説明

包装用袋

【課題】 内容物を充填したときの立垂状態においてあたかも注出口の側に前傾したよう
なユニークな印象を与える形態を有すると共に、他の容器への詰め替えが極めてスムーズ
であり、また原反フィルムのうちロスとなる部分が極小でかつ製造上も有利である包装用
袋を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 立垂可能でかつ内容物の注出口を有する袋(1) であって、該袋(1) は、そ
の扁平状態の側面視において、矩形型の底部側領域(11)と、該領域(11)の上辺から上方側
に連設している平行四辺形型の胴部領域(12)と、該領域(12)の平行四辺形型の鈍角寄りの
上辺部分から上方側に連設している頂部側領域(13)と、前記の胴部領域(12)の鋭角寄りの
上辺部分から上方側に連設している注出口領域(14)とからなる基本形状を有し、また前記
の底部側領域(11)は底ガセット(g) に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の容器への詰め替えが極めてスムーズであるのみならず、包装用袋の製造
が容易である上、フィルム材料のうちロスとなる部分が極小であり、しかもその全体形状
がユニークである包装用袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(詰め替え用の包装用袋)
包装用袋として、内容物を他の容器(特に、吐出具付きのボトル等の容器)に詰め替え
る使い方をするものが普及している。この目的の包装用袋は、廃棄物の減容(容積の減少
)に貢献するところが大である上、消費者においては詰め替え品の方が割安で購入できる
というメリットがある。この詰め替え用の包装用袋は、店頭に展示したときに消費者の注
目を惹くようにすると共に、詰め替え作業の途中で床や流し台に置くことがあるため、立
垂可能な袋(自立袋、スタンディングパウチ)とするのが通常である。
【0003】
(代表的な包装用袋/図11)
この目的の包装用袋としては、側面視で縦長の矩形を基本形状にし、その矩形の袋の上
辺側の2つの隅部のうちのいずれか一方の隅部を利用して、その隅部領域に注出口(注ぎ
出し口)を形成するのが大半である(図11を参照)。
【0004】
しかしながら、図11の袋においては、注出口のすぐ下の部位の切り欠き部が段差にな
るため、内容物を他の容器へ詰め替えるときに残量なく詰め替える操作が必ずしも容易で
はなかった。
【0005】
(改良した包装用袋/図12)
詰め替えのスムーズさの観点からは、図11における隅部領域における注出口のすぐ下
の部位を傾斜形状にして液の流れを阻害しないアプローチにすることが有利である(図1
2を参照)。
【0006】
しかしながら、図12の如き工夫を行っても、詰め替え操作のスムーズさの点で、図1
1の場合に比しての改善効果は限定的であった。
【0007】
(付属物付きの包装用袋)
詰め替え用の袋の注出口の部位にストローを封入したり、詰め替え用の袋の注出口に至
る部位にリブを設けたりすることにより、これらの付属物(ストローやリブ)の助けを借
りて注ぎ出し性(詰め替え性)を向上させることも広く行われているが、これらの工夫は
、包装用袋の製造工程を複雑にし、かつ製造コスト上も不利になることを免れない。
【0008】
(平行四辺形の形状の包装体)
詰め替え用の袋にかかるものではないが、次の特許文献1、2のように、包装体を平行
四辺形の形状にする提案もなされている。平行四辺形の鋭角の隅部を注出口として利用す
る考えである。
【0009】
−特許文献1−
特開2008−179394号公報(特許文献1)の請求項3および図3〜8には、液
体包装袋5の上側横シール部6の上端辺6aと、下側横シール部9の下端辺9aとが、平行四
辺形状の包装体を提供するように平行になっている液体包装用袋が示されている(その図
3を参照、右側の縦の単線はフィルムの折り返し線)。
【0010】
−特許文献2−
特開2007−91270号公報(特許文献2)には、収容部をなす表裏1対のシート
を互いに接着してなる接着部を設けることにより、注出口に向かって流れる収容物の流動
を制限するための流動制限部を形成してなるパウチ容器が示されている。そして、この文
献の請求項19〜21および図10〜13には、平面形状が略平行四辺形であるパウチ容
器が示されている。
【0011】
【特許文献1】特開2008−179394号公報
【特許文献2】特開2007−91270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(特許文献1について)
特許文献1の包装体は、製袋に供したフィルム材料の切り落としや打ち抜きがないので
事実上ロスがないよう見えるが、隣接する袋と袋との間のシール部が極端に広幅であるた
め、結局はフィルム材料が有効に使われていないことになる。また、この包装体は、自立
性(立垂性)とは無関係である。
【0013】
(特許文献2について)
特許文献2のパウチ容器は、その段落0002の説明や図11の連設品の態様からも小
袋を想定しているものと見られるが、いずれにせよ自立性(立垂性)とは無関係であり、
また詰め替え用のパウチとも無関係である。
【0014】
(参考例の工夫/図5、図7)
詰め替え用の包装用袋(パウチ)は、本出願人において検討した後述の参考例1にかか
る図5のように、2丁取り方式(2列式)で製造することが多い。このときには、底ガセ
ットを形成する関係上、走行させるフィルム材料の両脇側がパウチの底部となり、走行さ
せるフィルム材料の中心線の側がパウチの頂部となる。
【0015】
先にも述べたように、詰め替えのスムーズさの観点からは、注出口のすぐ下の部位を傾
斜形状にして液の流れを阻害しないアプローチにすることが有利である。この場合、本体
部のできるだけ下部からアプローチ部がはじまるようにすると共に、注出口の先端部に至
るまで長い傾斜がとれるようにすることが、詰め替えのスムーズさの点で特に有利である
。先に述べた図11や図12においては、矩形の袋の上辺側の2つの隅部のうちのいずれ
か一方の隅部を利用して、その隅部領域に注出口を形成していたが、本発明者は、注出口
に至るアプローチ部が、本体部のできるだけ下部からはじまると共に、本体部の外方に張
り出すように傾斜させることを試みた。その試みとは、後述の参考例2にかかる図7のよ
うな工夫を講ずることである。
【0016】
しかしながら、図7のように本体部の下部から注出口の先端部に至るアプローチを本体
部の外方に張り出すようにすると、注出口からの注ぎ出し性(他の容器への詰め替え性)
は明らかにスムーズになるが、図5の場合に比しフィルム材料のロス部分が格段に大きく
なってしまう。加えて、図7における袋の底部の巾が図5における袋の底部の巾と同じで
あっても、製袋時の流れ方向に隣接する袋間の間隔が拡大してしまうため、図5において
用いた底ガセット形成のための図6の底シールバー(21') はもはや使うことはできず、別
途新たに図7において用いるための特別の底シールバー(21") を製作しなければならない
ことになる。
【0017】
(発明の目的)
本発明は、このような背景下において、内容物を充填したときの立垂状態においてあた
かもその注出口の側に前傾したようなユニークな印象を与える形態を有すると共に、他の
容器への詰め替えが極めてスムーズであり、また製袋に供するフィルム材料のうちロスと
なる部分が極小でかつ製造上も有利である包装用袋を提供することを目的とするものであ
る。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の包装用袋は、
立垂可能でかつ内容物の注出口を有する袋(1) であって、
該袋(1) は、その扁平状態の側面視において、
・矩形型の底部側領域(11)と、
・その底部側領域(11)の上辺から上方側に連設している平行四辺形型の胴部領域(12)と

・その胴部領域(12)の平行四辺形型の鈍角寄りの上辺部分から上方側に連設している頂
部側領域(13)と、
・その平行四辺形型の胴部領域(12)の鋭角寄りの上辺部分から上方側に連設している注
出口領域(14)と
からなる基本形状を有すること、および、
前記の底部側領域(11)は底ガセット(g) に形成されていること、
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
上述のように、既存品の多くは矩形の袋の上辺側の2つの隅部のうちのいずれか一方の
隅部を利用してそこに注出口を設けているので、詰め替えのスムーズさの点で限界がある
。この点を改良すべく、隅部領域における注出口のすぐ下の部位を傾斜形状にして液の流
れを阻害しないアプローチにするようにしても、改善効果は限定的である。
【0020】
また上述のように、詰め替え用の袋の注出口の部位にストローを封入したり、あるいは
詰め替え用の袋の注出口に至る部位にリブを設けたりすることも広く行われているが、こ
れらの工夫は、包装用袋の製造工程を複雑にし、かつ製造コスト上も不利になることを免
れない。理想は、これらの付属物なしでもスームズな注ぎ出しが可能な包装用袋を案出す
ることである。
【0021】
これに対し、本発明の包装用袋に内容物を充填したものは、そのユニークな形状の故に
全体視では前傾姿勢の印象を与え、かつ、注出口に至るアプローチが袋の外方に傾斜して
いるのでちょうど「水差し」を用いた場合のように滑らかな注ぎ出しが可能になるため、
他の容器への詰め替えが極めてスムーズであり、消費者にとって非常に使い勝手がよいも
のである。
【0022】
なお、本発明の実施例1にかかる図2の包装用袋と、参考例1にかかる図5の包装用袋
との対比からも容易に理解できるように、本発明にかかる図2の包装用袋の方が注出口が
水差しのようになっていてすっきりとしている。また、本発明にかかる図2の包装用袋が
傾斜形状であるという特異性にかかわらず、参考例1にかかる図5の包装用袋との対比に
おいて内容物の充填可能量が減少することはない。そして、本発明にかかる図2の包装用
袋の底シールのために用いる図3の底シールバー(21)についても、参考例1にかかる図5
の包装用袋の底シールのために用いる図6の底シールバー(21') と同じものを用いること
ができる。
【0023】
また、参考例2にかかる図7と対比した場合、本発明においてはその図2のように製袋
に供するフィルム材料のうちロスとなる部分の割合が極小であるので、省資源に貢献する

【0024】
そして、本発明の包装用袋は、内容物を充填したときの立垂状態においてあたかも注出
口の側に前傾したような独特の印象を与える上、外周をほぼ直線で構成した場合にもソフ
トな印象を与える。本発明の包装用袋の外観はちょうど大事なものを両手で高く差し上げ
て献上するようにも見え、またその姿からはゆっくりとした動きが感じられるようなもの
となっており、見ているだけで心が落ちつく。このことは、店頭における顧客吸引力の点
および使用者の親近感の点でも好ましいものである。
【0025】
さらには、このように前方に(注出口側に)傾斜した一見不安定な印象を与えるにもか
かわらず、立垂時に安定である点でも意外性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下本発明を詳細に説明する。
【0027】
[包装用袋]
(袋(1) を構成するシート)
本発明の袋(1) は、「基材層/シーラント層」の基本の層構成からなるシートを用いて
作製される。外層側が基材フィルム、内層側がシーラント層となる。
【0028】
基材層の例は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、二軸延伸ナイロンフィル
ム(ONY)、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、無延伸ポリプロピレンフィル
ム、無延伸ナイロンフィルム、セルロース系フィルム、合成紙(ポリプロピレン系の多層
の合成紙等)、金属箔(アルミニウム箔(AL)等)などである。基材層は、2層以上で
構成してもよい。また基材層は、ガスバリア性樹脂層、接着性樹脂層、アンカーコーティ
ング層、蒸着層(金属蒸着層やセラミックス蒸着層)、印刷層、トップコート層などを有
していてもよい。基材層の厚みは、所定の強度が得られる限りにおいて任意であるが、た
とえば12〜120μm 程度とすることが多い。
【0029】
シーラント層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン
(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合
体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合
体等のポリエチレン系樹脂;CPPと称されるポリプロピレン系樹脂;をはじめ、ヒート
シール性を有する種々の樹脂の層があげられる。シーラント層も2層以上で構成してもよ
い。シーラント層の厚みにも限定はないが、10〜250μm 程度、殊に20〜200μ
m 程度とすることが多い。
【0030】
各層間の積層は、蒸着層の形成の場合を除き、ドライラミネート法、ウエットラミネー
ト法、流延法、サンドラミネート法、共押出法、エクストルージョンコーティング法、印
刷法などの方法によりなされる。
【0031】
本発明の包装用袋は、立垂可能でかつ内容物の注出口を有する袋(1) であるので、後述
のようにその底部側領域(11)は底ガセット(g) に形成される。
【0032】
この袋(1) は、その扁平状態の側面視において、
・矩形型の底部側領域(11)と、
・その底部側領域(11)の上辺から上方側に連設している平行四辺形型の胴部領域(12)と

・その胴部領域(12)の平行四辺形型の鈍角寄りの上辺部分から上方側に連設している頂
部側領域(13)と、
・その平行四辺形型の胴部領域(12)の鋭角寄りの上辺部分から上方側に連設している注
出口領域(14)と
からなる基本形状を有する。
【0033】
矩形型の底部側領域(11)は横長の長方形状とすることが多いが、場合によっては正方形
状としたり、縦長の長方形状とすることもできる。この底部側領域(11)は、袋(1) が立垂
するように底ガセット(g) に形成される。
【0034】
その底部側領域(11)の上辺から上方側に連設している胴部領域は、平行四辺形型とされ
る。ここで平行四辺形型とは平行四辺形または擬平行四辺形のことであり、かつその平行
四辺形型の左右の側線(sL), (sR)が直線、折れ線または湾曲線からなる線(好ましくは直
線、折れ線または湾曲線からなる実質的に同じ形の線)であることを言うものとする。
【0035】
この場合、胴部領域(12)の平行四辺形型の左右の側線(sL), (sR)のそれぞれの下端と上
端とを結ぶ直線を左右の側線と仮定したときの平行四辺形において、その平行四辺形の内
角のうちの鋭角θが60〜85°(殊に65〜80°)の範囲内にあることが好ましい。
ただし、袋(1) の底辺と高さとのバランスによっては、このθはこの上記の範囲からはず
れてもよいこともある。
【0036】
上記の胴部領域(12)の平行四辺形型の鈍角寄りの上辺部分からは、上方側に頂部側領域
(13)が連設しているようにされる。この頂部側領域(13)の形状は横長の長方形状とするの
が通常であるが、正方形としたり、縦長の長方形状としたり、台形としたりすることも可
能であり、頂部側領域(13)の上辺側を波線状にするなど飾り形状にすることも可能である
。しかしながら、この頂部側領域(13)は内容物の充填口になること、2丁取り方式で製造
するときには対になる袋との関係でシンプルな方が好ましいこと、装飾過剰はかえって袋
(1) の外観状の良さを損なうことがあるので、シンプルな横長の長方形状とするのがベス
トであろう。
【0037】
上述の平行四辺形型の胴部領域(12)の鋭角寄りの上辺部分からは、上方側に注出口領域
(14)が連設しているようにされる。注出口領域(14)の形状は、ノズルの役割が果たされる
ように三角形状とすることが多い。袋(1) の前方側となる胴部領域(12)の辺の上方側への
延長線が、そのまま袋(1) の前方側となる注出口領域(14)の辺となるようにするのがベス
トである。
【0038】
袋(1) の注出口領域(14)の周縁シール帯には、消費者に渡った段階での使用時の開口を
容易にするため、Iノッチ、Vノッチ、Uノッチなどのノッチを設けることができる。ノ
ッチに代えて、ヒートシール帯の外縁側に微細な傷や微小孔を設けることもできる。
【0039】
(包装体)
上記の袋(1) には、頂部側領域(13)の上辺側(開口辺)から内容物が充填され、ついで
その開口辺がヒートシールされて包装体となる。
【0040】
内容物は、袋(1) の注出口から吐出できるものであれば、低粘度の液体から高粘度のペ
ーストまで任意であり、粉粒体も可能である。内容物の例は、液体洗剤、シャンプー、リ
ンス、入浴剤、調味料、食品や飲料、ペットフード、オイル類、消臭剤、接着剤、塗料を
はじめ多岐に渡る。
【0041】
(包装用袋の製造法)
包装用袋の製造は、2丁取り方式を例にとると、
・目的とする高さの袋(1) の2つ分の高さに相当する巾を有する表裏のシートを、それ
らを重ね合わせた状態で間歇的に走行させること、
・それら表裏のシートの両脇から両シート間に袋(1) の底部となる二つ折り状のテープ
(予め袋(1) 巾で間隔にパンチ孔を形成しておいたもの)を差し込んでいくと共に、底ガ
セット用のシールバーを用いてヒートシールを行って、袋(1) にしたときの底ガセット部
分のシール部を形成していくこと(内容物を充填したときに舟底形となる)、
・また、袋(1) にしたときの両サイドを形成するためのシールバーを用いて、表裏のシ
ートの巾方向にヒートシールを行って、袋(1) にしたときの両サイドのシール部を形成し
ていくこと、
続いて、これらのシール部に対して、切り離し、トリミングまたは打ち抜きを行うと共
に、表裏のシートの走行方向の中央線に沿ってカットすることにより、個々の袋(1) とな
すこと、
によりなされる。
【実施例】
【0042】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0043】
実施例1
図1は本発明の包装用袋の一例を示した側面図であり、(A)はそのままの側面図を、
(B)は説明のために領域分けをした状態を示してある。
【0044】
図1の包装用袋は、立垂可能でかつ内容物の注出口を有する袋(1) であって、図1(B
)のように、
・横長の矩形の形状の底部側領域(11)と、
・平行四辺形の形状の胴部領域(12)と、
・横長の矩形の形状の頂部側領域(13)と、
・三角形の形状の注出口領域(14)と
からなる。各領域の位置関係は図1(B)の通りである。底部側領域(11)は底ガセット(g
) に構成されている。頂部側領域(13)の上辺は開口されており、その開口部から内容物を
充填した後に、その上辺側がヒートシールされる。
【0045】
この実施例1においては、底部側領域(11)の左辺の延長線と頂部側領域(13)の左辺の延
長線とが同一の線上にあるように設計してあり、その結果、注出口とその注出口に至るア
プローチ部はその線よりも外側に張り出すようになっている。そのため、図1の包装用袋
に内容物を充填した包装体は、他の容器への詰め替えを極めてスムーズに行うことができ
る。
【0046】
より詳しく述べると、図1(B)の各部の寸法は、この実施例1においては、a=11
0mm、b=50mm、c=110mm、d=20mm、e=75mmである。胴部領域(12)の内角
のうち鋭角θについては、 tanθ=110/35=3.14となるので、θ≒72.5°となる。従って
鈍角は(180−θ)≒ 107.5°となる。
【0047】
図1(A)のように、この袋(1) は外周がほぼ直線で形成されているにもかかわらず、
曲線で外周線が形成されているようにソフトに見える。内容物を充填すると、より丸みを
帯びているように見える。そして、その立ち姿を見ているとなかなか味があり、今にも前
方に向けて歩きはじめるのではないかと錯覚しそうである。
【0048】
図2は、図1の袋(1) を2丁取り方式で製造するときの状態を示した平面図である。
図3は底シールバー(21)の平面図である。
図4はフィルム巾方向のシールを行うときの状態を示した説明図であり、フィルム巾方
向のシールを行う折れ線状の巾方向シールバー(22)も示してある。
【0049】
2枚のフィルムは重なりあった状態で図2の左右方向に走行し、両サイドからは図3の
底シールバー(21)により底シールがなされる。図2のように隣り合う袋(1) 同士の間に余
分なスペースはないので、底シールバー(21)としては通常の矩形の袋を作製するときに用
いる底シールバー(21') (後述の図5の参考例1を参照)と同じものを用いることができ
るという有利さがある(図2も図5も袋(1) の底部は同じ大きさであるとして)。
【0050】
一方、フィルム巾方向については、図4にあらわれている「折れ線+三角ループ」状の
巾方向シールバー(22)により、個々の袋(1) になったときの両サイド側のシールがなされ
る。このときには、巾方向シールバー(22)の三角ループ状の部分によるシールにより、図
4の注出口領域(14)の点線で囲んだ部分のシールも同時になされる。図1の袋(1) の両サ
イドは折れ線状になっているので、そのような袋(1) の両サイドを形成する巾方向シール
バー(22)も折れ線状のものを使うわけである。
【0051】
参考例1
図5は、2丁取り方式で袋(1')を製造するときの状態を示した平面図である。
図6は図5において用いる底シールバー(21') の平面図である。
【0052】
この参考例1は、矩形の袋(1')を製造する従来技術の範疇に属するものであって、図6
の底シールバー(21') を用いて底シールを行うわけであるが、その底シールバー(21') と
同じ図3の底シールバー(21)を、先に述べた実施例1においては用いることができるので
ある。
【0053】
参考例2
図7は、2丁取り方式で袋(1")を製造するときの状態を示した平面図である。
図8は図7において用いる底シールバー(21") である。
【0054】
この参考例2は、参考例1(図5)における包装用袋の注出口の先端部に至るアプロー
チ部を、本体部のできるだけ下部からはじまるように工夫したものであるが、その結果、
隣接する袋(1")間の距離があいてしまって、参考例1の底シールバー(21') を使うことが
できなくなっている。そのため、袋(1")の底部側の大きさは先の参考例1の袋(1')と同じ
であるにもかかわらず、参考例2用の特注の底シールバー(21") を使わなければならなく
なったのである。加えて、この参考例2にあっては、参考例1に比し、他の容器への詰め
替え性はスムーズになるが、図7のようにフィルム材料のロスが極端に増えるという不利
を伴うことになる。
【0055】
実施例2、3
図9は、本発明の包装用袋の他の例を示した側面図である。
図10は、本発明の包装用袋のさらに他の例を示した側面図である。
図9、10においては、胴部領域(12)の平行四辺形型が擬平行四辺形であって、その左
右の側線(sL), (sR)が折れ線ないし湾曲線からなる同じ形の線である場合を示してある。

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の包装用袋は、液体洗剤、シャンプー、調味料などを他の容器に円滑に詰め替え
る目的に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の包装用袋の一例を示した側面図であり、(A)はそのままの側面図を、(B)は説明のために領域分けをした状態を示してある。
【図2】図1の袋(1) を2丁取り方式で製造するときの状態を示した平面図である。
【図3】底シールバー(21)の平面図である。
【図4】図4はフィルム巾方向のシールを行うときの状態を示した説明図であり、フィルム巾方向のシールを行う折れ線状の巾方向シールバー(22)も示してある。
【図5】2丁取り方式で袋(1')を製造するときの状態を示した平面図である。
【図6】図5において用いる底シールバー(21') である。
【図7】2丁取り方式で袋(1")を製造するときの状態を示した平面図である。
【図8】図7において用いる底シールバー(21")である。
【図9】本発明の包装用袋の他の例を示した側面図である。
【図10】本発明の包装用袋のさらに他の例を示した側面図である。
【図11】隅部領域に注出口を形成した包装用袋である。
【図12】図11の包装用袋を改良したものである。
【符号の説明】
【0058】
(1), (1'), (1") …袋、
(11)…底部側領域、
(12)…胴部領域、
(sL), (sR)…胴部領域(12)の平行四辺形型の左右の側線、
(13)…頂部側領域、
(14)…注出口領域、
(21), (21'), (21")…底シールバー、
(22)…巾方向シールバー、
(g) …底ガセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立垂可能でかつ内容物の注出口を有する袋(1) であって、
該袋(1) は、その扁平状態の側面視において、
・矩形型の底部側領域(11)と、
・その底部側領域(11)の上辺から上方側に連設している平行四辺形型の胴部領域(12)と

・その胴部領域(12)の平行四辺形型の鈍角寄りの上辺部分から上方側に連設している頂
部側領域(13)と、
・その平行四辺形型の胴部領域(12)の鋭角寄りの上辺部分から上方側に連設している注
出口領域(14)と
からなる基本形状を有すること、および、
前記の底部側領域(11)は底ガセット(g) に形成されていること、
を特徴とする包装用袋。
【請求項2】
前記の平行四辺形型が平行四辺形または擬平行四辺形であり、かつその平行四辺形型の
左右の側線(sL), (sR)が直線、折れ線または湾曲線からなる線であること、
を特徴とする請求項1記載の包装用袋。
【請求項3】
前記の平行四辺形型が平行四辺形または擬平行四辺形であり、かつその平行四辺形型の
左右の側線(sL), (sR)が直線、折れ線または湾曲線からなる実質的に同じ形の線であるこ
と、
を特徴とする請求項1記載の包装用袋。
【請求項4】
前記の胴部領域(12)の平行四辺形型の左右の側線(sL), (sR)のそれぞれの下端と上端と
を結ぶ直線を左右の側線と仮定したときの平行四辺形において、
その平行四辺形の内角のうちの鋭角θが60〜85°の範囲内にあること、
を特徴とする請求項2または3記載の包装用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−207484(P2011−207484A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74215(P2010−74215)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(390033868)株式会社メイワパックス (27)
【Fターム(参考)】