説明

動的なプローブ検出システム

動的なプローブ検出システム(29、32)は、試料表面に向かっておよび試料表面から離れて繰り返し動かされるプローブ(18)を含むタイプの走査型プローブ顕微鏡とともに使用するためのものである。試料表面が走査されると、干渉計(88)がプローブから反射された光(80a、80b、80c)と高さ基準ビームとの間の経路差を示す出力高さ信号を生成する。信号処理装置は、高さ信号を監視し、プローブの高さを示す各振動サイクルの測定値を導出する。これは、平均化またはフィルタリングに頼らずに、試料の画像を形成するために使用され得る試料の高さを表す測定値の抽出を可能にする。この検出システムはまた、フィードバックパラメータの平均値を設定されたレベルに維持するように動作可能なフィードバック機構を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ顕微鏡法の分野に関し、詳細には、試料表面に対する振動プローブの位置を監視するために使用される検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
走査型プローブ顕微鏡(SPM:scanning probe microscope)の背後にある原理は、試料の画像を生成するために、ナノメートルのプローブ先端を用いて試料表面の上で機械的走査を実行することである。画像内の特徴は、先端と試料との間の相互作用の変動に由来する。
【0003】
SPMの特定の例は、試料とプローブの先鋭な先端との間の力の相互作用が監視される原子間力顕微鏡(AFM:atomic force microscope)である。典型的なAFMのプローブは、その基部で支持体に固定され、その反対(自由)端に先端を有する非常に小さいカンチレバーを含む。プローブ先端が試料に近接すると、試料と先端との間で相互作用力が発生する。先端が動いている、例えば振動している場合、相互作用力はこの運動を何らかの方法で変更する。先端が静止している場合、この力は試料表面に対して先端を移動させる。
【0004】
走査中、プローブ先端の下の表面の特性が変化するにつれて、先端と試料表面との間の相互作用の強度が変化する。高解像度3軸スキャナ(three axis high−resolution scanner)は、典型的には、試料とプローブとの間の相対運動を生じさせ、試料および/またはプローブ支持体のいずれかを駆動する。プローブ先端の位置および/または運動のいずれかに対する相互作用力の影響が走査中に監視される。標準のAFM操作では、相互作用力の強度は一定に保持される。すなわち、プローブに対する相互作用力の影響が観察され、フィードバックシステムは、観察されたパラメータを所定の値である設定値に返すために、任意の変化に応じて試料およびプローブの基部の分離を調整するように動作する。この調整に関連付けられたデータ(従来、垂直または「z」運動)が収集され、試料の表面の領域全体にわたる試料の画像を構築するために使用され得る。
【0005】
AFMによって形成される画像の解釈は、検査中の表面の性質にある程度依存する。表面の地形は一般に、画像に最も大きく貢献し、試料の高さは、プローブが走査するときにプローブによって細密に追跡されるが、表面の疎水性および親水性、粘弾性などの他の特徴も貢献し得る。プローブおよび顕微鏡は、適切な相互作用力によって磁界または電界などの他の試料特性を測定するようにさらに構成され得る。
【0006】
AFMは、さまざまな画像化モードで動作するように設計され得る。コンタクトモードでは、プローブは試料と実質的に連続した接触を維持する。ダイナミックモードでは、プローブが振動され、プローブを周期的に試料に近接または接触させる。
【0007】
静的な先端を使用して表面を調べる場合、走査中の先端の位置は、相互作用力がカンチレバーの湾曲またはたわみに及ぼす効果を使用して監視される。先端と表面との間の相互作用力が変化するにつれて、先端は表面に向かって引っ張られるか、表面から押しのけられる。この先端の運動はプローブのカンチレバー部に伝達され、それに従ってカンチレバー部がその長さに沿って湾曲または屈曲する。AFMは、当技術分野でよく知られている光てこシステムなどの位置敏感型検出器または他のたわみ検出器を用いて、カンチレバーのたわみを測定するように設定される。この文脈では、たわみとはプローブの上面の傾きを指し、この傾きがAFMによって使用されてカンチレバーの湾曲を示す。
【0008】
あるいは、AFMはダイナミックモードで操作され得る。プローブは、その共振周波数の1つで、またはその付近で振動される。試料−プローブの相互作用の変動は、プローブの運動に影響を与える。特に、一定で平均の相互作用を維持するために、これらの振動の振幅、位相および周波数を監視し、プローブ−試料の分離を調整することができる。
【0009】
AFMを多くの異なるモードで構成し使用することができる。コンタクトモードおよびダイナミックモードの上記の説明は、原子間力顕微鏡法の分野の概略を紹介するものであり、どのような形でも本発明の適用の分野へのいかなる限定も意味するものではないことに留意されたい。
【0010】
動作のモードにかかわらず、AFMを使用してさまざまな環境(空気、液体または真空)内の多種多様な試料の原子スケールにおける画像を取得することができる。典型的には、AFMは、圧電アクチュエータ、光てこたわみ検出器およびシリコン製造技術を使用して作製された非常に小さいカンチレバーを用いる。これらの高解像度および多様性は、工業検査、半導体製造、生物学的研究、材料科学およびナノリソグラフィなどの多様な分野における発見用途をもたらした。
【0011】
この文脈において、先端(またはプローブ先端)は、カンチレバービームの自由端に配置された、3次元の、多くの場合、円錐形またはピラミッド形の構造を指す。先端は、調査中の表面との相互作用の最も近い点である点に向かって先細りになっている。カンチレバーは、先端を除くビーム自体であって、一端で先端を支持し、他端で顕微鏡装置によって保持されている。カンチレバーおよび先端を合わせてプローブと呼ぶ。
【0012】
プローブは一般に(AFM用に)シリコンまたはシリコン窒化物から作製される。典型的には、カンチレバーは長さが約50〜200μm、幅が20〜50μmおよび厚さが約0.2〜2μmであるが、もちろんこのサイズは用途に応じて変更することができる。形状も変更することができる。典型的には、形状は長方形または三角形であり、後者の場合、先端がその頂点の近くにある。先端は典型的にはその基部で5μm、高さが3〜10μmであり、10〜20nmの末端曲率半径を有する。使用するとき、先端の端部の微細な点が試料のほうに向けられる。
【0013】
典型的なAFMは、プローブによって調査される試料が載せられる移動可能なステージを備える。プローブは、カンチレバービームおよび先端を備え、先端は、微細な点に向かって先細りになり、カンチレバービームの一端に向かって配置される。カンチレバービームの他端は、台に固定される。互いに向かっておよび互いから離れて(z方向)ステージおよびプローブを移動するように動作可能な圧電駆動部を備えるz位置決定システムが適切に接続される。AFMがダイナミックモードで動作しているとき、発振器もプローブに接続され、試料表面に間欠的に接触させるためにプローブを垂直に駆動する。さらなる駆動装置は、台、ステージのいずれかまたは両方に接続され、試料の平面(x,y)において試料とプローブとの間の相対運動を提供するように動作可能である。光源は、レーザビームを放射するように構成され、レーザビームは、先端が取り付けられる端部のカンチレバービームの上面(背面)に向けられる。カンチレバーの背面から反射された光は、カンチレバーのたわみを表す出力を生成する位置敏感型検出器(PSD)、典型的には分割フォトダイオードに伝播する。検出器の出力は、フィードバック制御装置を介してz位置決定システムに接続される。
【0014】
PSDからの出力信号は、プローブのたわみ、振幅、位相または他のパラメータなどの量を抽出するために処理され得る。フィードバック制御装置は、抽出された量の1つに従ってz位置決定システムを調整する。
【0015】
本発明は、プローブが試料表面に向かっておよび試料表面から離れて振動するAFM操作のモードに関する。したがって、プローブが共振でまたはその付近で振動するAFM操作のダイナミックモードは、一例である。間欠的に接触するために移動プローブを使用することは、プローブ先端と試料との間の水平力を低減する。このような水平力は、柔らかい試料または壊れやすいプローブ先端に対して破壊的となり得る。壊れやすい先端の一例は、高アスペクト比を有するもの、すなわち、試料表面における狭いくぼみ(trough)を調べるために使用される比較的長い長さを有するものである。また、ダイナミックモードで動作するAFMは、多くの場合、より多くの材料特有の情報を抽出することができる。
【0016】
試料の画像を撮る際、従来技術のAFMはダイナミックモードで以下のように動作する。先端がほぼ垂直方向に振動され、次いで、z位置決定システムを使用して、先端運動が所定のレベルで安定するまで試料に向かって動かされる。このレベルは、測定された位相、振幅または周波数に関して定義され得るが、いずれが使用されても、その所定の値はフィードバック制御のための設定値である。カンチレバーの振動は、レーザビームおよび検出器を使用して監視される。
【0017】
次に、先端が試料の表面全体で、通常はラスタパターンに従って走査される。先端が、例えば高さが増大した表面の一部に遭遇すると、その運動が変化し、監視されたパラメータ、例えば振幅がその設定値から離れる。フィードバック制御装置は、プローブ台の垂直位置を調整してプローブ台を試料から離し、検出器から受信された信号をその設定値に戻すように設定される。したがって、プローブは、表面との一定で平均の(いくつかの振動にわたる)相互作用を有する位置に維持される。
【0018】
このようにして、顕微鏡システムのフィードバックは、監視されたパラメータ、この例では、プローブの垂直振動の振幅が、走査中は実質的に一定に保持されることを保証する。走査が進行すると、z位置決定システムによって設定された台の垂直位置が監視され、画像を構築するために使用される。典型的には、画像は試料表面の高さを示す。
【0019】
プローブ顕微鏡法における最近の進歩は、データ収集時間がより急速であるはるかに高速な走査技法をもたらした。しかし、PCT特許出願WO02/063368およびWO2004/005844に記載されるものなどの、この新世代の顕微鏡により、AFM構成要素自体によって課される制約が画像収集時間を制限していることがますます明らかになっている。
【0020】
上述の従来技術のAFMでは、先端は試料表面全体にわたって絶えず動かされて設定された数の画素/秒をカバーする。カンチレバー振動が監視され、フィードバックシステムはプローブをその事前設定された振動レベルに維持するためにプローブおよび試料の垂直的分離に対して連続的な調整を行う。振動の変化を検出し、次いで、それに応じて垂直的分離を調整できる速度は、正確なAFM操作のための走査速度の上限を実質的に設定する。正確な情報を収集するためには、プローブ−試料の相互作用はすべての画素位置において一定であるべきである。したがって、プローブ−試料の分離は、単一の画素位置に対応する画像データを収集するためにプローブが要する時間スケールよりも短い時間スケールにおいてフィードバックシステムによって調整されなければならない。すなわち、高さ調整は、プローブがラスタ走査内の新しい画素位置に移動される前に行われなければならない。
【0021】
走査速度が増加すると、各画素位置でプローブによって費やされる時間はより短くなる。ある時点では、プローブが次の画素領域に移る前にその事前設定された振動レベルに戻ることができない速度に達する。システムには定常のフィードバック状態に戻る時間がない。したがって、フィードバックはデータ収集システムよりも遅れ、高さ情報(垂直調整から得られた)は画素位置での正確な試料高さを反映しない。各画素のサイズを大きくする(このことは画像解像度を低減する)ことによって、または走査を遅くし、その結果としてデータ収集時間を増大させることによって、画素レートを低減しなければならない。
【0022】
この制限の影響を低減するために、フィードバックシステムの速度を改善するための試みがなされてきた。US6,189,374に記載される1つの手法は、2つのアクチュエータを使用してz方向におけるカンチレバーの運動を提供する。第1のアクチュエータはプローブ組立体を駆動し、プローブと一体になっている第2のアクチュエータはプローブのみを動かすように動作可能である。この第2のアクチュエータによって提供される運動の範囲は、第1のアクチュエータによって提供される運動の範囲よりも小さいが、プローブのみを駆動するために使用されるので、その応答時間はより速い。このようにして、先端高さの初期調整は、速いアクチュエータによって行うことができ、やがてより遅く、より大きな調整が続く。しかし、一体型の第2のアクチュエータを用いた入れ子のフィードバックループのこの使用は、限定的にしか成功しなかった。これは、部分的には、結合されたフィードバックシステムの応答の解釈が困難であること、およびしたがって先端の高さを決定することが困難であることによるものである。この情報がなければ、表面の地形(または他の試料特性)を正確に推測することができない。
【0023】
上述のダイナミックモードでは、プローブは典型的には、曲げ振動(flexural oscillation)によって駆動される。すなわち、プローブがその基部付近で固定され、カンチレバーがその固定点を通る横軸のまわりで屈曲される。このことにより、先端が固定点を中心とする弓状経路を進み、したがって、先端と試料表面との間で間欠的な接触が生じる。振動がわずかであるため、先端運動は本質的に垂直とみなすことができる。
【0024】
代替のAFMの実施態様は、試料特性の測定値を導出するために異なる振動モードでプローブを駆動することに基づく。例えば、せん断力画像化では、プローブは、表面摩擦に影響を与えるプローブと試料との間に生じる水平力に関連する情報、例えば、せん断力または力勾配の測定値を抽出するために、表面全体にわたって水平方向に振動される。
【0025】
プローブのねじり振動は、US6,945,099およびUS7,168,301に記載されている。ねじり振動とは、ねじり運動を生じさせるためにカンチレバーがその縦軸のまわりで振動されることを意味する。したがって、先端は、試料の表面全体にわたって本質的に(弓状経路の比較的小さいサイズのため)水平方向の運動を行う。せん断力画像化と同様に、ねじり運動から生じる水平力の相互作用を使用して、曲げ振動を使用して測定されたデータを補完する材料関連のデータを抽出することができる。
【0026】
上述の従来技術のAFMシステムは、ヌルシステムである。すなわち、プローブの振動運動が一定に保持されることを保証することだけが要求される。プローブ高さ情報は、プローブ自体からではなく、フィードバックシステムを動作させる駆動装置から取得される。これは付加的な誤差の原因の可能性をもたらす。ヌル値が何らかの理由で一定に保持されない場合、その変動が抽出された測定値およびしたがって画像における誤差をもたらす。
【0027】
代替の手法は、プローブ先端が試料表面を横切って移動するときにプローブ先端の高さを直接測定することである。この手法は、フィードバックシステムの適切な機能への依存を回避して表面高さ(または他の特性)の間接測定値を提供するが、正確に実施することは到底容易とは言えない。その結果、この手法は広く採用されていない。高さの直接測定の例は、US5,144,150(Yoshizumi)、EP1892727(Mitutoyo)およびEP2017599に記載されている。これらの文献に記載される顕微鏡はすべて、干渉計を使用してプローブの高さに関する情報を抽出する。
【0028】
US5,144,150には、球面レンズ、フレネルレンズの構成などの曲面の構成または半導体でのパターン形成の構成を測定するための接触プローブの使用について記載されている。このような表面を測定する上での問題は、例えば、プローブが表面の特に高い領域をトレースするときにカンチレバービームが湾曲すると、許容できない圧力が試料表面に加えられることがあるということである。解決策は、試料表面が走査されるときに、カンチレバービームの湾曲が実質的に一定に保持されることを保証することである。これは、カンチレバーの基部をいわゆる光プローブに接続することによって達成される。光プローブは、先端の上で、カンチレバービームの背面に焦点を合わせられる。ビームが湾曲すると、先端は光プローブの焦点から離れる。次いで、光プローブは、先端をその焦点に戻して先端−光プローブの分離を維持するために物理的に移動され、このことによって、カンチレバーがその元の湾曲構成に戻ることを保証する。言い換えると、前述の従来技術と同様に、フィードバックシステムを使用してカンチレバーを実質的に一定のたわみに維持する。しかし、違いは、試料高さ情報がこのフィードバックシステムから推測されないということである。したがって、フィードバックシステムからの高さ測定値を解釈し、抽出する必要性、およびしたがってそうすることによる誤差の原因の可能性を取り除くという点で、この構成は有利である。
【0029】
US5,144,150に記載される構成は、比較的動きの遅いプローブを使用した走査に限定される。カンチレバーのたわみを維持するためのフィードバックシステムは、変化に直ちに反応することができない。したがって、画像画素を収集するのに費やされる時間がオートフォーカスのフィードバックシステムの反応時間よりも大きくなるように、走査速度が制限される。さらに、干渉測定は移動プローブからのドップラー周波数シフトに基づくが、速度が試料表面位置を示すことができる限りにおいて、この情報は高さ情報を抽出するためにのみ有用である。すなわち、移動した距離を推測できるように、高さは設定された時間間隔でプローブの最後に知られている位置に対して測定される。これはその適用を試料高さの小さな変化が画素間で生じるシステムに制限する。これは、振動運動が急速に変化する高さをもたらすプローブの監視に適していない。
【0030】
2つのMitutoyoの文献、EP1892727およびEP2017599は、プローブ顕微鏡を操作することができる精度およびしたがって画像の解像度を改善することに関する。これは、干渉法を使用して、固定された基準点に対するプローブの高さの直接測定値を抽出することによって達成される。一実施形態では、プローブの背面から反射されたビームが基準ビームによって干渉されて、経路差が抽出される。これはスキャナによってもたらされる運動誤差の問題を克服する。プローブ先端のz方向運動は、純粋に試料表面の形状から生じる。あらゆるスキャナの誤差はプローブを湾曲させ、このことは高さの直接測定値に影響を与え得ない。
【0031】
EP1892727に記載されるシステムは、いかなるフィードバックシステムも使用しない。すなわち、プローブの過度の湾曲を防止するための調整が行われない。したがって、このシステムは、非常に平坦な表面の走査に限定される。
【0032】
本出願の優先日後の2009年1月21日に公開されたEP2017599には、フィードバックが実施される、前出のMitutoyoの文献に記載された装置の発展形態について記載されている。このフィードバックシステムは、前述のフィードバックAFM従来技術に関して、単一のセンサを使用してプローブの一定力(フィードバック信号)および変位(高さ)の両方を検出するという点で簡略化されている。プローブが走査するとき、小さな垂直の高周波振動(ディザ)がプローブに伝えられる。この振動の振幅は、相互作用力の強度についての情報を提供する。したがって、干渉計によって測定される直接の高さ信号は、ディザに由来する高周波数成分と重ね合わされる試料高さの変動に対応する低周波数成分を有する。フィルタを使用して次の信号処理において2つの成分を分離する。高周波数成分の振幅を一定の値に維持するためにプローブの基部の高さが調整される。しかし、この構成の速度は依然として、表面高さの任意の変化に応答するために十分な時間をフィードバックシステムに与えなければならないという事実によって制限される。すなわち、ディザ振幅は、画像データ収集点の間のその事前設定された値に戻らなければならない。第1に、振幅測定ではいくつかのサイクル(この場合は5〜10)にわたって振動を監視することが必要であり、第2に、振幅をその設定値に戻すためにプローブ位置を調整するための時間をz駆動システムに与えなければならないので、データをより速い速度で収集することができない。さらに、プローブ高さ情報は、検出された信号をフィルタリングすることによって取得されて、ディザによる成分を取り除き、プローブの平均高さを示す信号を残す。したがって、プローブ高さがプローブの振幅よりも短い時間スケールで変化する場合、これは抽出された高さ測定値の誤差をもたらす。同様に、フィルタは有限の応答時間を有し、これは入力での変動間の時間のずれであり、出力で引き続いて起こる。これよりも短い時間スケールでのプローブ高さの変動は検出不可能であり、抽出された高さ測定値の誤差をもたらす。
【0033】
US6,952,952およびUS7,152,462には、試料表面上の特定の作用物質を検出するために、振動プローブが監視され、使用される認識顕微鏡について記載されている。試料表面上の一定の部位に付着する抗体がプローブ先端に配置される。表面に向かうおよび表面から離れるプローブ振動が監視される。各振動期間における最も低い点は、表面の位置に関する情報を提供し、最も高い点は、抗体付着によってプローブが表面と結合しているかどうかという2つの状態のうちの一方を決定する。しかし、この装置は高さを直接測定せず、カンチレバーの背面のたわみまたは傾きを測定する。最も低いたわみ点は、試料表面の情報を提供するのに使用されるだけでなく、平均たわみを維持するためのフィードバックシステムへの入力に使用される。したがって、抽出された地形データは、フィードバックシステムによって絶えず調整されるプローブの基部の位置のコンボリューションおよびプローブのたわみである。フィードバックシステムの使用はやはり、このデバイスの有用な走査速度を制限する。
【0034】
したがって、要約すると、従来技術のAFMシステムはフィードバックシステムに依存してプローブ位置決定システムから間接的に画像を導出し、したがって、このことが走査速度を制限し、誤差の原因の可能性を表す。直接の高さ測定値を使用することは、駆動装置の位置に依存しない高さ情報を導出する可能性をもたらす。しかし、今までのところ、振動プローブを用いるAFM画像化システムは、画像収集の精度または速度において、フィードバックシステムの要件によって依然として制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明の目的は、試料表面がその表面の上で振動するプローブ先端によってトレースされたときに、試料表面の高さに関する情報を抽出することができ、それによって従来技術において利用可能なものよりも改善された精度および/または速度で先端と表面との間の分離を変化させる、走査型プローブ顕微鏡とともに使用するための代替の検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
したがって、本発明は、走査型プローブ顕微鏡とともに使用するための検出システムを提供し、このシステムは、
試料表面に繰り返し接近する振動プローブを照明するビームを生成するための光源であって、プローブが基部および自由端を有するカンチレバーを備え、自由端が先鋭な先端を支持する、光源と、
プローブから反射された光と高さ基準ビームとの間の経路差を検出し、この経路差を示す高さ信号を出力するように構成された干渉計と、
高さ信号を監視し、プローブの高さを示す各振動サイクルの測定値を導出するように構成された信号処理装置と
を備える。
【0037】
したがって、本発明による検出システムは、プローブが試料表面を走査するときにプローブの高さを直接(干渉法によって)測定することができる。これは、フィードバックシステムを実施する必要性からこのシステムを解放するので、有利である。検出された高さ信号は、2つ以上の測定点がプローブ振動のサイクル毎に抽出されることを保証する速度でサンプリングされる。好ましくはプローブ振動周波数の10倍であり、より好ましくは100倍である、このオーバーサンプリングは、平均化またはフィルタリングに頼らずに、試料の高さを表す測定値の抽出を可能にする。EP2017599に記載される平均化およびフィルタリングは、データ取得の速度を低下させ、このことは画像化システムの走査速度または解像度を制限する。例えば、EP2017599に記載されるシステムは、フィルタリングされた信号が試料高さの正確な表示を提供するために、一定の値に維持されている振動振幅に依存する。振動振幅はフィードバックの使用によって一定に維持され、したがって、このことが走査速度を制限する。走査速度が速すぎる場合、抽出されたデータ測定値に誤差が生じ、画像化精度が低下する。
【0038】
信号処理装置は、好ましくは、所定の測定基準を満たす各振動サイクル内の位置からデータを抽出するように構成される。これは、サイクルが極値の経路差を示すとき、経路差の最小の変化率、または他の適切な指標であってもよい。これは、測定点が試料の正確な高さを反映する可能性が最も高い位置で抽出されることを保証する。例えば、最小(または最大)経路差では、プローブが試料表面と接触していると推測することができる。これは検出システムによって抽出される情報の精度を改善し、次いで、この情報を使用して試料表面の画像を生成することができる。この画像は、表面高さまたは表面の他の材料特性を反映し得る。
【0039】
本発明を用いてフィードバックシステムを実施するための要件はないが、試料に対するプローブの平均高さが維持されれば有利である。従来技術の制限をこのシステムに課すべきであるというわけではない。フィードバックは、選択されたフィードバックパラメータをその設定値に返すために応答する必要はない。単に、このことが試料の地形の急速な変化の場合に生じる強い力ならびに結果として生じるプローブおよび/または試料への損傷の可能性を低減するという点で、平均のプローブ−試料の分離を維持することが有利であるというだけである。さまざまな方法でフィードバックを組み込むことができる。信号処理装置はまた、高さ信号からフィードバック信号を抽出するように構成され得る。このフィードバック信号は、プローブ振動の振幅、位相または周波数に基づくことができる。あるいは、このシステムは、プローブから反射された光の成分を受けて、そこからフィードバック信号を抽出するように構成された第2の検出器を含むことができる。
【0040】
上記のように、本発明のこの実施形態におけるフィードバックは、各測定点に依存しない。画像データは、カンチレバーのたわみ/傾きに関係なく、干渉型高さ測定値から抽出される。これは、画像化システムの速度および利用可能な解像度を増大するだけでなく、従来のAFMと比較して、z駆動装置の使用につきものの制限からシステムを解放する。従来のAFMシステムは、プローブ高さがフィードバックシステムによって調整されるときにz駆動装置の位置から導出された、測定されたデータ点を抽出する。この方法は、正確に較正することができるz位置決定機構を必要とする。位置決定システムを較正する必要がなければ、プローブ高さの調整を提供するためのより多くの可能性が開かれる。本発明のこの実施形態は、一体化されたアクチュエータを有するプローブの使用に特によく適している。このようなプローブは実用上、較正することが難しく、プローブを変更するときに較正を繰り返す必要がある。例えば、これは遠隔の光源または抵抗加熱器の電気的接続による熱バイモルフプローブのピエゾ抵抗コーティングまたは加熱によるものでもよい。本発明の検出システムはまた、複数の別個のアクチュエータを較正する必要性を取り除くので、US6,189,374に記載される入れ子のフィードバックループを用いた実施に理想的である。
【0041】
このシステムは、好ましくは、プローブから反射された光を2つの成分に分離するように構成されたビームスプリッタを含み、これらの成分の1つは干渉計に入力され、第2の成分は第2の検出器に入力される。
【0042】
フィードバックを実施する際、第2の検出器は、プローブから反射された光と第2の高さ基準ビームとの間の経路差を検出し、この経路差を示す第2の高さ信号を出力するように構成された干渉計であってもよい。したがって、このまたは第2の信号処理装置は、この第2の高さ信号からフィードバック信号を抽出するように構成され、フィードバック信号は、プローブ振動の振幅、位相または周波数に関する情報に基づく。
【0043】
あるいは、第2の検出器はたわみ検出器であってもよく、その出力は、フィードバック信号を抽出するために、このまたは第2の信号処理装置によって処理される。フィードバック信号は、プローブ振動の振幅、位相または周波数に関する情報に基づいてもよい。
【0044】
干渉計は、ホモダイン干渉計であってもよく、1組の直交位相インターフェログラム(phase quadrature interferogram)を生成するための手段を含み得る。理想的には干渉縞再分割(fringe subdividing)装置を含む干渉縞計数(fringe counting)装置は、好ましくは、各インターフェログラムで検出されたいくつかの干渉縞に依存する出力を生成するように構成される。
【0045】
あるいは、干渉計は、ヘテロダイン干渉計であってもよい。
【0046】
いずれの干渉システムの場合でも、高さ基準ビームは、好ましくは、固定された基準点からの反射によって生成される。基準点は、試料の位置との知られているが可変の関係を有していてもよく、または試料に対して固定される。
【0047】
理想的には、信号処理装置はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を含み、各プローブ振動サイクルをオーバーサンプリングすることによって、顕微鏡が最も効率的に操作されるときに取得された大容量のデータを処理することができる。あるいは、信号処理装置はサンプルホールド回路を含む。
【0048】
代替の態様では、本発明は、試料とプローブとの間の相互作用に従って試料を画像化するための走査型プローブ顕微鏡を提供し、顕微鏡は、プローブと試料表面との間の相対運動を提供するように構成された駆動手段と、試料表面に実質的に直交する方向にプローブを振動させるための発振器と、上述のプローブ検出システムとを含む。
【0049】
好ましくは、プローブは、0.5から2Nm−1の範囲のばね定数を有するカンチレバー部を有する。
【0050】
発振器は、表面との間欠的な接触を提供するために、曲げ運動においてプローブを駆動するように構成されてもよい。あるいは、先端がプローブの縦軸からオフセットされ、発振器がその縦軸のまわりのねじり振動においてプローブを駆動するように構成されてもよい。この後者の構成は、高速走査の操作に特に有利である。この構成は、低い曲げばね定数を有するより高い振動周波数を可能にし、これは、フィードバック誤差信号が大きい(例えば、表面高さの急激な変化により生じる)場合にプローブによって表面上に及ぼされる力を低減する。好ましくは、ねじり操作の場合、プローブは、縦軸から少なくとも3μmの距離だけオフセットされた先端を有するT字型である。
【0051】
顕微鏡は、好ましくは、試料表面に実質的に平行な面におけるプローブと試料表面との間の相対運動を提供するように構成されたxyスキャナと、試料表面に実質的に直交する方向における相対運動を提供するように構成されたz駆動装置とを備える。フィードバックシステムはz駆動装置を組み込んでもよく、検出システムによって生成される情報に基づいて動作することができる。
【0052】
z駆動装置は、理想的には、プローブの基部を動かすように構成される。z駆動装置は、プローブと一体化されたまたは部分的に一体化されたアクチュエータを含むことができる。発振器は1つのアクチュエータまたは複数のアクチュエータであってもよく、また、プローブと一体化されるかまたは部分的に一体化されてもよい。
【0053】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によるプローブ検出システムを有する原子間力顕微鏡の構成要素を概略的に説明する図である。
【図2】本発明によるプローブ検出システムの第2の実施形態での原子間力顕微鏡の構成要素を概略的に説明する図である。
【図3】本発明とともに使用するための干渉型高さ検出システムを概略的に説明する図である。
【図4】本発明によるAFMの操作のダイナミックモードにおける振動プローブ運動を概略的に表す図である。
【図5】図5(a)は、本発明による代替の動的な画像化モードで動作するAFMとともに使用するのに適したプローブの上面図である。図5(b)は、本発明による代替の動的な画像化モードで動作するAFMとともに使用するのに適したプローブの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1を参照すると、全体として10で示された、本発明によるAFMの変更された実施形態が概略的に示されている。図示のAFM装置は、表面がプローブ16によって調査される試料14を受けるように構成された移動可能なステージ12を備える。プローブ16は、カンチレバービーム18および先端20を備え、先端20は、点20aに向かって先細りになり、カンチレバービーム18の一端に向かって配置される。カンチレバービーム18の他端は、台22によって支持される。
【0056】
3次元すなわちx、yおよびz方向において互いに対して走査することができるように、1つまたは複数の駆動モータ(24、図示せず)を使用して試料14(ステージ12と一緒に)および/またはプローブ16を駆動する。当分野において慣用であるように、デカルト座標系のz軸を、試料14によって占められる平面に直交するように取る。すなわち、プローブ16と試料14との間の相互作用力の強度は、試料14の上の先端20のxy位置(それが画像化している画素)、およびまた、試料14の上の先端20の高さの両方に依存する。
【0057】
z位置決定システム24は、試料14に向かっておよび試料14から離れて(z方向)先端20を動かすように動作可能な圧電駆動部を備える。この実施形態では、z位置決定システムは、プローブ台22に接続される。あるいは、z位置決定システムは、試料ステージ12に接続されてもよく、音声コイルまたは熱バイモルフアクチュエータなどの非圧電駆動機構を備えてもよい。さらなるモータが台22、ステージ12のいずれかまたは両方に接続され、先端20がラスタ方式または別の方法で試料14の上で走査されるように、試料の平面(x,y)における試料14と先端20との間の相対運動を提供するように動作可能である。
【0058】
発振器26はプローブに取り付けられるか接続され、矢印27で示すように、本質的に垂直な方向にプローブを駆動するプローブの曲げ振動運動を生成するように構成される。この図1に示される発振器26は、プローブの基部に取り付けられた圧電アクチュエータである。あるいは、この目的に適していることが知られているいくつかの他の駆動機構のうちの1つを使用することができる。例えば、適切に構成されたプローブに伴う磁場または電場、プローブに熱バイモルフを含めること、または音響励起。プローブ運動は、共振においてでもよく、または共振から外れて駆動されてもよく、もしくは単に表面に向かうおよび表面から離れる任意の運動でもよい。この運動は、周期的、ほぼ周期的または非周期的でさえあってもよい。しかし、この運動は、試料表面に向かっておよび試料表面から離れてプローブ先端を繰り返し動かすというものである。
【0059】
プローブ16は低質量AFMプローブであり、走査中、先端20は試料表面に近接する。以下でより詳細に説明されるプローブ検出機構29は、この実施形態では、先端20の上のカンチレバーの背面にある点18bの垂直(z)変位およびそのたわみ(傾き)の両方の示度を取得するように構成される。もちろん、振動の結果として、プローブ検出機構によって提供される任意の示度が瞬間的な観察値であることは明らかである。垂直(z)変位および傾きはいずれも、2つの寄与原因、すなわち、プローブが反応する表面特性、典型的には表面の地形を反映する第1の成分、および垂直振動が一因となる第2のより高周波の成分に由来する。垂直変位に関するデータが解析され、ディスプレイ(図示せず)に出力される。カンチレバーの背面18bの傾き/たわみに関する情報はフィードバック制御装置30に入力され、フィードバック制御装置30はz位置決定システム24の駆動機構に接続される。フィードバック制御装置30は、その入力情報からフィードバックパラメータを抽出し、その結果生じる制御信号をz駆動装置に提供するように構成された信号処理装置を含む。
【0060】
プローブ16は一般に(AFM用に)シリコンまたはシリコン窒化物から作製され、従来技術に関して前に述べた形状およびサイズに形成される。
【0061】
試料の画像を撮る際、AFM70はダイナミックモードで以下のように動作する。プローブ16は、発振器26によって振動運動に設定される。
【0062】
z位置決定システム24およびさらなる駆動装置を使用して、試料14が最初に先端20と間欠的に接触する。従来、AFM用語では、原子間相互作用力が反発状態(repulsive regime)であるとき、先端20は試料14と接触していると言われる。台22が下がり、プローブ16が試料14に向かって移動する間、この実施形態では、検出システム29がカンチレバーの振動および時間で変動するたわみを監視する。たわみ振動の振幅が所定のレベルに達すると、台の移動がフィードバック制御装置の制御下で停止される。この所定の振幅レベルは、フィードバック制御装置30の設定値である。
【0063】
走査が進行すると、表面高さ/相互作用力が変化するにつれて、先端20が上下に動く。プローブの振動運動から生じるより高周波の成分が、この表面誘導による運動に重ね合わされる。先端の運動のこの振動成分の振幅、位相および周波数はすべて、発振器設定および表面と先端との間の相互作用力の両方に依存する。同様に、カンチレバーの傾きは、試料表面との相互作用から生じる成分およびプローブ振動による第2の成分の重ね合せである。第2の成分の振幅、位相および周波数は、表面に対するプローブの位置によって影響される。走査が進行すると、たわみのac成分の振幅が監視される。あらゆる変化がフィードバック制御装置30に供給される信号を変化させ、それに従ってz位置決定システム24が調整される。
【0064】
次に、本発明による検出システム29の動作をより詳細に説明する。光源(図示せず)は、対物レンズ78によってカンチレバーの背面18bに焦点を合わせられたレーザビーム76を放射する。反射された光80a、b、cはレンズ78によって集められ、非偏光ビームスプリッタ82に向けられる。図1から分かるように、カンチレバー18bの瞬間的な傾きは、光が反射される角度に影響する。プローブの1つの位置で、反射されたビームは経路80bを進む。しかし、カンチレバー背面18bが左側に(図に対して)傾いている場合、反射されたビーム80aは反時計回りに偏向され、右側の傾きは反射されたビーム80cを時計回りに偏向する。カンチレバーの背面18bがレンズ78の焦点またはその付近に配置されるとき、反射されたビームの角度変化はレンズの後で水平方向の変位に変換される。すなわち、角度の傾きに関係なく、反射されたビーム80a、b、cは検出システムの光軸に平行に伝播し、左側の傾きは左側の水平方向の変位をもたらし、右側の傾きは中央位置に対して右側の変位を生成する。
【0065】
ビームスプリッタ82は、ビームスプリッタ82に入射する光のほぼ半分84a、b、cを90°で反射し、残りの半分86a、b、cを伝送するように構成される。伝送された成分86a、b、cは干渉計88に入力される。図2を参照して、この干渉計の動作をより詳細に説明する。ただし、要約すると、反射されたビーム86a、b、cはステージ12の上面から反射された基準ビームによって干渉される。あるいは、ステージ表面との知られている関係を有する別の固定点を使用することができる。これは、2つのビーム間の経路差の測定値およびしたがってステージ表面の上にあるカンチレバーの背面18bの瞬間的な高さの示度を提供する。このデータから、表面高さに関する情報を抽出して画像を形成することができる。
【0066】
ビームスプリッタ82から反射された成分84a、b、cは、レンズ90によってたわみ検出器28上で凝縮される。検出器28は、この実施形態では、その長さにわたって、独立した検出器領域AおよびBに分割される。これらの領域から生成された出力信号は差動増幅器92に入力され、差動増幅器92は2つのチャネル間の差動に等しい信号を出力する。反射された光80b、84bがチャネルAおよびB間で分散されるように、検出器28が集光光学系(collection optics)と位置合わせされる。カンチレバーの背面18bの左側の傾きは、検出器28からの信号がチャネルBにおいて増大し、差動増幅器92からの出力の減少をもたらすことを意味する。逆に、右側の傾きは、チャネルAが信号増加を受け、出力の増加が差動増幅器92によって生成されることを意味する。プローブが振動すると、チャネルA信号とチャネルB信号との間の差動は、増幅器92の出力で時間で変動する信号を生成する。この出力信号は、プローブの時間で変動するたわみを表す。したがって、この信号の振幅は、プローブ振動の振幅を直接示す。したがって、増幅器92の出力を、フィードバック制御装置30に供給されるフィードバック信号の基準として使用することができる。フィードバック制御装置30は、振幅信号をその設定値に維持するためにz位置決定システム24を動作させる。
【0067】
代替の実施形態では、たわみ検出器28を設定してプローブ振動の位相および/または周波数などの他のパラメータを監視することができる。
【0068】
さらなる実施形態では、平均(dc)たわみをたわみ検出器28によって監視することができる。たわみ検出システムは、上述のように設定される。プローブが振動すると、差動増幅器92からの信号出力も振動する。この実施形態では、フィルタ(図示せず)が含まれ、差動増幅器92とフィードバック制御装置30との間に配置される。フィルタパラメータは、フィルタ出力が1つまたは複数の振動期間における差動信号の平均値に対応するものである。この平均信号は、いくつかのサイクルにおける平均プローブ位置を示す。
【0069】
フィードバック信号とは関係なく、またはカンチレバーのたわみと同等に、表面の上の正確なプローブ高さが干渉型高さ検出システムによって測定される。したがって、フィードバックシステムを使用して、たわみまたは高さのいくつかのパラメータへの影響を通じて観察された平均のプローブ−試料相互作用が一定のレベルに維持されることを保証する。
【0070】
検出システムの光76がカンチレバーの背面18bに焦点を合わせられることが重要である。このため、z位置決定システムも対物レンズ78に接続され、プローブ16が上下する場合、レンズ78が同じ量だけ上下するように構成される。代替の実施形態では、対物レンズ78は、先端から予測される運動の範囲よりも大きい焦点深度を有するように選択される。したがって、先端20に対する対物レンズの位置を調整する必要がない。
【0071】
さらなる実施形態では、(x,y)走査駆動機構(図示せず)およびz位置決定システム24を、圧電でなくてもよい任意の適切な駆動手段で置き換えることができる。駆動装置は、試料ステージ12、プローブ台22または両方の組合せに取り付けられ得る。
【0072】
上述の検出システム29は、カンチレバー18のたわみを測定する知られている代替手段を組み込むことができる。例えば、プローブは一体型の圧電抵抗センサとともに形成され得る。カンチレバーの高さを測定するために使用されるものと類似した高さ検出システムもたわみを測定するために使用され得る。すなわち、干渉計を使用してカンチレバーの基部の高さに対する端20の高さを測定する。
【0073】
フィードバックのためのさらなるパラメータを利用するように設定された検出システム32の一例が図2に示されている。この図では、図1に示すシステムに共通する構成要素には同様の符号が付されている。この実施形態では、プローブのたわみは検出されず、そのため、検出システム32はたわみ検出器28および関連する光学素子82、90、92を含まない。プローブから反射されたすべての光80bは、干渉計88に伝送される。干渉パターンはやはり、反射されたビーム80bと基準ビームとの間で生成される。干渉信号が処理されて、ステージ表面の上にあるカンチレバーの背面の高さを示す経路差を提供する。この高さ信号は、プローブの振動によって生じる振動成分を含む。高さ信号におけるこれらの振動の振幅、位相または周波数は、プローブ高さの干渉測定値から抽出され、フィードバックが基づくためのパラメータとして使用され得る。例えば、振幅が使用される場合、振動の振幅は単に、振動周波数での高さ変動の振幅となる。あるいは、頂点間振幅を各振動期間中の最大高さ測定値と最小高さ測定値との間の差から抽出することができる。
【0074】
いずれのフィードバックシステムが実施されても、重要なことは、選択されたフィードバックパラメータの平均値がフィードバックシステムによってその設定値に維持されるということである。設定値の値が各画素位置に対して確立されるようにフィードバックを実施するための要件はない。フィードバックパラメータは各プローブ振動サイクル中に抽出され得るが、次の測定値が抽出される前にフィードバックヌル位置に達する必要はない。プローブ運動が維持される平均値は、典型的には、複数のプローブ振動サイクルにわたって導出される。
【0075】
この実施形態で使用される光源はレーザ源であるが、代替の源が利用可能である。干渉検出の場合、光は干渉計の特質によって要求される程度に可干渉性であるべきである。
【0076】
図3を参照すると、図1に示す検出システム29の第1の実施形態の光学構成要素がさらに詳細に示されている。レーザ源100からの光は、第2のビームスプリッタ102によって入射ビーム76および基準ビーム104に分割される。入射ビーム76は、対物レンズ78によってカンチレバーの背面18bに焦点を合わせられる。カンチレバーからの反射の後、ビーム80は第1のビームスプリッタ82によって分割される。前に述べたように、第1の成分84はたわみ検出器90、28、92を対象とし、第2の成分86は干渉計88を対象とする。
【0077】
干渉計の内部で、カンチレバー18bから反射されたビーム86はビームスプリッタ106によって分割される。基準ビーム104は適切に配置された逆反射器108に向けられ、その後、ビームスプリッタ106に向けられる。逆反射器108は、試料の垂直(z)位置に対する固定された光経路長を提供するように位置合わせされる。ビームスプリッタ106はエネルギー吸収コーティングを有し、入射ビーム86および基準ビーム104の両方を分割して約90°の相対位相シフトを有する第1および第2のインターフェログラムを生成する。2つのインターフェログラムはそれぞれ、第1の光検出器112および第2の光検出器114で検出される。
【0078】
理想的には、光検出器信号は、90°の位相差を有する相補的な正弦信号および余弦信号である。さらに、これらの信号はdcオフセットを有さず、等しい振幅を有し、カンチレバーの位置およびレーザの波長λにのみ依存するべきである。等しい振幅を有し、直交位相である完全に調和振動していない2つの光検出器信号の結果として生じる誤差の補正を決定し適用するために、知られている方法を使用して光経路差を変化させながら光検出器112、114の出力を監視する。同様に、dcオフセットレベルも当技術分野で知られている方法に従って補正される。
【0079】
これらの光検出器信号は、専用ハードウェアとしてまたはプログラムされたコンピュータとして提供され得る従来の干渉計兼用干渉縞計数装置および干渉縞再分割装置とともに使用するのに適している。直交位相干渉縞計数装置は、λ/8の精度で、すなわち、532nmの光に対して66nmでカンチレバーの位置における変位を測定することができる。信号の逆正接に基づく、知られている干渉縞再分割技法は、ナノメートルスケールまたはそれ未満への精度の改善を可能にする。
【0080】
2つの可干渉性ビームの間の経路差を抽出する干渉方法は当技術分野でよく知られているので、これ以上詳細に説明しない。
【0081】
上述の実施形態では、基準ビームは、試料のz位置に対する固定された光経路長を有するように構成される。したがって、上述のように、基準ビームは、試料が載せられるステージの表面からまたは位置がステージの位置と関連付けられている逆反射器から反射され得る。基準経路長は、プローブから反射されたビームが進む経路の長さより大きくてもよく、または小さくてもよい。あるいは、反射器と試料のz位置との間の関係が固定される必要はない。そのような実施形態では、基準ビームは固定点から反射されてもよく、固定点は試料のz位置との知られている(ただし可変の)関係を有する。したがって、先端の高さは、干渉計を用いて測定された経路差および固定点に対する試料のz位置から差し引かれる。
【0082】
本明細書に記載される干渉計は、ホモダインシステムの一例である。記載される特定のシステムは、この用途にいくつかの利点を提供する。2つの直交位相インターフェログラムの使用は、複数の干渉縞にわたる、およびしたがって大きい変位範囲にわたるカンチレバーの変位の測定を可能にする。ビームスプリッタ106上の位相シフトコーティングを使用することにより、干渉計が、例えば光ビームがカンチレバーから反射されるときに偏光の変化から生じる偏光効果の影響を受けなくなる。これらの原理に基づく干渉計の一例は、US6678056に記載されている。光経路長の変化を測定することができる代替の干渉計システムも本発明とともに用いることができる。適切なホモダイン偏光干渉計は上記に参照したEP1892727に記載されており、適切なヘテロダイン干渉計は上記に参照したUS5144150に記載されている。
【0083】
上述のプローブ顕微鏡がフィードバックによって課せられる制限を超えた走査速度で動作できることは明らかである。検出システムによって抽出される高さ情報は、プローブの正確な瞬間的な高さを表す。これは先端に対するプローブの基部の位置、すなわち、たわみとは無関係である。したがって、たわみ(または他のフィードバックパラメータ)は走査中にその平均値のあたりで変化することが許容され、これは干渉法による高さ測定とは異なる。
【0084】
図4を参照すると、試料表面と間欠的に接触するときのプローブの運動が概略的に図示されている。この例示はプローブ運動の代表例に過ぎない。これは、プローブに与えられる運動および、ある程度、プローブと試料表面との間の相互作用に従って、多くの波形をたどり得る。典型的には、プローブ振動は正弦波形をたどる。
【0085】
検出システム29、32によって抽出される高さ情報はプローブの高さに関する正確な情報を含むが、これは有益な情報を取得するために試料表面の特徴に関連しなければならないことを理解されたい。理論上は、各振動サイクルの最も低い点が表面の正確な高さを表すことが図4から分かる。したがって、プローブ振動の各期間の最も低い高さ測定値を見つけることができるようにするためにデータ処理システムが設定され、次いで、この測定値が出力されて画像を形成するために使用することができる測定値を提供する。すなわち、各振動サイクルにおける最も低い点は、試料表面の位置を表す。信号の高周波振動成分上の他の点を使用して試料表面位置の有意義な指標を提供することもできる。例えば、振動サイクルの下半分の間の最低速度の点は、データ処理システムによって抽出され得る。コンプライアント面を画像化する場合、プローブ速度、または同等で、高さ信号の変化率は、表面に遭遇し表面を変形させ始めると、低下する。この場合、試料高さの測定値は、プローブ高さの変化率の変動が観察される各高さ振動の点から抽出され得る。
【0086】
表面の位置を決定するこの方法は、EP2017599に記載されている方法よりもはるかに正確であり、フィルタを使用してより高い周波数のディザ振動から低い周波数の試料高さの変動を分離する。この本質的なデコンボリューション操作は、高周波信号が重ね合わされる平均低周波信号を抽出する。しかし、これは表面高さの正確な測定値ではなく、これは、速い走査速度では、または誤差がヌルフィードバックパラメータにもたらされ、そのことがその値の変動を引き起こす場合、誤りをもたらす可能性がある。フィルタリングされた平均信号が試料高さを正確に示すことができるためには、フィードバックパラメータは測定位置の間にそのヌル値を返さなければならない。プローブ高さは、試料高さおよびディザ振動の振幅の合計である。ディザ振動の振幅が変化する場合、試料表面に対するプローブの平均位置も変化する。すなわち、表面高さの実際の変化が何もないのに、新しいプローブ位置が観察される。この誤差を回避するために、フィードバックパラメータはそのヌル値に保たれなければならない。したがって、正確なデータ収集のためには、システムはフィードバックシステムにおける任意の誤差を最小化するために調整する時間を有さなければならず、したがって、このことが速い走査速度での動作を妨げる。また、走査の速度が、試料高さがプローブの振動よりも短い時間スケールで、または実際にはフィルタ応答よりも短い時間スケールで変化するものである場合、この変動を従来技術のシステムによって測定することができず、実際に、この変動が試料高さの測定値に誤差をもたらす。
【0087】
必要な処理能力を提供するために、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が構成される。ダイナミックモードでは、AFMプローブ振動周波数は、典型的には、約40kHzから400kHzである。本発明に従って設定された顕微鏡では、データ記録のためのサンプリング周波数は、約40MHzである。したがって、プローブ振動の各サイクルは約100から1000回サンプリングされ、これは最小高さを正確に決定するには十分過ぎるほどである。各プローブ振動サイクルにおいて表面に最も接近する点は、干渉データ、すなわち、それぞれ、基準経路長がプローブから反射されたビームの経路長より短いかまたは長いかに従って、最も長い経路差または最も短い経路差のいずれかから抽出され得る。
【0088】
代替のデータ処理システムも本発明とともに使用することができる。例えば、サンプルホールド回路または高速デジタル信号処理装置も必要とされる信号処理機能を提供することができる。
【0089】
100から1000の上記のオーバーサンプリングレートは、精度を著しく低下することなく、低減され得る。しかし、明らかに、有意義なデータを抽出することができるためには、サンプリング周波数はプローブを振動させる周波数よりも高く、理想的には10倍を超えて高くなければならない。
【0090】
次に図5(a)および(b)を参照すると、本発明による代替のダイナミックモードで動作するAFMとともに使用するのに適したT字型プローブ40が示されている。図5(a)は上面図を示し、図5(b)は側面図を示す。プローブ40は、基部44から自由端46に延びる長手方向アーム42を有するカンチレバーを備える。クロスバー48は、自由端46でアーム42を横切って水平方向に延び、それによってT字型を形成する。先端50は非対称に配置され、クロスバー48によって支持される。
【0091】
T字型プローブ40は従来技術において知られており、AFMダイナミックモードで屈曲して駆動される。その形状は、試料の材料特性に関するデータを抽出するのに特に有用なものである。
【0092】
本発明によるAFMの一実施形態では、プローブ40はねじれて振動される。すなわち、プローブ40は、共振でまたはその付近で、その長手方向アーム42のまわりで振動される。このようにして、オフセットされた先端50は、表面に向かっておよび表面から離れて先端を垂直に動かす小さい弧を描き、表面と間欠的に接触する。したがって、使用するとき、ねじり振動がプローブ40において確立され、次いで、走査を開始するためにプローブ40が表面に向かってフィードバック設定値に動かされる。その後、プローブが先端の位置で監視され、先端位置および運動に関するデータが図1から4に図示された実施形態に関連して記載されたのと同じ方法で抽出される。
【0093】
図5における先端50はクロスバー48の右側に示されているが、同様に左側にオフセットされてもよい。最小オフセット距離は、現在のプローブの製造公差を考慮すると、3μm程度である。あるいは、プローブはT字型ではなく、オフセットされた先端を有する長方形であってもよい。
【0094】
ねじり振動によって確立される間欠的なコンタクトモードは、高速顕微鏡走査において使用されるとき、他のモードに勝るいくつかの利点を提供する。ねじり共振は、曲げ共振よりも高い周波数である。理想的には、ねじり振動周波数は約0.5〜1MHzであり、曲げばね定数は0.5〜2Nm−1程度である。これは、表面がサンプリングされる速度がねじり操作に対してより速いことを意味する。したがって、これを使用して走査速度を上げるまたは解像度を改善することができる。動的な画像化において直面する別の問題は、時々、フィードバックシステムにおける大きい誤差が、試料−プローブ基部の分離における誤差を調節するために曲げ湾曲(たわみ)が大きくなるときに表面に加えられる大きい力をもたらすことがあるということである。動的な振動をもたらすために振動のねじりモードを使用することは、動的な機能を失うことなく、曲げ湾曲の剛性を低減することができることを意味する。これは、加えられた表面力への誤差の影響を低下させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査型プローブ顕微鏡とともに使用するための検出(detection)システムであって、
試料(sample)表面に繰り返し(repeatedly)接近する(approaches)振動(oscillating)プローブを照明するビームを生成するための光源であって、前記プローブが基部(base)および自由端(free ends)を有するカンチレバーを備え、前記自由端(free end)が先鋭な先端(tip)を支持する、光源と、
前記プローブから反射された光と高さ基準(height reference)ビームとの間の経路差を検出し、この経路差を示す高さ信号を出力するように構成された(arranged)干渉計(interferoneter)と、
前記高さ信号を監視し、前記プローブの高さを示す各振動サイクルの(for each oscillation cycle)測定値を導出するように構成された(arranged)信号処理装置と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記信号処理装置が、所定の測定基準を満たす各振動サイクル内の位置(position)からデータを抽出するように構成される請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
各サイクル内の前記位置が、極値の経路差(extreme path difference)にある請求項2に記載の検出システム。
【請求項4】
各サイクル内の前記位置が、経路差の最小の変化率(minimum rate of change)である請求項2に記載の検出システム。
【請求項5】
前記抽出されたデータが、前記試料表面の画像を構築する(construct)ために使用される請求項2、3または4に記載の検出システム。
【請求項6】
前記測定値が、前記試料の材料特性を示す請求項1から5のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項7】
前記高さ信号がサンプリングされる速度が、前記プローブ振動周波数の少なくとも10倍である請求項1から6のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項8】
前記高さ信号がサンプリングされる速度が、前記プローブ振動周波数の少なくとも100倍である請求項7に記載の検出システム。
【請求項9】
前記高さ信号が、前記プローブ振動周波数よりも大きい帯域幅を有する請求項1から8のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項10】
前記信号処理装置が、前記表面の上(above)の設定された平均高さに(set average height)前記プローブを戻すのに使用するためのフィードバック信号を、前記高さ信号から抽出するようにも(also)構成される前記いずれかの請求項に記載の検出システム。
【請求項11】
前記フィードバック信号が、プローブ振動の振幅、位相または振動に基づく請求項10に記載の検出システム。
【請求項12】
前記プローブから反射された光の成分を受けるように構成された第2の検出器を含む請求項1から11のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項13】
前記第2の検出器が、この受信された成分からフィードバック信号を抽出するように構成される請求項12に記載の検出システム。
【請求項14】
前記プローブから反射された光を2つの成分に分離し、これらの成分の1つが前記干渉計に入力され、これらの成分の第2の成分が前記第2の検出器に入力されるように構成されたビームスプリッタを含む請求項12または13に記載の検出システム。
【請求項15】
前記第2の検出器が、前記プローブから反射された光と第2の高さ基準ビームとの間の経路差を検出し、この経路差を示す第2の高さ信号を出力するように構成された干渉計であり、前記または第2の信号処理装置が、この第2の高さ信号から前記フィードバック信号を抽出するように構成され、前記フィードバック信号が、プローブ振動の振幅、位相または周波数に関する情報に基づく請求項12または13に記載の検出システム。
【請求項16】
前記第2の検出器が、たわみ(deflection)検出器であり、その出力が、前記または第2の信号処理装置によって処理されて前記フィードバック信号を抽出する、請求項10から13のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項17】
前記フィードバック信号が、プローブ振動の振幅、位相または周波数に関する情報に基づく請求項16に記載の検出システム。
【請求項18】
前記フィードバック信号が、複数の振動にわたる前記プローブの平均たわみに関する情報に基づく請求項16に記載の検出システム。
【請求項19】
前記干渉計が、ホモダイン干渉計である前記いずれかの請求項に記載の検出システム。
【請求項20】
前記干渉計が、1組の直交位相(quadrature)インターフェログラム(interferograms)を生成するための手段を含む請求項19に記載の検出システム。
【請求項21】
各インターフェログラムで検出されたいくつかの干渉縞(fringes)に依存する出力を生成するように構成された干渉縞計数装置を含む請求項20に記載の検出システム。
【請求項22】
前記干渉縞計数装置が、干渉縞(fringe)再分割(subdividing)装置を含む請求項21に記載の検出システム。
【請求項23】
1組の直交位相インターフェログラムを生成するための前記手段が、位相分割コーティング(coating)を有するビームスプリッタである請求項20から22のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項24】
前記干渉計が、ヘテロダイン干渉計である請求項1に記載の検出システム。
【請求項25】
前記高さ基準ビームが、固定された基準点からの反射によって生成される前記いずれかの請求項に記載の検出システム。
【請求項26】
前記基準点が、前記試料の位置との知られている(known)が可変の(variable)関係を有する請求項25に記載の検出システム。
【請求項27】
前記基準点が、前記試料に対して固定されている請求項25に記載の検出システム。
【請求項28】
前記信号処理装置が、FPGAを含む請求項25から27のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項29】
前記信号処理装置が、サンプルホールド回路を含む請求項25から27のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項30】
試料とプローブとの間の相互作用に従って前記試料を画像化するための走査型プローブ顕微鏡であって、前記プローブと前記試料表面との間の相対運動を提供するように構成された駆動手段と、前記試料表面に実質的に直交する方向に前記プローブを振動させるための発振器と、請求項1から29のいずれか一項に記載のプローブ検出システムとを備える走査型プローブ顕微鏡。
【請求項31】
前記プローブが、0.5から2Nm−1の範囲のばね定数を有するカンチレバーアームを含む請求項30に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項32】
前記発振器が、前記プローブを曲げ運動(flexural motion)で駆動するように構成される請求項30または31に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項33】
前記先端が、前記プローブの縦軸(longitudinal axis)からオフセットされ、前記発振器が、前記プローブをその縦軸のまわりのねじり(torsional)振動で駆動するように構成される請求項30または31に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項34】
前記プローブが、T字型である請求項33に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項35】
前記先端が、前記縦軸から少なくとも3μmの距離だけオフセットされる請求項33または34に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項36】
請求項30から35のいずれか一項に記載の試料を画像化するための走査型プローブ顕微鏡であって、
前記駆動手段が、前記試料表面に実質的に平行な面における前記プローブと前記試料表面との間の相対運動を提供するように構成されたxyスキャナと、前記試料表面に実質的に直交する方向における相対運動(relative motion)を提供するように構成されたz駆動装置とを備える走査型プローブ顕微鏡。
【請求項37】
前記z駆動装置を組み込むフィードバックシステムも含み、前記検出システムによって生成される情報に基づいて動作することができる請求項36に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項38】
前記z駆動装置が、前記プローブの前記基部を動かすように構成される請求項37に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項39】
前記z駆動装置が、前記プローブに一体化されたまたは部分的に一体化されたアクチュエータを含む請求項37または38に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項40】
前記発振器が、アクチュエータである請求項33から39のいずれか一項に記載の走査型プローブ顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2012−511715(P2012−511715A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540217(P2011−540217)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051701
【国際公開番号】WO2010/067129
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(510320391)インフィニテシマ・リミテッド (2)