説明

包装機械の制御方法

この発明は、包装機械において、製品についての製品コンベアと包装材についての包装材コンベアとが区間ごとに互いに対して平行かつ同期的に進むように設けられ、こうして製品が搬送部において包装材の中に導入可能であり、さらに、製品に追加する封入物、たとえば説明書または計量スプーンなどについての封入物コンベアを備えた包装機械を制御する方法に関する。シフトレジスタの形をとるデータ記憶装置には、製品と包装材と封入物とからなる包装単位についての種々の状態・制御データが入っている。上記データは時刻t0にて上記シフトレジスタ内でクロックに従って変位される。予め開始手段により定められた少なくとも1つの時刻tpにて、上記封入物に対して点検アクションまたは加工アクションが開始され、上記時刻tpは上記時刻t0に対して調節可能である。ここで、上記時刻t0に対する上記時刻tpの相対的な位置を検査し、上記時刻t0のまわりに設けられる許容期間Tの中に上記時刻tpがあった場合に上記時刻tpをずらすようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装機械において、製品についての製品コンベアと包装材についての包装材コンベアとが区間ごとに互いに対して平行かつ同期的に進むように設けられ、こうして製品が搬送部において包装材の中に導入可能であり、さらに、製品に追加する封入物、たとえば説明書または計量スプーンなどについての封入物コンベアを備えた包装機械であって、シフトレジスタの形をとるデータ記憶装置が設けられ、上記シフトレジスタには、製品と包装材と封入物とからなる包装ユニットについての種々の状態・制御データが入っており、上記データは時刻t0にて上記シフトレジスタ内でクロックに従って変位され、さらに、上記封入物に対して点検アクションまたは加工アクションが開始される、予め開始手段(Initiator)により定められた少なくとも1つの時刻tpが設けられ、上記時刻tpが記時刻t0に対して上記製品および/または上記包装材および/または上記封入物に依存して調節可能である、包装機械を制御する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、包装機械の搬送装置における製品の包装においては、まず包装材についての包装材コンベア、たとえばいわゆる折畳み箱ラインを周回させて設け、次に製品についての製品コンベア、たとえばいわゆる製品ラインを周回させて設け、これらの動きを同期させることにより、製品を、ラインの動く方向を横切るように折畳み箱の中に横から挿入できるようにしている。これら両方のラインは、サイズに合わせて調整できるように互いに対して調節可能となっている。
【0003】
これに加え、医薬品など特定の製品の場合には、包装材の中に封入物を入れることが必要である。封入物としては、たとえば説明書あるいは封入紙片、または計量スプーンなどがある。以下、封入物として説明書を例に挙げて説明する。包装機械においてさらに封入物コンベア、たとえばいわゆる説明書ペンチラインを周回させて設ける。説明書ペンチラインは複数のペンチ状の保持器を備える。これら保持器はそれぞれが1つの説明書を受けて挟み込んで保持することができる。包装材の中に挿入する説明書は、説明書ペンチラインによって製品と折畳み箱との間に動かされ、製品が横方向に挿入されるよう動くのに伴って製品によって運ばれて折畳み箱の中に入れられる。その際、製品が説明書に隣接するとすぐにペンチ状の保持器が開くようになっている。
【0004】
包装機械においては、製品と折畳み箱と説明書とからなる包装ユニットごとに、その状態および制御に関する主要データすべてを含むデータセットが蓄積される。包装機械では多数の包装ユニットが同時に加工されて包装機械の中を通過することから、これらデータセットを共通のデータ記憶装置内に格納することが公知となっている。データ記憶装置はシフトレジスタとして構成される。データセットはこのシフトレジスタ内で、クロックに従って、包装機械の作業クロックすなわち関連付けられた包装ユニットについての刻々と変化する位置に対応して、包装機械において放出部に至るまで変位される、すなわちずらされる。シフトレジスタはシフトクロックによってクロック制御され、このシフトクロックは一般に製品ラインの駆動部からのものが使われる。
【0005】
折畳んだ説明書を用意するには、説明書に対して複数の検査工程および加工工程を行なうことが一般的である。説明書は、この説明書が折畳まれていない形で準備されている説明書の山からいわゆる説明書加工装置によって所定の時刻(呼出時刻tp)に取って来られて折畳まれることになる。その後、説明書は所定の時刻にて説明書ペンチラインのペンチ状の保持器に搬送されることになる。これに加えて、説明書加工装置内において、説明書形式が適正かどうかについての検査が所定の時刻に実行されることになる。この検査は
説明書上にあるコードを入手して評価することによって行なわれる。それぞれのアクションを始めるあるいは開始する時刻は、特定の回転運動において開始信号を発する機械式の回転カムか、または対応するカムを電子的に模倣したものによって予め定められる。開始信号が発せられるのは、シフトレジスタ内のデータセットにおけるいくつかのデータを予め検査した結果、包装ユニットが適切に集められている、すなわち製品と包装材とが存在していることがわかったときだけである。
【0006】
包装機械は、サイズの異なる製品および包装材、ならびに異なる説明書のサイズに対する加工が可能でなければならない。製品寸法、包装材寸法および説明書寸法に依存して、包装機械内の搬送部における個々の構成群を互いに対して調節する必要がある。一般的に、サイズを変更した場合、説明書加工装置および/または説明書ペンチラインを製品ラインおよび/または折畳み箱ラインに対して調節する。その結果、予め1つまたは複数の開始手段あるいはカムによって定められる時刻もまた、包装機械の加工クロックの始まりを規定するシフトレジスタのシフト時刻t0に対して調節される。以下、説明書の山からの説明書の呼出時刻tpを例に挙げて説明するが、同様の問題は、説明書などの封入物について点検または加工のアクションが開始される他の時刻においても生じる。
【0007】
説明書の呼出時刻tpをシフトレジスタのシフト時刻t0に対して調節することから、両方の時刻が重なったり、または少なくとも、これらが2つの独立した信号として制御部により認識および処理され得ないほど接近しているという状況が生じ得る。この状況から、制御部における相容れないシーケンスおよび許容できない動作状態が生じるおそれがある。この場合、包装機械はオフになって障害のあることを通知する。障害を除去するためには、包装機械特に説明書加工装置についての機械的および電気的な調整を製品ラインに対して変更することで、安全な動作状態がもたらされるようにする必要がある。このような調節は当然可能ではある。説明書ペンチラインのペンチ状の保持器へ説明書を搬送する際にはいくらかの時間的な許容範囲が設けられているからである。しかしこの障害の除去は手間がかかるものであり、包装機械の性能に悪影響を与える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の構成を有する包装機械の制御方法であって、上述のように時刻同士が重なったりあまりにも接近していることに起因する障害を確実に回避するための制御方法をもたらすことを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、この発明に従うと、シフトレジスタのシフト時刻t0に対する説明書の呼出時刻tpの相対的な位置を検査し、時刻t0のまわりに設けられた許容期間Tの中に時刻tpがある場合に時刻tpをずらすことによって解決される。
【0010】
サイズ変更に伴い包装機械を調節し、これに関連して説明書の呼出時刻tpをシフトレジスタのシフト時刻t0に対して調節した後、説明書呼出の時刻tpがシフトレジスタのシフト時刻t0と重なるか、または少なくとも競合が予想されるほど接近しているかどうかを制御部によって検査する。これが該当するのは、説明書の呼出時刻tpが、シフトレジスタのシフト時刻t0のまわりに配置される所与の許容期間Tの中にある場合である。この検査の結果、説明書の呼出時刻tpが許容期間T内にあることがわかると、説明書の呼出時刻tpは制御部によって自動的に変位される。このような変位は包装機械の動作に悪影響を及ぼさずに行なうことが可能であるが、それは説明書ペンチラインのペンチ状の保持器へ説明書を搬送する際にいくらかの時間的な許容範囲があるからであり、この発明はこれを利用するものである。このように、サイズ変更後、相容れない動作状態または制御シーケンスによって包装機械がオフになることを確実に防止する。
【0011】
高速で作業する包装機械は1分当りおよそ450作業クロックをこなす。すなわちクロック時間は133.33msとなるであろう。サイクル時間は、制御プログラムが処理に必要とする長さの時間として定義される。サイクル時間はたとえば5msなどである。これに従い、シフトレジスタのシフト時刻t0のまわりにある許容期間Tは、包装機械のクロック時間のうち少なくとも±3%を含むことが求められる。すなわち、説明書の呼出時刻tpは、シフト時刻t0より前の先行作業クロックの終りの3%、またはシフト時刻t0より後の後続作業クロックの始めの3%と重ならないことが求められる。許容期間Tの上限としては、包装機械のクロック時間の±10%の量が適当であることがわかっている。好ましくは、許容期間Tは包装機械のクロック時間のうち±5%の量を含む。
【0012】
呼出時刻tpが許容期間Tの中にあると制御部が判断した場合、呼出時刻tpを許容期間Tの外になるまで変位する。このような変位は時間軸のいずれの方向でもよく、すなわちより早い時点の方向でも、またはより遅い時点の方向でもよい。この発明の好ましい形態では、許容期間Tの外側の位置に達するのに必要な呼出時刻tpの両方の変位量Δt1,Δt2を、制御部が両方向(前および後)について算定する。この後、許容期間Tの外側の位置に達するための変位がより小さい方向に呼出時刻tpをずらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明についてのその他の詳細および特徴は、添付の図面を参照して以下の実施例の説明から明らかとなる。
【0014】
図1は、シフトレジスタのシフト時刻t0を伴った時間軸tを示す。シフト時刻t0は同時に、包装機械の作業クロックの始まりを規定する。説明書加工装置における説明書の呼出時刻tpはシフト時刻t0に対して十分な時間間隔を有しているため、包装機械で危機的な動作状態が生じるおそれがない。
【0015】
サイズ調節として説明書加工装置の時間的なシーケンスが製品ラインに対して調節されると、説明書の呼出時刻tpの位置もまたシフトレジスタのシフト時刻t0に対して変更される。図2から明らかなように、説明書の呼出時刻tpはこの時点ではサイズ調節前よりもかなりシフトレジスタのシフト時刻t0に接近している。サイズ調節が終了した後、シフトレジスタのシフト時刻t0のまわりにあり包装機械のクロック時間の±5%を含む許容期間Tの中に説明書の呼出時刻tpがあるかどうかを包装機械の制御部が検査する。図2に示すように、ここに示す実施例の説明書の呼出時刻は許容期間Tの中にある。この後、呼出時刻tpをより早い位置へとずらしてこれを許容期間Tのすぐ前に置くために必要な第1の時間的変位量Δt1を制御部が算定する。これに対応して、呼出時刻tpをより後の時刻へずらすことでこれを許容期間Tの外側に置くために必要な第2の時間的変位量Δt2を算定する。これら両方の時間的変位量Δt1,Δt2を互いに比較して説明書加工装置を調節することにより、呼出時刻tpを、算定された両方の時間的変位量Δt1,Δt2のうちのより小さい値(絶対値)だけ、これに関連した方向に変位させる。ここに示す実施例ではΔt2<Δt1であり、したがって呼出時刻tpは、図3に示すように、後の時刻へ期間Δt2だけずらされる。この状態においては、呼出時刻tpがずらされた後でシフトレジスタのシフト時刻t0のまわりの許容期間Tの外側に来ているので、包装機械において開始時刻同士または開始信号同士が互いに接近しすぎることによる相容れないシーケンスおよび動作状態が確実に回避されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】サイズ調節前、時間軸t上において危機的でない配置にある時刻t0,tpを示す図である。
【図2】サイズ調節後、時間軸t上において危機的な配置にある時刻t0,tpを示す図である。
【図3】修正動作の後、時間軸t上において危機的でない配置となった時刻t0,tpを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装機械において、製品についての製品コンベアと包装材についての包装材コンベアとが区間ごとに互いに対して平行かつ同期的に進むように設けられ、こうして製品が搬送部において包装材の中に導入可能であり、さらに、製品に追加する封入物、たとえば説明書または計量スプーンなどについての封入物コンベアを備えた包装機械であって、
シフトレジスタの形をとるデータ記憶装置が設けられ、前記シフトレジスタには、製品と包装材と封入物とからなる包装単位についての種々の状態・制御データが入っており、前記データは時刻t0にて前記シフトレジスタ内でクロックに従って変位され、さらに、
前記封入物に対して点検アクションまたは加工アクションが開始される、予め開始手段により定められた少なくとも1つの時刻tpが設けられ、
前記時刻tpが前記時刻t0に対して前記製品および/または前記包装材および/または前記封入物に依存して調節可能である、包装機械を制御する方法において、
前記時刻t0に対する前記時刻tpの相対的な位置を検査するステップと、前記時刻t0のまわりに設けられる許容期間Tの中に前記時刻tpがあった場合に、前記時刻tpをずらすステップとを備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記時刻tpが前記許容期間Tの外側となるまで前記時刻tpをずらすことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記許容期間Tが前記包装機械のクロック時間の±3%〜±10%の量を含むことを特徴する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記許容期間Tが前記包装機械のクロック時間の±5%の量を含むことを特徴する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記許容期間Tの外側の位置に達するのに必要な前記時刻tpの変位量Δt1,Δt2を両方向(前および後)について算定し、前記時刻tpを両方の変位量Δt1,Δt2のうち小さい方だけずらすことを特徴とする、請求項2から請求項4のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−505455(P2006−505455A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−569498(P2003−569498)
【出願日】平成15年1月23日(2003.1.23)
【国際出願番号】PCT/EP2003/000663
【国際公開番号】WO2003/070577
【国際公開日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【出願人】(598056456)イー・ベー・カー・フェルパックングステクニク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (7)
【氏名又は名称原語表記】IWK VERPACKUNGSTECHNIK GMBH
【Fターム(参考)】