説明

医用画像表示装置、医用画像撮影装置、及び医用画像表示プログラム

【課題】大量の医用画像の中から、所望する医用画像を容易に判別でき、医療行為の作業効率を向上させる。
【解決手段】医用画像撮影装置10は、少なくとも1枚以上の静止画像を連続撮影して取得した画像データ、又は動画像を連続撮影して取得した画像データ、を1単位のシリーズとし、画像データを取得する検査の開始時刻から現在時刻までの時間軸を示すタイムスケール51に沿って、シリーズ単位の画像データの取得に要した時間に対応する時間マーカ510を、表示装置の画面上に表示する第1表示制御手段と、時間マーカ510に対応するシリーズの代表画像511を、時間マーカ510と関連付けて画面上に表示する第2表示制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像表示装置、医用画像撮影装置、及び医用画像表示プログラムに係り、特に静止画像及び動画像の検索・表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置は、一般的に静止撮影によって得られる撮影画像(静止画像)と、連続的にX線を照射する透視によって得られる透視画像(動画像)の2種類の画像を取得できる。このうち、静止撮影直前、又は静止撮影直後のリアルタイムの透視画像には関心箇所を斜視した画像情報を含んでおり、関心箇所周辺の状態を立体的に観察・把握することができるため、撮影画像と同様に有効な診断材料となり得ることがある。そのため、記憶装置に記憶されている撮影画像とその前後に得られる透視画像は、簡便な操作でモニタに表示できることが求められる。
【0003】
その実現方法として、特許文献1には、撮影画像又は透視画像の種類を示す文字情報と、撮影画像の撮影時間又は透視画像の透視開始時間を示す数値情報とをリスト表示した画像データリストを作成し、画像データリストの項目を選択することにより撮影画像及び透視画像をモニタに表示させるX線診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−183509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、所望の医用画像を検索するときに、撮影画像か透視画像かの種別を示す文字情報か、撮影時間または透視開始時間だけを参照して検索するため、所望する医用画像の検索が困難であった。
【0006】
また、大量の医用画像が取得された場合、画像データリストの全ての情報を画面上に一度に表示することが出来ないことがあった。そのため、操作者は画像データリストを別のページへ変更する操作が必要になり、画像データリストから目的の医用画像を判別するのをさらに困難にしていた。
【0007】
更に、医療行為の作業効率を向上させるためにはキー画像を容易な操作で表示できる必要があるが、検査中に保存されたキー画像は画像データリストに表示されていなかったため、医療行為の作業効率向上を必ずしも実現できていなかった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、大量の医用画像の中から、所望する医用画像を容易に判別でき、医療行為の作業効率を向上させることができる医用画像表示装置、医用画像撮影装置、及び医用画像表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る医用画像表示装置は、医用画像撮影装置により、少なくとも1枚以上の静止画像を連続撮影して取得した画像データ、又は動画像を連続撮影して取得した画像データ、を1単位のシリーズとし、前記画像データを取得する検査の開始時刻から現在時刻までの時間軸を示すタイムスケールに沿って、前記シリーズ単位の画像データの取得に要した時間に対応する時間マーカを、表示装置の画面上に表示する第1表示制御手段と、前記時間マーカに対応するシリーズの代表画像を、前記時間マーカと関連付けて前記画面上に表示する第2表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る医用画像撮影装置は、上記医用画像表示装置を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る医用画像表示プログラムは、医用画像撮影装置により、少なくとも1枚以上の静止画像を連続撮影して取得した画像データ、又は動画像を連続撮影して取得した画像データ、を1単位のシリーズとし、前記画像データを取得する検査の開始時刻から現在時刻までの時間軸を示すタイムスケールに沿って、前記シリーズ単位の画像データの取得に要した時間に対応する時間マーカを表示装置の画面上に表示するとともに、前記時間マーカに対応するシリーズの代表画像を、前記時間マーカと関連付けて前記画面上に表示するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記憶部に記憶されている複数の画像データに関して、撮影時間情報をもとに全ての医用画像の存在を同時に表示することにより、操作者は目的の画像を容易に判別でき、画像表示領域に医用画像を迅速に表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るX線診断装置のハードウェア構成を示す図
【図2】本発明に係る医用画像表示プログラムを示すブロック図
【図3】第1実施形態における参照モニタ5の画面構成の一例を示す模式図
【図4】タイムスケール51を操作することにより表示画像領域50の表示画像を切り替える操作を示す説明図
【図5】タイムスケール51のうち関心のある時間領域を指定する操作を示す説明図
【図6】第2実施形態における参照モニタ5の画面表示例を示す模式図
【図7】第3実施形態における参照モニタ5の画面表示例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。以下の実施形態では、医用画像撮影装置としてX線診断装置を用い、一の検査中に、静止画像を取得する「撮影」と、動画像を取得する「透視」とを行う場合を例に説明するが、本発明はX線診断装置に限らず、X線CT装置、磁気共鳴診断装置、内視鏡検査装置、X線CT装置など、被検体の静止画像又は動画像からなる医用画像を撮影可能な装置であれば、いかなる医用画像撮影装置にも適用できる。また、医用画像撮影装置とは別体の画像表示装置(Viewer)にも適用可能である。
【0015】
図1は、本実施形態に係るX線診断装置10のハードウェア構成を示す図である。X線診断装置10は、X線装置1、フロントエンド2、バックエンド3、操作卓4、参照用モニタ5、撮影用モニタ6によって構成される。X線診断装置10は、X線装置1が取得した撮影画像(静止画像)及び透視画像(動画像)からなる医用画像の画像データをデジタル信号としてフロントエンド2を通じてバックエンド3に送信し、バックエンド3は受信した画像データを参照用モニタ5及び撮影用モニタ6に表示する。
【0016】
次に、図1に示されている各構成要素について説明する。X線装置1は、X線を被検体に照射し、被検体を透過したX線の線量分布を画像データとして取得する装置である。X線装置1は、X線を照射するX線管と、X線管に対して高電圧を印加するためのX線発生器と、X線発生器の制御を行うX線制御装置と、X線管と被検体を挟んで対向配置されたX線平面検出器とから構成される。X線管は、熱電子を放出する陰極と、電子を受けてX線を発生させる陽極とからなるものであり、発生したX線をテーブル上の被検体に照射するX線源である。X線平面検出器は、被検体を挟んでX線管と対向配置され被検体の透過X線を検出するものである。X線平面検出器は、例えば、半導体からなるX線検出素子を二次元方向に配列して形成したFPD(Flat Panel Detector)により構成される。
【0017】
フロントエンド2は、X線平面検出器から送信される画像データに対して種々の画像処理を行う装置である。フロントエンド2は、X線平面検出器から送信された画像データをデジタル信号として受信し、受信した画像データに対して診断に供するように画像処理を行い、画像処理された画像データをデジタル信号としてバックエンド3に送信する。この画像処理では、ガンマ変換、階調変換処理の他、画像の拡大、縮小、画像の上下、左右反転、ネガポジ反転などが行われる。
【0018】
操作卓4はX線装置1における撮影及び透視に関する動作を制御する装置である。操作卓4には撮影及び透視のX線条件を設定するインターフェースがあり、設定された情報はフロントエンド2にデジタル信号として送信される。また、操作卓4を操作することによりバックエンド3で行う各種画像処理機能を動作させることも可能である。
【0019】
バックエンド3は、フロントエンド2から送信された画像データを記憶し、操作者の操作に応じて記憶された画像データを撮影モニタ6又は参照モニタ5に表示する装置である。フロントエンド2から画像データが送信されると、バックエンド3は画像データを受信し、制御部30を介して記憶装置32に記憶される。
【0020】
記憶装置32は、撮影においては、X線装置1からX線を連続曝射し、静止画の連続撮影を行った場合には、1回の連続撮影で得られた静止画のセットからなる画像セットを1シリーズの画像データとして記憶し、連続撮影の開始から終了までの時間を1シリーズ単位の撮影時間として、上記1シリーズの画像データと関連付けて記憶する。また、透視においては、X線装置1からX線を連続曝射して撮影した動画データを1シリーズの画像データとして記憶し、動画撮影の開始から終了までの時間を1シリーズ単位の撮影時間として、上記1シリーズの画像データと関連付けて記憶する。本実施形態ではX線診断装置を用いるため「撮影」及び「透視」という用語を用いてシリーズを定義しているが、その他の医用画像撮影装置の場合は、連続して静止画を取得する場合には、連続撮影で得られた静止画セットを1シリーズと定義し、連続して動画像を取得する場合には、動画の取得開始から終了までの動画像を1シリーズと定義する。
【0021】
操作者が、操作卓4、参照モニタ5、又は撮影モニタ6を介して画像表示操作を行うと、記憶装置32に記憶された画像データはメモリ31に一時的に記憶され、画像表示手段33を介して撮影モニタ6又は参照モニタ5に表示される。また、バックエンド3では、撮影モニタ6又は参照モニタ5に表示されている画像に対してガンマ変換、階調変換処理の他、画像の拡大、縮小、画像の上下、左右反転、ネガポジ反転などの画像処理を行うことができ、画像処理を施した画像データを記憶装置32に記憶することも可能である。
【0022】
撮影モニタ6は、X線装置1にて取得された撮影画像及び透視画像をリアルタイムに表示するためのモニタである。
【0023】
参照モニタ5は、操作者の操作に応じてX線装置1にて取得された医用画像を表示し、表示画像に対して各種画像処理を動作させるためのモニタである。この画像処理では、ガンマ変換、階調変換処理、画像表示領域の拡大及び縮小、画像の上下及び左右反転、画像の回転、ネガポジ反転、画像付帯情報の追加、画像データの一部切り出し、などを行うことが可能である。
【0024】
図2は、本発明に係る医用画像表示プログラムを示すブロック図である。医用画像表示プログラムは、X線装置1や他の医用画像撮影装置から画像データを受信したり、USBメモリ等の記録媒体に記録された画像データを読み込む(受信する)画像データ読込部30aと、読み込んだ画像データをそれらの撮影時刻や撮影時間と関連付けて、シリーズ単位で記憶装置32に記憶する記憶制御部30bと、RTC(Real Time Circuitの略)などの計時手段や画像データ読込部30aがX線装置1から検査オーダを受信する動作から、検査開始時刻や現在時刻、また検査画開始からの経過時間を示す時間情報を取得し、その時間情報に基づいて検査開始時刻から現在時刻までのタイムスケールを生成し、その表示用データを出力するタイムスケール表示制御部30cと、記憶装置32からシリーズ単位の撮影時間を読み出して、シリーズ単位の撮影時間を示す時間マーカを生成し、タイムスケールに重畳する時間マーカの表示用データを出力する時間マーカ表示制御部30dと、記憶装置32から各シリーズの代表画像の元画像データを読み出して、これを基にサムネイル画像を生成・出力するサムネイル画像表示制御部30eと、参照モニタ5に医用画像が表示されていることを示す表示中マーカを、当該医用画像を含むシリーズに対応する時間マーカの近傍に表示する表示中マーカ表示制御部30fと、時間マーカに代えて、タイムスケールの長手方向にシリーズ単位の撮影時間を示し、タイムスケールと直交する方向にシリーズ単位の画像データ量を棒の長さで示した棒状マーカを生成し、タイムスケールに重畳する棒状マーカの表示用データを出力する棒状マーカ表示制御部30gと、参照モニタ5の画像表示領域を複数に分割し、どの分割領域に表示されているかを示す分割表示中マーカを、分割領域内に表示されている医用画像を含むシリーズに対応する時間マーカの近傍に表示する分割表示中マーカ表示制御部30hと、操作卓4又は参照モニタ5から、時間マーカの指定位置又はサムネイル画像の指定情報を受信し、指定位置において撮影された医用画像や指定されたサムネイル画像に対応する医用画像を記憶装置32から読み出して、表示用データを出力する医用画像表示制御部30iと、操作卓4又は参照モニタ5から、分割表示中マーカの選択情報と、時間マーカの指定位置又はサムネイル画像の指定情報と、を受信し、指定位置において撮影された医用画像や指定されたサムネイル画像に対応する医用画像を、選択された分割表示中マーカが示す分割領域に表示切替を行う医用画像分割表示制御部30jと、を備える。
【0025】
タイムスケール表示制御部30cは、現在進行中の検査においては、タイムスケールをリアルタイムで更新表示する。時間マーカ表示制御部30d、及びサムネイル画像表示制御部30eは、タイムスケールの更新に連動して、時間マーカ及びサムネイル画像の生成表示を行う。
【0026】
また、タイムスケール表示制御部30cは、操作卓4に備えられたポインティングデバイス(図示を省略)により、タイムスケール上の任意の領域が指定されると、その指定された領域を拡大した拡大タイムスケールを生成する。この場合、時間マーカ表示制御部30dも、指定された領域内の時間マーカを拡大した拡大時間マーカを生成し、拡大タイムスケールに沿って表示する。サムネイル画像表示制御部30eは、拡大時間マーカに対応するサムネイル画像を表示し、拡大時間マーカに対応しないサムネイル画像は削除する。更に、タイムスケール表示制御部30cは、記憶装置32に記憶された同一被検体の過去画像の最古の撮影時刻から現在時刻までのタイムスケールも生成・表示する。
【0027】
サムネイル画像表示制御部30eは、初期設定又は操作者が所望する任意の設定に基づく画像のサムネイル画像を生成する。例えば、静止画像のセットからなるシリーズの場合は、1番目に撮影された静止画を基にサムネイル画像を生成するように設定してもよいし、動画像からなるシリーズの場合は、撮影開始直後のフレームを基にサムネイル画像を生成してもよい。
【0028】
上記医用画像表示プログラムは、制御部30を構成するコンピュータにより実行されることで、各構成要素の処理が行われ、医用画像表示プログラムの機能が実現する。
【0029】
<第1実施形態>
図3〜図5に基づいて、本発明の第1実施形態について説明する。図3は、第1実施形態における参照モニタ5の画面構成の一例を示す模式図である。図4は、タイムスケール51を操作することにより表示画像領域50の表示画像を切り替えることを示す説明図である。図5は、タイムスケール51のうち関心のある時間領域を指定する操作を示す説明図である。
【0030】
参照モニタ5の表示画面に示される画像表示領域50は、医用画像をモニタ上に表示するための領域である。画像表示領域50に表示される医用画像は、操作者の画像表示操作により切り替えられる。また、各種画像処理を行うと画像処理後の医用画像もリアルタイムに表示される。
【0031】
画像情報表示領域52は、画像表示領域50に表示されている医用画像に関する情報や画像取得時の撮影条件、例えば、撮影画像又は透視画像などの画像種別、表示画像シリーズの全画像枚数、表示画像の撮影部位などが表示される。
【0032】
タイムスケール51は、現在までに取得された被検者の医用画像の時間的な情報を表示するためのユーザーインターフェースである。タイムスケール51上には、医用画像が取得された時間をシリーズ単位で示す時間マーカ510が表示される。時間マーカ510の大きさは、原則、医用画像の取得に要した時間の長さに対応させるが、撮影に要する時間は透視に比べて相対的に短いため、撮影に対応する時間マーカが微小になることがある。そのため、この場合は必ずしも正確には対応させず大きめに表示して視認性を優先してもよい。
【0033】
各時間マーカ510には、そのマーカに対応するシリーズの代表画像として、サムネイル画像511が対応付けられて表示される。図3では、時間マーカ510とサムネイル画像511とを矢印を用いて関連付けて表示されている。
【0034】
検査中に撮影又は透視又は保存の操作が行われ新たに医用画像が取得されると、取得直後に時間マーカ510がタイムスケール51の最下部に追加され、追加された時間マーカ510に対し、新たなサムネイル画像511が矢印を用いて関連付けて追加表示される。
【0035】
時間マーカ510とサムネイル画像511の外枠の色は、撮影画像、透視画像、保存画像、他装置が取得した画像、などの画像種別ごとに異なる色で表示されているため、画像情報表示領域52を参照せずに画像種別を判別できる。また、本実施形態では、時間マーカ510はタイムスケール51に重畳したが、タイムスケール51の時間軸と並べて表示してもよい。
【0036】
タイムスケール51における時間マーカ510の位置と大きさは、検査全体における画像データを取得した時間を示している。タイムスケール51の始点(上端部)は、開始時刻「START」を示し、終点(下端部)は、現在時刻「NOW」を示す。検査中、タイムスケール51はリアルタイムで更新される。これに伴い、各時間マーカ510の位置及び大きさもリアルタイムで更新される。よって、検査が進むにつれて、各時間マーカ510の位置は、相対的に上方向に移動し、各時間マーカ510の大きさは相対的に小さくなる。これにより各医用画像が検査時間全体に対してどの時間に取得されたのかを操作者が容易に判別できる。
【0037】
表示中マーク512は画像表示領域50に表示されている医用画像が含まれるシリーズに対応する時間マーカ傍に表示されるため、表示されている医用画像がどのシリーズの画像であるかを容易に判別できる。
【0038】
次に図4を用いて、タイムスケールを用いて表示画像を切り替える操作について説明する。時間マーカ510の大きさは、1シリーズの画像取得にかかった時間を示しているが、その時間マーカ510の領域のうち、カーソル4aにより指定した位置を基に画像表示領域50に表示する画像を選択できる。例えば、時間マーカ510の最上部を選択するとシリーズの1枚目の画像(図4中の画像1)が表示され、最下部を選択すればシリーズ最後尾の画像(図4中の画像100)が表示される。また、時間マーカ510の領域に対する指定された位置により、シリーズ内の画像を指定できる。例えば、時間マーカ510の中位を選択すると、シリーズ途中の画像(図4中の画像50)が表示される。これら操作により、シリーズ内における任意の画像を容易な操作で表示することが可能である。
【0039】
本実施形態におけるタイムスケール表示は、マーカの大きさが検査時間全体に対する比率で表示されるため、検査が長時間になると各時間マーカ510の表示が小さくなる。また、大量の画像を短期間に取得した場合、時間マーカ510が密集してしまうため、タイムスケール51から目的の画像を判別することが困難になる。そこで、タイムスケール51において関心のある時間領域を容易な操作により指定し、その領域の時間マーカ510のみを限定して表示することによりこの問題を解消する。
【0040】
次に図5に基づいて、タイムスケールの一部領域を拡大表示する操作について説明する。図5の表示例aは、タイムスケール51aの基本表示の一例を示す。この表示例aに示すタイムスケール51a上の関心のある時間領域をドラッグすると、ドラッグした領域70がタイムスケール51a上に太枠で表示される(表示例aから表示例bへ遷移)。
【0041】
そして、ドラッグ操作を終了すると、太枠で囲われた領域70を拡大した拡大タイムスケール51cが新たに作成され、領域70内にある時間マーカ510aが拡大された時間マーカ510cとして表示される(表示例bから表示例cへ遷移)。サムネイル画像511cは、拡大タイムスケール51cに重畳される時間マーカ510cに対応するものだけが表示される。
【0042】
タイムスケール51c上においても、拡大前のタイムスケール51aと同様に、時間マーカ510cやサムネイル画像511を選択することにより、画像表示領域50に表示される医用画像を切り替えられる。また、タイムスケール51c上を右クリックすることにより元のタイムスケール51aに戻すことができる(表示例cから表示例aへ遷移)。
【0043】
さらに、検査開始以前に取得された医用画像もタイムスケール上に表示することが可能である。検査開始以前に取得された医用画像は、X線診断装置10により取得され、記憶装置32に格納された撮影画像、透視画像、保存画像の他、X線診断装置10とは異なる医用画像撮影装置により取得された画像であって、操作者が、検査中に比較読影をする可能性がある同一被検体の過去画像を、PACS(Picture Archiving and Communication Systemsの略)や他の医用画像撮影装置、USBメモリなどの記憶媒体から読み込んで記憶装置32に格納した画像でもよい。
【0044】
表示例aのタイムスケール51aを右クリックすると、記憶装置32に記憶されている画像のうち、現在検査中の被検者の最も過去の医用画像の撮影時刻から現在時刻までの全時間軸に対応したタイムスケール51d上に表示される(表示例aから表示例dへ遷移)。この時のタイムスケール51dは、始点を最も過去に取得された画像の日時(図5の「10.06.22」に相当)、終点を現在の日時(図5の「NOW」に相当)として表示される。タイムスケール51dには、過去の医用画像のシリーズ単位の取得時間を示す時間マーカ510d’と、現在進行中の検査で得られた医用画像のシリーズ単位の取得時間を示す時間マーカ510dとが示される。
【0045】
また、X線診断装置10により撮影された医用画像と、それとは異なる医用画像撮影装置にて取得された医用画像とは、時間マーカ510dとサムネイル画像511dの外枠の色を変えて表示する。このタイムスケール51dにおいても、表示例bと同様に、タイムスケール51dの一部領域を指定することにより、指定された領域が拡大表示されたタイムスケールやマーカ及びそれに対応するサムネイル画像表示が行われる(表示例dから表示例cへ遷移)。更に、タイムスケール51d上を右クリックすることにより、元のタイムスケール51aに戻すことも可能である(表示例dから表示例aへ遷移)。
【0046】
本実施形態によれば、リアルタイムで進行する検査時間に対応したタイムスケール上に、シリーズ単位で撮影又は透視に要した時間の長さに対応したマーカを表示し、そのマーカに関連つけて各シリーズを代表する代表画像を表示することにより、所望する画像の検索が容易となる。また、タイムスケール上の一部領域を拡大表示することにより、所望の時間の視認性を向上させることができる。
【0047】
また、取得された撮影画像及び透視画像は、検査中に各種画像処理を行い、オリジナルの画像とは異なる画像として記憶装置に記憶されることがある。この画像は、様々な目的のために用いられるが、特にアンギオ検査においては、検査中に取得した撮影画像及び透視画像の中で重要と思われる画像をキー画像として保存することにより、そのキー画像を検査中に迅速に表示でき、医療行為の作業効率を向上できる。
【0048】
<第2実施形態>
第2実施形態は、タイムスケール上に、シリーズ単位で撮影時間を示すとともに、各シリーズの画像情報量(画像枚数や動画時間の長さ)を合わせて表示する実施形態である。第2実施形態のうち、第1実施形態と同じ動作をする構成要素については説明を省略する。以下、図6に基づいて第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態における参照モニタ5の画面表示例を示す模式図である。
【0049】
第2実施形態では、タイムスケール51上に画像情報量を示す棒状マーカ513が表示される。棒状マーカ513の高さ(図6における横方向の長さに相当)は、該当シリーズに含まれる画像データ量(画像枚数の多少や撮影時間の長短)を示している。
【0050】
本実施形態によれば、棒状マーカ513を参照することにより、撮影時間だけでなく、当該シリーズの静止画像の画像枚数や動画像の撮影時間も同時に把握できるため、目的の画像をより容易に判別できるようになる。
【0051】
<第3実施形態>
第3実施形態は、画像表示領域を複数に分割し、分割された領域それぞれに別の医用画像を表示し、各医用画像とタイムスケール上に示されたシリーズとの対応関係を表示する実施形態である。第3実施形態のうち、第1実施形態と同じ動作をする構成要素については説明を省略する。以下、図7に基づいて第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態における参照モニタ5の画面表示例を示す模式図である。
【0052】
第3実施形態では、画像表示領域50を複数に分割し、分割された領域それぞれに別の医用画像を表示できるようになっている。本実施形態では、画像表示領域50を4分割するものとして説明する。分割された各画像表示領域は、図7において、50a、50b、50c、50dと示す。
【0053】
分割表示中マーカ514は、医用画像が表示されている画像表示領域50の分割領域の位置を示しており、表示されている医用画像が含まれるシリーズに対応する時間マーカ510の傍に表示される。例えば、分割表示中マーカ514の矢印が左上ならば、分割領域のうち左上の領域に、分割表示中マーカ514が付けられたシリーズの医用画像が表示されていることを示す。
【0054】
画像表示領域50に表示されている医用画像を変更する場合は、分割表示中マーカ514を選択して、分割表示中マーカ514を選択状態に変更する。図7中、分割表示中マーカ515は、選択状態の分割表示中マーカ514を示しており、反転表示や点滅表示など、表示色を変えることで、選択状態であることを示す。そして、第1実施形態と同様にタイムスケール51上の時間マーカ510を選択することにより、分割表示中マーカ(選択状態)515が指し示す分割領域の医用画像を切り替えることができる。画像の切り替え方法は、上記の例に限らない。例えば、サムネイル画像511を画像表示領域50の任意の分割領域にドラッグすると、そのサムネイル画像511に対する画像が分割領域内に表示切替されるとともに、分割表示中マーカ514がサムネイル画像511に関連付けられた時間マーカ510傍に更新表示されるように構成してもよい。
【0055】
本実施形態によれば、画像表示領域内の任意の分割領域に医用画像を表示させるとともに、その医用画像が含まれるシリーズを示すマーカと、分割領域の位置とを関連付けて表示することにより、どのシリーズの画像がどこに表示されているかを容易に把握することができる。
【符号の説明】
【0056】
1:X線装置、2:フロントエンド、3:バックエンド、4:操作卓、5:参照モニタ、6:撮影モニタ、10:X線診断装置、30:制御部、31:メモリ、32:記憶装置、33:画像表示手段、50:画像表示領域、51:タイムスケール、52:画像情報表示領域、510:時間マーカ、511:サムネイル画像、512:表示中マーク、513:棒状マーカ、514:分割表示中マーカ、515:分割表示中マーカ(選択状態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像撮影装置により、少なくとも1枚以上の静止画像を連続撮影して取得した画像データ、又は動画像を連続撮影して取得した画像データ、を1単位のシリーズとし、前記画像データを取得する検査の開始時刻から現在時刻までの時間軸を示すタイムスケールに沿って、前記シリーズ単位の画像データの取得に要した時間に対応する時間マーカを、表示装置の画面上に表示する第1表示制御手段と、
前記時間マーカに対応するシリーズの代表画像を、前記時間マーカと関連付けて前記画面上に表示する第2表示制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記代表画像は、前記シリーズを構成する任意の静止画像から生成したサムネイル画像、又は前記シリーズを構成する動画像の任意のフレームから生成したサムネイル画像である、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記時間マーカの任意の位置又は前記サムネイル画像を指定する第1指定手段と、
前記指定された時間マーカの位置に対応する撮影時刻において撮影された静止画像又は動画像、若しくは、前記サムネイル画像に対応する静止画像又は動画像を表示する第3表示制御手段と、を更に備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記タイムスケール上の任意の領域を指定する第2指定手段を更に備え、
前記第1表示制御手段は、前記指定された領域を拡大した拡大タイムスケールに沿って、前記指定された領域内の時間マーカを拡大した拡大時間マーカを表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
現在進行中の検査よりも前の検査で取得した過去のシリーズ単位の画像データを記憶する記憶手段を更に備え、
前記第1表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された最も古いシリーズの撮影時刻から現在時刻までの時間軸を示すタイムスケールに沿って、前記記憶手段に記憶された過去のシリーズ単位の画像データの取得に要した時間に対応する時間マーカと、前記現在進行中の検査により取得されたシリーズ単位の画像データの取得に要した時間に対応する時間マーカと、を表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の医用画像表示装置。
【請求項6】
前記時間マーカは、前記タイムスケールの長手方向に沿ってシリーズ単位の画像データの取得に要した時間の長さを示し、前記長手方向と直交する方向に沿ってシリーズ単位の画像データ量を示す、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記画面は、前記静止画像又は動画像を表示する少なくとも二つ以上の分割領域を備え、
いずれの分割領域に表示されているかを示す分割表示中マーカを、当該分割領域に表示されている静止画像又は動画像が含まれるシリーズに対応する時間マーカの近傍に表示する第4表示制御手段と、
前記分割表示中マーカと前記時間マーカの任意の位置、又は前記分割表示中マーカと前記代表画像と、を選択する選択手段と、
前記選択された分割表示中マーカが示す分割領域に、前記時間マーカの任意の位置に対応する静止画像又は動画像、若しくは前記代表画像に対応する静止画像又は動画像を表示する第5表示制御手段と、を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の医用画像表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つに記載の医用画像表示装置を搭載した医用画像撮影装置。
【請求項9】
医用画像撮影装置により、少なくとも1枚以上の静止画像を連続撮影して取得した画像データ、又は動画像を連続撮影して取得した画像データ、を1単位のシリーズとし、前記画像データを取得する検査の開始時刻から現在時刻までの時間軸を示すタイムスケールに沿って、前記シリーズ単位の画像データの取得に要した時間に対応する時間マーカを表示装置の画面上に表示するステップと、
前記時間マーカに対応するシリーズの代表画像を、前記時間マーカと関連付けて前記画面上に表示するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする医用画像表示プログラム。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−120695(P2012−120695A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273699(P2010−273699)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】