説明

包装容器

【課題】水分を含み水蒸気が発生しやすい食品を収容しても、容器内の水蒸気及び結露水を効率よく外部へ放出できる包装容器を提供する。
【解決手段】包装容器は、収容凹部2の側壁部10の周縁部に沿って形成された規制壁部(又は堰部)12とフランジ部13とを備えた容器本体1と、傾斜側壁部25とフランジ部26とを備えた蓋体21とを有し、容器本体1のフランジ部13は、規制壁部12の下端から延びる平坦部14と下降部15とを備えている。規制壁部12から容器本体1及び蓋体21のフランジ部13,26間の端部には通気部(凹溝)19が延びており、蓋体21の側壁部25の下端部は、嵌合状態において、規制壁部12から離れて容器本体1の平坦部14に位置している。蓋体21の天壁23及び傾斜側壁部25を伝って流下する結露水は、平坦部14に案内され、毛細管現象を利用して、フランジ部13,26間に形成された流路を経て外部へ放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を含む食品、例えば、菓子類、パン類、ご飯、総菜、弁当、加工食品(たこ焼き、シュウマイ、蒸かし饅頭など)、冷凍食品などの食品を包装するのに適したプラスチック製包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子、総菜、果物、弁当、冷凍食品などの包装容器として、収容部を有する容器本体と、この容器本体の収容部を覆う蓋体とで構成されたプラスチック製包装容器が広く利用されている。この包装容器で水分を含む食品を密封状態で包装すると、食品から揮散した水蒸気が蓋体の内面に付着して結露し、容器本体内に落下し、食品の商品価値を低下させる場合がある。そのため、水蒸気に起因する問題を解決するため、通気口や隙間を形成した容器、結露水を貯留する凹溝や凹部を形成した容器が提案されている。
【0003】
実用新案登録第3108145号公報(特許文献1)には、たこ焼きなどの蒸気のでやすい食品の包装に関し、容器本体と蓋の両周縁部に互いに対面可能な鍔部を形成し、結露水を両側縁部に流すため、蓋の天面の中央部を頂部として、頂部から対向両側縁部に向かって下り傾斜面を形成し、容器外に水蒸気又は結露水を放出するため、容器本体の鍔部に周方向に断続的に凸部を形成するとともに、蓋の鍔部に、閉蓋状態において容器本体の上記凸部に対向する凸部を形成し、凸部同士が接合した状態で凸部外の両鍔部間に空隙を維持して閉蓋する包装用容器が開示されている。しかし、容器本体の鍔部の周方向に断続的に形成した凸部と蓋の鍔部に形成した凸部とを突き合わせて閉蓋するため、凸部に隣接する部位に間隙が生じ、気密性が損なわれる。そのため、包装した状態で食品を保存すると、包装容器内の食品が汚染される可能性がある。
【0004】
特許第2981153号公報(特許文献2)には、水分を含み水蒸気を発生しやすい食品の包装容器に関し、周辺部と、断面ほぼ台形形状に膨らみのある蓋部と、この蓋部に開設した複数の通気孔とを備えた蓋体と、上記蓋部で容器部の開口を覆った状態で、上記蓋体の周辺部と上記容器部の開口縁との間に、包装容器の内部に連通する吸気口を形成し、蓋部の曇りや水滴の付着を防止する包装容器が開示されている。しかし、通気口と吸気口とを有するため、この包装容器でも、気密性が損なわれ、包装容器内の食品が汚染される可能性がある。また、食品を表示するためのシールを蓋部に貼着すると、通気孔の機能が阻害される。
【0005】
特開2010−18312号公報(特許文献3)には、食品を載置する底部の外周から起立し、少なくとも上端部に内側へ先下りした上向きの傾斜面が形成された周壁部を備えた容器本体と、少なくとも底部と対向する蓋本体部と、蓋本体部の外周から下方に向けて延出した環状垂下部とを備えた蓋体とを備え、環状垂下部を周壁部の上端部に外嵌合して容器本体の上部を蓋体で覆う食品用包装容器が開示されている。この文献には、前記蓋本体部に、前記傾斜面に当接可能な複数の凸部が周方向に間隔をあけて形成し、前記容器本体の周壁部には、傾斜面に対する凸部の当接位置よりも内側の位置に貯液用凹部を形成することが記載されている。しかし、蓋本体部に複数の凸部を周方向に形成し、容器本体の周壁部に貯液用凹部を形成するため、構造が複雑化する。
【0006】
実用新案登録第2560410号公報(特許文献4)には、収納部を囲む周縁に保水凹溝を形成した多角形状の容器本体と、この容器を閉塞し、かつ四側辺中央部に水蒸気を逃がすための通気孔を設けたドーム形状の蓋体とからなる弁当容器において、前記蓋体の角部の内面下端を前記容器本体の四隅の広幅の保水凹溝の外側に位置させて嵌合させ、蓋体を四隅の角部に向って曲率を有するドーム形状に形成することにより、蓋体の内面に付着した結露水を四隅方向に集め、蓋体の四隅内面に流れ込んだ結露水を、容器本体の四隅に形成した広幅の保水凹溝に集め、過剰な結露水を容器本体の直線部分の保水凹溝に流すことにより、食品の収容部に流入することを防止する弁当容器が開示されている。
【0007】
特開平9−255067号公報(特許文献5)には、食品を収納する深皿形の外縁を外方向に立上げて内周縁とし、この内周縁を外側に折返して水滴流れ溝を周設し、この水滴流れ溝を挟んで上記内周縁より高さの高い外周縁を形成した容器本体と、天面を中央部から緩やかな曲線状に形成し、この曲線の延長先に容器本体の外周縁の縁部に嵌着する係合部を周設した蓋体とからなり、蓋体の係合部内側が、水滴流れ溝の外周縁に当接して容器本体に蓋体を被着した包装容器が開示されている。この文献には、容器本体の内周縁に蓋体方向に突出した縁部と、この縁部から所定間隔離れて起立する外周縁とで水滴流れ溝を形成し、この外周縁から横方向の延びる上縁部を形成し、蓋体の係合部を、蓋体の外周部を起立させた起立部と、この起立部から横方向の延びる裾部とで形成し、上記起立部の外壁を容器本体の外周縁に接触させて嵌着し、容器本体の上縁部と蓋体の裾部とを接触させた形態も記載されている。
【0008】
特開2003−63573号公報(特許文献6)には、容器本体の周壁の上部に周壁を外方へ折り返して凹部を周設し、容器本体に蓋体を装着した状態で、頂部から下方傾斜した蓋体の周壁が前記凹部の内側縁部に狭い空隙を保持する食品包装容器が開示されている。この容器では、内壁の水滴を前記空隙の毛細管現象により前記凹部に案内している。
【0009】
しかし、特許文献3〜6に開示された包装容器では、貯液用凹部などの凹部に結露水を貯留するため、結露水を効率よく外部へ放出できない。そのため、貯液用凹部の結露水にカビが発生する可能性があり、安全衛生上、好ましくない。特に、高い密閉状態を維持しつつ、容器内で結露した水蒸気を有効に外部へ排出できない。そのため、水分を含み水蒸気が発生しやすい食品、特に、温かい(又は加熱)状態で包装容器内に収容して包装し、冷却又は凍結させる食品では、容器内に結露水が生じやすくなるため、このような食品の食感及び商品価値を損ないやすい。中でも、水滴痕が表面に表れやすい和菓子などの食品、例えば、きな粉、片栗粉、粉砂糖などの粉末を表面に付着させた食品(例えば、きな粉餅など)では、外観品質及び商品価値を損ないやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実用新案登録第3108145号公報(請求項1,段落[0012])
【特許文献2】特許第2981153号公報(請求項1、図1及び図2)
【特許文献3】特開2010−18312号公報(請求項1)
【特許文献4】実用新案登録第2560410号公報(請求項1,段落[0011])
【特許文献5】特開平9−255067号公報(請求項1,段落[0057]、図6)
【特許文献6】特開2003−63573号公報(請求項1,図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、容器内の水蒸気及び結露水を効率よく外部へ放出できる包装容器を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、高い密閉状態を維持しつつ、容器内の水蒸気及び結露水を効率よく外部へ放出でき、カビなどの微生物の発生又は増殖を抑制しつつ、包装容器内の食品が汚染されるのを有効に防止できる包装容器を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、水分を含み水蒸気が発生しやすい食品を、温かい状態で包装容器内に収容して包装し、冷却又は凍結させても、結露水による食品の外観品質及び商品価値を低下させることのない包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、容器本体のフランジ部に、容器本体の側壁部から全周に亘って立ち上がる規制壁部(又は閉じた又はループ状の堰部、凸条リブ)を形成し、この規制壁部に通気部を形成すると、通気により容器内の水蒸気を排出できること、前記規制壁部から少なくとも横方向に延びる平坦部を形成し、蓋体の傾斜側壁部の下端部を、嵌合状態において、容器本体の壁部から離れて容器本体のフランジ部の平坦部に位置させて、容器本体及び蓋体のフランジ部間に、毛細管現象により水が流入可能な間隙を形成すると、蓋体の傾斜側壁部を伝って流下する結露水を前記壁部と蓋体の傾斜側壁部の下端部との間(すなわち、毛細管の入口)に案内できるとともに、毛細管現象により容器本体及び蓋体の平坦部の間隙を通じて外部へ放出できることを見いだし、本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明の包装容器は、収容凹部から立ち上がる側壁部と、この側壁部の周縁部に沿って全周に亘って蓋体方向に突出して形成された規制壁部(又は堰部、凸条リブ)と、この規制壁部の下端から延びるフランジ部とを備えた容器本体と、閉じ状態で、全体として上方向に膨出した形状を有し、下方にいくにつれて外部側方に拡がって傾斜した側壁部と、この側壁部の周縁部から延びるフランジ部とを備え、かつ前記容器本体に対して嵌合可能な蓋体とを有する。このような包装容器では、膨出した形状の蓋体及び傾斜側壁部により結露水が容器本体内に滴下するのを防止できるとともに、結露水を蓋体及び傾斜側壁部を伝って流下させることができる。特に、容器本体の側壁部の周縁部に沿って全周に亘り形成された規制壁部(又は堰部、凸条リブ)により、流下する結露水が容器本体内に流入するのを規制できる。
【0016】
前記容器本体のフランジ部は、結露水を下方へ案内するための、側壁部の周縁部に沿って形成された規制壁部(又は堰部、凸条リブ)の下端から横方向に延びる平坦部と、この平坦部から下降する下降部とを備えている。そして、前記収容凹部と外部とを連通するための通気部が、前記規制壁部から前記容器本体と蓋体とのフランジ部間の端部に延びており、前記蓋体の側壁部の下端部が、嵌合状態において、容器本体の壁部から離れて容器本体のフランジ部の平坦部に位置している。そのため、通気部を利用して、容器内で発生した水蒸気を外部へ排出できるとともに、蓋体の傾斜側壁部を伝って流下する結露水を、容器本体の壁部(又は堰部、凸条リブ)と蓋体の側壁部の下端部との間の平坦部に案内できる。容器本体の壁部(又は堰部、凸条リブ)と蓋体の側壁部の下端部との間(隙間)は毛細管の入口を形成する。さらに、前記容器本体のフランジ部と前記蓋体のフランジ部との間には、前記平坦部に連なって、毛細管現象により水を外部へ排出又は放出するための流路(又は隙間)が形成されている。そのため、容器本体の壁部(又は堰部、凸条リブ)と側壁部の下端部との間の平坦部に案内された結露水は、毛細管現象により、前記容器本体及び蓋体のフランジ部の平坦部及び下降部の間の間隙部を通じて、外部へ放出される。
【0017】
なお、容器本体のフランジ部は、前記壁部の下端から横方向に延びる平坦部と、この平坦部から断面L字状の形態で下降する下降部とを備えていてもよい。また、前記通気部は、前記壁部から容器本体のフランジ部及び/又は蓋体のフランジ部に延びる複数の凹溝、例えば、前記壁部から前記容器本体と蓋体とのフランジ部間の端部に延びて開口する複数の凹溝で形成してもよい。このような形態の通気部及びフランジ部を形成すると、容器内の水蒸気を効率よく排出できるとともに、毛細管現象を利用して、結露水を下流方向の下降部に流すことができる。なお、前記蓋体のフランジ部は、前記容器本体のフランジ部(平坦部及び下降部)と所定の間隙をおいて(すなわち、毛細管現象により水が流入可能な間隙をおいて)、前記容器本体の平坦部及び下降部に対応する形状、すなわち、前記側壁部の下端部から横方向に延びる平坦部と、この平坦部から断面L字状の形態で屈曲して下降する下降部とを有していてもよい。
【0018】
さらに、蓋体は、周縁部に行くにつれて下方に傾斜した天壁(天面又は膨出部)と、この天壁(又は膨出部)の周縁部から下方にいくにつれて外部側方に拡がって傾斜して延びる側壁部(傾斜側壁部)とを備えていてもよい。容器本体と蓋体との嵌合部位は、適所に形成でき、例えば、容器本体の下降部の外側の側壁部と、この側壁部に対応する蓋体の下降部の内側の側壁部とに、周方向に所定間隔をおいて嵌合部を形成してもよい。さらに、容器本体と蓋体とはヒンジ部を介して接続されていてもよく、例えば、容器本体と蓋体とが、嵌合又は閉じ状態で、内側が開放した断面C字状の連結部を形成可能なヒンジ部を介して接続されていてもよい。このヒンジ部に隣接する壁部には、断面C字状のヒンジ部の中空部と通じる通気部(又は凹溝)を形成してもよい。このような通気部(又は凹溝)を形成すると、嵌合又は閉じ状態でもヒンジ部を通じて容器内に気流を導入又は排出でき、容器内に水蒸気が蓄積するのを防止できる。なお、容器本体の壁部と蓋体の側壁部の下端部との距離は、0.1〜10mm程度であってもよく、蓋体には、容器本体に対する支持部を形成してもよく、複数のリブ(補強用リブ)を形成してもよい。
【0019】
より具体的には、本発明の包装容器は、容器本体と蓋体とが、嵌合又は閉じ状態で、内側が開放した断面C字状の連結部を形成可能なヒンジ部を介して接続された平面形状が四角形状の包装容器であってもよく、容器本体の側壁部の周縁部に沿って四角枠状の形態で壁部(又は堰部)が形成され、容器本体のフランジ部が四角枠状の壁部の下端から横方向に延びる平坦部と、この平坦部から断面L字状の形態で下降する下降部とを備えていてもよい。前記四角枠状の壁部から前記容器本体及び蓋体のフランジ部間の端部に延びて開口する複数の凹溝を形成してもよく、前記蓋体の側壁部の下端部は、通常、嵌合状態において、容器本体の壁部から外側に離れて容器本体の平坦部に位置している。また、前記容器本体のフランジ部と前記蓋体のフランジ部との間には、前記容器本体の平坦部に流下した水を毛細管現象により外部へ排出するための流路(又は隙間)を形成できる。蓋体のフランジ部は、毛細管現象により水が流入可能な形態で、前記容器本体の平坦部及び下降部に対応する形状に形成してもよい。さらに、容器本体と蓋体とのコーナー部の下降部の側壁部に凹凸嵌合部を形成してもよい。さらには、前記四角枠状の壁部のうち両側部の壁部と前記ヒンジ部に隣接する壁部とにそれぞれ凹溝を形成してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、容器本体の壁部を横断して前記容器本体と蓋体とのフランジ部間に延びる通気部を形成し、前記蓋体の側壁部の下端部を、嵌合状態において、容器本体の壁部から離れて容器本体の平坦部に位置させることにより、蓋体の傾斜壁面を利用して結露水を流下させ、毛細管現象により外部に放出できる。そのため、容器内の水蒸気及び結露水を効率よく外部へ放出できる。特に、比較的高い密閉状態を維持しつつ、容器内の水蒸気及び結露水を効率よく外部へ放出でき、カビなどの微生物の発生又は増殖を抑制でき、包装容器内の食品の汚染を有効に防止できる。中でも、水分を含み水蒸気が発生しやすい食品を、温かい状態で包装容器内に収容して包装し、冷却又は凍結させても、結露水による食品の外観品質及び商品価値を低下させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明の包装容器の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図2は展開状態の図1の包装容器を示す概略展開図である。
【図3】図3は図2に示す包装容器のIII-III線断面図である。
【図4】図4は閉じ状態の図1の包装容器を示す概略断面図である。
【図5】図5は閉じ状態の図1の包装容器のフランジ部を示す概略拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0023】
図1には、プラスチックシートの熱成形(圧空成形など)により形成され、食品(きな粉餅などの和菓子)を収容・包装するための包装容器が図示されている。この包装容器は、平面形状が四角形状に形成され、容器本体(四角形状の容器本体)1と、この容器本体に対して嵌合可能な蓋体(四角形状の蓋体)21と、容器本体1と蓋体21とを接続(又は連結)するヒンジ部41とを備えている。
【0024】
前記容器本体1は、コーナー部が面取りされた四角形状の平面形状を有する形態の収容凹部2と、この収容凹部から立ち上がる側壁部10と、この側壁部の周縁部(上縁部)に沿って四角枠状の形態で突出して形成された規制壁部(屈曲した壁部、堰部又は凸条リブ)12と、この規制壁部の下端から延びるフランジ部13とを備えている。この例では、高さ0.7〜1.3mm及び幅0.7〜1.3mm程度の規制壁部(堰部又は凸条リブ)12が、前記側壁部10の周縁部又は平坦部の内周部から突出した形態で四角枠状に形成されている。前記容器本体1の収容凹部2は、複数の食品(この例では、4つの和菓子)を区画して収容するため、十字状に形成された仕切り壁3により区画され、各収容区画部2aには、食品が密着又は付着するのを防止するため、所定間隔をおいて複数の線状凸部4が並列に形成されている。また、各収容区画部2aのうち、側壁部10に隣接する部位には側壁部10に沿って長細状の凹部5が凹設され、容器本体1の脚部6を形成している。なお、上記十字状仕切り壁3の交差部には、円錐台状の突出部7が形成され、この突出部の頂部には凹部8が形成されている。
【0025】
また、容器本体1の側壁部10は、開口部方向に行くにつれて側部方向に傾斜して形成されている。また、容器本体1の側壁部10の内面には、収容凹部2の長細状の凹部5を横断して縦方向に延びる複数の線状凹部(又は線状リブ)11が形成されている。
【0026】
前記容器本体1のフランジ部13は、前記四角枠状の規制壁部12の下端(規制壁部12の外部側壁の下端)から横方向に延びる平坦部14と、この平坦部から断面L字状の形態で下降する下降部15とを備えており、この下降部は、平坦部14から延びる傾斜部16と、この傾斜部を経て垂下する垂下側壁部17と、この垂下側壁部から横方向に延びる延出平坦部18とを備えている。なお、前記フランジ部13の平坦部14のコーナー部は、平面形状においてアール状に湾曲しおり、平坦部14のアール状の周縁部からは傾斜部16を経て前記垂下側壁部17が垂下している。
【0027】
そして、包装容器内の水蒸気を外部へ放出するため、上記四角枠状の規制壁部12のうち、両側部の規制壁部12と、ヒンジ部41に隣接する規制壁部12とには、それぞれ長手方向の中央部を横断して凹溝(通気部)19が形成され、この凹溝(通気部)19は平坦部14及び下降部15(垂下側壁部17及び延出平坦部18)に延びている。
【0028】
前記蓋体21は、中央部に位置する頂部で凹設され、容器本体1に向かって円錐状に突出する円錐状支持部22と、この円錐状支持部から周縁部に行くにつれて緩やかに下方に傾斜した天壁23と、この天壁の周縁部に隣接して形成された段部24と、この段部から下方に傾斜して(閉じ状態で、下方にいくにつれて側部方向に拡がって傾斜して)延びる傾斜側壁部25と、この側壁部の周縁部から延びるフランジ部26とを備えている。なお、蓋体21の円錐状支持部22の頂部は、閉じ状態において、容器本体1の円錐台状の突出部7に形成された凹部8に位置決めしつつ装着され、円錐状支持部22は容器本体1に対して蓋体21を支持する。また、前記段部24及び傾斜側壁部25の内面には、所定間隔をおいて凸条の複数の補強リブ31が縦方向に形成されている。
【0029】
そして、前記蓋体21の傾斜側壁部25の下端部は、嵌合状態又は閉じ状態において、容器本体1の規制壁部12から所定距離だけ外側に離れて容器本体1のフランジ部13の平坦部14に接触(緩やかに接触)又は近接して位置し、傾斜側壁部25の下端部と平坦部14との隙間は、毛細管の入口を形成している。すなわち、前記蓋体21の側壁部25の下端部は、容器本体1の規制壁部12の外側に隣接して位置し、容器本体1の規制壁部12に対して外嵌合の形態で位置している。この例では、蓋体21の側壁部25の下端部と容器本体1の規制壁部12との間隔(距離)は、0.5〜1.5mm程度に形成されている。
【0030】
さらに、蓋体21のフランジ部26は、毛細管現象により水が流入可能な形態で、前記容器本体1の平坦部14及び下降部15に沿って形成され、前記容器本体1のフランジ部13と前記蓋体21のフランジ部26との間には、毛細管現象により水を外部へ排出するための流路が形成されている。すなわち、蓋体21のフランジ部26は、容器本体1のフランジ部13(平坦部14及び下降部15)と所定の間隙(毛細管現象により水が流入可能な間隙)を空けて、傾斜側壁部25の上端部から横方向に延びる平坦部27と、この平坦部から延び、断面L字状の形態で屈曲して下降する下降部28(垂下側壁部29と延出部30)とを備えている。また、容器本体1の側壁部10に形成された凹溝19は、容器本体1と蓋体21とのフランジ部13,26の間を延びて、容器本体1と蓋体21とのフランジ部13,26間の端部で開口している。なお、蓋体21のフランジ部26の平坦部27も平面形状においてアール状に湾曲しており、閉じ状態において、平坦部27のアール状の周縁部からは前記垂下側壁部が垂下している。
【0031】
また、包装容器は、容器本体1と蓋体21とのコーナー部の下降部15,28の側壁部に凹凸嵌合部32,33が形成されている。すなわち、容器本体1のフランジ部13のコーナー部に形成されたアール状の垂下側壁部17(下降部15の垂下側壁部17)の外壁には、垂下側壁部17の周方向に沿って被嵌合凹部32が形成され、前記容器本体1の垂下側壁部17に対応する蓋体21のアール状の垂下側壁部29(フランジ部13のコーナー部に形成された下降部28の垂下側壁部29)の内壁には、垂下側壁部29の周方向に沿って嵌合凸条部33が形成されている。
【0032】
前記包装容器において、さらに、容器本体1と蓋体21との間に延在するヒンジ部41には、両端部を余して、長手方向に沿って両端部よりも幅が大きな断面U字状の凹部(窪み部)42が形成されている。そのため、全体が細い幅のヒンジ部に比べて、幅の狭い両端部を基点として蓋体21の回動操作を円滑に行うことができ、容器本体1の開口部を蓋体21で閉じた状態又は嵌合状態では、ヒンジ部41により容器の内側が開放した断面C字状の連結部を形成できるとともに、両端部では、前記断面U字状の凹部(窪み部)42の屈曲により形成される断面C字状中空部の内径よりも内径が小さな開口部43を形成できる。
【0033】
なお、ヒンジ部41を利用して容器本体1に対して蓋体21を回動させて容器本体1と蓋体21とを嵌合させた後、容器本体1のフロント側のフランジ部13(延出平坦部18)と蓋体21のフロント側のフランジ部26(延出平坦部)は、スポット溶着などによりシールできる。また、容器本体1のフランジ部13(延出平坦部18)と蓋体21のフランジ部26(延出部30)のコーナー部には、それぞれ、凹凸加工された摘み代18a,30aが形成され、蓋体21の開き操作を容易にするため、蓋体21のフランジ部26(延出部30)の摘み代30aは、容器本体1の摘み代18aに対して、屈曲して遊離している。
【0034】
このような構造を有する包装容器では、出来立ての温かい食品(きな粉餅などの和菓子)を容器本体1の収容凹部2に収容し、容器本体1に対して蓋体21を回動させ、容器本体1の円錐台状の突出部7の凹部8に対して蓋体21の円錐状支持部22の頂部を装着して、容器本体1に対して蓋体21が位置決めしつつ、容器本体1と蓋体21とを嵌合させ、容器本体1のフランジ部13(フロント側の延出平坦部18)と蓋体21のフランジ部26(フロント側の延出平坦部)とをスポット溶着などによりシールした後、急速冷凍して包装し、所定の店舗に食品を運送できる。なお、容器本体1の延出平坦部18と蓋体21の延出部30とをシールしているため、一旦開封すると、再度容易にはシールできないため、既に開封した容器であることが容易に判別でき、不正を防止できる。
【0035】
そして、このような包装容器では、容器内の水蒸気及び結露水を外部に円滑に排出でき、食品の品質を低下させることがない。すなわち、容器本体1の規制壁部12及びフランジ部13(平坦部14及び下降部15)に形成された凹溝(通気部)19を利用して、容器内で発生した水蒸気を外部に排出できる。しかも、閉じ状態でも、ヒンジ部41の両端の開口部43及び断面C字状中空部と、ヒンジ部41に隣接する規制壁部12に形成した凹溝(通気部)19とを連通させることができる。そのため、ヒンジ部41の端部開口部43と容器内とを流通させて容器内の過剰の水蒸気を外部に放出できる。また、蓋体21の天壁23及び傾斜側壁部25を伝って流下する結露水を、容器本体1の規制壁部(又は堰部、凸条リブ)12と傾斜側壁部25の下端部との間の平坦部14に案内できるとともに、規制壁部(又は堰部、凸条リブ)12により、結露水が容器本体1内に流入するのを防止できる。しかも、容器本体1の規制壁部12と蓋体21の側壁部25の下端部との間の平坦部14に案内された結露水を、容器本体1と蓋体21とのフランジ部13,26間に形成された隙間を利用して、毛細管現象により外方向に移動させながら外部に放出できる。すなわち、毛細管現象により結露水を容器本体1及び蓋体21のフランジ部13,26間に浸透させつつ、前記フランジ部13,26間の端部から水分を揮散できる。そのため、比較的高い密閉性を保ちながら、包装容器内の水蒸気及び結露水を外部に排出でき、食品の品質を低下させることがない。しかも、閉じ状態では、ヒンジ部41の両端部に小さな径の開口部43しか形成されないため、外部から害虫などが侵入するのを防止できる。
【0036】
なお、本発明において、包装容器の平面形状は、三角形、四角形状、五角形状、六角形状などの多角形状、楕円形状、円形状などであってもよく、通常、多角形状(特に、四角形状)である場合が多い。
【0037】
容器本体は、食品などの収容物を収容するための収容凹部と、この収容凹部から立ち上がる側壁部と、この側壁部の周縁部(側壁部の上縁部)に沿って全周に亘って蓋体方向に突出して形成された規制壁部と、規制壁部の下端から延びるフランジ部とを備えていればよく、収容凹部は、平面形状が四角形状、五角形状、六角形状などの多角形状、楕円形状、円形状などであってもよく、通常、四角形状などの多角形状である場合が多い。収容凹部は、必ずしも、前記のように複数の収容区画部に仕切る必要はなく、円錐台状の突出部も必ずしも必要ではない。仕切り壁などの仕切り部を利用して収容凹部を複数の収容区画部に区画すると、複数の食品などの収容物を互いに接触させることなく収容でき、変形しやすい収容物(食品など)の搬送に有用である。なお、収容区画部には、密着又は付着防止用の線状凸部は必ずしも必要ではなく、線状凸部に代えて、規則的な凹凸部を形成してもよい。収容凹部から立ち上がる側壁部は、収容凹部から垂直方向に起立していてもよく、開口部の方向(上方向)にいくにつれて外方向(側部方向)に拡がって傾斜していてもよい。
【0038】
前記規制壁部(又は堰部、凸条リブ)は、結露水が容器本体内に流入するのを規制するため、側壁部の周縁部で全周に亘って(又は側壁部の周縁部に沿って)蓋体方向に突出して形成されていればよい。すなわち、規制壁部(又は堰部、凸条リブ)は、閉じた枠状又はループ状の形態で形成される。規制壁部の上面は平坦であってもよいが、きな粉などの粉体が付着するのを防止するためには、断面逆U字状又は逆V字状の形態で湾曲又は屈曲しているのが好ましい。規制壁部(堰部又は凸条リブ)のサイズは、包装容器の大きさに応じて選択でき、例えば、高さ0.1〜5mm(例えば、0.3〜3mm、好ましくは0.5〜2mm、さらに好ましくは0.7〜1.5mm、特に0.8〜1.2mm)、幅0.1〜10mm(例えば、0.3〜5mm、好ましくは0.5〜3mm、さらに好ましくは0.7〜2mm、特に0.8〜1.2mm)程度であってもよい。なお、規制壁部は、包装容器の平面形状に対応して、四角枠状の形態で形成する場合が多い。
【0039】
容器本体に補強部(補強リブなど)を形成する必要はないが、薄肉のプラスチック製容器では、線状凹部(又は線状リブ)を側壁部に縦方向に形成し、補強するのが有利である。また、脚部は必ずしも必要ではなく、脚部は容器本体を支持可能な適所に形成できる。
【0040】
容器本体のフランジ部の構造は、規制壁部(又は堰部、凸条リブ)の下端から横方向に延びる平坦部(平坦壁)と、この平坦部から下降する下降部(下降壁)とを備えている。容器本体のフランジ部の平坦部(平坦壁)は、規制壁部の外壁の下端から外部側方へほぼ平坦な形態で延出していればよく、必ずしも水平方向に延出する必要はなく、毛細管現象により容器本体と蓋体とのフランジ部の間に水が侵入又は浸透可能である限り、外部側方にいくにつれて上方向又は下方向に傾斜(例えば、若干傾斜)していてもよい。また、平坦部(平坦壁)の表面は、平滑であってもよく、粗面であってもよい。
【0041】
下降部(下降壁)は、容器本体のフランジ部と蓋体のフランジ部との間での毛細管現象を利用して結露水を効率よく外部へ放出するため、通常、全体として下方へ向いている。前記下降部(下降壁)は、少なくとも平坦部(平坦壁)から下方向に延びる側壁部を備えており、通常、このような側壁部と、この側壁部の下端から延出する延出部とを備えている。この延出部は、前記のように、外部側方へほぼ平坦な形態で延出する延出平坦部であってもよく、前記側壁部の下端から下方又は上方に屈曲又は湾曲して傾斜していてもよい。なお、側壁部は、平坦部(平坦壁)の端部から外方向又は内方向に傾斜していてもよいが、通常、平坦部に対して断面L字状の形態で屈曲している場合が多く、例えば、平坦部(平坦壁)に対して直交する方向に垂下している。また、前記傾斜部は必ずしも必要ではないが、平坦部(平坦壁)と側壁部との間に傾斜部が介在すると、結露水の外部方向への流動性を高めることができる。さらに、前記延出部の先端部は、下方に屈曲又は湾曲していてもよく、上方に屈曲又は湾曲していてもよい。なお、延出部の先端部は、平坦部(平坦壁)よりも下方に位置する場合が多い。また、前記のように、前記下降部(下降壁)の側壁部には、蓋体との嵌合部を形成する場合が多い。
【0042】
本発明の第一の特色は、閉じた枠状又はループ状の形態の規制壁部から前記容器本体と蓋体とのフランジ部間の端部に延びる通気部を形成し、前記容器本体の収容凹部と外部とを連通する点にある。この通気部は、通常、前記規制壁部を横断して前記容器本体の規制壁部からフランジ部の周縁部に延び、フランジ部の端部間で開口している。
【0043】
通気部は、通常、規制壁部の所定部を凹設した凹溝で形成される。この凹溝は、断面U字状、V字状などの形態であってもよい。なお、通気部(凹溝など)のサイズは、包装容器の大きさ(容積)に応じて選択でき、例えば、幅0.1〜10mm(例えば、0.5〜5mm、好ましくは1〜3mm、さらに好ましくは1.5〜2.5mm)程度、深さ0.1〜5mm(例えば、0.2〜2.5mm、好ましくは0.3〜1mm、さらに好ましくは0.3〜0.7mm)程度であってもよい。
【0044】
前記通気部は、前記収容凹部と外部とを連通すればよく、規制壁部から容器本体のフランジ部及び蓋体のフランジ部の少なくとも一方のフランジ部に延出させて形成できる。例えば、前記のように、容器本体のフランジ部に規制壁部を横断して延びる凹溝を形成してもよく、前記規制壁部に凹溝を形成することなく、蓋体のフランジ部に凹溝を形成してもよい。さらに、容器本体のフランジ部と蓋体のフランジ部との双方にそれぞれ凹溝を形成してもよく、容器本体及び蓋体のフランジ部の双方には、互いに対応する部位に形成した凹溝により中空状の通気部を形成してもよい。通常、前記容器本体のフランジ部に、端部にまで延びて開口する凹溝を形成する場合が多い。
【0045】
前記容器内と外気との通気性を確保できる限り、1又は複数の通気部が形成でき、通常、規制壁部を横断又は横切って複数の通気部が形成される。これらの複数の通気部は、枠状又はループ状の形態の規制壁部に不規則的な間隔で形成してもよく、通常、規則的又は等間隔に形成する場合が多い。また、通気部は、通常、規制壁部(四角枠状の規制壁部など)のうち、少なくとも両側部の規制壁部に少なくとも1つ(1又は複数)の通気部が形成される。また、通気性を高めるため、規制壁部(四角枠状の規制壁部など)のうち、フロント側の規制壁部及び/又はヒンジ部側の規制壁部(又は前記ヒンジ部に隣接する規制壁部)に少なくとも1つ(1又は複数)の通気部を形成してもよい。多角枠状の規制壁部(四角枠状の規制壁部など)では、コーナー部の規制壁部に通気部を形成してもよく、各辺の規制壁部の長手方向の中央部などに通気部を形成してもよい。前記のように、容器本体及び蓋体のフランジ部(延出平坦部)のフロント側をシールする場合には、フロント側の規制壁部には、通気部を形成する必要がないものの、必要であれば、通気部を形成してもよい。なお、フランジ部(延出平坦部)のシールには、溶着、接着、ステープルなどによる機械的接合、粘着テープによる接合などの閉じ手段を利用できる。なお、蓋体による閉じ操作に伴って、内側(容器側)が開口した断面C字状のヒンジ部を形成する場合、ヒンジ部に隣接する規制壁部に通気部を形成すると、閉じ状態でも、ヒンジ部の空間(中空部)を介してヒンジ部の端部の開口部と容器内とを連通でき、流通する空気により、容器内の水蒸気を効率よく外部へ放出できる。
【0046】
前記容器本体に対して嵌合可能な蓋体は、全体として上方向に膨出した形状を有しており、閉じ状態で、下方にいくにつれて外部側方に拡がって傾斜した傾斜側壁部と、この側壁部の周縁部から延びるフランジ部とを備えていればよく、蓋体は、上部と側壁部とが連続的に連なって(又は湾曲して)又は段階的に傾斜して膨出状の形態に形成してもよい。蓋体は、通常、天面の所定部(中央部、中央部よりもヒンジ部側又はフロント側寄りの領域など)を高くして傾斜させた天壁(周縁部に行くにつれて下方に傾斜した天壁)と、この天壁(膨出部)の周縁部から下方にいくにつれて外部側方に拡がった形態で傾斜して延びる傾斜側壁部とを有している場合が多い。なお、結露水の滴下を防止しつつ、結露水を傾斜側壁に流下させるため、蓋体の天面には、容器本体の収容凹部に対して直交する方向の垂直壁を形成するのは好ましくなく、蓋体の天面は、容器本体の収容凹部に対して外部側方にいくにつれて下方に傾斜した傾斜天壁(湾曲又は屈曲した傾斜天壁)で形成するのが好ましい。
【0047】
本発明の第二の特色は、前記蓋体の傾斜側壁部の下端部が、嵌合又は閉じ状態において、容器本体の規制壁部から離れて容器本体のフランジ部の平坦部に位置している点にある。すなわち、蓋体の傾斜側壁部の下端部は、容器本体の規制壁部(外壁)から所定間隔をおいて(非接触の形態で)前記容器本体の平坦部に位置しており、容器本体の平坦部と接触(水が浸透化能に緩やかに接触)又は近接し、毛細管の入口を形成している。そのため、容器本体の規制壁部(堰部又は凸条リブ)により、蓋体の傾斜側壁部の内面により案内されて流下する結露水が容器本体内に流入するのを規制しつつ、結露水を傾斜側壁部の下端部から容器本体の平坦部に案内でき、フランジ部の間に形成された毛細管内に浸透させることができる。
【0048】
容器本体の規制壁部(外壁)と蓋体の側壁部の下端部との距離は、規制壁部(外壁)の高さとの関係で、傾斜側壁部の下端部からの結露水を貯留しつつ毛細管現象を利用して前記容器本体と蓋体とのフランジ部間に案内できればよく、包装容器のサイズ(容積)などに応じて、0.1〜10mm、好ましくは0.2〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mm(例えば、0.7〜1.3mm)程度の範囲から選択できる。また、蓋体の傾斜側壁部の下端部と容器本体の平坦部との距離(隙間)は、水が侵入可能であり、毛細管の入口を形成できる隙間であればよい。
【0049】
本発明の第三の特色は、前記容器本体のフランジ部と前記蓋体のフランジ部との間に、毛細管現象により水を流入又は浸透させ外部へ排出するための流路(又は隙間)を形成する点にある。すなわち、前記容器本体及び蓋体のフランジ部の端部での水の蒸発又は揮散に伴って、前記フランジ部の間の流路(間隙部)に流入又は浸透した水(結露水)はフランジ部の周縁部の方向に流動し、外部へ放出又は排出される。このような流路(隙間)を形成するため、前記蓋体のフランジ部は、通常、毛細管現象により水が流入又は浸透可能な形態で、前記容器本体の平坦部及び下降部に対応した形状又は形態に形成されている。より具体的には、前記蓋体のフランジ部は、容器本体のフランジ部(平坦部及び下降部)と密着させることなく、毛細管現象により水が流入可能な所定の間隙を空けて、容器本体の平坦部及び下降部に対応して(又は平坦部及び下降部に沿って)形成されており、通常、容器本体の平坦部及び下降部に対応して、傾斜側壁部の下端から横方向に延びる平坦部と、この平坦部から下降する下降部とを備えている。また、下降部は、前記のように、断面L字状の形態の側壁部と延出平坦部とで形成してもよく、この延出平坦部の少なくとも先端部は、容器本体の延出平坦部から遊離していてもよい。なお、前記容器本体と蓋体とのフランジ部との間の流路(間隙)には、所定部に流路(又は間隙)の大きな部位を形成し、短時間内で温度又は圧力の上昇があってもフランジ部の周縁部から水が噴出するのを抑制するため、流路(又は間隙)の大きな部位に一時的に結露水を溜めてもよい。さらに、必要であれば、フランジ部の間には、細い溝状の流路(隙間)を形成してもよい。
【0050】
なお、蓋体には、必ずしも前記円錐状支持部を形成する必要はないが、容器本体に対する支持部を形成して、容器に作用する負荷に対して強度を高めるのが好ましい。この支持部は、蓋体から容器本体に向かって又は容器本体から蓋体に向かって突出する支持体で形成してもよく、前記とは逆に、容器本体から蓋体に向かって突出する支持体(例えば、前記と同様の円錐状支持部)と、蓋体に形成された受け部(例えば、前記と同様の突出部)とで形成してもよく、容器本体及び/又は蓋体に形成された支柱状の支持部で形成してもよい。さらに、支持部は、補強リブ、例えば、蓋体の傾斜側壁及び/又は天壁に形成された複数のリブ、例えば、縦及び/又は横方向に形成された複数のリブ、放射方向に形成された複数のリブで形成してもよい。
【0051】
包装容器は、ヒンジ部を必ずしも備えている必要はなく、容器本体と蓋体とが互いに分離された包装容器であってもよい。また、前記と異なり、ヒンジ部は、嵌合又は閉じ状態で、内側が開放した断面C字状の連結部を形成する必要もない。また、ヒンジ部には、両端部を残して幅広い凹部を長手方向に形成することなく、同じ幅でヒンジ部を形成してもよい。
【0052】
さらに、容器本体と蓋体との嵌合は、包装容器の適所で行うことができ、嵌合部は、通常、容器本体と蓋体との下降部の側壁部に形成できる。例えば、容器本体の下降部の外側の側壁部と、この側壁部に対応する蓋体の下降部の内側の側壁部とに、周方向に所定間隔をおいて嵌合部を形成できる。包装容器には、通常、複数の嵌合部が形成され、少なくとも1つの嵌合部は、包装容器の少なくともフロント側又はフロント側の両側部に形成する場合が多い。また、収容凹部の全周に亘り包装容器を閉じる場合には、包装容器の少なくともフロント側の中央部又はフロント側の両側部の側壁と、ヒンジ部の中央部又はヒンジ側の両側部の側壁との間に嵌合部を形成してもよい。例えば、四角形状の容器では、各コーナー部の側壁(コーナー部の下降部の側壁部)に嵌合部を形成してもよい。嵌合部は、通常、互いに嵌合可能な凸部及び凹部(凹凸嵌合部)で形成でき、前記のように、周方向に延びる長細状の凹凸部で形成してもよく、突起状の凹凸部で形成してもよい。なお、嵌合部は、容器本体に嵌合凸部及び嵌合凹部の一方を形成し、蓋体に他方を形成してもよい。
【実施例】
【0053】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0054】
包装容器として、収容凹部(縦約106mm×横約106mm×深さ約21.5mm)を有する容器本体と蓋体(縦約117mm×横約117mm×深さ約29mm)とがヒンジにより接続された図1に示す包装容器(閉じた状態の容積約400ml)を用いた。この包装容器の蓋体の内面(天壁及び傾斜側壁部の内面)に、市販の水性インキを塗布し乾燥した。次いで、容器本体内に温度約90℃の湯(内容量の約50%)を入れ、蓋体を回動させて容器本体と嵌合して閉じた。そして、室温(約20℃)で15分間放置し、包装容器を観察したところ、蓋体の内面の殆どの水性インキが嵌号部及びフランジ部間に流れ、容器本体内の湯は着色することなく透明のままであった。これらのことから、容器内の水蒸気及び結露水が外部に排出され、水滴が容器本体内の収容物(和菓子など)に滴下・付着しないことが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、水分を含む食品、例えば、菓子類、パン類、ご飯、総菜、弁当、加工食品(たこ焼き、シュウマイ、蒸かし饅頭)、冷凍食品などの食品を包装するのに適している。特に、温かい(又は加熱)状態で包装容器内に収容して包装し、冷却又は凍結させる食品、中でも、水滴痕が表面に表れやすい食品(例えば、きな粉、片栗粉、粉砂糖などの可食性粉末を表面に付着させた菓子類など)を包装するのに有用である。
【符号の説明】
【0056】
1…容器本体
2…収容凹部
2a…収容区画部
10…側壁部
12…規制壁部
13…フランジ部
14…平坦部
15…下降部
17…垂下側壁部
18…延出平坦部
19…凹溝
21…蓋体
23…天壁
25…傾斜側壁部
26…フランジ部
27…平坦部
28…下降部
29…垂下側壁部
30…延出部
32…被嵌合凹部
33…嵌合凸部
41…ヒンジ部
43…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容凹部と、この収容凹部の側壁部の周縁部に沿って突出して形成された規制壁部と、この規制壁部の下端から延びるフランジ部とを備えた容器本体と、閉じ状態で、全体として上方向に膨出した形状を有し、下方にいくにつれて外部側方に拡がって傾斜した側壁部と、この側壁部の周縁部から延びるフランジ部とを備え、かつ前記容器本体に対して嵌合可能な蓋体とを有する包装容器であって、前記容器本体のフランジ部が、前記規制壁部の下端から横方向に延びる平坦部と、この平坦部から下降する下降部とを備えており、前記収容凹部と外部とを連通するための通気部が前記規制壁部から前記容器本体と蓋体とのフランジ部間の端部に延びており、前記蓋体の側壁部の下端部が、嵌合状態において、容器本体の規制壁部から離れて容器本体のフランジ部の平坦部に位置しており、前記容器本体のフランジ部と前記蓋体のフランジ部との間に、毛細管現象により水を外部へ排出するための流路が形成されている包装容器。
【請求項2】
容器本体のフランジ部が、規制壁部の下端から横方向に延びる平坦部と、この平坦部から断面L字状の形態で下降する下降部とを備えており、通気部が複数の凹溝で形成されている請求項1記載の包装容器。
【請求項3】
蓋体が、周縁部にいくにつれて下方に傾斜した天壁と、この天壁の周縁部から下方にいくにつれて外部側方に拡がって傾斜して延びる側壁部とを備えている請求項1又は2記載の包装容器。
【請求項4】
容器本体の下降部の外側の側壁部と、この側壁部に対応する蓋体の下降部の内側の側壁部とに、周方向に所定間隔をおいて嵌合部が形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器。
【請求項5】
容器本体と蓋体とが、嵌合又は閉じ状態で、内側が開放した断面C字状の連結部を形成可能なヒンジ部を介して接続されており、前記ヒンジ部に隣接する規制壁部に、断面C字状のヒンジ部の中空部と通じる通気部が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の包装容器。
【請求項6】
容器本体の規制壁部と蓋体の側壁部の下端部との距離が0.1〜10mmである請求項1〜5のいずれかに記載の包装容器。
【請求項7】
容器本体と蓋体とが、嵌合又は閉じ状態で、内側が開放した断面C字状の連結部を形成可能なヒンジ部を介して接続された平面形状が四角形状の包装容器であり、容器本体の側壁部の周縁部に沿って四角枠状の形態で規制壁部が形成され、容器本体のフランジ部が、毛細管現象により水が流入可能な形態で、四角枠状の規制壁部の下端から横方向に延びる平坦部と、この平坦部から断面L字状の形態で下降する下降部とを備えており、前記四角枠状の規制壁部から前記容器本体及び蓋体のフランジ部間の端部に延びて開口する複数の凹溝が形成され、前記蓋体の側壁部の下端部が、嵌合状態において、容器本体の規制壁部から外側に離れて容器本体の平坦部に位置し、前記容器本体のフランジ部と前記蓋体のフランジ部との間に、前記容器本体の平坦部に流下した水を毛細管現象により外部へ排出するための流路が形成され、容器本体と蓋体とのコーナー部の下降部の側壁部に凹凸嵌合部が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の包装容器。
【請求項8】
四角枠状の規制壁部のうち両側部の規制壁部と前記ヒンジ部に隣接する規制壁部とにそれぞれ凹溝が形成されている請求項7記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−188131(P2012−188131A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51903(P2011−51903)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(501073426)ダイセルパックシステムズ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】