説明

包装袋

【課題】開封側となる一方の端縁シール部9の剥離と、開封用切れ目線15a,15bに沿った引き裂きを利用して広い開口部を形成可能な包装袋について、開封用切れ目線15a,15bと交差してシール部が形成されないようにし、もって開封容易な包装袋が確実に得られるようにする。
【解決手段】表面及び背面シート1,2の端縁をそれぞれ開封側端縁シール部9の外側に延出させて延出部13,14とすると共に、表面シート1の延出部13の側縁は側縁シール部5,6が形成されていない自由端としておく一方、表面シート1を層間剥離可能な易剥離性積層シートで構成し、しかも表面シート1には、内面側から層間剥離時の剥離面に達する深さで、開封側端縁シール部9の外縁に沿って表面シート1の延出部13を幅方向に横断する第一開封用切れ目線15aと、開封側端縁シール部9の内縁から両側縁シール部の内縁に沿って延びる第二開封用切れ目線15bとを形成した包装袋とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封手段を有する包装袋に関する。更に詳しくは、広い開口部を形成可能な開封手段を有する包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、広い開口部を形成可能な開封手段を有する包装袋として、特許文献1に示される包装袋が知られている。この従来の包装袋は、表面及び裏面シートと、両側にマチ部を形成する側面シートを備えた四方シールガゼット袋で、開封側となる上端縁シール部を表面及び裏面シートの上端縁よりやや内側に剥離可能に形成すると共に、表面シートに、その上端縁中央部から上端縁シール部の中央部を横断する開封用切れ目線を一定間隔で2本形成し、この2本の開封用切れ目線で挟まれた表面シートの上端縁部を摘み部としている。2本の開封用切れ目線は、それぞれ上端縁シール部の内側で両側縁シール部に向かって徐々に間隔が広げられ、更に両側縁シール部の内縁部に沿って下端縁シール部の内縁付近にまで延長されている。
【0003】
上記従来の包装袋は、2本の開封用切れ目線で挟まれた表面シートの上端縁部である摘み部を持って引っ張り、表面シートを2本の開封用切れ目線に沿て引き裂くことで開封できるものとなっている。つまり、摘み部を引いて引き裂くと共に、2本の開封用切れ目線で挟まれた上端縁シール部を剥離させ、更に表面シートを開封用切れ目線に沿って引き裂くことで、ほぼ上端縁及び下端縁シール部と両側縁シール部とで囲まれた領域をほぼ全面に近い大きさに大きく開口させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−239187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の包装袋における開封用切れ目線は、上記特許文献1の段落〔0023〕に記載されているように、例えば表面シートを構成する積層シートの基材層を貫通するハーフカットとして形成されるものである。
【0006】
しかしながら、開封用切れ目線は、通常、表面シートの原反の段階で形成され、特に上端縁シール部を形成するための熱融着は、既に形成されている開封用切れ目線を横切る位置に施されることになる。このため、上端縁シール部が横切る位置の開封用切れ目線が溶融したシーラント材で埋められ、この部分の切断が行いにくくなる問題がある。即ち、摘み部を引っ張って上端縁シール部を引き剥がす開封初期段階での表面シートの切断が、上端縁シール部の形成時にハーフカットが接着し直されてしまうことで阻害されやすい問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、開封側となる一方の端縁シール部の剥離と、開封用切れ目線に沿った引き裂きを利用して広い開口部を形成可能な包装袋について、開封用切れ目線と交差してシール部が形成されないようにし、もって開封容易な包装袋が確実に得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的のために、表裏面を形成する平面シートと、両側にマチ部を形成する側面シートとを備え、少なくとも一方の平面シートの両側縁部と、対応する側の前記側面シートとをそれぞれ熱融着した両側縁シール部と、前記両平面シートの対応する端縁部同士及びこの両者間に挟まれた前記側面シートをそれぞれ熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋において、
一方の端縁シール部が同じ側である前記両平面シートの一方の端縁より内側に形成されていることで、前記両平面シートの一方の端縁がそれぞれ前記一方の端縁シール部の外側に延出した延出部を構成していると共に、前記一方の平面シートの前記延出部には前記側縁シール部が形成されていない一方、前記一方の平面シートが層間剥離可能な易剥離性積層シートで構成されており、しかも前記一方の平面シートには、内面側から前記層間剥離時の剥離面に達する深さで、前記一方の端縁シール部の外縁に沿って前記一方の平面シートの延出部を幅方向に横断する第一開封用切れ目線と、前記一方の端縁シール部の内縁から前記両側縁シール部の内縁に沿って延びる第二開封用切れ目線とが形成されていることを特徴とする包装袋を提供するものである。
【0009】
また、本発明の第2は、同じ目的のために、表裏面を形成する平面シートの対応する両側縁部同士を熱融着した両側縁シール部と、対応する両端縁部同士を熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋において、
一方の端縁シール部が同じ側である前記両平面シートの一方の端縁より内側に形成されていることで、前記両平面シートの一方の端縁がそれぞれ前記一方の端縁シール部の外側に延出した延出部を構成していると共に、一方の平面シートの前記延出部には前記側縁シール部が形成されていない一方、前記一方の平面シートが層間剥離可能な易剥離性積層シートで構成されており、しかも前記一方の平面シートには、内面側から前記層間剥離時の剥離面に達する深さで、前記一方の端縁シール部の外縁に沿って前記一方の平面シートの延出部を幅方向に横断する第一開封用切れ目線と、前記一方の端縁シール部の内縁から前記両側縁シール部の内縁に沿って延びる第二開封用切れ目線とが形成されていることを特徴とする包装袋を提供するものである。
【0010】
上記本発明の第1及び第2は、前記一方の端縁シール部の全部又は一部が、頂部が延出部の幅方向中央部に位置する、外方へ突出した山形に形成されていること、
前記一方の端縁シール部の山形に形成された部分のシール幅が、山形の頂部に向かって徐々に狭くなっていること、
前記延出部の幅方向中央部に、外方へ舌片状に突出した摘み部が形成されていること、
前記第二開封用切れ目線の両端が、両側縁シール部の長さ方向途中までで終端していること、
前記第二開封用切れ目線の両端が、環状に形成されていること、
をその好ましい態様としてそれぞれ含むものである。
【0011】
なお、本発明の包装袋は、平面略四角形をなすもので、その相対向する二辺を側縁といい、他の相対向する二辺を端縁という。但し、平面略四角形とは、端縁が直線だけでなく、曲線状又は屈曲線状である場合をも含む。また、端縁の対向方向を長さ方向、側縁の対向方向を幅方向という。更に、層間剥離とは、積層された層間の界面での剥離の他、層間に挟まれた凝集剥離層によってもたらされる凝集剥離による剥離をも含み、層間剥離による剥離面とは、層間剥離が積層された層間の界面での剥離の場合には当該界面、層間に挟まれた凝集剥離層によってもたらされる凝集剥離による場合には当該凝集剥離面を言う。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1はガゼット袋であり、本発明の第2は平袋である。いずれの袋でも、開封は、両平面シートの延出部を摘んで引き離す方向へ引っ張ることで行われる。この開封は、まず、第一開封用切れ目線と、第二開封用切れ目線の一方の端縁シール部の内縁に沿った部分とが、一方の端縁シール部を挟んで形成されていることにより、この挟まれた領域において、一方の平面シートに層間剥離が生じ、これによって一方の端縁シール部が引き開けられる。その後は、第二開封用切れ目線が一方の端縁シール部の内縁から両側縁シール部の内縁に沿って延びていることから、上記一方の表面シートの層間剥離が第二開封用切れ目線が隣接する両側縁シール部の領域に及び、これによって一方の表面シートが大きく捲り上げられて広い開口部が形成されることになる。
【0013】
ところで、上記第一開封用切れ目線は一方の端縁シール部の外縁に沿って形成されており、第二開封用切れ目線は一方の端縁シール部及び両側縁シール部の内縁に沿って形成されている。つまり第一及び第二開封用切れ目線は、いずれもシール部と交差していないことから、シール部の形成時に開封用切れ目線が再接着されることにより開封不良を生じることがない。
【0014】
上記本発明の第1と第2のいずれにおいても、一方の端縁シール部の全部又は一部を外方へ突出した山形に形成しておくと、一方の端縁シール部に対応する領域における一方の表面シートの層間剥離に要する力を軽減することができる。
【0015】
一方の端縁シール部の山形に形成された部分のシール幅を山形の頂部に向かって徐々に狭くしておくと、上記層間剥離に要する力を更に軽減することができる。
【0016】
前記延出部に、外方へ舌片状に突出した摘み部を形成しておくと、延出部を引っ張りやすくなり、開封操作性が向上する。
【0017】
第二開封用切れ目線の両端を両側縁シール部の長さ方向途中までで終端させておくと、第二開封用切れ目線が形成されていない領域での開封抵抗が増大するので、両側縁シール部の引き剥がしを任意の位置で止めることができる。従って、全開してしまうとこぼれやすい内容物の包装などにおいて、例えば開封を半開に止めることが容易となる。
【0018】
第二開封用切れ目線の両端を環状に形成しておくと、裂け目が伝播しにくくなるので、開封が第二開封用切れ目線の両端に至った時の開封抵抗の増大を一層大きなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るガゼット袋の一例を示す平面図である。
【図2】図1におけるA−A拡大断面図である。
【図3】図1におけるB−B拡大断面図である。
【図4】開封側の端縁シール部付近の模式的拡大断面図で、(a)は開封前の状態、(b)は開封時の状態を示す図である。
【図5】図1に示される包装袋の斜視図である。
【図6】図1に示される包装袋の開封状態を示す斜視図である。
【図7】(a)〜(c)はそれぞれ本発明に係るガゼット袋の他の例を示す平面図である。
【図8】(a)〜(c)はそれぞれ本発明に係るガゼット袋の他の例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る平袋の一例を示す平面図である。
【図10】図9におけるA−A拡大断面図である。
【図11】図9におけるB−B拡大断面図である。
【図12】(a)〜(c)はそれぞれ本発明に係る平袋の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜図6に基づいて本発明に係る包装袋(ガゼット袋)の一例を説明する。
【0021】
本例の包装袋は、図1〜図3に示されるように、四方シールガゼット袋で、表裏を形成する平面シート1,2と、両側にマチ部を形成する側面シート3,4とによって、マチ付の袋状に形成されている。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、図面上の上側の平面シート1を表面シート、下側の平面シート2を背面シートとする。
【0022】
表面シート1と背面シート2は、同形同大の平面四角形をなし、重ね合わされている。側面シート3,4は、表面シート1及び背面シート2と同じ長さで、折り目を内側に向けて幅方向に二つ折りにされ、表面シート1と背面シート2の両側縁部間にそれぞれ挟み込まれている。表面シート1の両側縁部は、それぞれ対応する側面シート3,4の対向部分と側縁シール部5,6によって熱融着されている。背面シート2の両側縁部も、それぞれ対応する側面シート3,4の対向部分と側縁シール部7,8によって熱融着されている。表面シート1と背面シート2の対応する端縁部同士は、端縁シール部9,10によってそれぞれ熱融着されている。表面シート1の周縁に形成された側縁シール部5,6及び端縁シール部9,10は表面シート1側の周縁シール部11を構成しており、背面シート2の周縁に形成された側縁シール部7,8及び端縁シール部9,10は背面シート2側の周縁シール部12を構成している。
【0023】
開封側となる一方の端縁シール部9(以下「開封側端縁シール部9」という)は、同じ側の表面シート1及び背面シート2の端縁よりも内側(袋の中心側)に形成されており、これによって表面シート1及び背面シート2の一方の端縁がそれぞれこの開封側端縁シール部9の外側に延出した延出部13,14を構成している。また、少なくとも表面シート1側の延出部13には、側縁シール部5,6が形成されておらず、延出部13の両側縁は自由端となっている。
【0024】
表面シート1は、層間剥離が可能な易剥離性積層シートで構成されている。そして、表面シート1の内面側(背面シート2との対向面側)には、層間剥離を生じた場合の剥離面に達する深さのハーフカットラインとして、第一開封用切れ目線15aと第二開封用切れ目線15bが形成されている。第一開封用切れ目線15aは、開封側端縁シール部9の外縁(袋の外側に位置する縁部)に沿い、表面シート1の延出部13の幅方向に横断して形成されている。また、第二開封用切れ目線15bは、開封側端縁シール部9の内縁(袋の内側に位置する縁部)に沿って、両端が両側縁シール部5,6の内縁に近接する位置まで延び、更に両側縁シール部5,6の内縁に沿って袋の長さ方向へ延びて形成されている。
【0025】
更に説明すると、表面シート1は、例えば図4(a),(b)に示されるように、外面側から表面層1a/易剥離層1b/シーラント層1cを順次積層した易剥離性積層シートを用いることができる。また、いずれかの積層位置に中間層(図示されていない)を介在させることもできる。中間層としては、強度・コシを持たせるため、低密度ポリエチレン(LDPE)などがが使用される。各層間は、ウェットラミネート、ノンソルベントラミネート、ドライラミネート、押出ラミネートなどの方法によって接着することができる。
【0026】
表面層1aの基材としては、例えばポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネートなどプラスチックフィルム又はシート、アルミニウム、鉄、銅、これらを主成分とする合金などの金属箔又は金属板、セロファン、紙、織布、不織布などを用いることができる。これらを単層で用いても、複数種類を積層して用いてもよい。また、寸法安定性、耐熱性、機械的強度、印刷適性などを考慮した場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ナイロン(Ny)を使用すること好ましい。
【0027】
易剥離層1bとしては、(1)ポリエステル系フィルムと、ポリオレフィンと環状オレフィンコポリマー(COC)とを所定の比率で混合した混合樹脂との積層体、(2)金属層と、ポリオレフィンと環状オレフィンコポリマーとを所定の比率で混合した混合樹脂との積層体、(3)層間剥離層、(4)凝集剥離層、(5)剥離ニスなどを用いることができる。
【0028】
(1)について、ポリエステル系フィルムは、公知のポリエステル系フィルムを用いることができるが、PETフィルムを材料として形成するとが好ましい。混合樹脂のポリオレフィンとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられるが、LDPEを用いるのが好ましい。COCとは、α−オレフィンと環状オレフィンとを、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒中、いわゆるチーグラー触媒やメタロセン触媒などの触媒を調合することにより得ることができる共重合体であり、このような共重合体としては、三井化学株式会社製の商品名「アペル」などがある。また、LDPEとしては旭化成ケミカルズ株式会社製の商品名「サンテック」などがある。混合樹脂は、LDPEとCOCとの混合率を変えることによりポリエステル系フィルムとの界面剥離強度をコントロールできるので、界面剥離強度を所望の値に調整することが可能である。
【0029】
(2)について、金属層は、アルミニウム、鉄、銅、これらを主成分とする合金等の金属箔又は金属板を用いることができ、表面粗さ(Ra)が0.40μm以下であることが好ましい。更に好ましくは、表面粗さ(Ra)が0.40μm以下のアルミニウム箔を用いることが望ましい。混合樹脂は(1)に示した樹脂と同様である。
【0030】
(3)について、層間剥離層は、PP又はプロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体を含有する樹脂で構成された層と、PP及び融点が120℃以上の高密度ポリエチレンもしくは直線状低密度ポリエチレンの混合物を有する樹脂、又は、融点が30〜100℃の熱可塑性樹脂を主体とする樹脂で構成された層との積層体として構成することができる。
【0031】
(4)について、凝集剥離層は、PPとPE、ポリスチレン(PS)とPEなどの異種の樹脂同士が相溶しない性質を利用して、PP、PE、PSなどの非相溶(又は部分相溶)樹脂をブレンドした混合樹脂が挙げられる。具体的には、東セロ株式会社製の商品名「CMPS」や住化プラスチック株式会社製の商品名「アシスト」などがある。
【0032】
(5)について、剥離ニスとは硝化綿系樹脂にシリコンを添加した非接着剤であり、表面層1aの内層側の剥離させたい部分に塗工しておくことで、シーラント層1cが付着しにくくなり、易剥離層1bとするこができる。
【0033】
シーラント層1cとしては、ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン、LDPE、中密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(プロピレンのホモポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、プロピレン−αオレフィン共重合体など)、エチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体(エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体など)、エチレン−α,β不飽和カルボン酸エステル共重合体(エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体など)、カルボン酸部位をナトリウムイオン、亜鉛イオンで架橋した、エチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、酸無水物変性ポリオレフィン(エチレン−無水マレイン酸グラフト共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体など)、エポキシ化合物変性ポリオレフィン(エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体など)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、これらの混合物などが挙げられる。
【0034】
表面シート1を構成する易剥離性積層シートの具体例としては、PET/EMAA/Al/EMAA/PET/混合樹脂/LLDPEの層構成のシートを挙げることができる。PET/EMAA/Al/EMAAは表面層1aで、EMAAは接着層、Alはバリア層である。PET/混合樹脂は、前記(1)として説明した易剥離層1bである。LLDPEはシーラント層1cである。
【0035】
本例の表面シート1における易剥離層1bは、上記(1)〜(3)として説明した二層構成のもので、その一方の層である第1層bと他方の層である第2層b’で構成されており、この第一層bと第二層b’の積層界面で剥離しやすくなっている。つまり、層間剥離した時に、易剥離層1bを構成する第一層bと第二層b’の積層界面が剥離面16となるものとなっている。そして、第一開封用切れ目線15aと第二開封用切れ目線15bは、それぞれ層間剥離させた時の剥離面16の位置に達する深さで形成されている。第一開封用切れ目線15aと第二開封用切れ目線15bの深さは、丁度剥離面16までの深さであっても良いが、確実に剥離面16に達した深さで形成できるよう、表面シート1を貫通しない範囲、特に表面層1aがバリア層を有する場合にはこのバリア層よりも浅くかつ剥離面16よりも深く形成しておくことが好ましい。
【0036】
背面シート2は、内側からシーラント層2a/本体層2bの二層構成として図示されているが、本体層2bは単層でも積層構成でもよく、全体を表面シート1と同じ層構成とすることもできる。また、背面シート2は、易剥離性積層シートである必要はないので、例えば表面シート1の層構成から易剥離層1bを除いた層構成の積層シートとすることもできる。
【0037】
本例の包装袋の開封は、図5に示されるように、表面シート1及び背面シート2の延出部13,14を互いに引き離す方向へ引っ張り、開封側端縁シール部9付近を図4(a)の状態から図4(b)の状態へと変化させることで行われる。つまり、表面シート1及び背面シート2の延出部13,14を互いに離す方向へ引っ張ると、表面シート1における第一開封用切れ目線15aと第二開封用切れ目線15bで挟まれた領域で層間剥離が生じる。そして、この第一開封用切れ目線15aと第二開封用切れ目線15bで挟まれた領域のシーラント層1cと易剥離層1bのうちの第二層b’が開封側端縁シール部9によって背面シート2へ付着残留した状態で、表面シート1と背面シート2が離れて、開封側端縁シール部9部分が引き開けられる。剥離した易剥離層1bの第1層bの表面と第二層b’の表面が剥離面16である。
【0038】
上記のようにして開封側端縁シール部9部分を引き開けた後、更に表面シート1及び背面シート2の延出部13,14を引っ張ると、内縁に沿って第二開封用切れ目線15bが形成された領域の両側縁シール部5,6の部分も、上記と同様にして層間剥離により分離され、図6に示されるように広く開口した状態で開封される。つまり、層間剥離が開封側端縁シール部9部分から両側縁シール部5,6部分へと広がり、表面シート1を大きくめくり上げることができる。
【0039】
第二開封用切れ目線15bの両端を開封側端縁シール部9とは反対側の端縁シール部10付近にまで伸ばしておけば、両側縁シール部5,6及び両端縁シール部9,10で囲まれた領域をほぼ全開することができる。しかし、全開させてしてしまうと、内容物が飛び出しやすく、残りの内容物を包み直すこともしにくくなるので、第二開封用切れ目線15bの両端は側縁シール部5,6の長さ方向途中までで終端させておくことで、半開状態で開封を止めやすくしておくことが好ましい。第二開封用切れ目線15bの両端を側縁シール部5,6の長さ方向途中までで終端させておくと、第二開封用切れ目線15bが形成されていない領域での開封抵抗が増大するので、開封を停止させることができる。特に側縁シール部5,6の長さ方向途中までで終端させた第二開封用切れ目線15bの両端をそれぞれ環状に形成しておくと、裂けの伝播を防止できるので、開封の停止が一層確実となる。環形状は、円環が最も好ましいが、多角形の環状とすることもできる。第二開封用切れ目線15bの両端の位置は、内容物の種類によっても相違するが、側縁シール部5,6の長さ方向1/5〜4/5を開放できる位置とすることが好ましく、より好ましくは1/2〜2/3を開放できる位置である。
【0040】
上記の例では、易剥離層1bが第一層bと第二層b’の二層構成のものとなっているが、前記(4)及び(5)で説明した一層構成のものとすることもできる。易剥離層1bを(4)の凝集剥離層とした場合、凝集剥離層が層内で生じる凝集剥離により二分されて剥離することになる。この場合、凝集剥離層内に生じる凝集剥離面が剥離面16となる。また、易剥離層1bを(5)の剥離ニスとした場合、接着性低下した隣接層との間で剥離することになる。この場合は剥離した隣接層との界面が剥離面16となる。
【0041】
本発明に係るガゼット袋は、図7(a)〜(c)に示されるようにすることもできる。
【0042】
図7(a)の例では、表面シート1及び背面シート2の延出部13,14の幅方向中央部に、それぞれ外方に舌片状に突出した摘み部17,18が設けられている。また、開封側端縁シール部9が、頂部が延出部13,14の幅方向中央部に位置する、外方へ突出した山形に形成されており、しかも開封側端縁シール部9のシール幅が、山形の頂部に向かって徐々に狭くなっている。このようにすると、摘み部17,18を摘むことで開封時に力を入れやすくなると共に、前記表面シート1における層間剥離の発生とその伝播が円滑になり、開封しやすくなる。
【0043】
図7(b)の例では、直線状に設けられた開封側端縁シール部9の幅方向中央部分が、頂部が延出部13,14の幅方向中央部に位置する、外方へ突出した山形に形成されている。また、この山形に形成された部分のシール幅が、山形の頂部に向かって徐々に狭くなっている。表面シート1及び背面シート2の延出部13,14の幅方向中央部に、外方に舌片状に突出した摘み部17が設けられているのは(a)の例と同様である。このようにしても、(a)の例と同様に開封性が向上する。
【0044】
図7(c)の例は、基本的には(a)の例と同様であるが、延出部13,14が、両者間に挟まれた側面シート3,4と共に、山形に形成された開封側端縁シール部9に沿って斜めに切断された形状となっている。このようにすると、延出部13,14間への異物の挟み込みなどを防止しやすくなる。
【0045】
なお、図7(a)〜(c)においては、開封側端縁シール部9の山形部分は、いずれもシール幅が山形の頂部に向かって徐々に狭くなっているが、これは均一のシール幅とすることもできる。また、図1〜図6で説明した例においても、上記摘み部17,18を設けることもできる。更に、開封側端縁シール部9の全部または一部を山形とした場合その頂部は、開封側端縁シール部9の幅方向中央部に位置することが好ましいが、左右一方に偏った位置に設けることもできる。摘み部17,18についても、延出部13,14の幅方向中央部に設けることが好ましいが、左右一方に偏った位置に設けることもできる。
【0046】
図1〜図6で説明した例では、表面シート1側と背面シート2側の両者に側縁シール部5,6,7,8が形成されたものとなっている。しかし、図8(a)に示される例のように、側面シート3,4が背面シート2の対応する側縁に一体に連なったものとすることで、背面シート2側の側縁シール部7,8(図3参照)がなく、表面シート1側にだけ側縁シール部5,6が形成された包装袋とすることもできる。この例の場合、側縁シール部7,8(図3参照)が不要であるので、製造工程を簡略化することができる。また、図8(b),(c)に示されるように、背面シート2が背貼りシール部19で合掌シールされて接合されたピロータイプの袋とすることもできる。このピロータイプの袋とする場合、(b)に示されるように、背面シート2と側面シート3,4が一体で、表面シート1をこれとは別体としたり、(c)に示されるように、表面シート1、側面シート3,4及び背面シートが一つながりのものとすることもできる。但し、(c)の袋においては、表面シート1と側面シート3,4の境界部分である折り目部分に、第二開封用切れ目線15b,15bと対応して第三開封用切れ目線15c,15cを形成しておくことで開封することができる。この第三開封用切れ目線15c,15cは、上記折り目部分の他、折り目部分より表面シート1側であって、側縁シール部5,6より外側(側縁シール部5,6が折り目部分より内側に入っている場合)又は側縁シール部5,6上に形成しておくこともできる。なお、図8(a)〜(c)のいずれの袋においても、背面シート2側の側縁シール部7,8(図3参照)を形成しても良い。
【0047】
以上説明したガゼット袋の場合、側面シート3,4の存在によって内部空間を広くとれることから、例えば内容物を上部が開放された箱に収容し、この箱ごと包み込むことができる。この場合、箱の開口部を表面シート1側にして収容しておけば、表面シート1を前記のようにして捲り上げることで、内容物を容易に取り出すことができる。
【0048】
次に本発明に係る平袋の例について説明する。以下に参照する図9〜図12において、図1〜図8と同じ符号は同様の構成要素を示し、類似の符号は類似の構成要素を示す。
【0049】
図9〜図11に示される包装袋の例は、平袋となっている。つまり、表面シート1と背面シート2を重ね、その四周を、側縁シール部5’,6’と、開封側端縁シール部9’及び他方の端縁シール部10’とで熱融着し、周縁シール部11’を形成することで袋状としたものとなっている。側縁シール部5’,6’と開封側端縁シール部9’及び他方の端縁シール部10’は、いずれも表面シート1と背面シート2の対向部を熱融着したものである。
【0050】
開封側端縁シール部9’が同じ側の表面シート1及び背面シート2の端縁よりも内側に形成されており、これによって表面シート1及び背面シート2の一方の端縁がそれぞれこの開封側端縁シール部9’の外側に延出した延出部13,14を構成している点、この延出部13,14には、両側縁シール部5’,6’が形成されておらず、延出部13,14の両側縁は自由端となっている点は既に説明したガゼット袋の例と同様である。
【0051】
ガゼット袋の例と同様に、表面シート1は、層間剥離が可能な易剥離性積層シートで構成されている。そして、表面シート1の内面側には、ガゼット袋の例で説明したものと同様の第一開封用切れ目線15aと第二開封用切れ目線15bが形成されている。
【0052】
上記平袋の開封は、既に説明したガゼット袋の開封と同様にして行うことができる。また、平袋においても、図12(a)〜(c)に示されるように、図7(a)〜(c)で説明したガゼット袋の例と同様に、摘み部17,18を設けたり、開封側端縁シール部9’の全部又は一部を外方へ突出した山形に形成したり、延出部13,14を開封側端縁シール部9’の形状に合わせてカットしたりすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 平面シート(表面シート)
1a 表面層
1b 易剥離層
b 第一層
b’ 第二層
1c シーラント層
2 平面シート(背面シート)
3,4 側面シート
5,6,7,8 側縁シール部
5’,6’ 側縁シール部
9 端縁シール部(開封側端縁シール部)
9’ 端縁シール部(開封側端縁シール部)
10 端縁シール部(他方の端縁シール部)
10’ 端縁シール部(他方の端縁シール部)
11,12 周縁シール部
11’ 周縁シール部
13,14 延出部
15a 第一開封用切れ目線
15b 第二開封用切れ目線
15c 第三開封用切れ目線
16 剥離面
17,18 摘み部
19 背貼りシール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面を形成する平面シートと、両側にマチ部を形成する側面シートとを備え、少なくとも一方の平面シートの両側縁部と、対応する側の前記側面シートとをそれぞれ熱融着した両側縁シール部と、前記両平面シートの対応する端縁部同士及びこの両者間に挟まれた前記側面シートをそれぞれ熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋において、
一方の端縁シール部が同じ側である前記両平面シートの一方の端縁より内側に形成されていることで、前記両平面シートの一方の端縁がそれぞれ前記一方の端縁シール部の外側に延出した延出部を構成していると共に、前記一方の平面シートの前記延出部には前記側縁シール部が形成されていない一方、前記一方の平面シートが層間剥離可能な易剥離性積層シートで構成されており、しかも前記一方の平面シートには、内面側から前記層間剥離時の剥離面に達する深さで、前記一方の端縁シール部の外縁に沿って前記一方の平面シートの延出部を幅方向に横断する第一開封用切れ目線と、前記一方の端縁シール部の内縁から前記両側縁シール部の内縁に沿って延びる第二開封用切れ目線とが形成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
表裏面を形成する平面シートの対応する両側縁部同士を熱融着した両側縁シール部と、対応する両端縁部同士を熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋において、
一方の端縁シール部が同じ側である前記両平面シートの一方の端縁より内側に形成されていることで、前記両平面シートの一方の端縁がそれぞれ前記一方の端縁シール部の外側に延出した延出部を構成していると共に、一方の平面シートの前記延出部には前記側縁シール部が形成されていない一方、前記一方の平面シートが層間剥離可能な易剥離性積層シートで構成されており、しかも前記一方の平面シートには、内面側から前記層間剥離時の剥離面に達する深さで、前記一方の端縁シール部の外縁に沿って前記一方の平面シートの延出部を幅方向に横断する第一開封用切れ目線と、前記一方の端縁シール部の内縁から前記両側縁シール部の内縁に沿って延びる第二開封用切れ目線とが形成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項3】
前記一方の端縁シール部の全部又は一部が、頂部が延出部の幅方向中央部に位置する、外方へ突出した山形に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記一方の端縁シール部の山形に形成された部分のシール幅が、山形の頂部に向かって徐々に狭くなっていることを特徴とする請求項3に記載の包装袋。
【請求項5】
前記延出部の幅方向中央部に、外方へ舌片状に突出した摘み部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項6】
前記第二開封用切れ目線の両端が、両側縁シール部の長さ方向途中までで終端していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項7】
前記第二開封用切れ目線の両端が、環状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−12086(P2012−12086A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151034(P2010−151034)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】