説明

医用画像処理システム、医用画像処理方法、及びプログラム

【課題】重要な診断支援情報を適切に特定することができる医用情報処理システムを提供すること。
【解決手段】医用情報処理システムは、診断時に診断支援情報を診断者に提示する診断支援情報提示部と、診断支援情報提示部が提示した診断支援情報のうち、診断時に診断者によって参照された診断支援情報を特定する参照情報特定部と、参照情報特定部が特定した診断支援情報をより重要度が高い診断支援情報として格納する診断結果データベースとを備え、診断支援情報提示部は、診断結果データベースがより重要度が高い診断支援情報として格納している診断支援情報を、診断者に優先して提示するを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理システム、医用画像処理方法、及びプログラムに関する。特に本発明は、医用画像を処理する医用画像処理システム及び医用画像処理方法、並びに医用画像処理システム用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線科の読影結果、依頼科の診断結果、CADでの診断結果、最終的な確定診断を診断履歴情報として記録し、食い違い診断例などの参考症例の画像を端末からの簡単な指定で端末上に表示し得る参考症例検索方式が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、章・節単位等の参照頻度として、参照回数、参照者、参照日時を参照頻度情報として設け、ブック表示時、同情報から参照者あるいは期間を条件として検索し、参照マーカを参照頻度に応じて該当箇所に生成表示するページ表示方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平5−101122号公報
【特許文献2】特開平10−154158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の技術では、初期診断結果と異なる診断が下された場合に、いずれの診断支援情報に基づいて誤診であることが判明したかを記録しておくことができない。また、参照頻度が高い情報が重要であるとは限らないので、特許文献2に記載の技術を応用しても、重要な診断支援情報を適切に提示することができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、医用情報処理システムであって、診断時に診断支援情報を診断者に提示する診断支援情報提示部と、診断支援情報提示部が提示した診断支援情報のうち、診断時に診断者によって参照された診断支援情報を特定する参照情報特定部と、参照情報特定部が特定した診断支援情報をより重要度が高い診断支援情報として格納する重要情報格納部とを備え、診断支援情報提示部は、重要情報格納部がより重要度が高い診断支援情報として格納している診断支援情報を、診断者に優先して提示する。
【0005】
参照情報特定部は、既に診断されていた初期診断結果と異なる診断結果を診断者が同じ診断対象に対して診断した場合に、初期診断結果が診断されてから、異なる診断結果が診断された時点までの間に当該診断者によって参照された診断支援情報を特定してよい。また、参照情報特定部は、既に診断されていた初期診断結果と異なる確定診断結果が同じ診断対象に対して診断された場合に、確定診断結果と同じ診断結果が診断されたときに診断者によって参照された診断支援情報を特定してよい。
【0006】
本発明の第2の形態によると、医用情報処理方法であって、診断時に診断支援情報を診断者に提示する診断支援情報提示段階と、診断支援情報提示段階において提示された診断支援情報のうち、診断時に診断者によって参照された診断支援情報を特定する参照情報特定段階と、参照情報特定段階において特定された診断支援情報をより重要度が高い診断支援情報として格納する重要情報格納段階とを備え、診断支援情報提示段階は、重要情報格納段階においてより重要度が高い診断支援情報として格納された診断支援情報を、診断者に優先して提示する。
【0007】
本発明の第3の形態によると、医用情報処理システム用のプログラムであって、医用情報処理システムを、診断時に診断支援情報を診断者に提示する診断支援情報提示部、診断支援情報提示部が提示した診断支援情報のうち、診断時に診断者によって参照された診断支援情報を特定する参照情報特定部、参照情報特定部が特定した診断支援情報をより重要度が高い診断支援情報として格納する重要情報格納部として機能させ、診断支援情報提示部を、重要情報格納部がより重要度が高い診断支援情報として格納している診断支援情報を、診断者に優先して提示させる。
【0008】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、一実施形態に係る医用情報処理システム100の利用環境の一例を示す。医用情報処理システム100は、医用情報処理装置110、診断支援情報データベース120、複数の読影者端末150a−d(以下、読影者端末150と総称する)、及び複数の医用画像撮像装置170a−c(以下、医用画像撮像装置170と総称する。)を備える。診断支援情報データベース120は、医学情報データベース130、症例データベース140、及び診断結果データベース145を有する。
【0011】
読影者端末150a及び医用画像撮像装置170aは診断サイト102aに設けられ、読影者端末150aは医用画像撮像装置170aが撮像した読影対象画像を読影者190aに読影させる。また、読影者端末150b及び医用画像撮像装置170bは診断サイト102bに設けられ、医用画像撮像装置170bが撮像した読影対象画像を読影者190bに読影させる。また、読影者端末150c及び医用画像撮像装置170cは診断サイト102cに設けられ、医用画像撮像装置170cが撮像した読影対象画像を読影者190cに読影させる。一例としては、診断サイト102a、診断サイト102b、及び診断サイト102cは互いに異なる病院等の診療・医療機関であってよい。
【0012】
医用情報処理装置110、診断支援情報データベース120、及び読影者端末150dは診断サイト102a−cと異なる診断サイト102dに設けられる。医用情報処理装置110は、医用画像撮像装置170と通信回線160を通じて接続されており、医用画像撮像装置170から読影対象画像を収集して症例データベース140に格納する。そして、読影者端末150は、症例データベース140に格納された読影対象画像を表示する。なお、診断サイト102dは、遠隔読影サービスを提供する機関であってよい。なお、読影者端末150a−cも、通信回線160を通じて症例データベース140が格納している読影対象画像を取得して、読影者190a−cに読影させることができる。
【0013】
医学情報データベース130は、診断を支援する医学的情報を、ハードディスク、不揮発性の半導体メモリ等の、電子的に記録することができる記録媒体に格納している。医学的情報とは、疾患の解説データ、病変部を含む画像を読影する場合に注意すべきポイント、所見として記載すべきポイント、及び代表的な症例画像を含む。また、症例データベース140は、複数の症例情報を、ハードディスク、不揮発性の半導体メモリ等の、電子的に記録することができる記録媒体に格納している。症例情報とは、症例画像、所見、確定された診断結果、カルテデータ等の診療記録を含む。
【0014】
医用情報処理装置110は、診断支援情報データベース120と接続されている。医用情報処理装置110は、医学情報データベース130が格納している医学情報及び症例データベース140が格納している症例情報を電子的に読み出すことができる。医用情報処理装置110は、通信回線160を介して読影者端末150と接続されており、医学情報データベース130及び症例データベース140から読み出した医学情報及び症例情報を、通信回線160を通じて読影者端末150に電子的に提供する。
【0015】
読影者端末150は、医用画像撮像装置170が撮像した読影対象画像を取得して、読影者190に提示する。このとき、読影者端末150は、医用情報処理装置110から取得した関連する医学情報及び症例情報を、読影対象画像とともに提示する。そして、読影者端末150は、読影者190から所見の入力を受け付けて、入力された所見及び読影対象画像を医用情報処理装置110に通信回線160を通じて送信する。医用情報処理装置110は、読影者端末150から受け取った所見及び読影対象画像を含む症例データを、新たな症例情報として症例データベース140に格納させる。
【0016】
なお、カメラ180は、読影者190が読影しているときに読影者190を撮影しており、撮像した画像を読影者端末150に供給する。読影者端末150は、カメラ180が撮像した画像から、読影者190の視線を特定する。読影者端末150は、検出した読影者190の視線の先に表示されている症例情報を特定する情報を、医用情報処理装置110に送信する。医用情報処理装置110は、読影者端末150から送信された情報によって特定される症例情報を、より重要な症例情報であるとして診断結果データベース145に格納させる。そして、読影者端末150は、他の読影者190による読影時に、診断結果データベース145が格納しているより重要な症例情報をより優先して提示する。
【0017】
なお、医用画像撮像装置170は、X線CT装置、トモシンセシス装置、MRI装置等の、放射線を含む電磁波を利用して被検者の画像を撮像する撮像装置であってよい。なお、ここでは複数の診断サイト102にまたがるシステムとして医用情報処理システム100を説明したが、医用情報処理システム100は、一の診断サイト102内で閉じたシステムであってもよい。この場合、診断サイト102は一の医療機関内の異なる部門であってよい。例えば、診断サイト102は一の医療機関内の異なる診療科であってよい。
【0018】
このように、医用情報処理システム100を実際のシステムに適用すると、読影者190が不足している病院に対して読影を代行する遠隔読影代行システムとして機能したり、一の病院における診断結果に対するセカンドオピニオンを他の病院に依頼することができるセカンドオピニオン提供システムとして機能し得る場合がある。また、医用情報処理システム100を実際のシステムに適用すると、医学情報データベース130に格納されている医学情報及び症例データベース140に格納されている症例情報を読影者端末150に電子的に提供することができ、言うなれば症例を必要に応じて動的に追加することができる電子医学書として機能し得る場合がある。なお、診断結果データベース145は、この発明における重要情報格納部の一例である。
【0019】
図2は、医用情報処理装置110及び読影者端末150のブロック構成の一例を示す。読影者端末150は、入力部210、視線特定部220、表示指示受付部240、参照回数検出部265、参照時間検出部260、参照情報送信部250、及び診断支援情報提示部230を有する。医用情報処理装置110は、診断結果取得部280、重要度算出部285、表示比率算出部275、参照情報特定部270、及び類似症例画像選択部290を有する。以下に、診断支援情報データベース120が格納するデータとともに、医用情報処理装置110の各構成要素の動作を説明する。
【0020】
類似症例画像選択部290は、医学情報データベース130及び症例データベース140が格納している症例画像の中から、診断対象の画像である診断対象画像と類似する画像特徴量を有する症例画像を選択する。具体的には、類似症例画像選択部290は、診断対象画像が含む異常陰影と円形度、大きさ、濃さ等の画像特徴量が類似する異常陰影を含む症例画像を選択する。
【0021】
診断支援情報提示部230は、診断時に診断支援情報を読影者190に提示する。具体的には、診断支援情報提示部230は、当該類似する症例画像を読影者190に提示する。
【0022】
視線特定部220は、読影者190の視線を検出する。そして、視線特定部220は、視線特定部220が検出した視線の先に提示されている診断支援情報を医用情報処理装置110に送信する。
【0023】
また、参照回数検出部265は、読影者190によって症例画像が参照された回数を検出する。具体的には、参照回数検出部265は、視線特定部220の検出結果に基づいて、視線の先に提示されている症例画像に視線が移った回数を、当該参照された回数として検出する。また、参照時間検出部260は、読影者190によって症例画像が参照された時間長さを検出する。具体的には、参照時間検出部260は、視線特定部220の検出結果に基づいて、視線の先に提示されている症例画像が読影者190により参照されている時間を検出する。
【0024】
また、入力部210は、読影者190からの情報を入力する。具体的には、入力部210は、読影者190による診断結果を特定する情報を読影者190から入力する。読影者端末150は、入力部210から入力された診断結果を特定する情報を、医用情報処理装置110に送信する。
【0025】
他にも、入力部210は、症例画像の表示状態を変更する指示を入力する。そして、表示指示受付部240は、診断支援情報提示部230が表示する症例画像のうち、より高解像度で表示すべき症例画像を指定する指示を読影者190から受け付ける。具体的には、入力部210からの指示に基づいて、より高解像度で表示すべき症例画像を指定する指示を読影者190から受け付ける。
【0026】
なお、参照回数検出部265は、表示指示受付部240が受け付けた指示の回数を、参照された回数として検出してもよい。また、参照時間検出部260は、高解像度で表示している時間を、参照されている時間として検出してもよい。そして、参照情報送信部250は、参照時間検出部260が検出した時間及び参照回数検出部265が検出した回数を、診断支援情報提示部230が提示した症例画像を特定する情報に対応づけて医用情報処理装置110に送信する。
【0027】
参照情報特定部270は、参照情報送信部250が送信した情報を取得する。そして、参照情報特定部270は、受け取った情報に基づいて、診断支援情報提示部230が提示した症例画像のうち、診断時に読影者190によって参照された症例画像を特定する。なお、症例画像は、この発明における診断支援情報或いは症例情報の一例であってよい。また、診断結果取得部280は、入力部210から入力された診断結果を、読影者端末150から受信する。他にも、参照情報特定部270は、表示指示受付部240が受け付けた指示により指定された症例画像を、読影者190によって参照された症例画像として特定してよい。
【0028】
そして、参照情報特定部270は、既に診断されていた初期診断結果と異なる診断結果を読影者190が同じ診断対象に対して診断した場合に、初期診断結果が診断されてから、異なる診断結果が診断された時点までの間に当該読影者190によって参照された症例画像を特定する。具体的には、参照情報特定部270は、既に診断されていた初期診断結果と異なる確定診断結果が同じ診断対象に対して診断された場合に、確定診断結果と同じ診断結果が診断されたときに読影者190によって参照された症例画像を特定する。参照情報特定部270は、特定した症例画像を識別する情報を、当該症例画像が参照された回数及び時間とともに、重要度算出部285に供給する。
【0029】
重要度算出部285は、参照情報特定部270から供給された情報に基づいて、重要度を算出する。具体的には、重要度算出部285は、参照回数検出部265が検出した回数が多いほど、より高い重要度を決定する。また、重要度算出部285は、参照時間検出部260が検出した時間長さが長いほど、より高い重要度を算出する。そして、重要度算出部285は、算出した重要度を診断結果データベース145に供給する。診断結果データベース145は、重要度算出部285から供給された重要度に対応づけて症例画像を格納する。
【0030】
なお、表示比率算出部275は、前記類似症例画像選択部により選択された回数に対する、参照回数検出部265が検出した回数の比率を症例画像毎に算出する。そして、重要度算出部285は、表示比率算出部275が算出した比率が大きいほどより高い重要度を算出してよい。
【0031】
このように、診断結果データベース145は、参照情報特定部270が特定した症例画像をより重要度が高い症例画像として格納する。具体的には、診断結果データベース145は、参照回数検出部265が検出した回数が多いほどより高い重要度に対応づけて参照情報特定部270が特定した症例画像を格納する。また、診断結果データベース145は、参照時間検出部260が検出した時間長さが長いほどより高い重要度に対応づけて参照情報特定部270が特定した症例画像を格納する。
【0032】
そして、診断支援情報提示部230は、診断結果データベース145がより重要度が高い診断支援情報として格納している診断支援情報を、読影者190に優先して提示する。例えば、診断支援情報提示部230は、診断結果データベース145がより重要度が高い診断支援情報として格納している診断支援情報をより強調して表示する。
【0033】
なお、類似症例画像選択部290は、診断結果データベース145が格納している症例画像の中から、診断対象の画像である診断対象画像と類似する画像特徴量を有する症例画像を選択してよい。そして、診断支援情報提示部230は、類似症例画像選択部290が選択した症例画像と対比させて診断対象画像を表示してよい。なお、読影者190は、この発明における診断者の一例であってよい。
【0034】
以上説明した医用情報処理システム100のように、医用情報処理装置110を実際のシステムとして適用すると、初期診断結果と異なる診断結果が下された場合に参照された症例画像を他の読影者190に優先して提供することができる場合がある。このため、医用情報処理システム100によると、診断を変えるきっかけとなった症例画像を読影者190に提供することができる。
【0035】
図3は、読影者端末150及び医用情報処理装置110の動作フローの一例を示す。読影者端末150は、医用情報処理装置110に読影対象画像を要求する(S302)。医用情報処理装置110は、読影者端末150から要求された読影対象画像を送信する(S304)。なお、診断支援情報提示部230は、医用情報処理装置110から送信された読影対象画像を表示する(S306)。
【0036】
なお、類似症例画像選択部290は、読影者端末150から要求された読影対象画像が有する画像特徴量と類似する画像特徴量を有する類似症例画像を、症例データベース140又は医学情報データベース130が格納している症例画像の中から検索する(S308)。そして、医用情報処理装置110は、類似症例画像選択部290が検索した類似症例画像を、読影者端末150に送信する(S310)。
【0037】
読影者端末150は、医用情報処理装置110から受け取った類似症例画像を、読影対象画像に対比させる形でサムネイル表示する(S312)。そして、表示指示受付部240は、類似症例画像を選択する指示を受け付ける(S314)。なお、当該選択する指示を表示指示受付部240が受け付けた場合に、診断支援情報提示部230は、選択された類似症例画像を拡大して表示する。
【0038】
そして、入力部210から診断結果が入力される(S316)と、参照情報送信部250は、診断結果が入力されるまでに参照された類似症例画像を特定して(S320)、当該類似症例画像を参照した時間及び回数と、当該類似症例画像を特定する情報とを含む参照情報を医用情報処理装置110に送信する(S320)。また、医用情報処理装置110は、診断結果を医用情報処理装置110に送信する。そして、参照情報特定部270は、読影者端末150から受け取った診断結果が既に下されていた診断結果と異なる場合に、重要度算出部285は読影者端末150から受け取った参照情報に基づいて重要度を算出して、算出した重要度に対応づける形で当該参照情報が示す類似症例画像を診断結果データベース145に記録させる(S322)。
【0039】
図4は、医学情報データベース130が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す。医学情報データベース130は、いわゆる電子的な医学辞書に格納されている医学情報データを格納する。
【0040】
具体的には、医学情報データベース130は、疾患を識別する疾患ID、疾患を示す症例画像を識別する画像ID、及び疾患情報データを対応づけて格納している。医学情報データベース130が格納する症例画像は、疾患の代表的な症例画像であってよい。例えば、医学情報データベース130が格納している症例画像は、いわゆる書籍の医学書に掲載されている症例画像であってよく、疾患の特徴的な特徴を有する症例画像であってよい。また、疾患情報データとは、疾患の特徴、読影時に注意すべきポイント、所見として記載すべきポイント、所見の文例、誤診しやすい他の疾患名等、疾患に関連して読影者190に提供すべき文字情報及び画像情報を含んでよい。
【0041】
図5は、症例データベース140が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す。症例データベース140は、医用画像撮像装置170が撮像した画像を症例画像として、その診断結果とともに格納する。
【0042】
具体的には、症例データベース140は、読影者190を一意に識別するユーザID、医用画像撮像装置170が撮像した症例画像を識別する画像ID、及び疾患を識別する疾患ID、及び診断結果データを対応づけて格納している。ユーザIDは、症例データベース140が格納している症例画像を使用することができるユーザを識別する情報であってもよい。
【0043】
このように、症例データベース140がユーザIDに対応づけて症例画像を格納しているので、読影者190が保存しておくべき症例画像を読影者190毎に蓄積することができる。これにより、症例データベース140は、いわば読影者190独自の症例データベースとして機能することができる。他にも、医用情報処理装置110は、ユーザIDを、症例画像を利用することができる読影者190を限定するためのパーミッション情報としても使用してもよい。なお、症例データベース140は、ユーザIDに代えて、診断サイト102を識別する情報を格納してよい。これにより、症例データベース140は、例えば病院独自の症例データベースとして機能することができる。
【0044】
また、画像IDは、症例データベース140が格納している症例画像を識別する情報であってよい。また、画像IDは、症例データベース140が格納している症例画像及び医学情報データベース130が格納している症例画像を識別する情報であってもよい。疾患IDは、対応する症例画像が示す診断対象について確定診断結果が示す疾患を識別する疾患IDであってよい。
【0045】
また、診断結果データとは、診療録として記録されるデータを含み、例えば診療情報患者の氏名、性別、年齢、診断結果、投薬情報等の診療過程において取得された患者に関する情報、すなわち診療情報又は医療情報と呼ばれる情報を含む。具体的には、診断結果データは、カルテデータであってよい。また、症例データベース140は、ユーザIDによって識別される読影者190毎に、読影者190が下した診断結果を示す診断結果データを格納してよい。
【0046】
図6は、診断結果データベース145が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す。診断結果データベース145は画像ID及び診断結果を格納する。なお、診断結果データベース145は、放射線科において診断された診断結果、依頼科によって診断された診断結果、及び確定診断結果のそれぞれを識別する情報を含む診断結果を格納する。
【0047】
図7は、医用情報処理装置110が読影者端末150に表示させる画面の一例を示す。医用情報処理装置110は、読影対象画像ウィンドウ710、類似症例画像ウィンドウ720及び751−754、診断レポート入力ウィンドウ730、及び参考診断レポート表示ウィンドウ740を含む画面を読影者端末150に表示させる。
【0048】
医用情報処理装置110は、読影対象画像ウィンドウ710内に、読影者端末150が医用情報処理装置110から取得した読影対象画像を表示させる。そして、医用情報処理装置110は、症例データベース140が格納している症例画像のうち、類似症例画像を類似症例画像ウィンドウ751−753に表示させる。また、医用情報処理装置110は、指定された症例画像が示す疾患に対応づけて医学情報データベース130が格納している症例画像を、類似症例画像ウィンドウ754に表示させる。そして、読影者190が類似症例画像ウィンドウ751−754のうちのいずれかのウィンドウをマウス等でクリックすることで症例画像が指定されると、読影者端末150は、指定された症例画像を類似症例画像ウィンドウ750に拡大して表示する。
【0049】
なお、表示指示受付部240は、類似症例画像ウィンドウ750に拡大して表示すべき症例画像を選択する指示を受け付ける。このとき、参照時間検出部260は、時間を計数するカウンタをスタートして、当該症例画像が類似症例画像ウィンドウ750に表示されている時間を計数する。
【0050】
そして、入力部210が診断レポート入力ウィンドウ730に診断結果が入力されたことを検出すると、参照情報送信部250は、参照時間検出部260によって計数された時間を、医用情報処理装置110に送信する。なお、参照時間検出部260は、類似症例画像ウィンドウ750に表示されている時間に対して、入力部210に診断結果が入力されたタイミングにより近いほどより大きく重み付けした時間を参照時間として検出してもよい。
【0051】
また、医用情報処理装置110は、指定された症例画像の所見等の診断結果データ又は疾患情報データを症例データベース140又は医学情報データベース130から取得して、その内容を参考診断レポート表示ウィンドウ740に表示させる。このとき、医用情報処理装置110は、診断結果データに含まれる疾患名を、医学情報データベース130が格納している疾患情報データへのリンク742として、参考診断レポート表示ウィンドウ940に表示させる。当該リンク742は、例えばHTMLによって記述されるハイパーテキストにおけるハイパーリンクであってよい。読影者端末150に表示されたリンク742を読影者190がマウス操作等によってクリックすると、医用情報処理装置110は、リンク付けされた疾患情報データを医学情報データベース130から取得して、読影者端末150に送信して読影者端末150に表示させる。なお、疾患情報データはHTML、XML等のマークアップ言語等によって記述されてよい。
【0052】
図8は、診断結果データベース145が記憶するデータの一例をテーブル形式で示す。診断結果データベース145は、画像ID及び重要度算出部285が算出した重要度を対応づけて格納する。類似症例画像選択部290は、類似症例画像を識別する画像IDに対応づけて診断結果データベース145が格納している重要度を読み出して、読影者端末150に送信する。なお、類似症例画像選択部290は、予め定められた重要度より高い重要度に対応づけて診断結果データベース145が格納している画像IDによって識別される症例画像の中から類似症例画像を検索してもよい。
【0053】
また、読影者端末150は、類似症例画像選択部290から取得した重要度が高い順に、類似症例画像ウィンドウ751、752、753の順で表示してよい。他にも、読影者端末150は、重要度が高いほど、類似症例画像ウィンドウ751−753の表示枠を強調して表示してもよい。
【0054】
なお、重要度算出部285は、類似症例画像選択部290によって類似症例画像として選択された類似症例画像であって、表示指示受付部240により選択されなかった類似症例画像により小さい重要度を算出してもよい。そして、診断結果データベース145は、予め定められた重要度より低い重要度に対応づけて格納している画像IDを、診断結果データベース145から削除してもよい。また、類似症例画像選択部290によって類似症例画像として選択された類似症例画像であって、表示指示受付部240により選択されなかった類似症例画像を、診断結果データベース145が削除してもよい。
【0055】
図9は、医用情報処理装置110、読影者端末150、及び診断支援情報データベース120をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す。医用情報処理装置110、読影者端末150、及び診断支援情報データベース120をは、CPU周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ1582により相互に接続されるCPU1505、RAM1520、グラフィック・コントローラ1575、及び表示装置1580を有する。入出力部は、入出力コントローラ1584によりホスト・コントローラ1582に接続される通信インターフェイス1530、ハードディスクドライブ1540、及びCD−ROMドライブ1560を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ1584に接続されるROM1510、フレキシブルディスク・ドライブ1550、及び入出力チップ1570を有する。
【0056】
ホスト・コントローラ1582は、RAM1520と、高転送レートでRAM1520をアクセスするCPU1505、及びグラフィック・コントローラ1575とを接続する。CPU1505は、ROM1510、及びRAM1520に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等がRAM1520内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置1580上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0057】
入出力コントローラ1584は、ホスト・コントローラ1582と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ1540、通信インターフェイス1530、CD−ROMドライブ1560を接続する。ハードディスクドライブ1540は、CPU1505が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス1530は、ネットワーク通信装置1598に接続してプログラム又はデータを送受信する。CD−ROMドライブ1560は、CD−ROM1595からプログラム又はデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540、及び通信インターフェイス1530に提供する。
【0058】
入出力コントローラ1584には、ROM1510と、フレキシブルディスク・ドライブ1550、及び入出力チップ1570の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM1510は、医用情報処理装置110及び読影者端末150が起動時に実行するブート・プログラム、あるいは画像処理システム10及び読影者端末150のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ1550は、フレキシブルディスク1590からプログラム又はデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540、及び通信インターフェイス1530に提供する。入出力チップ1570は、フレキシブルディスク・ドライブ1550、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0059】
CPU1505が実行するプログラムは、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ1540にインストールされ、RAM1520に読み出されてCPU1505により実行される。
【0060】
CPU1505により実行されるプログラムは、医用情報処理装置110を、図1から図8に関連して説明した診断結果取得部280、重要度算出部285、表示比率算出部275、参照情報特定部270、及び類似症例画像選択部290として機能させ、読影者端末150を、図1から図8に関連して説明した入力部210、視線特定部220、表示指示受付部240、参照回数検出部265、参照時間検出部260、参照情報送信部250、及び診断支援情報提示部230として機能させ、診断支援情報データベース120を、図1から図8に関連して説明した医学情報データベース130、症例データベース140、及び診断結果データベース145として機能させる。
【0061】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595の他に、DVD又はPD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶装置を記録媒体として使用して、ネットワークを介したプログラムとして医用情報処理装置110及び診断支援情報データベース120に提供してもよい。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】一実施形態に係る医用情報処理システム100の利用環境の一例を示す図である。
【図2】医用情報処理装置110及び読影者端末150のブロック構成の一例を示す図である。
【図3】読影者端末150及び医用情報処理装置110の動作フローの一例を示す図である。
【図4】医学情報データベース130が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図5】症例データベース140が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図6】診断結果データベース145が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図7】医用情報処理装置110が読影者端末150に表示させる画面の一例を示す図である。
【図8】診断結果データベース145が記憶するデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図9】医用情報処理装置110、読影者端末150、及び診断支援情報データベース120をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
100 医用情報処理システム
102 診断サイト
110 医用情報処理装置
120 診断支援情報データベース
130 医学情報データベース
140 症例データベース
145 診断結果データベース
150 読影者端末
160 通信回線
170 医用画像撮像装置
180 カメラ
190 読影者
210 入力部
220 視線特定部
230 診断支援情報提示部
240 表示指示受付部
250 参照情報送信部
260 参照時間検出部
265 参照回数検出部
270 参照情報特定部
275 表示比率算出部
280 診断結果取得部
285 重要度算出部
290 類似症例画像選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断時に診断支援情報を診断者に提示する診断支援情報提示部と、
前記診断支援情報提示部が提示した診断支援情報のうち、診断時に診断者によって参照された診断支援情報を特定する参照情報特定部と、
前記参照情報特定部が特定した診断支援情報をより重要度が高い診断支援情報として格納する重要情報格納部と
を備え、
前記診断支援情報提示部は、前記重要情報格納部がより重要度が高い診断支援情報として格納している診断支援情報を、診断者に優先して提示する医用情報処理システム。
【請求項2】
前記参照情報特定部は、既に診断されていた初期診断結果と異なる診断結果を診断者が同じ診断対象に対して診断した場合に、初期診断結果が診断されてから、前記異なる診断結果が診断された時点までの間に当該診断者によって参照された診断支援情報を特定する
請求項1に記載の医用情報処理システム。
【請求項3】
前記参照情報特定部は、既に診断されていた初期診断結果と異なる確定診断結果が同じ診断対象に対して診断された場合に、前記確定診断結果と同じ診断結果が診断されたときに診断者によって参照された診断支援情報を特定する
請求項2に記載の医用情報処理システム。
【請求項4】
前記参照情報特定部は、前記異なる診断結果が診断された時点までの間に診断者によって参照された症例情報を特定し、
前記重要情報格納部は、前記参照情報特定部が特定した症例情報をより重要度が高い症例情報として格納し、
前記診断支援情報提示部は、前記重要情報格納部がより重要度が高い症例情報として格納している症例情報を、診断者に優先して提示する
請求項2に記載の医用情報処理システム。
【請求項5】
前記参照情報特定部は、前記異なる診断結果が診断された時点までの間に診断者によって参照された症例画像を特定し、
前記重要情報格納部は、前記参照情報特定部が特定した症例画像をより重要度が高い症例画像として格納し、
前記診断支援情報提示部は、前記重要情報格納部がより重要度が高い症例画像として格納している症例画像を、診断者に優先して提示する
請求項4に記載の医用情報処理システム。
【請求項6】
前記診断支援情報提示部が表示する症例画像のうち、より高解像度で表示すべき症例画像を指定する指示を診断者から受け付ける表示指示受付部
をさらに備え、
前記参照情報特定部は、表示指示受付部が受け付けた指示により指定された症例画像を、診断者によって参照された症例画像として特定する
請求項5に記載の医用情報処理システム。
【請求項7】
診断者によって症例画像が参照された回数を検出する参照回数検出部
をさらに備え、
前記重要情報格納部は、前記参照回数検出部が検出した回数が多いほどより高い重要度に対応づけて前記参照情報特定部が特定した症例画像を格納する
請求項6に記載の医用情報処理システム。
【請求項8】
診断者によって症例画像が参照された時間長さを検出する参照時間検出部
をさらに備え、
前記重要情報格納部はさらに、前記参照時間検出部が検出した時間長さが長いほどより高い重要度に対応づけて前記参照情報特定部が特定した症例画像を格納する
請求項7に記載の医用情報処理システム。
【請求項9】
前記重要情報格納部が格納している症例画像の中から、診断対象の画像である診断対象画像と類似する画像特徴量を有する症例画像を選択する類似症例画像選択部
をさらに備え、
前記診断支援情報提示部は、前記類似症例画像選択部が選択した症例画像と対比させて前記診断対象画像を表示する
請求項6に記載の医用情報処理システム。
【請求項10】
診断者によって症例画像が参照された回数を検出する参照回数検出部と、
前記類似症例画像選択部により選択された回数に対する、前記参照回数検出部が検出した回数の比率を症例画像毎に算出する表示比率算出部と
をさらに備え、
前記重要情報格納部は、前記表示比率算出部が算出した比率が大きいほどより高い重要度に対応づけて前記参照情報特定部が特定した症例画像を格納する
請求項9に記載の医用情報処理システム。
【請求項11】
診断時に診断支援情報を診断者に提示する診断支援情報提示段階と、
前記診断支援情報提示段階において提示された診断支援情報のうち、診断時に診断者によって参照された診断支援情報を特定する参照情報特定段階と、
前記参照情報特定段階において特定された診断支援情報をより重要度が高い診断支援情報として格納する重要情報格納段階と
を備え、
前記診断支援情報提示段階は、前記重要情報格納段階においてより重要度が高い診断支援情報として格納された診断支援情報を、診断者に優先して提示する医用情報処理方法。
【請求項12】
医用情報処理システム用のプログラムであって、前記医用情報処理システムを、
診断時に診断支援情報を診断者に提示する診断支援情報提示部、
前記診断支援情報提示部が提示した診断支援情報のうち、診断時に診断者によって参照された診断支援情報を特定する参照情報特定部、
前記参照情報特定部が特定した診断支援情報をより重要度が高い診断支援情報として格納する重要情報格納部
として機能させ、
前記診断支援情報提示部を、前記重要情報格納部がより重要度が高い診断支援情報として格納している診断支援情報を、診断者に優先して提示させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−78085(P2009−78085A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251166(P2007−251166)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】