説明

化粧料容器

【課題】合成樹脂製の化粧料容器において、切削や研削、彫刻等により溝を彫り込みカットグラス調の凹状の模様を形成することで、繊細かつ優美な美観を付与し意匠性を高めた化粧料容器を提供する。
【解決手段】合成樹脂製の化粧料容器1において、化粧料容器1に、線状又は面状の切削、研削、彫刻及びこれらの組み合わせからなる加工方法を用いて溝を彫り込み凹状の立体的模様41を形成する。また、着色、メッキ、塗装等の従来の加飾方法と組み合わせて化粧料容器1の外面を加飾することができる。さらに、外面部16や内面部21と言った複数の部材を組み合わせて化粧料容器1を構成することで、化粧料容器1の外観に立体感を与え化粧料容器1の高級感を高めるほか、バリエーションに富む意匠を表現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、化粧料を収容する容器に関するものであり、特に加飾を施した化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料を収容する容器、例えばコンパクト容器や口紅容器、クリームやジェル等を収容するジャー等の化粧料容器においては、収容される化粧料の品質保持性や使用性といった使用上の機能のほか、消費者が商品を購入するにあたり視覚的、感覚的に捉える意匠性が要求される。商品イメージやコンセプトを反映させた化粧料容器のデザインは、商品の差別化を図り商品力を高める重要な要素の一つであり、従来から、化粧料容器の意匠性を高めるべく、様々な提案が行われてきた。その一つに化粧料容器の外表面に凹凸状の模様を形成する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−88890号公報
【特許文献2】特開平05−4498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化粧料容器の多くを占める合成樹脂成形品の表面に凹凸状の模様を形成する方法として、凸凹状の模様を刻設した金型を用いて射出成形を行なう方法がある。例えば、特許文献1では、キャビティ面に凸凹状の模様を施した金型に転写フィルムの転写箔を上記凸凹状の模様に重なるよう位置合わせし、成形と同時に成形品の表面に凹凸状の模様を形成するだけでなく、転写フィルムからの転写箔が転写し加飾されるようになっている。しかしながら、金型の型抜きや凹凸の高さ、凹凸状の模様の形成位置に制限があるほか、金型により凹凸状の模様を転写するため、凹凸状の模様はシャープさに欠けるという問題があった。
【0005】
一方、ガラスの表面に砥石等で溝を彫り込んで装飾するカットグラスは、シャープな凹状の模様と模様が施されたカットグラスに差し込む光の輝きにより繊細かつ優美な印象を与える。化粧料容器にカットグラス調の凹状の模様を形成することができれば、化粧料容器の意匠性のみならず、化粧料容器に収容された化粧料の商品力をも高めることができる。これまでに、特許文献2に示すように、金属製の化粧料容器の外表面に切削によって凹状の模様を形成することは行なわれてきたが、合成樹脂製の化粧料容器に切削や研削、彫刻等により溝を彫り込みカットグラス調の凹状の模様を形成する加飾が施されたケースはない。
【0006】
本願発明はこのことに鑑み、合成樹脂製の化粧料容器において、上記化粧料容器に切削や研削、彫刻等による加工方法を用いて溝を彫り込み凹状の模様を形成することで、繊細かつ優美な美観を付与し意匠性を高めた化粧料容器を提供することを課題とする。より望ましくは、着色、メッキ、塗装等の従来の加飾方法と組み合わせて化粧料容器の外面を加飾することで、さらに意匠性を高めた化粧料容器の提供を図らんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、化粧料を収容する合成樹脂製の化粧料容器において、上記化粧料容器には、線状又は面状の切削、研削、彫刻及びこれらの組み合わせからなる群から選択される加工方法を用いて彫り込まれた凹状の立体的模様が形成されたことを特徴とする化粧料容器を提供する。
【0008】
また、本願の請求項2に記載の発明は、上記化粧料容器には、メッキ、塗装、梨地加工の何れか一種から形成された不透明部を備え、上記化粧料容器の外面側に、上記加工方法のうち機械加工による方法を用いて彫り込まれた凹状の立体的模様が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の化粧料容器を提供する。
【0009】
また、本願の請求項3に記載の発明は、上記化粧料容器には、光透過性を有する透明部を備え、上記透明部に上記立体的模様が形成されており、上記立体的模様から肉眼によって上記透明部の裏面側が視認されることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料容器を提供する。
【0010】
また、本願の請求項4に記載の発明は、上記化粧料容器には、外面部と内面部とを備え、上記外面部は光透過性を有し、上記内面部は上記外面部よりも光透過性が劣るものであり、上記外面部に上記立体的模様が形成され、上記化粧料容器の外面部から肉眼によって上記内面部が視認されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の化粧料容器を提供する。
【0011】
また、本願の請求項5に記載の発明は、上記化粧料容器には、光透過性を有する透明部を備え、上記透明部の表面側及び/又は裏面側の少なくとも一方には不透明部を備え、上記不透明部に上記立体的模様が形成されており、上記立体的模様は上記不透明部を打ち破って上記透明部にまで達するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の化粧料容器を提供する。
【0012】
また、本願の請求項6に記載の発明は、上記化粧料容器は、外面部と内面部とを備え、上記外面部には、光透過性を有する透明部を備え、上記外面部には上記立体的模様が形成され、上記外面部と上記内面部との間にはシート状の装飾体が装着されており、化粧料容器の外面部から肉眼によって上記シート状の装飾体が視認されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の化粧料容器を提供する。
【0013】
また、本願の請求項7に記載の発明は、上記立体的模様は上記透明部に形成されたか、又は上記透明部の表面側に備えられた上記不透明部に形成され上記不透明部を打ち破って上記透明部にまで達したものであり、上記化粧料容器の断面形状は、上記立体的模様が形成された上記透明部の厚みが変化し裏面側に凹状又は凸状の湾曲面が形成されたものであり、上記湾曲面に上記立体的模様が反射され、上記立体的模様が形成された面の厚み方向と交差する方向から肉眼によって上記立体的模様が立体状に視認されることを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載の化粧料容器を提供する。
【0014】
また、本願の請求項8に記載の発明は、上記化粧料容器は、着色された有色不透明部を備え、上記有色不透明部の表面側には、不透明部を備え、上記不透明部に上記立体的模様が形成されており、上記立体的模様は、上記不透明部を打ち破って上記有色不透明部にまで達するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料容器を提供する。
【0015】
また、本願の請求項9に記載の発明は、上記化粧料容器には、外面部と内面部とを備え、上記外面部は、光透過性を有する透明部を備え、上記内面部に上記立体的模様が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料容器を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本願の請求項1又は2の発明では、合成樹脂製の化粧料容器に、線状又は面状の切削、研削、彫刻及びこれらの組み合わせからなる加工方法を用いて溝を彫り込み成型加工では困難なシャープな凹状の立体的模様を形成することにより、化粧品容器に繊細かつ優美な美観を付与し意匠性・装飾性を高めた化粧料容器を提供することができたものである。また、化粧料容器にメッキ、塗装、梨地加工の何れか一種から形成された不透明部を備えることにより、上記凹状の立体的模様が形成された化粧料容器に色調や、艶と言った新たな質感を加えることができたため、化粧料容器の意匠性をさらに高めることができたものである。
本願の請求項3〜6、又は8〜9の何れかの発明においては、上記請求項1又は2の発明の効果に加え、化粧料容器を構成する部材の組み合わせや立体的模様の形成箇所を変更することで、バリエーションに富む意匠を表現することができ、興趣に富む意匠性を備えた化粧料容器を提供することができたものである。
本願の請求項7の発明では、上記請求項3〜6の何れかの発明の効果に加え、上記立体的模様が形成された透明部の裏面側に凹状又は凸状の湾曲面を形成し上記湾曲面に上記立体的模様が反射されることにより、化粧料容器に形成された上記立体的模様に奥行きを与えるとともに化粧料容器に新たな視覚効果を付与し、化粧料容器の意匠性をさらに高めることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明に係る化粧料容器全体を示す正面図である。
【図2】(A)〜(F)は、本願発明に係る化粧料容器の第1〜第6の各実施形態における略縦断面を示す説明図である。
【図3】本願発明に係る化粧料容器の第7の実施の形態における(A)平面視した状態を示す説明図、及び(B)正面視した状態及び略縦断面を示す説明図である。
【図4】(A)〜(F)は、それぞれ本願発明に係る化粧料容器の外面に形成される凹状の立体的模様の一例を示す説明図である。
【図5】(A)〜(F)は、それぞれ本願発明に係る化粧料容器の外面に形成される凹状の立体的模様の一例を示す説明図である。
【図6】(A)〜(F)は、それぞれ本願発明に係る化粧料容器の外面に形成される凹状の立体的模様の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態の一例を取り上げて説明する。なお、本願の請求項及び明細書の記載における上下左右の表現は、相対的な位置関係を示すにとどまり、絶対的な位置関係を特定するものではない。また、本願発明の技術的範囲は、下記実施形態によって何ら限定されるものではない。
【0019】
本願発明に係る化粧料容器1の一例として、図1に示すようなクリーム容器が挙げられる。クリーム容器は、クリームやジェル等の粘性を有する化粧料を収容する容器であって、図1に示すように、化粧料を収容する合成樹脂製の容器本体31と容器本体31の上方に開閉可能に螺着される合成樹脂製の蓋体11(又は蓋本体15)とから構成される。
【0020】
図2(A)は本願発明に係る化粧料容器1の第1実施形態の略縦断面を示す説明図である。本実施形態においては、蓋体11に後述する凹状の立体的模様41が形成されている。
【0021】
上記蓋体は11、有天円筒形状をなしており、上壁12と上記上壁12の周縁から下方に連設する周壁13とからなり、上記周壁13の内周面には、容器本体31と螺着するためのねじ部(図示省略)が形成されている。また、上記上壁12の内面側には、上記蓋体11の仕様に応じて、パッキン(図示省略)及び中栓(図示省略)を上下方向に重ね合わせた状態ではめ込んでもよい。
【0022】
上記蓋体11の上壁12の外面側には、切削や研削、彫刻等による加工方法を用いて彫り込まれた凹状の立体的模様が形成されている。上記加工方法とは、本願発明においては、線状又は面状の切削、研削、彫刻及びこれらの組み合わせから選択される群からなる方法により、面に溝を彫り込む加工方法とする。本願発明の各実施形態においては、化粧料容器1の外面側に小型フライス機による切削により上記凹状の立体的模様41を形成している。
【0023】
上記加工方法を用いて上記蓋体11の上壁12の外面側に凹状の立体的模様41を形成することにより、成型加工では困難なシャープな凹状の立体的模様を形成することができる。また、上記加工方法は通常、金属加工に用いられる方法であり、従来の金属加工の設備で化粧料容器1の外面側に上記凹状の立体的模様41を形成することができる。また、上記凹状の立体的模様41を形成するための金型を用意する必要がないため、初期投資が不要である。さらに、上記凹状の立体的模様41を上記加工方法のうち機械加工による方法を用いて形成する場合は、上記化粧料容器1の量産が可能である。
【0024】
上記上壁12の外面側に形成される凹状の立体的模様41は、上記加工方法により形成される模様であれば特に制限はなく、例えば直線や平行線、交差線、曲線及びこれらの組み合わせからなる幾何学模様やその他不定形な模様、また、文字や記号等であってもよい。上記凹状の立体的模様41を形成することにより上記蓋体11に繊細かつ優美な美観を付与することができる。図4〜図6に、本願発明に係る化粧料容器1に形成される凹状の立体的模様41の一例を示す。
【0025】
本実施形態においては、上記上壁12の外面側に上記凹状の立体的模様41を形成したが、上記上壁12の外面側に限らず、上記周壁13の外面側に上記凹状の立体的模様41を形成してもよい。
【0026】
また、本願発明に係る化粧料容器1においては、合成樹脂の光透過性に応じ、光透過性を有する透明部61、上記透明部61よりも光透過性が劣る有色不透明部64と部材の光透過性を設定している。本実施形態においては、上記蓋体11を構成する合成樹脂の光透過性に特に制限はなく、透明部61、有色不透明部64のどちらの部材を用いてもよい。また、上記透明部61は、上記透明部61を通してその裏面側を見ることができるものであれば、完全に透明である必要はなく、半透明のものや着色されたものであってもよく、また、透明部の表面側にマット塗装やサンドブラスト等の艶消し処理を施したものであってもよい。本実施形態において上記蓋体11に上記透明部61を用いると、上記上壁12に形成された上記凹状の立体的模様41から上記上壁11の内面側を視認することができる。
【0027】
図2(B)は、本願発明に係る化粧料容器1の第2実施形態の略縦断面を示す説明図である。上記蓋体11として透明部61を備え、その表面側に不透明部71を備えるとともに、上記上壁11の内面側を凹状に湾曲させている点で異なっているが、他の構成は同じである。以降、各実施形態において、同じ部材には同じ番号を付与することにより詳細な説明は省略する。
【0028】
上記蓋体11として、透明部61を備える。また、上記透明部61の表面側に不透明部71を備える。より詳しくは、上記蓋体11の上壁12には表面側に不透明部71を備えた透明部61を備え、周壁13には透明部61を備える。
【0029】
上記不透明部71は上記透明部61の表面側に形成すればよく、上記上壁12を構成する透明部61の表面側に形成するだけでなく、上記周壁13を構成する透明部61の表面側に不透明部71を形成してもよい。
【0030】
上記不透明部71は、上記透明部61の表面側に、メッキ、塗装、梨地加工の何れかを施すことにより形成される。例えば、アルミニウム等の金属蒸着やスパッタリング、静電塗装等の金属光沢を付与する方法やマット塗装や、サンドブラスト等の梨地加工のような艶消しを行う方法が挙げられる。また、メッキや塗装の色調は、一般的なシルバーやゴールドの他に、レッドやブルー等の色をつけたものでもよい。上記不透明部71を形成することにより化粧料容器に色調や艶と言った新たな質感を加えることができるため、化粧料容器1の意匠性をさらに高めることができる。
【0031】
上記凹状の立体的模様41は上記不透明部71に形成され、上記不透明部71を打ち破って上記透明部61に達するよう形成される。つまり、上記凹状の立体的模様41の深さは、上記不透明部71の厚みよりも大きく、上記凹状の立体的模様41は上記不透明部71と上記透明部61とに渡って形成されている。よって、上記凹状の立体的模様41から、上記上壁12の内面側、つまり上記透明部61の裏面側を視認することができる。
【0032】
また、上記上壁12を構成する透明部61の裏面側、つまり、上記上壁12の内面側を凹状に湾曲させ湾曲面14を形成している。すると、上記上壁12の厚み方向と交差する方向、つまり、上記周壁13の外面側から肉眼によって上記湾曲面14に反射された上記凹状の立体的模様41が上記湾曲面14に沿って立体状に視認される。したがって、上記上壁12の内面側の厚み方向に対して上記凹状の立体的模様41に奥行きを与えるとともに、上記蓋体11に新たな視覚効果を付与することができる。
【0033】
また、上記蓋体11は上記透明部61と不透明部71により構成されているが、上記透明部61を有色不透明部64に変更してもよい。すると、上記凹状の立体的模様41から、上記上壁11を構成する有色不透明部64の地色を視認することができる。
【0034】
次に、図2(C)は、本願発明に係る化粧料容器1の第3実施形態の略縦断面を示す説明図である。本実施形態においては、上記容器本体31として透明部61を備え、その表面側及び裏面側に不透明部71を備えるとともに、容器本体31の外面側に上記凹状の立体的模様41が形成されている点で異なっている。
【0035】
上記容器本体は31、有底円筒形状をなしており、底をなす下壁33と下壁33の周縁から上方に連設する容器周壁34及び上記容器周壁34の周縁から径内方向へ連設した上壁35とからなる胴部32と、上記胴部32の上壁35から上方に突設する首部37とから構成される。また、上記首部37の外周面には、蓋体11と螺着するためのねじ部(図示省略)が形成されている。
【0036】
上記容器本体31として、透明部61を備える。また、上記透明部61の表面側及び裏面側に不透明部71を備える。より詳しくは、上記容器本体31の胴部32を構成する部材のうち下壁33及び容器周壁34の外面側及び内面側に不透明部71を備えた透明部61を備え、上壁35と首部37には透明部61を備える。
【0037】
上記容器本体31の下壁33の外面側には、凹状の立体的模様41が形成されている。上記凹状の立体的模様41は、上記不透明部71を打ち破って上記透明部61に達するよう形成されている。本実施形態においては、上記下壁33の外面側に上記凹状の立体的模様41を形成したが、上記下壁33の外面側に限らず、上記容器周壁34の外面側に上記凹状の立体的模様41を形成してもよい。
【0038】
また、上記下壁33の内面側を凸状に湾曲させた湾曲面36を形成している。すると、上記湾曲面36に上記凹状の立体的模様41が反射される。本実施形態においては上記下壁33及び上記容器周壁34の外面側及び内面側に不透明部71を備えた透明部61を備え、上記凹状の立体的模様41から上記下壁33の内面側に備えられた不透明部71を視認することができる。また、金属光沢を付与する方法により不透明部71を形成している場合は、上記不透明部71から光が反射することで、上記蓋体11に新たな色調を出現させることができる。
【0039】
次に、図2(D)は、本願発明に係る化粧料容器1の第4実施形態の略縦断面を示す説明図である。本実施形態においては、上記蓋本体15に外面部16と内面部21とを備え、上記外面部16に上記凹状の立体的模様41が形成されている点で異なっている。
【0040】
上記蓋本体15は、有天円筒形状をなしており、上記蓋本体15の外面側を構成する外面部16と上記蓋本体15の内面側を構成する内面部21とを備えている。上記外面部16は、外上壁17と上記外上壁17の周縁から下方に連設する外周壁18とからなる。上記内面部21は、内上壁22と上記内上壁22の周縁から下方に連設する内周壁23とからなり、上記内周壁23の内面側には容器本体31と螺着するためのねじ部(図示省略)が形成されている。上記外周壁18の内面側と上記内周壁23の外面側には、上記外面部16と上記内面部21とを係止するストッパー部(図示省略)が形成されている。また、上記内上壁22の内面側には、上記蓋本体15の仕様に応じて、パッキン(図示省略)及び中栓(図示省略)を上下方向に重ね合わせた状態ではめ込んでもよい。
【0041】
上記外面部16は光透過性を備え、上記内面部21は上記外面部16よりも光透過性が劣っている。本実施形態では、上記外面部16に光透過性を備えた無色の透明部62を、上記内面部21には上記外面部16よりも光透過性が劣る着色の透明部63を備えている。上記内面部21に上記外面部16よりも光透過性が劣っている部材を用いればよく、上記外面部16に着色の透明部62と上記内面部21に有色不透明部64、上記外面部16に無色の透明部62と上記内面部21に表面側に不透明部71を備えた透明部61や有色不透明部64、上記外面部16に着色の透明部62と上記内面部21に表面側に不透明部71を備えた透明部61や有色不透明部64を備えることもできる。また、透明部61の表面側にマット塗装やサンドブラスト等の艶消し処理を施してもよい。さらに、上記凹状の立体的模様41は上記外面部16の外上壁17の外面側に形成されており、上記外面部16から上記内面部21を視認することができる。
【0042】
上述のように、上記蓋本体15に外面部16と内面部21とを備えることで、上記蓋本体15の外観に立体感を与え、上記蓋本体15の高級感を高めることができる。また、上記内面部21の外面側に不透明部71を備え、不透明部71を金属光沢を付与する方法により形成している場合は、上記凹状の立体的模様41が上記不透明部71に反射されることから上記蓋体15に新たな視覚効果を付与するほか、上記不透明部71から光が反射することにより上記蓋本体15に新たな色調を出現させることができる。
【0043】
次に、図2(E)は、本願発明に係る化粧料容器1の第5実施形態の略縦断面を示す説明図である。本実施形態においては、第4実施形態と比較して、外面部16と内面部21の間との間に間隙部30を設け、上記間隙部30にシート状の装飾体42を装着している点で異なっている。
【0044】
上記蓋本体15において、上記外面部16の外上壁17の内面側と上記内面部21の内上壁22の外面側との間に間隙部30を設けている。上記外面部16と上記内面部21とをストッパー部(図示省略)により係止し上記外面部16の上記内面部21からの抜け外れを防ぐことができれば、上記外面部16と上記内面部21とを密着させる必要はなく、本実施形態にように、上記外上壁17の内面側と上記内上壁22の外面側及び/又は外周壁18の内面側と内周壁23の外面側との間に間隙部30を設けることができる。上記間隙部30を設けることで、さらに上記蓋本体15の外観に立体感を与えることができる。
【0045】
また、間隙部30には、シート状の装飾体42が装着されている。上記シート状の装飾体42としては、樹脂や紙、布、金属等のシート材やフィルム材等が挙げられる。本実施形態においては、上記シート状の装飾体42は、上記内面部21の外径よりもやや小さい円形に形成されている。また、上記シート状の装飾体42は、上面に各種模様やロゴマーク等の文字や図形等を印刷してもよいし、ホログラムシートを用いてもよい。上記間隙部30に上記シート状の装飾体42を装着することで、上記蓋本体15に新たな印象を与えることができる。また、シート状の装飾体42を取り替えて装着するだけで、上記蓋本体15の様々な意匠を演出することができる。
【0046】
また、シート状の装飾体42に弾性を持つ素材を採用し、上記間隙部30の厚みよりも肉厚に形成して、弾性変形を利用して圧縮して上記外面部16と上記内面部21にの間に挟み込んで装着してもよい。さらに、上記シート状の装飾体42の形状を上記内面部21の外径よりもやや小さい円形や矩形、不定形の形状とし、上記間隙部30の厚みよりも肉薄に形成して、上記間隙部30内を上記シート状の装飾体42が動くように装着してもよい。
【0047】
次に、図2(F)は、本願発明に係る化粧料容器1の第6実施形態の略縦断面を示す説明図である。本実施形態においては、第4実施形態と比較して、上記凹状の立体的模様41の形成箇所が異なり、第4実施形態においては上記蓋体の外面部16に上記凹状の立体的模様が形成されていたが、本実施形態においては、内面部21に上記凹状の立体的模様41が形成されている点で異なっている。
【0048】
上記凹状の立体的模様41は上記内面部21の内上壁22の外面側に形成されており、上記外面部16から上記内面部21の外面側に形成された上記凹状の立体的模様41を視認することができる。上記外面部16から上記内面部21の外面側に形成された上記凹状の立体的模様41を視認することができるため、上記蓋本体15のさらなる意匠性を向上することができる。
【0049】
次に、図3は、本願発明に係る化粧料容器1の第7実施形態における(A)平面視した状態を示す説明図、及び(B)正面視した状態(図示左側)及び略縦断面(図示右側)を示す説明図である。本実施形態においては、第4実施形態と比較して、外面部16の外上壁17及び内面部21の内上壁22をそれぞれ凸状に湾曲させ湾曲面を形成している点で異なっている。
【0050】
上記蓋本体15は、外面部16と内面部21とから構成される。上記外面部16は外上壁17と上記外上壁17の周縁から下方に連設する外周壁18とからなる。上記外上壁17の外面側及び内面側は、ともに周縁から中央に向かうにしたがって凸状/凹状に湾曲した湾曲面19,20を備えているが、外面側の湾曲面19よりも内面側の湾曲面20のほうが曲率が大きくなっており、上記外上壁17の厚みは周縁から中央に向かうにしたがって薄くなっている。上記内面部21は、内上壁22と上記内上壁22の周縁から下方に連設する内周壁23とからなり、上記内周壁23の内面側には容器本体31と螺着するためのねじ部26が形成されている。上記内上壁22の外面側は、周縁から中央に向かうにしたがって凸状に湾曲した湾曲面24を備えており、上記湾曲面24の曲率は上記外上壁の内面側の湾曲面20と略等しい。また、上記内上壁22の内面側は、周縁部の一部に水平面を残して中央に向かうにしたがって凹状に湾曲した湾曲面25を備えており、上記湾曲面25の曲率は上記内上壁の外面側の湾曲面24と略等しい。また、上記外周壁18の内面側と上記内周壁23の外面側には上記外面部16と上記内面部21とを係止するストッパー部27が設けられており、上記外周壁18の内面側にはストッパー凹部28が、上記内周壁23の外面側にはストッパー凸部29がそれぞれに2箇所に形成されている。上記ストッパー凹部28にストッパー凸部29を嵌合させることで、上記外面部16と上記内面部21とを係止する。また、上記外上壁17の内面側と上記内上壁22の外面側及び上記外周壁18の内面側と上記内周壁23の外面側との間には、間隙部30が設けられている。さらに、上記内上壁22の内面側に、上記蓋本体15の仕様に応じて、パッキン(図示省略)及び中栓(図示省略)を上下方向に重ね合わせた状態ではめ込んでもよい。
【0051】
上記外面部16には、透明部61もしくは表面側に不透明部71を備えた透明部61を備える。また、上記内面部21には、透明部61、有色不透明部64のどちらを備えてもよく、上記内面部21に表面側に不透明部71を備えた透明部61や有色不透明部64を備えることもできる。また、透明部61の表面側にマット塗装やサンドブラスト等の艶消し処理を施してもよい。本実施形態においては、上記外面部16には透明部61を備え、上記内面部21には表面側に金属蒸着により形成された不透明部71を備えた有色不透明部64を備えている。さらに、上記凹状の立体的模様41は上記外面部16の外上壁17の外面側に形成されており、上記外面部16から上記内面部17を視認することができる。上記外面部16に表面側に不透明部71を備えた透明部61を備えた場合には、上記凹状の立体的模様41は上記不透明部71を打ち破って上記透明部61にまで達しており、上記透明部61のみで形成された上記外面部16と同じく、上記外面部16から上記内面部21を視認することができる。
【0052】
上述のように、上記外面部16の外上壁17の外面側及び内面側に凸状/凹状の湾曲面19,20を形成することで、上記外上壁17の厚み方向と交差する方向、つまり、外周壁18の外面側から肉眼によって上記外面部16の外上壁17の内面側に反射された上記凹状の立体的模様41が、上記外上壁17の内面側に沿って立体状に視認される。また、上記内面部21の外面側に金属蒸着により形成された不透明部71を備えることで、上記内面部21の外面側に形成された不透明部71に上記凹状の立体的模様が反射される。さらに、上記内面部21の内上壁22の外面側に凸状の湾曲面24を形成することで、上記外周壁18の外面側から肉眼によって上記不透明部71により反射された上記凹状の立体的模様41が上記内上壁22の外面側に沿って立体状に視認される。したがって、上記外上壁17の内面側及び上記内上壁22の外面側の厚み方向に対して上記凹状の立体的模様41に奥行きを与えるとともに、上記蓋本体15に新たな視覚効果を付与することができる。また、上記凹状の立体的模様41が視認される角度よって複雑に変化することにより、本願発明に係る化粧料容器に興趣に富む意匠性を持たせることができる。また、上記不透明部71から光が反射することで、上記蓋本体15に新たな色調を出現させることができる。
【0053】
本願発明に係る化粧料容器1を構成する合成樹脂材料としては、従来より化粧料容器等の成形に用いられているAS,ABS,PET,PVC,PMMA,PP,PS等の各種合成樹脂材料を用いることができる。
【0054】
本願発明に係る化粧料容器1は、本願発明の各実施形態に適用したクリーム容器に限らず、その他の化粧料容器、例えば、コンパクト容器や口紅容器等の広範囲の化粧料容器に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 化粧料容器
14 上壁の湾曲面
16 外面部
20 外上壁の内面側の湾曲面
21 内面部
36 下壁の湾曲面
41 立体的模様
42 シート状の装飾体
61 透明部
64 有色不透明部
71 不透明部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を収容する合成樹脂製の化粧料容器において、
上記化粧料容器には、線状又は面状の切削、研削、彫刻及びこれらの組み合わせからなる群から選択される加工方法を用いて彫り込まれた凹状の立体的模様が形成されたことを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
上記化粧料容器には、メッキ、塗装、梨地加工の何れか一種から形成された不透明部を備え、
上記化粧料容器の外面側に、上記加工方法のうち機械加工による方法を用いて彫り込まれた凹状の立体的模様が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の化粧料容器。
【請求項3】
上記化粧料容器には、光透過性を有する透明部を備え、
上記透明部に上記立体的模様が形成されており、
上記立体的模様から肉眼によって上記透明部の裏面側が視認されることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料容器。
【請求項4】
上記化粧料容器には、外面部と内面部とを備え、
上記外面部は光透過性を有し、
上記内面部は上記外面部よりも光透過性が劣るものであり、
上記外面部に上記立体的模様が形成され、
上記化粧料容器の外面部から肉眼によって上記内面部が視認されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の化粧料容器。
【請求項5】
上記化粧料容器には、光透過性を有する透明部を備え、
上記透明部の表面側及び/又は裏面側の少なくとも一方には不透明部を備え、
上記不透明部に上記立体的模様が形成されており、
上記立体的模様は上記不透明部を打ち破って上記透明部にまで達するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の化粧料容器。
【請求項6】
上記化粧料容器は、外面部と内面部とを備え、
上記外面部には、光透過性を有する透明部を備え、
上記外面部には上記立体的模様が形成され、
上記外面部と上記内面部との間にはシート状の装飾体が装着されており、
化粧料容器の外面部から肉眼によって上記シート状の装飾体が視認されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の化粧料容器。
【請求項7】
上記立体的模様は上記透明部に形成されたか、又は上記透明部の表面側に備えられた上記不透明部に形成され上記不透明部を打ち破って上記透明部にまで達したものであり、
上記化粧料容器の断面形状は、上記立体的模様が形成された上記透明部の厚みが変化し裏面側に凹状又は凸状の湾曲面が形成されたものであり、
上記湾曲面に上記立体的模様が反射され、上記立体的模様が形成された面の厚み方向と交差する方向から肉眼によって上記立体的模様が立体状に視認されることを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載の化粧料容器。
【請求項8】
上記化粧料容器は、着色された有色不透明部を備え、
上記有色不透明部の表面側には、不透明部を備え、
上記不透明部に上記立体的模様が形成されており、
上記立体的模様は、上記不透明部を打ち破って上記有色不透明部にまで達するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料容器。
【請求項9】
上記化粧料容器には、外面部と内面部とを備え、
上記外面部は、光透過性を有する透明部を備え、
上記内面部に上記立体的模様が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−381(P2012−381A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140728(P2010−140728)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(508226171)株式会社グラセル (1)
【Fターム(参考)】