説明

包装材

【課題】廃棄時の分解作業に余分な力や時間を必要としない包装材を提供する。
【解決手段】段ボールスペーサ100の形状を保持するための複数の係合箇所に、解体順序を表示する解体順表示10及びシート材の引っ張り方向を表示する解体方向表示11を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシート等のシート材を着脱可能に連結して形成された包装材に関し、特に包装材を廃棄する際の作業性を向上する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、安価で高い強度を有し、リサイクルも可能で加工性にも優れた段ボール製、プラスチック段ボール(プラ段)製、或いはコートボール紙製の包装容器や梱包用スペーサ等の包装材が広く用いられている。このような包装材は、一枚のシート材を所定の形状に折り曲げて形成されるか、或いは折り曲げられた複数枚のシート材を組み合わせて形成されるが、包装材の形状を維持するためにはシート材同士を固定しておく必要がある。
【0003】
シート材同士を固定する場合、粘着テープ等の固定部材を用いると固定作業が煩雑となる上、固定部材の分だけコストアップに繋がる。シート材を固定する方法としては、固定する2枚のシート材の一方に差し込み片を設けるとともに、他方のシート材に設けられたスリットに差し込むことにより連結する方法が一般的である。
【0004】
ところで、梱包材を廃棄する場合、一枚のシート材を折り曲げたものであればシート材端部の連結を解除し、複数枚のシート材を組み合わせたものであれば各シート材の連結を解除して解体し、嵩を低くしてから廃棄することが好ましい。
【0005】
そこで、包装材の開封、解体作業を容易にする方法が種々提案されており、例えば特許文献1には、下トレイと上ケースを連結するジョイントの回転位置を表示することで、ジョイントの係合、離脱状態を外部から確実に把握可能として係合不良を回避するとともに開封方法も分かり易くした包装箱が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、側壁から延出した折込片を外端板と内端板の間に挟み込んで形状を維持する段ボール箱において、折込片の貫穴を内端板の貫穴よりも大きく切り込むことにより、貫穴の段差に指を掛けて内端板を跳ね上げて容易に解体できるようにする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−273423号公報
【特許文献2】特開2001−341723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、シート材を複雑に折り曲げて形成された包装材や、多数のシート材を組み合わせて形成された包装材では、包装材を廃棄する際にどこから解体すれば良いか解りにくかった。特に、複数箇所の係合部を順次解除して解体する包装材では、係合部を解除する順序を間違えるとスムーズな解体が困難となることもある。その場合、包装材を無理に引き裂いて解体することになり、廃棄時の解体作業に余分な力や時間が必要となっていた。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、複数箇所の係合部を有する包装材であって、廃棄時の分解作業に余分な力や時間を必要としない包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、互いに分離した複数枚のシート材を組み合わせて、或いは折り線を介して連設された複数枚のシート材から成る1枚のシートを折り曲げて組み立てられる包装材であって、前記シート材の少なくとも1枚に形成された係合片と、他のシート材に形成され前記係合片が係合する開口部との係合箇所、または前記シート材の少なくとも1枚に形成された係合溝と、他のシート材に形成され前記係合溝が係合する他の係合溝との係合箇所を複数有しており、前記係合箇所の近傍に前記係合片と前記開口部との係合、または前記係合溝同士の係合を解除する際の順序を表示したことを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の包装材において、前記係合片または前記開口部が設けられたシート材の少なくとも一方に、前記係合片と前記開口部との係合、または前記係合溝同士の係合を解除する際のシート材の移動方向を表示したことを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の包装材において、前記係合片または前記開口部が設けられたシート材の少なくとも一方に、前記係合片と前記開口部との係合、または前記係合溝同士の係合を解除する際の指掛け部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の構成によれば、係合片と開口部との係合、または係合溝同士の係合を複数有する包装材に、係合片と開口部との係合、または係合溝同士の係合を解除する順序を表示することにより、包装材を適切な手順でスムーズに解体することができ、廃棄時の解体作業に要する労力や時間を削減することができる。
【0014】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の包装材において、係合片と開口部との係合、または係合溝同士の係合を解除する際のシート材の移動方向を表示することにより、包装材の廃棄時における係合の解除がより簡単なものとなる。
【0015】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の包装材において、係合片と開口部との係合、または係合溝同士の係合を解除する際の指掛け部を設けることにより、包装材の廃棄時における係合の解除がより簡単なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の段ボールスペーサの斜視図
【図2】図1の状態から差し込み片5を引き抜く状態を示す部分拡大図
【図3】図1の状態から固定片7と切り欠き部8との係合を解除した状態を示す部分拡大図
【図4】第1支持部2を広げた状態を示す斜視図
【図5】図4の状態からフラップ3a、3bの係合を解除して第2支持部3を広げた状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の段ボールスペーサの斜視図である。段ボールスペーサ100は、包装容器と製品(被梱包物)との隙間に配置することにより製品の容器内での移動を規制して衝撃や振動による破損や傷付きから保護するものである。本発明の段ボールスペーサ100は、一枚の段ボールシートを所定の形状に打ち抜いたものを組み立てて形成されており、大まかには第1支持部2と、第1支持部2の両端に形成される第2支持部3及び第3支持部4とから構成されている。
【0018】
第1支持部2は、底面1に平行な折り線を介して連続する側面2a〜2dを角筒状に折り曲げた後、側面2bに形成された差し込み片5を、底面1から側面2a〜2dと垂直に起立する支持面2e(図4参照)に形成された差し込み穴6(図4参照)に挿入し、さらに底面1から切り起こされた固定片7を底面に重なる側面2dの切り欠き部8に係合させることにより角筒形状が保持される。
【0019】
また、第2支持部3は、底面1に対しL字状に折り曲げられたフラップ3aに形成された係合溝9a(図5参照)と底面1に対し起立する断面コ字状のフラップ3bに形成された係合溝9b(図5参照)とを互いに係合させることにより組み立てられる。
【0020】
差し込み片5、切り欠き部8の近傍、及びフラップ3bには、それぞれ解体時において差し込み片5と差し込み穴6との係合、固定片7と切り欠き部8との係合、及び係合溝9a、9bの係合を解除する順序を表示する解体順表示10が印刷されている。さらに、フラップ3a、3bには係合溝9a、9bの係合を解除する際の引っ張り方向を表示する解体方向表示11が印刷されている。
【0021】
以下、本発明の段ボールスペーサ100の解体手順について説明する。先ず、解体作業者は図2に示すように、差し込み片5に印刷された解体順表示10が「1」である差し込み片5を差し込み穴6から引き抜く。このとき、差し込み片5にはツマミ5aが形成されているため、差し込み片5を持ち上げて容易に引き抜くことができる。
【0022】
次に、図3に示すように、作業者は解体順表示10が「2」である固定片7を矢印方向に倒して底面1と面一の状態(図の斜線部)に戻し、固定片7と切り欠き部8との係合を解除する。これにより、図4に示すように第1支持部2を平坦状に広げることができる。
【0023】
次に、作業者は解体順表示10が「3」である係合溝9a、9bの係合を解除する。ここで、フラップ3a、3bに印刷された解体方向表示11に従ってフラップ3a、3bを所定の方向に引っ張ることにより、図5に示すように第2支持部3を平坦状に広げることができる。
【0024】
本発明によれば、段ボールスペーサ100の複数の係合部に解体順表示10を設けているため、作業者が解体順序を一目で把握することができる。従って、段ボールスペーサ100を適切な手順でスムーズに解体することができ、解体作業に要する労力や時間を削減することができる。また、解体時の引っ張り方向が解りにくい係合溝9a、9bの係合部には解体方向表示11を設けておくことにより、作業者がフラップ3a、3bの引っ張り方向を一目で把握することができる。従って、段ボールスペーサ100の解体作業がより簡単なものとなる。解体方向表示11は、フラップ3a、3bのいずれか一方のみに表示しても良い。
【0025】
解体順表示10及び解体方向表示11は、上記実施形態のように予め印刷しておいても良いし、段ボールシートを所定の形状に打ち抜く際に型抜きをして設けても良い。なお、ここでは詳述しないが、第3支持部4にも解体順表示10及び解体方向表示11が印刷されており、第1及び第2支持部2、3と同様に容易に解体することができる。
【0026】
さらに、差し込み片5にはツマミ5aが形成されているため、差し込み片5の引き抜き作業がより簡単なものとなる。また、ツマミ5aに代えて、指掛け穴や段差等の把持し易い形状を設けても良い。
【0027】
その他本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では段ボールスペーサの解体を例示しているが、段ボールシートやプラ段等のシート材から組み立てられる包装ケース等の他の包装材にも全く同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、段ボールシート等のシート材から組み立てられる包装材に利用することができ、廃棄時における包装材の解体作業性がより一層向上する。
【符号の説明】
【0029】
1 底面
2 第1支持部
2a〜2d 側面
2e 支持面
3 第2支持部
3a、3b フラップ
4 第3支持部
5 差し込み片(係合片)
5a ツマミ(指掛け部)
6 差し込み穴(開口部)
7 固定片(係合片)
8 切り欠き部(開口部)
9a、9b 係合溝
10 解体順表示
11 解体方向表示
100 段ボールスペーサ(包装材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに分離した複数枚のシート材を組み合わせて、或いは折り線を介して連設された複数枚のシート材から成る1枚のシートを折り曲げて組み立てられる包装材であって、
前記シート材の少なくとも1枚に形成された係合片と、他のシート材に形成され前記係合片が係合する開口部との係合箇所、または前記シート材の少なくとも1枚に形成された係合溝と、他のシート材に形成され前記係合溝が係合する他の係合溝との係合箇所を複数有しており、前記係合箇所の近傍に前記係合片と前記開口部との係合、または前記係合溝同士の係合を解除する際の順序を表示したことを特徴とする包装材。
【請求項2】
前記係合片または前記開口部が設けられたシート材の少なくとも一方に、前記係合片と前記開口部との係合、または前記係合溝同士の係合を解除する際のシート材の移動方向を表示したことを特徴とする請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記係合片または前記開口部が設けられたシート材の少なくとも一方に、前記係合片と前記開口部との係合、または前記係合溝同士の係合を解除する際の指掛け部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−57274(P2011−57274A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211185(P2009−211185)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】