説明

包装用ポリエチレンフィルム

重量%で
(I) (1) 不飽和C3〜C20モノカルボン酸とC1〜C24脂肪族または脂環式のアルコールとのエステルのエチレン性不飽和有機モノマーおよび(2) 飽和C2〜C18カルボン酸のビニルエステルから選択されるエステルに由来する反復単位を含み、エステル含量が最終のエチレンポリマー組成物の全重量に基づいて2.5〜8重量%であり、エチレンポリマー組成物が、0.920〜0.935 g/mLの密度を有するエチレンポリマー組成物50〜80%;ならびに
(II) 0.9〜0.930 g/mLの密度および4 g/10分までの溶融流量を有するエチレンベースのポリマー成分20〜50%を含むポリマーブレンドを含む弾性フィルム。0.3以下のMDエルメンドルフ引裂抵抗とTDエルメンドルフ引裂抵抗との間の比を有するフィルムが、バンド固定テープとしてパレットでの適用に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性フィルムおよび特に包装用に適する弾性バンド固定テープ(banding tape)に関する。より具体的には、本発明は、低密度エチレンコポリマーと少量の線状ポリエチレンとのブレンドを含むポリオレフィン材料から作られるフィルムおよびバンド固定テープに関する。
【背景技術】
【0002】
輸送および販売のためにひとまとめにされる商業製品が多くある。典型的には、ビン、缶、ガラス製品およびいずれのその他のパレットに載せられ杭で固定される(staked)製品(いくつかのそのような製品を除いて)である。バンド固定テープは、輸送および取り扱いの間に固定されたままでなければならず、それにより充分なパレット安定性を提供することができる。
【0003】
製品を縛るかまとめるためのある方法は、ポリプロピレンまたはポリエステルのストラップテープ(strapping tape)を用いることである。しかしながら、ストラップの狭い幅は、ある問題点を示す。ストラップは、小さい製品の場合に、全ての製品を巻き込まないので、製品をパレットの単位に固定するには不適切な場合がある。
【0004】
ストラップの狭い幅により引き起こされる他の問題点は、トレードマークや他の情報を印刷する余地が非常に狭いことである。これは、商業的観点からは非常に重要な問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、今回、優れたシール性と動的性質、例えば良好な弾性、柔軟性、高い残留強度および引張強度と残留強度との間の所望のバランスを示す弾性ポリオレフィン組成物を含む弾性フィルムと弾性バンド固定テープを見出した。
【0006】
本発明のバンド固定テープは、いずれの幅でも製造できるという利点を有する。このことは、本発明のテープがストラップに典型的な上記の問題点を有さないことを意味する。
本発明のフィルムおよびテープは、非常に良好な光学的性質も有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、本発明は、重量%で
(I) (1) 不飽和C3〜C20モノカルボン酸とC1〜C24脂肪族または脂環式の一価アルコールとのエステルのエチレン性不飽和有機モノマーおよび(2) 飽和C2〜C18カルボン酸のビニルエステルから選択されるエステルに由来する反復単位を含み、エステル含量が最終のエチレンポリマー組成物の全重量に基づいて2.5〜8重量%、好ましくは3〜6.5重量%であり、エチレンポリマー組成物が、0.920〜0.935 g/mLの密度を有するエチレンポリマー組成物50〜80%、好ましくは50より高く75まで、より好ましくは60〜70%;ならびに
【0008】
(II) 0.9〜0.930 g/mL、好ましくは0.910〜0.925 g/mLの密度および4 g/10分まで、好ましくは0.5〜2 g/10分の溶融流量を有し、エチレンベースのポリマー成分が、
(i) エチレンと0.5〜20モル%のCH2=CHRのα-オレフィン (Rは2〜8の炭素原子を有す る炭化水素基である)とからなる線状ポリエチレン(i);および
(ii) (a)エチレンと少なくとも1種のCH2=CHRのα-オレフィン (Rは1〜10の炭素原子 を有する炭化水素基である)とのランダムインターポリマーであって、20モル%まで のCH2=CHRのα-オレフィンを含みかつ0.88〜0.945 g/mLの密度を有するランダムイン ターポリマー80〜100重量部と、(b) プロピレンと少なくとも1種のCH2=CHRのα-オレ フィン (Rは2〜10の炭素原子を有する炭化水素基である)と任意にエチレンとのラン ダムインターポリマーであって、プロピレン由来単位60〜98重量%とCH2=CHRのα-オ レフィン由来の反復単位2〜40重量%とエチレン由来の反復単位0〜10重量%とを含 み、70%を超える室温でのキシレン不溶画分を有するランダムインターポリマー(b)5 〜30重量部とを含むポリマーブレンド(ii)
から選択されるエチレンベースのポリマー成分20〜50%、好ましくは25から50未満、より好ましくは30〜40%
を含むポリマーブレンド(A)を含む弾性フィルムまたは弾性バンド固定テープを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明によるフィルムまたはテープは、0.3以下のMDエルメンドルフ引裂抵抗とTDエルメンドルフ引裂抵抗との間の比を有する。エルメンドルフ引裂抵抗は、以下に記載の方法に従って測定される。
【0010】
好ましくは、本発明によるフィルム(以下、フィルムの語はテープの語も包含する)は、130 MPa以下の2%割線MD引張モジュラスの値を示す。
典型的には、本発明によるフィルムは、0.5の30%でのMD残存強度の値と30%でのMD引張応力の間の比を有する。
【0011】
本発明のフィルムは、有利には、7〜11 cN/μm、好ましくは7.5〜11 cN/μmの30%でのMD標準化(normalized)残存強度を有する。この機械的特性は、以下に説明するようにして測定する。
本明細書において用いられるように、「標準化残存強度」の用語は、フィルム/ストリップの厚さで割った残存強度である。
【0012】
「MD」の略語は、「縦方向(machine direction)」を意味し、フィルムの「長さに沿った」方向、すなわちフィルムが押出および/または被覆の間に形成されるのと同じフィルムの方向のことをいう。「TD」の略語は、「横断方向(transverse direction)」を意味し、フィルムを横切る方向、縦方向または長手(longitudinal)方向に垂直のことをいう。
【0013】
好ましくは、エチレンポリマー組成物(I)は、エチレンと、上記のエステル(1)および(2)から選択される少なくとも1種のコモノマーとのインターポリマーであって、コモノマー含量が2〜8重量%の範囲内のものである。本明細書で用いられる「インターポリマー」の用語は、少なくとも2種の異なるモノマーの重合により製造されるポリマーのことをいう。よって、包括的な用語「インターポリマー」は、用語「コポリマー」(この語は、2種の異なるモノマーから製造されたポリマーのことをいう)とともに、用語「ターポリマー」(この語は、3種の異なるモノマーから製造されたポリマー、例えばエチレン/ブテン/ヘキセンポリマーのことをいうのに通常用いられる)を包含する。
【0014】
あるいは、エチレンポリマー組成物(I)は、(a) エチレンホモポリマー、またはエチレンと上記のエステル(1)および(2)の少なくとも1種とのインターポリマーであって、エステル含量が2から8重量%未満の量であるインターポリマーおよび(b) エチレンと上記のエステル(1)および(2)の少なくとも1種とのインターポリマーを含むブレンドであり得る。ブレンド中のエステル含量が2〜8重量%の範囲内であるという条件で、インターポリマー(b)においてエステル含量は8重量%より高くなり得る。
【0015】
該ブレンドにおいて、エチレンホモポリマー(a)は、低密度エチレンホモポリマー(LDPEとして知られる)が好ましく、これは典型的には、0.1〜20 g/10分の溶融流量と0.015〜0.932 g/mLの密度とを有する。LDPEは、過酸化物および酸素のようなフリーラジカル開始剤を用いる周知の重合方法に従って製造される。これは、通常、管状オートクレーブ反応器または攪拌オートクレーブ反応器のいずれかにより製造される。
【0016】
このようなブレンドにおいて、エチレンインターポリマー(b)は、0.940 g/mLより高い値の密度を有し得る。
【0017】
エチレンモノマーと共重合されてエチレンポリマー組成物(I)を製造するコモノマーの具体的な例としては、1〜約24の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有するアクリレートおよびメタクリレート、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-メチルペンチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エチル;(メタ)アクリル酸ラウリルならびに(メタ)アクリル酸シクロヘキシルを含むアクリレートおよびメタクリレートにより代表される不飽和カルボン酸エステルを挙げることができる。
【0018】
低密度を有する分岐鎖状のエチレンポリマー組成物(I)において、エチレンと共重合することができる好ましいコモノマーは、アクリル酸メチル(EMAコポリマー)、アクリル酸エチル(EEAコポリマー)、アクリル酸ブチル(EBAコポリマー)および酢酸ビニル(EVAコポリマー)である。EBAコポリマーおよびEVAコポリマーがもっとも好ましいコポリマーである。
【0019】
エチレンポリマー(II)は、低密度を有するエチレンポリマーの種々の群を含む。より具体的には、本明細書において用いられる「線状ポリエチレン」の用語は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度および超低密度ポリエチレン(very low and ultra low density polyethylene) (VLDPEおよびULDPE)のような不均質ポリマーならびに均質ポリマーの両方を含む。プラストマーとしても知られるこの均質ポリマーは、エチレンの熱可塑性ホモポリマーおよびメタロセン触媒およびその他の単一座触媒(single-site catalyst)により製造されることとなるエチレンと2〜10の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのインターポリマーである。概して、コモノマーの割合は0〜50重量%、好ましくは5〜35重量%である。上記の均質ポリマーは、通常、0.90〜0.930 g/mLの密度、ならびに2.16 kgの負荷および190℃で0.8〜2.0 g/10分の溶融流量を有する。均質ポリマーは、例えば、通常、
【0020】
【数1】

【0021】
の値に関して1.5〜3の間である狭い分子量分布と、長鎖分岐の限定された程度とを有する点で、チーグラー・ナッタ触媒により製造されるポリエチレンとは異なる。概して、長鎖の数は、1000の炭素原子当たり最大で3である。
【0022】
適切な均質ポリマーは、商業的規模で、例えばエクソンケミカルカンパニー(Exxon Chemical Company)およびDEX-プラストマーズによりExactの商品名の下で、Engage、AffinityおよびEliteの登録商標でこれらの商品化しているダウケミカルカンパニーにより、およびTafmerの登録商標でこれらを商品化している三井石油化学により製造されている。
【0023】
エチレンポリマー組成物(I)において、エチレンベースのポリマー成分(II)が均質ポリマーである場合に、エステル含量は、通常、3から5重量%未満である。
【0024】
線状ポリエチレンの低密度は、エチレンを上記のCH2=CHRのα-オレフィン (Rは2〜8の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖状の炭化水素である)と共重合することにより得られる。該オレフィンは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよび4-メチル-1-ペンテンから選択されるのが好ましい。エチレンコポリマーにおける最も好ましいコモノマーは、1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンである。
【0025】
本発明において用いられる線状ポリエチレン(II)は、「チーグラー・ナッタ」または「フィリップス」型の配位触媒の使用を含む重合の公知の方法に従って製造される。例えば、これは、エチレンをC4〜C10-α-オレフィンと、周期表の2および3族の金属の有機金属化合物と周期表の4〜6族に属する遷移金属を含む触媒成分との反応により得られるチーグラー・ナッタ型触媒の存在下に共重合させることにより製造される。好ましくは、該遷移金属化合物は、ハロゲン化マグネシウムを活性形で含む固体担体上に支持されている。コポリマーの製造において用い得る触媒の例は、米国特許第4,218,339号および4,472,520号に記載される。触媒は、米国特許第4,748,221号および4,803,251号に記載の方法によっても製造できる。特に好ましいものは、規則的な形態、例えば球状を有する成分を含む触媒である。このような触媒の例は、欧州特許出願第395083号、553805号および553806号に記載されている。
【0026】
上記のポリマーブレンド(ii)は、国際特許出願WO 95/20009号に記載されている。ブレンド(ii)におけるプロピレンインターポリマーは、例えば、プロピレンとエチレンとのコポリマーまたはプロピレンとブテン-1とのコポリマーであり得る。これは、プロピレンとエチレンおよびC4〜C10-α-オレフィンとのターポリマーが好ましい。このような場合、プロピレン含量は85〜96重量%、エチレン含量は2〜8重量%およびC4〜C10-α-オレフィンの含量は2〜7重量%である。
【0027】
ポリマーブレンド(ii)において、成分(a)は、好ましくはエチレンの1-ブテンとのコポリマーでありかつ成分(b)は、プロピレンのエチレンおよび1-ブテンとのターポリマーである。
【0028】
プロピレンインターポリマー(b)のキシレン中での高い不溶性は、インターポリマー鎖におけるプロピレン反復単位の立体規則的構造とコモノマーの均質な分布とを示す。以下に記載のようにして測定されるキシレン中での不溶性は、好ましくは75重量%より高く、より好ましくは85重量%より高い。
【0029】
プロピレンインターポリマー(b)の融解熱は、通常、50 J/gより高く、好ましくは60 J/gより高く、より好ましくは70 J/gより高い。
プロピレンインターポリマー(b)の融解温度は140℃未満であり、好ましくは120〜140℃である。
プロピレンインターポリマー(b)の結晶インデックス(crystalline index)は、通常、50%より高い。
【0030】
プロピレンインターポリマー(b)の以下に記載されるようにして測定されるMFR値は、通常、2〜30 g/10分である。
プロピレンインターポリマー(b)は、例えば、特許出願EP 395 083号に記載される種類の高度に立体特異的な触媒を用いて簡便に製造することができる。
【0031】
ポリマーブレンド(ii)は、固体状態の成分(a)および(b)をまずブレンドし、次いで押出機に投入することにより得ることができ、ここで、例えば高い混合効率のミキサー内で2つの成分は溶融状態に混合される。
【0032】
好ましい方法によると、ポリマーブレンド(ii)は、エチレンポリマー(a)が一方の反応器で製造され、プロピレンポリマー(b)が他方の反応器で製造される、いずれかの順序で稼動しかつ種々の反応器で同じ触媒を用いる一連の少なくとも2つの反応器での重合プロセスにより直接製造される。重合は、流動床反応器を用いて気相において簡便に行なわれる。該方法により製造されるポリマーの例は、特許出願WO 93/03078号およびWO 95/20009号に記載される。
【0033】
適切な触媒は:
A) 活性形のハロゲン化マグネシウム上に支持された少なくともチタンハロゲン結合を有するチタン成分と任意に電子供与化合物とを含む固体触媒成分;
B) Al-アルキル化合物;および任意に
C) 電子供与化合物
の反応により得られる。
【0034】
本発明によるポリマーブレンド(A)は、それぞれの成分をドライブレンドし、続いてフィルム/ストリップをつくるのに用いられる押出機で直接か、またはフィルム/ストリップを作る前に別の押出機で前溶融混合することによるかのいずれかで溶融混合することを含むいずれの簡便な方法によりつくることができる。
【0035】
明らかに、当業者に公知のことによれば、本発明のフィルム/ストリップに特定の特性を付与し得るさらなる添加剤(例えば安定剤、抗酸化剤、粘着防止剤、スリップ剤、着色剤など)および充填剤をポリマーブレンド(A)に加えることができる。
【0036】
弾性材料のフィルムは、押出、同時押出、インフレーション成形(blowing)および流延のような当該技術において知られるいくつかのフィルム形成方法のいずれかを用いてつくることができる。
【0037】
本発明のフィルムは、単層または多層であり得る。しかしながら、同時押出多層構造(例えば3層のストリップ構造)について、少なくとも1つのスキン層は、本明細書に記載のポリマーブレンド(A)からつくられるものであり、これはもちろん構造のコア層として用いることもできる。通常、本明細書に記載のポリマーブレンドは、全多層構造の少なくとも60重量%を含む。好ましくは、本明細書に記載のポリマーブレンドは、コア層として用いられる。このようなフィルムにおいて、スキン層は、フィルムの内面および外面に特定の性質を付与するために、高密度から低密度までのその他のポリエチレンタイプおよびポリプロピレンタイプまたはこれらのブレンドを含むことができる。
【0038】
本発明の特定の観点は、フィルムの各層が同じクレームされたポリマー組成物からなるが、異なる添加剤、安定剤、充填剤を含有する多層フィルムを含み得る。
【0039】
フィルムの厚さは、伸ばされたときに材料が発揮する回復力に関係すると考えられなければならない。回復力は、材料の伸長されたストリップによりその元来の状態に戻るために発揮される力である。本発明のフィルムの厚さは、よって、広く変動するが、典型的な厚さの範囲は、約0.025 mm〜約0.1 mm、好ましくは約0.040 mm〜約0.070 mmである。より薄いフィルムがコストの理由から好ましいが、特定の適用およびプロセシング法のために適切な引張強度を与えるのに充分厚くなければならない。3層構造について、同じ最終の厚さと重量とが有用であるが、各層の分布はフィルム全体の厚さの5〜50%で変動してもよく、層の数は最少で2から7、好ましくは3から5である。
【0040】
本発明によるフィルムは、コロナ処理の後に印刷可能である。
【0041】
典型的には、本発明のフィルムは20〜90 g/m2の重量を有する。
【実施例】
【0042】
以下の実施例は、本発明を説明するために与えられ、限定するものではない。
実施例のポリマーブレンドおよびストリップに関するデータは、以下に報告する方法により測定される。
- MFR:ISO 1133法 (190℃、2.16 kg)により測定。
- 密度:ASTM D-792法により測定。
- コモノマー含量:IR分光法により測定。
- 25℃でキシレンに可溶および不溶の画分:ポリマー2.5 gをキシレン250 mlに135℃で攪拌下に溶解する。20分後に溶液を攪拌下に25℃まで冷却させ、次いで30分間安定させる。沈殿をろ紙によりろ過し、溶液を窒素流中で蒸発させ、一定重量に達するまで80℃で真空下に残渣を乾燥させる。これにより、室温(25℃)で可溶および不溶のポリマーの重量パーセントが算出される。
【0043】
- 引裂抵抗:ASTM D 1922法に従うエルメンドルフ引裂試験機を用いて、縦方向および横断方向の両方で測定。
- 2%割線引張モジュラス:ASTM D 822法により測定。
【0044】
- 引張強度および残存強度:要求に応じて入手可能なMA 17301内部法により測定。試験は、フィルムから切り出されたフィルム試験片について行なわれる。フィルムを予め23℃、相対湿度50%に、少なくとも24時間(48時間を超えない)保持する。
フィルム試験片を引張速度50 mm/分で稼動するインストロン型の引張試験機に入れる。フィルムに30%の変形まで応力を加える。30%の変形に達したとき(最大強度)および30%の変形に達してから240分後(強度240)に強度を測定する。残存強度の比は、残存強度240と最大強度との間の比として定義される。
【0045】
- :ASTM D 1709A法により測定。
- ヘーズ:ASTM D 1003法により測定。
【0046】
- バンド固定試験:実施例に記載のようにして製造されたテープを用いて、規則的な形の試験フレームをパレットに載せる。フレームのサイズは1200×800×1220 mmである。バンド固定試験は、テープの2つの末端をシールもする機械Roboband 2VHを用いて行う。
評価した特性は、シールされたテープ部分の耐性およびパレット上でのバンド固定工程である。
シールの質は、シールの直後の、シールされたテープの部分の耐降伏性または耐破断性(resistance at yielding or breakage)の評価により測定される。
バンド固定工程の質は、フレームの周囲のテープの靭性の評価により測定される。
【0047】
実施例および比較例において用いられるポリマー
- エチレン-アクリル酸ブチルコポリマー、EBAコポリマー:アクリル酸ブチル由来の反復単位の含量は6.5重量%であり、MFR値は0.25 g/10分であり、密度は0.923 g/mLである。
- 低密度エチレンホモポリマー、LDPE:MFR値は0.3 g/10分であり、密度は0.923 g/mLである。
- 極低密度エチレン-オクテン-1コポリマー、VLDPE:オクテン-1由来の反復単位の含量は15.3重量% (4.3モル%)であり、MFRは1 g/10分であり、密度は0.912 g/mLである。
【0048】
実施例1および比較例1
一軸型押出機(スクリュー長30 L/D)中で適切な成分を押し出すことによりポリマーブレンドを製造する。表1は、用いられたポリマーおよびそれらの相対量を列挙する。
次いで、このようにして得られたポリマーブレンドを、40 mmの溝付一供給軸押出機(grooved feed single screw extruder) (KRC40)を通して押し出して、テープを製造する。
【0049】
フィルムの物理的および機械的特性ならびにテープについて行なったバンド固定試験の結果を表2に報告する。
比較例のテープとの比較において、本発明によるテープは、機械的特性の良好なバランス、良好な透過性および良好なヒートシール適性の全てを示す。シールされたテープの耐性は、テープのヒートシール適性の間接的な指標である。バンド固定試験は、本発明によるテープだけが、テープをバンド固定に適切なものにするこれらの主要な特性を有することを示す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で
(I) (1) 不飽和C3〜C20モノカルボン酸とC1〜C24脂肪族または脂環式の一価アルコールとのエステルのエチレン性不飽和有機モノマーと(2) 飽和C2〜C18カルボン酸のビニルエステルとから選択されるエステルに由来する反復単位を含み、エステル含量が最終のエチレンポリマー組成物の全重量に基づいて2.5〜8重量%であり、エチレンポリマー組成物が、0.920〜0.935 g/mLの密度を有するエチレンポリマー組成物50〜80%;ならびに
(II) 0.9〜0.930 g/mLの密度および4 g/10分までの溶融流量を有し、エチレンベースのポリマー成分が
(i) エチレンと0.5〜20モル%のCH2=CHRのα-オレフィン (Rは2〜8の炭素原子を有す る炭化水素基である)とからなる線状ポリエチレン(i);および
(ii) (a)エチレンと少なくとも1種のCH2=CHRのα-オレフィン (Rは1〜10の炭素原子 を有する炭化水素基である)とのランダムインターポリマーであって、20モル%まで のCH2=CHRのα-オレフィンを含みかつ0.88〜0.945 g/mLの密度を有するランダムイン ターポリマー80〜100重量部と、(b) プロピレンと少なくとも1種のCH2=CHRのα-オレ フィン (Rは2〜10の炭素原子を有する炭化水素基である)と任意にエチレンとのラン ダムインターポリマーであって、プロピレン由来単位60〜98重量%とCH2=CHRのα-オ レフィン由来の反復単位2〜40重量%とエチレン由来の反復単位0〜10重量%とを含 み、70%を超える室温でのキシレン不溶画分を有するランダムインターポリマー(b)5 〜30重量部とを含むポリマーブレンド(ii)
から選択されるエチレンベースのポリマー成分20〜50%
を含むポリマーブレンド(A)を含み、0.3以下のMDエルメンドルフ引裂抵抗とTDエルメンドルフ引裂抵抗との間の比を有する弾性フィルム。
【請求項2】
エチレンポリマー組成物(I)が、エチレン-アクリル酸ブチルコポリマーまたはエチレン-酢酸ビニルコポリマーである請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
エチレンポリマー(i)が、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1および4-メチル-1-ペンテンから選択されるコモノマーを有する請求項1または2に記載のフィルム。
【請求項4】
ポリマーブレンド(ii)中のポリマー(a)が、エチレン-ブテン-1コポリマーである請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
ポリマーブレンド(ii)中のポリマー(b)が、プロピレン-エチレン-ブテン-1ターポリマーである請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
請求項1〜5による弾性バンド固定テープ。

【公表番号】特表2007−500272(P2007−500272A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529865(P2006−529865)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005353
【国際公開番号】WO2004/104084
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(501468046)バセル ポリオレフィン イタリア エス.アール.エル. (33)
【住所又は居所原語表記】Via Pergolesi 25,20124 Milano,Italy
【Fターム(参考)】