説明

包装袋

【課題】 細かい粒子状の内容物の流出を確実に防止した上で、内部で発生したガスを効率よく外部へ排出することができ、それによって体積の増加や破裂を防止することのできる包装袋を提供することにある。
【解決手段】 複数のシートを重ね合わせ周縁部を接着することで構成された袋体と、袋体の周縁部の任意の一辺にその一部を非接着とした状態で設けられ袋体内部において発生又は膨張したガスを袋体外部に排出するガス排出部と、を具備し、ガス排出部は袋体内部に開口された複数の内部側流路と、袋体外部に開口された複数の外部側流路と、内部側流路と外部側流路とを連絡する1つの中央流路と、から構成されており、中央流路は袋体の一辺の長さよりも短い長さで形成されており、内部側流路と外部側流路とが中央流路を挟んで対面しないように配置されていることを特徴とする包装袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、多くのガスを発生させる食品等の包装・保存に適した包装袋に係り、特に、微粉末状であって粒子の細かな内容物であっても、その流出を確実に防止した上で、内部で発生したガスを効率よく外部へ排出して体積の増加や破裂を防止でき、且つ、外気その他異物の浸入を防止することができるように工夫したものに関する。
【0002】
内容物を流出させることなく内部で発生したガスを排出することができる包装袋としは、例えば、特許文献1〜特許文献3に記載されているようなものがある。
【0003】
これらの包装袋は、複数枚のフィルムを重ね合わせて、その周縁部を熱溶着することにより袋状とされたものである。又、上記周縁部には接着部分と非接着部分が設けられていて、その非接着部を介して上記包装袋内部で発生したガスを外部へ排出するようにしている。それによって、発生したガスによる体積の増加や破裂を防止している。
ちなみに、発生したガスによって体積が増加してしまった場合には、広い保管スペースを必要としてしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−168798号公報
【特許文献2】特開2000―118540号公報
【特許文献3】特開2009−262974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成によると、次のような問題があった。
特許文献1〜特許文献3に記載された包装袋の場合には、内部で発生したガスを外部に排出するための非接着部が比較的大きいため、内容物が米粒等の比較的大きなものであれば問題ないが、例えば、微粉末状であってその粒子が細かいものについては、上記非接着部を介して外部に流出してしまうことが懸念されていた。
【0006】
本願発明は、このような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、微粉末状であって粒子の細かな内容物であっても、内容物の流出を確実に防止したうえで内部にて発生したガスを効率よく外部へ排出して体積の増加と破裂を防止することができ、且つ、外気その他異物の浸入を防止することができる包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1に記載された包装袋は、複数のシートを重ね合わせて周縁部を接着することにより構成された袋体と、上記袋体の周縁部の任意の一辺にその一部を非接着とした状態で設けられ袋体内部において発生又は膨張したガスを袋体外部に排出するガス排出部と、を具備し、上記ガス排出部は上記袋体内部に開口された複数の内部側流路と、上記袋体外部に開口された複数の外部側流路と、上記内部側流路と上記外部側流路とを連絡する1つの中央流路と、から構成されており、上記中央流路は上記袋体の上記一辺の長さよりも短い長さで形成されており、上記内部側流路と上記外部側流路とが上記中央流路を挟んで対面しないように配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載された包装袋は、請求項1記載の包装袋において、上記ガス排出部にはフィルタが設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載された包装袋は、請求項2記載の包装袋において、上記フィルタは上記シート間に介挿され接着部においては上記シートとともに接着され非接着部においては接着されないことにより上記ガス排出部内に設けられることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載された包装袋は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の包装袋において、上記ガス排出部の非接着部にはシリコンオイルが塗布されていることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載された包装袋は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の包装袋において、上記外部側流路の数は上記内部側流路の数より少なく設定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、請求項1記載の包装袋によると、複数のシートを重ね合わせて周縁部を接着することにより構成された袋体と、上記袋体の周縁部の任意の一辺にその一部を非接着とした状態で設けられ袋体内部において発生又は膨張したガスを袋体外部に排出するガス排出部と、を具備し、上記ガス排出部は上記袋体内部に開口された複数の内部側流路と、上記袋体外部に開口された複数の外部側流路と、上記内部側流路と上記外部側流路とを連絡する1つの中央流路と、から構成されており、上記中央流路は上記袋体の上記一辺の長さよりも短い長さで形成されており、上記内部側流路と上記外部側流路とが上記中央流路を挟んで対面しないように配置されているので、微粉末状であって粒子の細かな内容物であってもその外部への流出を防ぎつつ、内容物から発生したガスを外部へ効率良く排出することができ、且つ、外気その他異物の浸入を防止することができる。
また、請求項2記載の包装袋によると、上記ガス排出部内にはフィルタが設けられているため、上記効果を得ることができることはもとより、内容物が微粉末状であって粒子の細かなものであっても外部への流出を確実に防止することができる。
また、請求項3記載の包装袋によると、上記フィルタは上記シート間に介挿され接着部においては上記シートとともに接着され非接着部においては接着されない構成になっており、つまり、単に上記シート間に介挿するだけで所望の構成を得ることができるので製造が容易である。
また、請求項4記載の包装袋によると、上記ガス排出部内にはシリコンオイルが塗布されている。そのため、内容物から発生したガスにより袋体内部が所定以上の圧力になった場合にのみガス排出部が開いてガスを排出し、それ以外の場合はガス排出部がシリコンオイルの粘性によって閉じられる。これにより、所定量のガスを袋体内部に残して内容物の外部への流出を防ぎつつ、袋体内部の過剰なガスを排出することができる。また、シリコンオイルの粘性によって常時においてはガス排出部が閉じられるため、外気その他異物の浸入を防止して内容物の鮮度を保つことができる。
また、請求項5記載の包装袋によると、上記内部側流路よりも上記外部側流路の方が少ないため、内容物の外部への流出や外気その他異物の侵入を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態による包装袋であっ手内容物を包装していない状態での平面図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、図2(a)は本実施の形態による包装袋であって内容物を包装した状態の図1におけるII−II位置での断面図、図2(b)は図2(a)におけるb部分の拡大図である。
【図3】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態による包装袋を製造する際に用いる金型の斜視図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態による包装袋を製造する際に用いる金型のうちの、下型の凹部付近の拡大平面図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態による包装袋を製造する際に用いる金型のうちの、下型の図3におけるV−V断面図である。
【図6】本願発明の第2の実施の形態を示す図で、本実施の形態による包装袋であってガス排出部が閉じた状態を示す断面図である。
【図7】本願発明の第2の実施の形態を示す図で、本実施の形態による包装袋であってガス排出部が開いた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜図5を参照して本願発明の第1の実施の形態について説明する。
【0011】
本実施の形態による包装袋は、図1に示すように、まず、袋体1を備えている。上記袋体1は、例えば、図2(a)及び図2(b)に示すように、略長方形形状のシート3、3を重ね合わせて、その周縁部5を熱溶着等によって接着することにより構成されている。
また、上記シート3、3間の、上記周縁部5の上端側(図1中上側)の辺には、略長方形のシート状のフィルタ4が介挿されている。上記フィルタ4としては、例えば、1インチ四方中に90本×100本のポリエチレン製の糸を編みこんだメッシュ状のものを使用することが考えられる。又、それ以外にも、例えば、スパンボンド法により製造された不織布であってmあたり20gのものが用いられる。
なお、本実施の形態では、上記フィルタ4として、メッシュ状であってシート状のものを、1枚又は複数枚積層させた状態で使用している。
上記袋体1の中央部は非接着となっており、図1及び図2に示すように、中空部7が形成されている。
【0012】
上記周縁部5の下端側(図1中下側)の辺は、本実施の形態による包装袋の製造時には非接着とされ、開口部9が設けられている。また、上記周縁部5の上端側(図1中上側)の辺の一部は非接着とされ、図1に示すようなガス排出部11が形成されている。上記ガス排出部11には、まず、図1中左右方向に延長された中央流路11aがある。また、上記中央流路11aの内側及び外側には、上記中央流路11aと上記中空部7とを連絡する内部側流路11b、11c、11d、11eと、上記中央流路11aと上記袋体1の外部とを連絡する外部側流路11f、11gが設けられている。
【0013】
上記外部側流路11fは、図1中左右方向において、上記内部側流路11bと上記内部側流路11cとの間に配置されている。また、上記外部側流路11gは、図1中左右方向において、上記内部側流路11dと上記内部側流路11eとの間に配置されている。
なお、上記内部側流路11b、11c、11d、11eは、この順番で、図1中左側から右側に向かって配置されている。
【0014】
上記フィルタ4は、上記ガス排出部11の中空部7側(図1中下側)に設けられている。すなわち、図1に示すように、上記フィルタ4は、上記中央流路11aの上記中空部7側と上記内部側流路11b、11c、11d、11eの中央流路11a側に入り込むように配置されている。
また、上記フィルタ4が介挿された上記周縁部5の接着部分においては、上記フィルタ4はシート3、3とともに接着されている。これに対して、非接着部分においては、上記フィルタ4はメッシュ状に残されており、これが上記ガス排出部11の一部となる。
【0015】
また、図1に示すように、上記ガス排出部11の中央流路11a内の二箇所、すなわち、上記中央流路11a内の上記外部側流路11f、11gと接続される部分には、シリコンオイル12、12が塗布されている。常時は、図2(a)及び図2(b)に示すように、上記シリコンオイル12が塗布された部分において、上記シリコンオイル12の粘性によって、上記シート3、3が密着している。これに対して、上記中空部7内においてガスが発生して圧力が上昇した場合には、上記密着は解除されることになる。
【0016】
本実施の形態による包装袋は、図3〜図5に示すような金型13を用いて製造される。上記金型13は、上型13aと下型13bとからなる。上記上型13aの内側には、上記下型13b側(図3中下側)、及び、後方(図3中左上側)に開口された上型中空部15が形成されている。
【0017】
上記下型13bの内側には、上記上型13a側(図3中上側)、及び、後方(図3中左上側)に開口された下型中空部17が形成されている。また、上記下型13bの上記上型13a側(図3中上側)の端面の上端側(図3中右下側)の辺には、凹部19が形成されている。この凹部19は、本実施の形態による包装袋のガス排出部11に対応するものである。すなわち、上記凹部19は、中央流路11aを形成するための溝19a、内部側流路11b、11c、11d、11eを形成するための溝19b、19c、19d、19e、外部側流路11f、11gを形成するための溝19f、19gから構成されている。また、上記下型13bには、上記下型13bを図示しないネジによって固定するためのネジ孔20a、20a、20a、20a、及び、ネジ孔20b、20bが設けられている。
【0018】
次に、本実施の形態による包装袋の製造方法について説明する。
まず、シート3、3を重ね合わせ、このシート3、3間の所定の位置にフィルタ4を介挿する。このようにして重ね合わされた上記シート3、3、及び、フィルタ4を、下型13bの凹部19側の面(図3中上側の面)に重ね合わせて設置し、その上に上型13aを重ね合わせて設置する。
このとき、上記上型13aと上記下型13bは、上型中空部15の開口部と下型中空部17の開口部を向かい合わせた状態となっており、上記シート3、3の周縁部5の下端側(図3中左上側)以外の3辺、及び、フィルタ4が上記上型13aの下側(図3中下側)端面と上記下型13bの上側(図3中上側)端面との間に介挿された状態となっている。
【0019】
そして、上記金型13を加熱しつつ、上記上型13a側から押圧し、上記シート3、3の周縁部5の下端側(図3中左上側)以外の3辺、及び、フィルタ4を熱溶着させる。このようにして、上端側(図1中上側)にガス排出部11が形成され、下端部(図1中下側端)に開口部9が形成された袋体1が製造される。その後、上記袋体1に形成された上記ガス排出部11内に外部側流路11f、11g側からシリコンオイル12を注入することで、上記中央流路11a内の上記外部側流路11f、11gと接続される部分に上記シリコンオイル12を塗布する。
【0020】
次に、本実施の形態による包装袋の使用方法について説明する。
まず、袋体1の開口部9から中空部7内に、例えば、焙煎した直後のコーヒー豆を粉状にしたコーヒー粉末21を充填する。その後、上記袋体1の開口部9を熱溶着し、図2に示すように上記コーヒー粉末21を上記袋体1の中空部7内に封入する。
【0021】
そして、本実施の形態による包装袋は以下のように作用する。
まず、常時において、ガス排出部11の中央流路11a内の上記外部側流路11f、11gと接続される部分は、シリコンオイル12の粘性によりシート3、3が密着することによって閉じられている。そのため、中空部7内のコーヒー粉末21の外部への不用意な流出、外部からの外気その他異物の侵入は確実に防止される。
【0022】
又、袋体1内の中空部7に封入されたコーヒー粉末21は、焙煎した直後のコーヒー豆を粉状にしたものであるので、大量の炭酸ガス23(上記コーヒー粉末21の体積の約3倍程度)を発生させる。上記中空部7と外部は、ガス排出部11によって連絡されている。そのため、上記中空部7内において大量の炭酸ガス23が発生しても、上記ガス排出部11を介して外部へと排出されるようになっている。以下、このことについて詳細に説明する。
【0023】
前述したように、上記中央流路11a内の上記外部側流路11f、11gと接続される部分には、シリコンオイル12、12が塗布されている。そのため、上記中空部7において、炭酸ガス23が発生して内部の圧力が所定の圧力(例えば、5kpa/cm)以上にならない限り、上記シリコンオイル12の粘性によって上記ガス排出部11は閉鎖された状態となっている。
【0024】
そして、上記中空部7内の圧力が上記炭酸ガス23の発生により所定の圧力(例えば、5kpa/cm)以上になると、上記炭酸ガス23による圧力で上記ガス排出部11の外部側(図1中上側)のシート3、3が外側(図2中上方向、及び、下方向)に付勢されて上記ガス排出部11が拡開され、上記シリコンオイル12による密着が解除される。このようにして上記ガス排出部11が開放され、上記中空部7内で発生した過剰な上記炭酸ガス23が外部へと排出される。そして、上記中空部7内の圧力が低下すると、上記シート3、3の復元力、及び、上記シリコンオイル12の粘性により、再び上記ガス排出部11が閉じられる。
【0025】
また、上記中空部7内の温度が上がることで上記中空部7内のガスが膨張して所定の圧力以上の圧力となった場合も、前述のようなシリコンオイル12とガスの作用により上記ガス排出部11が開き、発生したガスが外部に適宜排出される。このガスの排出により上記中空部7内の圧力が下がると、上記シート3、3の復元力、及び、上記シリコンオイル12の粘性により再び上記ガス排出部11が閉じられる。これにより、上記中空部7内の圧力が所定の圧力以上にならないようにして、上記袋体1の体積の増加や破裂を防止している。
また、上記中空部7内の温度が下がることで上記中空部7内のガスが収縮した場合は、上記シリコンオイル12の粘性により上記ガス排出部11が閉じられているため外気その他異物が侵入いるようなことはい。
なお、上記ガス排出部11が拡開された状態であっても、上記フィルタ4が存在するので、上記中空部7内のコーヒー粉末21の外部への不用意な流出は防止される。
【0026】
次に、本実施の形態による包装袋の効果について説明する。
まず、袋体1にはガス排出部11が設けられているため、中空部7内で発生した炭酸ガス23を外部へ排出することができる。これにより、上記袋体1の大きな体積変化や破裂を防止することができる。
また、上記ガス排出部11は、中空部7側に開口された内部側流路11b、11c、11d、11eと、外部側に開口された外部側流路11f、11gと、上記内部側流路11b、11c、11d、11eと上記外部側流路11f、11gとを連絡する中央流路11aとから構成されており、上記中央流路11aは上記袋体1の一辺の長さよりも短い長さで形成されているので、内容物の外部への流出を効果的に防止しながら、中空部7内で発生した炭酸ガス23を外部に効果的に排出することができる。
【0027】
また、上記内部側流路11b、11c、11d、11eと上記外部側流路11f、11gとが上記中央流路11aを挟んで対面しないように配置されていることによって、上記コーヒー粉末21の外部への流出と外部から上記中空部7内への外気その他異物の侵入防止効果を高めることができる。また、上記内部側流路11b、11c、11d、11eよりも上記外部側流路11f、11gの数が少ないため、上記中空部7から上記袋体1外部への上記炭酸ガス23の排出を効率よく行うとともに、外部からの外気その他異物の侵入防止効果を高めることができる。
【0028】
また、上記ガス排出部11内には、フィルタ4が熱溶着されずに残されている。そのため、上記コーヒー粉末21の外部への流出や外部からの異物の侵入を防止しつつ、上記炭酸ガス23を排出することができる。また、上記コーヒー粉末21の流出を防止することによって、上記コーヒー粉末21によって上記袋体1の表面や周辺を汚してしまうことを防止することもできる。
【0029】
また、上記ガス排出部11内にはシリコンオイル12が塗布されている。そのため、常時においては、上記シリコンオイル12の粘性によってシート3、3が密着することにより上記ガス排出部11が閉鎖されており、大気その他異物の侵入を確実に防止することができる。その一方、上記中空部7内で過剰に上記炭酸ガス23が発生し、所定の圧力以上で上記ガス排出部11内に上記炭酸ガス23が流入してきた場合には、上記ガス排出部11の外部側(図1中上側)が拡開されて上記シート3、3の密着状態が解除され、上記ガス排出部11が開放されるようになっている。このことにより、炭酸ガス23の発生により所定の圧力以上になった場合に上記ガス排出部11を開放することができる。
よって、上記コーヒー粉末21の香りの成分を含む上記炭酸ガス23を適度に上記中空部内7に残しつつ、外部からの大気その他異物の侵入を防いで上記コーヒー粉末21の鮮度を保ち、且つ、内部で発生した過剰な上記炭酸ガス23を外部に排出して上記袋体1の体積の増加や破裂を防止することができる。
【0030】
また、寒暖の差によって、上記中空部7内のガスが膨張・収縮した場合においても、前述のようなシリコンオイル12とガスの作用により上記ガス排出部11の開閉が行われるため、膨張したガスの外部への排出、及び、上記袋体1内部への外気の流入等の防止がなされる。そのため、寒暖の差がある環境下においても、上記袋体1の体積増加や破裂を防ぐことができるとともに、上記コーヒー粉末21の鮮度を保つこともできる。
【0031】
また、上記フィルタ4は上記シート3、3間に介挿され、接着部においては上記シート3、3とともに接着され非接着部においては接着されないことにより、接着部分においては上記フィルタ4の隙間が溶けた上記シート3及び上記フィルタ4や接着剤によって埋められ、非接着部分においては上記フィルタ4の隙間が残される。このようにして、上記フィルタ4が上記ガス排出部11内に設けられるため、本実施の形態による包装袋は製造が容易である。
【0032】
次に、図1、図6、及び、図7を使用して、本願発明の第2の実施の形態による包装袋について説明する。
なお、本実施の形態による包装袋に設けられたガス排出部、製造に用いる金型、内部に充填されるコーヒー粉末、及び、上記コーヒー粉末から発生する炭酸ガスは、前述した第1の実施の形態の場合と同様のものであり、その説明を省略するとともに、同じ符号を付すこととする。
【0033】
本実施の形態による包装袋は、図6に示すように、袋体25からなる。この袋体25は、略長方形形状のシート27、27を重ね合わせ、その周縁部を熱溶着などによって接着することで構成されている。上記袋体25の周縁部の上側の(図6中右側)の辺は部分的に非接着となっており、ガス排出部11が形成されている。なお、このガス排出部11は、図1に示すような形状を成しているものである。
【0034】
上記ガス排出部11内にはシリコンオイル29が塗布されている。常時においては、このシリコンオイル29の粘性により上記ガス排出部11の図6中上側と図6中下側とが貼り付き、上記ガス排出部11が閉じられている。
なお、上記シリコンオイル29は、例えば、中央流路11a内の外部側流路11f、11gと接続される部分に塗布されている。
【0035】
また、上記袋体25の周縁部の下側(図6中左側)の辺は非接着となっており、開口部31が形成されている。また、上記袋体25内部は非接着となっており、中空部33が形成されている。
【0036】
本実施の形態による包装袋も前述した第1の実施の形態による包装袋と略同様に製造されるが、上記シート27、27間にフィルタは介挿されない。また、本実施の形態による包装袋も前述した第1の実施の形態による包装袋と同様に使用され、中空部33内にコーヒー粉末21が充填される。
【0037】
次に、本実施の形態による包装袋の作用について説明する。
まず、常時においては、シリコンオイル29の粘性によりガス排出部11が閉じられている。これにより、上記コーヒー粉末21の外部への不用意な漏れ出しを防止するとともに、外気などの物質の中空部33内への侵入を防いでいる。上記コーヒー粉末21から炭酸ガス23が発生すると、上記中空部33内の気圧が増加する。
【0038】
そして、上記中空部33内の気圧が所定の気圧以上になると、上記炭酸ガス23により上記シリコンオイル29による上記ガス排出部11の図6中上側と図6中下側との貼り付きに抗して、図7に示すように、上記ガス排出部11が開き、上記中空部33内で発生した過剰な上記炭酸ガス23が外部へと排出されていく。
【0039】
また、寒暖の差によって、上記中空部33内のガスが膨張・収縮した場合においても、前述のようなシリコンオイル29とガスの作用により上記ガス排出部11の開閉が行われる。
【0040】
また、上記ガス排出部11は、前述した第1の実施の形態の場合と同様、中央流路11aと、これと連通された内部側流路11b、11c、11d、11e、及び、外部側流路11f、11gとから構成されており、上記内部側流路11b、11c、11d、11eは上記外部側流路11f、11gと対面しないように配置されている。そのため、上記ガス排出部11が開いた状態となって、上記コーヒー粉末21が上記炭酸ガス23とともに上記ガス排出部11に進入してしまったとしても、上記コーヒー粉末21は上記ガス排出部11内に衝突し上記シリコンオイル29によって貼り付き、外部には流出しないことになる。
【0041】
次に、本実施の形態による包装袋の効果について説明する。
まず、本実施の形態による包装袋にも、前述した第1の実施の形態による包装袋に設けられたガス排出部と同じ形状のガス排出部11が設けられているため、上記ガス排出部11を必要最小限の大きさにすることで、内容物の外部への漏れ出しを防ぎ、且つ、炭酸ガス23を外部へ排出することにより袋体25の大きな体積変化や破裂を防止することができる。
【0042】
また、内部側流路11b、11c、11d、11eと外部側流路11f、11gとが中央流路11aを挟んで対面しないように配置されていることによって、コーヒー粉末21の外部への漏れ出しと外部から中空部33内への待機その他異物の侵入を防いでいる。また、上記内部側流路11b、11c、11d、11eよりも上記外部側流路11f、11gの数が少ないため、上記中空部33から上記袋体25外部への上記炭酸ガス23の排出を効率よく行うとともに、外部からの大気その他異物の侵入を防ぐことができる。
【0043】
また、上記ガス排出部11内にはシリコンオイル29が塗布されており、これによって閉じられた上記ガス排出部11は、上記中空部33内が所定以上の気圧になった場合にのみ開くようになっている。そのため、上記コーヒー粉末21の香り成分を含む上記炭酸ガス23を適度に上記中空部内33に残しつつ、上記中空部33内で発生した過剰な上記炭酸ガス23の排出をより効率よく行って上記袋体25の体積の増加や破裂を防止するとともに、大気その他異物質の侵入を防ぎ上記コーヒー粉末21の鮮度を保つことができる。
【0044】
また、寒暖の差によって、上記中空部33内のガスが膨張・収縮した場合においても、前述のようなシリコンオイル29とガスの作用により上記ガス排出部11の開閉が行われるため、膨張したガスの外部への排出、及び、上記袋体1内部への外気の流入等の防止がなされる。そのため、寒暖の差がある環境下においても、上記袋体25の体積増加や破裂を防ぐことができるとともに、上記コーヒー粉末21の鮮度を保つこともできる。
また、上記シリコンオイル29及び前述した上記ガス排出部11の構造によって、上記ガス排出部11内に進入した上記コーヒー粉末21が上記ガス排出部11内に貼りつくため、外部に不用意に上記コーヒー粉末21が漏れ出すことを防止することができるとともに、上記コーヒー粉末21によって上記袋体25の表面や周辺を汚してしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態による包装袋も、前述した第一の実施の形態による包装袋と同様、容易に製造できるものである。
【0045】
なお、本発明は、前記第1、第2の実施の形態に限定されない。
例えば、シート及び袋体の形状には、様々な場合が考えられる。また、シートを3枚以上重ね合わせて袋体を構成することも考えられる。
また、ガス排出部の形状や寸法も様々な場合が考えられる。
また、シート同士の接着方法も様々なものが考えられる。
また、フィルタの材質は、メッシュ状や多孔質であれば様々なものが考えられ、メッシュ等の粗さも内容物等の条件により様々な場合が考えられる。
また、シリコンオイルは、ガス排出部を開くときの包装袋内部の気圧などの条件によって、粘度等が異なる様々な性質のものが選択される。
また、粘度等の条件が適合すれば、シリコンオイル以外の流体を用いることも考えられる。
【0046】
また、前述した第1の実施の形態においては、ガス排出部の全体にフィルタを設けていたが、ガス排出部の一部にのみフィルタを設ける場合や、ガス排出部の一部にフィルタを設け、その他の部分にシリコンオイルを用いる場合も考えられる。
また、シリコンオイルを用いず、フィルタのみを使用する場合も考えられ、その場合には上記フィルタの材質が不織布などであることも考えられる。
【0047】
袋体内部に充填されるものは、コーヒー粉末に限られず、様々なものが考えられる。
また、本発明による包装袋内に入れた食品等を電子レンジなどによって加熱することも考えられる。このような場合は、食品の保管時は外部からの物質の侵入を防ぎ、調理時は加熱によって発生した水蒸気や膨張したガスなどによる包装袋の破裂を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば、多くのガスを発生させる食品等の包装・保存に適した包装袋に係り、特に、微粉末状であって粒子の細かな内容物であっても、その流出を確実に防止した上で、内部で発生したガスを効率よく外部へ排出して体積の増加や破裂を防止でき、且つ、外気その他異物の浸入を防止することができるように工夫したものに関し、例えば、コーヒー粉末の保管に好適である。
【符号の説明】
【0049】
1 袋体
3 シート
4 フィルタ
5 周縁部
7 中空部
11 ガス排出部
11a 中央流路
11b 内部側流路
11c 内部側流路
11d 内部側流路
11e 内部側流路
11f 外部側流路
11g 外部側流路
12 シリコンオイル
21 コーヒー粉末
23 炭酸ガス
25 袋体
27 シート
29 シリコンオイル
33 中空部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートを重ね合わせて周縁部を接着することにより構成された袋体と、
上記袋体の周縁部の任意の一辺にその一部を非接着とした状態で設けられ袋体内部において発生又は膨張したガスを袋体外部に排出するガス排出部と、を具備し、
上記ガス排出部は上記袋体内部に開口された複数の内部側流路と、上記袋体外部に開口された複数の外部側流路と、上記内部側流路と上記外部側流路とを連絡する1つの中央流路と、から構成されており、
上記中央流路は上記袋体の上記一辺の長さよりも短い長さで形成されており、
上記内部側流路と上記外部側流路とが上記中央流路を挟んで対面しないように配置されていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
請求項1記載の包装袋において、
上記ガス排出部にはフィルタが設けられていることを特徴とする包装袋。
【請求項3】
請求項2記載の包装袋において、
上記フィルタは上記シート間に介挿され接着部においては上記シートとともに接着され非接着部においては接着されないことにより上記ガス排出部内に設けられることを特徴とする包装袋。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の包装袋において、
上記ガス排出部の非接着部にはシリコンオイルが塗布されていることを特徴とする包装袋。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載の包装袋において、
上記外部側流路の数は上記内部側流路の数より少なく設定されていることを特徴とする包装袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−140153(P2012−140153A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293520(P2010−293520)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(511003154)株式会社トマ・エール (1)
【Fターム(参考)】