化学発光検出装置
【課題】化学発光検出装置において、迅速かつ簡便に測定対象を固定したビーズを微小反応層に充填すること(スループットの向上)と微小反応層と撮像素子を1対1に対応させることを両立させる。
【解決手段】個々の微小反応槽(配列の最小単位が菱形)にから発する光を偏芯または傾いたマイクロレンズアレイを交互に配列させることによって微小反応槽とピクセルの間の一対一対応を実現する。
【解決手段】個々の微小反応槽(配列の最小単位が菱形)にから発する光を偏芯または傾いたマイクロレンズアレイを交互に配列させることによって微小反応槽とピクセルの間の一対一対応を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学発光検出装置に関し、例えば、複数の反応槽からの発光の検出し、その検出結果を核酸分析や遺伝子の塩基配列等を解析するために用いるものに関する。
【背景技術】
【0002】
DNA塩基配列決定ではゲル電気泳動と蛍光検出を用いた方法が広く用いられている。この方法ではまず、配列解析を行おうとするDNA断片のコピーを多数作製する。次に、DNAの5’末端を始点として種々の長さの蛍光標識断片を作製する。また、これらDNA断片の3’末端の塩基種に応じて波長の異なる蛍光標識を付加しておく。続いて、ゲル電気泳動により長さの違いを1塩基の差で識別し、それぞれの断片群が発する発光を検出する。そして、検出された発光波長色から測定中のDNA断片群のDNA末端塩基種を特定する。DNAは短い断片群から順次蛍光検出部を通過するので、蛍光色を計測することで短いDNAから順に末端塩基種を知ることができる。これにより、配列決定をする。以上のような蛍光式DNAシーケンサーは幅広く普及しており、また、ヒトゲノム解析にも大いに活躍した。この方法では、内径50μm程度のガラス細管を、多数本用い、さらに末端検出等の方法を利用し、一台あたりの解析処理数を増加させている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
一方、パイロシーケンシングに代表される段階的化学反応による配列決定法(例えば、非特許文献2及び3参照)は、取り扱いの簡便性から注目されている。概略は以下の通りである。ターゲットとするDNA鎖にプライマーをハイブリダイズさせ、4種の相補鎖合成核酸基質(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を1種類ずつ順番に反応液中に加えて相補鎖合成反応を行う。相補鎖合成反応が起きるとDNA相補鎖が伸長し、副産物としてピロリン酸(PPi)が生成する。ピロリン酸は共存する酵素の働きでATPに変換され、ルシフェリンとルシフェラーゼの共存下で反応して発光を生じる。この光を検出することで加えた相補鎖合成基質がDNA鎖に取り込まれたことがわかり、相補鎖の配列情報、従ってターゲットとなったDNA鎖の配列情報がわかる。
【0004】
この方法は、多くの反応槽を具備したフローセルを用いることにより高スループット化が可能であり、上記方法を応用して解析処理数を格段に増加させる例が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。この応用例では、複数の微小反応槽を1面に有するフローセルが反応槽プレートとして用いられている。ターゲットDNA鎖を種類毎に直径約35μmのセファロース製ビーズに固定したものが多数用意され、各セファロースビーズには約108個の同じ種類のDNAが固定される。これらDNAにプライマーをハイブリダイズさせた後、各微小反応槽に1個ビーズを入れる。また、生物発光用酵素(ルシフェラーゼ)等を固定した直径2.8μmのマイクロ粒子(microparticle)を反応槽に、充填している。これらのビーズの充填は、ビーズ含有溶液をフローセルに導入して、遠心器により沈降させることにより実施している。DNA塩基配列解析は、フローセル上流より、伸長反応用の4種の相補鎖合成核酸基質(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を逐次導入し、相補鎖合成反応を行うが、相補鎖合成反応が進行した場合にはピロリン酸が生じる。それがATPに変換され、ルシフェラーゼ反応を行うが、その際に生じる生物発光を観測している。
【0005】
【非特許文献1】Anal. Chem. 2000、 72、 3423-3430
【非特許文献2】Margulies M, et al., “Genome sequencing in microfabricated high-density picolitre reactors.”, Nature, Vol.437, Sep.15; 2005, pp376-80及びSupplementary Information s1〜s3
【非特許文献3】Electrophoresis 2003, 24, 3769-3777
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献2では、この反応槽プレート上に形成した微小反応槽中にターゲットDNA鎖を固定したセファロースビーズを充填するが、セファロースビーズは比重が小さいため、遠心器を用いて、沈降させなければならない。そのため、ターゲットDNAを固定したビーズを充填するために時間がかかる。また、サンプル充填の自動化が困難である。
【0007】
また、非特許文献2は、例えば、パイロシーケンス等の段階的DNA伸長反応を利用して同時に多数のDNA配列を決定するシステムを示している。このシステムは、多数の微小反応槽でDNA伸長反応を起こさせ、このとき伸長反応に付随して起きる化学発光を多数の光検出ピクセルから構成された撮像素子(CCD)を用いて検出するものである。これによれば、一度に計測することができる微小反応槽を増やすことによって、単位時間あたりの処理能力(スループット)を向上できるため、近年、計測並列数を増やすことによってこのスループットを向上させる努力がなされてきた。
【0008】
しかしながら、スループット向上のために微小反応槽の数を増やすと、それに比例して、化学発光検出に必要な撮像素子(CCD)のピクセル数も増えてしまう。ピクセル数の多い撮像素子(CCD)は高価であるばかりでなく、ある程度以上のピクセル数の多い撮像素子は製造することすら困難である。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、迅速かつ簡便にターゲットDNAが固定化されたビーズを微小反応槽に充填でき、同時に、配置格子(単位格子)の異なる微小反応槽と撮像素子(CCD)のピクセルを1対1に対応させて、スループット向上に資する化学発光検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、微小反応槽の配置領域と撮像領域を一致させた状態で微小反応槽の撮像素子上での像の配置格子をピクセルの配置格子と一致させる手段を設けている。具体的には、微小反応槽からの発光を撮像素子上のピクセルのそれぞれに集光させる光学レンズとして、多数のレンズが平面上に集積したレンズアレイを用い、個々のレンズが1つおきにレンズの向きや中心や屈折率分布などを変えて、菱形の配置格子から撮像素子上の光スポット列の配置格子が長方形になるようにする。
【0011】
以下に具体的な配置例を使って説明する。図4aに示すように反応槽プレート上に微小反応槽が配置された様子を示す。黒丸も白丸も微小反応槽の中心位置である。図4aにおいて、105に示すように微小反応槽の配置格子は菱形であり、その対角線106が溶液の流れの方向107になるように設定している。このように配置するとによって迅速なビーズの充填を実現している。
【0012】
一方、図4bに撮像素子上での微小反応槽の集光像を示している。図4bにおいて、黒丸は図4a中の黒丸で示された微小反応槽からの光の集光位置に対応し、同様に図4bの白丸と図4aの白丸も対応している。112は撮像素子上のピクセルであり、その配置格子は長方形である。いま、微小反応槽と撮像素子の間に特別に設計されたマイクロレンズアレイを適切な位置に配置することによって、このマイクロレンズアレイを使わなければ図4aと同じ配置になるはずのものを黒丸については矢印Aの方向に、白丸については矢印Bの方向にずらせることができる。この場合、図4bに示すように撮像素子上の微小反応槽の像の配置格子は長方形になる。上述のように、スポットの移動はマイクロレンズアレイを構成する個々のレンズの偏芯や光学レンズ中心軸を傾けることによって実現できる。すなわち、レンズの形状をレンズの中心軸に対して回転対称性を破るような非球面レンズを用いるかレンズの中心軸自体を傾けるような非球面レンズを用いればよい。
【0013】
また、このレンズの偏芯や光学レンズ中心の傾きはレンズ内の屈折率分布にひずみを加えることによっても実現できる。図5aにレンズが偏芯した場合の断面図を示す。反応槽プレート101上に微小反応槽102を形成し、この微小反応槽に対応してマイクロレンズアレイ501を配置した。図の破線502は微小反応槽の中心を通り、反応槽プレートに垂直な直線を示し、破線503はマイクロレンズアレイを構成するレンズの中心軸を示す。図5a及びbから分かるように、破線502と503は平行にずらしてあり、微小反応槽に対して、マイクロレンズをずらせた方向とは反対方向に微小反応槽から発した光が集光される方向が破線502方向から傾いた方向に変わる。これに対応して、撮像素子上での微小反応槽の像が矢印の方向にずれることになる。
【0014】
なお、マイクロレンズの中心のずれの大きさに比例して像のずれが大きくなる。よって、マイクロレンズの偏芯をどの程度にすべきかについては、配置格子が長方形になるためにはどの程度像をどの程度ずらさなければならないかによって決定される。
【0015】
同様に、図5bにレンズ中心軸を傾けた場合の断面図を示す。図中のマイクロレンズアレイ504の中心軸505は微小反応槽の中心軸に対して平行でないように設置する。微小反応槽からの光の集光方向はマイクロレンズの傾き量に比例するので、この場合も前記と同様に像の配置格子が長方形にするために必要な像のずれ量からマイクロレンズの傾きを決定する。
【0016】
即ち、本発明による化学発光検出装置は、複数の凹部を有する第一部材と、第一部材の凹部と対向し、導入部と導出部とを有する第2部材と、を備えるセルと、導入部から粒子を含む液体を導入し、かつ導出部から液体を導出する液流制御部と、複数の画素を有し、複数の凹部について光学検出をする検出部と、1の凹部の内部の発光が1の画素の位置に対応するように発光を集束させる光集束部と、を備える。そして、複数の凹部は、2次元配置として配置され、2次元配置の配置格子の最小単位は長方形以外の菱形である。また、複数の画素は2次元配置され、複数の凹部の中心軸と複数の凹部に対応する複数の画素の中心軸とがずれて配置される。
【0017】
また、複数の画素を有する検出部の画素の配置格子(単位格子)が長方形または正方形である。この場合、光集束部は、配置格子の最小単位が長方形以外の菱形で2次元配列された複数の凹部からの光を、長方形または正方形の配置格子に配列した画素の中心付近に集光させる。
【0018】
また、本発明による化学発光検出装置は、次のようにも表される。つまり、本装置は、2次元配置された複数の凹部を有する第一部材と、第一部材の凹部と対向し、導入部と導出部とを有する第2部材と、を備えるセルと、導入部から粒子を含む液体を導入し、かつ導出部から液体を導出する液流制御部と、複数の画素を有し、複数の凹部のそれぞれからの発光を検出する検出部と、複数の凹部と検出部との間に配置され、複数の凹部からのそれぞれの発光を検出部の複数の画素のそれぞれに対応させるためのマイクロレンズアレイと、を備える。そして、2次元配置された複数の凹部の配置格子の最小単位は長方形以外の菱形であり、マイクロレンズアレイは、複数の凹部からの発光の光軸を変更することにより、複数の凹部からのそれぞれの発光を検出部の複数の画素のそれぞれに対応させる。
【0019】
さらなる本発明の特徴は、以下本発明を実施するための最良の形態および添付図面によって明らかになるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、パイロシーケンシング解析の際に、安価で高スループット、かつ高精度で蛍光検出できる化学発光検出装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、スループットを向上させつつ、フローセル中の微小反応槽と撮像素子上のピクセルを1対1に対応させる化学発光検出装置を提供するものであるが、まず、微小反応槽の迅速なビーズの充填と均一な化学発光のために適切な配置について示し、この微小反応槽の配置に対して、ピクセルを1対1に対応させることが従来困難であったかをより詳細に説明し、続いて本発明の実施形態について説明することとする。ただし、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
【0022】
<微小反応槽と撮像素子上のピクセルを1対1に対応させることの困難性>
非特許文献2及び3に示されるように、微小反応槽はプレート上の凹みとして形成する。また、当該出願人の先願である特願2006−293483(先願1)の明細書及び図面において示されるように、スループット向上のため、比重の重いビーズをフローセル中に流し、ビーズを重力によって沈降させ、迅速かつ簡便にターゲットDNAを固定したビーズをフローセル中の微小反応槽に充填するようにしている。特に、試料溶液の流れ方向に対して反応槽を斜めに分布させ、配置格子の最小単位は長方形ではなく菱形とすることによって、反応槽間の距離を維持しながら、ビーズと反応槽の出会う確率をさらに向上させることができる。これによってビーズの捕捉率が高まり、迅速かつ簡便なビーズの充填が可能となる。なお、DNAを固定したビーズをこの凹みに迅速かつ簡便に充填するためには、ビーズの比重が4以上であることと、試料溶液の流れ方向に対して反応槽を斜めに分布させ、配置格子(単位格子)を長方形ではなく菱形とすることが有効である(ただし、斜めに配置した正方形は菱形に含まれる)。反応槽プレート101上に微小反応槽102を多数配置した具体例を図1に示した。DNAを固定したビーズを107の方向に流すことによって、ビーズの大きな比重によって、速やかに沈降し、微小反応槽102に充填される。このとき、流路入り口110から入った溶液およびビーズは反応槽プレート上を流れ、溶液が流路出口111から排出される。このとき、反応槽プレート上の流路部分はその上に設置されたスペーサ108によってスムーズな溶液の流れを実現する。矢印107は溶液およびビーズの流れの方向を示している。溶液およびビーズを反応槽プレート上で往復させてより確実にビーズを微小反応槽に充填することも可能である。
【0023】
このように迅速かつ簡便にビーズが充填できるのは微小反応槽の配置格子が菱形であり、微小反応槽の配列のどの位置からビーズが矢印7の方向にながれても、必ず微小反応槽の直上を通過するため実現できているからである。
【0024】
しかし、現在知られている多くの撮像素子のピクセルの配置格子は長方形または正方形である。そのため、拡大縮小を含む従来知られている光学系では、微小反応槽の2次元アレイからの発光像を撮像素子上において、微小反応槽とピクセルを1対1に対応することができない。
【0025】
この問題に鑑み、当該出願人の先願である特願2007−113095(先願2)の明細書及び図面では、1つの微小反応槽に必要なピクセル数を1個にすること、すなわち、フローセル中の微小反応槽と撮像素子上のピクセルを1対1に対応させる化学発光検出システムを開示している。
【0026】
しかし、上述のように、ある程度以上のピクセル数の多い撮像素子は製造することは困難であるので、当該先願のシステムだとスループットを向上させるには自ずと限界がある。
【0027】
図1において、この溶液の流路部分の最大幅109は広すぎると均一に溶液が流れないため、微小反応中の伸長反応および化学発光反応が極端に不均一におきてしまう。そのため、流路の幅109は流路長さから決まる上限がある(この上限の数値は流路表面の溶液に対する濡れ性等によって大きく異なるため上限の数値を一意に定めることはできない。)。一方、流路中にできる限り、多くの微小反応槽を配置した方が、スループットが向上する。高スループットを実現するため、微小反応槽の配置領域103は、撮像素子による撮影領域104と重ねて、2辺が流速方向107と平行な長方形または正方形が望ましい。図1には正方形の場合を描いた。今、先願1の記載に従って、微小反応槽102の配置格子105は菱形(図1では特に斜めに配置した正方形(=菱形の特別な場合))になるようにする。
【0028】
一方、撮像素子のピクセルの配置格子は正方形または長方形(図1では正方形の場合を記した)である。図1から分かるようにピクセルの配置112と微小反応槽は1対1に対応させることができない。これは微小反応槽の配置格子は菱形であり、撮像素子のピクセルの配置格子が長方形(流れに平行に配置した正方形を含む)であり、異なるためである。すなわち、通常の光学系で微小反応槽からの発光像をこのように配置された撮像素子で計測しても、微小反応槽とピクセルを1対1に対応させて計測することはできない。
【0029】
また、微小反応槽の配置格子が菱型(斜めに配置された正方形)であるから、これにピクセルの配置格子をあわせるように、撮像素子を45度回転させて配置した場合を図2に示す。特に微小反応槽が斜めに配置された正方形で、ピクセルも正方形だとすると、撮像素子を45回転させることによって、図2から分かるように一部の微小反応槽はピクセルと1対1に対応させることが可能である。しかし、撮像領域だけれども微小反応槽がない領域113および、微小反応槽はあるけれども撮像領域ではない領域114がどうしても出てきてしまう。特にこのような撮像領域と微小反応層の配置領域の不一致は両者が長方形である場合に顕著である。このような微小反応槽の配置領域が長方形の場合の撮像領域と微小反応槽の配置領域の重なり具合を図3に示す。撮像領域だけれども微小反応槽がない領域113、微小反応槽はあるけれども撮像領域ではない領域114ともに撮像領域に対して大きな割合を占める。
【0030】
しかし、前述のように、流路の最大幅109は広くせずに微小反応槽の数を増やしてスループットを向上させる必要がある。このためには微小反応槽の配置領域と撮像領域の重なりをできるだけ大きく取るようにした場合の配置を図3に示す。ただし、この場合でも、撮像領域は有効に活用することができず、少ないピクセルで高いスループットを実現することができない。
【0031】
以上のように、撮像領域の有効活用と微小反応槽とピクセルの1対1対応を両立させるためには困難が生じることになる。以下、これらを両立することのできる実施形態について詳細に説明する。
【0032】
<第1の実施形態>
(1)化学発光検出装置の構成
図6は、本発明の第1の実施形態による化学発光検出装置1の概略構成を示す図である。化学発光検出装置1は、反応槽プレートから出る化学発光を、偏芯したマイクロレンズアレイを用いて微小反応槽の撮像素子であるCCD上での集光像の配置格子を長方形に変形し、微小反応槽とCCDピクセルを1対1に対応させて発光を計測した例である。この構成によって、微小反応槽中に導入された、測定対象の遺伝子の配列は、パイロシーケンシング法の原理を用いて決定することができる。
【0033】
図6において、化学発光検出装置1は、フローセル中の微小反応槽での化学発光を計測するシステムとして、フローセル601、発光画像を検出する冷却型CCDカメラなどの検出部である2次元撮像カメラ602、カメラ内部の(2次元)撮像素子603上に微小反応槽からの発光像を撮像素子上に結像する光学系として、マイクロレンズアレイ501とファイババンドル604から構成される。
【0034】
また、化学発光検出装置1は、微小反応槽に試薬を送液するシステムとして、順次フローセルに試薬を分注するために4種の核酸基質(dATP、dGT、dCTP、dTTPの4種類など)を各々収める試薬槽606〜609と、伸長反応測定後にフローセル内を洗浄するための洗浄試薬を収める洗浄試薬槽610と、洗浄後にセル内の洗浄試薬成分の残留を洗い流すためのコンディショニング試薬を収めるコンディショニング試薬槽611と、それらを選択的にフローセル側に注入するための注入部(選択バルブ612及び試薬をハンドリングするためのポンプ613)と、廃液ボトル614等により構成される。
【0035】
(2)フローセルの構造
次に、図7を参照して、フローセル601の構造を説明する。フローセル601は、後述の試料固定ビーズを保持するための複数の微小反応槽(凹部)102を表面に有する反応槽プレート101と、試薬流入口703と、試薬排出口704と、必要に応じて設けられる試料投入口(図示せず)を有する上板701と、流路を形成するスペーサ702とを備えている。ここでマイクロレンズアレイ501または504は上板701の一部に形成する。このマイクロレンズアレイは上板701と一体成型し、材料としてはポリカーボーネート(屈折率1.585)等の光透過性があり化学的に安定なプラスティック材料を用いた。プラスティック材料の代わりにBK等のガラス材料を用いてもよい。また、プラスティック材料として、ポリプロピレンやポリエチレンその他のプラスティック材料を用いても良いし、ガラス材料についても合成石英などの材料を用いてもよい。図8は、フローセル601のAA’での断面図を示している。図8において、試薬溶液は上板701と反応槽プレート101の間に形成された流路709内を流れ、このとき微小反応槽102中に必要な試薬溶液が供給される。そして、微小反応槽102の中に解析対象となるDNAを固定化したビーズ708を挿入する。
【0036】
なお、微小反応槽102の形状は、例えば円柱状が好ましい。形状は、基板の素材や製作方法により決定される。例えば、基板としてステンレス材を用いて切削加工により製作した反応槽プレート、シリコンウエハーを用いてマスクとウエットエッチングにより製作した反応槽プレート、スライドガラス等のガラスを用いて粒子によるブラスタ加工で製作した反応槽プレート、及びポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等を用いて金型の射出成型により製作した反応槽プレート等が使用可能である。ただし、これらは微小反応層の材料や製作法について制限するものではない。
【0037】
また、反応槽プレート101上に配置格子を菱形として直径3.5μm深さ3.5μmの円柱状の微小反応槽を形成する。配置格子である菱形は流れに平行な長い方の対角線の長さを80μm、流れに垂直な短い方の対角線を40μmとする。このときフローセルの上板上に形成したマイクロレンズは図8の501に示すように偏芯した球面レンズを配置する。ここでは微小反応槽とマイクロレンズの中心軸とのずれは15μmとしている。そして、偏芯の向きはマイクロレンズアレイの配置において流れに平行な方向を列としたときに、1列置きに偏芯の向きを交互に変更して設定する。すなわち、隣の列ではマイクロレンズの偏芯の向きは反対となるようになっている。これにより、図4aで示したような集光を実現することができる。
【0038】
また、レンズの曲率半径は30μm、フローセル上板701の厚みを7μmとし、溶液が流れる部分の厚み、すなわち、スペーサ702の厚みは10μmとする。直径3μmのファイバを束ねたファイババンドルの端面がフローセルの上板の下側(溶液と接する面)から40μmだけ隔たるように設置した。マイクロレンズ材料はポリカーボネートとし、射出成型により加工する。ただし、マイクロレンズアレイの材料および寸法は上述したものだけでなく、微小反応槽の菱形の配置格子を撮像素子上の像において長方形にできるように、材料の屈折率等にあわせて設計するものである。
【0039】
このようなマイクロレンズアレイを用いて、得られる撮像素子上での微小反応槽の像を図9に示す。図9は一辺が40μmの正方形のピクセルが配置されている様子を示し、点線で撮像素子のピクセル間の境界を示している。図9には、9つのピクセルが描かれている。そのうち、3つに微小反応槽からの像がある場合を示している。発光像はその集光強度を等高線で示し、最大強度の1/5までの強度を描いている。また、点線で描かれた円形はマイクロレンズアレイに偏芯がない場合の発光像の位置をしめし、106の菱形は微小反応槽の配置格子に対応する。マイクロレンズアレイの偏芯によって、矢印901または902の方向に像が移動している。このとき移動量は10μmである。また、マイクロレンズアレイは、像の配置が正方形となるように、列ごとに矢印901及び902に対応して逆方向に偏芯させている。
【0040】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、マイクロレンズを偏芯させるのではなく中心線を傾けた例に関するものである。図10は、本実施形態による、フローセルとマイクロレンズアレイおよびファイババンドルの断面図を示している。
【0041】
反応槽プレート上には、第1の実施形態と同様に、配置格子を菱形として直径3.5μm、深さ3.5μmの円柱状の微小反応槽が形成されている。この菱形の対角線の長さもそれぞれ80μmと40μmである。また、本実施形態では、中心軸505が微小反応槽の中心軸502に対して10度傾いたマイクロレンズ504をポリカーボネートの射出成型によって作製されている。マイクロレンズは球面レンズとし、その曲率半径は12μmである。また、フローセル601の上板701の厚さは8μmである。流路の厚さすなわち、スペーサ702の厚さは、第1の実施形態と同様に10μmである。さらに、レンズの結像面である、ファイババンドルの表面と上板701の溶液と接する面との距離を60μmである。
【0042】
このようなマイクロレンズアレイを用いて、得られる撮像素子上の受光像が図11に示されている。図11においても、9つのピクセルの一辺が40μmのCCD素子上の像を受光強度の等高線にて示されている。
【0043】
本実施形態のマイクロレンズアレイは一列おきにしかレンズの中心軸を傾けておらず、図11の9つのピクセルのうち左側と右側の4つの受光像は移動していない。
【0044】
一方、真ん中の像は20μm下方向に移動し、像の配置格子が正方形になるように修正されている。
【0045】
<まとめ>
本発明では、微小反応槽からのそれぞれの発光の出射方向を変更するマイクロレンズアレイを、撮像素子と反応槽プレートとの間に配置するようにしている。また、反応槽プレートの各微小反応槽の最小配列単位を菱形(長方形を除く)とする。これにより、撮像素子の撮像領域の構成に制約されずに、反応槽プレートの各微小反応槽と撮像素子の画素を1対1に対応させることができるようになる。したがって、スループットを低下させることもなくなる。つまり、画素と微小反応槽との1対1対応とスループット向上を両立させることができるようになる。
【0046】
発光の出射方向の変更については、例えば、微小反応槽の中心軸を偏芯させて撮像素子の画素の中心軸と合致させる方法や、発光の光軸を傾斜させる方法が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】当該出願人による先願(特願2006−293483)において、微小反応槽とピクセルの配置の間の1対1対応が取れないことを示す図である。
【図2】微小反応槽の配置領域を正方形としたときの、撮像領域と微小反応槽の配置領域の不一致を示す図である。
【図3】微小反応槽の配置領域を長方形としたときの、撮像領域と微小反応槽の配置領域の不一致を示す図である。
【図4】本発明において微小反応槽の配置と撮像素子のピクセルの配置の関係を示した図である。
【図5】偏芯や中心軸の傾きを持たせたマイクロレンズアレイの断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるDNA配列決定装置(化学発行検出装置)の概略構成を示す図である。
【図7】フローセルの組み立て図である。
【図8】第1の実施形態におけるフローセルおよびマイクロレンズアレイの断面図である。
【図9】第1の実施形態における撮像素子上での微小反応槽からの光の集光像である。
【図10】第2の実施形態におけるフローセルおよびマイクロレンズアレイの断面図である。
【図11】第2の実施形態における撮像素子上での微小反応槽からの光の集光像である。
【符号の説明】
【0048】
1・・・化学発光検出装置、101・・・反応槽プレート、102・・・微小反応槽、103・・・微小反応槽配置領域、104・・・撮像領域、105・・・微小反応槽の配置格子、106・・・微小反応槽配置格子の対角線、107・・・ビーズおよび(試薬)溶液の流れの方向、108・・・流路形状を決めるスペーサ、109・・・流路最大幅、110・・・流路入り口、111・・・流路出口、112・・・ピクセル対応領域、113・・・撮像領域だけれども微小反応槽がない領域、114・・・微小反応槽はあるけれども撮像領域ではない領域、501・・・偏芯したマイクロレンズ(アレイ)、502・・・微小反応槽の中心を通り、反応槽プレートに垂直な直線、503・・・マイクロレンズアレイを構成するレンズの中心軸(偏芯した場合)、504・・・傾いたマイクロレンズ(アレイ)、505・・・マイクロレンズアレイを構成するレンズの中心軸(傾けた場合)、601・・・フローセル、602・・・2次元撮像カメラ、603・・・撮像素子、604・・・ファイババンドル、606〜609・・・試薬槽、610・・・洗浄試薬槽、611・・・コンディショニング試薬槽、612・・・選択バルブ、613・・・ポンプ、614・・・廃液ボトル、701・・・フローセルの上板、702・・・スペーサ、703・・・試薬流入口、704・・・試薬排出口、708・・・DNAを固定化したビーズ、709・・・フローセル中の流路、901及び902・・・像の移動方向を示す矢印
【技術分野】
【0001】
本発明は化学発光検出装置に関し、例えば、複数の反応槽からの発光の検出し、その検出結果を核酸分析や遺伝子の塩基配列等を解析するために用いるものに関する。
【背景技術】
【0002】
DNA塩基配列決定ではゲル電気泳動と蛍光検出を用いた方法が広く用いられている。この方法ではまず、配列解析を行おうとするDNA断片のコピーを多数作製する。次に、DNAの5’末端を始点として種々の長さの蛍光標識断片を作製する。また、これらDNA断片の3’末端の塩基種に応じて波長の異なる蛍光標識を付加しておく。続いて、ゲル電気泳動により長さの違いを1塩基の差で識別し、それぞれの断片群が発する発光を検出する。そして、検出された発光波長色から測定中のDNA断片群のDNA末端塩基種を特定する。DNAは短い断片群から順次蛍光検出部を通過するので、蛍光色を計測することで短いDNAから順に末端塩基種を知ることができる。これにより、配列決定をする。以上のような蛍光式DNAシーケンサーは幅広く普及しており、また、ヒトゲノム解析にも大いに活躍した。この方法では、内径50μm程度のガラス細管を、多数本用い、さらに末端検出等の方法を利用し、一台あたりの解析処理数を増加させている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
一方、パイロシーケンシングに代表される段階的化学反応による配列決定法(例えば、非特許文献2及び3参照)は、取り扱いの簡便性から注目されている。概略は以下の通りである。ターゲットとするDNA鎖にプライマーをハイブリダイズさせ、4種の相補鎖合成核酸基質(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を1種類ずつ順番に反応液中に加えて相補鎖合成反応を行う。相補鎖合成反応が起きるとDNA相補鎖が伸長し、副産物としてピロリン酸(PPi)が生成する。ピロリン酸は共存する酵素の働きでATPに変換され、ルシフェリンとルシフェラーゼの共存下で反応して発光を生じる。この光を検出することで加えた相補鎖合成基質がDNA鎖に取り込まれたことがわかり、相補鎖の配列情報、従ってターゲットとなったDNA鎖の配列情報がわかる。
【0004】
この方法は、多くの反応槽を具備したフローセルを用いることにより高スループット化が可能であり、上記方法を応用して解析処理数を格段に増加させる例が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。この応用例では、複数の微小反応槽を1面に有するフローセルが反応槽プレートとして用いられている。ターゲットDNA鎖を種類毎に直径約35μmのセファロース製ビーズに固定したものが多数用意され、各セファロースビーズには約108個の同じ種類のDNAが固定される。これらDNAにプライマーをハイブリダイズさせた後、各微小反応槽に1個ビーズを入れる。また、生物発光用酵素(ルシフェラーゼ)等を固定した直径2.8μmのマイクロ粒子(microparticle)を反応槽に、充填している。これらのビーズの充填は、ビーズ含有溶液をフローセルに導入して、遠心器により沈降させることにより実施している。DNA塩基配列解析は、フローセル上流より、伸長反応用の4種の相補鎖合成核酸基質(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を逐次導入し、相補鎖合成反応を行うが、相補鎖合成反応が進行した場合にはピロリン酸が生じる。それがATPに変換され、ルシフェラーゼ反応を行うが、その際に生じる生物発光を観測している。
【0005】
【非特許文献1】Anal. Chem. 2000、 72、 3423-3430
【非特許文献2】Margulies M, et al., “Genome sequencing in microfabricated high-density picolitre reactors.”, Nature, Vol.437, Sep.15; 2005, pp376-80及びSupplementary Information s1〜s3
【非特許文献3】Electrophoresis 2003, 24, 3769-3777
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献2では、この反応槽プレート上に形成した微小反応槽中にターゲットDNA鎖を固定したセファロースビーズを充填するが、セファロースビーズは比重が小さいため、遠心器を用いて、沈降させなければならない。そのため、ターゲットDNAを固定したビーズを充填するために時間がかかる。また、サンプル充填の自動化が困難である。
【0007】
また、非特許文献2は、例えば、パイロシーケンス等の段階的DNA伸長反応を利用して同時に多数のDNA配列を決定するシステムを示している。このシステムは、多数の微小反応槽でDNA伸長反応を起こさせ、このとき伸長反応に付随して起きる化学発光を多数の光検出ピクセルから構成された撮像素子(CCD)を用いて検出するものである。これによれば、一度に計測することができる微小反応槽を増やすことによって、単位時間あたりの処理能力(スループット)を向上できるため、近年、計測並列数を増やすことによってこのスループットを向上させる努力がなされてきた。
【0008】
しかしながら、スループット向上のために微小反応槽の数を増やすと、それに比例して、化学発光検出に必要な撮像素子(CCD)のピクセル数も増えてしまう。ピクセル数の多い撮像素子(CCD)は高価であるばかりでなく、ある程度以上のピクセル数の多い撮像素子は製造することすら困難である。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、迅速かつ簡便にターゲットDNAが固定化されたビーズを微小反応槽に充填でき、同時に、配置格子(単位格子)の異なる微小反応槽と撮像素子(CCD)のピクセルを1対1に対応させて、スループット向上に資する化学発光検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、微小反応槽の配置領域と撮像領域を一致させた状態で微小反応槽の撮像素子上での像の配置格子をピクセルの配置格子と一致させる手段を設けている。具体的には、微小反応槽からの発光を撮像素子上のピクセルのそれぞれに集光させる光学レンズとして、多数のレンズが平面上に集積したレンズアレイを用い、個々のレンズが1つおきにレンズの向きや中心や屈折率分布などを変えて、菱形の配置格子から撮像素子上の光スポット列の配置格子が長方形になるようにする。
【0011】
以下に具体的な配置例を使って説明する。図4aに示すように反応槽プレート上に微小反応槽が配置された様子を示す。黒丸も白丸も微小反応槽の中心位置である。図4aにおいて、105に示すように微小反応槽の配置格子は菱形であり、その対角線106が溶液の流れの方向107になるように設定している。このように配置するとによって迅速なビーズの充填を実現している。
【0012】
一方、図4bに撮像素子上での微小反応槽の集光像を示している。図4bにおいて、黒丸は図4a中の黒丸で示された微小反応槽からの光の集光位置に対応し、同様に図4bの白丸と図4aの白丸も対応している。112は撮像素子上のピクセルであり、その配置格子は長方形である。いま、微小反応槽と撮像素子の間に特別に設計されたマイクロレンズアレイを適切な位置に配置することによって、このマイクロレンズアレイを使わなければ図4aと同じ配置になるはずのものを黒丸については矢印Aの方向に、白丸については矢印Bの方向にずらせることができる。この場合、図4bに示すように撮像素子上の微小反応槽の像の配置格子は長方形になる。上述のように、スポットの移動はマイクロレンズアレイを構成する個々のレンズの偏芯や光学レンズ中心軸を傾けることによって実現できる。すなわち、レンズの形状をレンズの中心軸に対して回転対称性を破るような非球面レンズを用いるかレンズの中心軸自体を傾けるような非球面レンズを用いればよい。
【0013】
また、このレンズの偏芯や光学レンズ中心の傾きはレンズ内の屈折率分布にひずみを加えることによっても実現できる。図5aにレンズが偏芯した場合の断面図を示す。反応槽プレート101上に微小反応槽102を形成し、この微小反応槽に対応してマイクロレンズアレイ501を配置した。図の破線502は微小反応槽の中心を通り、反応槽プレートに垂直な直線を示し、破線503はマイクロレンズアレイを構成するレンズの中心軸を示す。図5a及びbから分かるように、破線502と503は平行にずらしてあり、微小反応槽に対して、マイクロレンズをずらせた方向とは反対方向に微小反応槽から発した光が集光される方向が破線502方向から傾いた方向に変わる。これに対応して、撮像素子上での微小反応槽の像が矢印の方向にずれることになる。
【0014】
なお、マイクロレンズの中心のずれの大きさに比例して像のずれが大きくなる。よって、マイクロレンズの偏芯をどの程度にすべきかについては、配置格子が長方形になるためにはどの程度像をどの程度ずらさなければならないかによって決定される。
【0015】
同様に、図5bにレンズ中心軸を傾けた場合の断面図を示す。図中のマイクロレンズアレイ504の中心軸505は微小反応槽の中心軸に対して平行でないように設置する。微小反応槽からの光の集光方向はマイクロレンズの傾き量に比例するので、この場合も前記と同様に像の配置格子が長方形にするために必要な像のずれ量からマイクロレンズの傾きを決定する。
【0016】
即ち、本発明による化学発光検出装置は、複数の凹部を有する第一部材と、第一部材の凹部と対向し、導入部と導出部とを有する第2部材と、を備えるセルと、導入部から粒子を含む液体を導入し、かつ導出部から液体を導出する液流制御部と、複数の画素を有し、複数の凹部について光学検出をする検出部と、1の凹部の内部の発光が1の画素の位置に対応するように発光を集束させる光集束部と、を備える。そして、複数の凹部は、2次元配置として配置され、2次元配置の配置格子の最小単位は長方形以外の菱形である。また、複数の画素は2次元配置され、複数の凹部の中心軸と複数の凹部に対応する複数の画素の中心軸とがずれて配置される。
【0017】
また、複数の画素を有する検出部の画素の配置格子(単位格子)が長方形または正方形である。この場合、光集束部は、配置格子の最小単位が長方形以外の菱形で2次元配列された複数の凹部からの光を、長方形または正方形の配置格子に配列した画素の中心付近に集光させる。
【0018】
また、本発明による化学発光検出装置は、次のようにも表される。つまり、本装置は、2次元配置された複数の凹部を有する第一部材と、第一部材の凹部と対向し、導入部と導出部とを有する第2部材と、を備えるセルと、導入部から粒子を含む液体を導入し、かつ導出部から液体を導出する液流制御部と、複数の画素を有し、複数の凹部のそれぞれからの発光を検出する検出部と、複数の凹部と検出部との間に配置され、複数の凹部からのそれぞれの発光を検出部の複数の画素のそれぞれに対応させるためのマイクロレンズアレイと、を備える。そして、2次元配置された複数の凹部の配置格子の最小単位は長方形以外の菱形であり、マイクロレンズアレイは、複数の凹部からの発光の光軸を変更することにより、複数の凹部からのそれぞれの発光を検出部の複数の画素のそれぞれに対応させる。
【0019】
さらなる本発明の特徴は、以下本発明を実施するための最良の形態および添付図面によって明らかになるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、パイロシーケンシング解析の際に、安価で高スループット、かつ高精度で蛍光検出できる化学発光検出装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、スループットを向上させつつ、フローセル中の微小反応槽と撮像素子上のピクセルを1対1に対応させる化学発光検出装置を提供するものであるが、まず、微小反応槽の迅速なビーズの充填と均一な化学発光のために適切な配置について示し、この微小反応槽の配置に対して、ピクセルを1対1に対応させることが従来困難であったかをより詳細に説明し、続いて本発明の実施形態について説明することとする。ただし、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
【0022】
<微小反応槽と撮像素子上のピクセルを1対1に対応させることの困難性>
非特許文献2及び3に示されるように、微小反応槽はプレート上の凹みとして形成する。また、当該出願人の先願である特願2006−293483(先願1)の明細書及び図面において示されるように、スループット向上のため、比重の重いビーズをフローセル中に流し、ビーズを重力によって沈降させ、迅速かつ簡便にターゲットDNAを固定したビーズをフローセル中の微小反応槽に充填するようにしている。特に、試料溶液の流れ方向に対して反応槽を斜めに分布させ、配置格子の最小単位は長方形ではなく菱形とすることによって、反応槽間の距離を維持しながら、ビーズと反応槽の出会う確率をさらに向上させることができる。これによってビーズの捕捉率が高まり、迅速かつ簡便なビーズの充填が可能となる。なお、DNAを固定したビーズをこの凹みに迅速かつ簡便に充填するためには、ビーズの比重が4以上であることと、試料溶液の流れ方向に対して反応槽を斜めに分布させ、配置格子(単位格子)を長方形ではなく菱形とすることが有効である(ただし、斜めに配置した正方形は菱形に含まれる)。反応槽プレート101上に微小反応槽102を多数配置した具体例を図1に示した。DNAを固定したビーズを107の方向に流すことによって、ビーズの大きな比重によって、速やかに沈降し、微小反応槽102に充填される。このとき、流路入り口110から入った溶液およびビーズは反応槽プレート上を流れ、溶液が流路出口111から排出される。このとき、反応槽プレート上の流路部分はその上に設置されたスペーサ108によってスムーズな溶液の流れを実現する。矢印107は溶液およびビーズの流れの方向を示している。溶液およびビーズを反応槽プレート上で往復させてより確実にビーズを微小反応槽に充填することも可能である。
【0023】
このように迅速かつ簡便にビーズが充填できるのは微小反応槽の配置格子が菱形であり、微小反応槽の配列のどの位置からビーズが矢印7の方向にながれても、必ず微小反応槽の直上を通過するため実現できているからである。
【0024】
しかし、現在知られている多くの撮像素子のピクセルの配置格子は長方形または正方形である。そのため、拡大縮小を含む従来知られている光学系では、微小反応槽の2次元アレイからの発光像を撮像素子上において、微小反応槽とピクセルを1対1に対応することができない。
【0025】
この問題に鑑み、当該出願人の先願である特願2007−113095(先願2)の明細書及び図面では、1つの微小反応槽に必要なピクセル数を1個にすること、すなわち、フローセル中の微小反応槽と撮像素子上のピクセルを1対1に対応させる化学発光検出システムを開示している。
【0026】
しかし、上述のように、ある程度以上のピクセル数の多い撮像素子は製造することは困難であるので、当該先願のシステムだとスループットを向上させるには自ずと限界がある。
【0027】
図1において、この溶液の流路部分の最大幅109は広すぎると均一に溶液が流れないため、微小反応中の伸長反応および化学発光反応が極端に不均一におきてしまう。そのため、流路の幅109は流路長さから決まる上限がある(この上限の数値は流路表面の溶液に対する濡れ性等によって大きく異なるため上限の数値を一意に定めることはできない。)。一方、流路中にできる限り、多くの微小反応槽を配置した方が、スループットが向上する。高スループットを実現するため、微小反応槽の配置領域103は、撮像素子による撮影領域104と重ねて、2辺が流速方向107と平行な長方形または正方形が望ましい。図1には正方形の場合を描いた。今、先願1の記載に従って、微小反応槽102の配置格子105は菱形(図1では特に斜めに配置した正方形(=菱形の特別な場合))になるようにする。
【0028】
一方、撮像素子のピクセルの配置格子は正方形または長方形(図1では正方形の場合を記した)である。図1から分かるようにピクセルの配置112と微小反応槽は1対1に対応させることができない。これは微小反応槽の配置格子は菱形であり、撮像素子のピクセルの配置格子が長方形(流れに平行に配置した正方形を含む)であり、異なるためである。すなわち、通常の光学系で微小反応槽からの発光像をこのように配置された撮像素子で計測しても、微小反応槽とピクセルを1対1に対応させて計測することはできない。
【0029】
また、微小反応槽の配置格子が菱型(斜めに配置された正方形)であるから、これにピクセルの配置格子をあわせるように、撮像素子を45度回転させて配置した場合を図2に示す。特に微小反応槽が斜めに配置された正方形で、ピクセルも正方形だとすると、撮像素子を45回転させることによって、図2から分かるように一部の微小反応槽はピクセルと1対1に対応させることが可能である。しかし、撮像領域だけれども微小反応槽がない領域113および、微小反応槽はあるけれども撮像領域ではない領域114がどうしても出てきてしまう。特にこのような撮像領域と微小反応層の配置領域の不一致は両者が長方形である場合に顕著である。このような微小反応槽の配置領域が長方形の場合の撮像領域と微小反応槽の配置領域の重なり具合を図3に示す。撮像領域だけれども微小反応槽がない領域113、微小反応槽はあるけれども撮像領域ではない領域114ともに撮像領域に対して大きな割合を占める。
【0030】
しかし、前述のように、流路の最大幅109は広くせずに微小反応槽の数を増やしてスループットを向上させる必要がある。このためには微小反応槽の配置領域と撮像領域の重なりをできるだけ大きく取るようにした場合の配置を図3に示す。ただし、この場合でも、撮像領域は有効に活用することができず、少ないピクセルで高いスループットを実現することができない。
【0031】
以上のように、撮像領域の有効活用と微小反応槽とピクセルの1対1対応を両立させるためには困難が生じることになる。以下、これらを両立することのできる実施形態について詳細に説明する。
【0032】
<第1の実施形態>
(1)化学発光検出装置の構成
図6は、本発明の第1の実施形態による化学発光検出装置1の概略構成を示す図である。化学発光検出装置1は、反応槽プレートから出る化学発光を、偏芯したマイクロレンズアレイを用いて微小反応槽の撮像素子であるCCD上での集光像の配置格子を長方形に変形し、微小反応槽とCCDピクセルを1対1に対応させて発光を計測した例である。この構成によって、微小反応槽中に導入された、測定対象の遺伝子の配列は、パイロシーケンシング法の原理を用いて決定することができる。
【0033】
図6において、化学発光検出装置1は、フローセル中の微小反応槽での化学発光を計測するシステムとして、フローセル601、発光画像を検出する冷却型CCDカメラなどの検出部である2次元撮像カメラ602、カメラ内部の(2次元)撮像素子603上に微小反応槽からの発光像を撮像素子上に結像する光学系として、マイクロレンズアレイ501とファイババンドル604から構成される。
【0034】
また、化学発光検出装置1は、微小反応槽に試薬を送液するシステムとして、順次フローセルに試薬を分注するために4種の核酸基質(dATP、dGT、dCTP、dTTPの4種類など)を各々収める試薬槽606〜609と、伸長反応測定後にフローセル内を洗浄するための洗浄試薬を収める洗浄試薬槽610と、洗浄後にセル内の洗浄試薬成分の残留を洗い流すためのコンディショニング試薬を収めるコンディショニング試薬槽611と、それらを選択的にフローセル側に注入するための注入部(選択バルブ612及び試薬をハンドリングするためのポンプ613)と、廃液ボトル614等により構成される。
【0035】
(2)フローセルの構造
次に、図7を参照して、フローセル601の構造を説明する。フローセル601は、後述の試料固定ビーズを保持するための複数の微小反応槽(凹部)102を表面に有する反応槽プレート101と、試薬流入口703と、試薬排出口704と、必要に応じて設けられる試料投入口(図示せず)を有する上板701と、流路を形成するスペーサ702とを備えている。ここでマイクロレンズアレイ501または504は上板701の一部に形成する。このマイクロレンズアレイは上板701と一体成型し、材料としてはポリカーボーネート(屈折率1.585)等の光透過性があり化学的に安定なプラスティック材料を用いた。プラスティック材料の代わりにBK等のガラス材料を用いてもよい。また、プラスティック材料として、ポリプロピレンやポリエチレンその他のプラスティック材料を用いても良いし、ガラス材料についても合成石英などの材料を用いてもよい。図8は、フローセル601のAA’での断面図を示している。図8において、試薬溶液は上板701と反応槽プレート101の間に形成された流路709内を流れ、このとき微小反応槽102中に必要な試薬溶液が供給される。そして、微小反応槽102の中に解析対象となるDNAを固定化したビーズ708を挿入する。
【0036】
なお、微小反応槽102の形状は、例えば円柱状が好ましい。形状は、基板の素材や製作方法により決定される。例えば、基板としてステンレス材を用いて切削加工により製作した反応槽プレート、シリコンウエハーを用いてマスクとウエットエッチングにより製作した反応槽プレート、スライドガラス等のガラスを用いて粒子によるブラスタ加工で製作した反応槽プレート、及びポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等を用いて金型の射出成型により製作した反応槽プレート等が使用可能である。ただし、これらは微小反応層の材料や製作法について制限するものではない。
【0037】
また、反応槽プレート101上に配置格子を菱形として直径3.5μm深さ3.5μmの円柱状の微小反応槽を形成する。配置格子である菱形は流れに平行な長い方の対角線の長さを80μm、流れに垂直な短い方の対角線を40μmとする。このときフローセルの上板上に形成したマイクロレンズは図8の501に示すように偏芯した球面レンズを配置する。ここでは微小反応槽とマイクロレンズの中心軸とのずれは15μmとしている。そして、偏芯の向きはマイクロレンズアレイの配置において流れに平行な方向を列としたときに、1列置きに偏芯の向きを交互に変更して設定する。すなわち、隣の列ではマイクロレンズの偏芯の向きは反対となるようになっている。これにより、図4aで示したような集光を実現することができる。
【0038】
また、レンズの曲率半径は30μm、フローセル上板701の厚みを7μmとし、溶液が流れる部分の厚み、すなわち、スペーサ702の厚みは10μmとする。直径3μmのファイバを束ねたファイババンドルの端面がフローセルの上板の下側(溶液と接する面)から40μmだけ隔たるように設置した。マイクロレンズ材料はポリカーボネートとし、射出成型により加工する。ただし、マイクロレンズアレイの材料および寸法は上述したものだけでなく、微小反応槽の菱形の配置格子を撮像素子上の像において長方形にできるように、材料の屈折率等にあわせて設計するものである。
【0039】
このようなマイクロレンズアレイを用いて、得られる撮像素子上での微小反応槽の像を図9に示す。図9は一辺が40μmの正方形のピクセルが配置されている様子を示し、点線で撮像素子のピクセル間の境界を示している。図9には、9つのピクセルが描かれている。そのうち、3つに微小反応槽からの像がある場合を示している。発光像はその集光強度を等高線で示し、最大強度の1/5までの強度を描いている。また、点線で描かれた円形はマイクロレンズアレイに偏芯がない場合の発光像の位置をしめし、106の菱形は微小反応槽の配置格子に対応する。マイクロレンズアレイの偏芯によって、矢印901または902の方向に像が移動している。このとき移動量は10μmである。また、マイクロレンズアレイは、像の配置が正方形となるように、列ごとに矢印901及び902に対応して逆方向に偏芯させている。
【0040】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、マイクロレンズを偏芯させるのではなく中心線を傾けた例に関するものである。図10は、本実施形態による、フローセルとマイクロレンズアレイおよびファイババンドルの断面図を示している。
【0041】
反応槽プレート上には、第1の実施形態と同様に、配置格子を菱形として直径3.5μm、深さ3.5μmの円柱状の微小反応槽が形成されている。この菱形の対角線の長さもそれぞれ80μmと40μmである。また、本実施形態では、中心軸505が微小反応槽の中心軸502に対して10度傾いたマイクロレンズ504をポリカーボネートの射出成型によって作製されている。マイクロレンズは球面レンズとし、その曲率半径は12μmである。また、フローセル601の上板701の厚さは8μmである。流路の厚さすなわち、スペーサ702の厚さは、第1の実施形態と同様に10μmである。さらに、レンズの結像面である、ファイババンドルの表面と上板701の溶液と接する面との距離を60μmである。
【0042】
このようなマイクロレンズアレイを用いて、得られる撮像素子上の受光像が図11に示されている。図11においても、9つのピクセルの一辺が40μmのCCD素子上の像を受光強度の等高線にて示されている。
【0043】
本実施形態のマイクロレンズアレイは一列おきにしかレンズの中心軸を傾けておらず、図11の9つのピクセルのうち左側と右側の4つの受光像は移動していない。
【0044】
一方、真ん中の像は20μm下方向に移動し、像の配置格子が正方形になるように修正されている。
【0045】
<まとめ>
本発明では、微小反応槽からのそれぞれの発光の出射方向を変更するマイクロレンズアレイを、撮像素子と反応槽プレートとの間に配置するようにしている。また、反応槽プレートの各微小反応槽の最小配列単位を菱形(長方形を除く)とする。これにより、撮像素子の撮像領域の構成に制約されずに、反応槽プレートの各微小反応槽と撮像素子の画素を1対1に対応させることができるようになる。したがって、スループットを低下させることもなくなる。つまり、画素と微小反応槽との1対1対応とスループット向上を両立させることができるようになる。
【0046】
発光の出射方向の変更については、例えば、微小反応槽の中心軸を偏芯させて撮像素子の画素の中心軸と合致させる方法や、発光の光軸を傾斜させる方法が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】当該出願人による先願(特願2006−293483)において、微小反応槽とピクセルの配置の間の1対1対応が取れないことを示す図である。
【図2】微小反応槽の配置領域を正方形としたときの、撮像領域と微小反応槽の配置領域の不一致を示す図である。
【図3】微小反応槽の配置領域を長方形としたときの、撮像領域と微小反応槽の配置領域の不一致を示す図である。
【図4】本発明において微小反応槽の配置と撮像素子のピクセルの配置の関係を示した図である。
【図5】偏芯や中心軸の傾きを持たせたマイクロレンズアレイの断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるDNA配列決定装置(化学発行検出装置)の概略構成を示す図である。
【図7】フローセルの組み立て図である。
【図8】第1の実施形態におけるフローセルおよびマイクロレンズアレイの断面図である。
【図9】第1の実施形態における撮像素子上での微小反応槽からの光の集光像である。
【図10】第2の実施形態におけるフローセルおよびマイクロレンズアレイの断面図である。
【図11】第2の実施形態における撮像素子上での微小反応槽からの光の集光像である。
【符号の説明】
【0048】
1・・・化学発光検出装置、101・・・反応槽プレート、102・・・微小反応槽、103・・・微小反応槽配置領域、104・・・撮像領域、105・・・微小反応槽の配置格子、106・・・微小反応槽配置格子の対角線、107・・・ビーズおよび(試薬)溶液の流れの方向、108・・・流路形状を決めるスペーサ、109・・・流路最大幅、110・・・流路入り口、111・・・流路出口、112・・・ピクセル対応領域、113・・・撮像領域だけれども微小反応槽がない領域、114・・・微小反応槽はあるけれども撮像領域ではない領域、501・・・偏芯したマイクロレンズ(アレイ)、502・・・微小反応槽の中心を通り、反応槽プレートに垂直な直線、503・・・マイクロレンズアレイを構成するレンズの中心軸(偏芯した場合)、504・・・傾いたマイクロレンズ(アレイ)、505・・・マイクロレンズアレイを構成するレンズの中心軸(傾けた場合)、601・・・フローセル、602・・・2次元撮像カメラ、603・・・撮像素子、604・・・ファイババンドル、606〜609・・・試薬槽、610・・・洗浄試薬槽、611・・・コンディショニング試薬槽、612・・・選択バルブ、613・・・ポンプ、614・・・廃液ボトル、701・・・フローセルの上板、702・・・スペーサ、703・・・試薬流入口、704・・・試薬排出口、708・・・DNAを固定化したビーズ、709・・・フローセル中の流路、901及び902・・・像の移動方向を示す矢印
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凹部を有する第一部材と、前記第一部材の前記凹部と対向し、導入部と導出部とを有する第2部材と、を備えるセルと、
前記導入部から粒子を含む液体を導入し、かつ前記導出部から液体を導出する液流制御部と、
複数の画素を有し、前記複数の凹部について光学検出をする検出部と、
1の前記凹部の内部の発光が1の前記画素の位置に対応するように前記発光を集束させる光集束部と、を備え、
前記複数の凹部は、2次元配置として配置され、前記2次元配置の配置格子の最小単位は長方形以外の菱形であり、
前記複数の画素は2次元配置され、前記複数の凹部の中心軸と前記複数の凹部に対応する前記複数の画素の中心軸とがずれて配置されることを特徴とする化学発光検出装置。
【請求項2】
前記複数の画素を有する検出部の画素の配置格子(単位格子)が長方形または正方形であり、
前記光集束部は、前記配置格子の最小単位が長方形以外の菱形で2次元配列された前記複数の凹部からの光を、長方形または正方形の前記配置格子に配列した画素の中心付近に集光させることを特徴とする請求項1に記載の化学発光検出装置。
【請求項3】
前記光集束部が、複数のレンズを2次元に配列して構成されたマイクロレンズアレイを含むことを特徴とする請求項2に記載の化学発光検出装置。
【請求項4】
前記ずれは、前記凹部の中心軸と前記画素の中心軸との偏芯によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化学発光検出装置。
【請求項5】
前記偏芯が、前記2次元配置の複数の画素において1列おきに存在することを特徴とする請求項4に記載の化学発光検出装置。
【請求項6】
前記ずれは、前記凹部の中心軸と前記画素の中心軸との傾斜によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化学発光検出装置。
【請求項7】
前記傾斜が、前記2次元配置の複数の画素において1列おきに存在することを特徴とする請求項6に記載の化学発光検出装置。
【請求項8】
2次元配置された複数の凹部を有する第一部材と、前記第一部材の前記凹部と対向し、導入部と導出部とを有する第2部材と、を備えるセルと、
前記導入部から粒子を含む液体を導入し、かつ前記導出部から液体を導出する液流制御部と、
複数の画素を有し、前記複数の凹部のそれぞれからの発光を検出する検出部と、
前記複数の凹部と前記検出部との間に配置され、前記複数の凹部からのそれぞれの発光を前記検出部の前記複数の画素のそれぞれに対応させるためのマイクロレンズアレイと、を備え、
前記2次元配置された前記複数の凹部の配置格子の最小単位は長方形以外の菱形であり、
前記マイクロレンズアレイは、前記複数の凹部からの発光の光軸を変更することにより、前記複数の凹部からのそれぞれの発光を前記検出部の前記複数の画素のそれぞれに対応させることを特徴とする化学発光検出装置。
【請求項9】
前記マイクロレンズアレイは、前記発光の光軸を偏芯させることを特徴とする請求項8に記載の化学発光検出装置。
【請求項10】
前記マイクロレンズアレイは、前記発光の光軸を傾斜させて前記発光の進行方向を変化させることを特徴とする請求項8に記載の化学発光検出装置。
【請求項1】
複数の凹部を有する第一部材と、前記第一部材の前記凹部と対向し、導入部と導出部とを有する第2部材と、を備えるセルと、
前記導入部から粒子を含む液体を導入し、かつ前記導出部から液体を導出する液流制御部と、
複数の画素を有し、前記複数の凹部について光学検出をする検出部と、
1の前記凹部の内部の発光が1の前記画素の位置に対応するように前記発光を集束させる光集束部と、を備え、
前記複数の凹部は、2次元配置として配置され、前記2次元配置の配置格子の最小単位は長方形以外の菱形であり、
前記複数の画素は2次元配置され、前記複数の凹部の中心軸と前記複数の凹部に対応する前記複数の画素の中心軸とがずれて配置されることを特徴とする化学発光検出装置。
【請求項2】
前記複数の画素を有する検出部の画素の配置格子(単位格子)が長方形または正方形であり、
前記光集束部は、前記配置格子の最小単位が長方形以外の菱形で2次元配列された前記複数の凹部からの光を、長方形または正方形の前記配置格子に配列した画素の中心付近に集光させることを特徴とする請求項1に記載の化学発光検出装置。
【請求項3】
前記光集束部が、複数のレンズを2次元に配列して構成されたマイクロレンズアレイを含むことを特徴とする請求項2に記載の化学発光検出装置。
【請求項4】
前記ずれは、前記凹部の中心軸と前記画素の中心軸との偏芯によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化学発光検出装置。
【請求項5】
前記偏芯が、前記2次元配置の複数の画素において1列おきに存在することを特徴とする請求項4に記載の化学発光検出装置。
【請求項6】
前記ずれは、前記凹部の中心軸と前記画素の中心軸との傾斜によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化学発光検出装置。
【請求項7】
前記傾斜が、前記2次元配置の複数の画素において1列おきに存在することを特徴とする請求項6に記載の化学発光検出装置。
【請求項8】
2次元配置された複数の凹部を有する第一部材と、前記第一部材の前記凹部と対向し、導入部と導出部とを有する第2部材と、を備えるセルと、
前記導入部から粒子を含む液体を導入し、かつ前記導出部から液体を導出する液流制御部と、
複数の画素を有し、前記複数の凹部のそれぞれからの発光を検出する検出部と、
前記複数の凹部と前記検出部との間に配置され、前記複数の凹部からのそれぞれの発光を前記検出部の前記複数の画素のそれぞれに対応させるためのマイクロレンズアレイと、を備え、
前記2次元配置された前記複数の凹部の配置格子の最小単位は長方形以外の菱形であり、
前記マイクロレンズアレイは、前記複数の凹部からの発光の光軸を変更することにより、前記複数の凹部からのそれぞれの発光を前記検出部の前記複数の画素のそれぞれに対応させることを特徴とする化学発光検出装置。
【請求項9】
前記マイクロレンズアレイは、前記発光の光軸を偏芯させることを特徴とする請求項8に記載の化学発光検出装置。
【請求項10】
前記マイクロレンズアレイは、前記発光の光軸を傾斜させて前記発光の進行方向を変化させることを特徴とする請求項8に記載の化学発光検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−250872(P2009−250872A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101364(P2008−101364)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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