説明

包装用箱

【課題】 箱内の商品の抜き取り防止と、盗難を外部から容易に確認することができる包装用箱を提供せんとする。
【解決手段】 箱底部の略対角線上に隣接する底板を固着して底板相互の動きを規制し、箱全体を平面状に折り重なるように底板を折り重なるようにし、
かつ箱を立設する際に、相対する底板の一方には突片を設けるとともに、他方の底板には突片を挿入するための切り込み部を設けたことを特徴とする包装用箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て容易な包装用箱、特に組み立て後における内部商品の盗難の防止と確認ができる包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高価な医薬品を収納した包装用箱など、箱の内部製品を外部から抜き取る事件については、従来から種々の工夫がされているが、回収と再生及び組み立ての容易性から箱そのものを紙製のものから外れることができない。組み立ての容易性から一枚の基板を用いて、下記従来技術のように箱の底部を二重にしたり、箱の蓋部の開閉部にシールを貼るなどして、内部商品の盗難を外部から発見することが一般的である。
しかし、底部を二重にしても所詮紙製である以上、盗難は避けられないが、納品時に盗難の形跡を残しておくことは高価な商品の抜き取り検査において重要なことである。なお、箱ごと盗まれることも考えられるが、納品時における箱の数量管理は納入業者側の問題であり、ここで問題としているのは箱全体の納品数量は合致しているが箱内商品の抜き取り予防、もしくは抜き取り後の発見にある。
【特許文献1】実公平3−20261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、箱内の商品を抜き取る場合に、抜き取り後の形跡を留めるようにすることで盗難を事前に防止するか、盗難後において外部から確認できる包装用箱を提供せんとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の要旨は、立設された側板と、該側板の下縁から略90度内方に折り曲げて底部を重ね合せた底板と、前記側板の上縁で囲まれた上部を閉じる天板とからなる包装用箱であって、前記重ね合わせた底板は、箱の対角線上に近い位置で接着する固定部と、箱全体を平面状に折り重なるように折り曲げ部を設け、かつ折り重ねてある箱を立設する際に、前記相対する底板の一方に突片を設けるとともに、他方の底板には前記立設に応じて前記突片を押し当てていくことで挿入を容易にした切り込み部を設けたことを特徴とする包装用箱にある。
上記箱の対角線上の近い位置で重なり合う底板を固着することで箱底部を形成するとともに、底板に側板とともに箱全体を折り重ねるようにした折り曲げ部を形成して、包装用箱の折畳み状態(平面状)で嵩張らない商品納品と納品後の組み立てラインでの包装用箱の三次元的商品収納を容易にした。また、箱の底板の相対する一方に突片を設けると共に、他方には切り込み部を設けることで、箱底部の外部からの商品の抜き取りを困難にした。
【0005】
本発明の他の要部は、前記突片の形態を、前記箱を立設する際に前記相対する底板を押し当てていくことで挿入を容易にした先鋭部と、先鋭部の切り込み部への挿入後に抜き難くした引掛部とを設けるとともに、前記切り込み部の形態は前記突片の押し当てにより僅かに開くように略コの字形としたことにある。
この発明では、先鋭部で突片を切り込み部中へ容易に挿入することができ、挿入後には引掛部により切り込み部から突片を容易に離脱できないようにし、無理に離脱すると引掛部及び/又は切り込み部の形態が変形することにより包装用箱から商品を抜き取ったことを容易に感知することができる。
【0006】
本発明の別の要部は、前記箱の上部を閉じた天板に、側板の内側へ差し込む差し込み片を設けるとともに、差し込み片を差し込んだ天板と側板とのコーナ部の表面の封紙貼付箇所には微細な凹凸面を形成したことにある。
この天板には、単に封紙を貼着するだけでなく、その封紙を貼り付ける天板と側板の箇所に微細な凹凸面を設けることにより、従前では前記貼着した封紙を一度きれいに剥離した後に再度貼着することで箱内の商品を抜き取ることができたものを、封紙を剥離する際に微細な凹凸部に封紙の一部が残るようにしたので、再貼着しても元のように美麗に貼着することができず、したがって盗難を見破ることを容易にすることができる。
【0007】
本発明の更に別の要部は、前記側板の微細な凹凸面の周囲に、前記封紙を破って天板を箱から開くことができる指入用ミシン目を設けたことにある。
上記構成により、上記微細な凹凸面のある挿入用ミシン目から指で押し開くことにより、正当権利者において天板、すなわち蓋を開くことができる。
【0008】
さらに、本発明のその他の要部として、前記一方の底板の固定部に接着した他方の底板に、これら底板間を剥離した際に少なくてもその一部が前記もう一方の底板に残存することで盗難を確認するようにしたミシン目の囲いを設けたことにある。
この構成により、商品を抜き取ろうとして箱の底部の固定部を無理に引き剥がすと、ミシン目で囲われた底板の一部が相手側の底板に残存することで盗難を外部から認識することできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装用箱は、側板と固着部と折り曲げ部を有する底板と、天板とにより箱だけの運搬時は扁平にし、内容物としての商品を入れる場合には、側板を立体に押し開くワンタッチの開閉構造により、ライン上で商品を自動収納するだけでなく、前記押し開きの際に箱の底板にある突片を相対する底板の切り込み部へ挿入して、箱の組み立て後に箱中に商品をぎっしり入れることで、箱内の商品の抜き取りを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
商品を収納した包装用箱の外部から、内部商品の抜き取りを困難にするとともに、抜き取り後には底板にある突片あるいは切り込み部の変形により盗難を容易に発見できるようにした。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明の包装用箱を作るための一実施例を示す一枚の厚紙からなる基板の平面図であり、図2から図7はその組み立て説明図である。
図1において、Aは一度に打ち抜かれた一枚の基板全体の平面図であり、同図の裏側からの打ち抜きと、同図で内方に折り曲げられる横方の内折線16,17,23と縦方の内折線19,20,21,22を設けることにより、横長の長方形の側板1,3と正方形の2,4と、これら側板に横折線16を介して隣接する底板5,7と6,8と、底板5とは側板の反対側に内折線17を介して天板9と横折線23を介して差し込み片11とを、また天板を隙間なく閉じるため側板2,4の底板とは反対側にフラップ13,29、及び側板2の反対側の側板1に位置する糊代10をそれぞれ形成する。また、上記内折線を形成するとともに、箱を成形した際に相対する位置となる底板6,8の中央には斜めに外折線14,15を仕切ることで、ホットメルト接着剤を付着するための固着部6’,8’とそれぞれの中央にミシン目32,33を設ける。さらに、上記打ち抜きと同時に内外折線の形成時に指の挿入用ミシン目18と切り込み部30を設けるとともに、図7で示す同ミシン目内と、箱の組み立て時に対応位置にある図4で示す差し込み片11側の天板中央部のそれぞれ裏側にはそれぞれ微細な凹凸面34,35を押形で形成する。そして、本発明の要部として箱の組み立ての途中で前記切り込み部30に挿入する先鋭部12’と引掛部12”を設けた突片12を側板1とは反対側の底板5に設ける。
【0012】
続いて、図2乃至図7の順序により、本発明の包装用箱の組み立て順序を説明する。図2は、図1における横方の内折線16を矢印の方向に折り畳む。
図3は、図2における固着部6’,8’の裏側に外折線14,15を矢印方向に折り畳んでからホットメルト接合剤26,27と28を付着した状態を示す。
図4は、図3の状態から縦方の内折線19,21で両側から矢印方向に側板1と4を立ち上げてそこにホットメルト剤36を底板5の面に付着した状態を示す。
図5は、図4の立ち上げ状態からさらに折り畳むことで前記ホットメルト剤26と27及び36をそれぞれ底板7と5及び側板の端部裏面へ重ね合わせて貼り付けた状態を示す。そして、包装用箱のメーカは、この扁平状態で箱を完成し、箱内へ錠剤等の製品を入れる製薬メーカ等ユーザへ納品する。
【0013】
ユーザにおいては、前記納入された図5の包装用箱を図6のように立体状にしてから、自動包装機により上方から例えば10錠入りのシートを10シートづつ入れていく。ここで、前記扁平状態から立体状態に組み立てるには、図6に示す底部下方から見た図で示すように、矢印方向両側から押し付けることで、立体状に起立していき開口した状態の包装用箱を仕上げる。この場合、突片12は、上記扁平状態から矢印方向に両側から起立して四角箱状に移行するにしたがって、まず突片12の先鋭部12’が底板7の切り込み部30の図1に示す下方からに押し当てて行き、その押し当て力によってコの字形の切り込み部30は僅かながら開くようになり、さらに箱を起立状態を進めることで先鋭部12’が切り込み部30内に挿入し、突片12の全てが挿入終了することで、包装用箱は製品が上部から装入できる長方体形状にし(図7)、次の工程で製品を箱内に収納する。
【0014】
突片12には、上記長方体状に箱を組み立てる際には先鋭部12’の先方から切り込み部30にスムースに挿入されるが、一度入ってしまうと底板7と8及び5と6が固着部6’,8’により固定して位置決めされていることもあって、引掛部12”が切り込み線13の端部に引っ掛かって抜けなくなる。したがって、突片12を切り込み部30から無理矢理引き離すと、引掛部12”もしくは切り込み線13のいずれか、あるいは双方が破損してしまうので、外観上から破損状態を見分けることができる。
【0015】
一方、図7において天板9の差し込み片11を側板7の内側に挿入してから蓋部を閉じるが、その後封紙31を天板9と側板7間の微細な凹凸面24上に貼り付ける。こうすることで、仮に封紙31を無理に剥離するといかに上手に剥離したとしても封紙31の一部が微細な凹凸面24に残存するために、剥離後再貼着しても封紙31に印刷した模様とか文字が合致しないことで内部商品が盗難されたことが判別できる。
【0016】
さらに、前記した固着部6’,8’に設けたミシン目32,33により、底板6と5や8と7間を無理に引き剥がすことで、ミシン目32,33に囲まれた内側部分が固着した側の底板に残存してしまうために、商品盗難の事実が外見上明かとなる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
包装用箱の収納商品の盗難予防や、盗難後の状態を箱の底部と蓋部状況を観察することで容易に見分けができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例である包装用箱の展開図である。
【図2】図1から横方の内折線16を折り畳んだ状態の平面図である。
【図3】図2から底板の外折線を折り、接着剤を固着部に付着した状態の平面図である。
【図4】図3の縦方の内折線19と21で矢印方向に側板1と4を立ち上げた状態の平面図である。
【図5】図4の縦方の内折線19と21で側板1を側板2と側板3の半分に、また側板4を側板3の半分に、それぞれをさらに折り重ねた状態の平面図で包装用箱を完成して納品する状態を示す。
【図6】図5の扁平状態を起立させて組み立て状態を完成する途中の説明図である。
【図7】箱内へ商品(図示せず)を収納して天板である蓋をした状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1,2,3,4 側板
5,6,7,8 底板
9 天板
10 糊代
11 差し込み片
13,29 フラツプ
14,15 斜めの外折線
16,17,23 横方の内折線
18 ミシン目
19,20,21,22 縦方の内折線
6’,8’ 固着部
30 切り込み部
12 突片
12’ 先鋭部
12” 引掛部
18 ミシン目
24 微細凹凸面
31 封紙
32,33 ミシン目
34.35 微細な凹凸面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設された側板と、該側板の下縁から略90度内方に折り曲げて底部を重ね合せた底板と、前記側板の上縁で囲まれた上部を閉じる天板とからなる包装用箱であって、
前記重ね合わせた底板は、箱の対角線上に近い位置で接着する固定部と、箱全体を平面状に折り重なるように折り曲げ部を設け、
かつ折り重ねてある箱を立設する際に、前記相対する底板の一方に突片を設けるとともに、他方の底板には前記立設に応じて前記突片を押し当てていくことで挿入を容易にした切り込み部を設けたことを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記突片の形態を、前記箱を立設する際に前記相対する底板を押し当てていくことで挿入を容易にした先鋭部と、先鋭部の切り込み部への挿入後に抜き難くした引掛部とを設けるとともに、前記切り込み部の形態は前記突片の押し当てにより僅かに開くように略コの字形とした請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
前記箱の上部を閉じた天板に、側板の内側へ差し込む差し込み片を設けるとともに、前記差し込み片を差し込んだ天板と側板とのコーナ部の表面の封紙貼付箇所には微細な凹凸面を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用箱。
【請求項4】
前記側板の微細な凹凸面の周囲に、前記封紙を破って天板を箱から開くことができる指入用ミシン目を設けたことを特徴とする請求項3に記載の包装用箱。
【請求項5】
前記一方の底板の固定部に接着した他方の底板に、これら底板間を剥離した際に少なくてもその一部が前記もう一方の底板に残存することで盗難を確認するようにしたミシン目の囲いを設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−82858(P2006−82858A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271307(P2004−271307)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(390008707)丸金印刷株式会社 (8)
【Fターム(参考)】