生していたフレームを含む、当該フレームと同一の記録フレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲の先頭から、遅い再生速度で再生する。これにより、ユーザが再生速度を切り替える操作を行った際に、操作時の動画の内容を確実に、遅い再生速度でユーザに提示することが可能である。
【0046】
また動画再生装置は、基準とする再生フレームレートより高いフレームレートで記録された動画のみ、遅い再生速度での再生を可能とすると、次のように場合に動画を遅い再生速度で再生可能である。具体的には、高いフレームレートで記録された動画を再生した後、所定の時間の間は、次の動画が再生されている際も、直前に再生された高いフレームレートで記録された動画を、遅い再生速度で再生することが可能である。これにより、ユーザが再生速度を切り替える操作を行っている際に、動画のフレームレートが変わった場合にも、操作時の動画の内容を確実に、遅い再生速度でユーザに提示することが可能である。
【0047】
なお、上述した実施形態1及び2において、等倍再生モードからスロー再生モードに切り替える場合、再生していたフレームから当該再生している高フレームレート動画の先頭フレームに戻ってスロー再生を開始するものとして説明した。このとき、再生モードの切り替えによって、再生している動画のフレームは時間的な連続性が一旦途切れることになる。また、特に上述したような1つの動画ファイルの中に基本フレームレートと高フレームレートで記録された動画部が混在する場合、切り替え後の再生開始フレームを検索して再生するための処理を行うため、動画の再生開始に時間を要することも考えられる。このような切り替え時における、不連続フレームの再生や動画再生の中断によって視聴者に混乱を与えないように、ガイド表示を行ってもよい。例えば、「現在の動画(あるいは現在のシーン)の先頭部分に戻ってスロー再生を行います。」と表示したり、「処理中」と表示したりすればよい。
【0048】
また、等倍再生モードからスロー再生モードへの切り替える際、再生中の高フレームレート動画(高フレームレート部分)の先頭から再生中のフレームまでの再生経過時間に関わらず、当該高フレームレート動画の先頭からスロー再生を開始するものとして説明した。しかしながら本発明の実施はこれに限らず、スロー再生モードへの切り替え指示を受け付けた際に再生されていたフレームが、高フレームレート動画の先頭から所定時間以上または所定フレーム数以上離れたフレームである場合、次のように判断してもよい。即ち、高フレームレート動画の先頭から所定時間の経過後のスロー再生モードへの切り替え指示は、当該動画の先頭からのスロー再生を所望するものではなく、再生中のフレームまたは当該フレーム付近のフレームからのスロー再生を所望するものと考えられる。このため視聴者が再生中のフレームにおいて再生モードの切り替えを所望し、実際に再生モードの切り替え指示に係る操作を行うまでに要す遅延反応分を補償するために、遅延反応分として予め定められた一定時間前のフレームに遡ってスロー再生を行ってもよい。あるいは、フレームの連続性を保ったまま、切り替え指示を受け付けた際に再生されていたフレームからスロー再生モードに切り替えてもよい。
【0049】
また、所謂チャプタ挿入機能等によって、動画の区切りを示す属性情報が動画内のフレームに関連付けられている場合、等倍再生モードからスロー再生モードに切り替えた際に再生開始されるフレームを次のようにしてもよい。例えば、スロー再生モードに切り替える際の再生フレームから当該再生していた高フレームレート動画の先頭フレームまでの間に、チャプタが設定されているフレームが存在する場合、当該チャプタが設定されているフレームからスロー再生を開始すればよい。なお、再生モードの切り替え指示を受け付けた際に再生されていたフレームから先頭のフレームまでにチャプタが設定されているフレームが複数存在する場合は、当該複数のフレームのうちの再生されていたフレームに最も近いフレームから再生を開始すればよい。このようにすることで、スロー再生モードへの切り替える際に再生されていたフレームを含むチャプタの先頭フレームからのスロー再生を実現することが可能となる。
【0050】
即ち、本発明にかかる動画再生装置は、等倍再生モードからスロー再生モードへの切り替え指示を受け付けた際に、再生していたフレームを含む、再生していたフレームと同一の記録時のフレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲において、
(1)当該範囲の先頭のフレーム、及び
(2)再生していたフレームに最も近い、動画の区切りを示す属性情報が関連付けられているフレーム
のうち、再生していたフレームに最も近い、即ち時系列にみて後に再生されるフレームから、スロー再生を開始するように制御する。
【0051】
なお、上述した動画の区切りを示す属性情報は、チャプタのように動画における再生開始フレームを定義するような情報に限らず、連続するフレーム間で記録時または再生時の条件の変更があったことを示す特定の属性情報であればよい。連続するフレーム間で条件の変更があったことを示す特定の属性情報は、例えば、
(1)顔検出した結果である顔が出現したフレームを示す情報
(2)登録された特定の人物の顔が出現したフレームを示す情報
(3)「お気に入り」や「代表画像」等の情報が付与されたフレームを示す情報
(4)撮影中に判別されたシーンが変更されたフレームを示す情報
(5)撮影中に撮影設定が変更されたフレームを示す情報
等であればよい。
【0052】
また、上述した実施形態1及び2では、等倍再生モードからスロー再生モードに切り替える際の例を説明したが、これに限らず、再生速度を第2の再生速度から、より遅い第1の再生速度に切り替える場合であれば、本発明は適用可能である。例えば、360FPSで記録された高フレームレート動画を、60FPSの再生速度で全フレーム再生(360フレームを再生するのに6秒かかり、撮影時の実時間よりもスローになる)している場合に、さらに再生速度を遅くする際に適用してもよい。
【0053】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画を、第1の再生速度及び該第1の再生速度よりも速い第2の再生速度で再生可能な再生手段と、
前記再生手段で再生されている動画のフレームを記録した際の記録フレームレートの情報を検出する検出手段と、
前記再生手段での動画の再生速度を切り替える指示を受け付ける受付手段と、
前記再生手段が前記第2の再生速度で前記動画を再生中に、前記受付手段で再生速度を前記第1の再生速度に切り替える指示を受け付けた場合、再生している前記動画のうち、該指示を受け付けた際に再生していた切り替え前の再生フレームを含む、当該再生フレームと同一の記録フレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲の先頭から、前記第1の再生速度で再生するように前記再生手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする動画再生装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記切り替え前の再生フレームが、前記範囲の先頭からの再生経過時間が所定時間以上であるフレーム、あるいは前記範囲の先頭から所定フレーム数以上離れたフレームである場合には、前記第1の再生速度に切り替えて再生を開始するフレームを前記範囲の先頭にはしないように制御することを特徴とする請求項1に記載の動画再生装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記切り替え前の再生フレームから前記範囲の先頭までの間に特定の属性情報が関連付けられたフレームがある場合には、該特定の属性情報が関連付けられたフレームのうちの前記再生フレームに最も近いフレームから、前記第1の再生速度で再生するように前記再生手段を制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の動画再生装置。
【請求項4】
前記再生手段は、第1の記録フレームレート、及び当該第1の記録フレームレートよりも高い第2の記録フレームレートの少なくともいずれかの記録フレームレートで記録された動画を再生可能であり、
前記制御手段は、前記受付手段で前記第2の再生速度から前記第1の再生速度に切り替える指示を受け付けた際に、前記再生フレームの記録フレームレートが前記第2の記録フレームレートである場合は、当該再生フレームを含む、前記第2の記録フレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲の先頭から、前記第1の再生速度で再生するように前記再生手段を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の動画再生装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記受付手段で前記第2の再生速度から前記第1の再生速度に切り替える指示を受け付けた際に、前記再生フレームの記録フレームレートが前記第1の記録フレームレートである場合は、当該再生フレームより前に再生された、前記第2の記録フレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲のうちの最後に再生された範囲の先頭から、前記第1の再生速度で再生するように前記再生手段を制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の動画再生装置。
【請求項6】
前記受付手段は、前記再生手段による、前記第2の記録フレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲の前記第2の再生速度での再生が終了した後、所定の時間の間、当該第2の記録フレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲を、前記第2の再生速度から前記第1の再生速度に切り替えて再生する指示を受け付ける
ことを特徴とする請求項5に記載の動画再生装置。
【請求項7】
前記第1の再生速度と前記第2の再生速度とを切り替え可能であることを、前記動画とともに表示手段に表示するように制御する表示制御手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の動画再生装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記再生手段による動画の再生速度を前記第2の再生速度から前記第1の再生速度に切り替える際に、切り替え中である旨を示すガイド表示を表示手段に表示するように制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の動画再生装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記動画とともに、再生速度を切り替えた後に再生される動画の範囲の代表画像を表示するように制御する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の動画再生装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記第2の再生速度で再生している前記動画とともに、前記第2の再生速度から前記第1の再生速度に再生速度を切り替えた後に再生される動画の範囲を、前記第1の再生速度で再生して表示するように制御する
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の動画再生装置。
【請求項11】
動画を、第1の再生速度及び該第1の再生速度よりも速い第2の再生速度で再生可能な再生手段を有する動画再生装置の制御方法であって、
検出手段が、前記再生手段で再生されている動画のフレームを記録した際の記録フレームレートの情報を検出する検出ステップと、
受付手段が、前記再生手段での動画の再生速度を切り替える指示を受け付ける受付ステップと、
制御手段が、前記再生手段が前記第2の再生速度で前記動画を再生中に、前記受付ステップで再生速度を前記第1の再生速度に切り替える指示を受け付けた場合、再生している前記動画のうち、該指示を受け付けた際に再生していた切り替え前の再生フレームを含む、当該再生フレームと同一の記録フレームレートを有するフレームが連続して記録されている範囲の先頭から、前記第1の再生速度で再生するように前記再生手段を制御する制御ステップと、
を備えることを特徴とする動画再生装置の制御方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載された動画再生装置の各手段として機能させるプログラム。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載された動画再生装置の各手段として機能させるプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−160408(P2011−160408A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230105(P2010−230105)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】