説明

動的伸張反射印刷のためのシステムおよび方法

【課題】ベルト上の1つまたは複数の媒体シートを運搬する印刷システムにおいて、位置合わせエラーを低減または除去する。
【解決手段】シート運搬装置が、媒体シートの所定の場所の画像処理のために、第1印字ヘッドおよび第2印字ヘッドのそれぞれを通って媒体シートを運搬するときに、シート運搬装置の第1変位量とシート運搬装置の第2変位量とを確認する。第2印字ヘッドを操作する時間は、第1シートの運搬装置のオフセットと第2シートの運搬装置のオフセットとの差に基づいて調整されて、媒体シート上で第1印字ヘッドのインク滴と第2印字ヘッドのインク滴との間の色の位置合わせをする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、移動部材上で運搬される1枚または複数枚の印刷媒体に画像を形成する印刷装置に関し、特に、複数の色のインクを吐出する複数の印字ヘッドを通って1枚または複数枚の印刷媒体を運搬するベルトを備えたインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体シートに画像を形成している間に1枚または複数枚の印刷媒体を所定の経路を介して運搬する移動ベルトを含んだ、様々な印刷システムがある。このような装置の一例が、移動ベルトを含むインクジェットプリンタである。移動ベルトは、媒体シートにインク滴を吐出する2つ以上のマーキング地点を通って1つまたは複数の媒体シートを運搬する。マーキング地点は、ベルトの経路に沿って異なる位置に位置付けられている。実施形態によっては、各マーキング地点は、単色のインクを吐出するように構成されているものもある。各マーキング地点は、1つのインク色を用いて各媒体シートにカラー画像の一部分を形成し、マーキング地点から異なるカラーインクを並列させることにより、媒体シートにフルカラー画像が形成される。このような印刷システムの代表的な一例では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(CMYK)色のインクの組み合わせを用いて画像を形成する。このような一システムでは、各マーキング地点は、媒体シートにインク画像を形成するために、所定の場所で媒体シートにインク滴を吐出するように構成された、1つまたは複数の印字ヘッドを含む。
【0003】
移動ベルト上で印刷媒体を運搬する印刷システムの1つの特性は、媒体シートが、媒体シートにインクを吐出するための各印字ヘッドを通過するときの各媒体シートの安定性である。種々のプリンタの実施形態には、移動ベルトに対して各媒体シートを平坦に保つ力を発生させる様々な部品が組み込まれている。真空プラテンに連結された真空源を組み込んだプリンタもある。真空プラテンは、プラテンを介して空気を真空源の方へ引き付けることのできる複数の通路またはポートを含む。真空プラテンは、ベルトがマーキング地点を経由して印刷媒体を運搬するときに、ベルトの裏面に隣接するように、位置合わせされ、方向づけられる。ベルトは、真空源がベルトを介して媒体シートに圧力を加えることができる複数の穴部を含んでいてもよい。したがって、プラテンを介して引き寄せられる空気は、媒体をベルトの方に寄せることにより、印刷中の媒体を安定化させる。他の実施形態では、ベルトの裏面に隣接して位置合わせされた静電部材を含んでいてもよい。静電部材は、媒体シート上の電荷とは反対の電荷を発生させ、媒体シートおよび移動ベルトを静電部材の方に引き付けるものである。さらに他の実施形態は、グリッパバーまたは抑えロールといった機械的部材を含んでいてもよい。機械的部材は、媒体シートを移動ベルトの表面側に押しつけて、したがって、移動ベルトを移動ベルトの裏面に位置合わせされたバッカーロールといった支持部材に押しつけるものである。
【0004】
ベルトが印刷域上を動くとき、印刷域においてベルトとプリンタの他の構造的部材との間の摩擦によって、ベルト上に抗力が生じる。この抗力によって、ベルトが印刷域上を移動するときに、ベルトが伸張する。印刷域におけるベルトと構造物との間の摩擦に加えて、媒体シートを印刷域中のベルトの方に寄せた状態にする各媒体シートに加えられる付加的な力によって、印刷域において移動ベルトと構造的部材との間の摩擦および抗力が作り出される。ベルトに加えられる全抗力は、各シートが印刷域に入り、印刷域を通り抜け、印刷域を出るときに変化する。1つまたは複数の媒体シートが異なる時間に印刷域を通過するので、ベルトにおける全ての摩擦力および抗力は様々であり、この力は、多くの媒体シートが印刷域にあるときに増加し、より少ない媒体シートが印刷域にあるときに低減する。
【0005】
さらに、摩擦力の変化によって、ベルトがマーキング地点を通過するときの全抗力およびベルトの伸張が変化する。ベルトの伸張が変化することによって、順に、媒体シートがマーキング地点を通過するときの媒体シートとマーキング地点との相対的位置に変化が生じる。相対的位置の変化によって、各媒体シートに画像を形成する際に位置合わせエラーと呼ばれるエラーが生じる。したがって、ベルト上の1つまたは複数の媒体シートを運搬する印刷システムにおいて位置合わせエラーを低減または除去するように改良することが、有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、インクジェット印刷システムは、印刷域においてプロセス方向に配置された第1印字ヘッドおよび第2印字ヘッドであって、上記第2印字ヘッドは上記印刷域において上記第1印字ヘッドから上記プロセス方向に位置付けられている、上記第1印字ヘッドおよび上記第2印字ヘッドと、上記第1印字ヘッドおよび上記第2印字ヘッドを通ってプロセス方向に少なくとも1つの媒体シートを運搬するように構成されたシート運搬装置と、上記シート運搬装置に作動的に接続され、上記印刷域上で上記シート運搬装置を所定の速度で移動させるように構成された作動装置と、上記シート運搬装置上の少なくとも1つの媒体シートに応じて信号を発生させるように構成された媒体センサであって、上記媒体シートは上記媒体センサを通ってプロセス方向に移動する、上記媒体センサと、上記印刷域における上記シート運搬装置を引き付けるように位置合わせされた部材であって、少なくとも1つの媒体シートに力を加えて、上記媒体シートを上記シート運搬装置に寄せ、上記シート運搬装置を上記部材に寄せるように構成され、上記シート運搬装置は、上記部材の第1端部を通って、および、印刷域上で、少なくとも1つの媒体シートを運搬するように構成されている、上記部材と、上記複数の印字ヘッド、上記作動装置、上記媒体センサ、および、メモリに作動的に接続されている制御装置とを含む。上記制御装置は、上記作動装置を操作して上記シート運搬装置を上記プロセス方向に上記印刷域上で上記所定の速度で移動させ、上記部材によってシート運搬装置の方に寄せられるいかなる媒体シートもない場合に、上記印刷域において上記シート運搬装置に加えられる第1抗力を確認し、上記シート運搬装置が1つの媒体シートを運搬するとき、上記印刷域において上記シート運搬装置に加えられる第2抗力を確認し、上記媒体シートの全体は上記部材によってシート運搬装置の方に寄せられるものであり、上記メモリに上記第1抗力に応じた値を記憶し、上記メモリに上記第2抗力に応じた値を記憶するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、マーキングユニットの概略図であり、このマーキングユニットは、そこにおいて印刷域の印字ヘッドを通って1つまたは複数の媒体シートを運搬するように構成された移動ベルトを含む。
【図2】図2は、印刷域上を移動するベルトに加えられる基準抗力と、ベルトが印刷域上で1つまたは複数の媒体シートを運搬するときにベルトに加えられる抗力との差を確認するためのプロセスのブロック図である。
【図3】図3は、印刷域上を移動するベルトに加えられる基準抗力と、ベルトが印刷域上で1つまたは複数の媒体シートを運搬するときにベルトに加えられる抗力との差を確認するためのもう1つのプロセスのブロック図である。
【図4】図4は、媒体シートが印刷域上を移動するときに、作動装置に加えられる制御電圧の変化を示す電圧図である。
【図5A】図5Aは、印刷域の第1位置における、媒体シートを備えた図1のマーキングユニットを示す。
【図5B】図5Bは、印刷域の第2位置における、媒体シートを備えた図1および図5Aのマーキングユニットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示するシステムおよび方法の環境と共にシステムおよび方法の詳細を全体的に理解するために、本文書全体にわたって図面を参照する。図面では、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。本明細書において用いられる際、「プリンタ」という語は、デジタル複写機、製本機械、ファクシミリ装置、多機能機械などといった、目的に応じて印刷出力機能を実施する任意の機器を含む。本明細書において用いられる際、媒体シートという用語は、インクジェットプリンタといったプリンタにおいて画像を受信可能な記録型印刷媒体の一つのことである。本明細書において用いられる際、用語「印刷域」は、媒体シートが1つまたは複数の印字ヘッドを通って移動する印刷装置の一区域のことである。印字ヘッドは、媒体シートにインクを吐出して画像を形成し、様々な異なる色のインクを用いてカラー画像を形成してもよい。印刷域はまた、媒体シートを平坦に保って印刷を均質にすることができる部材を含む。本明細書において用いられる際、ベルト、コンベヤベルト、シート運搬装置という用語は全て、印刷域に配置された印字ヘッドを通って1つまたは複数の媒体シートを運搬するように構成された可動部材を意味する。ベルトは、所定の弾性係数を有する材料から形成され、ベルトに抗力または引張力を加えることによって伸張する。用語「変位」および「伸張」は、同義的に用いられ、ベルトに加えられる抗力または他の引張力に起因するベルトの寸法の変化を意味する。ベルトは、印刷域上をプロセス方向と呼ばれる方向に移動する。ベルトは、「上流」位置から印刷域に入り、印刷域上をプロセス方向に「下流に」移動する。
【0009】
図1は、画像処理操作用の印字ヘッド136−148を通って媒体シートを運搬するように構成された移動ベルト104を含む、多色マーキングユニット100の概略図を示す。マーキングユニット100は、ベルト104、ガイドロール106、駆動ロール108、真空プラテン112、制御装置116、速度センサ120、増幅器124、作動装置128、シートセンサ132、印字ヘッド136、140、144、148を含む。マーキングユニット100の印刷域102は、印字ヘッド136−148、真空プラテン112、真空プラテン112上を移動するベルト104の一部分を含む、マーキングユニット100の一部分を含む。図1は、ガイドロール106と駆動ロール108との間の真空プラテン112上に伸びるベルト104の一部分を示す。図1の実施形態では、ベルト104は、駆動ロール108からベルト引張アセンブリ(分かりやすくするために省略する)を介して移動し、ガイドロール106に戻る、継目なしベルトである。駆動ロール108は、駆動ロール108を回転させる作動装置128に作動的に接続されている。作動装置128は、直流(DC)電動機または交流(AC)電動機、ステッパモータ、油圧駆動、あるいは、他の任意の適切な作動装置であってもよい。作動装置は、駆動ロール108に直接連結されていてもよいし、あるいは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の歯車、ベルト、または、他の伝送システムを用いて駆動ロール108に作動的に接続されている。駆動ロール108は、駆動ロール108が回転するとき、ベルト104をプロセス方向Pに引き寄せる。回転速度センサ120は、駆動ロール108の回転速度に応じた電気信号を発生させる。回転速度センサ120の代表的な実施形態には、機械式エンコーダ、光学式ホイールエンコーダ、ホール効果センサが含まれる。シートセンサ132は、印刷域102の上流端部において真空プラテン112の第1端部110に位置合わせされて、媒体シートが印刷域102に入るときに媒体シートの位置を確認する。いくつかの実施形態では、シートセンサ132は、媒体シートが印刷域102へと移動し始めると媒体シートの先端を検出し、媒体シートの全体が印刷域102に入ったときに媒体シートの後端を検出することによって信号を発生させる、光学式検出器である。
【0010】
真空プラテン112は、ベルト104が真空プラテン112上を移動するとベルト104の表面に負圧をかける負圧源(図示せず)に作動的に接続されている。ベルト104は、開口部を含み、この開口部によって、真空プラテン112を介して加えられる負圧が、媒体ベルト104上で運搬される媒体シート150、152といった1つまたは複数の媒体シートを引き付けることができる。負圧は、媒体シート150、152を所定の位置でベルト104の方に寄せた状態にし、シートが湾曲するのを防ぎ、各シートと印字ヘッド136−148との間に一定の間隔を保つ。媒体シート150、152に加えられる負圧によって、媒体シートを運搬するベルト104領域において、ベルト104領域に何もない場合と比較すると、ベルト104と真空プラテン112との間の垂直力Nが増加する。図1では、媒体シート152は、部分的に真空プラテン112上にあり、媒体シート152の一部分は、真空プラテン112の第1端部110を越え、かつ印刷域102内に位置合わせされている。真空プラテン112の第1端部110はまた、印刷域102の第1端部を形成しており、ベルト104は、プロセス方向Pに、第1端部110を通って印刷域102へと媒体シートを運搬する。さらに、それに応じた、ベルト104に加えられるベルト104と真空プラテン112との間の動的摩擦力、あるいは抗力、の増加が、1つまたは複数の媒体シートが真空プラテン112上にある場合に生じる。以下でより詳細に記載するように、抗力がベルト104に加えられると、ベルト104が伸張し、ベルトに加えられる抗力レベルが変化すると、伸張の大きさは変化する。マーキングユニット100は、媒体シート150、152を所定の位置に保つように構成された真空プラテン112を含むが、他の構成が、静電部材、グリッパバー、または、媒体シートをベルト104の方に寄せた状態にしてベルト104に対する抗力を増加させる他の構造物を含んでもよい。
【0011】
印刷域102の印字ヘッド136、140、144、148は、媒体シートが各印字ヘッドを通過すると、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック色のそれぞれを有するインクの滴を媒体シート150、152といった媒体シートに吐出するように、構成されている。印字ヘッドは、溶媒系インク、UV硬化性インク、水性インク、ゲルインク、相変化インクを含む様々なタイプのインクのインク滴を吐出するが、それらに限定されるものではない。印刷域102は、異なる4色のインクを吐出するように構成された4つの印字ヘッドを示すが、他の印字ヘッドの構成は、異なる配置、および、本明細書において説明したものとは異なる色のインクを吐出する多数の印字ヘッドを含む。
【0012】
制御装置116を、プログラム命令を実行する一般的または専門的なプログラマブルプロセッサによって実施してもよい。命令、および、プログラムされた機能を実施するために必要なデータを、プロセッサまたは制御装置と関連するメモリに記憶してもよい。プロセッサ、それらのメモリ、および、インターフェース回路素子は、制御装置を構成して、制御装置が画像の位置合わせを改善するためにインクジェットの吹付けをよりよく制御できる、以下でさらに詳述するプロセスを実施する。これらの部品は、プリント基板カードにおいて備えられてもよいし、または、確認用途向けIC(ASIC)回路として備えられてもよい。回路のそれぞれは、個々のプロセッサによって実施されてもよいし、または、複数の回路が同じプロセッサにおいて実施されてもよい。あるいは、回路は、個別部品、または、VLSI回路に備えられた回路によって実施されてもよい。さらに、本明細書において説明した回路は、プロセッサ、ASIC、個別部品、または、VLSI回路の組み合わせによって実施されてもよい。さらに、主な制御装置116と通信するように構成された複数の制御装置を用いてもよい。
【0013】
制御装置116は、速度センサ120、増幅器124、シートセンサ132、印字ヘッド136−148に作動的に接続されている。画像処理操作中に、制御装置116は、印刷域102上で1つまたは複数の媒体シートを引き寄せる作動装置128を操作し、画像を形成するために媒体シートにインク滴を吐出する印字ヘッド136−148を操作する。制御装置116は、電気制御信号を増幅器124に送信することによって、作動装置128を操作する。増幅器124は、電気制御信号を受信し、それに応じて、作動装置128および駆動ロール108を操作する電気駆動電流を発生させる。一実施形態では、制御装置116は、制御信号および増幅器124が信号の電圧レベルに比例した駆動電流を発生させると、電圧信号を発生させる。画像処理操作中に、駆動ロール108は、ほぼ一定の角速度で回転して、印刷域上のベルト104および媒体シートをほぼ一定の速度でプロセス方向Pに引き寄せる。制御装置は、速度センサ120によって発生した電気信号から、駆動ロール108の回転速度を確認する。
【0014】
1つまたは複数の媒体シートが印刷域102において真空プラテン112上で移動すると、ベルト104に加えられる摩擦力または抗力が変化する。それに応じて、制御装置116によって発生した駆動信号の電圧レベルも、駆動ロール108を所定の角速度で操作するために変化する。図4に見られるように、線500は、ベルト104が印刷域102において媒体シートを運搬していないときにベルトを所定の速度で引き寄せるために増幅器に加えられる名目制御信号電圧を示す。線504は、単一の媒体シートが参照符号506において真空プラテン上を移動し始め、参照符号508において完全に真空プラテン上に位置し、参照符号512において真空プラテンを出るときの、駆動ロール108の速度を維持するための制御電圧信号の増加量を示す。シートが完全に真空プラテン508上に位置しているとき、単一の媒体シートの最大抗力がベルトに加えられ、それに応じた制御信号もまた最大値である。1つまたは複数の媒体シートが真空プラテン112上を移動している間の、増加した制御電圧、および、それに応じて作動装置128に供給される駆動電圧によって、作動装置128が作り出して駆動ロール108を回転させるトルクが増加する。したがって、制御信号の電圧レベルにおける増加は、ベルト104に加えられる抗力の増加の関数である。図5に見られるように、制御信号の電圧と抗力との関係を、一次関数を用いて示してもよい。ただし、他の実施形態では、この関係を示すためにスプラインを含む様々な他の関数を用いる。
【0015】
図5Aおよび図5Bは、媒体シート620が真空プラテン112上を移動するときにベルト104に加えられる抗力の図形的表現を含む、図1のマーキングユニット100の簡略図を示す。数学的には、ベルト104が印刷域102上を移動するときに既定時間tでベルト104に加えられる累積抗力プロファイルT(x、t)を、以下の方程式によって示す。
【数1】

ここで、xは、印刷域102の長さに沿った位置を表し、g(x、t)は、駆動ベルト104に加えられる垂直力を示す関数であり、u(x、t)は、ベルト104と真空プラテン112を含む印刷域の様々な構造物との動的摩擦係数である。多くの実施形態では、u(x、t)は、ベルト104を所定の速度で移動するときに印刷域102の材料および構成から実験に基づいて決定される、定数関数または他の関数である。垂直力関数g(x、t)は、既定時間t中に各場所xにおいて、ベルト104と印刷域102における真空プラテン112を含む様々な構造物との間の垂直力を示す。ベルト104が媒体シートを運搬することなく印刷域102上で移動すると、真空プラテン112上でのベルトxの各場所における垂直力は、ベルト104全域で均一である。したがって、ベルト104に加えられる抗力を示す、T0と呼ばれる基準抗力プロファイルを、図5Aおよび5Bの線650に見られるように、直線によって示してもよい。線650の傾きは、ベルト104における一定の垂直力および動的摩擦係数によって決定される。
【0016】
位置xおよび時間tにおけるベルトP(x、t)の相対変位は、以下の方程式
【数2】

において示されるように、1つまたは複数の媒体シートを印刷域のベルト上で運搬するときのベルトの変位と、ベルトT0上に媒体シートがない場合のベルトの変位との差の積分である。
【0017】
ここで、kは、ベルト104にかけられた抗力を、ベルトにかけられた変位または伸張と関連付ける比例定数である。印刷域102では、kは、
【数3】

として示され、Eは、ベルト104を形成する材料の弾性係数であり、Aは、真空プラテン112と接するベルト104の表面領域である。
【0018】
P(x、t)の方程式を用いて、印刷域102における既定の位置および時間でのベルト104の変位を確認できる。画像処理操作中に、2つまたはそれ以上の印字ヘッドが、媒体シートの単一の場所に様々な色のインクの滴を吐出してもよい。インク滴は、互いに近接して位置合わせされており、多色画像を形成する。媒体シート620が印刷域102上を移動すると、ベルト104の変位が変わる。図5Aに見られるように、シアン印字ヘッド136は、第1時間tおよび印刷域の第1位置xにおいて、媒体シート620の所定の場所622にインクを吐出する。図5Aの例では、媒体シート620の一部分は、印字ヘッド136が場所622へと印字するとき、真空プレナム112上にある。真空プラテン112の第1端部110と所定の場所622との間の媒体シート620の長さの割合は、ベルト104の方に寄り、これにより、真空プラテン112によってベルト104に加えられる付加的な抗力が生じる。ベルトP(x、t)における第1変位量は、ベルトT0において加えられる基準抗力と、シアン印字ヘッド136がインク滴を吐出する媒体シート620の場所における累積抗力T(x、t)との間の領域659に比例的に関連する。媒体シート620は、ブラック印字ヘッド148を含む他の印字ヘッドによって、画像処理のために印刷域102上をプロセス方向に下流に移動する。ブラック印字ヘッド148は、印刷域102においてシアン印字ヘッドの下流に位置合わせされている。媒体シートがブラック印字ヘッド148を通過すると、図5Bに示した領域669に比例した、異なる量のベルトの変位P(x、t)が、場所622がブラック印字ヘッド148を通過するときに生じる。シート620上の既定の場所622に関するシアン印字ヘッド136とブラック印字ヘッド148との間のベルト104の変位差を、
【数4】

と表現できる。ベルトの変位ΔPの差は、媒体シート620上で場所622にインク滴を吐出するときの、印字ヘッド136と印字ヘッド148との間の色の位置合わせエラーの大きさおよび方向に等しい。図5Aおよび図5Bに示した構成では、ΔPの負の値は、位置合わせエラーの方向がプロセス方向Pと同じ方向であることを示し、ΔPの正の値は、位置合わせエラーがプロセス方向Pとは反対方向であることを示す。
【0019】
動作中、制御装置116は、1つまたは複数の印字ヘッドの操作を調整して、確認された位置合わせエラーΔPを補正する。制御装置116は、回転速度センサ120から受信された信号に基づいて、ベルト104と媒体シート620との線形速度を確認する。制御装置116は、印刷域102における媒体シート620の位置を、ベルト104の線形速度に媒体シートが印刷域102内にあった時間をかけることによって推定する。シートセンサ132は、制御装置116の時間基準を提供するためにシート620が印刷域102に入るときを示す信号を発生させる。制御装置116は、媒体シートの場所622がブラック印字ヘッド148に接近すると、媒体シート622の推定位置を差動ベルト変位ΔPによって調整する。制御装置116は、ブラック印字ヘッド148がインク滴を吐出することによってインク滴が場所622において媒体シート620に付く時間を変える。制御装置116は、時間変化の大きさを、ベルト104の確認された線形速度によって割ったΔPの大きさとする。ΔPの値が正であれば、制御装置116は、確認された時間によってブラック印字ヘッド148の操作を遅らせ、ΔPの値が負であれば、制御装置116は、確認された時間によって印字ヘッド148の操作を進める。すぐ前の例は一つの媒体シートの単一の場所におけるシアンおよびブラックの印字ヘッドの操作に関するものであるが、制御装置116は、各印字ヘッド間の差動ベルト変位ΔPを確認して、各媒体シートの複数の異なる場所において、確認された位置合わせエラーを補正するように構成されている。
【0020】
上記したように、ベルト104の抗力プロファイルT(x、t)を確認することにより、異なる時間および位置においてベルト104の変位を確認できる。抗力プロファイルT(x、t)を決定する場合の1つの課題は、1つまたは複数の媒体シートがベルト104に沿って運搬されるときに、ベルトに加えられる垂直力g(x、t)が変化することである。この変化を、図5Aおよび図5Bにおいて見ることができる。図5Aでは、媒体シート620の一部分が真空プラテン112上を移動し、図5Bでは、媒体シート620の全体が真空プラテン112上にある。図5Aと図5Bとの間では、全てのレベルの抗力およびそれに応じたベルト104の変位が変化する。ここで、抗力は、媒体シート620のより多くの部分が真空プラテン112上を移動するときに増加する。媒体シート620の全体が真空プラテン112上にあるとき、ベルト104に加えられる全ての累積抗力は一定であり、既定の位置におけるベルト104の変位は、抗力および印刷域102における媒体シート620の場所に応じて確認されてもよい。媒体シートが印刷域102に入り、さらに移動して印刷域102を出ると抗力プロファイルの確認が可能になる抗力パラメータを発生させるための2つのプロセスについて、以下に記載する。
【0021】
図2は、ベルトが印刷域上で1つまたは複数の媒体シートを運搬するときの、印刷域上を移動するベルトに加えられる基準抗力と、ベルトに加えられる抗力との差を確認するためのプロセス200を示す。プロセス200は、図1、図5A、図5Bに見られる印刷域102に対して用いる場合に適しており、印刷域102の実施形態を参照して、以下に説明する。プロセス200は、初めに、プロセス方向Pに所定の速度で印刷域上のベルト104を移動する(ブロック204)。所定の速度は、印刷域が動作中である場合とほぼ同じ抗力を生じさせるために、ベルト104が画像処理操作中に移動する速度と同じ速度に選択される。プロセス200は、続いて、移動ベルト104に存在する基準抗力を確認する(ブロック208)。図1の実施形態では、制御装置116は、作動装置128および駆動ロール108を操作するために、増幅器124用の制御信号を発生させる。制御装置116は、図4の線500にも見られるように、駆動ロール108がベルト104を所定の速度で引き寄せることができる制御電圧を確認する。ベルトに存在している抗力は、駆動ロール108の外周から測定されたトルクを駆動ロール108の半径で割ることによって確認される。トルクは、制御電圧と、それに応じて増幅器124から作動装置128へと出力される駆動電流と、作動装置128および駆動ロール108の所定の動作パラメータとから確認されてもよい。確認された基準抗力の値を、次に、メモリ118に記憶する(ブロック210)。
【0022】
プロセス200は、続いて、移動ベルト104にシート150といった媒体シートを置き(ブロック212)、印刷域102上で媒体シート212を移動させる(ブロック216)。媒体シートが印刷域102に入り、真空プラテン112上を通過すると、真空プラテンは、媒体シート150に負圧を加える。負圧は、シート150をベルト104および真空プラテン112の方に寄せる。媒体シート150の下に位置する真空プラテン112の一部分は、ベルト104に対して、媒体シートを運搬していないベルト104の一部分に対してよりも高い垂直力を働かせる。さらに、ベルト104に対する垂直力が増加することにより、ベルト104に加えられる全抗力が増加する。抗力は、ベルト104が媒体シートを運搬していない場合に確認された第1抗力から、媒体シート150の全体が真空プラテン112上にある場合のより高い第2抗力へと増加する。制御装置116は、増幅器124に送信される制御信号の電圧レベルを上げることによって増加した抗力を受けてベルト104の速度を維持して、駆動ロール108によって加えられるトルクを上げる。制御装置116は、媒体シートの媒体シートセンサ132の通過を検出することを含む様々な技術を用いて、あるいは、図4の電圧信号508に見られるように、増幅器124に加えられる制御電圧がより高いレベルに増加して、次により高いレベルで安定したということを確認することによって、媒体シートの全体が真空プラテン112上にある時を確認する。プロセス200は、上記ブロック208と同様に、媒体シートを運搬するときの媒体ベルト104に対する抗力を確認する(ブロック220)。
【0023】
ベルト104に加えられる第1抗力、および、媒体シートを運搬している間にベルト104に加えられる第2抗力を確認した後、プロセス200は、媒体を運搬していない場合のベルトの基準抗力と、媒体シートの全体が印刷域102にある場合のベルトに加えられる抗力との抗力の差を確認する(ブロック224)。動作中の異なる時間において、媒体シートはまた、部分的には、真空プラテン112の第1端部110を通って印刷域102にあってもよく、部分的には、印刷域を出入りするときには印刷域102の外側にあってもよい。基準累積抗力と、一部の媒体シートを運搬している場合の実際の累積抗力とのベルトに対する累積抗力の差を、線形比例を用いて確認してもよい。例えば、媒体シートの3分の1が印刷域102にあるとすると、確認されたベルト抗力の差は、基準抗力と媒体シートの全体が印刷域102にあるときの抗力とのベルト抗力との確認された差の3分の1である。他の実施形態では、非線形の関係を用いて、同様に媒体シートの一部分が印刷域にある場合の抗力の差を確認する。用いられる非線形の関係には、印刷システムにおける部品の構成および選択に基づいて実験的に確認されるものもある。
【0024】
2つ以上の媒体シートを印刷域102上で同時に移動させるように構成されたプリンタの実施形態では、プロセス200は、続いて、ベルト上に付加的な媒体シートを置いてもよい(ブロック228)。図1の例示的な印刷域102は、2つの媒体シート150、152を同時に収容してもよく、他の構成は、3つのまたはそれ以上の媒体シートを収容してもよい。付加的な媒体シートがそれぞれ印刷域上を移動する(ブロック232)とき、プロセス200は、ブロック208で説明したように、移動ベルト104に加えられる抗力を確認する(ブロック236)。プロセス200は、次に、付加的な媒体シートを運搬する場合のベルト104に加えられる確認された抗力と基準抗力との差を確認する(ブロック244)。
【0025】
プロセス200は、基準抗力と、画像処理操作中に後で用いるために媒体シートを運搬する場合の抗力との確認された差を記憶する(ブロック252)。図1の実施形態では、制御装置116は、確認された抗力差をメモリ118に記憶する。複数の媒体シートを印刷域上で同時に移動させるように構成された印刷域の実施形態では、複数の確認された抗力差が、各抗力差を発生させる媒体シートの数に関連して記憶される。印刷域の構成には、分数の媒体シートを収容するものもあり、例えば、1つの全媒体シートおよび第2シートの半分を同時に収容する。分数の媒体シートを収容する印刷域では、媒体シートが印刷域の最大部分を覆い、ベルトに加えられる最大量の抗力を発生させるときに、全抗力を測定する。確認された抗力の差は、それぞれ、差が確認された後いつでも記憶される。
【0026】
プロセス200では、プロセス200中に用いられる媒体シートの長さは、画像処理操作中に用いられる媒体シートの長さと同じである必要がある。本明細書において用いられる際、媒体シートの長さとは、プロセス方向Pにおける媒体シートの寸法である。異なる様々な長さの媒体シートに画像を形成するように構成された印刷システムは、媒体シートのそれぞれの長さのためにプロセス200を繰り返してもよく、印刷域に存在しているシートの数および各媒体シートの長さにしたがって、確認されたベルトの抗力差を記憶する。プロセス200を周期的に繰り返して、様々なプリンタ部品が磨耗するとやがて生じる抗力の変化を補正してもよい。
【0027】
図3は、印刷域上を移動するベルトに加えられる基準抗力とベルトが印刷域上で1つまたは複数の媒体シートを運搬する場合にベルトに加えられる抗力との差を確認するための他のプロセス300を示す。プロセス300は、初めに、印刷域102上のベルト104を所定の速度で移動させる(ブロック304)。ベルト104は、画像処理操作中と同じ速度で印刷域上を移動する。ベルト104が印刷域上を移動すると、プロセス300は、ベルト104が印刷域102上で媒体シートを運搬していない場合にベルト104に加えられる基準抗力を確認する(ブロック308)。プロセス300は、様々な技術を用いて、基準抗力を確認してもよい。一実施形態では、基準抗力は、ベルト104の公知の動的摩擦係数と、ベルトを形成するために用いられる材料の密度と、真空プレナム112と接するベルト104の表面積とを用いて推定される。図1の実施形態では、ベルト104は、ベルト104上に所定の間隔を均一にあけた複数の基準マークを含む。ベルト104が抗力のゆえに伸張すると、基準マークの間隔が変化する。印刷域102における所定の場所での基準マークの間隔を、印刷域102において位置合わせされ、制御装置116に作動的に接続された光学センサ134といった光学センサによって測定する。あるいは、基準マークの間隔を手動で測定し、制御装置116に提供する。ベルトの変位を、基準マーク間の測定された間隔と、ベルト104が緩んだときのマークの間隔との差から確認する。測定されたベルトの変位を比例定数kで割ることによって、基準抗力を確認する。確認された基準抗力を、メモリ118に記憶する(ブロック312)。
【0028】
ベルト104上の基準抗力を確認するとすぐに、媒体シートをベルト104に置き(ブロック316)、印刷域102上に移動させる(ブロック320)。媒体シートが印刷域上を移動すると、第1印字ヘッドが、媒体シートの所定の場所において、媒体シート上にインク滴を吐出する。一例として図1を用いて、媒体シート152が印刷域102を通り抜けると、マゼンタ印字ヘッド140は媒体シート152の所定の場所153にインク滴を吐出する(ブロック324)。ベルト104は、イエロー印字ヘッド144およびブラック印字ヘッド148を通って媒体シート152をプロセス方向Pに運搬する。媒体シート152がブラック印字ヘッド148を通過すると、ブラック印字ヘッドは所定の場所153にインク滴を吐出する(ブロック328)。図1では、制御装置116は、速度センサ120からの信号を用いてベルト104の速度を監視し、媒体シート152がシートセンサ132によって発生した信号から印刷域102に入る時間を、確認する。媒体シート152が印字ヘッドを通過し、マゼンタ印字ヘッド140およびブラック印字ヘッド148を操作して、場所153に滴を吐出すると、制御装置116は媒体シート152の位置を確認する。
【0029】
プロセス300では、制御装置116は、媒体シート152が印刷域102上を移動するときのベルトの伸張の差の主な原因となるブラック印字ヘッド148の操作を調整しないので、その結果、マゼンタインク滴とブラックインク滴との間の位置合わせエラーが生じる。インク滴間の位置合わせの差を測定する(ブロック332)。様々な技術が、位置合わせの差を測定するために用いられてもよい。一実施形態では、制御装置116に作動的に連結される光学センサ134といった光学センサが、位置合わせの差を測定し、一方、他の実施形態では、位置合わせエラーを手動で測定し、制御装置116に入力する。
【0030】
位置合わせエラーを測定した後、プロセス300は、ベルトが位置合わせエラーにしたがって媒体シートを運搬している間に、ベルトに加えられる抗力を確認する(ブロック336)。測定された位置合わせエラーは、付加的なベルトの変位に等しい。それは、媒体シート152が真空プレナム112上を通過するときにベルト104に加えられる付加的な抗力のゆえである。ベルトの総変位量は、測定された位置合わせエラーと、ブロック308において説明したように、ベルト104がいかなる媒体シートをも運搬することなく印刷域上を移動するときに確認されたベルトの変位との合計である。媒体シート152が印刷域102上で運搬されるときにベルトに加えられる全抗力を、測定されたベルトの全変位を比例定数kで割ることによって確認する。基準抗力および全抗力を確認すると、プロセス300は、媒体シートを運搬するときの全抗力と基準抗力との間の差を確認する(ブロック340)。
【0031】
プロセス300は、続いて、1つまたは複数の付加的な媒体シートをベルトに置いてもよい(ブロック344)。図1に見られるように、2つの媒体シート150、152は、印刷域上を同時に移動し、他の構成は、3つのまたはそれ以上の媒体シートを収容してもよい。ベルト104が印刷域102上で複数の媒体シートを運搬するとき、媒体シート152を、媒体シート150よりも上流にプロセス方向に位置合わせする。ベルト104が印刷域102上で媒体シートを運搬するとき、ベルト104が印刷域上でプロセス方向に媒体シートを運搬できるように、付加的な媒体シートをベルト上の印刷域の上流位置に置いてもよい。ベルトは、他の媒体シートもまた印刷域上を移動している場合に、印刷域上においてそれぞれの付加的な媒体シートを運搬する(ブロック348)。プロセス300は、第1印字ヘッドから第2印字ヘッドへのインク滴の吐出(ブロック324、328)、位置合わせエラーの確認(ブロック332)、ベルトが複数の媒体シートを運搬している間にベルトに加えられる全抗力の確認(ブロック336)を繰り返す。プロセス300は、印刷域における2つ以上の媒体シートによる全抗力と基準抗力との差を確認する(ブロック340)。プロセス300は、画像処理操作中に後に使用するための一媒体シートを運搬するときに、基準抗力と抗力との確認された差を記憶する(ブロック352)。図1の実施形態では、制御装置116は、確認された抗力差をメモリ118に記憶する。複数の媒体シートを印刷域上で同時に移動するように構成された印刷域の実施形態では、複数の確認された抗力差を、各抗力差を発生させる媒体シートの数に関連して記憶する。確認された抗力差のそれぞれを、差を確認した後いつでも記憶してもよい。
【0032】
プロセス300の上述の説明は、媒体シートにインク滴を出すマゼンタ印字ヘッドおよびブラック印字ヘッドについて説明しているが、印刷域に配置された任意の2つの印字ヘッドを操作して、位置合わせエラーを測定してもよい。例えば、図1では、プロセス300を、シアン印字ヘッド136と、マゼンタ、イエロー、ブラックの印字ヘッド140−148のそれぞれとの間、マゼンタ印字ヘッド140と、イエローおよびブラック印字ヘッド144−148のそれぞれとの間、イエロー印字ヘッド144とブラック印字ヘッド148との間で実施してもよい。さらに、プロセス300を、印字ヘッドからインク滴を受け取るために、媒体シート上の様々な場所を用いて繰り返してもよい。プロセス300を、異なる様々な長さの媒体シートを用いて繰り返してもよい。動作中に、印刷システムがプロセス300を実施して、部品の磨耗ゆえの抗力の変化および位置合わせエラーを確認する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷域においてプロセス方向に配置された第1印字ヘッドおよび第2印字ヘッドであって、前記第2印字ヘッドは前記印刷域において前記第1印字ヘッドから前記プロセス方向に位置付けられている、前記第1印字ヘッドおよび前記第2印字ヘッドと、
前記第1印字ヘッドおよび前記第2印字ヘッドを通ってプロセス方向に少なくとも1つの媒体シートを運搬するように構成されたシート運搬装置と、
前記シート運搬装置に作動的に接続され、前記印刷域上で前記シート運搬装置を所定の速度で移動させるように構成された作動装置と、
前記シート運搬装置上の少なくとも1つの媒体シートに応じて信号を発生させるように構成された媒体センサであって、前記媒体シートは前記媒体センサを通ってプロセス方向に移動する、前記媒体センサと、
前記印刷域における前記シート運搬装置を引き付けるように位置合わせされた部材であって、少なくとも1つの媒体シートに力を加えて、前記媒体シートを前記シート運搬装置に寄せ、前記シート運搬装置を前記部材に寄せるように構成され、前記シート運搬装置は、前記部材の第1端部を通って、および、印刷域上で、少なくとも1つの媒体シートを運搬するように構成されている、前記部材と、
前記複数の印字ヘッド、前記作動装置、前記媒体センサ、および、メモリに作動的に接続されている制御装置とを含み、
前記制御装置は、
前記作動装置を操作して、前記シート運搬装置を前記プロセス方向に前記印刷域上で前記所定の速度で移動させ、
前記部材によってシート運搬装置の方に寄せられるいかなる媒体シートもない場合に、前記印刷域において前記シート運搬装置に加えられる第1抗力を確認し、
前記シート運搬装置が1つの媒体シートを運搬するとき、前記印刷域において前記シート運搬装置に加えられる第2抗力を確認し、前記媒体シートの全体は前記部材によってシート運搬装置の方に寄せられるものであり、
前記メモリに前記第1抗力に応じた値を記憶し、
前記メモリに前記第2抗力に応じた値を記憶するように構成されている、インクジェット印刷システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記媒体シートの長さにしたがって、前記メモリの前記第2抗力に応じた前記値を記憶する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御装置はさらに、
前記シート運搬装置が印刷域上で前記媒体シートの少なくとも一部分と他の媒体シートとを運搬するときに、前記印刷域の前記シート運搬装置に加えられる第3抗力を確認し、前記媒体シートの前記少なくとも一部分および前記他の媒体シートは、前記部材によって前記シート運搬装置に寄せられ、
前記印刷域の媒体シートの数にしたがって、前記メモリの前記第3抗力に応じた値を記憶するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
さらに、
電気増幅器を含み、前記増幅器は、前記作動装置に電流を供給するように構成されており、前記制御装置は、前記電気増幅器に作動的に接続されており、前記電気増幅器によって前記作動装置に供給される前記電流を調節するための制御信号を発生させるように構成されており、前記制御装置は、
前記部材によってシート運搬装置の方に寄せられるいかなる媒体もない場合に前記制御信号を測定し、
前記制御信号に応じて前記作動装置の第1トルクを確認し、
前記第1トルクにしたがって、前記第1抗力を確認し、
前記媒体シートの全体が前記部材によって前記シート運搬装置の方に寄せられるときに、第2制御信号を測定し、
前記第2制御信号に応じて前記作動装置の第2トルクを確認し、
前記第2トルクにしたがって前記第2抗力を確認するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
さらに、
前記印刷域に位置合わせされ、前記印刷域の前記光学センサを通過する媒体シート上のインクから反射される光に応じて、信号を発生させるように構成された、光学センサを含み、前記制御装置は、前記光学センサに作動的に接続されており、
前記第1印字ヘッドを操作して、印刷域上を移動する媒体シートの所定の場所にインクを吐出し、
前記第2印字ヘッドを操作して、前記媒体シートの前記所定の場所にインクを吐出し、
前記媒体シートの前記第1印字ヘッドからの前記インクの場所および前記第2印字ヘッドからの前記インクの場所に応じて、前記光学センサから信号を受信し、
前記信号にしたがって、前記第1印字ヘッドから吐出された前記インクと前記第2印字ヘッドから吐出された前記インクとの間の、前記第1媒体シートにおける前記インクの位置合わせの差を測定し、
前記位置合わせの差にしたがってシート運搬装置の変位を確認し、
前記シート運搬装置の変位および複数のシート運搬装置パラメータにしたがって、前記第2抗力を確認するように構成されている、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2013−32007(P2013−32007A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−153506(P2012−153506)
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】