説明

包装シートおよびマスク包装体

【課題】マスクに化粧液を含浸させる際にパレットを用意する必要がなく、しかもマスクに含浸した化粧液の落下による化粧台や床、着衣等の汚染を容易に防止できる包装シートおよびマスク包装体を提供する。
【解決手段】本発明の包装シート10は、顔面パック用マスク20を包装するためのものであり、片面が防水面であり、防水面の中央にマスク配置部11を有し、マスク配置部11の周囲の部分をマスク配置部11側に折り返すための折り返し用線が形成され、折り返し用線は、展開した後に折り目が残留する。本発明のマスク包装体1は、前記包装シート10のマスク配置部11に顔面パック用マスク20が配置され、包装シート10のマスク配置部11の周囲の部分が、前記折り返し用線にて前記顔面パック用マスク20を覆うようにマスク配置部11側に折り返されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容に用いられる顔面パック用マスクを包装するための包装シートに関する。また、美容に用いられる顔面パック用マスクが包装されたマスク包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
顔面パック用のマスクは、例えば、特許文献1に記載されているように、折り畳まれて化粧液と共に袋内に収納され、マスクに化粧液が含浸された状態で消費者に販売されている。また、特許文献2に記載されているように、スティック状に巻き回されて袋内に収納され、化粧液とは別個に消費者に販売されることもある。
【特許文献1】特開2006−312476号公報
【特許文献2】特開平10−81612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の方法でマスクを収納した場合には、化粧液が含浸されたマスクを袋から取り出して顔面に密着させることになるが、袋から取り出した後に化粧液がマスクから垂れ落ちて、化粧台、カーペットを含む床、着衣等を汚してしまうことがあった。
また、特許文献2に記載の方法でマスクを収納した場合には、マスクを袋から取り出した後に化粧液を含浸させることになるが、マスクに化粧液を含浸させる際には、そのためのパレット(容器)を用意しなければならない。パレットを用意できない場合には、例えば、掌の上で含浸させることになるが、掌の上で含浸させると、掌にも化粧液が染みこんでしまうため、無駄になる。また、化粧液によって掌がべとつくことがあった
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、マスクに化粧液を含浸させる際にパレットを用意する必要がなく、しかもマスクに含浸した化粧液の落下による化粧台や床、着衣等の汚染を容易に防止できる包装シートおよびマスク包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 顔面パック用マスクを包装するための包装シートであって、
片面が防水面であり、
該防水面の中央に、顔面パック用マスクが配置されるマスク配置部を有し、
該マスク配置部とその周囲の部分との境界に、マスク配置部の周囲の部分をマスク配置部側に折り返すための折り返し用線が形成され、該折り返し用線は、展開した後に折り目が残留することを特徴とする包装シート。
[2] 折り返し用線が易折曲加工されている[1]に記載の包装シート。
[3] [1]または[2]に記載の包装シートにより顔面パック用マスクが包装されたマスク包装体であって
前記包装シートのマスク配置部に顔面パック用マスクが配置され、
包装シートのマスク配置部の周囲の部分が、前記折り返し用線にて前記顔面パック用マスクを覆うようにマスク配置部側に折り返されていることを特徴とするマスク包装体。
【発明の効果】
【0005】
本発明の包装シートおよびマスク包装体によれば、マスクに化粧液を含浸させる際にパレットを用意する必要がなく、しかもマスクに含浸した化粧液による化粧台、カーペットを含む床、着衣等の汚染を容易に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<包装シート>
本発明の包装シートの一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の包装シートを示す。この包装シート10は、顔面パック用マスク(以下、マスクと略す。)を包装するものであり、略正方形で、片面が防水面10aになっており、図2に示すように、マスク20よりも大きいものである。
【0007】
また、本実施形態の包装シート10では、易折曲加工された易折曲線が格子状に形成されている。具体的には、包装シート10の一辺(辺A)に対して平行に第1の易折曲線13aおよび第2の易折曲線13bが形成され、辺Aに対して垂直に第3の易折曲線13cおよび第4の易折曲線13dが形成されている。
易折曲線13a,13b,13c,13dを形成するための易折曲加工としては、例えば、ミシン目加工、折り筋加工などが挙げられる。
ミシン目加工の方法としては、例えば、包装シート10の、防水面10aと反対側の面10bの、折り返し予定の位置にミシン刃を当てる方法などが挙げられる。折り筋加工の方法としては、例えば、包装シート10の、折り返し予定の位置に、鋭利でない金属刃を押し付けて折り筋を形成する方法などが挙げられる。
【0008】
本実施形態においては、辺Aから第1の易折曲線13aまでの長さ、第2の易折曲線13bから辺Aに対向する辺Bまでの長さが同一にされている。第1の易折曲線13aから第2の易折曲線13bまでの長さは、辺Aから第1の易折曲線13aまでの長さ、第2の易折曲線13bから辺Bまでの長さよりわずかに長くなっている。
また、辺Cから第3の易折曲線13cまでの長さ、第4の易折曲線13dから辺Cに対向する辺Dまでの長さが同一にされている。第3の易折曲線13cから第4の易折曲線13dまでの長さは、辺Cから第3の易折曲線13cまでの長さ、第4の易折曲線13dから辺Dまでの長さよりわずかに長くなっている。
【0009】
ここで、包装シート10の、辺Aから第1の易折曲線13aまでの部分をシート構成部α、第1の易折曲線13aから第2の易折曲線13bまでの部分をシート構成部α、第2の易折曲線13bから辺Aに対向する辺Bまでの部分をシート構成部αと称する。また、辺Cから第3の易折曲線13cまでの部分をシート構成部β、第3の易折曲線13cから第4の易折曲線13dまでの部分をシート構成部β、第4の易折曲線13dから辺Cに対向する辺Dまでの部分をシート構成部βと称する。
シート構成部α,αの幅は同等で、シート構成部αの幅はシート構成部α,αより広くなっている。また、シート構成部β,βの幅は同等で、シート構成部βの幅はシート構成部β,βより広くなっている。各シート構成部α,α,α、β,β,βがこのような幅になっていることにより、マスク20を容易に包装できるようになっている。
【0010】
このように易折曲線13a,13b,13c,13dが形成された本実施形態の包装シート10では、防水面10a側の、シート構成部αかつシート構成部βである略正方形の部分が、マスクが配置されるマスク配置部11になっている。
また、易折曲線13a,13b,13c,13dの、マスク配置部11とその周囲の部分12(以下、周囲部12という。)の境界の部分が、防水面10aを内側にして周囲部12をマスク配置部11側に折り返すための折り返し用線になっている。この折り返し用線は、包装を解くために包装シートを展開した後に折り目が残留するものである。
【0011】
また、本実施形態の包装シート10においては、その縁部の、第1の易折曲線13aの両端側の部分と、第3の易折曲線13cおよび第4の易折曲線13dの辺B側の部分とに、折り畳んだ際にかどが丸みを帯びるような切り欠き14が各々形成されている。
また、包装シート10においては、辺Bと辺C,Dとによって形成される隅部15が丸みを帯びるように加工されている。
このような切り欠き14の形成や隅部15の加工によって、包装シート10を折り畳んだ際の意匠性が向上するようになっている。
【0012】
本実施形態における包装シート10の材質は、紙類の片面に樹脂製の防水層が形成された積層シートである。このような積層シートでは、折り癖がより付きやすく、また、意匠性を高くできるようになる。
ここで、防水層を形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。この積層シートにおいては、防水層の表面が防水面10aになる。
【0013】
(作用効果)
以上説明した包装シート10は、後述するように、マスク配置部11の防水面10aが上に向けられた状態で易折曲線13a,13b,13c,13dにて折り返されて使用される。
包装シート10は、易折曲線13a,13b,13c,13dにて折り返された後には、包装を解くために展開した後に折り目が残留して、マスク配置部11が底部の内面になるように包装シート10に折り癖が付いている。このように折り癖の付いた包装シート10では、マスク配置部11に液体を滴下した際にその液体がマスク配置部11から流れ出にくい。また、防水面10a上に滴下された液体は内部に浸透しにくい。したがって、包装シート10を、化粧液をマスクに含浸させる際のパレットとして用いることができ、パレットを別途用意する必要がない。
また、包装シート10を、化粧液が含浸されたマスクを顔面に密着させる際に、顔面の下方の化粧台や床、着衣等の上に配置して防汚シートとして利用することもできる。
【0014】
<マスク包装体>
本発明のマスク包装体の一実施形態について説明する。
図3および図4に、本実施形態のマスク包装体を示す。本実施形態のマスク包装体1は、包装シート10によりマスク20が包装されたものである。具体的には、包装シート10のマスク配置部11に、折り畳まれたマスク20が配置されている。また、そのようにマスク20が配置された状態で、包装シート10の周囲部12が、易折曲線13a,13b,13c,13dにて、防水面10aを内側としてマスク20を覆うようにマスク配置部11側に折り返されている。このように、包装シート10が折り畳まれることにより、マスク20が包装されている。
【0015】
(マスク)
マスク包装体1を構成するマスク20は、顔面の形状に対応した輪郭を有し、顔面に密着可能な立体形状になるように調整するための切り込みが形成されたものである。
マスク20の材質としては、例えば、不織布、発泡シート、織物、組物などが挙げられる。
【0016】
(包装方法)
上記マスク包装体1を得るためのマスク20の包装方法の具体例について説明する。
まず、図5に示すように、防水面10aが上に向くように包装シート10を配置し、防水面10aの、シート構成部αかつシート構成部βであるマスク配置部11に、折り畳んだマスク20を載せる。
次いで、図6に示すように、包装シート10のシート構成部αを、シート構成部αに重なるように、防水面10aを内側にして第1の易折曲線13aにて折り返す。
次いで、図7に示すように、シート構成部αとシート構成部αが重なった部分の、第1の易折曲線13a側の一方の隅部16を、シート構成部α側を内側にして折り返す。
次いで、図8に示すように、シート構成部αを、シート構成部αに重なるように、防水面10aを内側にして第2の易折曲線13bにて折り返す。
次いで、図9に示すように、シート構成部βを、シート構成部βに重なるように、第3の易折曲線13cにて折り返す。
次いで、図10に示すように、シート構成部βを、シート構成部βに重なるように、第4の易折曲線13dにて折り返す共に、シート構成部βを、シート構成部βにおけるシート構成部α,αとシート構成部αの間に差し込む。
これにより、図1および図2に示すような、マスク包装体1を得る。
【0017】
(作用効果)
上記のように包装シート10が折り畳まれたマスク包装体1では、マスク20を取り出すために、折り畳まれた包装シート10を展開すると、折り目が残留して、マスク配置部11が底部になるように包装シート10に折り癖が付き、かつ、防水面10aが上になる。このように展開した包装シート10では、マスク配置部11に液体を滴下した際にその液体がマスク配置部11から流れ出にくく、また、防水面10aによって内部に浸透しにくくなっている。したがって、化粧液をマスク20に含浸させる際のパレットとして用いることができるから、パレットを別途用意する必要がない。
展開した包装シート10をパレットとして使用する具体的な方法としては、例えば、防水面10aのマスク配置部11にあるマスク20に化粧液を滴下して含浸させる方法が挙げられる。
【0018】
ところで、本発明においても、化粧液を含浸させたマスク20を顔面に密着させる際には化粧液がマスク20から垂れ落ちる。しかし、本実施形態のマスク包装体1では、包装を解いて展開した包装シート10を防汚シートとして用いることができる。具体的には、化粧液が含浸されたマスク20を顔面に密着させる際に、顔面の下方に、展開した包装シート10を配置することで、防汚シートとして利用することができる。したがって、上記マスク包装体1によれば、化粧液がマスク20から垂れ落ちても展開した包装シート10によって受け止めることができるため、化粧台や床、着衣等が汚れることを容易に防止できる。
【0019】
(他の実施形態)
なお、本発明のマスク包装体は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、包装シート10に折り返し用線が易折曲加工されていたが、易折曲加工されていなくてもよい。易折曲加工されていない場合の折り返し用線としては、例えば、印刷による目印線などが挙げられる。しかし、周囲部12を容易に折り返すことができる点では、易折曲加工されていることが好ましい。
また、本発明では、包装シート10に切り欠き14が形成されていなくてもよいし、包装シート10は隅部15に丸みが帯びるように加工されていなくてもよい。
【0020】
また、上記実施形態における包装シート10は略正方形であったが、例えば、正方形以外の四角形、三角形、五角形、六角形、八角形、円形などであってもよい。また、包装シート10のマスク配置部11も略正方形であったが、例えば、正方形以外の四角形、三角形、五角形、六角形、八角形、円形などであってもよい。
また、本発明では、包装シートの少なくとも片面が防水面になっていればよく、具体的には、両面が防水面であっても構わない。両面が防水面の包装シートとしては、例えば、樹脂製のシート、紙類の両面に樹脂製の防水層が形成された積層シートなどが挙げられる。両面が防水面の包装シートにおいては、片側の防水面にマスク配置部を有する。
【0021】
本発明のマスク包装体は、マスク以外のものも同梱されていてもよい。例えば、化粧液が封入された袋体が同梱されていてもよい。
また、本発明のマスク包装体においては、化粧液が封入された袋体が、折り畳まれた包装シートの間に差し込まれて、マスク包装体とセットにされていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の包装シートの一実施形態を示す上面図である。
【図2】包装シートの大きさとマスクの大きさを比較した図である。
【図3】本発明のマスク包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3のI−I’断面図である。
【図5】図3に示すマスク包装体を得るためのマスク包装方法の一工程を示す斜視図である。
【図6】図3に示すマスク包装体を得るためのマスク包装方法の一工程を示す斜視図である。
【図7】図3に示すマスク包装体を得るためのマスク包装方法の一工程を示す斜視図である。
【図8】図3に示すマスク包装体を得るためのマスク包装方法の一工程を示す斜視図である。
【図9】図3に示すマスク包装体を得るためのマスク包装方法の一工程を示す斜視図である。
【図10】図3に示すマスク包装体を得るためのマスク包装方法の一工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 マスク包装体
10 包装シート
10a 防水面
11 マスク配置部
12 周囲部(マスク配置部の周囲の部分)
13a 第1の易折曲線(易折曲線)
13b 第2の易折曲線(易折曲線)
13c 第3の易折曲線(易折曲線)
13d 第4の易折曲線(易折曲線)
14 切り欠き
15 隅部
20 マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面パック用マスクを包装するための包装シートであって、
片面が防水面であり、
該防水面の中央に、顔面パック用マスクが配置されるマスク配置部を有し、
該マスク配置部とその周囲の部分との境界に、マスク配置部の周囲の部分をマスク配置部側に折り返すための折り返し用線が形成され、該折り返し用線は、展開した後に折り目が残留することを特徴とする包装シート。
【請求項2】
折り返し用線が易折曲加工されている請求項1に記載の包装シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装シートにより顔面パック用マスクが包装されたマスク包装体であって
前記包装シートのマスク配置部に顔面パック用マスクが配置され、
包装シートのマスク配置部の周囲の部分が、前記折り返し用線にて前記顔面パック用マスクを覆うようにマスク配置部側に折り返されていることを特徴とするマスク包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−96470(P2009−96470A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266497(P2007−266497)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(591025772)株式会社 イトウ (6)
【Fターム(参考)】