説明

医用画像システム

【課題】可搬型記憶媒体に記憶されている医用画像と患者とを正確に対応付ける。
【解決手段】病院Aで作成された可搬媒体50には、患者IDが付帯された医用画像データ及び患者IDを含む患者プロファイル情報が記憶されている。病院Bの患者受付装置10bでは、可搬媒体50から患者プロファイル情報を読み出し、患者IDを病院B固有の患者IDに変更させるID変更指示情報を生成し、患者プロファイル情報とともにID変更指示情報を画像サーバ30bに送信する。画像サーバ30bでは、患者受付装置10bから送信された患者プロファイル情報及びID変更指示情報を受信する。そして、画像サーバ30bは、可搬媒体50から医用画像データを読み出し、患者受付装置10bから受信したID変更指示情報に基づいて、医用画像データに付帯されている患者IDを病院B固有の患者IDに変更し、変更後の医用画像データを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療の分野では、患者を撮影した医用画像のデジタル化が実現されている。例えば、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の画像生成装置(モダリティ)により撮影され、デジタル化された医用画像は、患者情報や検査情報等とともにPACS(Picture Archiving and Communication System)に保存され、管理されている。
【0003】
具体的には、HIS(Hospital Information System:病院情報システム)やRIS(Radiological Information System:放射線情報システム)から患者情報や検査情報を含むオーダ情報がモダリティに送信され、モダリティは、撮影技師の操作に従ってそのオーダ情報に基づいた撮影を行う。そして、その撮影によって得られた医用画像を、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に基づいたデータ形式で生成した後に、PACSに転送する。HISやRISでは、患者情報や検査情報に基づいて、PACSに保存されている医用画像を参照することができる。
【0004】
患者が複数の医療機関を利用する場合には、複数の医療機関相互間において同じ患者の診療情報を交換できると便利である。そのような例として、複数の医療機関がインターネットを介してデータ送受信可能に構成されている医療機関連携システムにおいて、診療情報等について電子メールで情報交換を行うことが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、PACSで管理される医用画像を他のシステムや一般患者へ提供する方法として、ネットワークによる提供とは別に、IHE(Integrating the Healthcare Enterprise)におけるPDI(Portable Data for Imaging)に対応した可搬型の記憶媒体による提供も行われている。これは、医用画像をCD−R(Compact Disk Recordable)やDVD−R(Digital Versatile Disk Recordable)等の記憶媒体に保存し、記憶媒体を搬送することによりデータの移送を行うものである。また、PDIでは、記憶媒体におけるディレクトリ構成や索引ファイル等も規定されており、異なる医療機関の間でのデータ交換が保証されている。
【特許文献1】特開2003−30338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、患者を識別するために各患者に対して付与されている患者IDは、医療機関毎に異なるため、可搬型記憶媒体を介して他の医療機関から医用画像を取り込んだ場合、その医用画像に元の医療機関における患者IDが付帯されていると、別患者の情報として管理されてしまったり、取り込み先の医療機関において同一の患者IDが付与されている患者と対応付けられてしまったりして、医用画像と患者との対応付けを正確に行うことができないおそれがあった。そのため、可搬型記憶媒体に記憶されている医用画像を取り込む際には、ユーザが取り込み先の医療機関における患者IDを入力し直す必要があり、煩雑な作業であった。
【0007】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、可搬型記憶媒体に記憶されている医用画像と患者とを正確に対応付けることができる医用画像システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、一の医療機関に設置された医用画像システムにおいて可搬型記憶媒体に記憶された医用画像及び患者プロファイル情報を読み出して処理する、他の医療機関に設置される医用画像システムであって、前記医用画像には患者ID情報が付帯されており、前記患者プロファイル情報は前記患者ID情報を含み、前記可搬型記憶媒体から前記患者プロファイル情報を読み出し、前記患者ID情報を前記他の医療機関固有の患者ID情報に変更させる指示情報を生成する制御部、及び、前記読み出された患者プロファイル情報とともに、前記生成された指示情報を送信する送信部を有する患者受付装置と、前記患者受付装置から送信された患者プロファイル情報及び指示情報を受信する受信部、及び、前記可搬型記憶媒体から前記医用画像を読み出し、前記受信された指示情報に基づいて、前記読み出された医用画像に付帯されている患者ID情報を前記他の医療機関固有の患者ID情報に変更し、当該医用画像を記憶部に記憶させる制御部を有する画像サーバと、を備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像システムにおいて、前記患者受付装置は、前記他の医療機関固有の患者ID情報を含む患者プロファイル情報を記憶する記憶部を有し、前記患者受付装置の制御部は、前記可搬型記憶媒体から読み出された患者プロファイル情報と前記患者受付装置の記憶部に記憶されている患者プロファイル情報とに基づいて、前記指示情報を生成する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の医用画像システムにおいて、前記患者受付装置の制御部は、前記可搬型記憶媒体から読み出された患者プロファイル情報に対応する患者について前記患者受付装置の記憶部に患者プロファイル情報が記憶されていない場合には、当該患者に前記他の医療機関固有の患者IDを新たに付与する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の医用画像システムにおいて、前記患者プロファイル情報は、患者情報、保険証情報又は患者状態情報を含む。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、医用画像に付帯されている患者ID情報を他の医療機関固有の患者ID情報に変更するので、可搬型記憶媒体に記憶されている医用画像と患者とを正確に対応付けることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、患者受付装置において、可搬型記憶媒体から読み出された患者プロファイル情報と患者受付装置の記憶部に記憶されている患者プロファイル情報とに基づいて、患者ID情報を他の医療機関固有の患者ID情報に変更させる指示情報を生成することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、患者受付装置において、患者プロファイル情報が記憶されていない患者については、他の医療機関固有の患者IDを新たに付与することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、他の医療機関において、可搬型記憶媒体に記憶されている患者情報、保険証情報又は患者状態情報を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る医用画像システムの実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態における医用画像システム1のシステム構成を示す。医用画像システム1は、第1の医用画像システム100及び第2の医用画像システム200を有する。第1の医用画像システム100は病院Aに設置されたシステムであって、他の医療機関に提供するための可搬型記憶媒体(以下、「可搬媒体」という。)50を作成する。第2の医用画像システム200は病院Bに設置されたシステムであって、他の医療機関から提供された可搬媒体50を利用することが可能となっている。なお、図1では、医用画像システム1が二つの医療機関における医用画像システム(第1の医用画像システム100及び第2の医用画像システム200)を有する場合を図示しているが、より多くの医療機関における医用画像システムを含む構成であってもよい。
【0017】
第1の医用画像システム100は、患者受付装置10aと、モダリティ20aと、画像サーバ30aと、診療端末40aとがLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークN1を介して接続され、それぞれがデータ通信可能に構成されている。
【0018】
患者受付装置10aは、病院A内の患者に関する患者プロファイル情報を登録・管理する装置である。患者プロファイル情報には、患者情報、保険証情報、患者状態情報、入外区分(入院/外来)、患者所在等が含まれる。患者情報には、患者ID情報(以下、「患者ID」という。)、氏名、性別、生年月日等が含まれる。患者IDは、医療機関毎に各患者に対して付与される医療機関固有の識別情報であり、同一の医療機関においては各患者の患者IDは、それぞれ異なる。保険証情報には、保険証の交付日、記号、番号、氏名、性別、生年月日、事業所所在地、事業所名称、保険者番号、保険者名称等が含まれる。患者状態情報には、家族構成、感染症、アレルギー、障害(意識障害、言語障害、歩行状態等)等が含まれる。初診時には、患者受付装置10aにおいて患者プロファイル情報が登録される。
【0019】
図2に、患者受付装置10aの機能的構成を示す。図2に示すように、患者受付装置10aは、制御部11、入力部12、表示部13、通信部14、メディアドライブ15、記憶部16等を備えて構成され、各部はバス17により接続されている。
【0020】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、患者受付装置10aの各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、入力部12から入力される操作信号又は通信部14により受信される指示信号に応じて、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0021】
入力部12は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部11に出力する。
【0022】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部11から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0023】
通信部14は、LANアダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークN1を介して接続されたモダリティ20a、画像サーバ30a、診療端末40a等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0024】
メディアドライブ15は、可搬媒体50に記憶されているデータを読み出す。
【0025】
記憶部16は、ハードディスク等の記憶装置であり、病院A固有の患者IDを含む病院A内の患者の患者プロファイル情報等、各種データを記憶する。
【0026】
モダリティ20aは、患者を撮影し、医用画像の画像データ(以下、「医用画像データ」という。)を生成する。具体的には、モダリティ20aは、撮影して得られた画像のデータ信号をDICOM規格に則ったデジタルデータに変換し、当該医用画像データに、患者情報(患者ID、氏名、性別、生年月日等)、検査情報(検査日付、検査時刻、検査インスタンスUID、受付番号、撮影技師、依頼医師、依頼部門等)、シリーズ情報(撮影装置、手技、部位等)等を付帯させる。モダリティ20aとしては、CR装置、CT装置、MRI装置、内視鏡装置、超音波診断装置等、様々な種類の医用画像を撮影するモダリティが適用可能である。
【0027】
画像サーバ30aは、医用画像データを保存し、管理する。
【0028】
図3に、画像サーバ30aの機能的構成を示す。図3に示すように、画像サーバ30aは、制御部31、入力部32、表示部33、通信部34、メディアドライブ35、記憶装置36等を備えて構成され、各部はバス37により接続されている。
【0029】
制御部31は、CPU、ROM、RAM等から構成され、画像サーバ30aの各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、入力部32から入力される操作信号又は通信部34により受信される指示信号に応じて、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0030】
入力部32は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。
【0031】
表示部33は、LCDにより構成され、制御部31から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0032】
通信部34は、LANアダプタ、ルータ、TA等を備え、通信ネットワークN1を介して接続された患者受付装置10a、モダリティ20a、診療端末40a等の外部機器との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部34は、モダリティ20aから送信された医用画像データを受信する。
【0033】
メディアドライブ35は、可搬媒体50に記憶されているデータの読み出しや、可搬媒体50に対するデータの書き込みを行う。
【0034】
記憶装置36は、ハードディスク等から構成され、モダリティ20aにより生成された医用画像データ、病院A内の患者の患者プロファイル情報等を記憶する。記憶装置36内で、医用画像データと患者プロファイル情報とは対応付けられている。
【0035】
制御部31は、メディアドライブ35を介して、病院Aにおける患者IDが付帯された医用画像データと病院Aにおける患者IDを含む患者プロファイル情報とを対応付けて可搬媒体50に記憶させる。
【0036】
診療端末40aは、各診療科に設置されており、画像サーバ30aに記憶されている医用画像データの中から診断対象となる医用画像データを選択し、画像サーバ30aから提供された医用画像データを表示するための装置である。
【0037】
可搬媒体50は、CD−RやDVD−R等の可搬型の記憶媒体であって、DICOM規格に則って生成された医用画像データ及び患者プロファイル情報が記憶される。可搬媒体50に記憶されるデータは、PDIに従ったデータ構造を有している。
【0038】
ここで、図4を参照して、PDIによる可搬媒体50のデータ構造について説明する。図4に示すように、ルートディレクトリ51は、DICOMDIRファイル52、DICOMディレクトリ53、HL7(Health Level 7:医療情報標準化規格)インデックス54、HL7ディレクトリ55を構成要素としている。
【0039】
DICOMDIRファイル52は、可搬媒体50に記憶されている医用画像データを統一的に管理する索引ファイルである。DICOMディレクトリ53は、医用画像データを格納するためのディレクトリである。
【0040】
HL7インデックス54は、可搬媒体50に記憶されている患者プロファイル情報を統一的に管理する索引ファイルである。HL7ディレクトリ55は、患者プロファイル情報を記述したHL7電文を格納するためのディレクトリである。
【0041】
第2の医用画像システム200は、図1に示すように、患者受付装置10bと、モダリティ20bと、画像サーバ30bと、診療端末40bとがLAN等の通信ネットワークN2を介して接続され、それぞれがデータ通信可能に構成されている。
【0042】
患者受付装置10bは、図2に示した患者受付装置10aと同様の構成によってなるため、同一の構成部分については同一の符号を付し、その構成については図示及び説明を省略する。
【0043】
ここで、患者受付装置10bに特徴的な構成について説明する。
患者受付装置10bの記憶部16は、病院B固有の患者IDを含む病院B内の患者の患者プロファイル情報等、各種データを記憶する。
【0044】
患者受付装置10bの制御部11は、メディアドライブ15を介して、可搬媒体50から患者プロファイル情報を読み出す。そして、制御部11は、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報と記憶部16に記憶されている患者プロファイル情報とに基づいて、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に含まれる患者IDを病院Bにおける患者IDに変更させる指示情報(以下、「ID変更指示情報」という。)を生成する。具体的には、まず、制御部11は、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に対応する患者について記憶部16に患者プロファイル情報が記憶されているか否かを判断する。
【0045】
可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に対応する患者について記憶部16に患者プロファイル情報が記憶されていない場合には、制御部11は、この患者に病院B固有の患者IDを新たに付与し、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に含まれる患者IDを新たに付与された病院Bにおける患者IDに変更させるID変更指示情報を生成する。そして、制御部11は、通信部14を介して、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報とともに、ID変更指示情報を画像サーバ30bに送信させる。
【0046】
一方、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に対応する患者について記憶部16に患者プロファイル情報が記憶されている場合であって、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に含まれる患者IDと、記憶部16に記憶されている患者プロファイル情報に含まれる病院Bにおける患者IDとが一致しないときには、制御部11は、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に含まれる患者IDを病院Bにおける患者IDに変更させるID変更指示情報を生成する。そして、制御部11は、通信部14を介して、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報とともに、ID変更指示情報を画像サーバ30bに送信させる。
【0047】
画像サーバ30bは、図3に示した画像サーバ30aと同様の構成によってなるため、同一の構成部分については同一の符号を付し、その構成については図示及び説明を省略する。
【0048】
ここで、画像サーバ30bに特徴的な構成について説明する。
画像サーバ30bの記憶装置36は、医用画像データ、病院B内の患者の患者プロファイル情報等を記憶する。記憶装置36内で、医用画像データと患者プロファイル情報とは対応付けられている。
【0049】
画像サーバ30bの通信部34は、患者受付装置10bから送信された患者プロファイル情報及びID変更指示情報を受信する。
【0050】
画像サーバ30bの制御部31は、メディアドライブ35を介して、可搬媒体50から医用画像データを読み出す。そして、制御部31は、患者受付装置10bから受信したID変更指示情報に基づいて、可搬媒体50から読み出された医用画像データに付帯されている患者IDを病院Bにおける患者IDに変更し、医用画像データを記憶装置36に記憶させる。
【0051】
モダリティ20bは、モダリティ20aと同様の構成によってなるため、その構成については説明を省略する。また、診療端末40aは、診療端末40bと同様の構成によってなるため、その構成については説明を省略する。
【0052】
次に、動作を説明する。
図5は、第1の医用画像システム100の画像サーバ30aにおいて実行される可搬媒体作成処理を示すフローチャートである。この処理は、病院Aにおいて患者を撮影して得られた医用画像データを、他の医療機関においても利用可能なように、可搬媒体50に記憶させる処理である。
【0053】
まず、画像サーバ30aの入力部32からの操作により、記憶装置36に記憶されている医用画像データの中から、可搬媒体50に記憶すべき医用画像データが選択される(ステップS1)。
【0054】
次に、制御部31により、選択された医用画像データが記憶装置36から読み出され、メディアドライブ35を介して、可搬媒体50に記憶される(ステップS2)。そして、制御部31により、可搬媒体50に記憶された医用画像データに対応する患者プロファイル情報が記憶装置36から読み出され、メディアドライブ35を介して、医用画像データと対応付けられて可搬媒体50に記憶される(ステップS3)。具体的には、図4に示すように、可搬媒体50において、DICOMディレクトリ53に医用画像データが格納され、HL7ディレクトリ55に患者プロファイル情報が格納される。
以上で、可搬媒体作成処理が終了する。
【0055】
可搬媒体50に、医用画像データと患者プロファイル情報とが対応付けられて記憶されるので、可搬媒体50を作成する際に、医用画像データと患者プロファイル情報との対応付けが保証される。
【0056】
図6は、第2の医用画像システム200の患者受付装置10bにおいて実行される患者受付処理を示すフローチャートである。この処理は、患者が可搬媒体50を病院Bに持参した場合に行われる処理である。
【0057】
まず、患者受付装置10bのメディアドライブ15に可搬媒体50がセットされ、制御部11により、メディアドライブ15を介して、可搬媒体50から患者プロファイル情報が読み出される(ステップS11)。
【0058】
次に、制御部11により、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報と、記憶部16に記憶されている病院B内の患者の患者プロファイル情報とが比較される(ステップS12)。
【0059】
可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に対応する患者について記憶部16に患者プロファイル情報が記憶されていない場合、すなわち、この患者が病院Bにおいて登録されていない場合には(ステップS13;No)、制御部11により、この患者に新たな患者ID(病院B固有の患者ID)が付与される(ステップS14)。そして、制御部11により、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報の患者IDが新たに付与された病院Bにおける患者IDに変更され、変更後の患者プロファイル情報が記憶部16に記憶される。次いで、制御部11により、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に含まれる患者IDを新たに付与された病院Bにおける患者IDに変更させるID変更指示情報が生成される(ステップS15)。そして、制御部11の制御に従って、通信部14により、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報とともに、ID変更指示情報が画像サーバ30bに送信される(ステップS16)。
【0060】
一方、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に対応する患者について記憶部16に患者プロファイル情報が記憶されている場合、すなわち、この患者が病院Bにおいて登録されている場合には(ステップS13;Yes)、制御部11により、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に含まれる患者IDと、記憶部16に記憶されている患者プロファイル情報に含まれる病院Bにおける患者IDとが一致するか否かが判断される(ステップS17)。
【0061】
可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に含まれる患者IDと病院Bにおける患者IDとが一致しない場合には(ステップS17;No)、制御部11により、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に含まれる患者IDを病院Bにおける患者IDに変更させるID変更指示情報が生成される(ステップS15)。また、制御部11により、記憶部16に記憶されている患者プロファイル情報のうち患者IDを除く情報については、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に基づいて更新される。次いで、制御部11の制御に従って、通信部14により、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報とともに、ID変更指示情報が画像サーバ30bに送信される(ステップS16)。
【0062】
ステップS17において、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に含まれる患者IDと病院Bにおける患者IDとが一致する場合には(ステップS17;Yes)、可搬媒体50が病院B内で作成されたか、病院Bからの撮影指示に基づいて他の病院で撮影された場合等が考えられ、患者IDの変更は不要であり、そのまま処理が終了する。
以上で、患者受付処理が終了する。
【0063】
図7は、第2の医用画像システム200の画像サーバ30bにおいて実行される画像登録処理を示すフローチャートである。この処理は、患者が持参した可搬媒体50に記憶されている医用画像データを記憶装置36に登録する場合に行われる処理である。
【0064】
画像サーバ30bの通信部34により、患者受付装置10bから送信された患者プロファイル情報及びID変更指示情報が受信された場合には(ステップS21;Yes)、制御部31により、患者プロファイル情報及びID変更指示情報が記憶装置36に記憶される。具体的には、制御部31により、新規に登録される患者の場合には患者プロファイル情報が登録され、既に登録されている患者の場合には患者IDを除く患者プロファイル情報が更新される(ステップS22)。
【0065】
その後、画像サーバ30bのメディアドライブ35に可搬媒体50がセットされると、制御部31により、メディアドライブ35を介して可搬媒体50に記憶されている医用画像データが読み出される(ステップS23)。そして、制御部31により、可搬媒体50から読み出された医用画像データに付帯されている患者IDに対応するID変更指示情報に基づいて、医用画像データに付帯されている患者IDが病院Bにおける患者IDに変更される(ステップS24)。患者IDが変更された医用画像データは、制御部31により、記憶装置36に記憶される(ステップS25)。
【0066】
一方、ステップS21において、患者受付装置10bから患者プロファイル情報及びID変更指示情報が受信されない場合(ステップS21;No)、すなわち、患者IDを変更する必要がない場合には、画像サーバ30bのメディアドライブ35に可搬媒体50がセットされると、制御部31により、メディアドライブ35を介して可搬媒体50に記憶されている医用画像データが読み出される(ステップS26)。そして、制御部31により、読み出された医用画像データは記憶装置36に記憶される(ステップS25)。
以上で、画像登録処理が終了する。
【0067】
図8に、画像サーバ30bの記憶装置36のデータ構造の例を示す。
図8に示すように、医用画像データには、患者ID、患者氏名、検査インスタンスUID、検査日、シリーズインスタンスUID、部位、SOPインスタンスUID等の情報が付帯されている。可搬媒体50から読み出した医用画像データ56(患者ID:P001、患者氏名:渋谷孝則)を記憶装置36に新規に登録する場合、患者IDのみに基づいて記憶装置36に既に登録されている医用画像データと対応付けてしまうと、病院Bにおいて同一の患者IDとして登録されている「品川五郎」の医用画像データと対応付けられることになる。そこで、上述したように、患者受付装置10bにおいて、予め、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報と記憶部16に記憶されている患者プロファイル情報とに基づいて、患者ID「P001」の医用画像データに対して、病院Bにおける患者ID「P005」に変更させるID変更指示情報を生成し、画像サーバ30bに送信しておくことにより、画像サーバ30bでは医用画像データと患者とを正確に対応付けることができる。
【0068】
以上説明したように、画像サーバ30bにおいて、可搬媒体50から読み出した医用画像データに付帯されている患者IDを病院B固有の患者IDに変更するので、可搬媒体50に記憶されている医用画像データと患者とを正確に対応付けることができる。
【0069】
また、患者受付装置10bにおいて、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報と記憶部16に記憶されている患者プロファイル情報とに基づいて、患者IDを病院B固有の患者IDに変更させるID変更指示情報を生成することができる。また、患者受付装置10bにおいて、記憶部16に患者プロファイル情報が記憶されていない患者については、病院B固有の患者IDを新たに付与することができる。
【0070】
また、病院Bに設置された第2の医用画像システム200において、可搬媒体50に記憶されている患者情報、保険証情報又は患者状態情報等の患者プロファイル情報を利用することができる。したがって、患者受付装置10bにおいて、ユーザが入力部12から患者プロファイル情報を再入力する必要がない。
【0071】
なお、患者受付処理及び画像登録処理において、可搬媒体50に記憶されている患者プロファイル情報に対応する患者の患者プロファイル情報が患者受付装置10bの記憶部16又は画像サーバ30bの記憶装置36に記憶されている場合に、患者IDを除く患者プロファイル情報を更新することとしたが、可搬媒体50に記憶されている患者プロファイル情報が患者受付装置10bの記憶部16又は画像サーバ30bの記憶装置36に記憶されている患者プロファイル情報より古い場合には、データの更新は行わない。
【0072】
<変形例1>
次に、上記実施の形態で説明した医用画像システムを大規模な病院に適用した場合の例として変形例1及び変形例2を説明する。
図9に、変形例1における医用画像システム300のシステム構成を示す。医用画像システム300は、病院Cに設置されている。図9に示すように、医用画像システム300は、患者受付装置10cと、電子カルテシステム60と、部門システム70と、画像サーバ30cとがLAN等の通信ネットワークを介して接続され、それぞれがデータ通信可能に構成されている。
【0073】
患者受付装置10cは、上記実施の形態に示した患者受付装置10bと同様の構成によってなるため、同一の構成部分については同一の符号を付し、その構成については図示及び説明を省略する。患者受付装置10cは、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報とともに、可搬媒体50から読み出された患者プロファイル情報に含まれる患者IDを病院Cにおける患者IDに変更させるID変更指示情報を電子カルテシステム60に送信する。
【0074】
電子カルテシステム60は、HISにより構成される。電子カルテシステム60は、内科、外科、皮膚科等の各診療科の医師によって使用され、患者単位で問診、所見、診断、過去の病歴等の情報管理を行う。また、電子カルテシステム60は、治療計画に基づき、各種検査オーダ情報、処方オーダ情報等を病院内の各部門に送信する。また、電子カルテシステム60は、患者受付装置10cから受信した患者プロファイル情報及びID変更指示情報を部門システム70に送信する。また、電子カルテシステム60では、画像サーバ30cに記憶されている医用画像データを参照可能である。
【0075】
部門システム70は、RISにより構成され、放射線科部門内における診療予約、検査の開始/終了、診断結果等の情報管理を行う。また、部門システム70は、電子カルテシステム60から受信した患者プロファイル情報及びID変更指示情報を画像サーバ30cに送信する。
【0076】
画像サーバ30cは、上記実施の形態に示した画像サーバ30bと同様の構成によってなるため、同一の構成部分については同一の符号を付し、その構成については図示及び説明を省略する。画像サーバ30cは、部門システム70から患者プロファイル情報及びID変更指示情報を受信する。画像サーバ30cの制御部31は、メディアドライブ35を介して、可搬媒体50から医用画像データを読み出し、部門システム70から受信したID変更指示情報に基づいて、可搬媒体50から読み出された医用画像データに付帯されている患者IDを病院Cにおける患者IDに変更し、医用画像データを記憶装置36に記憶させる。
【0077】
可搬媒体50から読み出された医用画像データが画像サーバ30cの記憶装置36に記憶された後は、電子カルテシステム60において、画像サーバ30cの記憶装置36に記憶された、可搬媒体50から読み出された医用画像データを参照可能となる。
【0078】
このように、大規模な病院における医用画像システム300においても、画像サーバ30cで医用画像データに付帯されている患者IDを病院C固有の患者IDに変更することができるので、可搬媒体50に記憶されている医用画像データと患者とを正確に対応付けることができる。
【0079】
<変形例2>
図10に、変形例2における医用画像システム400のシステム構成を示す。医用画像システム400は、病院Dに設置されている。図10に示すように、医用画像システム400は、患者受付装置10dと、電子カルテシステム60と、部門システム70と、検像装置80と、画像サーバ30dとがLAN等の通信ネットワークを介して接続され、それぞれがデータ通信可能に構成されている。変形例2における医用画像システム400は、変形例1における医用画像システム300に検像装置80を加えた構成であるため、同一の構成部分については同一の符号を付し、その構成については説明を省略する。
【0080】
部門システム70は、電子カルテシステム60から受信した患者プロファイル情報及びID変更指示情報を検像装置80に送信する。
【0081】
検像装置80は、医用画像データを画像サーバ30dに保存する前に、医用画像を表示させ、画像のチェックを行うための装置である。例えば、診断に適した画質であるか否かの確認、画像の順序・配置の変更等が行われる。検像装置80は、部門システム70から患者プロファイル情報及びID変更指示情報を受信する。また、検像装置80は、可搬媒体50から医用画像データを読み出し、部門システム70から受信したID変更指示情報に基づいて、可搬媒体50から読み出された医用画像データに付帯されている患者IDを病院Dにおける患者IDに変更し、医用画像データを画像サーバ30dに送信する。
【0082】
画像サーバ30dの制御部31は、検像装置80から患者IDが変更された医用画像データを受信し、記憶装置36に記憶させる。
【0083】
このように、大規模な病院における医用画像システム400においても、検像装置80で医用画像データに付帯されている患者IDを病院D固有の患者IDに変更することができるので、可搬媒体50に記憶されている医用画像データと患者とを正確に対応付けることができる。
【0084】
なお、上記実施の形態、変形例1及び変形例2における記述は、本発明に係る医用画像システムの一例であり、これに限定されるものではない。各システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施の形態における医用画像システムのシステム構成図である。
【図2】患者受付装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】画像サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】可搬媒体のデータ構造を示す図である。
【図5】可搬媒体作成処理を示すフローチャートである。
【図6】患者受付処理を示すフローチャートである。
【図7】画像登録処理を示すフローチャートである。
【図8】画像サーバの記憶装置のデータ構造の例を示す図である。
【図9】変形例1における医用画像システムのシステム構成図である。
【図10】変形例2における医用画像システムのシステム構成図である。
【符号の説明】
【0086】
1 医用画像システム
10a,10b,10c,10d 患者受付装置
11 制御部
12 入力部
13 表示部
14 通信部
15 メディアドライブ
16 記憶部
17 バス
20a,20b モダリティ
30a,30b,30c,30d 画像サーバ
31 制御部
32 入力部
33 表示部
34 通信部
35 メディアドライブ
36 記憶装置
37 バス
40a,40b 診療端末
50 可搬媒体
60 電子カルテシステム
70 部門システム
80 検像装置
100 第1の医用画像システム
200 第2の医用画像システム
300,400 医用画像システム
N1,N2 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の医療機関に設置された医用画像システムにおいて可搬型記憶媒体に記憶された医用画像及び患者プロファイル情報を読み出して処理する、他の医療機関に設置される医用画像システムであって、
前記医用画像には患者ID情報が付帯されており、
前記患者プロファイル情報は前記患者ID情報を含み、
前記可搬型記憶媒体から前記患者プロファイル情報を読み出し、前記患者ID情報を前記他の医療機関固有の患者ID情報に変更させる指示情報を生成する制御部、及び、前記読み出された患者プロファイル情報とともに、前記生成された指示情報を送信する送信部を有する患者受付装置と、
前記患者受付装置から送信された患者プロファイル情報及び指示情報を受信する受信部、及び、前記可搬型記憶媒体から前記医用画像を読み出し、前記受信された指示情報に基づいて、前記読み出された医用画像に付帯されている患者ID情報を前記他の医療機関固有の患者ID情報に変更し、当該医用画像を記憶部に記憶させる制御部を有する画像サーバと、
を備える医用画像システム。
【請求項2】
前記患者受付装置は、前記他の医療機関固有の患者ID情報を含む患者プロファイル情報を記憶する記憶部を有し、
前記患者受付装置の制御部は、前記可搬型記憶媒体から読み出された患者プロファイル情報と前記患者受付装置の記憶部に記憶されている患者プロファイル情報とに基づいて、前記指示情報を生成する請求項1に記載の医用画像システム。
【請求項3】
前記患者受付装置の制御部は、前記可搬型記憶媒体から読み出された患者プロファイル情報に対応する患者について前記患者受付装置の記憶部に患者プロファイル情報が記憶されていない場合には、当該患者に前記他の医療機関固有の患者IDを新たに付与する請求項2に記載の医用画像システム。
【請求項4】
前記患者プロファイル情報は、患者情報、保険証情報又は患者状態情報を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の医用画像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−234305(P2008−234305A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72820(P2007−72820)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】