説明

医用画像表示装置

【課題】被検体の位置等をも考慮した術前シミュレーションを行ない、表示することにより、手術等の最適なアシストが可能な医用画像表示装置を実現する。
【解決手段】MRI装置による3D撮像後、3Dボリューム画像を表示する(ステップ101、102)。正常組織、腫瘍等のアクセス可領域、血管、臓器などアクセス不可領域、手術器具を登録し(ステップ103〜105)、仮想ディスプレイ表示する。登録部位、仮想手術器具を用いて手術計画を自動計算して表示し、最適な手術経路を選択し、その手術経路に適したベッド位置、患者の体位等を自動計算し表示する(ステップ106〜108)。再度シミュレーションが必要か否かを選択し(ステップ109)、結果に間題がなければ術前プラニングを終了する。シミュレーションの結果は手術直前に表示され、患者の体位等が調整され、選択した手術経路で実際の手術が開始される(ステップ110〜114)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、術前に撮像したボリューム画像を表示して、手術等のアシストを行なう医用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像表示装置の一例である磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)は、連続的に被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴信号(MR信号)を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を映像化するものである。現在、臨床で普及しているMRI装置の撮像対象は、被検体の主たる構成物質、プロトンである。MRI装置は、プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和現象の空間分布を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0003】
このようなMRI装置を用いた心臓イメージングや、手術時の穿刺モニタリング、経皮的治療などに使用されるI−MRI装置(Interventional−MRI装置又はIntraoperative−MRI装置の略称)が知られている。このI−MRI装置では、リアルタイムで撮像する断層面を任意に設定したいという要望がある。
【0004】
撮像する断層面を任意に選択する手法として、グラフィカルユーザインタフェースにMRI画像を表示し、画面上のボタンをクリックして、次に撮像する断層面を決定する方法(非特許文献1)や、3次元マウスなどを使う方法(特許文献1)などが提案されている。これらの方法では、撮像する断層面の位置や向きをマウス等の入力手段で調整、設定しなければならず、煩雑なので、MRI装置としては、より簡便に撮像する断層面の位置や向きを調整、設定できることが望ましい。
【0005】
その手法として、特許文献2や特許文献3等に断層面指示デバイス(ポインタなど)を用いて撮像する断層面を決定するMRI装置が提案されている。特許文献2に記載された技術は、断層面指示デバイスであるポインタに発光ダイオードを設け、操作者がポインタで指し示した位置を赤外線カメラで検出したり、関節にセンサを備えたアームの先端部にポインタを設け、アームの関節の角度などでポインタの位置を検出し、これに基づいて、断層面を自動的に調整するものである。また、特許文献3に記載された技術は、2個の赤外線カメラと3個の反射球を備えたポインタとを使って指示した断層面を自動的に決定して撮像するものである。
【0006】
一方、位置検出装置と過去に撮像したボリュームデータとを用いた手術ナビゲーションシステムが知られている。この手術ナビゲーションシステムは、手術時に患者に対してポインタ等により指定される位置を、この位置を含む患者の直交3平面のそれぞれを断面とする断層画像上に表示することにより手術操作をナビゲーションするシステムであり、脳神経外科手術などの高精度の外科手術に適用されている。
【0007】
ここで、手術ナビゲーションシステムにおける患者の断層画像は、予め、MRI装置によって撮像した3次元のデータであるボリュームデータにより生成される。一方、ポインタによる指定位置を定めるために必要とされるポインタの位置検出の方式には、機械式、光学式、磁気式、超音波式などの方式がある。
【0008】
そして、検出したポインタの位置と、ボリュームデータ中の位置との対応づけ(レジストレーション)は、例えば、患者に複数の患者マーカーを固定して撮像を行うことによりボリューム中に患者マーカーを写しこんでおき、この患者マーカーをポインタで指示した時点におけるポインタの検出位置と3次元データ中の患者マーカー位置を対応づけることにより行われる。
【0009】
手術ナビゲーションの技術については、特許文献4、特許文献5に記載されている。また、上記I−MRIと手術ナビゲーションシステムを組み合わせた技術については特許文献6に記載されている。
【0010】
MRI装置による撮像中の患者は、閉鎖された空間内に閉じ込められるので、閉塞感や圧迫感などにより苦痛を感じる場合がある。そこで、撮像中の患者に苦痛を与えないようなオープン型のMRI装置が提案されている。このオープン型のMRI装置は、開放された部分から患者にアクセスが可能なため、ポインタなどを用いて容易に断層面を指示し、この指示した断層面をリアルタイムで撮像することができることから、I−MRI装置としての開発が進められている。
【0011】
ここで、手術治療精度向上を目的とした手術シミュレーション機能の一環として、遠隔手術支援装置に関する方法(特許文献7)や特定領域を描出しセグメンテーションする方法(特許文献8)の他、手術のアクセス経路を計算・抽出する方法(特許文献9)も提案されている。
【0012】
また、I−MRI装置用のRFコイルとして、イメージングされている組織に障害無く接近可能な構造を有する手術用コイルが提案されている(特許文献10)。
【0013】
【特許文献1】米国特許第5512827号明細書
【特許文献2】米国特許第5365927号明細書
【特許文献3】米国特許第6026315号明細書
【特許文献4】特開2002−35007号公報
【特許文献5】特開2003−79637号公報
【特許文献6】特開2003−190117号公報
【特許文献7】特開平8−215211号公報
【特許文献8】特開2002−248083号公報
【特許文献9】特開2002−186588号公報
【特許文献10】特開2000−157514号公報
【非特許文献1】Magnetic Resonance in Medicine:Real-time interactive MRI on a conventional scanner;AB.Kerr他、38巻、pp.355−367(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した術前シミュレーションは、被検体の特定領域を描出(セグメンテーション)し、手術のアクセス経路を計算・描出することから、手術計画立案には有効な手段といえる。
【0015】
しかし、被検体の特定領域における手術のアクセス経路を表示していたとしても、その時点における被検体の位置、体位、ベッド位置、コイルの種類、コイル設置位置により、表示されている手術のアクセス経路が適切であるとは限らない。
【0016】
このため、コイル位置や被検体の体位等の関係から、表示したアクセス経路とは異なる経路に変更しなければならないことも考えられる。この場合、術前シミュレーションが無駄になるばかりか、手術の開始が遅延する可能性もあり、術者、被検体に不要な負担を与えることになってしまう。
【0017】
本発明の目的は、被検体の位置等をも考慮した術前シミュレーションを行ない、表示することにより、手術等の最適なアシストが可能な医用画像表示装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明による医用画像表示装置は、被検体の三次元画像データを取得し表示する装置であり、三次元位置検出手段が、被検体、術具、被検体が配置されるベッドの位置を検出し、演算制御手段が、撮像した被検体の3次元画像データを用いて術具挿入位置から目標位置までの被検体への手術経路をシミュレーションし、このシミュレートされた手術経路に従って、被検体の位置、被検体の体位、被検体が配置されるベッドの位置を演算する。そして、演算制御手段により演算された、被検体の位置、被検体の体位、被検体が配置されるベッドの位置を表示手段に表示する。
【0019】
これによって、手術のアクセス経路と、被検体の位置、被検体の体位、被検体が配置されるベッドの位置との関係を術者等が容易に把握することが可能となる。
【0020】
また、本発明による磁気共鳴イメージング装置は、被検体の三次元画像データを取得し、表示する装置であり、三次元位置検出手段が、被検体、術具、被検体が配置されるベッド、核磁気共鳴信号の受信コイルの位置を検出し、演算制御手段が、撮像した被検体の3次元画像データを用いて術具挿入位置から目標位置までの被検体への手術経路をシミュレーションし、このシミュレートされた手術経路に従って、被検体の位置、被検体の体位、被検体が配置されるベッドの位置、核磁気共鳴信号の受信コイルの種類及びこの受信コイルの設置位置を演算する。そして、表示手段が、上記演算された、被検体の位置、被検体の体位、被検体が配置されるベッドの位置、核磁気共鳴信号の受信コイルの種類及びこのコイルの設置位置を表示する。
【発明の効果】
【0021】
被検体の位置等をも考慮した術前シミュレーションを行ない、表示することにより、手術等の最適なアシストが可能な医用画像表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明をMRI装置に適用した場合の例である。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態であるMRI装置における手術シミュレーション及び手術支援表示の動作フローチャートであり、図2は本発明が適用されるMRI装置の概略外観構成図である。
【0024】
まず、図2を参照して、MRI装置について説明する。
図2において、MRI装置1は、垂直磁場方式の0.3T永久磁石MRI装置であり、垂直な静磁場を発生させる上部磁石3と、下部磁石5と、これら磁石3、5を互いに連結するとともに上部磁石3を支持する支柱7とを備え、開口部32から被検体24にアプローチし易い構造となっている。
【0025】
また、MRI装置1は、位置検出デバイス9と、この位置検出デバイス9を支持するアーム11と、モニタ13と、モニタ支持部15と、基準ツール17と、パーソナルコンピューター(演算制御手段)19と、ベッド21と、制御部23と、映像記録装置34とを備えている。
【0026】
MRI装置1の図示しない傾斜磁場発生部は、領斜磁場をパルス的に発生させ、最大傾磁場強度15mT/mで、スルーレート20mT/m/msである。さらに、MRI装置1は、静磁場中の被検体24に核磁気共鳴を生じさせるための図示しないRF送信器と、被検体24からの核磁気共鳴信号を受信する図示しないRF受信器とを備え、これらは12.8MHzの共振型コイルである。
【0027】
また、位置検出デバイス9は、2台の赤外線カメラ25と、赤外線を発光する図示しない発光ダイオードとを備え、断層面指示デバイスであるポインタ27、位置及び姿勢を検出するものである。この位置検出デバイス9は、手術用コイル37に取り付けられた反射球(反射マーカ)38を検出することにより、手術用コイル37の位置及び姿勢を検出する。また、位置検出デバイス9は、アーム11により移動可能に上部磁石3に連結され、MRI装置1に対する配置位置を適宜変更することができる。
【0028】
モニタ13は、図3に示すように、操作者(術者)29が把持するポインタ27(反射マーカ)により指示された被検体24の断層面の画像を表示するもので、モニタ支持部15により、赤外線カメラ25と同様に上部磁石3に連結されている。基準ツール17は、赤外線カメラ25の座標系とMRI装置1の座標系とをリンクさせるもので、3つの反射球(反射マーカ)35を備え、上部磁石3の側面に設けられている。そして、パーソナルコンピュータ19には、赤外線カメラ25が検出し、算出したポインタ27の位置が、位置データとして、例えば、RS232Cケーブル33を介して送信される。
【0029】
制御部23は、ワークステーションで構成され、図示しないRF送信器、RF受信器などを制御する。また、制御部23は、パーソナルコンピュータ19と接続されている。パーソナルコンピュータ19では赤外線カメラ25が検出し、算出したポインタ27の位置をMRI装置1で利用可能な位置データに変換して制御部23へ送信する。
【0030】
ポインタ27の位置データは、撮像シーケンスにおける表示する撮像断面へ反映され、新たな撮像断面で取得された画像は液晶モニタ13に表示される。例えば、断層面指示デバイスであるポインタ27を穿刺針などに取り付け、穿刺針のある位置を常に撮像断面とする様に構成した場合、モニタ13には針を常に含む断面が表示されることになる。
【0031】
次に、上記MRI装置を用いた手術シミュレーション及び手術支援表示の動作を説明する。図1において、MRI装置による3D撮像後(ステップ101)、3Dボリューム画像を3軸2次元表示(MPR(Mu1ti Planar Reconstruction))及び3Dボリューム画像表示する(ステップ102)。
必要に応じて、データ記憶装置(図示せず)に記憶された被検体の3次元データ及びMRI装置1の寸法データに基づき、データ記憶装置に、正常組織、腫瘍などのアクセス可能領域の登録(ステップ103)、血管、臓器などアクセス不可能領域の登録を行ない(ステップ104)、手術に用いる手術器具を登録し(ステップ105)、仮想ディスプレイ表示を行なう。ディスプレイ表示の際には、登録部位は色分けをして分かりやすいように表示する。
【0032】
次に、登録部位、仮想手術器具を用いて術具アクセス開始部からターゲットとなる領域までの手術計画(安全経路)を自動計算して表示する(ステップ106)。
【0033】
ここで、表示された手術計画シミュレーションから最適と思われる手術経路を術者又は操作者が選択する(ステップ107)。選択されら手術経路に従って、その手術経路に適したベッド位置・患者の体位・コイルの種類・コイルの配置位置を自動計算し、表示する(ステップ108)。患者の体位等は、予めデータ記憶手段に記憶してあり、その中から、パーソナルコンピュータ19が適切なものを選択してモニタ13に表示させる。
【0034】
次に、ステップ109において、再度、シミュレーションが必要か否かを操作者等が選択し、再度シミュレーションが必要な場合は、ステップ103に戻る。ステップ109において、シミュレーション結果に間題がなければ、術前プラニングは終了となる。
【0035】
上述したステップ101〜109により実行されたシミュレーションの結果は、手術直前において、表示され、この表示に従って、患者の体位等が調整される。つまり、術者又は操作者は、患者を表示された体位となるように被検体を誘導し(ステップ110)、続いて、専用コイルを表示されたコイル位置となるように設置する(ステップ111)。そして、ベッドの位置が表示されたベッド位置となるように、移動する(ステップ112)。
【0036】
次に、その時点における実際の患者の位置、体位、コイル位置を、位置検出デバイス9を用いて撮影しモニタ13に表示し、表示された情報を用いて、患者の位置、姿勢、コイル位置の微調整を行なう(ステップ113)。
そして、術前プランニングにより選択した手術経路に従って、実際の手術が開始される(ステップ114)。
【0037】
ここで、本発明との比較のために、従来技術における、患者体位・コイル設置位置決め方法を図3を参照して説明する。この従来技術は、患者の位置、コイル位置等を術前にシミュレートすることはなく、患者位置等のアシスト表示は行なわれない。
【0038】
図3のステップ201において、手術直前に患者をベッドに設置し(ステップ201)、大きさも任意の専用コイルを任意の位置に取り付ける(ステップ202)。次に、レーザ光を用いて、操作者等の目測によりベッドをMRI装置内部に移動し(ステップ203)、MRI撮像による画像を取得する(ステップ204)。
【0039】
ステップ204でMRI画像を取得した後、術者が患者位置等を再設置する必要があるか否かを判断する(ステップ205)。術者は患者位置やコイル位置を再検討することが常であり、再設置が必要な場合はベッドをMRI装置から搬出し(ステップ206)、ステップ201に戻って、再設置を繰り返していた。そして、再設置後、MRI撮像を含むステップ202〜204を実行した後、再設置が必要ないと判断されると、手術が開始される(ステップ207)。
【0040】
上述したように、ステップ201〜206は、繰り返し行なわれるが、その都度、患者等を実際に、手術に適した患者位置、体位等に設定してMRI撮行なわなければならず、図1に示した本発明の一実施形態に比較して、手術準備に長時間を要し、術者、患者への負担も大きいことが理解できる。
【0041】
図4は、本発明の一実施形態における、三次元位置検出装置を用いた各種手術支援ソフトGUIの表示画面例を示す図である。図4において、全画面401の左画面には、ナビゲーションソフト402に関する情報を示し、右画面403には、患者位置等の術前プラニング結果417及び実際の患者等の位置423の情報を表示している。
【0042】
最初に術前プラニングを行う為に、3Dスキャンボタン404を押して、3Dスキャンを実行させ、Axial405、Sagittal406、Coronal407及びVolume rendering408を表示する。ここで、術前プラニング機能ボタン409を押して、術前プラニングと併用することにより、手術経路410、411、412、413を描出して表示できる。これにより、プラニング結果としてコイルの種類及び設置位置414、ベッド移動量415が表示される。
【0043】
実際の手術時には術前プラニング適用ボタン416を押すことにより、術前プラニング結果部417にコイル情報418、手術経路419及び患者体位420が表示される。更に、赤外線カメラ25による位置検出ボタン421を押すと、実空間上の位置423が表示され、ベッド移動誘導ボタン422を押すことで自動的にベッド21が移動される。このベッド移動は、術者等からの音声により、指示することも可能である。また、赤外線カメラ25は、ベッド21が、被検体の撮影空間領域外にあるときに、被検体である患者の体位を撮影し、ベッド21が撮影空間領域に移動された後に、撮影した患者の体位をモニタ13に表示させることも可能である。
【0044】
図5は、MRI内手術用コイル37の全体501の外観図であり、図6は、コイル37の患者に対する可動範囲の一表示例を示す図である。
コイル37は、S、M、Lの複数サイズがあり、必要に応じて付け替えることが容易にできる。また、図6の(A)に示すように、コイル37はベッド21に対して回転機能を有し、可動範囲がGUI上に表示される(表示例502)。また、図6の(B)に示すように、ベッド21に対するコイル37の上下可動範囲も同時に表示され手術スタッフが自由に位置決めをすることができる(表示例503)。
【0045】
図7は、本発明のMRI装置内におけるベッド動作可能範囲のGUI表示例を示す図である。図7の(A)は、ベッド左右可動範囲の表示例601であり、図7の(B)は、ベッド上下可動範囲の表示例602である。また、図8は、本発明における患者体位のGUI表示例を示す図である。図8の(A)は、右側臥位701、図8の(B)は左側臥位702、図8の(C)は仰臥位703、図8の(D)は伏臥位704を示している。図8に示した例は、4例であるが、術者の要望に応じて、他の例の追加や、削除等のユーザカスタマイズも可能である。
【0046】
図9〜図12は、本発明の一実施形態における、患者位置、患者体位、コイルの種類、コイルの設置位置の算出プロトコルの説明図である。図9は、図1のステップ107における手術経路の選択時に利用される画面を表示するためのプロトコルの説明図である。図9において、まず、3D撮像後、GUIによる術前プラニングを行い、穿刺開始位置・ターゲットの描出・手術経路の算出・患者の体位算出を行う。
【0047】
次に、図10は、図1のステップ108で表示される画面に相当し、シミュレーション結果を実空間(MRI空間)上の状態と条件を合わせるための画面表示811を示す図である。この図10に示した例では、術前プランニング経路812において、患者体位が伏臥位では術具813が上部磁石に触れてしまうため、アクセス不可能と判明する。
【0048】
図11は、図10に示したアクセス経路812を変更することなく患者体位を左側臥位821に変更することでアクセス経路812が可能であることを示す図である。図12は、画像から得られる患者体位から最適な手術用コイル37の選択及び配置位置831をシミュレーションする図である。
【0049】
実際の手術時には、上述のようにして行なったシミュレーションに従った情報を用いて、患者体位、患者位置、コイルの種類、コイルの設置位置をナビゲーションし、誤った動作、配置を行った場合は、警告及び再設置するよう誘導する機能を設けている。
【0050】
以上のように、本発明は術前に算出したシミュレーション、手術経路から患者位置、患者体位、ベッド位置、コイルの種類、コイル設置位置を、手術直前において表示して手術アシストすることで、常に最適な手術環境を提供することが可能となる。
【0051】
これより、手術準備に必要な時間の短縮が可能となり、術者・患者に対する負担も軽減できるという効果がある。
【0052】
なお、上述した例は、本発明をMRI装置に適用した場合の例であるが、本発明は、MRI装置のみならず、CT装置等の他の医用画像表示装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態であるMRI装置における手術シミュレーション及び手術支援表示の動作フローチャートである。
【図2】本発明が適用されるMRI装置の概略外観構成図である。
【図3】本発明とは異なる、コイルの種類、コイル設置位置決定方法の動作フローチャートであり、本発明との比較例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態における、三次元位置検出装置を用いた各種手術支援ソフトGUIの表示画面例を示す図である。
【図5】MRI内手術用コイルの全体外観図である。
【図6】本発明におけるコイルの患者に対する可動範囲を示す表示例を示す図である。
【図7】本発明のMRI装置内におけるベッド動作可能範囲のGUI表示例を示す図である。
【図8】本発明における患者体位のGUI表示例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態における術前プランニングの算出プロトコル説明図である。
【図10】本発明の一実施形態におけるシミュレーション結果を実空間上の条件に適合させるためのGUI表示例を示す図である。
【図11】アクセス経路を変更することなく患者体位を変更することでアクセスが可能であることを示す図である。
【図12】画像から得られる患者体位から最適な手術用コイルの選択及び配置位置をシミュレーションする図である。
【符号の説明】
【0054】
1 MRI装置
3 上部磁石
5 下部磁石
7 支柱
9 位置検出デバイス
11 アーム
13 モニタ
15 モニタ支持部
17 基準ツール
19 パーソナルコンピュータ
21 ベッド
23 制御部
24 被検体
25 赤外線カメラ
27 ポインタ
29 操作者
32 開口部
34 映像記録装置
35、38 反射球
37 MRI手術用コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の三次元画像データを取得し、表示する医用画像表示装置において、
被検体、術具、被検体が配置されるベッドの位置を検出する三次元位置検出手段と、
撮像した被検体の3次元画像データを用いて術具挿入位置から目標位置までの被検体への手術経路をシミュレーションし、このシミュレートされた手術経路に従って、被検体の位置、被検体の体位、被検体が配置されるベッドの位置を演算する演算制御手段と、
上記演算制御手段により演算された、被検体の位置、被検体の体位、被検体が配置されるベッドの位置を表示する手段と、
を備えることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
被検体の三次元画像データを取得し、表示する磁気共鳴イメージング装置において、
被検体、術具、被検体が配置されるベッド、核磁気共鳴信号の受信コイルの位置を検出する三次元位置検出手段と、
撮像した被検体の3次元画像データを用いて術具挿入位置から目標位置までの被検体への手術経路をシミュレーションし、このシミュレートされた手術経路に従って、被検体の位置、被検体の体位、被検体が配置されるベッドの位置、核磁気共鳴信号の受信コイルの種類及びこの受信コイルの設置位置を演算する演算制御手段と、
上記演算制御手段により演算された、被検体の位置、被検体の体位、被検体が配置されるベッドの位置、核磁気共鳴信号の受信コイルの種類及びこのコイルの設置位置を表示する手段と、
を備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記演算制御手段は、上記三次元位置検出手段により検出された上記被検体の実際の現在位置を上記表示手段に表示させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記被検体の3次元画像データの記憶手段を備え、上記演算制御手段は、磁気共鳴イメージング装置の寸法データ及び上記被検体の3次元画像データに従って、被検体の領域のうち、手術によりアクセス可能な領域と不可能な領域とを判断して、上記データ記憶手段に登録することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、データ記憶手段を備え、上記表示手段に表示する被検体の体位は予め上記データ記憶手段に登録され、この登録されている体位を上記演算制御手段が選択して、上記表示手段に表示させること特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、演算される上記ベッド位置は、演算された被検体の体位から求められることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、演算される上記受信コイルの種類は、上記撮像した被検体の3次元画像データを用いて求められることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、演算される上記受信コイルの設置位置は、上記シミュレートされた手術経路及び演算された被検体の体位から求められることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
請求項2〜8のうちのいずれか一項記載の磁気共鳴イメージング装置において、基準位置を示す反射マーカが配置され、三次元位置検出手段は、上記反射マーカの位置を検出し、この反射マークの位置を基準として、被検体、術具、被検体が配置されるベッド、核磁気共鳴信号の受信コイルの位置を検出することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
請求項2〜9のうちのいずれか一項記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記ベッドは被検体の撮影空間領域とこの撮影空間外との間を移動され、三次元位置検出手段は、上記ベッドが撮影空間外に位置するときの、上記被検体の体位を検出し、上記演算制御手段は、検出した上記被検体の体位を、べッドが上記撮影空間領域に移動された後に、表示手段に表示させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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