説明

化学物質蒸気検出用のタンデム式の微分型移動性イオン電気移動度計

DMS−IMS化学物質検出システムは、2つの分離技術をタンデム型で利用して、存在する多くのシグナルの中から特定の化学物質のシグナルを抽出するものである。この検出システムは、一般的に、大気圧イオン発生システム、微分型電気移動度計(DMS)システム、飛行時間型IMS(TOF−IMS)システムおよびイオン検出システムを含む。DMSシステムは、環境サンプルからばらつきの少ない微量化学物質を抽出して後続の分析装置へ渡し、次いで、TOF−IMS検出装置は、得られたばらつきの少ない単離化学物質を分析する。これにより、ppbを下回る濃度の感度限界で化合物−特異的な検出が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学物質検出システムに関し、特に、環境中に常在する化学物質バックグラウンドの存在下で特定の化学物質を検出するための、2つのイオン分離技術のタンデム型での利用に関する。
【背景技術】
【0002】
特定化学物質を同定し定量化するための検出技術は、有毒産業化学物質(Toxic Industrial Chemicals、TIC)または化学兵器(Chemical Warfare Agents、CWA)に係る脅威といった環境に関して、ならびに産業プロセス制御に関して、人の安全保証を含む様々な目的に関係する。環境モニタリングの際の化学物質検出は、特にOSHA(労働安全衛生局)およびその他の政府機関により公布された時間加重平均許容曝露限界値(Premissible Exposure Limits、PEL)に即した安全要求に適合していなければならない。これらの基準は化学物質の潜在的脅威にも広く適用される。殺虫剤、酸性蒸気および発癌物質を含む多くのTICならびにCWAにはPELが存在し、その値は、空気中でppmもしくはppbのレベルからpptのレベル範囲である。我々が呼吸する空気には、微量の水および二酸化炭素に加え、数百種類の別の化学物質(香気、単純な炭化水素、無毒な蒸気)が前記のような低濃度で存在する。同様に、産業プロセス流には、監視すべき化学物質が複合混合物に含まれる形で存在すると考えられる。複合混合物や種々の化学物質バックグラウンドの存在下に目的化合物を正確かつ高感度に検出するには、最新の実験室分析分離技術やガスクロマトグラフ−マススペクトロメトリー(GC−MS)のような精巧な計器類が歴史的に必要とされてきた。GC−MSはタンデム型または“ハイフネイト(接続)型”の分析技術であり、化学物質混合物分析の実験室レベル標準を代表するものであるが、異なる物理的/化学的特性に応答する2つの“直交する”測定技術の分解能を利用して、複合サンプル主成分からのシグナルを検出するものである。
【0003】
民間人や第一応答者が、CWAのような危険な化学物質を含む環境に曝露される可能性が浮上しつつある。攻撃性や事件性がある場合に、危険性を迅速に現場で特定し警告でき、ppbもしくはppbを下回るレベルでTICやCWAを確実に検出できる、安価な携帯形および固定形の実地センサーが必要である。ppbを下回るレベルで存在する指定TICおよびCWA項目をリアルタイムで検出し、環境中に常在する化学物質バックグラウンドの存在下で、誤って警報を出す頻度を容認できる範囲に抑える、携帯形センサーの技術は存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学物質蒸気の検出には様々なイオン移動度計(Ion−Mobility Spectrometry (IMS))が利用されてきた。その種類には飛行時間型IMS(Time−of−Flight IMS(TOF−IMS))、高周波IMS(Radio Frequency IMS(RFIMS))ならびに電場非対称IMS(Field Asymmetric IMS(FAIMS))または微分型電気移動度計(Defferential Mobility Spectrometry(DMS))として知られる技術が含まれる。TOF−IMS、FAIMSおよびDMSといった種類は、特定性は中等度であるが感度が高い。しかし、TOF−IMSとDMSのいずれでも、センサー量が増えたりppmを下回る検出限界の達成を試みたりするほど誤検出が増す、というのも、ppbやpptレベルのサンプルはより複雑な性質を有するからである。DMS技術は予め濃縮作業を実施することなく、DWAをPELレベルで感度良く検出できるが、環境中に存在する微量の化学物質バックグラウンドの存在下では分解能が検出限界要因となる。
【0005】
従って、リアルタイムに、環境中に常在する化学物質バックグラウンドの存在下で、ppbを下回るレベルの指定TICおよびCWA項目を検出できる化学物質検出システムを提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検出システムは、タンデム型のDMS−IMS化学物質検出システムであり、2つのイオン分離技術をタンデム型で利用して、環境中に常在する化学物質バックグラウンドの存在下で、特定化学物質に固有のシグナルを抽出する。この検出システムは、一般的に、イオン発生システム、DMSシステム、TOF−IMSシステムおよびイオン検出システムを含む。
【0007】
DMSシステムは、空気環境サンプルからばらつきの少ない微量化学物質を抽出して後続の分析装置へ渡し、次いで、1つまたは複数のTOF−IMS検出装置は得られたばらつきの少ない単離化学物質を分析する。このようなDMS−IMSの“ハイフネイト技術”であれば、IMS単独の場合とほとんど変わらない単純なセンサーでppbを下回る濃度の感度限界のものまで化合物−特異的に検出できる。
【0008】
DMAの微分型電気移動度とIMSのイオン移動度の組合せは優れた分解能をもたらす。これらの装置の分離性に基づく物理−化学的原理は大きく異なり、そのイオン分離法もかなり違う。このような条件であるので、この検出システムの有効分解能は、システム単独の分解能の積にほぼ等しい。これにより、システムは空気中の極微量の化学物質を検出でき、同時に、誤検出が最小限に抑えられる。さらに、高度な性能に基づくタンデム型センサー技術は、小型化、低い出力導入および比較的低い製造コストという目的に特に適するものである。
【0009】
本発明は従って、リアルタイムに、環境中に常在する化学物質バックグラウンドの存在下で、ppbを下回るレベルの指定TICおよびCWA項目を検出する化学物質検出システムを提供する。
【0010】
本発明の様々な特徴および利点は、現在好ましいとされる形態を詳細に述べた以下の記載から、当業者に明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、化学物質検出システム10の一般的な概略図である。検出システム10は、通常、大気圧イオン化(Atmospheric pressure ionization(API))システム12、微分型電気移動度計(DMS)システム14および飛行時間型イオン移動度計(TOF−IMS)システム16を含む。TOF−IMSシステム16は、イオン検出システム18を含み、これはコントローラー20(図2に概略図あり)と連動している。指定TICおよびCWA項目検出に関する計器の制御機能および分析機能はコントローラー20にプログラムされており、通信システム21を介して再構成が可能である。通信システム21は、シリアルインターフェース方式またはパラレルインターフェース方式であってよく、Wi−Fiネットワークを介して構築されてよく、または自己構成RFネットワークをベースとしてよく、選択された通信リンクに積層された遠隔コマンド用およびデータ分析用のソフトウェアを随伴してよい。
【0012】
一般的に、APIシステム12は単純な炭化水素による妨害を避け、効果的に標的分子をイオン化する。APIシステム12で生じたイオンはガス流下にDMSシステム14へ伝達される。DMSシステム14は、CWAおよびTICのような標的イオンをばらつき少なく通過させ、API源中で生じたバックグラウンドイオンの大半を中和できるように、調整または“チューニング”されている。DMSシステム14を通過した標的イオンはTOF−IMSシステム16および検出システム18に伝達され、この検出システムで存在する全イオンの移動度スペクトルを測定し、公知のCWAおよびTICのTOF−IMSスペクトルと比較する。
【0013】
図3によれば、システム10は、DMSシステム14とTOF−IMSシステム16とをタンデム型で使用して、環境中に常在する化学物質バックグラウンドの存在下で、指定TICおよびCWA項目を含む特定化学物質のシグナルを抽出する。微分型電気移動度は低質量イオンを高精度に分離して化学物質を種類分けする作用に大きく関わり、飛行時間型イオン移動度は本質的に分子量およびイオン断面に応じて作用するので、感度が非常に高く特異性にも非常に優れた検出システムとなる。
【0014】
APIシステム12は、濾過空気用コンジット22を通過する濾過空気と、サンプル空気用コンジット24を通過するサンプル空気と、を受け入れる。好ましくは、APIシステム12は、光イオン化源、コロナ放電源、ベータ崩壊源、またはアルファ崩壊源を含む大気圧イオン化源を有し、空気および/または化学物質蒸気をサンプル空気用コンジット24から導入される際にイオン化する。化学物質検出システム10を通過した空気流は、サンプルポンプ15の作用を受け、サンプル空気は再循環する洗浄流へ送られ、そこでは湿度や有機物蒸気濃度が比較的低いレベルに維持される。
【0015】
DMSシステム14は、軸A方向の2本の電極を有する平面構造DMSドリフトセル26を有する。DMSドリフトセルの手前に位置するイオン化源12で帯電された材料は、電極対28の間へ押し出される(図4)。電極28へ電圧をかけることで、イオン通路Aに対して垂直に非対称−振動電場が生じる。コントローラー20は、高い電場を短時間かけ、続いて対極の低い電場を長時間かけるが、このようにして時間荷重された電場はゼロに近づく。イオンがDMSドリフトセル26からTOF−IMSシステム16に到達するのにかかる時間は約1ミリ秒で、この間にRFサイクルは約1000回繰り返される。
【0016】
イオンバルク流がDMSドリフトセル26へ送られるとき、イオンは振動電場の力を受けて、誇張した表現をすれば、ジグザグ走行またはギザギザ走行をする(図4)。高電場条件および低電場条件で同じ移動度または分子有効断面を示すイオンは、平均してDMSドリフトセルの中央をジグザグ走行で通過する。ほとんどの分子イオン、特に、多くのCWAおよびTICは、高電場および低電場で等しい移動度を示さない。これは分子が高電場で変形が生じ、その断面が変化するからである。分子イオンが低電場で水分子と高い親和性を示してクラスターとなるが、高電場で衝突によりクラスターでなくなる場合にも起きる。そのような分子では、異なる電圧をかけることでこれらの特性と相互作用して、各サイクルで少しずつ、イオンが上部電極板28tまたは下部電極板28bの方向へ移動する。多サイクルを繰り返すと、不均等な上下の実質的な動きが生じ、最終的にイオンは電極板28t、28bと接触してそこで中和される。
【0017】
常に、DMSドリフトセル26に入ったイオンの大半は電極板28に衝突して中和され、中性分子としてシステム10から運び出される。電極28に接触せずにDMSドリフトセルの全長を移動できたイオン、すなわち電場に同調したイオンだけが、TOF−IMSシステム16検出器で分析および検出される。実際には、補償電圧としても知られるオフセット電圧をRF電圧に加えることで、様々なイオンが選択されてDMSドリフトセルを通過できるように電場にバイアスをかけ、それにより微分型電気移動度の分布をスキャンする。イオンがDMSを移動できる補償電圧が、そのイオンの微分型電気移動度の尺度である。
【0018】
DMSシステム14は、RF電場振幅およびDC補償電圧を組み合わせてDMSドリフトセル26での伝達を調節し、特定イオンが通過できるように連続スキャンおよび/または段階スキャンを行う。検出すべき化学物質の種類によっては、化学物質の蒸気またはドーパントをドリフトセル内のサンプル空気に添加してDMS中の標的イオンと複合体を形成させ、イオンの微分型電気移動度を増幅させたり干渉イオンの形成を防止したりしてよい。
【0019】
一実施例において、サリンのような神経系に作用する物質は、プロトン化で水との親和性を示すリン−酸素コア(P=O)を有する。湿気を含む空気の場合、DMS内で形成されるイオン型サリンはSarin.H+.nH2Oであり、ここで(n)は温度および湿度に応じて会合する水分子の数である。非常に高い電場では、イオンが空気と共に勢いよく吸引されるので、空気分子と衝突して水分子のほとんどがクラスターでなくなりSarin.H+.1H2Oが残るが、衝突により断面が小さくなっている。電場振幅を逆にしたり低下させたりすると、イオンは周囲空気由来の水分子と再度クラスターを形成し、再び大きくなる。RFサイクルの高電場域ではイオンが小さくなり低電場域では大きくなるというのが実質上の効果であり、このような大きさの違いにより、イオンがDMSセル中をギザギザ走行で下流に向かうと上方へドリフトしやすくなる。
【0020】
従って、DMSシステムをサリン測定用に調整する場合、前述の上方へのドリフトを計数しなければならない。オフセット電圧CVを電極板28t、28bにかけると、イオンがギザギザ走行で上方へ引き上げられ、イオンはDMSの中央へ静電的に戻される。そうするとギザギザ走行の“上方”走行の効率が低下しギザギザ走行の下方走行の効率が上昇するので、存在するサリンおよび同じ微分型電気移動度を示す別のイオンはDMSシステム14の下流へ移動できる。この条件では、0ボルトのCVでシステムへ運搬される微分型電気移動度0のイオンは、すぐに下側の電極板28bへ引き寄せられる。
【0021】
上側の電極板28tまたは下側の電極板28bのいずれにも接触せずにDMSシステム14を移動するイオンだけがTOF−IMSシステム16で分析できる。DMSシステムの電極を特異的補償電圧に設定することにより、標的種がDMSシステム14を移動し、TOF−IMSシステムは、DMSシステム14を移動するイオンのシグナルを測定することにより存在する任意の標的種を検出する。
【0022】
TOF−IMSシステム16は、DMSシステム14を通過したイオンを検出できるように配置された1つまたは複数のIMSドリフトセルを有する。図2は可能な配置の一実施例であり、正のバイアスをかけたTOF−IMSドリフトセル30と負のバイアスをかけたIMSドリフトセル32の両方がDMSドリフトセル26に連結していて、DMSの電場に同調した陽イオンと陰イオンの両方を同時に分析する。2つのTOF−IMSドリフトセル30,32を利用する場合、軸Aに直交するイオン流軸Bで定義されるように配置するのが好ましい。TOF−IMSドリフトセルとDMSシステムを仲介するための別の幾何学的配置も想定でき、それも本発明の範囲である。
【0023】
DMSシステム排気部に存在する陽イオンおよび陰イオンは、印加電場下にイオンゲート電極対34,36へ吸引される。これらの電極に到達すると直ちにイオンが2つのTOF−IMSドリフトセルの片方、すなわち陽イオンは30に入り、陰イオンは32に入る。各TOF−IMSセルに入ったイオンのパルスは印加電場下にセル長さを移動し、同時にコントローラー20が末端のゲート電極から他方末端のイオン検出器までイオンが到達するのにかかるマイクロ秒数を測定する。コントローラー20はゲート電極34,36の変調パターンを操作する(図2)。
【0024】
TOF−IMSのドリフトセル30,32の各々は、コントローラー20と連動するイオン検出器38,40を末端に有する(図2)。各イオン検出器38,40は、ファラデーコレクター電荷結合ファラデーコレクター、デルタ−ドープシリコン電荷結合デバイスまたはTOF−IMSドリフトセル30,32へ伝達されたイオンに対する感度の高いイオン増倍管であるのが好ましいが、別の検出器を用いてもよいし、付加的に使用してもよい。
【0025】
TOF−IMSシステム16によるドリフト時間の測定は飛行時間型検出により実施され、ドリフトセル30,32に入ったイオンのアドミタンスに即した遅延時間の関数としてシグナルを測定する。イオンのドリフト時間は、1つのゲートで分析する飛行時間の測定により決定されてよく、またはゲートを相関させる技法を用いてもよい。測定されたIMSドリフト時間を、ドリフト時の電場、温度、セル圧力で正規化して、移動度に変換する。TOF−IMSシステム16は、分子量および衝突断面によりイオンを選別しており、約100分の1の分解能を得る。TOF−IMSシステム16はまた、陽イオンと陰イオンの同時検出が可能で、神経系薬剤および糜爛性薬剤を含む特定の分析対象にターゲットを絞った検出をリアルタイムで確認できる。比較および同定のために、特定のCWAおよびTICのDMS微分型電気移動度および飛行時間型IMS移動度に関する広範囲の検出ライブラリーが、コントローラー20に記憶されているのが好ましい。
【0026】
DMSの微分型電気移動度とTOF−IMSのイオン移動度を組み合わせることで、DMSまたはTOF−IMSのいずれかを用いた場合よりも非常に優れた分解能が実現され、分解能は各技術を単独に用いた場合の積にほぼ等しい。こうしてシステム10は、携帯センサーに適した技術を用い、空気中に極微量で存在する化学物質を検出しつつ、誤検出を最小限に抑えることが可能になる。要するに、DMS−IMS化学物質検出システム10は、それぞれの技術を単独で用いた場合よりも感度および分解能の点で優れた利点を有し、微量の化学物質を検出するのに必要な特性を備えている。
【0027】
図5を参照すれば、DMS−IMS化学物質検出システム10によるCWAおよびTICの検出が一目で分かり、3列目および4列目に「Y」で示される。デュアルモード感度を示す(Y+/−)CWA材料に対して、陽イオンおよび陰イオン二重検出能を用い、全スキャンを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の化学物質検出システムのブロック図。
【図2】化学検出システム用コントローラーのブロック図。
【図3】本発明の化学物質検出システムの一般的な概略図。
【図4】微分型電気移動度計ドリフトセルおよびそこを通過する代表的な微量イオンを示す概略図。
【図5】タンデム型DMS−IMS分析装置が検出できるようにプログラムされた種々のCWAおよびTICを列挙した表。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微分型電気移動度計システムと;
前記微分型電気移動度計システムと連動する飛行時間型イオン移動度計システムと;
を含むことを特徴とする化学物質検出システム。
【請求項2】
前記微分型電気移動度計システムが第1流路を含み、前記飛行時間型イオン移動度計システムが、前記第1流路と並行する、または前記第1流路を横切る、あるいは第1流路末端に連結する、1つまたは複数の流路を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学物質検出システム。
【請求項3】
前記第1流路がイオン源を含むことを特徴とする請求項2に記載の化学物質検出システム。
【請求項4】
前記飛行時間型イオン移動度計システムと連動する検出システムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の化学物質検出システム。
【請求項5】
前記飛行時間型イオン移動度計が、前記第1流路からの陽イオンおよび/または陰イオンを検出できるように配置された1つまたは複数のイオン移動度計ドリフトセルを含むことを特徴とする請求項4に記載の化学物質検出システム。
【請求項6】
DMSドリフトセルが前記第1流路であることを特徴とする請求項5に記載の化学物質検出システム。
【請求項7】
1つまたは複数の飛行時間型イオン移動度計ドリフトセル流路が前記DMSドリフトセルと連結していることを特徴とする請求項6に記載の化学物質検出システム。
【請求項8】
前記飛行時間型イオン移動度計ドリフトセルの各々の端部にイオン検出器をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の化学物質検出システム。
【請求項9】
前記イオン検出器の各々がコントローラーと連動することを特徴とする請求項8に記載の化学物質検出システム。
【請求項10】
前記コントローラーが、特定の分析対象であるCWAおよびTICの微分型電気移動度およびイオン移動度を記憶したライブラリーを含むことを特徴とする請求項9に記載の化学物質検出システム。
【請求項11】
各飛行時間型イオン移動度計ドリフトセルとDMSドリフトセルとの間に第1電子ゲートをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の化学物質検出システム。
【請求項12】
(1)微分型電気移動度により第1イオン流を分離して、第2イオン流を生じさせる工程と;
(2)イオン移動度により第2イオン流を分離して、1つまたは複数のイオン検出器で時間分解されたイオン種を生じさせる工程と;
(3)分解イオンを検出する工程と;
を含むことを特徴とする化学物質蒸気の検出法。
【請求項13】
前記工程(1)がさらに、第1イオン流に対して直角に非対称振動電場をかける工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の化学物質蒸気の検出法。
【請求項14】
前記工程(1)がさらに、特定の標的イオンを通過させるために非対称振動電場をチューニングする工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の化学物質蒸気の検出法。
【請求項15】
前記工程(1)がさらに、第1イオン流内の非標的イオンを中和する工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の化学物質蒸気の検出法。
【請求項16】
前記工程(1)がさらに、特定の微分型電気移動度を示すイオンが第2イオン流へ通過できるようにDMSをチューニングする工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の化学物質蒸気の検出法。
【請求項17】
前記工程(2)がさらに、第2イオン流内のイオンの飛行時間を測定して標的化合物を同定する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の化学物質蒸気の検出法。
【請求項18】
前記工程(3)がさらに、アナライザー内で、イオンの微分型電気移動度およびイオン移動度を、標的化合物項目であるITCおよびCWAで予め規定した値と比較する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の化学物質蒸気の検出法。
【請求項19】
前記工程(3)がさらに、検出したイオンが標的化合物であるTICおよびCWAと同じ微分型電気移動度およびイオン移動度を示す場合に警報を鳴らす工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の化学物質蒸気の検出法。
【請求項20】
(1)第1イオン流から、予め規定された微分型電気移動度を示すものを第2イオン流へ抽出する工程と;
(2)第2イオン流を分離して、検出器でイオンの時間分解スペクトルを生じさせる工程と;
(3)検出器の出力部におけるイオンの飛行時間を、標的化合物項目であるCEAおよびTICで予め規定された飛行時間と比較する工程と;
を含むことを特徴とする化学物質蒸気の検出法。
【請求項21】
第2イオン流をゲート通過させ、検出器での収集時に時間分解スペクトルを生じるようイオン束を形成させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の化学物質蒸気の検出法。
【請求項22】
第2イオン流のゲート通過を変調して検出器でイオン束のパルス列を生じさせ、そのパルス列をゲート変調と相関させてイオンのドリフト時間を算出する工程をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の化学物質蒸気の検出法。
【請求項23】
前記工程(3)がさらに、検出したイオンが標的化合物であるTICおよびCWAと同じ微分型電気移動度およびイオン移動度を示す場合に警報を鳴らす工程を含むことを特徴とする請求項20に記載の化学物質蒸気の検出法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−527396(P2008−527396A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556140(P2007−556140)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/000889
【国際公開番号】WO2007/086831
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】