説明

包装箱の蓋

【課題】外観を向上できるとともに、閉塞状態を確実に維持する。
【解決手段】底壁3の外周縁に内部に収容する商品1の全高より低い周壁4を設けた箱本体2の上端開口を閉塞する包装箱の蓋10において、天壁11と、天壁11の外周縁に連続し、箱本体2の周壁4を囲繞する第1側壁12A,12Bおよび第2側壁12C,12Dと、第1側壁12A,12Bの上部に天壁11にかけて上方内向きに傾斜するように設けた傾斜壁部17と、隣接する側壁12A〜12Dの上部にそれぞれ連続し、内向きに折り込んで突出される係止段部18とを備え、係止段部18を箱本体2の周壁4の上端に係止させて、該箱本体2の上端開口を閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展示の際に収容する商品の上部が露出するようにした底が浅い箱本体(浅身箱)の上端開口を閉塞する包装箱の蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりギフト商品を収容して展示および搬送する場合、上端開口の箱本体と、該箱本体とは別体の下端開口の蓋とからなる包装箱が使用されている。この包装箱は、蓋を開けて箱本体に収容させた状態で展示する際に、購入者が商品を確認し易くするために、箱本体の周壁を商品の全高より低くし、その商品の上部が箱本体から露出するように構成している。
【0003】
このような包装箱を使用し、蓋をした状態で積み重ねたり、搬送時に上部に他の物が載せられた場合には、その荷重が商品に直接的に加わるという問題がある。そのため、従来では、蓋の内部に、該蓋の天壁と箱本体の周壁の上端との間に所定の隙間を形成するための天パッド(スペーサ)を配設していた。
【0004】
しかし、この構成では、箱本体と、蓋と、天パッドとの3部材が必要になるため、組立作業性やこれらのブランクの保管に係るスペースが広くなるという問題がある。そこで、蓋に箱本体の上端との間に所定の隙間を形成する構造を一体に設けることが要望されている。
【0005】
本発明の包装箱の蓋に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0006】
【特許文献1】実公昭62−36730号公報
【0007】
この特許文献1では、四方を囲繞する側壁と、隣接する側壁を連続する隅壁と、これら側壁および隅壁の上部に設けた傾斜壁と、これら傾斜壁の上端を閉塞する天壁とを備えた包装箱の蓋が提供されている。この蓋は、底が浅い箱本体に取り付けると、前記傾斜壁の内面が箱本体の周壁の上端に当接することにより、箱本体の上端と蓋の天壁との間に所定の隙間を形成できるように構成している。
【0008】
しかしながら、前記包装箱の蓋は、傾斜した面に箱本体の上端縁が係止しているため、商品を収容させた状態で積み重ねると、その係止部分に荷重が集中し、傾斜壁(面)に皺が生じ、外観が悪くなるという不都合がある。また、これに伴い、箱本体の上端と蓋の天壁との間の隙間を安定して維持できず、天壁が商品に当接してしまう可能性がある。なお、この問題は、箱本体および蓋の製造誤差により顕著に現れる場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明では、外観を向上できるとともに、閉塞状態を確実に維持できる包装箱の蓋を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の包装箱の蓋は、底壁の外周縁に内部に収容する商品の全高より低い周壁を設けた箱本体の上端開口を閉塞する包装箱の蓋において、天壁と、前記天壁の外周縁に連続し、前記箱本体の周壁を囲繞する第1側壁および第2側壁と、前記第1側壁の上部に、前記天壁の少なくとも一部にかけて上方内向きに傾斜するように設けた傾斜壁部と、隣接する側壁の上部にそれぞれ連続し、内向きに折り込んで突出される係止段部とを備え、前記係止段部を箱本体の周壁の上端に係止させて、該箱本体の上端開口を閉塞する構成としている。
【0011】
この包装箱の蓋によれば、隣接する側壁の上部から内向きに突出する係止段部を設け、この係止段部を箱本体の上端に係止させて閉塞するため、その天壁と箱本体の上端との間に所定の隙間を形成した閉塞状態を確実に維持できる。そのため、この蓋を適用した包装箱を積み重ねたり、搬送時に上部に他の物が載せられても、その荷重が商品に直接的に加わることはない。また、第1側壁から天壁にかけた少なくとも一部に、傾斜壁部が設けられているため、ギフト商品を包装する場合の美観を向上できる。
【0012】
具体的には、この包装箱の蓋は、前記箱本体は平面視矩形状をなし、前記蓋は第1側壁を対向位置に一対に設けるとともに第2側壁を第1側壁と隣接するように対向位置に一対に設けることが好ましい。
【0013】
また、前記第2側壁の上部両側に面取部を設け、対向する面取部にかけて前記傾斜壁部が延びるように設けることが好ましい。このようにすれば、外観を向上できるだけでなく、複数の包装箱を積み重ねて紐などで結束した場合に蓋体の稜部が座屈することを防止できる。
【0014】
また、矩形状をなす前記第1側壁の上端両側から略横V字形状に延びる一対の折曲線をそれぞれ設け、これら4本の折曲線で囲繞された領域により前記傾斜壁部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装箱の蓋では、内向きに突出する係止段部により、天壁と箱本体の上端との間に所定の隙間を形成した閉塞状態に確実に維持できるうえ、第1側壁の上部に天壁にかけた少なくとも一部に設けた傾斜壁部により外観を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
図1から図4は、本発明の第1実施形態に係る蓋10を適用した包装箱を示す。この包装箱の蓋10は、商品1の上部が露出するようにした底が浅い箱本体2の上端開口を閉塞するもので、その隅に位置する稜部の上端に係止段部18を一体に設けるとともに、第1側壁12A,12Bの上部に天壁11にかけて傾斜壁部16bを設けたものである。
【0018】
具体的には、箱本体2は、長方形状をなす底壁3の各外周縁に4方を囲繞する周壁4を設けた段ボール紙製のものである。この周壁4は、底壁3に連続する外側面4aと、該外側面4aに連続して内側に折り返される内側面4bとからなる2重壁からなる。また、この周壁4は、内部に収容する商品1の全高より低い高さに設定されている。
【0019】
本実施形態の蓋10は、図4(A)に示すように、周知の紙器打抜装置(図示せず)によって段ボール紙を連続した一枚のブランクとして打ち抜いて成形される。なお、前記段ボール紙は、一対の表紙と裏紙との間に波状の中しんを配設したものである。
【0020】
この蓋10のブランクは、前記箱本体2の底壁3より幅(図4(A)中上下方向の寸法)が狭い長方形状をなす天壁11を備えている。この天壁11には、上下端縁に第1側壁12A,12Bが連設され、左右端縁に第2側壁12C,12Dが連設されている。そして、これら天壁11と側壁12A〜12Dの境界部分には、組立状態で外面側に位置する段ボール紙の表紙の側から肉厚を圧縮するように罫を入れて形成した折曲線13が設けられている。
【0021】
前記箱本体2の周壁4を囲繞する側壁12A〜12Dのうち、第1側壁12A,12Bは、箱本体2の周壁4の全高より若干低い寸法の下部領域の両側縁に、第2側壁12C,12Dの下部に貼着するための糊代部14が連設され、その境界部分に前記と同様の折曲線15が設けられている。また、本実施形態の第1側壁12A,12Bは、前記糊代部14が突設されていない上部領域が天壁11の端縁に連続し、組立状態で上方内向きに約45度の傾斜角で延びる傾斜壁部16bを構成する。即ち、組立状態の第1側壁12A,12Bは、図1および図2に示すように、箱本体2の周壁4に沿って垂直に延びる下部領域からなる垂直壁部16aと、該垂直壁部16aの上部に天壁11にかけて傾斜して延びる傾斜壁部16bとを備え、これらの境界部分に折曲線17を形成したものである。また、第2側壁12C,12Dは、図4(A)に示すように、箱本体2の上端と天壁11との間に形成する隙間の寸法分、周壁4の全高より高くなる寸法、かつ、前記天壁11より幅広で前記箱本体2の対応する周壁4と略同一幅となる寸法で形成されている。
【0022】
そして、本実施形態では、隣接する第1側壁12A,12Bおよび第2側壁12C,12Dの上部、即ち、第1側壁12A,12Bの上部に設けた傾斜壁部16bと第2側壁12C,12Dの上部には、それぞれと連続するように係止段部18が設けられている。この係止段部18は、図4(B)に示すように、傾斜壁部16bとの境界部分に設けた第1折曲線19と、第2側壁12C,12Dにおいて第1側壁12A,12Bの垂直壁部16aの上端と対応する位置から天壁11の隅部に向けて約45度の傾斜角で延びる第2折曲線20と、これらの中間部分に設けた第3折曲線21とを備えている。そして、これらにより第3折曲線21を中心として線対称な一対の二等辺三角形部分からなる係止段部18が形成され、組立時に内向きに折り込んで突出させる構成としている。なお、前記第3折曲線21は、前記と同様の折曲線と、該折曲線に沿ってミシン目状に設けた切断線とからなるリード罫により構成している。
【0023】
このような形状で打ち抜かれた蓋10のブランクは、前記係止段部18の中央を内向きに誘導しながら、天壁11に対して各側壁12A〜12Dを折り曲げるとともに、第1側壁12A,12Bに対して糊代部14を折り曲げ、該糊代部14と隣接する第2側壁12C,12Dとをホットメルトなどの周知の接着剤により貼着することにより組み立てられる。
【0024】
ここで、前記係止段部18がない従来の蓋10の組立方法は、前記係止段部18を内向きに誘導しない点でのみ相違する。即ち、本発明の蓋10では、係止段部18を設けていない従来の蓋10の製箱装置に対し、係止部を内向きに誘導(押圧)する機構または構造だけを付加すればよい。そのため、確実に機械による自動組み立てが可能であり、その装置の改良および制作も比較的容易で、コストアップを抑制できる。また、本実施形態では、全ての折曲線を表紙の側から罫を入れて形成しているため、特に、前記係止段部18を内向きに折り込む作業を容易かつ確実に行うことができる。言い換えれば、本実施形態では、前記係止段部18の内向への誘導は、各折曲線を表紙の側から罫を入れた所謂逆罫からなるブランク構造により構成している。
【0025】
次に、前記蓋10を自動的に組み立てる製箱装置について具体的に説明する。
【0026】
図5および図6に示すように、製箱装置は、複数の蓋10のブランクを配置するホッパー(図示せず)と、該ホッパーからブランクを一枚づつ取り出して搬送する搬送機構50と、該搬送機構50から供給されたブランクを所定形状に折って組み立てる組立機構56と、該組立機構56から送出された蓋10を搬出する搬出機構73とからなる。そして、本実施形態では、ブランクにおける係止段部18の内向への誘導を、前述したブランク構造と、組立機構56を構成する押込部材59の改良により構成している。
【0027】
具体的には、前記ホッパーは、複数の蓋10のブランクを、裏面を上側として積層するとともに、糊代部14の突出方向である図4(A)中横方向を進行方向として後述する搬送機構50に供給するものである。
【0028】
前記搬送機構50は、コンベア51の両側に一対のガイドレール52を配設したものである。そして、コンベア51には、基端(ホッパーの側)に所定時間毎にホッパーから一枚のブランクを取り出す取出機構(図示せず)が配設されるとともに、先端(組立機構56の側)にブランクの所定位置に接着剤を塗布するための接着剤塗布機構53が配設されている。この接着剤塗布機構53は、搬送されたブランクの先端位置を検出するための上下に揺動可能な検出アーム54と、第2側壁12C,12Dの両端部に位置する塗布部55とを備えている。この塗布部55には、図示しないホットメルトアプリケータから所定のタイミングで接続管を介して接着剤が供給される。
【0029】
前記組立機構56は、複数のガイド57A,57B,57Cと、これらガイド57A〜57Cに囲繞された空間内に没入される押込部材59と、該押込部材59を上下に昇降させる昇降機構64とからなる。
【0030】
前記ガイド57Aは、天壁11の4隅に位置し、その上端には、各糊代部14および係止段部18を折曲線15,19に沿って、第1側壁12A,12Bに向けて折り曲げるための湾曲部を設けたものである。前記ガイド57Bは、ブランクの搬送方向において前後に位置し、その上端には、第2側壁12C,12Dを折曲線13に沿って、天壁11に向けて折り曲げるための湾曲部を設けたものである。前記ガイド57Cは、ブランクの搬送方向において左右に位置し、その上端には、側壁12A,12Bの垂直壁部16aを折曲線17に沿って折り曲げるとともに、傾斜壁部16bを折曲線13に沿って折り曲げるための湾曲部を設けたものである。そして、各ガイド57A〜57Cの各湾曲部は、ガイド57A、ガイド57B、ガイド57Cの順番で曲率が大きくなり、糊代部14が第1側壁12A,12Bに対して直交方向に折れ曲がり、ついで、第2側壁12C,12Dが天壁11に対して直交方向に折れ曲がり、最後に、第1側壁12A,12Bの垂直壁部16aが天壁11に対して直交方向に折れ曲がるように構成している。また、搬送機構50による搬送方向先端に位置するガイド57Aには、糊代部14が当接することによりブランクを所定位置で停止させるストッパ部58が設けられている。
【0031】
前記押込部材59は、図5および図7に示すように、前記ガイド57A〜57C上に配置された蓋10のブランクと一緒に、ガイド57A〜57Cに囲繞された空間内に没入されることにより、前記ブランクをワンアクションで所定の組立形状に折り曲げるもので、前記天壁11と略同一形状の下端面を有するブロック体からなる。この押込部材59には、所定位置に空気抜き用の通孔60が設けられるとともに、後述する昇降機構64に取り付けるためのネジ軸部61が突設されている。そして、本実施形態の押込部材59には、その両側部に傾斜壁部16bと一致する傾斜部62が設けられるとともに、その隅部に内向きに突出する係止段部18が挿入される凹部63が設けられている。
【0032】
前記昇降機構64は、支柱65に取付けた上下方向に延びるレール66に沿って昇降可能に取り付けた昇降部材67と、該昇降部材67を支持して昇降させる駆動機構とからなる。前記昇降部材67は、レール66から突出するアーム68と、前記ガイド57A〜57Cの中央に位置して上下方向に延びる軸69と、該軸69の下端に配設した取付板70とからなり、該取付板70に対して前記押込部材59が固定される。前記駆動機構は、例えば前記支柱65に回転可能に配設したクランクアーム71と、該クランクアーム71の先端部と前記昇降台とを連結するロッド72とからなる。なお、この駆動機構は、シリンダにより構成することも可能である。
【0033】
前記搬出機構73は、前記ガイド57A〜57Cの下部に一端を配置したベルトコンベアからなる。
【0034】
このように構成された製箱装置は、ホッパーに積層された蓋10のブランクを搬送機構50によって搬送し、その搬送中に、ブランクの第2側壁12C,12Dにおける糊代部14と対応する位置に接着剤を塗布し、この状態でブランクを組立機構56に供給する。
【0035】
前記組立機構56では、ブランクの先端がガイド57Aのストッパ部58に当接することにより、ガイド57A〜57C上の所定位置に停止される。その後、駆動機構が動作することにより、昇降部材67が下降する。これにより、軸69の下端に取り付けた押込部材59がブランクの天壁11に当接し、該ブランクを一緒にガイド57A〜57C内に押し込む。
【0036】
そうすると、図8に示すように、糊代部14、第2側壁12C,12Dおよび第1側壁12A,12Bの順番で折り曲げられる。ここで、糊代部14を連設した第1側壁12A,12Bは、第2側壁12C,12Dより後に完全に折り曲げられた状態になるが、その前段階ではガイド57Cの湾曲部により徐々に折り曲げられている。そのため、糊代部14は、第2側壁12C,12Dの内側に位置し、これら第2側壁12C,12Dの所定位置に確実に貼着される。この際、側壁12A〜12Dの上部に連設された係止段部18は、表面側から罫を入れた折曲線19,20および折曲線21により側壁12A〜12Dで囲繞される内部である凹部63内に向けて突出される。
【0037】
このように自動的に組み立てられた蓋10は、前記押込部材59の押し込みによりガイド57A〜57Cの下端を通過し、下部の搬出機構73により次工程に搬送される。
【0038】
この組立状態の蓋10は、図1(A),(B)から図3に示すように、係止段部18が2つに折り畳まれ、隣接する側壁12A〜12Dの上端の稜部から所定角度で傾斜して三角形状をなすように内向きに突出した状態になる。また、第1側壁12A,12Bおよび天壁11の間に形成される傾斜壁部16bは、隣接する側壁12C,12Dの上部両側において、第2折曲線20により対向位置に形成された面取部22にかけて延びるように構成される。
【0039】
そして、この蓋10で商品1を収容した箱本体2を閉塞した場合、図1(A),(B)に示すように、側壁12A〜12Dが箱本体2の底壁3の下面と一致せず、上側に位置した状態で、係止段部18が箱本体2の周壁4の上端に係止する。その結果、蓋10の天壁11は、箱本体2の周壁4の上端から所定間隔をもって上方に浮いた状態に維持できる。即ち、蓋体の天壁11が箱本体2に収容した商品1上に載ることはない。また、この蓋10を適用した包装箱を積み重ねたり、搬送時に上部に軽い他の物が載せられても、係止段部18は稜部から突出された剛性が高い構造であるため、変形の可能性はなく、その荷重が商品1に直接的に加わることはない。
【0040】
また、第1側壁12A,12Bの上部に、天壁11にかけて上方内向きに延びる傾斜壁部16bが設けられているため、ギフト商品を包装する包装箱として使用した際の美観を向上できる。しかも、この蓋10で閉塞した包装箱を積み重ねて紐で結束する場合には、傾斜壁部16bにより鈍角になった折曲線13および折曲線17により形成される稜部を通る。そのため、90度以上の鋭角な稜部の場合に生じる座屈の問題を防止できる。
【0041】
図9から図12は第2実施形態の包装箱の蓋30を示す。この第2実施形態の包装箱のブランクは、図12(A)に示すように、第1側壁32A,32Bの上部に天壁31にかけて菱形形状の傾斜壁部38を設けた点で第1実施形態と相違している。
【0042】
具体的には、第2実施形態の蓋30のブランクは、その上下縁が略V字形状をなす天壁31を備え、その上下端縁に第1側壁32A,32Bが連設され、その境界部分に折曲線33a,33bが設けられている。また、天壁31の直線的な左右端縁には、第2側壁32C,32Dが連設され、その境界部分に折曲線34が設けられている。
【0043】
そのうち、第1側壁32A,32Bには、その両側縁の下部領域に第2側壁32C,32Dの下部に貼着するための糊代部35が連設され、その境界部分に前記と同様の折曲線36が設けられている。また、第1側壁32A,32Bの両側縁の上部領域には、天壁31および第2側壁32C,32Dと交わる隅部から略V字形状に延びる一対の折曲線37a,37bが設けられ、この折曲線37a,37bおよび前記折曲線33a,33bにより、第1側壁32A,32Bの上部に天壁31にかけて菱形形状に囲繞された傾斜壁部38が形成されている。言い換えれば、この傾斜壁部38は、矩形状をなす第1側壁32A,32Bの上端両側から略横V字形状に延びる一対の折曲線33a,37aおよび33b,37bをそれぞれ設け、これら4本の折曲線33a,37a,33b,37bで囲繞された領域により形成されている。なお、傾斜壁部38の中央、即ち、折曲線33a,33bの交差部分から折曲線37a,37bの交差部分にかけた部分には、縦向きに延びる折曲線39が設けられている。
【0044】
そして、本実施形態では、隣接する第1側壁32A,32Bおよび第2側壁32C,32Dの上部には、それぞれと連続するように係止段部40が設けられている。第2実施形態の係止段部40は、図12(B)に示すように、天壁31および隣接する側壁32A〜32Dが交わる隅部に正方形状をなすように連設され、各側壁32A〜32Dとの境界部分には折曲線41が設けられている。また、これら折曲線41の中間部分には対角方向に延びる第1実施形態と同様のリード罫からなる折曲線42が設けられている。そして、これら折曲線41,42により折曲線42を中心として線対称な一対の直角三角形の係止段部40が形成され、組立時に内向きに折り込んで突出させる構成としている。
【0045】
このように構成した第2実施形態の蓋30を自動的に組み立てる製箱装置は、ガイド57A〜57Cに囲繞された空間内に没入される押込部材75のみが第1実施形態と相違する。
【0046】
この第2実施形態の押込部材75は、図13に示すように、前記天壁31と略同一形状の下端面を有するブロック体からなる。この押込部材75には、第1実施形態と同様に、空気抜き用の通孔76が設けられるとともに、ネジ軸部77が突設されている。そして、本実施形態の押込部材75には、折曲線33a,33bと一致する切込部78が設けられるとともに、その隅部に係止段部39が挿入される凹部79が設けられている。この凹部79内には、ネジ止めにより固定するためのベース80aと、該ベース80aの一側下端から突設される押圧片80bとからなる押圧部材80が配設されている。前記押圧片80bは、前記押込部材75の切込部78を構成する面と面一に配置され、ブランクの天壁31上において、第1側壁32A,32Bとの境界部分、具体的には、傾斜壁部38の境界部分に沿って隅部に向けて延びるように構成されている。なお、本実施形態では、押圧片80bは、天壁30の隅部までは至らない若干短い寸法で形成しているが、押圧片80bの先端を鋭角な角部とすることにより隅部まで至る寸法で形成することも可能である。
【0047】
この押込部材75を用いた製箱装置により組み立てられた蓋30は、図9(A),(B)から図11に示すように、係止段部40が2つに折り畳まれ、隣接する側壁32A〜32Dの上端の稜部から所定角度で傾斜して三角形状をなすように内向きに突出した状態になる。
【0048】
そして、この蓋30で商品1を収容した箱本体2を閉塞した場合、第1実施形態と同様に、係止段部40が箱本体2の周壁4の上端に係止し、蓋30の天壁31を、箱本体2の周壁4の上端から所定間隔をもって上方に浮いた状態に維持でき、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0049】
このように、本発明の包装箱の蓋10,30は、係止段部18,40を箱本体2の周壁4の上端に係止させることにより、天壁11,31を周壁4の上端との間に所定の隙間を形成した状態で確実に維持できる。しかも、押込部材59,75およびブランク形状を改良するだけで、外観を向上できるとともに座屈を防止できる傾斜壁部16b,38を形成した状態で自動製箱できる。
【0050】
なお、本発明の包装箱の蓋10,30は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態の蓋により箱本体を閉塞した包装箱を示し、(A)は断面図、(B)は一部を破断した斜視図である。
【図2】図1(B)の全体構成を示す斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】第1実施形態の蓋のブランクを示す平面図である。
【図5】蓋を自動的に製箱する製箱装置を示す概略図である。
【図6】図5の部分平面図である。
【図7】第1実施形態の蓋に使用する押込部材を示す斜視図である。
【図8】押込部材による蓋の組み立ての一工程を示す部分斜視図である。
【図9】第2実施形態の蓋により箱本体を閉塞した包装箱を示し、(A)は断面図、(B)は一部を破断した斜視図である。
【図10】図9(B)の全体構成を示す斜視図である。
【図11】図10の分解斜視図である。
【図12】第2実施形態の蓋のブランクを示す平面図である。
【図13】第2実施形態の蓋に使用する押込部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1…商品
2…箱本体
3…底壁
4…周壁
10,30…蓋
11,31…天壁
12A,12B,32A,32B…第1側壁
12C,12D,32C,32D…第2側壁
16b,38…傾斜壁部
18,40…係止段部
22…面取部
33a,33b…折曲線
37a,37b…折曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁の外周縁に内部に収容する商品の全高より低い周壁を設けた箱本体の上端開口を閉塞する包装箱の蓋において、
天壁と、
前記天壁の外周縁に連続し、前記箱本体の周壁を囲繞する第1側壁および第2側壁と、
前記第1側壁の上部に、前記天壁の少なくとも一部にかけて上方内向きに傾斜するように設けた傾斜壁部と、
隣接する側壁の上部にそれぞれ連続し、内向きに折り込んで突出される係止段部とを備え、
前記係止段部を箱本体の周壁の上端に係止させて、該箱本体の上端開口を閉塞するようにしたことを特徴とする包装箱の蓋。
【請求項2】
前記箱本体は平面視矩形状をなし、前記蓋は第1側壁を対向位置に一対に設けるとともに第2側壁を第1側壁と隣接するように対向位置に一対に設けたものであることを特徴とする請求項1に記載の包装箱の蓋。
【請求項3】
前記第2側壁の上部両側に面取部を設け、対向する面取部にかけて前記傾斜壁部が延びるように設けたことを特徴とする請求項2に記載の包装箱の蓋。
【請求項4】
矩形状をなす前記第1側壁の上端両側から略横V字形状に延びる一対の折曲線をそれぞれ設け、これら4本の折曲線で囲繞された領域により前記傾斜壁部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の包装箱の蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−44767(P2006−44767A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230706(P2004−230706)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】