包装袋
【課題】包装袋の表面を切り開いて開封できるようにすると共に、開封時に形成される開口部の大きさを簡単に調整できるようにする。
【解決手段】四方シール袋において、表面シート１に、縦方向に伸びる合掌シール部５を設け、表面シート１を合掌シール部５に形成された開封用ノッチから横方向に引き裂き可能とすると共に、四方シール部のうち、少なくとも両側縁シール部７，８を、引き剥がし可能な弱シール部で構成した包装袋とする。
【解決手段】四方シール袋において、表面シート１に、縦方向に伸びる合掌シール部５を設け、表面シート１を合掌シール部５に形成された開封用ノッチから横方向に引き裂き可能とすると共に、四方シール部のうち、少なくとも両側縁シール部７，８を、引き剥がし可能な弱シール部で構成した包装袋とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、開封手段を有する包装袋に関する。更に詳しくは、広い開口部を形成可能な開封手段を有する包装袋に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、合掌シール部（背シール部）を有する縦ピロー袋において、袋の端部寄りの合掌シール部にノッチを入れておき、このノッチから、袋を一周して裂け目を伝播させることで開封できるようにすることが知られている（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】実願昭５９−２３９５３号（実開昭６０−１３６９６４号）の明細書及び図面
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上記従来の包装袋は、いわば袋の端部を輪切り状に開封するものであって、開封位置は袋の端部であり、開口部の大きさは袋の径によって決まり、それ以上に大きく開口させることはできない。また、裂け目を半周程度に抑えて小さく開口させることは可能であるが、裂け目が伝播しやすいので、このような半開状態とするための開封作業がしにくいと共に半開状態を維持しにくい。しかし、内容物によっては、例えば袋の表面又は裏面を大きく切り開いて開封できた方が取り出しやすい場合もある。また、袋の表面又は裏面を切り開いて開封できるようにする場合でも、開封時に形成される開口部の大きさを簡単に調整できる方が便利である。
【０００５】
本発明は、包装袋の表面又は裏面を切り開いて開封できるようにすると共に、開封時に形成される開口部の大きさを簡単に調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の第一及び第二の包装袋は、表裏面を形成する四角形の平面シートと、両側にマチ部を形成する側面シートを備え、少なくとも一方の平面シートの両側部と、対応する側の前記側面シートとをそれぞれ熱融着した両側縁シール部と、前記平面シートの対応する端縁部同士及びこの両者間に挟まれた前記側面シートをそれぞれ熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋、つまり四方シールガゼット袋に関する。また、本発明の第三及び第四の包装袋は、表裏面を形成する四角形の平面シートの対応する両側部同士を熱融着した両側縁シール部と、対応する両端縁部同士を熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋、つまり四方シール平袋に関する。
【０００７】
そして、本発明の第一及び第三の包装袋は、前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、少なくとも前記両側縁シール部は、引き剥がし可能な弱シール部で構成されていることを特徴とする。
【０００８】
また、本発明の第二及び第四の包装袋は、前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、前記両側縁シール部は、それぞれ引き剥がし可能な弱シール部と、該弱シール部よりシール強度の高い強シール部とで構成されており、前記開封用ノッチから横方向への延長線が交差する位置又は前記開封用傷痕群領域の横方向への延長領域から離れた領域に前記強シール部である強側縁シール部が設けられ、残部が前記弱シール部である弱側縁シール部となっていることを特徴とする。
【０００９】
本発明の第一及び第二の包装袋は、前記側面シートが、他方の平面シートの対応する側縁に一体に連なっていること、
前記側面シートが、前記一方の平面シートの対応する側縁に一体に連なっており、前記側面シートと前記一方の平面シートとの境界部に沿って、若しくは、前記側縁シール部より外側又は前記側縁シール部内の前記一方の平面シートの縦方向に、少なくとも前記側縁シール部の弱シール部に対応する範囲に開封用切れ目線が形成されていること
を好ましい態様としてそれぞれ含むものである。
【００１０】
更に、本発明の第一〜第四の包装袋は、前記周縁シール部の前記両側縁シール部以外の領域及び合掌シール部が総て前記弱シール部よりシール強度の高い強シール部で構成されていること、
前記一方の平面シートが、横方向に延伸された一軸延伸フィルム層を有する積層シートで構成されていること
を好ましい態様としてそれぞれ含むものである。
【００１１】
なお、本発明において、四角形の相対向する二辺を側縁、他の相対向する二辺を端縁、端縁の対向方向を縦方向、側縁の対向方向を横方向という。
【発明の効果】
【００１２】
本発明のいずれの包装袋も、合掌シール部の開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から、一方の平面シートの横方向に切れ目を伝播させて、一方の平面シートを横方向に切断し、両側縁シール部を剥離させることで、一方の平面シートを捲り上げて開封することができる。両側縁シール部の剥離は、両側縁シール部全体が弱シール部で構成されている場合、剥離方向に存在する端縁シールに至るまでは容易に行える。しかし、剥離が端縁シールの位置まで来ると、仮に端縁シール部も弱シール部で構成されていたとしても、剥離幅が端縁シール部の全長に広がることで剥離抵抗が増大し、剥離しにくくなる。また、両側縁シール部が弱シール部と強シール部で構成されている場合、弱シール部の範囲では容易に剥離できるが、強シール部の箇所では剥離抵抗が大きくなって剥離しにくくなる。従って、両側縁シール部全体を弱シール部としたり、強シール部を介在させてその位置を調整することで、両側縁シール部の剥離範囲を調整し、形成される開口部の大きさを調整することがができる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の第一の包装袋の一例を示す平面図である。
【図２】（ａ）は図１におけるＡ−Ａ拡大断面図、（ｂ）は図１におけるＢ−Ｂ拡大断面図である。
【図３】（ａ）は図１に示される包装袋の開封開始時の状態を示す斜視図、（ｂ）は図１に示される包装袋の開封途中の状態を示す斜視図である。
【図４】本発明の第一の包装袋の他の例を示す平面図である。
【図５】本発明の第二の包装袋の一例を示す平面図である。
【図６】（ａ）〜（ｃ）はそれぞれ本発明の第二の包装袋の他の例を示す平面図である。
【図７】（ａ），（ｂ）はそれぞれ本発明の第一及び第二の包装袋の変形例を示す断面図、（ｃ），（ｄ）はそれぞれ開封用切れ目線の形成位置を説明するための面図である。
【図８】本発明の第三の包装袋の一例を示す平面図である。
【図９】（ａ）は図８におけるＡ−Ａ拡大断面図、（ｂ）は図８におけるＢ−Ｂ拡大断面図である。
【図１０】本発明の第四の包装袋の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。なお、以下に説明する図面において、同じ符号は同様の構成要素を示す。
【００１５】
図１〜図３に基づいて本発明の第一の包装袋の一例を説明する。
【００１６】
本例の包装袋は、図１〜図３に示されるように、基本的には四方シールガゼット袋で、表裏を形成する四角形の平面シート１，２と、両側にマチ部を形成する側面シート３，４とによって、マチ付の袋状に形成されている。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、図面上の上側の平面シート１を表面シート１、下側の平面シート２を背面シート２とする。
【００１７】
表面シート１は、横方向ほぼ中央部に、縦方向に延びる合掌シール部５を有している。この合掌シール部５は、表面シート１の一部をつまみ上げるようにして内面同士を向き合わせて熱融着させた箇所又は表面シート１を二枚のシートで構成し、その端縁の内面同士を向き合わせて熱融着させた箇所である。図示される例では、表面シート１の横方向ほぼ中央部に形成されているが、横方向いずれか一方の端部に偏った位置に形成することもできる。また、合掌シール部５の縦方向中央部には、開封用ノッチ６が形成されている。図示される開封用ノッチ６はＶノッチであるが、Ｉノッチとすることもできる。
【００１８】
表面シート１と背面シート２は、同形同大の平面四角形をなし、重ね合わされている。側面シート３，４は、表面シート１及び背面シート２と同じ長さで、折り目を内側に向けて幅方向に二つ折りにされ、表面シート１と背面シート２の両側縁部間にそれぞれ挟み込まれている。表面シート１の両側縁部は、それぞれ対応する側面シート３，４の対向部分と側縁シール部７，８によって熱融着されている。背面シート２の両側縁部も、それぞれ対応する側面シート３，４の対向部分と側縁シール部９，１０によって熱融着されている。表面シート１と背面シート２の対応する端縁部同士と、この両者間に挟まれた側面シート３，４の端部は、端縁シール部１１，１２によってそれぞれ熱融着されている。表面シート１の周縁に形成された側縁シール部７，８及び端縁シール部１１，１２は表面シート１側の周縁シール部１３を構成しており、背面シート２の周縁に形成された側縁シール部９，１０及び端縁シール部１１，１２は背面シート２側の周縁シール部１４を構成している。
【００１９】
表面シート１は、横方向に引き裂き可能なもので、後述する開封時に開封用ノッチ６から横方向に引き裂かれるものである。この引き裂きは裂け目を横方向へ伝播させることで行われる。裂け目の伝播を横方向へ向ける案内は、例えば開封用ノッチ６から横方向に延びるハーフカットを表面シート１に形成しておくこと等によって行うことができる。しかし、袋の密封性を損なうことなく裂け目を容易に案内することができることから、横方向に延伸された一軸延伸フィルム層を有する積層シートで表面シート１を構成することが好ましい。
【００２０】
上記積層シートとしては、例えば、外面側から一軸延伸フィルム層／接着層／バリア層／シーラント層の順に積層した積層シートを挙げることができる。一軸延伸フィルム層としては、例えばポリエステルの一軸延伸フィルムを用いることができる。接着層としては、例えば低密度ポリエチレン、ＥＭＭＡ等を用いることができ、バリア層としては、例えばアルミニウム（箔、蒸着層）、ポリアミド等を用いることができる。シーラント層としては、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等、一般的なシーラント材を用いることもできるが、後述する弱シール部と強シール部を容易に形成することができることから、ロック＆ピールシーラント材が好ましい。このロック＆ピールシーラント材は、シール強度の温度依存性が大きな材料で、低温シールでシール強度が弱く、高温シールでシール強度が高くなる。具体例としては、エンシュー化成工業株式会社製のロック＆ピールフィルムを挙げることができる。表面シート１、背面シート２及び両側面シート３，４は、シーラント層同士が向き合うように配置されている。また、表面シート１、背面シート２及び両側面シート３，４は、それぞれ同じ積層シートでも良いが、異なる積層シートを用いることもできる。
【００２１】
表面フィルム１側の周縁シール部１３のうち、両側縁シール部７，８は、それぞれ引き剥がし可能な弱シール部で構成されている。また、周縁シール部１３のその他の領域（両端縁シール部１１，１２）と、合掌シール部５は、弱シール部よりもシール強度が高い強シール部で構成されている。背面シート２側の両側縁シール部９，１０も全体が強シール部となっている。
【００２２】
弱シール部は、不用意な破袋を防止できかつ手で容易に剥離することができる程度のシール強度のシール部であり、強シール部は、弱シール部の倍以上のシール強度を有していることが好ましい。具体的には、ＪＩＳ Ｋ ６８５４−３に基づいて測定した剥離強度が、弱シール部では２〜１５Ｎ、強シール部では３０Ｎ以上であることが好ましい。図において、間隔の広いハッチングの領域が弱シール部を示し、間隔の狭いハッチングの領域が強シール部を示す。
【００２３】
弱シール部と強シール部は、表面シート１、背面シート２及び両側面シート３，４のシーラント層としてロック＆ピールシーラント材を用いた場合、シール温度を調整することで選択的に形成することができる。低いシール温度でシールした範囲が弱シール部となり、高いシール温度でシールした範囲が強シール部となる。また、シーラント層として一般的なシーラント材を用いた場合、易剥離性テープを挟み込ませてシールを行うことで弱シール部を形成し、易剥離性テープを介在させない箇所を強シール部とすることもできる。
【００２４】
本包装袋の開封に際しては、まず図３（ａ）に示されるように、合掌シール部５に形成した開封用ノッチ６の両側を摘んで引っ張り、開封用ノッチ６から表面シート１を横方向に引き裂き、裂け目を横方向に伝播させる。裂け目が側縁シール部７，８まで進んでから更に表面シート１を引っ張ると、弱シール部である側縁シール部７，８が剥離し始めると共に、裂け目が側縁シール部７，８を横断して、表面シート１は横方向に切断される。このようにして表面シート１を横断して切断した後は、図３（ｂ）に示されるように、弱シール部である側縁シール部７，８を順次剥離することで、表面シート１を左右に捲り上げて開封することができる。本例の場合、表面シート１のほぼ全体を捲り上げて開口させることができるので、大きな開口部が得られる。但し、表面シート１を横方向に切断した後、切断された表面シート１の左右いずれか一方の領域のみを捲り上げて、半分だけ開封することもできる。
【００２５】
図４は本発明の第一の包装袋の他の例を示すもので、本例では、開封用ノッチ６が、合掌シール部６の縦方向一端側に偏った位置に形成されている。このような位置に開封用ノッチ６を形成しておくと、開封用ノッチ６から表面シート１を横方向に引き裂いた後、分断された表面シート１の右側領域を捲り上げるか、左側領域を捲り上げるかで、形成される開口部の大きさを変えることができる。
【００２６】
図１の例も図４の例も、両側縁シール部７，８以外の熱融着部は強シール部となっているが、総ての熱融着部を弱シール部とすることも可能である。両端縁シール部１１，１２を弱シール部とした場合、両側縁シール部７，８の引き剥がしが端縁シール部１１又は１２の位置まで進むと、端縁シール部１１又は１２の全長が剥離幅となって剥離抵抗が増大し、引き剥がしを一旦停止させることができる。そして、一旦停止後に力の入れる方向を端縁シール部１１又は１２の長さ方向に向けることで、端縁シール部１１又は１２をも引き剥がすことができ、捲り上げた表面シート１を除去することも可能となる。但し、不用意な破袋を防止しやすくするため、両側縁シール部７，８以外の熱融着部は強シール部としておくことが好ましい。
【００２７】
図１、図４に示される第一の包装袋の各例では、開封用引き裂き開始手段として開封用ノッチ６を用いているが、これに代えて開封用傷痕群領域を形成することもできる。この開封用傷痕群領域は、０．２〜０．３ｍｍ程度の小さな穴を多数形成した領域で、旭化成パックス株式会社の所有する登録商標「マジックカット」として知られる開封用引き裂き開始手段である。この開封用傷痕群領域を合掌シール部６の縁部全長に亘って設けておけば、合掌シール部６の任意の位置から引き裂いて開封することができる。
【００２８】
次に、図５に基づいて本発明の第二の包装袋の一例を説明する。
【００２９】
第二の包装袋も、基本的には第一の包装袋と同様であるが、周縁シール部１３のうち、両側縁シール部７，８は、それぞれ、弱シール部で構成された弱側縁シール部７ａ，８ａと、強シール部で構成された強側縁シール部７ｂ，８ｂとを有している。開封用ノッチ６は、図１に示す第一の包装袋と同様に、合掌シール部５の縦方向中央部に設けられている。強側縁シール部７ｂ，８ｂは、開封用ノッチ６から横方向への延長線１５が交差する位置から離れた領域である、側縁シール部７，８の縦方向両端部に、端縁シール部１１，１２に連なった状態で設けられている。弱側縁シール部７ａ，８ａは、その残部である、開封用ノッチ６から横方向への延長線１５が交差する位置を含む側縁シール部７，８の中央部に設けられている。
【００３０】
本例の包装袋の開封は図３での説明と同様にして行うことができる。この開封時の両側縁シール部７，８の引き剥がしは、弱側縁シール部７ａ，８ａの範囲では容易に行えるが、剥離が強側縁シール部７ｂ，８ｂの箇所まで進むと抵抗が増大するので、停止させることができる。従って、表面シート１の捲り上げ領域を狭くして、開封によって形成される開口の大きさを抑制することができる。
【００３１】
図６（ａ）〜（ｃ）はそれぞれ本発明の第二の包装袋の他の例を示すものである。
【００３２】
（ａ）の例では、両側縁シール部７，８の一方の端縁シール部１１側が強側縁シール部７ｂ，８ｂ、他方の端縁シール部１２側が弱側縁シール部７ａ，８ａとなっている。開封用ノッチ６は、合掌シール部５の縦方向中央部に設けられている。そして、強側縁シール部７ｂ，８ｂより弱側縁シール部７ａ，８ａの方が若干長くなっていることで、開封用ノッチ６から横方向への延長線１５が交差する位置は弱側縁シール部７ａ，８ａに含まれ、強側縁シール部７ｂ，８ｂは延長線１５が交差する位置からは離されている。従って、開封用ノッチ６から横方向に伝播する裂け目は弱側縁シール部７ａ，８ａへと到達することができる。この（ａ）の例では、表面シート１の捲り上げ領域を図面上の約右側半分に制限することができる。
【００３３】
（ｂ）及び（ｃ）の例は、強側縁シール部７ｂ，８ｂを短い長さの点状に設けたものとなっている。（ｂ）の例における強側縁シール部７ｂ，８ｂは、図５に示す例における強側縁シール部７ｂ，８ｂの先端部分（連なっている端縁シール部１１，１２とは反対側部分）のみの点状としたもので、開封形態は図５の例と同様である。また、（ｃ）の例における強側縁シール部７ｂ，８ｂは、図６（ａ）に示す例における強側縁シール部７ｂ，８ｂの先端部分のみの点状としたもので、開封形態は図６（ａ）の例と同様である。
【００３４】
以上のような第一及び第二のの包装袋の場合、側面シート３，４の存在によって内部空間を広くとれることから、例えば被包装物を、上部が開放された箱に収容し、この箱ごと包み込むことができる。この場合、箱の開口部を表面シート１側にして収容しておけば、表面シート１を前記のようにして捲り上げることで、被包装物を容易に取り出すことができる。
【００３５】
図５、図６に示される第二の包装袋の各例においても、開封用ノッチ６に代えて開封用傷痕群領域を形成することもできる。この場合、開封用傷痕群領域のいずれの位置から引き裂いても、横方向に伝播する裂け目が弱側縁シール部７ａ，８ａへと到達するよう、開封用傷痕群領域の横方向への延長領域から離れた領域に強側縁シール部７ｂ，８ｂを設け、残部を弱側縁シール部７ａ，８ａとする。
【００３６】
本発明の第一及び第二の包装袋は、図７（ａ）に示される変形例ように、側面シート３，４が背面シート２の対応する側縁に一体に連なったものとすることで、背面シート２側の側縁シール部９，１０［図２（ａ）参照］がなく、表面シート１側にだけ側縁シール部７，８が形成された包装袋とすることもできる。この変形例の場合、側縁シール部９，１０が不要であるので、製造工程を簡略化することができる。また、図８（ｂ）に示されるように、側面シート３，４が表面シート１の対応する側縁に一体に連なったものとすることもできる。この図７（ｂ）の例においては、表面シート１と側面シート３，４の境界部分である折り目部分に沿って、ミシン目又はハーフカット等の開封用切れ目線１６，１６を形成しておくことで開封することができる。
【００３７】
上記開封用切れ目線１６，１６は、上記折り目部分の他、図７（ｃ）に示されるように、側縁シール部７，８が表面シート１の側縁より内側に入り込んで形成されている場合、側縁シール部７，８より外側に延出している表面シート１部分に形成することもできる。また、図７（ｄ）に示されるように、側縁シール部７，８内に設けることもできる。図７（ｂ）〜（ｄ）のいずれの場合も、第二の包装袋においては、少なくとも側縁シール部７，８の弱シール部７ａ，８ａに対応する範囲に縦方向に形成すれば足る。第一の包装袋は側縁シール部７，８全体が弱シール部であるので、開封用切れ目線１６，１６を側縁シール部７，８の全長に亘る範囲に縦方向に形成することになる。
【００３８】
なお、図７（ａ）及び（ｂ）の袋のように、背面シート２と側縁シート３，４が一連となっている場合でも、背面シート２側の側縁シール部９，１０［図２（ａ）参照］を形成しても良い。また、図８（ｂ）では、側面シート３，４及び背面シート２も一つながりのものとなっているが、背面シート２と側面シート３，４は別体で、側縁シール部９，１０で接続されたものであってもよい。
【００３９】
次に、図８及び図９に基づいて本発明の第三の包装袋の一例を説明する。
【００４０】
図８及び図９に示される第三の包装袋は、基本的には四方シール平袋で、側面シート３，４［図２（ａ）参照］を有さず、四周のシール部が、総て表面シート１と背面シートが直接熱融着されたものである点を除いて前記第一の包装袋と同様である。つまり、表面シート１と背面シート２を重ね、その四周を、側縁シール部７’，８’と端縁シール部１１’，１２’で熱融着し、周縁シール部１３’を形成することで袋状としたものとなっている。側縁シール部７’，８’と端縁シール部１１’，１２’は、いずれも表面シート１と背面シート２の対向部を熱融着したものである。表面シート１が、横方向ほぼ中央部に、縦方向に延びる合掌シール部５を有している点と、合掌シール部５の縦方向中央部に開封用ノッチ６が形成されている点と、側縁シール部７’，８’が全長に亘って弱シール部で構成されている点は図１の第一の包装袋と同様である。この第三の包装袋は、第一の包装袋と同様にして開封することができる。また、第三の包装袋は、図４での説明と同様に開封用ノッチ６の位置を中央からずらすこともできる。
【００４１】
更に、図１０に基づいて本発明の第四の包装袋を説明する。
【００４２】
図１０の包装袋は、四方シール平袋である点を除いて基本的には前記第二の包装袋と同様で、表面シート１と背面シート２を重ね、その四周を、側縁シール部７’，８’と端縁シール部１１’，１２’で熱融着し、周縁シール部１３’を形成することで袋状としたものとなっている。表面シート１が、横方向ほぼ中央部に、縦方向に延びる合掌シール部５を有している点と、合掌シール部５の縦方向中央部に開封用ノッチ６が形成されている点と、側縁シール部７’，８’が弱側縁シール部７’ａ，８’ａ及び強側縁シール部７’ｂ，８’ｂで構成されている点は図５の第二の包装袋と同様である。この第四の包装袋は、第二の包装袋と同様にして開封することができる。また、第四の包装袋は、図６での説明と同様に、側縁シール部７’，８’に設ける弱側縁シール部７’ａ，８’ａと強側縁シール部７’ｂ，８’ｂの位置と範囲を調整することができる。
【００４３】
なお、第三の包装袋においては、前記第一の包装袋と同様にして、開封用ノッチ６に代えて開封用傷痕群領域を設けることができ、第四の包装袋においては、前記第二の包装袋と同様にして、開封用ノッチ６に代えて開封用傷痕群領域を設けることができる。
【符号の説明】
【００４４】
１ 平面シート（表面シート）
２ 平面シート（背面シート）
３，４ 側面シート
５ 合掌シール部
６ 開封用ノッチ
７，８ 側縁シール部
７ａ，８ａ 弱側縁シール部
７ｂ，８ｂ 強側縁シール部
７’，８’ 側縁シール部
７’ａ，８’ｂ 強側縁シール部
９，１０ 側縁シール部
１１，１２ 端縁シール部
１１’，１２’ 端縁シール部
１３，１４ 周縁シール部
１３’ 周縁シール部
１５ 延長線
１６ 開封用切れ目線
【技術分野】
【０００１】
本発明は、開封手段を有する包装袋に関する。更に詳しくは、広い開口部を形成可能な開封手段を有する包装袋に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、合掌シール部（背シール部）を有する縦ピロー袋において、袋の端部寄りの合掌シール部にノッチを入れておき、このノッチから、袋を一周して裂け目を伝播させることで開封できるようにすることが知られている（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】実願昭５９−２３９５３号（実開昭６０−１３６９６４号）の明細書及び図面
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上記従来の包装袋は、いわば袋の端部を輪切り状に開封するものであって、開封位置は袋の端部であり、開口部の大きさは袋の径によって決まり、それ以上に大きく開口させることはできない。また、裂け目を半周程度に抑えて小さく開口させることは可能であるが、裂け目が伝播しやすいので、このような半開状態とするための開封作業がしにくいと共に半開状態を維持しにくい。しかし、内容物によっては、例えば袋の表面又は裏面を大きく切り開いて開封できた方が取り出しやすい場合もある。また、袋の表面又は裏面を切り開いて開封できるようにする場合でも、開封時に形成される開口部の大きさを簡単に調整できる方が便利である。
【０００５】
本発明は、包装袋の表面又は裏面を切り開いて開封できるようにすると共に、開封時に形成される開口部の大きさを簡単に調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の第一及び第二の包装袋は、表裏面を形成する四角形の平面シートと、両側にマチ部を形成する側面シートを備え、少なくとも一方の平面シートの両側部と、対応する側の前記側面シートとをそれぞれ熱融着した両側縁シール部と、前記平面シートの対応する端縁部同士及びこの両者間に挟まれた前記側面シートをそれぞれ熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋、つまり四方シールガゼット袋に関する。また、本発明の第三及び第四の包装袋は、表裏面を形成する四角形の平面シートの対応する両側部同士を熱融着した両側縁シール部と、対応する両端縁部同士を熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋、つまり四方シール平袋に関する。
【０００７】
そして、本発明の第一及び第三の包装袋は、前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、少なくとも前記両側縁シール部は、引き剥がし可能な弱シール部で構成されていることを特徴とする。
【０００８】
また、本発明の第二及び第四の包装袋は、前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、前記両側縁シール部は、それぞれ引き剥がし可能な弱シール部と、該弱シール部よりシール強度の高い強シール部とで構成されており、前記開封用ノッチから横方向への延長線が交差する位置又は前記開封用傷痕群領域の横方向への延長領域から離れた領域に前記強シール部である強側縁シール部が設けられ、残部が前記弱シール部である弱側縁シール部となっていることを特徴とする。
【０００９】
本発明の第一及び第二の包装袋は、前記側面シートが、他方の平面シートの対応する側縁に一体に連なっていること、
前記側面シートが、前記一方の平面シートの対応する側縁に一体に連なっており、前記側面シートと前記一方の平面シートとの境界部に沿って、若しくは、前記側縁シール部より外側又は前記側縁シール部内の前記一方の平面シートの縦方向に、少なくとも前記側縁シール部の弱シール部に対応する範囲に開封用切れ目線が形成されていること
を好ましい態様としてそれぞれ含むものである。
【００１０】
更に、本発明の第一〜第四の包装袋は、前記周縁シール部の前記両側縁シール部以外の領域及び合掌シール部が総て前記弱シール部よりシール強度の高い強シール部で構成されていること、
前記一方の平面シートが、横方向に延伸された一軸延伸フィルム層を有する積層シートで構成されていること
を好ましい態様としてそれぞれ含むものである。
【００１１】
なお、本発明において、四角形の相対向する二辺を側縁、他の相対向する二辺を端縁、端縁の対向方向を縦方向、側縁の対向方向を横方向という。
【発明の効果】
【００１２】
本発明のいずれの包装袋も、合掌シール部の開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から、一方の平面シートの横方向に切れ目を伝播させて、一方の平面シートを横方向に切断し、両側縁シール部を剥離させることで、一方の平面シートを捲り上げて開封することができる。両側縁シール部の剥離は、両側縁シール部全体が弱シール部で構成されている場合、剥離方向に存在する端縁シールに至るまでは容易に行える。しかし、剥離が端縁シールの位置まで来ると、仮に端縁シール部も弱シール部で構成されていたとしても、剥離幅が端縁シール部の全長に広がることで剥離抵抗が増大し、剥離しにくくなる。また、両側縁シール部が弱シール部と強シール部で構成されている場合、弱シール部の範囲では容易に剥離できるが、強シール部の箇所では剥離抵抗が大きくなって剥離しにくくなる。従って、両側縁シール部全体を弱シール部としたり、強シール部を介在させてその位置を調整することで、両側縁シール部の剥離範囲を調整し、形成される開口部の大きさを調整することがができる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の第一の包装袋の一例を示す平面図である。
【図２】（ａ）は図１におけるＡ−Ａ拡大断面図、（ｂ）は図１におけるＢ−Ｂ拡大断面図である。
【図３】（ａ）は図１に示される包装袋の開封開始時の状態を示す斜視図、（ｂ）は図１に示される包装袋の開封途中の状態を示す斜視図である。
【図４】本発明の第一の包装袋の他の例を示す平面図である。
【図５】本発明の第二の包装袋の一例を示す平面図である。
【図６】（ａ）〜（ｃ）はそれぞれ本発明の第二の包装袋の他の例を示す平面図である。
【図７】（ａ），（ｂ）はそれぞれ本発明の第一及び第二の包装袋の変形例を示す断面図、（ｃ），（ｄ）はそれぞれ開封用切れ目線の形成位置を説明するための面図である。
【図８】本発明の第三の包装袋の一例を示す平面図である。
【図９】（ａ）は図８におけるＡ−Ａ拡大断面図、（ｂ）は図８におけるＢ−Ｂ拡大断面図である。
【図１０】本発明の第四の包装袋の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。なお、以下に説明する図面において、同じ符号は同様の構成要素を示す。
【００１５】
図１〜図３に基づいて本発明の第一の包装袋の一例を説明する。
【００１６】
本例の包装袋は、図１〜図３に示されるように、基本的には四方シールガゼット袋で、表裏を形成する四角形の平面シート１，２と、両側にマチ部を形成する側面シート３，４とによって、マチ付の袋状に形成されている。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、図面上の上側の平面シート１を表面シート１、下側の平面シート２を背面シート２とする。
【００１７】
表面シート１は、横方向ほぼ中央部に、縦方向に延びる合掌シール部５を有している。この合掌シール部５は、表面シート１の一部をつまみ上げるようにして内面同士を向き合わせて熱融着させた箇所又は表面シート１を二枚のシートで構成し、その端縁の内面同士を向き合わせて熱融着させた箇所である。図示される例では、表面シート１の横方向ほぼ中央部に形成されているが、横方向いずれか一方の端部に偏った位置に形成することもできる。また、合掌シール部５の縦方向中央部には、開封用ノッチ６が形成されている。図示される開封用ノッチ６はＶノッチであるが、Ｉノッチとすることもできる。
【００１８】
表面シート１と背面シート２は、同形同大の平面四角形をなし、重ね合わされている。側面シート３，４は、表面シート１及び背面シート２と同じ長さで、折り目を内側に向けて幅方向に二つ折りにされ、表面シート１と背面シート２の両側縁部間にそれぞれ挟み込まれている。表面シート１の両側縁部は、それぞれ対応する側面シート３，４の対向部分と側縁シール部７，８によって熱融着されている。背面シート２の両側縁部も、それぞれ対応する側面シート３，４の対向部分と側縁シール部９，１０によって熱融着されている。表面シート１と背面シート２の対応する端縁部同士と、この両者間に挟まれた側面シート３，４の端部は、端縁シール部１１，１２によってそれぞれ熱融着されている。表面シート１の周縁に形成された側縁シール部７，８及び端縁シール部１１，１２は表面シート１側の周縁シール部１３を構成しており、背面シート２の周縁に形成された側縁シール部９，１０及び端縁シール部１１，１２は背面シート２側の周縁シール部１４を構成している。
【００１９】
表面シート１は、横方向に引き裂き可能なもので、後述する開封時に開封用ノッチ６から横方向に引き裂かれるものである。この引き裂きは裂け目を横方向へ伝播させることで行われる。裂け目の伝播を横方向へ向ける案内は、例えば開封用ノッチ６から横方向に延びるハーフカットを表面シート１に形成しておくこと等によって行うことができる。しかし、袋の密封性を損なうことなく裂け目を容易に案内することができることから、横方向に延伸された一軸延伸フィルム層を有する積層シートで表面シート１を構成することが好ましい。
【００２０】
上記積層シートとしては、例えば、外面側から一軸延伸フィルム層／接着層／バリア層／シーラント層の順に積層した積層シートを挙げることができる。一軸延伸フィルム層としては、例えばポリエステルの一軸延伸フィルムを用いることができる。接着層としては、例えば低密度ポリエチレン、ＥＭＭＡ等を用いることができ、バリア層としては、例えばアルミニウム（箔、蒸着層）、ポリアミド等を用いることができる。シーラント層としては、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等、一般的なシーラント材を用いることもできるが、後述する弱シール部と強シール部を容易に形成することができることから、ロック＆ピールシーラント材が好ましい。このロック＆ピールシーラント材は、シール強度の温度依存性が大きな材料で、低温シールでシール強度が弱く、高温シールでシール強度が高くなる。具体例としては、エンシュー化成工業株式会社製のロック＆ピールフィルムを挙げることができる。表面シート１、背面シート２及び両側面シート３，４は、シーラント層同士が向き合うように配置されている。また、表面シート１、背面シート２及び両側面シート３，４は、それぞれ同じ積層シートでも良いが、異なる積層シートを用いることもできる。
【００２１】
表面フィルム１側の周縁シール部１３のうち、両側縁シール部７，８は、それぞれ引き剥がし可能な弱シール部で構成されている。また、周縁シール部１３のその他の領域（両端縁シール部１１，１２）と、合掌シール部５は、弱シール部よりもシール強度が高い強シール部で構成されている。背面シート２側の両側縁シール部９，１０も全体が強シール部となっている。
【００２２】
弱シール部は、不用意な破袋を防止できかつ手で容易に剥離することができる程度のシール強度のシール部であり、強シール部は、弱シール部の倍以上のシール強度を有していることが好ましい。具体的には、ＪＩＳ Ｋ ６８５４−３に基づいて測定した剥離強度が、弱シール部では２〜１５Ｎ、強シール部では３０Ｎ以上であることが好ましい。図において、間隔の広いハッチングの領域が弱シール部を示し、間隔の狭いハッチングの領域が強シール部を示す。
【００２３】
弱シール部と強シール部は、表面シート１、背面シート２及び両側面シート３，４のシーラント層としてロック＆ピールシーラント材を用いた場合、シール温度を調整することで選択的に形成することができる。低いシール温度でシールした範囲が弱シール部となり、高いシール温度でシールした範囲が強シール部となる。また、シーラント層として一般的なシーラント材を用いた場合、易剥離性テープを挟み込ませてシールを行うことで弱シール部を形成し、易剥離性テープを介在させない箇所を強シール部とすることもできる。
【００２４】
本包装袋の開封に際しては、まず図３（ａ）に示されるように、合掌シール部５に形成した開封用ノッチ６の両側を摘んで引っ張り、開封用ノッチ６から表面シート１を横方向に引き裂き、裂け目を横方向に伝播させる。裂け目が側縁シール部７，８まで進んでから更に表面シート１を引っ張ると、弱シール部である側縁シール部７，８が剥離し始めると共に、裂け目が側縁シール部７，８を横断して、表面シート１は横方向に切断される。このようにして表面シート１を横断して切断した後は、図３（ｂ）に示されるように、弱シール部である側縁シール部７，８を順次剥離することで、表面シート１を左右に捲り上げて開封することができる。本例の場合、表面シート１のほぼ全体を捲り上げて開口させることができるので、大きな開口部が得られる。但し、表面シート１を横方向に切断した後、切断された表面シート１の左右いずれか一方の領域のみを捲り上げて、半分だけ開封することもできる。
【００２５】
図４は本発明の第一の包装袋の他の例を示すもので、本例では、開封用ノッチ６が、合掌シール部６の縦方向一端側に偏った位置に形成されている。このような位置に開封用ノッチ６を形成しておくと、開封用ノッチ６から表面シート１を横方向に引き裂いた後、分断された表面シート１の右側領域を捲り上げるか、左側領域を捲り上げるかで、形成される開口部の大きさを変えることができる。
【００２６】
図１の例も図４の例も、両側縁シール部７，８以外の熱融着部は強シール部となっているが、総ての熱融着部を弱シール部とすることも可能である。両端縁シール部１１，１２を弱シール部とした場合、両側縁シール部７，８の引き剥がしが端縁シール部１１又は１２の位置まで進むと、端縁シール部１１又は１２の全長が剥離幅となって剥離抵抗が増大し、引き剥がしを一旦停止させることができる。そして、一旦停止後に力の入れる方向を端縁シール部１１又は１２の長さ方向に向けることで、端縁シール部１１又は１２をも引き剥がすことができ、捲り上げた表面シート１を除去することも可能となる。但し、不用意な破袋を防止しやすくするため、両側縁シール部７，８以外の熱融着部は強シール部としておくことが好ましい。
【００２７】
図１、図４に示される第一の包装袋の各例では、開封用引き裂き開始手段として開封用ノッチ６を用いているが、これに代えて開封用傷痕群領域を形成することもできる。この開封用傷痕群領域は、０．２〜０．３ｍｍ程度の小さな穴を多数形成した領域で、旭化成パックス株式会社の所有する登録商標「マジックカット」として知られる開封用引き裂き開始手段である。この開封用傷痕群領域を合掌シール部６の縁部全長に亘って設けておけば、合掌シール部６の任意の位置から引き裂いて開封することができる。
【００２８】
次に、図５に基づいて本発明の第二の包装袋の一例を説明する。
【００２９】
第二の包装袋も、基本的には第一の包装袋と同様であるが、周縁シール部１３のうち、両側縁シール部７，８は、それぞれ、弱シール部で構成された弱側縁シール部７ａ，８ａと、強シール部で構成された強側縁シール部７ｂ，８ｂとを有している。開封用ノッチ６は、図１に示す第一の包装袋と同様に、合掌シール部５の縦方向中央部に設けられている。強側縁シール部７ｂ，８ｂは、開封用ノッチ６から横方向への延長線１５が交差する位置から離れた領域である、側縁シール部７，８の縦方向両端部に、端縁シール部１１，１２に連なった状態で設けられている。弱側縁シール部７ａ，８ａは、その残部である、開封用ノッチ６から横方向への延長線１５が交差する位置を含む側縁シール部７，８の中央部に設けられている。
【００３０】
本例の包装袋の開封は図３での説明と同様にして行うことができる。この開封時の両側縁シール部７，８の引き剥がしは、弱側縁シール部７ａ，８ａの範囲では容易に行えるが、剥離が強側縁シール部７ｂ，８ｂの箇所まで進むと抵抗が増大するので、停止させることができる。従って、表面シート１の捲り上げ領域を狭くして、開封によって形成される開口の大きさを抑制することができる。
【００３１】
図６（ａ）〜（ｃ）はそれぞれ本発明の第二の包装袋の他の例を示すものである。
【００３２】
（ａ）の例では、両側縁シール部７，８の一方の端縁シール部１１側が強側縁シール部７ｂ，８ｂ、他方の端縁シール部１２側が弱側縁シール部７ａ，８ａとなっている。開封用ノッチ６は、合掌シール部５の縦方向中央部に設けられている。そして、強側縁シール部７ｂ，８ｂより弱側縁シール部７ａ，８ａの方が若干長くなっていることで、開封用ノッチ６から横方向への延長線１５が交差する位置は弱側縁シール部７ａ，８ａに含まれ、強側縁シール部７ｂ，８ｂは延長線１５が交差する位置からは離されている。従って、開封用ノッチ６から横方向に伝播する裂け目は弱側縁シール部７ａ，８ａへと到達することができる。この（ａ）の例では、表面シート１の捲り上げ領域を図面上の約右側半分に制限することができる。
【００３３】
（ｂ）及び（ｃ）の例は、強側縁シール部７ｂ，８ｂを短い長さの点状に設けたものとなっている。（ｂ）の例における強側縁シール部７ｂ，８ｂは、図５に示す例における強側縁シール部７ｂ，８ｂの先端部分（連なっている端縁シール部１１，１２とは反対側部分）のみの点状としたもので、開封形態は図５の例と同様である。また、（ｃ）の例における強側縁シール部７ｂ，８ｂは、図６（ａ）に示す例における強側縁シール部７ｂ，８ｂの先端部分のみの点状としたもので、開封形態は図６（ａ）の例と同様である。
【００３４】
以上のような第一及び第二のの包装袋の場合、側面シート３，４の存在によって内部空間を広くとれることから、例えば被包装物を、上部が開放された箱に収容し、この箱ごと包み込むことができる。この場合、箱の開口部を表面シート１側にして収容しておけば、表面シート１を前記のようにして捲り上げることで、被包装物を容易に取り出すことができる。
【００３５】
図５、図６に示される第二の包装袋の各例においても、開封用ノッチ６に代えて開封用傷痕群領域を形成することもできる。この場合、開封用傷痕群領域のいずれの位置から引き裂いても、横方向に伝播する裂け目が弱側縁シール部７ａ，８ａへと到達するよう、開封用傷痕群領域の横方向への延長領域から離れた領域に強側縁シール部７ｂ，８ｂを設け、残部を弱側縁シール部７ａ，８ａとする。
【００３６】
本発明の第一及び第二の包装袋は、図７（ａ）に示される変形例ように、側面シート３，４が背面シート２の対応する側縁に一体に連なったものとすることで、背面シート２側の側縁シール部９，１０［図２（ａ）参照］がなく、表面シート１側にだけ側縁シール部７，８が形成された包装袋とすることもできる。この変形例の場合、側縁シール部９，１０が不要であるので、製造工程を簡略化することができる。また、図８（ｂ）に示されるように、側面シート３，４が表面シート１の対応する側縁に一体に連なったものとすることもできる。この図７（ｂ）の例においては、表面シート１と側面シート３，４の境界部分である折り目部分に沿って、ミシン目又はハーフカット等の開封用切れ目線１６，１６を形成しておくことで開封することができる。
【００３７】
上記開封用切れ目線１６，１６は、上記折り目部分の他、図７（ｃ）に示されるように、側縁シール部７，８が表面シート１の側縁より内側に入り込んで形成されている場合、側縁シール部７，８より外側に延出している表面シート１部分に形成することもできる。また、図７（ｄ）に示されるように、側縁シール部７，８内に設けることもできる。図７（ｂ）〜（ｄ）のいずれの場合も、第二の包装袋においては、少なくとも側縁シール部７，８の弱シール部７ａ，８ａに対応する範囲に縦方向に形成すれば足る。第一の包装袋は側縁シール部７，８全体が弱シール部であるので、開封用切れ目線１６，１６を側縁シール部７，８の全長に亘る範囲に縦方向に形成することになる。
【００３８】
なお、図７（ａ）及び（ｂ）の袋のように、背面シート２と側縁シート３，４が一連となっている場合でも、背面シート２側の側縁シール部９，１０［図２（ａ）参照］を形成しても良い。また、図８（ｂ）では、側面シート３，４及び背面シート２も一つながりのものとなっているが、背面シート２と側面シート３，４は別体で、側縁シール部９，１０で接続されたものであってもよい。
【００３９】
次に、図８及び図９に基づいて本発明の第三の包装袋の一例を説明する。
【００４０】
図８及び図９に示される第三の包装袋は、基本的には四方シール平袋で、側面シート３，４［図２（ａ）参照］を有さず、四周のシール部が、総て表面シート１と背面シートが直接熱融着されたものである点を除いて前記第一の包装袋と同様である。つまり、表面シート１と背面シート２を重ね、その四周を、側縁シール部７’，８’と端縁シール部１１’，１２’で熱融着し、周縁シール部１３’を形成することで袋状としたものとなっている。側縁シール部７’，８’と端縁シール部１１’，１２’は、いずれも表面シート１と背面シート２の対向部を熱融着したものである。表面シート１が、横方向ほぼ中央部に、縦方向に延びる合掌シール部５を有している点と、合掌シール部５の縦方向中央部に開封用ノッチ６が形成されている点と、側縁シール部７’，８’が全長に亘って弱シール部で構成されている点は図１の第一の包装袋と同様である。この第三の包装袋は、第一の包装袋と同様にして開封することができる。また、第三の包装袋は、図４での説明と同様に開封用ノッチ６の位置を中央からずらすこともできる。
【００４１】
更に、図１０に基づいて本発明の第四の包装袋を説明する。
【００４２】
図１０の包装袋は、四方シール平袋である点を除いて基本的には前記第二の包装袋と同様で、表面シート１と背面シート２を重ね、その四周を、側縁シール部７’，８’と端縁シール部１１’，１２’で熱融着し、周縁シール部１３’を形成することで袋状としたものとなっている。表面シート１が、横方向ほぼ中央部に、縦方向に延びる合掌シール部５を有している点と、合掌シール部５の縦方向中央部に開封用ノッチ６が形成されている点と、側縁シール部７’，８’が弱側縁シール部７’ａ，８’ａ及び強側縁シール部７’ｂ，８’ｂで構成されている点は図５の第二の包装袋と同様である。この第四の包装袋は、第二の包装袋と同様にして開封することができる。また、第四の包装袋は、図６での説明と同様に、側縁シール部７’，８’に設ける弱側縁シール部７’ａ，８’ａと強側縁シール部７’ｂ，８’ｂの位置と範囲を調整することができる。
【００４３】
なお、第三の包装袋においては、前記第一の包装袋と同様にして、開封用ノッチ６に代えて開封用傷痕群領域を設けることができ、第四の包装袋においては、前記第二の包装袋と同様にして、開封用ノッチ６に代えて開封用傷痕群領域を設けることができる。
【符号の説明】
【００４４】
１ 平面シート（表面シート）
２ 平面シート（背面シート）
３，４ 側面シート
５ 合掌シール部
６ 開封用ノッチ
７，８ 側縁シール部
７ａ，８ａ 弱側縁シール部
７ｂ，８ｂ 強側縁シール部
７’，８’ 側縁シール部
７’ａ，８’ｂ 強側縁シール部
９，１０ 側縁シール部
１１，１２ 端縁シール部
１１’，１２’ 端縁シール部
１３，１４ 周縁シール部
１３’ 周縁シール部
１５ 延長線
１６ 開封用切れ目線
【特許請求の範囲】
【請求項１】
表裏面を形成する四角形の平面シートと、両側にマチ部を形成する側面シートを備え、少なくとも一方の平面シートの両側部と、対応する側の前記側面シートとをそれぞれ熱融着した両側縁シール部と、前記平面シートの対応する端縁部同士及びこの両者間に挟まれた前記側面シートをそれぞれ熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋において、
前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、少なくとも前記両側縁シール部は、引き剥がし可能な弱シール部で構成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項２】
表裏面を形成する四角形の平面シートと、両側にマチ部を形成する側面シートを備え、少なくとも一方の平面シートの両側部と、対応する側の前記側面シートとをそれぞれ熱融着した両側縁シール部と、前記平面シートの対応する端縁部同士及びこの両者間に挟まれた前記側面シートをそれぞれ熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部とが形成された包装袋において、
前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、前記両側縁シール部は、それぞれ引き剥がし可能な弱シール部と、該弱シール部よりシール強度の高い強シール部とで構成されており、前記開封用ノッチから横方向への延長線が交差する位置又は前記開封用傷痕群領域の横方向への延長領域から離れた領域に前記強シール部である強側縁シール部が設けられ、残部が前記弱シール部である弱側縁シール部となっていることを特徴とする包装袋。
【請求項３】
前記側面シートが、他方の平面シートの対応する側縁に一体に連なっていることを特徴とする請求項１又は２に記載の包装袋。
【請求項４】
前記側面シートが、前記一方の平面シートの対応する側縁に一体に連なっており、前記側面シートと前記一方の平面シートとの境界部に沿って、若しくは、前記側縁シール部より外側又は前記側縁シール部内の前記一方の平面シートの縦方向に、少なくとも前記側縁シール部の弱シール部に対応する範囲に開封用切れ目線が形成されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項５】
表裏面を形成する四角形の平面シートの対応する両側部同士を熱融着した両側縁シール部と、対応する両端縁部同士を熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋において、
前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、少なくとも前記両側縁シール部は、引き剥がし可能な弱シール部で構成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項６】
表裏面を形成する四角形の平面シートの対応する両側部同士を熱融着した両側縁シール部と、対応する両端縁部同士を熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋において、
前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、前記両側縁シール部は、それぞれ引き剥がし可能な弱シール部と、該弱シール部よりシール強度の高い強シール部とで構成されており、前記開封用ノッチから横方向への延長線が交差する位置又は前記開封用傷痕群領域の横方向への延長領域から離れた領域に前記強シール部である強側縁シール部が設けられ、残部が前記弱シール部である弱側縁シール部となっていることを特徴とする包装袋。
【請求項７】
前記周縁シール部の前記両側縁シール部以外の領域及び合掌シール部が総て前記弱シール部よりシール強度の高い強シール部で構成されていることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項８】
前記一方の平面シートが、横方向に延伸された一軸延伸フィルム層を有する積層シートで構成されていることを特徴とする請求項１乃至７のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項１】
表裏面を形成する四角形の平面シートと、両側にマチ部を形成する側面シートを備え、少なくとも一方の平面シートの両側部と、対応する側の前記側面シートとをそれぞれ熱融着した両側縁シール部と、前記平面シートの対応する端縁部同士及びこの両者間に挟まれた前記側面シートをそれぞれ熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋において、
前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、少なくとも前記両側縁シール部は、引き剥がし可能な弱シール部で構成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項２】
表裏面を形成する四角形の平面シートと、両側にマチ部を形成する側面シートを備え、少なくとも一方の平面シートの両側部と、対応する側の前記側面シートとをそれぞれ熱融着した両側縁シール部と、前記平面シートの対応する端縁部同士及びこの両者間に挟まれた前記側面シートをそれぞれ熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部とが形成された包装袋において、
前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、前記両側縁シール部は、それぞれ引き剥がし可能な弱シール部と、該弱シール部よりシール強度の高い強シール部とで構成されており、前記開封用ノッチから横方向への延長線が交差する位置又は前記開封用傷痕群領域の横方向への延長領域から離れた領域に前記強シール部である強側縁シール部が設けられ、残部が前記弱シール部である弱側縁シール部となっていることを特徴とする包装袋。
【請求項３】
前記側面シートが、他方の平面シートの対応する側縁に一体に連なっていることを特徴とする請求項１又は２に記載の包装袋。
【請求項４】
前記側面シートが、前記一方の平面シートの対応する側縁に一体に連なっており、前記側面シートと前記一方の平面シートとの境界部に沿って、若しくは、前記側縁シール部より外側又は前記側縁シール部内の前記一方の平面シートの縦方向に、少なくとも前記側縁シール部の弱シール部に対応する範囲に開封用切れ目線が形成されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項５】
表裏面を形成する四角形の平面シートの対応する両側部同士を熱融着した両側縁シール部と、対応する両端縁部同士を熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋において、
前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、少なくとも前記両側縁シール部は、引き剥がし可能な弱シール部で構成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項６】
表裏面を形成する四角形の平面シートの対応する両側部同士を熱融着した両側縁シール部と、対応する両端縁部同士を熱融着した両端縁シール部とからなる周縁シール部が形成された包装袋において、
前記一方の平面シートが、縦方向に伸びる合掌シール部を有し、該合掌シール部に形成された開封用ノッチ又は開封用傷痕群領域から横方向に引き裂き可能で、前記周縁シール部のうち、前記両側縁シール部は、それぞれ引き剥がし可能な弱シール部と、該弱シール部よりシール強度の高い強シール部とで構成されており、前記開封用ノッチから横方向への延長線が交差する位置又は前記開封用傷痕群領域の横方向への延長領域から離れた領域に前記強シール部である強側縁シール部が設けられ、残部が前記弱シール部である弱側縁シール部となっていることを特徴とする包装袋。
【請求項７】
前記周縁シール部の前記両側縁シール部以外の領域及び合掌シール部が総て前記弱シール部よりシール強度の高い強シール部で構成されていることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項８】
前記一方の平面シートが、横方向に延伸された一軸延伸フィルム層を有する積層シートで構成されていることを特徴とする請求項１乃至７のいずれか一項に記載の包装袋。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２０１２−１５３３９１（Ｐ２０１２−１５３３９１Ａ）
【公開日】平成２４年８月１６日（２０１２．８．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１３１２６（Ｐ２０１１−１３１２６）
【出願日】平成２３年１月２５日（２０１１．１．２５）
【出願人】（０００１６２１１３）共同印刷株式会社 (488)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年８月１６日（２０１２．８．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１月２５日（２０１１．１．２５）
【出願人】（０００１６２１１３）共同印刷株式会社 (488)
【Ｆターム（参考）】
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