説明

動的に最適化される光源を用いるバックライト型ディスプレイを構成するためのシステム及び方法

【課題】バックライト型ディスプレイにおいて所望の出力輝度を効率よく達成すること
【解決手段】複数のタイプの光源の組合せを使用して、動的に調整されるバックライト型ディスプレイを形成し、該特定の組合せは、任意の時点で所望の光出力によって決まる。一実施形態において、RGBダイオードは、低い輝度の状態に使用され、輝度の要求値が増大される場合には白色光源が追加される。別の実施形態において、種々のタイプの光源を使用して、異なる色成分を生成し、光フィードバックを使用して、様々なタイプのダイオードのパワーレベルを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト型ディスプレイに関し、より具体的には、所望の出力輝度を達成するために動的に調整可能な光源に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な目的のためにバックライト型ディスプレイを使用することが一般的になっている。係る使用法の1つは、携帯電話、PDA、カメラ、及び他の携帯型装置においてである。これらの応用形態の多くにおいて、白色のバックライトを有することが望ましく、ひいては係るディスプレイは一般に、バックライト型装置を形成するために、液晶ディスプレイ(LCD)と共に白色(蛍光体変換型)発光ダイオード(LED)又は冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を使用する。
【0003】
CCFL又は白色LEDで得ることができるものよりも広い色域が必要とされる場合が多いので、バックライト型装置は、赤色、緑色、及び青色(RGB)LEDを使用し始めている。これら赤色、緑色、及び青色のLEDの光出力は、混合されて所望の色を生成する。しかしながら、これらの光出力(主として緑色のLED)がlumen/watt(ルーメンパーワット)の単位においてCCFL又は白色ダイオードほど効率的ではないので、より多くのRGBダイオードが必要とされる。場合によっては、白色光を生成するために、赤色ダイオードが、CCFLのような他の緑色光源および青色光源と共に使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、上述した技術的な問題を克服、又は少なくとも緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
複数のタイプの光源の組合せを使用して、動的に調整されるバックライト型ディスプレイを形成し、該特定の組合せは、任意の時点で所望の光出力によって決まる。一実施形態において、RGBダイオードは、低い輝度の状態に使用され、輝度の要求値が増大する場合には白色光源が追加される。別の実施形態において、種々のタイプの光源を使用して、異なる色成分を生成し、光フィードバックを使用して、様々なタイプのダイオードのパワーレベルを制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バックライト型ディスプレイにおいて、広い色域に関してルーメンパーワットの点で高い効率を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のより完全な理解のために、添付図面に関連してなされる以下の説明を参照する。
【0008】
図1は、ライトガイド13、及び2つの独立して制御可能な光源11及び12を有するバックライト型ディスプレイ10の一実施形態を示す。この実施形態において、光源11(11−1、11−2)は1つ又は複数のRGB LEDアレイであり、光源12(12−1、12−2)はCCFL又は白色のLED光源である。留意すべきは、白色の光源は、単一のダイオードアレイとすることができ、又は赤色、緑色、青色(又は他の色)の複数のCCFLまたは白色光を得るためにバイアスを受ける蛍光体変換型LEDとすることができる。
【0009】
光センサ14は、光の色および光の強度の双方を求めることができる。この実施形態において、該強度は、バックライトコントローラ17がセンサ14からの測定値を使用して、RGB LEDドライバ15への電力がルーメン単位の出力をこれ以上増大させない点に到達するまで、RGB LEDドライバ15への電力を増大させるために、重要である。図3Aに示されるように、ライン30は、ルーメン単位でRGB LEDの出力を点301まで増加させることを示す。点301に到達すると、ルーメン単位の出力は、基本的に平坦になる。
【0010】
その点において、バックライトコントローラ17(図1)は、ドライバ16の制御の下にある白色光源のルーメン単位の出力を増加し始める。図3Bに示されるように、点302は、バックライトコントローラがCCFL(又は白色光)ドライバ16をオンにし始める点である。ライン31は、要素12−1、12−2からの白色光の増加を示す。図3Cは、図3Aと図3Bの合成を示し、この場合、光センサ14により測定された光出力は、ライン32として示される。
【0011】
一実施形態において、光センサは、白色光の追加がRGB LEDバックライトと干渉するので、白色のLEDがオンされる際にRGB LEDをオープンループ(開ループ)に置くことにより、実施されることができる。次いで、センサはオフされる。カラーポイント測定は、開始時点でのみ実行される。例えば、システムは、RGB LEDをオンにし、バックライトを所望の色レベルにさせる。次いで、RGB LEDは、オープンループに置かれる(オフされる)一方で、白色LEDがオンの状態を維持する。代案として、システムは、極めて短い時間の間に白色LEDを選択的に無効にしてもよい。その極めて短い時間の間に、任意の強度補正を行うことができる。例えば、RGB LEDがオンされ、バックライトが所望のカラーポイントにされる。次いで、RGB LEDをオープンループに置き、白色LEDをオンにする。次いで、白色LEDをオフにして、非常に極めて短い時間の間にRGB LEDをLED閉ループに戻す。次いで、RGB LEDをオープンループに戻し、白色LEDをオンにする。別のシステムは、センサが標準のCIE出力を有するか、又はセンサがCIE規格(人間の目の反応)に応じて較正され得ると想定される。この場合、RGB LEDと白色LEDは同時にオンされることができ、フィードバックシステムは閉ループでカラーポイント及び輝度を維持することができる。
【0012】
図2は、2つの異なる光源が赤色のLED21−1、21−2、及びCCFL又は蛍光体変換型LED(又はCCFL)22−1、22−2である装置20の一実施形態を示す。蛍光体変換型LEDが使用される場合、その出力は、バックライト型装置20のライトガイド13を通じて白色光を基本的に提供するために、光源21−1、21−2からの赤色と調和する青色および緑色の方へ偏っている。この実施形態において、光センサ14は、相対的な色および強度を検出し、バックライトコントローラ17に対する入力としての役割を果たし、バックライトコントローラ17は、赤色スペクトルの光を提供するために赤色LEDドライバ24を駆動し、及びカラーバランスの残りの部分を提供するためにCCFL又は蛍光体変換型LEDドライバ25を駆動する。このように、ライトガイド13を通った出力は、2つの異なるタイプの光源、即ち21−1、21−2、22−1、及び22−2からの光を含む。
【0013】
この技術を使用することにより、装置20は、時間と共に色ずれ及び劣化も補償しながら、広い色域に関してルーメンパーワットの点で高い効率を提供する。
【0014】
本発明およびその利点が詳細に説明されたが、本発明の思想、及び添付の特許請求の範囲により規定されるような本発明の範囲から逸脱せずに、種々の変更、代用、及び交代を行うことができことは理解されるべきである。更に、本発明の範囲は、本明細書で説明されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に制限されることは意図されていない。当業者ならば、本発明の開示から容易に理解されるように、プロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、及びステップは、現時点で存在しているか、又は本明細書で説明された対応する実施形態が本発明に従って利用され得る際に実質的に同じ機能を行う又は実質的に同じ結果を達成するように将来開発される。従って、添付の特許請求の範囲は、係るプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップをそれらの範囲内に含むことが意図されている。
【0015】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組合せからなる例示的な実施形態を示す。
1.バックライトディスプレイであって、
第1の発光特性を有する第1の光源と、
第2の発光特性を有する第2の光源と、
任意の時点で前記ディスプレイの所望の出力輝度に依存して、前記光源の一方を前記光源の他方に対して調整するための制御回路とを含む、バックライトディスプレイ。
2.前記ディスプレイがLCDディスプレイである、上記1に記載のディスプレイ。
3.前記第1の光源が第1のタイプのLEDであり、前記第2の光源が第2のタイプのLEDである、上記1に記載のディスプレイ。
4.前記第1のタイプのLEDが白色ダイオードであり、前記第2のタイプのLEDがRGB LEDである、上記3に記載のディスプレイ。
5.前記第1のタイプのLEDがRGB LEDであり、前記第2のLEDが、CCFL、及び蛍光体変換型LEDから選択される、上記3に記載のディスプレイ。
6.前記制御回路は、低い輝度の光出力が要求される場合に前記第1のLEDのみをイネーブルにし、増大した輝度の出力が要求される場合に前記第1及び前記第2のLEDの双方をイネーブルにするように更に動作可能である、上記5に記載のディスプレイ。
7.前記制御回路は、前記輝度の要求が前記低いレベルから最大のレベルまで増加する際に、前記第2のLEDからの光出力を徐々に増加させるように更に動作可能である、上記6に記載のディスプレイ。
8.前記第1の光源が、その光出力として、赤色、緑色、及び青色の全てではない色を有する光デバイスであり、前記第2の光源が、その光出力として、前記赤色、前記緑色、及び前記青色からの少なくとも残りの色を有する光デバイスである、上記1に記載のディスプレイ。
9.前記制御回路は、所望の出力色、及び所望の出力輝度レベルから選択された少なくとも1つの条件を達成するために、前記第1の光源の出力色を調整するように更に動作可能である、上記8に記載のディスプレイ。
10.前記第1の光源が赤色LEDであり、前記第2の光源が緑色および青色の光出力を有する、上記8に記載のディスプレイ。
11.前記第2の光源が、青色および緑色の方へ偏っており、前記第2の光源がCCFL、及び蛍光体変換型LEDから選択される、上記10に記載のディスプレイ。
12.バックライト型ディスプレイを構成する方法であって、
第1の発光特性を有する第1の光源を、前記第1の光源から到来する光が液晶ディスプレイ(LCD)に衝突するように配置し、
第2の発光特性を有する第2の光源を、前記第2の光源から到来する光が前記第1の光源から到来する前記光と混合して前記LCDに衝突する光の色と強度を調整するように、配置し、
前記LCDからの所望の出力輝度に依存して独立して制御されるように、前記第1又は第2の光源の少なくとも1つを接続することを含む、バックライト型ディスプレイを構成する方法。
13.前記第1の光源が第1のタイプのLEDであり、前記第2の光源が第2のタイプのLEDである、上記12に記載の方法。
14.前記第1のタイプのLEDが白色ダイオードであり、前記第2のタイプのLEDがRGB LEDである、上記13に記載の方法。
15.前記第1のタイプのLEDがRGB LEDであり、前記第2のLEDが、CCFL、及び蛍光体変換型LEDから選択される、上記13に記載の方法。
16.前記第1の光源が、その光出力として、赤色、緑色、及び青色の全てではない色を有する光デバイスであり、前記第2の光源が、その光出力として、前記赤色、前記緑色、及び前記青色からの少なくとも残りの色を有する光デバイスである、上記12に記載の方法。
17.所望の出力色、及び所望の出力輝度レベルから選択された少なくとも1つの条件を達成するために、前記第1の光源の出力色を調整することを更に含む、上記16に記載の方法。
18.LCDバックライト型ディスプレイであって、
第1の発光特性を有する第1の光源と、
第2の発光特性を有する第2の光源と、
前記ディスプレイの所望の出力光強度に依存して、前記光源の一方を前記光源の他方に対して調整するための手段とを含む、LCDバックライト型ディスプレイ。
19.前記第1の光源が第1のタイプのLEDであり、前記第2の光源が第2のタイプのLEDである、上記18に記載のディスプレイ。
20.前記第1のタイプのLEDが、基本的に白色光を放出するダイオードであり、前記第2のタイプのLEDがRGB LEDである、上記18に記載のディスプレイ。
21.前記第1のタイプのLEDがRGB LEDであり、前記第2のLEDが、CCFL、及び蛍光体変換型LEDから選択される、上記18に記載のディスプレイ。
22.前記光強度が、生成された光の色からなる、上記18に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】バックライト型ディスプレイの一実施形態を示す図である。
【図2】色の制御のためにフィードバックを使用するバックライト型ディスプレイの一実施形態を示す図である。
【図3A】異なるタイプの光から合成した光を示すグラフである。
【図3B】異なるタイプの光から合成した光を示すグラフである。
【図3C】異なるタイプの光から合成した光を示すグラフである。
【符号の説明】
【0017】
10 バックライト型ディスプレイ
11、12、21、22 光源
13 ライトガイド
14 光センサ
17 バックライトコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトディスプレイであって、
第1の発光特性を有する第1の光源(11-1)と、
第2の発光特性を有する第2の光源(12-1)と、
任意の時点で前記ディスプレイの所望の出力輝度に依存して、前記光源の一方を前記光源の他方に対して調整するための制御回路(17)とを含む、バックライトディスプレイ。
【請求項2】
前記ディスプレイがLCDディスプレイである、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記第1の光源が第1のタイプのLEDであり、前記第2の光源が第2のタイプのLEDである、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記第1のタイプのLEDが白色ダイオードであり、前記第2のタイプのLEDがRGB LEDである、請求項3に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記第1のタイプのLEDがRGB LEDであり、前記第2のLEDが、CCFL、及び蛍光体変換型LEDから選択される、請求項3に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記制御回路は、低い輝度の光出力が要求される場合に前記第1のLEDのみをイネーブルにし、増大した輝度の出力が要求される場合に前記第1及び前記第2のLEDの双方をイネーブルにするように更に動作可能である、請求項5に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記第1の光源が、その光出力として、赤色、緑色、及び青色の全てではない色を有する光デバイスであり、前記第2の光源が、その光出力として、前記赤色、前記緑色、及び前記青色からの少なくとも残りの色を有する光デバイスである、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項8】
バックライト型ディスプレイを構成する方法であって、
第1の発光特性を有する第1の光源(11-1、22-1)を、前記第1の光源から到来する光が液晶ディスプレイ(LCD)に衝突するように配置し、
第2の発光特性を有する第2の光源(12-1、21-1)を、前記第2の光源から到来する光が前記第1の光源から到来する前記光と混合して前記LCDに衝突する光の色と強度を調整するように、配置し、
前記LCDからの所望の出力輝度に依存して独立して制御されるように、前記第1又は第2の光源の少なくとも1つを接続することを含む、バックライト型ディスプレイを構成する方法。
【請求項9】
前記第1の光源が第1のタイプのLEDであり、前記第2の光源が第2のタイプのLEDである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
LCDバックライト型ディスプレイであって、
第1の発光特性を有する第1の光源(11-1、22-1)と、
第2の発光特性を有する第2の光源(12-1、21-1)と、
前記ディスプレイの所望の出力光強度に依存して、前記光源の一方を前記光源の他方に対して調整するための手段(24、25)とを含む、LCDバックライト型ディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公開番号】特開2007−133407(P2007−133407A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304768(P2006−304768)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(506200186)アバゴ・テクノロジーズ・イーシービーユー・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (154)
【Fターム(参考)】