説明

包装箱

【課題】 被包装物を簡易に保護すること。
【解決手段】 包装箱10であって、被包装物1が接触する内面の少なくとも一部に、被包装物1をズレ止めするズレ止め材21を間欠的に設け、被包装物1の少なくとも一カ所がそのズレ止め材21と接触するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は段ボール箱等の包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物を相互衝突等による破損、キズ付きから保護する包装箱として、特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の包装箱は、複数の被包装物の相互衝突を緩衝するため、緩衝材からなる仕切り付きとしたものである。
【特許文献1】特開2004-217249
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の包装箱では、被包装物の容積に対して必要とされる展開カートンの面積、緩衝材からなる仕切りの容積が多大になる。
【0004】
本発明の課題は、被包装物を簡易に保護することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、被包装物が接触する内面の少なくとも一部に、被包装物をズレ止めするズレ止め材を間欠的に設け、被包装物の少なくとも一カ所がそのズレ止め材と接触する包装箱である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(実施例1)(図1〜図4)
図1の包装箱10は、図2の段ボール等からなる展開カートン10Aの折り曲げ組立体である。展開カートン10Aは、底板部11、底板部11の両側に連設される側板部12、13、側板部13に連設される天板部14を有する。更に、展開カートン10Aは、各板部11〜14の両端側に連設される側フラップ11A、11A、12A、12A、13A、13A、14A、14Aを有するとともに、天板部14における側板部13と反対側(前側)に連設される糊付フラップ14Bを有する。
【0007】
包装箱10は、展開カートン10Aの底板部11に複数個(但し1個でも可)のボトル等の被包装物1を装填し、底板部11の周囲の側板部12、13を立上げ、それら板部11〜13の両端側のそれぞれにおいて側フラップ11A、12A、13Aを貼り合せることにより、底板部11の上の被包装物1の収容空間を四方から囲み(図1の状態)、更に、側板部13に連設される天板部14を折り曲げして上述の被包装物1の収容空間を封止し、天板部14の両端側のそれぞれにおいて側フラップ14Aを前述の側フラップ13A等の上に貼り合せるとともに、天板部14の前側の糊付フラップ14Bを側板部12の上に貼り合せることにより、被包装物1の包装を完了する。
【0008】
しかるに、包装箱10にあっては、被包装物1が接触する内面の少なくとも一部、本実施例では天板部14の内面の周囲(内面の全面でも可)に、被包装物1をズレ止めするズレ止め材21を設け、被包装物1の少なくとも1ヵ所、本実施例では被包装物1の本体1Aに封着してあるキャップ1Bがそのズレ止め材21と接触する。本実施例では、被包装物1の包装を完了したときに、被包装物1のキャップ1Bの上面の全面(上面の一部でも可)がズレ止め材21と接触する。ズレ止め材21を天板部14の内面の周囲とすることで、ズレ止め材21として使用される塗布材の量を節約し、なおかつ全面に塗布した場合と同様の被包装物1に対するズレ止め効果が得られる。
【0009】
ズレ止め材21(後述するズレ止め材22も同じ)は天板部14の内面に間欠的に塗布される等により設けられる。ここでいう間欠的に塗布とは、ズレ止め材を、線状、点状、格子状、連続記号、連続文字などのパターンにて行なうことである。図1〜10の各図は、ズレ止め材を線状に塗布した例である。図11、図12に線状、及びその他の間欠的に塗布したパターン例を示す。図11(A)は線状、図11(B)は点状、図11(C)は点状の別形態、図12(A)は格子状、図12(B)は連続記号、また、図12(C)は連続文字の例を示したものである。これらのパターンを単独で使用しても良いし、複数のパターンを組み合わせても良い。ズレ止め材21を間欠的に塗布することによって、ズレ止め材21として使用される塗布材の量を節約することが可能である。連続的に面状に塗布した場合と比較して、若干のズレ止め材21の粘着強度は低下するものの、ズレ止め効果としては十分なものが得られる。また、包装箱10を開く際や被包装物1を取り出す際、被包装物1からズレ止め材21は離れなければならないが、間欠的に塗布することによって、この際の力を小さくすることができる。ズレ止め材21を間欠的に塗布する方法としては、パターンローラー、コーター、ホットメルトガン、非接触スプレーガン、非接触コートガン等を用いて塗布することが挙げられる。
【0010】
ズレ止め材21(後述するズレ止め材22も同じ)としては、被包装物1に接着して被包装物1をズレ止めする粘着性を呈する粘着剤を採用できる。粘着剤としては、例えばゴム系樹脂やゴム系混合物等を使用することができる。また、例えばエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン−エチレン系樹脂、ブチレン−スチレン系樹脂、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体やこの共重合体とナフテン系との混合物等を用いることができる。更に、常温粘着性を有する溶液タイプ、エマルジョンタイプ、ホットメルトタイプの粘着剤や、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、シリコーン系の粘着剤を用いることもできる。
【0011】
尚、ズレ止め材21(後述するズレ止め材22も同じ)として、被包装物1に接触して被包装物1に低反発性を及ぼすウレタン等の弾性体も使用できる。
【0012】
以下、包装箱10の包装ラインによる包装手順について説明する(図3、図4)。
(1)包装箱10の展開カートン10Aを積層保管所から移送して供給する(図3(A)、図4(A))。
【0013】
(2)展開カートン10Aの底板部11の上に被包装物1を装填する(図3(B)、図4(B))。
(3)展開カートン10Aの側板部12、13を折り込む(図3(C)、図4(C))。
【0014】
(4)上述(3)(上述(2)でも可)の工程で、展開カートン10Aの天板部14の内面にズレ止め材21を塗布する(図3(C)、図4(C))。
【0015】
(5)展開カートン10Aの側フラップ11A、12A、13A、天板部14、側フラップ14A、糊付フラップ14Bを折り込み、貼り合せ、被包装物1の包装を完了する(図3(D)、図4(D))。
【0016】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)包装箱10に包装された被包装物1がズレ止め材21によりズレ止めされ、被包装物1が自由に動いて包装箱10の内面にこすれたり、他の被包装物1と相互に衝突する等が防止され、結果として被包装物1の破損、キズ付きが防止される。
【0017】
(b)包装箱10への被包装物1の包装過程で、包装箱10の展開カートン10Aを供給した後工程で、包装箱10にズレ止め材21を設けるようにした。従って、展開カートン10Aの積層保管段階で、展開カートン10A同士のズレ止め材21が接着し合う等の不都合を生ずることがない。
【0018】
(c)ズレ止め材21は包装箱10の天板部14に設けられる。従って、包装箱10への被包装物1の包装過程で、展開カートン10Aの底板部11に被包装物1を装填し、展開カートン10Aの側板部12、13及び天板部14を折り込むときに、側板部12、13により押し動かされる被包装物1を底板部11の上で自由に位置ズレさせて箱内に隙間なく高密度包装可能にし、その後、被包装物1の天面に天板部14のズレ止め材21を接触させてズレ止めできる。従って、被包装物1を高密度包装しながら簡易に保護できる。
【0019】
(実施例2)(図5〜図8)
実施例2が実施例1と異なる点は、包装箱10における底板部11の内面の全面(内面の一部でも可)に、被包装物1をズレ止めするズレ止め材22を間欠的に設け、被包装物1の本体1Aの底面がそのズレ止め材22と接触するようにしたことにある。本実施例では、被包装物1の包装を完了したときに、被包装物1の本体1Aの底面の全面(底面の一部でも可)がズレ止め材22に接触する。
【0020】
従って、実施例2において、包装箱10の包装ラインによる包装手順は以下の通りになる(図7、図8)。
【0021】
(1)包装箱10の展開カートン10Aを積層保管所から移送して供給する(図7(A)、図8(A))。
【0022】
(2)展開カートン10Aの底板部11の内面にズレ止め材22を塗布する(図7(B)、図8(B))。
【0023】
(3)展開カートン10Aの底板部11の上に被包装物1を装填する(図7(C)、図8(C))。
(4)展開カートン10Aの側板部12、13を折り込む(図7(D)、図8(D))。
【0024】
(5)展開カートン10Aの側フラップ11A、12A、13A、天板部14、側フラップ14A、糊付フラップ14Bを折り込み、貼り合せ、被包装物1の包装を完了する(図7(E)、図8(E))。
【0025】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)包装箱10に包装された被包装物1がズレ止め材22によりズレ止めされ、被包装物1が自由に動いて包装箱10の内面にこすれたり、他の被包装物1と相互に衝突する等が防止され、結果として被包装物1の破損、キズ付きが防止される。
【0026】
(b)包装箱10への被包装物1の包装過程で、包装箱10の展開カートン10Aを供給した後工程で、包装箱10にズレ止め材22を設けるようにした。従って、展開カートン10Aの積層保管段階で、展開カートン10A同士のズレ止め材22が接着し合う等の不都合を生ずることがない。
【0027】
(実施例3)(図9、図10)
実施例3が実施例1、2と異なる点は、図9、図10に示す如く、包装箱10における底板部11の内面の全面(内面の一部でも可)、天板部14の双方の内面の周囲(内面の全面でも可)に、被包装物1をズレ止めするズレ止め材21、22を間欠的に設け、被包装物1の本体1Aの底面がズレ止め材22と接触し、被包装物1のキャップ1Bがズレ止め材21と接触するようにしたことにある。
【0028】
尚、本発明の技術分野である段ボール箱等の包装箱としては、紙製の段ボール箱が一般的であるが、その他、プラスチック製段ボール箱、樹脂板による箱、発泡樹脂板による箱などにも適応できる。
【0029】
本実施例は、展開カートン10Aの底板部11に被包装物1を装填し、展開カートン10Aの側板部12、13及び天板部14を折り込む工程とを有する包装箱10の包装方法において、包装箱10の展開カートン10Aを包装ラインに供給した後工程で、該包装箱10にズレ止め材21(22)を設けるラップラウンドと呼ばれる包装箱10にて説明を行なったが、予め折り込んだり成形された包装箱の天板部や底板部の内面にズレ止め材を塗布したものを包装ラインに供給する場合にも適用できる。予め成形された包装箱の例としては、A式、B式、N式、組底式、C式の本体部、C式の蓋部、オリコンやパタコンと呼ばれる樹脂製の折りたたみ式箱などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は実施例1の包装箱の包装状態を一部破断して示す斜視図である。
【図2】図2は包装箱の展開カートンを示す平面図である。
【図3】図3は包装ラインを模式的に示す平面図である。
【図4】図4は図3の側面図である。
【図5】図5は実施例2の包装箱の包装状態を一部破断して示す斜視図である。
【図6】図6は包装箱の展開カートンを示す平面図である。
【図7】図7は包装ラインを模式的に示す平面図である。
【図8】図8は図7の側面図である。
【図9】図9は実施例3の包装箱の包装状態を一部破断して示す斜視図である。
【図10】図10は包装箱の展開カートンを示す平面図である。
【図11】図11はズレ止め材の塗布パターンを示す模式図である。
【図12】図12はズレ止め材の他の塗布パターンを示す模式図である。
【符号の説明】
【0031】
1 被包装物
10 包装箱
10A 展開カートン
11 底板部
12、13 側板部
14 天板部
21、22 ズレ止め材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物が接触する内面の少なくとも一部に、被包装物をズレ止めするズレ止め材を間欠的に設け、被包装物の少なくとも一カ所がそのズレ止め材と接触する包装箱。
【請求項2】
複数個の被包装物を包装することに用いられる請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記包装箱の天板部もしくは底板部、又は天板部と底板部の両方にズレ止め材を設けた請求項1又は2に記載の包装箱
【請求項4】
前記包装箱の天板部又は底板部の内面の周囲にズレ止め材を塗布した請求項1〜3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
包装箱の展開カートンを供給する工程と、
展開カートンの底板部に被包装物を装填する工程と、
展開カートンの側板部及び天板部を折り込む工程とを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の包装箱の包装方法において、
包装箱の展開カートンを供給した後工程で、該包装箱にズレ止め材を設ける包装箱の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−23673(P2009−23673A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187491(P2007−187491)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】