包装材
【課題】包装対象物に装着された状態の包装材を包装対象物から外れにくくするための技術を提供する。
【解決手段】包装材1の天板部11を折曲線117を挟んだ両側から指でつまみ、長辺112,113を互いに接近させる向きの外力を加えることにより、天板部11が筒部の外側に突出する向きに折り曲げられた変形状態となる。このような変形状態では、外力を加えていない非変形状態と比較して、カット部116の間隔が広げられるため、ポンプ容器9の首部922をカット部116を介して通過させ、貫通孔111に位置させることができる。その後、天板部11への外力を解放することで、天板部11がカット部116の閉じた非変形状態となり、カット部116を介した首部922の通過が制限される。
【解決手段】包装材1の天板部11を折曲線117を挟んだ両側から指でつまみ、長辺112,113を互いに接近させる向きの外力を加えることにより、天板部11が筒部の外側に突出する向きに折り曲げられた変形状態となる。このような変形状態では、外力を加えていない非変形状態と比較して、カット部116の間隔が広げられるため、ポンプ容器9の首部922をカット部116を介して通過させ、貫通孔111に位置させることができる。その後、天板部11への外力を解放することで、天板部11がカット部116の閉じた非変形状態となり、カット部116を介した首部922の通過が制限される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装対象物を包装するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体部の上部に突出部を有する形状の包装対象物を包装するための包装材であって、包装材に形成された貫通孔から突出部が外側へ突き出た状態で本体部を収納するタイプのものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、生ビール等の収容に適した合成樹脂製薄肉耐圧びんを包装対象物とした包装材が開示されている。具体的には、包装対象物となるびんは、薄肉胴体(本体部)の肩部及び底部が球面状に膨出した形状であって、薄肉胴体の上部に形成された口頚部(突出部)にキャップが螺合されている。一方、びんを包装するための包装材は、合成樹脂製の外筐であり、頂壁の中央に透孔(貫通孔)が穿設されているとともに、底壁の内面に湾曲凹部が形成されている。そして、包装材の頂壁に形成された透孔にびんの口頚部を下方から挿入し、包装材の底壁に形成された湾曲凹部にびんの底部を嵌合させることで、包装材がびんに装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平1−26617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に記載のように、包装材に形成された貫通孔に包装対象物の突出部を挿入して包装材を包装対象物に装着する構成では、貫通孔に突出部を挿入できるようにするために、包装対象物と包装材との間に一定以上の隙間(空間的な余裕)を設ける必要がある。しかしながら、このような隙間を設けることにより、包装対象物に装着された状態の包装材が包装対象物から外れやすくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、包装対象物に装着された状態の包装材を包装対象物から外れにくくするための技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装材は、包装対象物を部分的に収納するための筒部を備える。具体的には、筒部は、包装対象物を貫通させた状態にするための貫通孔が形成された貫通板部と、貫通板部と対向する位置に配置される対向板部と、互いに対向する位置で貫通板部及び対向板部を連結する2つの連結板部とを備える。また、貫通板部の外縁部には、2つの連結板部のそれぞれと連結される2つの連結縁部と、2つの連結縁部の間に位置する2つの非連結縁部とが形成され、2つの非連結縁部のうちの一方には、貫通孔に到達する切欠きが形成されている。そして、切欠きは、2つの連結縁部を互いに接近させる向きの外力により貫通板部が変形した変形状態において、当該切欠きを介した包装対象物の通過を許容し、非変形状態において、当該切欠きを介した包装対象物の通過を制限する。
【0008】
このように構成された包装材は、筒部の内側に形成される収納空間に包装対象物の一部分が収納され、貫通板部に形成された貫通孔から包装対象物の残りの部分が外側へ突き出た状態で、包装対象物に装着される。そして、包装対象物に包装材を装着する際には、貫通板部を変形させることで切欠きを介した包装対象物の通過が許容され、包装対象物における貫通孔に位置させるべき部分を、切欠きを介して貫通孔に位置させることができる。その後、貫通板部を元の形状に戻すことで、切欠きを介した包装対象物の通過が制限される。このため、包装材の貫通孔に包装対象物を挿入できるようにするための隙間(空間的な余裕)を設ける必要がなく、包装対象物に装着された状態の包装材を包装対象物から外れにくくすることができる。
【0009】
ところで、変形状態における貫通板部の形状(例えば折れ曲がる位置)は、ばらつきが生じにくいように設計されていることが好ましい。そこで、切欠きが形成されていない方の非連結縁部と貫通孔とを結ぶ折曲線を貫通板部に形成し、前述した外力により貫通板部が折曲線を挟んで二つに折れ曲がるようにしてもよい。このような構成によれば、貫通板部が折れ曲がる位置のばらつきを生じにくくすることができ、変形状態において切欠きを介した包装対象物の通過を許容する効果が安定して得られるようにすることができる。
【0010】
また、切欠きは、非変形状態において包装対象物の通過を制限する形状であればよいが、包装対象物の通過を制限する効果を高める上では、切欠きの幅ができるだけ狭いことが好ましい。そこで、貫通板部に入れられた線状の切り込みを切欠きとしてもよい。このような構成によれば、貫通板部の非変形状態において、切欠きを介した包装対象物の通過を制限する効果を高めることができる。
【0011】
また、筒部の材質としては、例えば紙が挙げられる。紙の性質は、紙目方向(紙の繊維が並んでいる方向)によって異なり、紙目方向に沿って伸縮しにくく、紙目方向に対して垂直な方向には伸縮しやすいため、紙目方向を軸とする方向にカールしやすくなる。そこで、筒部を紙で形成する場合には、紙目方向と交差する向きに切欠きを形成してもよい。このような構成によれば、切欠きの間隔が広がる方向への変形を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)〜(D)は、それぞれ実施形態の包装材の平面図、正面図、右側面図及び底面図である。
【図2】包装材の展開図である。
【図3】ポンプ容器に包装材を装着する手順(1)示す外観図である。
【図4】ポンプ容器に包装材を装着する手順(2)示す外観図である。
【図5】ポンプ容器に包装材を装着する手順(3)示す外観図である。
【図6】変形例としての包装材が装着されたポンプ容器を示す外観図である。
【図7】(A)は実施形態の天板部を示す図、(B)は変形例(カット部における貫通孔側の端部に丸みをつけない形状)の天板部を示す図、(C)は変形例(カット部により左右に分離される片の一方が他方側へ出っ張った形状)の天板部を示す図である。
【図8】(A)は変形例(カット部が波形状)の天板部を示す図、(B)は変形例(カット部が波形状であって、カット部により左右に分離される片の間隔が狭い部分を一部とした形状)の天板部を示す図、(C)は変形例(貫通孔に近い部分の片の間隔が狭く、貫通孔から離れた部分の片の間隔が広い形状)の天板部を示す図、(D)は変形例(片の間隔が徐々に広がる形状)の天板部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
図1(A)〜(D)は、それぞれ実施形態の包装材1の平面図、正面図、右側面図及び底面図である。また、図2は、包装材1の展開図である。また、図3〜図5は、包装対象物としてのポンプ容器9に包装材1を装着する手順を示す外観図である。
【0014】
本実施形態の包装材1が包装対象とするポンプ容器9(図3参照)は、ヘアカラー剤の混合・吐出に用いられるものであり、図5に示すように包装材1が装着された状態で、販売のために陳列される。なお、包装材1は、ポンプ容器9のパッケージ兼保護材として機能するものであり、外面には、商品名などのデザイン画像や注意事項等、種々の情報が印刷されている(図示省略)。
【0015】
ここで、ポンプ容器9の構造について説明する。図3に示すように、ポンプ容器9は、ヘアカラー剤を収容するための樹脂製の収容容器91と、収容容器91の上部に装着され、収容容器91からヘアカラー剤を吸引して吐出するための樹脂製のポンプ92とを備える。
【0016】
ポンプ92は、収容容器91の上部(図示しない円形の開口部)に螺合装着される平面視円形の肩部921と、肩部921の上面中心部から上方へ延びる円筒状の首部922と、首部922の上部において上下に往復動可能に設けられた頭部923とを備える。頭部923は、その上面が下方へ押し込まれる操作(吐出操作)に伴い、収容容器91に収容されたヘアカラー剤を上方へ吸引して、吐出口から吐出する。首部922は、肩部921や頭部923と比較して、外形上の幅(直径)が狭く形成されている。また、肩部921は、上面が平面状に形成されている。
【0017】
収容容器91は、平面視で概略長方形状(丸みを帯びた長方形状)に形成されている。そして、長方形の短辺に当たる幅が肩部921の幅(直径)と同じ長さに設計され、長方形の長辺に当たる幅が肩部921の幅(直径)よりも長く設計されている。また、収容容器91の下面は、平面状に形成されている。
【0018】
以上のように、ポンプ容器9は、収容容器91及びポンプ92からなるものであるが、外形上は、収容容器91及びポンプ92の肩部921からなる本体部と、ポンプ92の首部922及び頭部923からなる突出部とに大別される。つまり、ポンプ容器9は、本体部の上部に突出部を有する形状となっている。
【0019】
そして、包装材1は、図5に示すように、ポンプ容器9の突出部が外側へ突き出た状態でその本体部を収納するための筒部を形成する。具体的には、包装材1は、図2の展開図に示すように、1枚の紙を折り曲げて筒状に形成したものであり、図1(A)〜(D)にも示すように、長方形状かつ平板状の4つの板部(天板部11、底板部12及び側板部13,14)により筒部の4面を形成する。
【0020】
このうち、天板部11と底板部12とは、互いに対向する位置に配置され、外形寸法(縦横の幅)が同じ長さ(同じ長さとは、厳密な意味で同一である必要はなく、概略同じであればよい。以下同様。)に設計されている。また、側板部13,14は、互いに対向する位置で天板部11及び底板部12を連結するものであり、外形寸法が同じ長さに設計されている。つまり、筒部は、その軸方向から見て長方形状に形成されている(図1(C)参照)。このため、ポンプ容器9に装着していない状態では、天板部11及び側板部14が連続した第1の面と、側板部13及び底板部12が連続した第2の面とが、表裏の位置関係となるように、シート状に折り畳むことができる。
【0021】
また、筒部の内部に形成される直方体状の空間は、ポンプ容器9の本体部を収納する収納空間として機能し、本体部が収納空間に収納された状態では、筒部に対する本体部の位置の自由度(移動を許容する空間)が小さいほど、包装材1をポンプ容器9から外れにくくすることができる。このため、天板部11と底板部12との間隔は、ポンプ容器9の本体部の高さ(収容容器91の下面から肩部921の上面までの長さ)と同じ長さに設計されており、本体部の上下方向の移動を天板部11及び底板部12で規制するように構成されている。また、側板部13,14の間隔は、ポンプ容器9の本体部の幅(肩部921の幅)と同じ長さに設計されており、本体部の横方向の移動を側板部13,14で規制するように構成されている。
【0022】
また、天板部11には、ポンプ容器9の首部922を貫通させた状態にするための円形の貫通孔111が形成されている(図1(A)、図5等参照)。貫通孔111は、首部922を貫通させた状態で、首部922の横方向(天板部11の面方向)への移動を規制する機能を有する。このため、貫通孔111は、首部922の幅(直径)と同じ長さ(直径)、又は、首部922の幅よりも長く、肩部921や頭部923が通り抜けられない長さに形成されている。
【0023】
また、天板部11は、その外縁部を形成する長方形の4つの辺112,113,114,115のうち、2つの長辺112,113において、側板部13,14の外縁部(上辺)とそれぞれ連結されている(連続している)。一方、2つの短辺114,115は、他の部分と連結していない。
【0024】
そして、天板部11には、一方の短辺114の中心位置から垂直に延び、貫通孔111に到達する直線状の切り込みであるカット部116が形成されている。図2に示すように、包装材1の紙目方向は、円筒部の周方向に沿った向きに設定され、カット部116は、紙目方向と直交する向きに形成されている。
【0025】
また、図1(A)等に示すように、天板部11には、カット部116が形成されていない方の短辺115の中心位置から垂直に延び、貫通孔111に到達する折曲線117が形成されており、天板部11が折曲線117を挟んで二つに折れ曲がりやすくなっている。
【0026】
次に、包装材1をポンプ容器9に装着する方法について説明する。まず、図3に示すように、包装材1の天板部11を折曲線117を挟んだ両側から指でつまみ、長辺112,113を互いに接近させる向きの外力を加えることにより、天板部11が筒部の外側に突出する向きに折り曲げられた変形状態となる。このような変形状態では、外力を加えていない非変形状態と比較して、カット部116の間隔が広げられる(広げやすくなる)。
【0027】
このため、図4に示すように、カット部116を介したポンプ容器9の首部922の通過が許容され、首部922をカット部116を介して貫通孔111に位置させることができる。その後、図5に示すように、天板部11への外力を解放し、天板部11をカット部116の閉じた非変形状態とすることで、カット部116を介した首部922の通過が制限される。このようにして、包装材1をポンプ容器9に装着することができる。なお、包装材1をポンプ容器9から取り外す際には、前述した装着手順(図3〜図5)と逆の手順で操作を行うことにより、容易に取り外すことができる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の包装材1は、筒部の内側に形成される収納空間にポンプ容器9の一部分(本体部)が収納され、天板部11に形成された貫通孔111から残りの部分(突出部)が外側へ突き出た状態で、ポンプ容器9に装着される。そして、ポンプ容器9に包装材1を装着する際には、天板部11を変形させることでカット部116を介したポンプ容器9の首部922の通過が許容され、カット部116を介して首部922を貫通孔111に位置させることができる。その後、天板部11を元の形状に戻すことで、カット部116を介した首部922の通過が制限される。このため、天板部11の貫通孔111にポンプ容器9の突出部を挿入できるようにするための一定以上の隙間(空間的な余裕)を設ける必要がなく、包装材1に対するポンプ容器9の位置の自由度を小さくすることができる。
【0029】
具体的には、包装材1がポンプ容器9に装着された状態では、収容容器91の下面と底板部12の上面とが当接するとともに、肩部921の上面と天板部11の下面とが当接する(又は近接する)。このため、包装材1に対するポンプ容器9の上下方向の移動を、天板部11及び底板部12によって小さく制限することができる。また、ポンプ容器9の首部922が天板部11の貫通孔111に嵌合された状態となるため、包装材1に対するポンプ容器9(特に首部922)の横方向への移動も小さく制限することができる。さらに、肩部921及び収容容器91の側面と側板部13,14の内面とが当接する(又は近接する)ため、包装材1に対するポンプ容器9(特に本体部)の横方向への移動も小さく制限することができる。しかも、側板部13,14の間隔(天板部11の幅)が、上面が平面状に形成された肩部921の幅と同じ長さに設計されているため、肩部921が筒部の内部に収納された状態では、天板部11を折れ曲がりにくく(カット部116を開きにくく)することができる。したがって、ポンプ容器9に装着された状態の包装材1を、ポンプ容器9から外れにくくすることができる。
【0030】
また、天板部11には折曲線117が形成され、外力により天板部11が折曲線117を挟んで二つに折れ曲がるため、天板部11が折れ曲がる位置のばらつきを生じにくくすることができる。その結果、変形状態において、カット部116を介したポンプ容器9の首部922の通過を許容する効果が安定して得られるようにすることができる。特に、天板部11を筒部の外側に突出する向きに山折りするようにしているため、天板部11がポンプ容器9の肩部921に干渉してしまうことを生じにくくすることができる。
【0031】
また、カット部116が、天板部11に入れられた線状の切り込みによって形成されているため、天板部11の非変形状態において、カット部116を介したポンプ容器9の首部922の通過を制限する効果を高めることができる。
【0032】
しかも、包装材1が紙で形成され、カット部116が紙目方向と直交する向きに形成されているため、カット部116の間隔が広がる方向への変形を生じにくくすることができる。すなわち、紙は、紙目方向に沿って伸縮しにくく、紙目方向に対して垂直な方向には伸縮しやすいため、紙は、紙目方向を軸とする方向にカールしやすくなる。本実施形態では、カット部116が紙目方向と直交する向きに形成されているため、カット部116を先端とする部分がカット部116の方向を軸としてカールしにくく、非変形状態におけるカット部116の幅を狭い状態に維持することができる。もちろん、カット部116(天板部11)だけでなく、底板部12及び側板部13,14についてもカールしにくくなるという効果がある。
【0033】
また、包装材1は、ポンプ容器9に装着していない状態では、収納空間を潰す形でシート状に折り畳むことができるため、包装材1の保管や運搬などに要するスペースを小さくすることができる。
【0034】
なお、天板部11が、貫通板部の一例に相当し、底板部12が、対向板部の一例に相当し、側板部13,14が、連結板部の一例に相当する。また、天板部11の長辺112,113が、連結縁部の一例に相当し、天板部11の短辺114,115が、非連結縁部の一例に相当する。また、カット部116が、切欠きの一例に相当する。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
(1)上記実施形態では、貫通板部の非連結縁部から貫通孔に到達する切欠きとして、短辺114の中心位置から垂直に延び、貫通孔111に到達する直線状の切り込みであるカット部116を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、線状の切り込みではなく、一定幅を有する切欠きとしてもよい。このようにすれば、線状の切り込みと比較して、切欠きを介した包装対象物の通過(包装材の着脱)を容易にすることができる。ただし、非変形状態において、切欠きを介した包装対象物の通過を制限するには、切欠きが貫通孔の幅(直径)よりも幅の狭い部分を有している必要がある。特に、包装対象物の通過を制限する効果を高める上では、切欠きの幅をできるだけ狭くする(上記実施形態のように、線状の切り込みとする)ことが好ましい。
【0036】
(2)上記実施形態では、筒部の左右両側面を開放し、包装対象物であるポンプ容器9の本体部を外から直接視認できる状態で収納するようしているが、これに限定されるものではなく、左右両側面の一方又は両方を開閉する蓋を設けてもよい。このようにすれば、保護材としての機能を高めることができ、また、印刷面も広くすることができる。ここでいう蓋は、例えば、筒部が備える板部(貫通板部、対向板部及び2つの連結板部)のうちの1つから延びるように(蓋部の基端部と板部の外縁部とが連結するように)形成してもよい。なお、貫通板部から延びるように蓋を形成する場合、切欠きが形成されていない方の非連結縁部から延びるように蓋を形成することが好ましい。
【0037】
(3)上記実施形態では、紙製の包装材1を例示したが、包装材1の材質は紙に限定されるものではない。ただし、外力により変形し、変形後に元の形状に戻すことのできる柔軟性を有することが好ましい。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどを用いることが可能である。
【0038】
(4)上記実施形態では、包装対象物としてポンプ容器9を例示したが、これに限定されるものではなく、本発明の包装材は、種々の物品を包装対象物として適用することが可能である。ただし、貫通孔により包装対象物の上方(外方向)への移動を規制するには、貫通孔を貫通する部分が、収納空間に位置する部分よりも細い(幅が狭い)形状であることが好ましい。その一例として、上記実施形態のポンプ容器9のように、本体部の上部に突出部を有する形状の物品が挙げられる。特に、上記実施形態のポンプ容器9のように、貫通孔を貫通する部分(上記例では首部922)が、突出部における更に外側の部分(上記例では頭部923)よりも細い(幅が狭い)形状であれば、例えば図6に示すように、突出部を収納するように構成することも可能である。
【0039】
(5)上記実施形態では、図7(A)に示すように、カット部116における貫通孔111側の端部(角部)が丸みをつけて形成された形状を例示したが、これに限定されるものではなく、図7(B)に示すように、丸みをつけないようにしてもよい。このようにすれば、ポンプ容器9の首部922を貫通孔111から外れにくくする効果を高めることができる。また、図7(C)に示すように、天板部11においてカット部116により左右に分離される片の一方が他方側へ出っ張った形状としてもよい。このようにしても、ポンプ容器9の首部922を貫通孔111から外れにくくする効果を高めることができる。特に、左右に分離される片が、互いに他方側へ出っ張った形状(例えば図8(A)に示す波形状)とすれば、ポンプ容器9の首部922を貫通孔111から外れにくくする効果を一層高めることができる。一方、図8(B)〜(D)に示すように、左右に分離される片の間隔が狭いと広い部分とを形成してもよい(つまり、間隔が狭い部分を一部としてもよい)。このようにすれば、貫通孔111に対する首部922の着脱を容易にすることができる。特に、図8(C),(D)に示すように、貫通孔111に近い部分の間隔を狭くし、貫通孔111から離れた部分の間隔を広くすることで、ポンプ容器9の首部922を貫通孔111から外れにくくしつつ、着脱を容易にすることができる。なお、図7(C)及び図8(A)〜(D)では、間隔が最も狭くなる部分にも一定幅を設けているが、上記実施形態のように幅を設けない形状としてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…包装材、9…ポンプ容器、11…天板部、12…底板部、13,14…側板部、91…収容容器、92…ポンプ、111…貫通孔、112,113…長辺、114,115…短辺、116…カット部、117…折曲線、921…肩部、922…首部、923…頭部
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装対象物を包装するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体部の上部に突出部を有する形状の包装対象物を包装するための包装材であって、包装材に形成された貫通孔から突出部が外側へ突き出た状態で本体部を収納するタイプのものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、生ビール等の収容に適した合成樹脂製薄肉耐圧びんを包装対象物とした包装材が開示されている。具体的には、包装対象物となるびんは、薄肉胴体(本体部)の肩部及び底部が球面状に膨出した形状であって、薄肉胴体の上部に形成された口頚部(突出部)にキャップが螺合されている。一方、びんを包装するための包装材は、合成樹脂製の外筐であり、頂壁の中央に透孔(貫通孔)が穿設されているとともに、底壁の内面に湾曲凹部が形成されている。そして、包装材の頂壁に形成された透孔にびんの口頚部を下方から挿入し、包装材の底壁に形成された湾曲凹部にびんの底部を嵌合させることで、包装材がびんに装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平1−26617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に記載のように、包装材に形成された貫通孔に包装対象物の突出部を挿入して包装材を包装対象物に装着する構成では、貫通孔に突出部を挿入できるようにするために、包装対象物と包装材との間に一定以上の隙間(空間的な余裕)を設ける必要がある。しかしながら、このような隙間を設けることにより、包装対象物に装着された状態の包装材が包装対象物から外れやすくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、包装対象物に装着された状態の包装材を包装対象物から外れにくくするための技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装材は、包装対象物を部分的に収納するための筒部を備える。具体的には、筒部は、包装対象物を貫通させた状態にするための貫通孔が形成された貫通板部と、貫通板部と対向する位置に配置される対向板部と、互いに対向する位置で貫通板部及び対向板部を連結する2つの連結板部とを備える。また、貫通板部の外縁部には、2つの連結板部のそれぞれと連結される2つの連結縁部と、2つの連結縁部の間に位置する2つの非連結縁部とが形成され、2つの非連結縁部のうちの一方には、貫通孔に到達する切欠きが形成されている。そして、切欠きは、2つの連結縁部を互いに接近させる向きの外力により貫通板部が変形した変形状態において、当該切欠きを介した包装対象物の通過を許容し、非変形状態において、当該切欠きを介した包装対象物の通過を制限する。
【0008】
このように構成された包装材は、筒部の内側に形成される収納空間に包装対象物の一部分が収納され、貫通板部に形成された貫通孔から包装対象物の残りの部分が外側へ突き出た状態で、包装対象物に装着される。そして、包装対象物に包装材を装着する際には、貫通板部を変形させることで切欠きを介した包装対象物の通過が許容され、包装対象物における貫通孔に位置させるべき部分を、切欠きを介して貫通孔に位置させることができる。その後、貫通板部を元の形状に戻すことで、切欠きを介した包装対象物の通過が制限される。このため、包装材の貫通孔に包装対象物を挿入できるようにするための隙間(空間的な余裕)を設ける必要がなく、包装対象物に装着された状態の包装材を包装対象物から外れにくくすることができる。
【0009】
ところで、変形状態における貫通板部の形状(例えば折れ曲がる位置)は、ばらつきが生じにくいように設計されていることが好ましい。そこで、切欠きが形成されていない方の非連結縁部と貫通孔とを結ぶ折曲線を貫通板部に形成し、前述した外力により貫通板部が折曲線を挟んで二つに折れ曲がるようにしてもよい。このような構成によれば、貫通板部が折れ曲がる位置のばらつきを生じにくくすることができ、変形状態において切欠きを介した包装対象物の通過を許容する効果が安定して得られるようにすることができる。
【0010】
また、切欠きは、非変形状態において包装対象物の通過を制限する形状であればよいが、包装対象物の通過を制限する効果を高める上では、切欠きの幅ができるだけ狭いことが好ましい。そこで、貫通板部に入れられた線状の切り込みを切欠きとしてもよい。このような構成によれば、貫通板部の非変形状態において、切欠きを介した包装対象物の通過を制限する効果を高めることができる。
【0011】
また、筒部の材質としては、例えば紙が挙げられる。紙の性質は、紙目方向(紙の繊維が並んでいる方向)によって異なり、紙目方向に沿って伸縮しにくく、紙目方向に対して垂直な方向には伸縮しやすいため、紙目方向を軸とする方向にカールしやすくなる。そこで、筒部を紙で形成する場合には、紙目方向と交差する向きに切欠きを形成してもよい。このような構成によれば、切欠きの間隔が広がる方向への変形を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)〜(D)は、それぞれ実施形態の包装材の平面図、正面図、右側面図及び底面図である。
【図2】包装材の展開図である。
【図3】ポンプ容器に包装材を装着する手順(1)示す外観図である。
【図4】ポンプ容器に包装材を装着する手順(2)示す外観図である。
【図5】ポンプ容器に包装材を装着する手順(3)示す外観図である。
【図6】変形例としての包装材が装着されたポンプ容器を示す外観図である。
【図7】(A)は実施形態の天板部を示す図、(B)は変形例(カット部における貫通孔側の端部に丸みをつけない形状)の天板部を示す図、(C)は変形例(カット部により左右に分離される片の一方が他方側へ出っ張った形状)の天板部を示す図である。
【図8】(A)は変形例(カット部が波形状)の天板部を示す図、(B)は変形例(カット部が波形状であって、カット部により左右に分離される片の間隔が狭い部分を一部とした形状)の天板部を示す図、(C)は変形例(貫通孔に近い部分の片の間隔が狭く、貫通孔から離れた部分の片の間隔が広い形状)の天板部を示す図、(D)は変形例(片の間隔が徐々に広がる形状)の天板部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
図1(A)〜(D)は、それぞれ実施形態の包装材1の平面図、正面図、右側面図及び底面図である。また、図2は、包装材1の展開図である。また、図3〜図5は、包装対象物としてのポンプ容器9に包装材1を装着する手順を示す外観図である。
【0014】
本実施形態の包装材1が包装対象とするポンプ容器9(図3参照)は、ヘアカラー剤の混合・吐出に用いられるものであり、図5に示すように包装材1が装着された状態で、販売のために陳列される。なお、包装材1は、ポンプ容器9のパッケージ兼保護材として機能するものであり、外面には、商品名などのデザイン画像や注意事項等、種々の情報が印刷されている(図示省略)。
【0015】
ここで、ポンプ容器9の構造について説明する。図3に示すように、ポンプ容器9は、ヘアカラー剤を収容するための樹脂製の収容容器91と、収容容器91の上部に装着され、収容容器91からヘアカラー剤を吸引して吐出するための樹脂製のポンプ92とを備える。
【0016】
ポンプ92は、収容容器91の上部(図示しない円形の開口部)に螺合装着される平面視円形の肩部921と、肩部921の上面中心部から上方へ延びる円筒状の首部922と、首部922の上部において上下に往復動可能に設けられた頭部923とを備える。頭部923は、その上面が下方へ押し込まれる操作(吐出操作)に伴い、収容容器91に収容されたヘアカラー剤を上方へ吸引して、吐出口から吐出する。首部922は、肩部921や頭部923と比較して、外形上の幅(直径)が狭く形成されている。また、肩部921は、上面が平面状に形成されている。
【0017】
収容容器91は、平面視で概略長方形状(丸みを帯びた長方形状)に形成されている。そして、長方形の短辺に当たる幅が肩部921の幅(直径)と同じ長さに設計され、長方形の長辺に当たる幅が肩部921の幅(直径)よりも長く設計されている。また、収容容器91の下面は、平面状に形成されている。
【0018】
以上のように、ポンプ容器9は、収容容器91及びポンプ92からなるものであるが、外形上は、収容容器91及びポンプ92の肩部921からなる本体部と、ポンプ92の首部922及び頭部923からなる突出部とに大別される。つまり、ポンプ容器9は、本体部の上部に突出部を有する形状となっている。
【0019】
そして、包装材1は、図5に示すように、ポンプ容器9の突出部が外側へ突き出た状態でその本体部を収納するための筒部を形成する。具体的には、包装材1は、図2の展開図に示すように、1枚の紙を折り曲げて筒状に形成したものであり、図1(A)〜(D)にも示すように、長方形状かつ平板状の4つの板部(天板部11、底板部12及び側板部13,14)により筒部の4面を形成する。
【0020】
このうち、天板部11と底板部12とは、互いに対向する位置に配置され、外形寸法(縦横の幅)が同じ長さ(同じ長さとは、厳密な意味で同一である必要はなく、概略同じであればよい。以下同様。)に設計されている。また、側板部13,14は、互いに対向する位置で天板部11及び底板部12を連結するものであり、外形寸法が同じ長さに設計されている。つまり、筒部は、その軸方向から見て長方形状に形成されている(図1(C)参照)。このため、ポンプ容器9に装着していない状態では、天板部11及び側板部14が連続した第1の面と、側板部13及び底板部12が連続した第2の面とが、表裏の位置関係となるように、シート状に折り畳むことができる。
【0021】
また、筒部の内部に形成される直方体状の空間は、ポンプ容器9の本体部を収納する収納空間として機能し、本体部が収納空間に収納された状態では、筒部に対する本体部の位置の自由度(移動を許容する空間)が小さいほど、包装材1をポンプ容器9から外れにくくすることができる。このため、天板部11と底板部12との間隔は、ポンプ容器9の本体部の高さ(収容容器91の下面から肩部921の上面までの長さ)と同じ長さに設計されており、本体部の上下方向の移動を天板部11及び底板部12で規制するように構成されている。また、側板部13,14の間隔は、ポンプ容器9の本体部の幅(肩部921の幅)と同じ長さに設計されており、本体部の横方向の移動を側板部13,14で規制するように構成されている。
【0022】
また、天板部11には、ポンプ容器9の首部922を貫通させた状態にするための円形の貫通孔111が形成されている(図1(A)、図5等参照)。貫通孔111は、首部922を貫通させた状態で、首部922の横方向(天板部11の面方向)への移動を規制する機能を有する。このため、貫通孔111は、首部922の幅(直径)と同じ長さ(直径)、又は、首部922の幅よりも長く、肩部921や頭部923が通り抜けられない長さに形成されている。
【0023】
また、天板部11は、その外縁部を形成する長方形の4つの辺112,113,114,115のうち、2つの長辺112,113において、側板部13,14の外縁部(上辺)とそれぞれ連結されている(連続している)。一方、2つの短辺114,115は、他の部分と連結していない。
【0024】
そして、天板部11には、一方の短辺114の中心位置から垂直に延び、貫通孔111に到達する直線状の切り込みであるカット部116が形成されている。図2に示すように、包装材1の紙目方向は、円筒部の周方向に沿った向きに設定され、カット部116は、紙目方向と直交する向きに形成されている。
【0025】
また、図1(A)等に示すように、天板部11には、カット部116が形成されていない方の短辺115の中心位置から垂直に延び、貫通孔111に到達する折曲線117が形成されており、天板部11が折曲線117を挟んで二つに折れ曲がりやすくなっている。
【0026】
次に、包装材1をポンプ容器9に装着する方法について説明する。まず、図3に示すように、包装材1の天板部11を折曲線117を挟んだ両側から指でつまみ、長辺112,113を互いに接近させる向きの外力を加えることにより、天板部11が筒部の外側に突出する向きに折り曲げられた変形状態となる。このような変形状態では、外力を加えていない非変形状態と比較して、カット部116の間隔が広げられる(広げやすくなる)。
【0027】
このため、図4に示すように、カット部116を介したポンプ容器9の首部922の通過が許容され、首部922をカット部116を介して貫通孔111に位置させることができる。その後、図5に示すように、天板部11への外力を解放し、天板部11をカット部116の閉じた非変形状態とすることで、カット部116を介した首部922の通過が制限される。このようにして、包装材1をポンプ容器9に装着することができる。なお、包装材1をポンプ容器9から取り外す際には、前述した装着手順(図3〜図5)と逆の手順で操作を行うことにより、容易に取り外すことができる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の包装材1は、筒部の内側に形成される収納空間にポンプ容器9の一部分(本体部)が収納され、天板部11に形成された貫通孔111から残りの部分(突出部)が外側へ突き出た状態で、ポンプ容器9に装着される。そして、ポンプ容器9に包装材1を装着する際には、天板部11を変形させることでカット部116を介したポンプ容器9の首部922の通過が許容され、カット部116を介して首部922を貫通孔111に位置させることができる。その後、天板部11を元の形状に戻すことで、カット部116を介した首部922の通過が制限される。このため、天板部11の貫通孔111にポンプ容器9の突出部を挿入できるようにするための一定以上の隙間(空間的な余裕)を設ける必要がなく、包装材1に対するポンプ容器9の位置の自由度を小さくすることができる。
【0029】
具体的には、包装材1がポンプ容器9に装着された状態では、収容容器91の下面と底板部12の上面とが当接するとともに、肩部921の上面と天板部11の下面とが当接する(又は近接する)。このため、包装材1に対するポンプ容器9の上下方向の移動を、天板部11及び底板部12によって小さく制限することができる。また、ポンプ容器9の首部922が天板部11の貫通孔111に嵌合された状態となるため、包装材1に対するポンプ容器9(特に首部922)の横方向への移動も小さく制限することができる。さらに、肩部921及び収容容器91の側面と側板部13,14の内面とが当接する(又は近接する)ため、包装材1に対するポンプ容器9(特に本体部)の横方向への移動も小さく制限することができる。しかも、側板部13,14の間隔(天板部11の幅)が、上面が平面状に形成された肩部921の幅と同じ長さに設計されているため、肩部921が筒部の内部に収納された状態では、天板部11を折れ曲がりにくく(カット部116を開きにくく)することができる。したがって、ポンプ容器9に装着された状態の包装材1を、ポンプ容器9から外れにくくすることができる。
【0030】
また、天板部11には折曲線117が形成され、外力により天板部11が折曲線117を挟んで二つに折れ曲がるため、天板部11が折れ曲がる位置のばらつきを生じにくくすることができる。その結果、変形状態において、カット部116を介したポンプ容器9の首部922の通過を許容する効果が安定して得られるようにすることができる。特に、天板部11を筒部の外側に突出する向きに山折りするようにしているため、天板部11がポンプ容器9の肩部921に干渉してしまうことを生じにくくすることができる。
【0031】
また、カット部116が、天板部11に入れられた線状の切り込みによって形成されているため、天板部11の非変形状態において、カット部116を介したポンプ容器9の首部922の通過を制限する効果を高めることができる。
【0032】
しかも、包装材1が紙で形成され、カット部116が紙目方向と直交する向きに形成されているため、カット部116の間隔が広がる方向への変形を生じにくくすることができる。すなわち、紙は、紙目方向に沿って伸縮しにくく、紙目方向に対して垂直な方向には伸縮しやすいため、紙は、紙目方向を軸とする方向にカールしやすくなる。本実施形態では、カット部116が紙目方向と直交する向きに形成されているため、カット部116を先端とする部分がカット部116の方向を軸としてカールしにくく、非変形状態におけるカット部116の幅を狭い状態に維持することができる。もちろん、カット部116(天板部11)だけでなく、底板部12及び側板部13,14についてもカールしにくくなるという効果がある。
【0033】
また、包装材1は、ポンプ容器9に装着していない状態では、収納空間を潰す形でシート状に折り畳むことができるため、包装材1の保管や運搬などに要するスペースを小さくすることができる。
【0034】
なお、天板部11が、貫通板部の一例に相当し、底板部12が、対向板部の一例に相当し、側板部13,14が、連結板部の一例に相当する。また、天板部11の長辺112,113が、連結縁部の一例に相当し、天板部11の短辺114,115が、非連結縁部の一例に相当する。また、カット部116が、切欠きの一例に相当する。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
(1)上記実施形態では、貫通板部の非連結縁部から貫通孔に到達する切欠きとして、短辺114の中心位置から垂直に延び、貫通孔111に到達する直線状の切り込みであるカット部116を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、線状の切り込みではなく、一定幅を有する切欠きとしてもよい。このようにすれば、線状の切り込みと比較して、切欠きを介した包装対象物の通過(包装材の着脱)を容易にすることができる。ただし、非変形状態において、切欠きを介した包装対象物の通過を制限するには、切欠きが貫通孔の幅(直径)よりも幅の狭い部分を有している必要がある。特に、包装対象物の通過を制限する効果を高める上では、切欠きの幅をできるだけ狭くする(上記実施形態のように、線状の切り込みとする)ことが好ましい。
【0036】
(2)上記実施形態では、筒部の左右両側面を開放し、包装対象物であるポンプ容器9の本体部を外から直接視認できる状態で収納するようしているが、これに限定されるものではなく、左右両側面の一方又は両方を開閉する蓋を設けてもよい。このようにすれば、保護材としての機能を高めることができ、また、印刷面も広くすることができる。ここでいう蓋は、例えば、筒部が備える板部(貫通板部、対向板部及び2つの連結板部)のうちの1つから延びるように(蓋部の基端部と板部の外縁部とが連結するように)形成してもよい。なお、貫通板部から延びるように蓋を形成する場合、切欠きが形成されていない方の非連結縁部から延びるように蓋を形成することが好ましい。
【0037】
(3)上記実施形態では、紙製の包装材1を例示したが、包装材1の材質は紙に限定されるものではない。ただし、外力により変形し、変形後に元の形状に戻すことのできる柔軟性を有することが好ましい。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどを用いることが可能である。
【0038】
(4)上記実施形態では、包装対象物としてポンプ容器9を例示したが、これに限定されるものではなく、本発明の包装材は、種々の物品を包装対象物として適用することが可能である。ただし、貫通孔により包装対象物の上方(外方向)への移動を規制するには、貫通孔を貫通する部分が、収納空間に位置する部分よりも細い(幅が狭い)形状であることが好ましい。その一例として、上記実施形態のポンプ容器9のように、本体部の上部に突出部を有する形状の物品が挙げられる。特に、上記実施形態のポンプ容器9のように、貫通孔を貫通する部分(上記例では首部922)が、突出部における更に外側の部分(上記例では頭部923)よりも細い(幅が狭い)形状であれば、例えば図6に示すように、突出部を収納するように構成することも可能である。
【0039】
(5)上記実施形態では、図7(A)に示すように、カット部116における貫通孔111側の端部(角部)が丸みをつけて形成された形状を例示したが、これに限定されるものではなく、図7(B)に示すように、丸みをつけないようにしてもよい。このようにすれば、ポンプ容器9の首部922を貫通孔111から外れにくくする効果を高めることができる。また、図7(C)に示すように、天板部11においてカット部116により左右に分離される片の一方が他方側へ出っ張った形状としてもよい。このようにしても、ポンプ容器9の首部922を貫通孔111から外れにくくする効果を高めることができる。特に、左右に分離される片が、互いに他方側へ出っ張った形状(例えば図8(A)に示す波形状)とすれば、ポンプ容器9の首部922を貫通孔111から外れにくくする効果を一層高めることができる。一方、図8(B)〜(D)に示すように、左右に分離される片の間隔が狭いと広い部分とを形成してもよい(つまり、間隔が狭い部分を一部としてもよい)。このようにすれば、貫通孔111に対する首部922の着脱を容易にすることができる。特に、図8(C),(D)に示すように、貫通孔111に近い部分の間隔を狭くし、貫通孔111から離れた部分の間隔を広くすることで、ポンプ容器9の首部922を貫通孔111から外れにくくしつつ、着脱を容易にすることができる。なお、図7(C)及び図8(A)〜(D)では、間隔が最も狭くなる部分にも一定幅を設けているが、上記実施形態のように幅を設けない形状としてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…包装材、9…ポンプ容器、11…天板部、12…底板部、13,14…側板部、91…収容容器、92…ポンプ、111…貫通孔、112,113…長辺、114,115…短辺、116…カット部、117…折曲線、921…肩部、922…首部、923…頭部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装対象物を部分的に収納するための筒部を備える包装材であって、
前記筒部は、
前記包装対象物を貫通させた状態にするための貫通孔が形成された貫通板部と、
前記貫通板部と対向する位置に配置される対向板部と、
互いに対向する位置で前記貫通板部及び前記対向板部を連結する2つの連結板部と、
を備え、
前記貫通板部の外縁部には、前記2つの連結板部のそれぞれと連結される2つの連結縁部と、前記2つの連結縁部の間に位置する2つの非連結縁部とが形成され、
前記2つの非連結縁部のうちの一方には、前記貫通孔に到達する切欠きが形成され、
前記切欠きは、前記2つの連結縁部を互いに接近させる向きの外力により前記貫通板部が変形した変形状態において、当該切欠きを介した前記包装対象物の通過を許容し、非変形状態において、当該切欠きを介した前記包装対象物の通過を制限する
ことを特徴とする包装材。
【請求項2】
請求項1に記載の包装材であって、
前記貫通板部には、前記切欠きが形成されていない方の前記非連結縁部と前記貫通孔とを結ぶ折曲線が形成され、前記外力により前記貫通板部が前記折曲線を挟んで二つに折れ曲がる
ことを特徴とする包装材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の包装材であって、
前記切欠きは、前記貫通板部に入れられた線状の切り込みである
ことを特徴とする包装材。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の包装材であって、
前記筒部が紙で形成され、前記切欠きが紙目方向と交差する向きに形成されている
ことを特徴とする包装材。
【請求項1】
包装対象物を部分的に収納するための筒部を備える包装材であって、
前記筒部は、
前記包装対象物を貫通させた状態にするための貫通孔が形成された貫通板部と、
前記貫通板部と対向する位置に配置される対向板部と、
互いに対向する位置で前記貫通板部及び前記対向板部を連結する2つの連結板部と、
を備え、
前記貫通板部の外縁部には、前記2つの連結板部のそれぞれと連結される2つの連結縁部と、前記2つの連結縁部の間に位置する2つの非連結縁部とが形成され、
前記2つの非連結縁部のうちの一方には、前記貫通孔に到達する切欠きが形成され、
前記切欠きは、前記2つの連結縁部を互いに接近させる向きの外力により前記貫通板部が変形した変形状態において、当該切欠きを介した前記包装対象物の通過を許容し、非変形状態において、当該切欠きを介した前記包装対象物の通過を制限する
ことを特徴とする包装材。
【請求項2】
請求項1に記載の包装材であって、
前記貫通板部には、前記切欠きが形成されていない方の前記非連結縁部と前記貫通孔とを結ぶ折曲線が形成され、前記外力により前記貫通板部が前記折曲線を挟んで二つに折れ曲がる
ことを特徴とする包装材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の包装材であって、
前記切欠きは、前記貫通板部に入れられた線状の切り込みである
ことを特徴とする包装材。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の包装材であって、
前記筒部が紙で形成され、前記切欠きが紙目方向と交差する向きに形成されている
ことを特徴とする包装材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−112400(P2013−112400A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262318(P2011−262318)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】
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