説明

化粧水用ディスペンサー容器の吐出口形状

【課題】解決しようとする課題は、使用する際に必要用量をカット綿より溢れ出すことなく吐出可能な化粧水ディスペンサー容器の提供である。
【解決手段】化粧水用ディスペンサー容器5の吐出口形状をノズル2の吐出部の形状を特定の角度で先広がりにし、且つ吐出口を複数孔、且つ円形状に分割する構造とすることにより、カット綿に対する吐出面積を拡大させて、化粧水をカット綿の表面に分散させて含浸させることで、化粧水がカット綿から溢れ出すことを防止することを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧水用ディスペンサー容器の吐出口形状に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧水に用いられているディスペンサー容器としては、化粧水を霧状に吐出して直接顔面等に塗布する噴霧式タイプと化粧水を水滴状に手等に一旦吐出して、その後塗布部に塗布するドロップ式タイプが多く用いられている。
【0003】
また、化粧水を使用する方法として、直接又は手を用いて間接的に塗布部に塗布する使用法の他に、化粧パフと呼ばれるカット綿等に化粧水を含ませて使用する方法も多く用いられている。しかしながら、従来タイプのディスペンサーを用いてカット綿に化粧水を含ませる場合、噴霧式タイプでは吹き付ける際に霧が広がりカット綿に的が絞り難く必要量含ませる作業に手間取り、ドロップ式タイプでは化粧水が一箇所に集中して吐出するため一時的にカット綿が化粧水を含みきれずカット綿表面より溢れ出して必要量含ませることが出来ないという問題が発生している。
【0004】
上記のような問題を解決するため、ディスペンサー吐出部の太さを変化させる等の形状に工夫を行ったものが提案されているが上記問題を解決するには至っていない。また、吐出口を分割する方法としては特許文献1に示される方法が提案されているが、化粧水用ディスペンサーとしては吐出口の形状が複雑であり、容器コストの件も併せて問題が依然として存在する。
【特許文献1】特開2001−347156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、使用する際に必要量をカット綿より溢れ出すことなく含ませることができる化粧水ディスペンサー容器の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、発明者は鋭意研究を重ねた結果、化粧水用ディスペンサー容器の吐出口形状をノズル吐出部の形状を先広がりに、且つ吐出口を複数孔に分割する構造にすることにより、ディスペンサーより突出させた化粧水を、カット綿より溢れ出すことなく含ませることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
即ち、化粧水用ディスペンサー容器の吐出口形状をノズルの吐出部の形状を特定の角度で先広がりにし、且つ吐出口を複数孔設け、しかも当該孔を円形状として分割させる構造とすることにより、カット綿に対する吐出面積を拡大させて、化粧水をカット綿の表面に分散させて含浸させることで、化粧水がカット綿から溢れ出すことを防止することを可能とした。

【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧水用ディスペンサー容器は、塗布に必要な化粧水の量を、カット綿より溢れ出すことなく含ませることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の化粧水用ディスペンサーについて実施の形態を図1〜図5に基づき説明する。図1は、本発明の化粧水用ディスペンサーを容器本体にセットした状態の側面図。図2は、本発明の化粧水用ディスペンサーを表わした側面図。図3は、従来の化粧水用ディスペンサーを表わした側面図。図4は、本発明の化粧水用ディスペンサーのノズル先端部の側面図及び突出口の正面を表わした図。図5は、従来の化粧水用ディスペンサーのノズル先端部の側面図及び突出口の正面を表わした図。
【0010】
本発明の化粧水用ディスペンサー容器の材質は、化粧水に用いられることが可能なものであれば、特に制限は無く、樹脂等が成形上の観点から好ましい。
【0011】
本発明の化粧水用ディスペンサー容器のノズル径は、ノズル根元部に対してノズル先端部である突出口の寸法が1.2倍以上になることが好ましく、広がり角度は5〜30度が好ましく、10〜15度がより好ましい。
また、本発明の化粧水用ディスペンサー容器のノズル先端部の突出口の構造は、複数の孔よりなり、その数は2以上が好ましく、3〜6が特に好ましい。
そして、孔の大きさは、上記した数の孔を設けることができれば特に制限は無いが直径が1〜2mmの円形が好ましく、孔の形状も化粧水が分散するように突出できれば特に制限は無いが、円形が好ましい。
孔の配列については、突出口外側に配列することが好ましい。
【実施例】
【0012】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
本発明の化粧水用ディスペンサー容器のノズルは、図1、図2及び図4に示すように、ノズル中央部2a及び根元部に比べ、ノズル突出口2aのある先端部が広がっている。その広がり角度21は、補助線X2に対して補助線X1の角度が、5〜30度になっていることが好ましく、特に10〜15度が好ましい。
【0014】
また、図4に示すように、本発明の化粧水用ディスペンサー容器のノズル突出口2bの構造は、複数の孔2Cよりなり、その数は2以上が好ましく、3〜6が特に好ましく、その配列は、ノズル突出口2bの外径に沿うように外側に重複されること無く配列することが好ましい。
【0015】
次に、予め1回の突出量を0.65mlに調整した本発明の化粧水用ディスペンサー容器の実施例1〜4、及び比較例1を用いて、試料のカット綿への突出面積及び拡がり比率を確認した。
【0016】
〔実施例1〕
根元部から中央部が内径2.54mm一定のノズル径を有し、広がり角度21が10度で広がり、ノズル突出口2bが内径5.16mmのノズル径を有し、更に、ノズル突出口2bの構造が1つの孔を有する化粧水用ディスペンサー容器。
【0017】
〔実施例2〕
根元部から中央部が内径2.54mm一定のノズル径を有し、広がり角度21が10度で広がり、ノズル突出口2bが内径5.16mmのノズル径を有し、更に、ノズル突出口2bの構造が3つの孔をノズル外側部に最列させ、当該孔2cの内径が1.5mmである化粧水用ディスペンサー容器。
【0018】
〔実施例3〕
根元部から中央部が内径2.54mm一定のノズル径を有し、広がり角度21が10度で広がり、ノズル突出口2bが内径5.16mmのノズル径を有し、更に、ノズル突出口2bの構造が6つの孔をノズル外側部に最列させ、当該孔2cの内径が1.5mmである化粧水用ディスペンサー容器。
【0019】
〔実施例4〕
根元部から中央部が内径2.54mm一定のノズル径を有し、広がり角度21が10度で広がり、ノズル突出口2bが内径5.16mmのノズル径を有し、更に、ノズル突出口2bの構造が8つの孔をノズル外側部に最列させ、当該孔2cの内径が1.5mmである化粧水用ディスペンサー容器。
【0020】
〔比較例1〕
根元部からノズル突出口2bまでが内径2.54mm一定のノズル径を有する化粧水用ディスペンサー容器。
【0021】
〔試料〕
精製水を黄色4号にて着色した色水を試料とした。
【0022】
〔確認方法〕
(1)容器本体に試料を充填し、実施例1〜4及び比較例1の化粧水用ディスペンサー容器をセットする。
(2)ノズルの突出口から約1cm離した距離に、突出口とカット綿が並行になるよう設置した状態で、ディスペンサー頭部ボタンを押し、試料を突出する。
(3)カット綿に含浸される状態(溢れ出しの有無)の確認及び分散された試料の面積を測定する。なお、広がり比率は、比較例の突出面積を1として比較算出した。
【0023】
試験結果を表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
表1より、本発明の化粧水用ディスペンサー容器は従来の化粧水用ディスペンサー容器に比較して、突出面積及び広がり比率ともに大きくなっていることがわかる。とりわけ、実施例3の孔数が6の場合は、従来のものと比べ、突出面積で7倍、広がり比率で6倍以上の結果が得られた。また、実施例1〜4全てにおいて、試料吐出時においてカット綿より溢れることなくスムーズに含浸された。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の化粧水用ディスペンサー容器は、塗布に必要な化粧水の量を、カット綿より溢れ出すことなく含ませることができるため、化粧水用のディスペンサー容器として広く応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の化粧水用ディスペンサーを容器本体にセットした状態の側面図。
【図2】本発明の化粧水用ディスペンサーを表わした側面図。
【図3】従来の化粧水用ディスペンサーを表わした側面図。
【図4】本発明の化粧水用ディスペンサーのノズル先端部の側面図及び突出口の正面を表わした図。
【図5】従来の化粧水用ディスペンサーのノズル先端部の側面図及び突出口の正面を表わした図。
【符号の説明】
【0028】
1 ディスペンサー頭部ボタン
2 ノズル
2a ノズル中央部
2b ノズル突出口
2c 孔
21 広がり角度
3 ステム
4 ネジキャップ
5 容器本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧水用ディスペンサー容器において、ノズル吐出口の形状が先広がりとなり、且つ吐出口を複数孔設ける構造を有することを特徴とする吐出口形状。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−114125(P2008−114125A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298106(P2006−298106)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】