説明

包装用容器

【課題】平面視矩形環状の嵌合部を有する包装用容器において、捩れ方向の力が働いても本体から蓋体が外れ難い容器を提供する。
【解決手段】本体2と蓋体1とから構成される内嵌合容器であって、本体2の嵌合壁22には内側に突出した係合突条27が形成され、蓋体1の嵌合壁12には本体嵌合壁22の係合突条27と係合する内側に陥没した係合凹溝17が形成されていて、蓋体嵌合壁12に設けた係合凹溝17に本体嵌合壁22に設けた係合突条27が係合することにより、蓋体1が本体2に嵌合した状態において、容器に捩れ方向の力が働いた場合でも蓋体1が本体2から外れ難くなることを特徴とする、包装用容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下、本明細書中に記載の内嵌合とは、水平フランジから下方に垂下しながら外方へ拡がる逆テーパ構造の蓋体嵌合壁が形成された蓋体を、開口上端から下方に垂下しながら外方へ拡がる逆テーパ構造の本体嵌合壁が形成された本体に押し込んだときに、本体嵌合壁と蓋体嵌合壁とが接する状態で蓋体と本体とが固定される嵌合方式をいう。
【0002】
本発明は、上向き開口を有する容器本体と本体の開口を塞ぐ蓋体とから構成される内嵌合型の包装用容器に係り、蓋体が本体に嵌合された状態において捩れ方向の力が働いても蓋体が外れ難い容器に関する。
【背景技術】
【0003】
内嵌合容器は、本体嵌合壁と蓋体嵌合壁とが逆テーパ構造に形成されているため、蓋体嵌合壁の下端部が本体開口部よりも広くなっている。そのため、蓋体を本体に嵌合させるには、蓋体と本体とを撓ませながら蓋体嵌合部を本体嵌合部に押し込む必要があり、蓋体嵌合壁の下端部が本体開口部よりも広くなっているため押し込まれた蓋体は嵌合状態が維持される。蓋体を本体から外すには蓋体と本体とを撓ませながら蓋体を上方に引き上げる。
【0004】
別体の本体と蓋体とを有する内嵌合容器における、本体及び蓋体の嵌合部に形成された逆テーパ構造とは、嵌合壁が垂下しながら外方へ拡がっている傾斜状態のことであり、合成樹脂性包装用容器の分野においては従来から知られている構造である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−52787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、従来の内嵌合包装用容器においては、蓋体と本体とを嵌合させるには図9に示すような蓋体100の嵌合部116と本体200の嵌合部226とが逆テーパ構造の蓋体嵌合壁112と本体嵌合壁222との接触によってのみ嵌合しているだけなので、矩形環状の嵌合部を有する容器においては図10に示すような捩れ方向の力が働いた場合、嵌合が外れて蓋体が本体から外れ易いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、平面視において四隅に丸みを設けた矩形環状の嵌合部を有する包装用容器であって、本体嵌合壁には内側に突出した係合突条が形成され、蓋体嵌合壁には本体嵌合壁の係合突条と係合する内側に陥没した係合凹溝が形成されている、包装用容器である。
【0008】
上記包装用容器は、本体嵌合壁に設けられた係合突条と蓋体嵌合壁に設けられた係合凹溝とが少なくとも嵌合部四隅の丸み部分に形成されている。
【0009】
上記包装用容器は、嵌合部の四辺又は対向する二辺が曲線状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記の構成により、蓋体嵌合壁に設けた係合凹溝に本体嵌合壁に設けた係合突条が係合することにより、蓋体が本体に嵌合した状態おいて、容器に捩れ方向の力が働いた場合でも蓋体が本体から外れ難くなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る包装用容器の実施形態1を示した斜視図であり、本体と蓋体が嵌合する前の図
【図2】図1の中央断面を示した図
【図3】図2の要部Yを拡大した図
【図4】図2の蓋体を本体に嵌合した状態を示した図
【図5】図4の要部Zを拡大した図
【図6】実施形態2の蓋体の平面図
【図7】実施形態2の本体の平面図
【図8】実施形態3を示した斜視図
【図9】従来の包装用容器における蓋体と本体の要部断面図
【図10】従来の包装用容器に捩れ力が働いた状態を示す図
【符号の説明】
【0012】
A 包装用容器
1 蓋体
11 水平フランジ
12 蓋体嵌合壁
13 狭幅水平壁
16 蓋体嵌合部
17 係合凹溝
2 本体
21 水平フランジ
21A 環状突条
22 本体嵌合壁
23 狭幅水平壁
26 本体嵌合部
27 係合突条
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
本発明に係る容器は、上向きに開口を有する本体と、本体の開口を塞ぐ蓋体とで構成され、本体と蓋体とが内嵌合構造にて嵌合する容器である。
【0014】
本体は、開口上端から下方に垂下しながら外方へ拡がる逆テーパ構造の本体嵌合壁が形成され、本体嵌合壁の下端から全周に亘って狭幅水平壁を介して本体側壁と底壁に連続して物品収納可能な凹状に成形されている。
【0015】
上記本体嵌合壁は、平面視において四隅に丸みを設けた矩形環状に形成されていて、内側に膨出した係合突条が設けられている。
【0016】
蓋体は、水平フランジから下方に垂下しながら外方へ拡がる逆テーパ構造の蓋体嵌合壁が形成され、蓋体嵌合壁の下端から全周に亘って狭幅水平壁を介して蓋体側壁と上壁に連続している。
【0017】
上記蓋体嵌合壁は、平面視において四隅に丸みを設けた矩形環状に形成されていて、内側に陥没した係合凹溝が設けられている。
【0018】
蓋体を本体に押し込むと、蓋体嵌合壁が本体嵌合壁に設けられた係合突条を乗り越えて下降し、蓋体嵌合部と本体嵌合部とが内嵌合状態になると同時に、蓋体嵌合壁に設けられた係合凹溝内に本体嵌合壁に設けられた係合突条が入り込み係合する。
【0019】
上記本体及び蓋体の嵌合部は、四辺又は対向する二辺が曲線状に形成されていてもよい。
【0020】
本体及び蓋体は嵌合できる程度に撓むことができる柔軟性が必要であり、具体的には合成樹脂が用いられ、より具体的には、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート、アモルファス・ポリエチレン・テレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、二軸延伸ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、エチレン・ビニル・アルコールがあり、これら合成樹脂に充填剤、顔料、可塑剤、老化防止剤、滑剤等の添加剤を添加したものであっても良く、これら材質の合成樹脂シートを加熱成形したものであっても良い。
【実施例】
【0021】
本発明に係る実施形態1を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
本発明に係る実施形態1の包装用容器Aについて、蓋体1を本体2に嵌合する前の状態の斜視図を、図1に示す。
【0022】
蓋体1は、水平フランジ11の内側から下方に垂下しながら外方へ拡がる逆テーパの蓋体嵌合壁12が形成され、該蓋体嵌合壁12の下端に狭幅水平壁13を介して蓋体側壁14と上壁15が連続している。
【0023】
本体2は、水平フランジ21に環状突条21Aが立設され、該環状突条21Aの内壁が下方に垂下しながら外方へ拡がる逆テーパの本体嵌合壁22として形成され、該本体嵌合壁22の下方に狭幅水平壁23を介して本体側壁24と底壁25が連続している。
【0024】
内嵌合型包装用容器においては、蓋体嵌合壁12と本体嵌合壁22は逆テーパ構造になっており、蓋体1と本体2は蓋体嵌合壁12と本体嵌合壁22とが接触状態で嵌合することから、蓋体嵌合壁12下端の外径は本体嵌合壁22によって囲まれて形成された上向き開口Xの外径より大きくなるため嵌合が自然に外れることはない。
【0025】
図2に図1の中央断面図を、図3に図2の要部Yの拡大図を示し、包装用容器Aの構造を更に詳細に説明する。蓋体1は、水平フランジ11内周縁から下方に垂下しながら外方へ拡がる逆テーパの蓋体嵌合壁12と、該蓋体嵌合壁12の下端から全周に亘って内側に連続する狭幅水平壁13とが段構造の蓋体嵌合部16が形成され、該嵌合部16から蓋体側壁14と上壁15とが連続した一体構造になっていて、蓋体嵌合壁12には内側に陥没した係合凹溝17が設けられている。
【0026】
本体2は、水平フランジ21に環状突条21Aが立設され、該環状突条21Aの内壁が下方に垂下しながら外方へ拡がる逆テーパの本体嵌合壁22となり、該本体嵌合壁22と本体嵌合壁22の下端から全周に亘って連続する狭幅水平壁23とが段構造の本体嵌合部26を形成し、該本体嵌合部26から本体側壁24と底壁25とが連続する一体構造となっていて、本体嵌合壁22には内側に膨出した係合突条27が設けられている。また、環状突状21Aの内側には上向きの開口Xが形成されている。
【0027】
図1に示すように、実施形態1における蓋体1に形成された蓋体嵌合部16及び本体2に形成された本体嵌合部26は、平面視輪郭が四隅に丸みを設けた矩形環状になっている。
【0028】
実施形態1における蓋体1と本体2との嵌合状態を示す断面図を図4に、図4の要部Zの拡大図を図5に示し、蓋体1を本体2に嵌合する工程を説明する。蓋体1を本体2に押し込むと、蓋体嵌合壁16が本体嵌合壁26に設けられた係合突条27を乗り越えて内嵌合状態になると同時に蓋体嵌合壁16に設けられた係合凹溝内17に、本体嵌合壁26に設けられた係合突条27が入り込み係合する。係合突条27の本体嵌合壁26からの突出高さは蓋体嵌合壁16が撓みながら乗り越えられる程度のものであればよい。
【0029】
内嵌合容器においては、図9に示すように蓋体嵌合壁と本体嵌合壁との逆テーパ構造によって嵌合されるため他の嵌合手段がなくとも嵌合状態は維持される。しかし、矩形状の嵌合部を有する容器においては容器内に内容物を収納した状態で容器のコーナー部を摘まんで持ち上げた際等に、図10に示すように内容物の重量によって捩れ力が働き嵌合状態が解除されて蓋体が本体から外れることがある。
【0030】
本発明においては、蓋体1の蓋体嵌合壁12に設けられた内側に陥没した係合凹溝17内に、本体2の本体嵌合壁22に設けられた内側に突出した係合突条27が入り込み係合することにより、係合凹溝17と係合突条27との係合による外れ防止機能と内嵌合自体の外れ防止機能とによる二重の外れ防止機能によって、矩形容器に働く捩れ力に抗してより強力な外れ防止機能が働く。
【0031】
本体2の係合突条は本体嵌合壁22の全周に亘って形成しても本体嵌合壁22の一部に形成してもよく、蓋体1の係合凹溝は蓋体嵌合壁12の全周に亘って形成しても本体2の係合突条に適合した長さで蓋体嵌合壁12の一部に形成してもよい。
【0032】
他の実施形態2について、蓋体1´の平面図を示す図4及び本体2´の平面図を示す図5を用いて説明する。
【0033】
実施形態2においては、蓋体1´は図4に示すように矩形環状の蓋体嵌合部16の四隅の丸み部分のみに係合凹溝17´が設けられ、本体2´は図5に示すように矩形環状の本体嵌合部26の四隅の丸み部分のみに係合突条27´が設けられている。
【0034】
実施形態3は、他の実施形態における蓋体1″を本体2″に嵌合させる前の状態を示す包装用容器A″の斜視図である。実施形態3における本体2″の本体嵌合部26″は、四辺26″Aが湾曲した変形矩形環状をしていて、蓋体1″の蓋体嵌合部16″は、本体嵌合部26″に適合する湾曲を施した四辺16″Aを有する変形矩形環状になっている。
【0035】
実施形態3においては、本体2″に設けた係合突条27″が本体嵌合部26″の四隅の丸み部分と該丸み部分から湾曲辺26″Aの一部に連続して形成され、蓋体1″に設けた係合凹溝17″が本体2″の係合突条27″に適合するように蓋体嵌合部16″の四隅の丸み部分と該丸み部分から湾曲辺16″Aの一部に連続して形成されている。
【0036】
上記のように、嵌合部の平面視態様が矩形環状の包装用容器においては、四隅に丸みを設けた嵌合部あれば、嵌合部各辺の態様は直線であっても曲線であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と蓋体とから構成される内嵌合型の合成樹脂製包装用容器であって、本体と蓋体とにはそれぞれ逆テーパ状の嵌合壁を有する嵌合部が設けられ、該嵌合部は平面視において四隅に丸みを設けた矩形環状に形成されており、本体嵌合壁には内側に突出した係合突条が形成され、蓋体嵌合壁には本体嵌合壁の係合突条と係合する内側に陥没した係合凹溝が形成されている、ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
本体嵌合壁に形成された係合突条と蓋体嵌合壁に形成された係合凹溝とが、嵌合部の少なくとも四隅の丸み部分に形成されている、請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
嵌合部の四辺又は対向する二辺が曲線状に形成されている、請求項1または請求項2に記載の包装用容器。
【請求項4】
本体及び蓋体は合成樹脂シートを加熱して成形された包装用容器である、請求項1乃至請求項3に記載の包装用容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−101831(P2012−101831A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253074(P2010−253074)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】