説明

包装用台紙

【課題】台紙を包装ラインに供給する際に発生するブロッキング、高速包装時の折りまげ部分の不安定さなどを解決する包装用台紙を提供する。
【解決手段】所定幅の合成樹脂シート1の両側に折りまげ線2を設けると共に、シートの片面又は両面に、シートを重ねたときに上下のシートが密着することを防止するための凹凸5を形成して包装用台紙を構成する。 折りまげ線2の外側が折りまげ部分となり、包装時に立ち上がり部(容器の蓋側に台紙を装着する場合は垂下部)を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として食品包装の分野で利用される、包装用台紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷菓のアイスバー製品において、流通・販売場面での製品の折れ等の損傷を防止しようとする場合は、紙トレーを使用している。
また、ヨーグルト、プリンや納豆等、複数個を1パックに包装して販売される小型容器入り食品においては、紙トレー又は皿状の成形容器に複数の容器を載せて包装されている。
【特許文献1】実開昭61−105662号
【0003】
上記考案は、天板部とその両側の側板部とに折り目を境として区画される台紙に対し、該折り目に沿って天板部内に容器の鍔を係止すべき打抜穴を設けた容器用ホルダーである。
【0004】
上記考案を含め、従来の紙製トレーは包装工程において紙粉の発生が避けられず、水分での変形対策や高速包装ラインへの自動供給が難しい。販売の場においては、側板の折り曲げ状態が不均一となりやすく、また紙の弾性による戻りや側板の倒れすぎなど折り曲げ状態も不安定であって、見栄えに難点がある。
また、皿状の成形容器は、それ自体台紙と比べて要領が大きく輸送上好ましくない。また消費者から容器の重複使用との印象を受ける要因ともなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、従来の紙製包装用台紙の問題点であった、台紙を包装ラインに供給する際に発生する上下に重なった台紙のブロッキング、高速包装時の折りまげ部分の不安定さ・折りまげ形状の乱れ、包装時、流通時、店頭等での水分での変形対応と、紙粉の付着などを解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、所定幅の合成樹脂シートの両側に折りまげ線を設けると共に、前記シートの片面又は両面に、シートを重ねたときに上下のシートが密着することを防止するための凹凸を形成して包装用台紙を構成したものである。
前記合成樹脂シートの幅は、包装される物の大きさに対応して定めるものである。その形状は、長方形が一般的であるが、両側縁を円弧状としたり、装飾的な輪郭形状としたものも含まれる。
前記折りまげ線の外側が折りまげ部分となり、包装時に立ち上がり部(容器の蓋側に台紙を装着する場合は垂下部)を構成する。したがって、折りまげ線の外側の幅は、包装される物の大きさ、外部に表示しようとする情報の量などを勘案して決定される。
なお、以下の実施例で折りまげ線はシートの長縁に沿って設けてあるが、端縁に沿って設けてもよい。
【0007】
前記上下シートの密着を防止するための凹凸としては、シート面を粗面にする構造も考えられるが、凹凸はシートの長手方向に溝を設けると共に、前記溝には複数の浅溝部を形成して構成することが好ましい(請求項2)。この構成によれば、浅溝部の存在により上下のシート間には間隙が得られるのでブロッキングが防止されると共に、溝の存在により長手方向への移動がスムーズとなり、高速包装ラインへの適応性が向上する。また、溝がリブとなるので台紙のカーリングを防止することができる。
前記溝の数は1本でもよいが、供給時の安定性やカーリング防止の観点から複数本設けることが好ましい。
前記折りまげ線は、包装時に折りまげ部分が無理なく折り曲がるようなものであればよい。ミシン目を形成すると共にミシン目間を薄肉線として構成することが好ましい。このように構成することにより僅かな力で、折り曲げ線に沿って折り曲げることができる。
【0008】
請求項4の発明は、折りまげ線部分を断面M字状に成形し、折りまげ線は断面M字状部分の谷間に形成したものである。このような構成により、折り曲げ時に折り曲げ部が内側へ傾くことを防止でき、見栄えのよい包装状態が得られる。
請求項5の発明は、上記とは逆に折り曲げ部の戻りを防止するものであり、折りまげ線の内側と外側にそれぞれ突起を形成し、シートを折りまげたときに両突起が密着してシートの折りまげられた部分の戻りが防止されるようにしたものである。
【0009】
請求項6、7は包装される物の位置決めを可能とする構造であり、請求項6の発明は、シートの折りまげ線よりも外側に包装される容器の外縁部が係止する係止穴を設けられたものであり、請求項7の発明は、シートの折りまげ線間に包装される物の底部又は天部が係止する凹凸部もしくは凹凸部もしくは穴を設けたものである。
前記底部が係止する凹凸部は、請求項1における密着防止のための凹凸を兼ねることができる。また、何れの請求項の発明においても、スタック時のずれを防止するための凸部を形成することが好ましい。
前記シートの材質は、通常樹脂に比較し、フィラー入り樹脂仕様のトレーにすることにより、樹脂量の減少、燃焼カロリー軽減が可能となり、より環境対策包装仕様となる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、合成樹脂シートによって包装用台紙を構成し、シートにはブロッキング防止用の凹凸を形成したので、台紙を包装ラインに供給する際にブロッキングが生じることがなく、スムーズかつ高速に台紙を包装ラインに供給することができる。また、シートには折りまげ線を設けたので、合成樹脂製であることと相俟って折り曲げ状態が安定し、折り曲げられた部分の形状が歪むこともない。そして、合成樹脂製であるから紙粉が発生することもないなど、従来の問題点が解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1において、長方形状の合成樹脂シート1の両側に長縁と平行に折りまげ線2が形成してあり、折りまげ線2の外側が側壁3となる。両折りまげ線2の内側には各折りまげ線2と平行に溝4が形成してあり、各溝には凸部5が複数形成してある。
前記折りまげ線2は、ミシン目間に短い薄肉線を介在させて構成してあり、包装ラインにおけるシュリンク包装時に無理なく側壁3が立ち上がるようにしてある。
【0013】
前記溝4は裏面側には凸条6として表れ、凸部5は裏面側には凹部7として表れるものである。そして、前記凸部5は溝4から突出しない高さとしてある。
前記溝4及び凸部5は長尺シート製造時に型ローラにより成形されるものである。そして、長尺シートを小切れにカットするピッチと凸部5のピッチとを違えておくと、各シート1毎に凸部5の位置がずれる。他方、カットするピッチと凸部のピッチとを同一とすれば各シート1の凸部の位置は一致する。
凸部5の位置をずらした場合は、シート1を積み重ねたとき(スタック時)の密着防止効果が高く、凸部5の位置を一致させた場合にはスタック時のずれを防止する効果が得られる。
【0014】
すなわち、前者の場合は上下に隣接するシート1における凸部5の位置が異なるので、上方のシート1の裏面側に表れる凸条6は下方シートの凸部5によって支承されることとなり、上方のシートと下方のシートとの接点は凸部5のみとなるので、上下のシートが密着することはない。
他方、後者の場合は上下に隣接するシート1における凸部5の位置が一致しているので、上方のシート1の裏面側に表れる凸条6は下方のシート1の溝4に、上方シート1の裏面側に表れる凹部7は下方のシート1の凸部5にそれぞれ嵌り、凸部5と凹部7とが緩く凹凸嵌合することとなるので、上下のシートのずれが防止され、スタック状態が安定する。なお、この場合においても、上下のシートが完全に嵌り合うことはないので、スタック時の密着は防止されブロッキングは生じない。
【実施例2】
【0015】
図3は、容器の位置決め及び側壁の倒れ込み防止機能を持たせたものである。
合成樹脂シート1の両側に折りまげ線2が形成してある。この折りまげ線2は薄肉線であり、この折りまげ線2を中心としてシート1はM字状に成形してある。このM字状部8は、折りまげ線2に沿って側壁3を立ち上がらせたときに、M字状部8の内面同士が重なり合うことによって、側壁3の内側への倒れ込みを防止するものである。
前記シート1には、容器の底部が嵌る丸穴9が形成してあり(図では2箇所設けてあるが数に制約はない)、包装時に容器の位置決めができるようにしてある。
この実施例においては、スタック時に上下のシートはM字状部8で緩く嵌り合い、シート全面が密着することはなく、ブロッキングは生じない。すなわち、前記M字状部8は密着防止のための凹凸としても機能するものである。
【実施例3】
【0016】
図6は、容器の位置決め及び側壁の戻りを防止する機能を持たせたものである。
合成樹脂シート1の両側に折りまげ線2が形成してあり、折りまげ線の外側が側壁3となる。
前記折りまげ線2の内側に凸部10が、側壁3に凸部11がそれぞれ複数、折りまげ線に沿って形成してあり、折りまげ線2に沿って側壁3を折り曲げて立ち上がらせたときに、前記凸部10と凸部11の端面同士が当接し、その摩擦により側壁3がもどらない(外側に開かない)ようにしてある。
また、側壁3の内面は前記凸部10によって内側への倒れ込みが阻止される。
前記シート1には、容器の位置決めのための角穴9が形成してある。この穴9は、テーパー状の容器に対応して穴の間隔は、穴9に容器の底を嵌め合わせたときに、隣接する容器の口部がぶつからないようにしてある。
この実施例において、凸部10,11の存在によりスタック時にシートの全面が密着することはなく、ブロッキングは生じない。すなわち、これらの凸部は上記機能と共に、未着防止機能も奏するものである。
上記穴9に代えて、穴の縁に沿って凸条を設けて位置決めができるようにすることもできる。その場合、位置決め用の凸条もまたブロッキング防止機能を奏することとなる。
【実施例4】
【0017】
図8は、容器の口部側に使用するものであり、シート1の両側に形成した折りまげ線2の外側が垂下壁13となる。
前記折りまげ線2に沿って、その内側に容器Aの鍔に係止する長穴14が形成してある。またシート1には円形の凸部15が形成してある。この長穴14により容器の位置決めを行うことができる。
なお、上記位置決め構造はシートの上に容器を載せて包装する場合にも採用することができ、その場合は長穴に容器の底縁が係止するようにする。
図10は複数の容器を上下に重ねて包装するためのものであり、前記垂下壁13の縦寸法を伸ばし、上下2箇所に長穴14を形成してある。
この実施例によれば、前記円形の凸部15の存在によりスタック時に上下のシートが密着することがなくブロッキングは生じない。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明の台紙を、カップ入り食品やアイスバーなどの包装用に使用することにより、包装作業の効率化、包装状態の外観の向上などに寄与しうるものであって、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明実施例1の表面側斜視図
【図2】同じく裏面側斜視図
【図3】この発明実施例2の斜視図
【図4】同じく折りまげ線部分の拡大断面図
【図5】同じく折り曲げた状態の拡大断面図
【図6】この発明実施例3の斜視図
【図7】同じく折り曲げた状態の斜視図
【図8】この発明実施例4の平面図
【図9】同じく使用状態の断面図
【図10】同じく2段重ねの場合の使用状態の断面図
【符号の説明】
【0020】
1 シート
2 折りまげ線
3 側壁
4 溝
5 凸部
6 凸条
7 凹部
8 M字状部
9 穴
10 凸部
11 凸部
13 垂下壁
14 長穴
15 凸部
A 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定幅の合成樹脂シートの両側に折りまげ線を設けると共に、前記シートの片面又は両面に、シートを重ねたときに上下のシートが密着することを防止するための凹凸を形成した、包装用台紙
【請求項2】
凹凸はシートの長手方向に溝を設けると共に、前記溝には複数の浅溝部を形成して構成した、請求項1記載の包装用台紙
【請求項3】
折りまげ線は、薄肉線もしくは、ミシン目を形成すると共にミシン目間を薄肉線として構成した、請求項1記載の包装用台紙
【請求項4】
折りまげ線部分は断面M字状に成形され、折りまげ線は断面M字状部分の谷間に形成された、請求項1記載の包装用台紙
【請求項5】
折りまげ線の内側と外側にそれぞれ突起が形成され、シートを折りまげたときに両突起が密着してシートの折りまげられた部分の戻りが防止されるようにした、請求項1記載の包装用台紙
【請求項6】
シートの折りまげ線よりも外側には、包装される容器の外縁部が係止する係止穴が設けられた、請求項1ないし3の何れかに記載の包装用台紙
【請求項7】
シートの折りまげ線間には、包装される容器の底部が係止する凹凸成型部又は穴が設けられた、請求項1ないし3の何れかに記載の包装用台紙


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−89058(P2006−89058A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274509(P2004−274509)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(591161623)株式会社コバヤシ (30)
【Fターム(参考)】