説明

医療デバイス用の使い捨てできる安全な「患者キット」

本発明は、一般に試験管および/またはバイアル(O)および/または他の医療用デバイスを挿入するための開口(A)と、開口(A)を閉鎖および/または密封するための少なくとも1つの要素(F)とを備えた容器(C)を備え、要素(F)が患者の識別データ(S)等を有する、試験管、バイアル(O)、および/または病院または他の健康施設で使用するための他の医療デバイス用の新規の使い捨てパッケージに関する。閉鎖識別要素(F)は、1つまたは複数の切り込みまたは穿孔(P)および/またはシート(F)の少なくとも一部(F1)を引き剥がして開封するための他のシステムを備え、この上に患者の識別コード(S)を有することができるタブ(L)を備えた接着シートである。本発明により、補助カバー(R)を使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、病院、分析実験室、検査する場所または処置センターで使用される容器に関し、詳細には試験管、バイアルまたはその他の医療デバイス用の容器を有する新規の密封された使い捨ての安全な患者キットに関する。
【背景技術】
【0002】
病院環境において、分析する目的で患者から採取した体液および生体サンプルを収集するために、試験管、バイアルまたはその他の容器を使用することが知られている。
【0003】
分析される有機サンプルは、それが患者から採取されると、試験管またはバイアル内に置かれる。
【0004】
次に、分析されるべきサンプルを収容するように設計された試験管またはバイアルはそれぞれ、例えば患者の名前および/または識別コードおよび/または採取されたサンプルに施される分析のタイプおよび/または採取場所、および/または実験室およびサンプルを採取する人間にとって必要なその他の任意の情報を示す1つまたは複数のラベルによって印をつけられる。
【0005】
サンプルが採取される前に試験管および/またはバイアルにラベルが貼られ、その結果、サンプルを採取する医療または看護スタッフは、それぞれが採取するべきサンプルに関する正確な指示を示す、使用すべき正確な数の試験管および/またはバイアル、およびサンプリングのために他の医療機器またはデバイスを識別するのに必要な別のラベルをあらかじめ所持する。
【0006】
サンプルが採取された後、試験管および/またはバイアル、あるいは分析するためにサンプルを収容するように設計された他の容器は、分析実験室に送られる。
【0007】
サンプルが採取された後、印字された識別ラベルが手作業で試験管またはバイアルに意図的に貼られる場合、別の患者または別のタイプの試験管またはバイアルを混同するリスクがあり、これにより、検査をやり直す必要性と共に、患者の健康に対して重要となり得る、および/または分析の実施の遅れまたは適切な処置の開始の遅れを伴う深刻な過失を引き起こすであろう。
【0008】
一方、検査前に手作業で印をつけられた試験管またはバイアルに関しては、混同されることはめったになく、結果として生じる重大な過失、また分析の実施および結果の伝達の遅れもない。
【0009】
検査される患者それぞれに対して、正確に選択されラベルが貼られ、長期間のバッチトレーサビリティを備えた適切なデバイスが使用されることが、患者の健康のためには基本的な重要事項である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主題は、一般に病院、分析実験室、検査する場所または処置センターで使用するための、試験管および/またはバイアルあるいはその他の医療デバイス用の容器を有する新規の密封された使い捨てできる安全な患者キットである。
【0011】
本発明の主要な目的は、試験管および/またはバイアルおよび/またはその他の医療用デバイス、および/または他の患者のものから区別し分離する、単一の一人の患者の他の補助ラベルを収容することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、別々の患者の試験管および/またはバイアルの混同を防ぐことである。
【0013】
本発明の更なる目的は、試験管および/またはバイアルおよび/または検査される物質の紛失を防ぐことである。
【0014】
本発明の更なる目的は、このような動作の証拠を残さずに、試験管および/またはバイアルを故意に悪意を持って交換する、盗む、またはいたずらをすることを防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
直接的または補足的なこれら、およびその他の目的は、関連する接着式の閉鎖識別シートを備えた、一般に病院または処置センターで使用するための試験管および/またはバイアルあるいは他の医療デバイス用の容器を有する新規の密封された使い捨てのできる安全な患者キットによって実現される。
【0016】
容器は好ましくは、プラスチック製であり、収容される対象物を挿入するための1つまたは複数の開口を有する。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において、容器は平行六面体形状であり、その上壁に開口が形成される。
【0018】
適切な印を付けられた試験管および/またはバイアル、および/または補助ラベルおよび/または他の医療用デバイスが、容器内に配置される。
【0019】
次に容器の開口が、例えば紙、プラスチックが塗布された紙またはプラスチック製の閉鎖要素すなわちシートによって密封されて閉鎖される。
【0020】
閉鎖要素は、例えば接着剤または部分接着シート、すなわち少なくとも容器に接触する面の上に配置される接着層を備えるものでよい。
【0021】
例えば、閉鎖要素すなわちシートは縁部のみに接着し、容器の開口の平坦な端部に接触する。
【0022】
これは、容器内に収容された物質が悪意によってまたは過失により流出するのを防ぐ。
【0023】
患者の名前および/または識別コード、および/または採取されるサンプルのタイプおよび量、および/またはサンプルが採取された日、および/または検査センター、および/または医療、看護または技術スタッフにとって有益な任意の他の情報がさらに閉鎖要素上に印字される。
【0024】
上記に記載したように用意された容器は、患者あるいは医療、技術または看護スタッフに送達され、彼らは、医療部門内またはサンプルが採取される場所(施設の内外での患者の居所)または検査センターまたは分析実験室でこれを使用する。
【0025】
この方法において、試験管および/またはバイアルを紛失するリスク、または前検査段階で過失によって生じる誤診が原因で患者を不適切に治療することを指示するリスクは、絶対的に存在しない。
【0026】
試験管および/またはバイアルあるいは他の医療用デバイスを容器内に配置するための手順は、手作業でまたは好ましくは自動式デバイスを使用することによって行うことができる。
【0027】
例えば容器は、摺動ベルト上を移動して第1ステーションで停止することができ、試験管および/またはバイアルおよび/または補助ラベル、および/またはサンプルを採取するための他の医療用デバイスが、容器内に配置される。
【0028】
次に、この容器はステーションで停止し、ここで上記に記載した全ての情報が印字された閉鎖要素が、閉鎖および識別する目的で容器の開口に付着される。
【0029】
閉鎖要素はさらに、突出するタブおよび1つまたは複数の切り込みまたは穿孔を有し、その結果、収容されている物質を使用するために、引き剥がすことによって密封された容器を開封することができる。
【0030】
タブの上に、患者のまたは容器内に収容された物質の識別データを書き込むことも可能である。
【0031】
新規の患者キットはまた、サンプルが採取された後、次に分析実験室へ輸送する間の安全要素として使用することができる。
【0032】
この目的のために、本発明により容器と分離したまたは一体式の、容器に適合された別のカバーが使用され、要素すなわち閉鎖識別シートが引き剥がされ開封された後これを密封する。
【0033】
カバーは、容器の縁部全てまたは一部に沿った場所にスナップ係合する周辺歯を備えた周辺密封タイプであり、さらに、補助カバーの少なくとも一部を開封するためにカバーの上部に穿孔を有する水平のタブを備えてもよい。
【0034】
その後の補助カバーを除去することで歯が破損し、その結果カバーを再配置することができない、すなわちいたずらされた場合の証拠となる。
【0035】
添付の図面は、限定ではなく例示の目的で、本発明の実際の実施形態を示す。
【0036】
新規の患者キット(K)は、平行六面体、立方体または他の形状を有し、試験管および/またはバイアル(O)および/または補助ラベルおよび/または他の医療用デバイスを挿入するための少なくとも1つの上部開口(A)を備えた容器(C)を備える。
【0037】
患者キット(K)はまた、患者および/または内容物および/またはサンプルを採取する人間にとって必要なその他の情報が印字される閉鎖識別要素(F)を備える。
【0038】
要素(F)は接着シートであり、例えばシート(F)と、容器(C)の上部開口(A)の縁部(C1)との間の接触面上に接着層(T)が配置される。
【0039】
閉鎖要素(F)は、患者または容器の内容物の識別コードを有することのある少なくとも1つのタブ(L)と、密封された容器を開封することができるように、1つまたは複数の切り込みまたは穿孔(P)とを備える。
【0040】
詳細には、切り込みまたは穿孔(P)により、要素(F)の少なくとも一部(F1)を持ち上げ、容器(C)の内部への入り口を形成することができる。
【0041】
閉鎖要素(F)を開封した後、容器(C)から分離したまたは一体式の補助カバー(R)を使用することによって、容器(C)を再度密封することが可能である。
【0042】
補助カバー(R)は、周辺密封タイプであり、すなわちその周辺部に沿って配置された複数の歯(R1)を有し、好ましくは角で、容器の縁部(C1)全体または一部にスナップ係合する。
【0043】
補助カバーはまた、補助カバー(R)の少なくとも一部を引き剥がして開封するために、上部に水平タブ(R2)および穿孔(R3)を有する。
【0044】
補助カバー(R)を再開封することにより、歯(R1)が破損する。
【0045】
したがって前述の記載および添付の図面を参照して、添付の特許請求の範囲が示される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】容器を示す図である。
【0047】
【図2】完全に閉鎖され密封された安全な患者キットを示す図である。
【0048】
【図2a】閉鎖識別要素すなわちシートの上部の図である。
【0049】
【図2b】閉鎖識別要素すなわちシートの下部の図である。
【0050】
【図3】部分的に開封された患者キットの図である。
【0051】
【図4】補助カバーによって閉鎖された容器の図である。
【0052】
【図4a】補助カバーの閉鎖方法の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般に病院、民間の実験室、検査の場所または処置センターで使用する試験管および/またはバイアル(O)および/または他の医療デバイス用の安全な患者キット(K)であって、前記試験管および/またはバイアル(O)および/または他の医療用デバイスを挿入するための少なくとも1つの開口(A)と、1つまたは複数の切り込みまたは穿孔(P)、および/または容器(C)内部へ到達するために前記要素(F)の少なくとも一部(F1)を引き剥がして開封するための他のシステムを有する、前記開口(A)を密封式に閉鎖するための少なくとも1つの要素(F)とを備える前記容器(C)を備え、前記要素(F)が、患者および/または内容物および/または前記内容物の利用法および/または採取場所および/またはサンプルを採取する人間にとって必要なその他の任意の情報に関する簡素な文面またはコードの識別コード(S)を有することを特徴とする患者キット(K)。
【請求項2】
前記閉鎖識別要素(F)が、少なくとも1つの突出タブ(L)を備える接着シートであることを特徴とする、請求項1に記載の安全な患者キット(K)。
【請求項3】
前記識別データが前記要素(F)の任意の部分に設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の安全な患者キット(K)。
【請求項4】
前記閉鎖識別要素(F)が、前記容器(C)に付加される前またはその後の段階で印字されることを特徴とする、請求項1、2または3に記載の安全な患者キット(K)。
【請求項5】
それが使い捨てであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の安全な患者キット(K)。
【請求項6】
前記容器(C)から分離したまたはこれと一体式であり、カバー(R)の周辺全体または一部に沿って配置された複数の歯(R1)を備え、前記容器(C)の縁部(C1)全体または一部にスナップ係合するように設計された別のカバー(R)を備え、前記カバー(R)を除去した後、前記歯(R1)の破損が生じることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の安全な患者キット(K)。
【請求項7】
前記カバー(R)が、前記補助カバー(R)の少なくとも一部を引き剥がして開封するための水平タブ(R2)および/または穿孔(R3)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1つに記載の安全な患者キット(K)。
【請求項8】
前記試験管および/またはバイアル(O)および/または補助ラベルおよび/または医療用デバイスを挿入するため、および/または前記接着式閉鎖識別シート(F)を付加するために、摺動ベルト上および/または別の自動式デバイス内に配置されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載の安全な患者キット(K)。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【公表番号】特表2009−518645(P2009−518645A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544011(P2008−544011)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国際出願番号】PCT/IT2005/000717
【国際公開番号】WO2007/066359
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(508157716)
【Fターム(参考)】