化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント、その製造方法及び使用
本発明は、寸法安定性を有する素材から成るコア部と化学的耐久性を有する素材から成るシェル部を有するコア−シェル構造を持つバイコンポネント素材から作られる、化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント、並びにその製造方法及び使用に関する。前記モノフィラメントは、好ましくは、デミスター、篩及びフィルターに使用できる。好ましい製造方法は、コア素材に未焼結のＰＴＦＥリボンを巻きつけ、続いて焼結することである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、寸法安定性を有する素材から成るコア部と、化学的耐久性を有する素材から成るシェル部と、を有するコア−シェル構造を持つバイコンポネント素材を含む化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント、並びにその製造方法及び使用に関する。
【０００２】
更に、本発明は、ミストエリミネータ並びに篩及びフィルターにおける本発明の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントの使用に関する。
【背景技術】
【０００３】
ガス流から液滴を分離する際に、特に化学工業分野や廃ガス浄化施設において、ミストエリミネータが使用されることがある。これらのミストエリミネータは、例えば円柱型のタンク等の容器中に設置された、好適な素材から成るモノフィラメントの構造物を含む。浄化されるガス流は、このミストエリミネータを通るように導かれる。分裂した状態の液滴はミストエリミネータ上に集められ、そこでより大きな液滴となり、これらのより大きな液滴は落下して開口を通じて連続的に又はその場の状況によって除去される。ミストエリミネータの例は、以下のウェブサイトに記載されている：http://wwwknitmesh.com/bnsiness/separation/mist_ eliminators/misteliminators.html
【０００４】
モノフィラメント用の素材は、ガス流の成分に対して高い耐久性を示すものでなければならない。条件に応じて、高品質スチール類、ニッケル、チタン等の金属類、ポリプロピレン、ＰＴＦＥ、ＰＶＤＦ等のプラスチック類、並びにガラス類を用いることができる。
【０００５】
モノフィラメントは大抵の場合、更にファブリック、縦編み織物やニット織物に加工され、これらを用いてミストエリミネータが作製される。メッシュの幅及び/又は密度は、条件に応じて決定される。
【０００６】
ミストエリミネータの素材には寸法安定性も要求される。例えば、金属等の高固有剛性を有する寸法安定性素材から成るミストエリミネータは、僅かな支持しか必要としないか、又は全く必要としないことから、ガス流の自由通過路の面積を大きくすることができ、効率性が高くなる。
【０００７】
金属は化学的耐久性に乏しく、寿命が比較的短いという欠点を有する。
【０００８】
ＰＴＦＥやＰＶＤＦ等のフッ素ポリマー類は、高温への耐性と非常に高い化学的耐久性とを有するが、寸法安定性が低過ぎる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかしながら、本発明の課題は、高い寸法安定性と高い化学的耐久性とを両方とも有する、利用可能な素材を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記の課題は、寸法安定性を有する素材から成るコア部と、化学的耐久性を有する素材と、から成るシェル部を有するコア−シェル構造を持つバイコンポネント素材を含む化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントにより解決される。
【００１１】
シェル部を形成する化学的耐久性を有する素材は、フッ素ポリマー、特に、ＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）、ＰＦＡ、ＭＦＡ、ＦＥＰ、ＰＣＴＦＥ、ＴＨＶ、ＴＦＭ、ＥＴＦＥ、ＥＴＣＴＥ、ＰＶＦ、ＰＶＤＦ（ポリビニリデンフルオライド）から成る（略称については、Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Ed. Vol All, VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim, 1988, page 393 ffを参照）。
【００１２】
コア部を形成する寸法安定性を有する素材は、金属類、例えば、高品質スチール類、銅、真鍮及びアルミニウム等から作られる。
【００１３】
本発明に係るモノフィラメントの全径は、０.１０ ｍｍ〜１.５０ ｍｍである。モノフィラメントのコア部は、０.０５ ｍｍ〜１.００ ｍｍの直径を示す。従って、シェル部の厚さは、０.０２５ ｍｍ〜０.２５ ｍｍとなるが、コア部の直径に対するシェル部の直径の比率は、１以下である。好ましいモノフィラメントの全径は、０.２０〜０.６０ ｍｍ、好ましくは、０.２８〜０.３５ ｍｍである。例えば、コア部が０.０５ ｍｍの直径を有し、シェル部が０.０２５ ｍｍの厚さを有し、全径が０.１０ ｍｍとなる。従って、全径は、０.０５ ｍｍ + ２×０.０２５ ｍｍ = ０.１０ ｍｍとして求められる。
【００１４】
寸法安定性を有するコア部の化学的耐久性素材によるケーシングは、押出成形、ラム押出、バンディング、編組、スピニング、コア部のツイスト加工及びコーティングにより行うことができる。コア素材がシェル素材に完全に封入されていることが重要である。
【００１５】
本発明の更なる課題は、特に密度が高く、化学的耐久性が大きいコーティングを施した、本発明に係るモノフィラメントの製造方法である。
【００１６】
この課題は、未焼結ＰＴＦＥテープをコア素材に、例えば螺旋状に巻きつけ、最後にＰＴＦＥテープを焼結することにより解決される。これにより、特に高密度で耐久性の高いＰＴＦＥシェルが得られる。焼結は、ＰＴＦＥにとって通常の温度で行う。
【００１７】
更に、本発明は、本発明に係る化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントから作られる成形品、特に、ファブリック、縦編み織物及びニット織物といった織物に関する。
【００１８】
本発明の別の態様は、ミストエリミネータ並びに篩及びフィルターにおける、特に成型品の形態にある本発明に係るモノフィラメントの使用である。
【００１９】
この場合、モノフィラメントは適切な成形物、特にファブリック、縦編み織物及びニット織物といった織物に加工される。これらの成形物は、化学工業において好ましく用いることができる。特に、前記成形物は、液滴分離器、篩及びフィルターへの使用に非常に適している。
【００２０】
本発明に係るモノフィラメントの好ましい使用は、ミストエリミネータにおける使用であり、特に化学工業用のミストエリミネータにおける使用である。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、寸法安定性を有する素材から成るコア部と、化学的耐久性を有する素材から成るシェル部と、を有するコア−シェル構造を持つバイコンポネント素材を含む化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント、並びにその製造方法及び使用に関する。
【０００２】
更に、本発明は、ミストエリミネータ並びに篩及びフィルターにおける本発明の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントの使用に関する。
【背景技術】
【０００３】
ガス流から液滴を分離する際に、特に化学工業分野や廃ガス浄化施設において、ミストエリミネータが使用されることがある。これらのミストエリミネータは、例えば円柱型のタンク等の容器中に設置された、好適な素材から成るモノフィラメントの構造物を含む。浄化されるガス流は、このミストエリミネータを通るように導かれる。分裂した状態の液滴はミストエリミネータ上に集められ、そこでより大きな液滴となり、これらのより大きな液滴は落下して開口を通じて連続的に又はその場の状況によって除去される。ミストエリミネータの例は、以下のウェブサイトに記載されている：http://wwwknitmesh.com/bnsiness/separation/mist_ eliminators/misteliminators.html
【０００４】
モノフィラメント用の素材は、ガス流の成分に対して高い耐久性を示すものでなければならない。条件に応じて、高品質スチール類、ニッケル、チタン等の金属類、ポリプロピレン、ＰＴＦＥ、ＰＶＤＦ等のプラスチック類、並びにガラス類を用いることができる。
【０００５】
モノフィラメントは大抵の場合、更にファブリック、縦編み織物やニット織物に加工され、これらを用いてミストエリミネータが作製される。メッシュの幅及び/又は密度は、条件に応じて決定される。
【０００６】
ミストエリミネータの素材には寸法安定性も要求される。例えば、金属等の高固有剛性を有する寸法安定性素材から成るミストエリミネータは、僅かな支持しか必要としないか、又は全く必要としないことから、ガス流の自由通過路の面積を大きくすることができ、効率性が高くなる。
【０００７】
金属は化学的耐久性に乏しく、寿命が比較的短いという欠点を有する。
【０００８】
ＰＴＦＥやＰＶＤＦ等のフッ素ポリマー類は、高温への耐性と非常に高い化学的耐久性とを有するが、寸法安定性が低過ぎる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかしながら、本発明の課題は、高い寸法安定性と高い化学的耐久性とを両方とも有する、利用可能な素材を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記の課題は、寸法安定性を有する素材から成るコア部と、化学的耐久性を有する素材と、から成るシェル部を有するコア−シェル構造を持つバイコンポネント素材を含む化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントにより解決される。
【００１１】
シェル部を形成する化学的耐久性を有する素材は、フッ素ポリマー、特に、ＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）、ＰＦＡ、ＭＦＡ、ＦＥＰ、ＰＣＴＦＥ、ＴＨＶ、ＴＦＭ、ＥＴＦＥ、ＥＴＣＴＥ、ＰＶＦ、ＰＶＤＦ（ポリビニリデンフルオライド）から成る（略称については、Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Ed. Vol All, VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim, 1988, page 393 ffを参照）。
【００１２】
コア部を形成する寸法安定性を有する素材は、金属類、例えば、高品質スチール類、銅、真鍮及びアルミニウム等から作られる。
【００１３】
本発明に係るモノフィラメントの全径は、０.１０ ｍｍ〜１.５０ ｍｍである。モノフィラメントのコア部は、０.０５ ｍｍ〜１.００ ｍｍの直径を示す。従って、シェル部の厚さは、０.０２５ ｍｍ〜０.２５ ｍｍとなるが、コア部の直径に対するシェル部の直径の比率は、１以下である。好ましいモノフィラメントの全径は、０.２０〜０.６０ ｍｍ、好ましくは、０.２８〜０.３５ ｍｍである。例えば、コア部が０.０５ ｍｍの直径を有し、シェル部が０.０２５ ｍｍの厚さを有し、全径が０.１０ ｍｍとなる。従って、全径は、０.０５ ｍｍ + ２×０.０２５ ｍｍ = ０.１０ ｍｍとして求められる。
【００１４】
寸法安定性を有するコア部の化学的耐久性素材によるケーシングは、押出成形、ラム押出、バンディング、編組、スピニング、コア部のツイスト加工及びコーティングにより行うことができる。コア素材がシェル素材に完全に封入されていることが重要である。
【００１５】
本発明の更なる課題は、特に密度が高く、化学的耐久性が大きいコーティングを施した、本発明に係るモノフィラメントの製造方法である。
【００１６】
この課題は、未焼結ＰＴＦＥテープをコア素材に、例えば螺旋状に巻きつけ、最後にＰＴＦＥテープを焼結することにより解決される。これにより、特に高密度で耐久性の高いＰＴＦＥシェルが得られる。焼結は、ＰＴＦＥにとって通常の温度で行う。
【００１７】
更に、本発明は、本発明に係る化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントから作られる成形品、特に、ファブリック、縦編み織物及びニット織物といった織物に関する。
【００１８】
本発明の別の態様は、ミストエリミネータ並びに篩及びフィルターにおける、特に成型品の形態にある本発明に係るモノフィラメントの使用である。
【００１９】
この場合、モノフィラメントは適切な成形物、特にファブリック、縦編み織物及びニット織物といった織物に加工される。これらの成形物は、化学工業において好ましく用いることができる。特に、前記成形物は、液滴分離器、篩及びフィルターへの使用に非常に適している。
【００２０】
本発明に係るモノフィラメントの好ましい使用は、ミストエリミネータにおける使用であり、特に化学工業用のミストエリミネータにおける使用である。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
コア−シェル構造を持つバイコンポネント構造を含む化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントであって、前記コアが寸法安定性を有する素材から形成され、前記シェルが化学的耐久性を有する素材から形成されることを特徴とするモノフィラメント。
【請求項２】
前記シェルを形成する化学的耐久性を有する素材が、フッ素ポリマー、特に、ＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）、ＰＦＡ、ＭＦＡ、ＦＥＰ、ＰＣＴＦＥ、ＴＨＶ、ＴＦＭ、ＥＴＦＥ、ＥＴＣＴＥ、ＰＶＦ、ＰＶＤＦ（ポリビニリデンフルオライド）から成ることを特徴とする、請求項１記載の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント。
【請求項３】
前記コアを形成する寸法安定性を有する素材が、高品質スチール類、銅、真鍮及びアルミ等の金属から成ることを特徴とする、請求項１又は２記載の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント。
【請求項４】
本発明のモノフィラメントの全径が０.１０ ｍｍ〜１.５０ ｍｍ、好ましくは０.２０ ｍｍ〜０.６０ ｍｍ、更に好ましくは０.２８ ｍｍ〜０.３５ ｍｍであることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１項に記載の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント。
【請求項５】
前記シェルの厚さが０.０２５ ｍｍ〜０.２５ ｍｍであることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１項に記載の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント。
【請求項６】
前記コアの直径に対する前記シェルの直径の比率が、１以下であることを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１項に記載の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント。
【請求項７】
前記コアの素材が、未焼結ＰＴＦＥテープで、例えば、螺旋状に巻きつけられて覆われ、そして最後に該ＰＴＦＥテープが焼結されることを特徴とする、請求項１〜６のいずれか１項に記載される化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントの製造方法。
【請求項８】
特に、ファブリック、縦編み織物及びニット織物といった織物である、請求項１〜７のいずれか１項に記載される化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントの成形品。
【請求項９】
ミストエリミネータ、篩及びフィルターにおける、請求項１〜８のいずれか１項に記載される化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントの使用。
【請求項１】
コア−シェル構造を持つバイコンポネント構造を含む化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントであって、前記コアが寸法安定性を有する素材から形成され、前記シェルが化学的耐久性を有する素材から形成されることを特徴とするモノフィラメント。
【請求項２】
前記シェルを形成する化学的耐久性を有する素材が、フッ素ポリマー、特に、ＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）、ＰＦＡ、ＭＦＡ、ＦＥＰ、ＰＣＴＦＥ、ＴＨＶ、ＴＦＭ、ＥＴＦＥ、ＥＴＣＴＥ、ＰＶＦ、ＰＶＤＦ（ポリビニリデンフルオライド）から成ることを特徴とする、請求項１記載の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント。
【請求項３】
前記コアを形成する寸法安定性を有する素材が、高品質スチール類、銅、真鍮及びアルミ等の金属から成ることを特徴とする、請求項１又は２記載の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント。
【請求項４】
本発明のモノフィラメントの全径が０.１０ ｍｍ〜１.５０ ｍｍ、好ましくは０.２０ ｍｍ〜０.６０ ｍｍ、更に好ましくは０.２８ ｍｍ〜０.３５ ｍｍであることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１項に記載の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント。
【請求項５】
前記シェルの厚さが０.０２５ ｍｍ〜０.２５ ｍｍであることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１項に記載の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント。
【請求項６】
前記コアの直径に対する前記シェルの直径の比率が、１以下であることを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１項に記載の化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメント。
【請求項７】
前記コアの素材が、未焼結ＰＴＦＥテープで、例えば、螺旋状に巻きつけられて覆われ、そして最後に該ＰＴＦＥテープが焼結されることを特徴とする、請求項１〜６のいずれか１項に記載される化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントの製造方法。
【請求項８】
特に、ファブリック、縦編み織物及びニット織物といった織物である、請求項１〜７のいずれか１項に記載される化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントの成形品。
【請求項９】
ミストエリミネータ、篩及びフィルターにおける、請求項１〜８のいずれか１項に記載される化学的耐久性及び寸法安定性を有するモノフィラメントの使用。
【公表番号】特表２００９−５３７７０２（Ｐ２００９−５３７７０２Ａ）
【公表日】平成２１年１０月２９日（２００９．１０．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−５１０２２６（Ｐ２００９−５１０２２６）
【出願日】平成１９年５月８日（２００７．５．８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＡＴ２００７／０００２１８
【国際公開番号】ＷＯ２００７／１３１２５２
【国際公開日】平成１９年１１月２２日（２００７．１１．２２）
【出願人】（５０８３３５４６２）レンツィング プラスティクス ゲーエムベーハー (1)
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成２１年１０月２９日（２００９．１０．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年５月８日（２００７．５．８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＡＴ２００７／０００２１８
【国際公開番号】ＷＯ２００７／１３１２５２
【国際公開日】平成１９年１１月２２日（２００７．１１．２２）
【出願人】（５０８３３５４６２）レンツィング プラスティクス ゲーエムベーハー (1)
【Ｆターム（参考）】
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